JP2786171B2 - デジタル移動通信システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ＴＤＭＡマルチキ
ャリア方式のデジタル移動通信システム、特にその無線
基地局での障害発生時における代行方式に関する。

【０００２】

【従来の技術】図１は、ＴＤＭＡ方式を用いたデジタル
移動通信システムの一例を示すブロック図である。図に
おいて、１００ａ〜１００ｎは制御局装置、２００ａ〜
２００ｎは無線基地局、３００ａ〜３００ｎは各無線基
地局の無線ゾーン、ＭＳ１〜ＭＳｎは無線移動局であ
る。デジタル移動通信システムは複数の無線移動局ＭＳ
と、この無線移動局と無線回線を介して接続されている
複数の無線基地局２００と、この無線基地局２００を複
数の有線電話回線に接続するための複数の制御局装置１
００とから構成される。

【０００３】制御局装置１００は、複数の有線電話網
（図示せず）と移動局ＭＳとの間の発着信制御と、各移
動局がどの無線ゾーン３００ａ〜３００ｎに存在するか
の移動局の位置確認制御等を行う。また無線基地局２０
０は、自局の無線ゾーン３００内に存在する複数の移動
局ＭＳの制御を行うと共に、移動局ＭＳと無線通信回線
を接続する。従って移動局ＭＳは何れかの無線ゾーン３
００内で無線基地局２００，制御装置１００を介し、他
の移動局ＭＳや有線電話網に接続されている他の電話機
との通信を行うことができる。

【０００４】上記のようなデジタル移動通信システムに
おいては、無線基地局１００で行う移動局ＭＳの制御
は、制御用キャリアで制御信号を授受して行われるが、
障害によりこの制御が正常に運用できなくなる場合が生
じる。この障害は、電波障害により制御用キャリアが正
常に運用できなくなる場合と、基地局の送受信機に障害
が発生し正常に運用できなくなる場合とがあるが、従来
のこの種のデジタル移動通信システムでは、例えば予め
予備の送受信機を用意しておいて、装置障害時には予備
の送受信機に切り替えてシステムの運用を継続し、また
電波障害の場合には、マルチキャリア方式の場合、他の
周波数に制御用キャリアを割り当てて電波障害を回避す
る代行方式が取られている。

【０００５】図７は、実開平５−３６９４０号「制御チ
ャネル代行装置」で開示された代行方式を説明するため
の図であり、この先行技術は無線基地局２００を図７に
示すような構成とし、送受信機２０ａで行っていた制御
チャネルの送受信が行えなくなった場合、切替装置２２
が予備の送受信機２０ｂで送受信する代行用のチャネル
に切り替えるが、予備の送受信機２０ｂに障害が発生し
た場合、正常な通話チャネルを代行用チャネルに切り替
えるべく、通話チャネル用送受信機２０ｃ〜２０ｎとリ
ンク無線装置２３との間に切替スイッチ２４を設け、切
替装置２２が切替スイッチ２４を動作させ、送受信機２
０ｃ〜２０ｎが行っている通話チャネルの送受信を制御
チャネルの送受信に切り替えるというものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のデ
ジタル移動通信システムでは、障害発生時に制御チャネ
ルの送受信を確保するため予備の送受信機を備え、制御
チャネルに障害が発生した場合には予備の送受信機で制
御チャネルを送受信する構成としており、予備の送受信
機が必要になるという無駄がある。また予備の送受信機
にも障害が発生した場合、通話チャネルを代行用チャネ
ルとして用いるので、実際に通話中のチャネルが強制解
放させられる可能性がある等の問題点があった。

【０００７】本発明はかかる問題点を解決するためにな
されたものであり、予備の送受信機を必要とせず同等の
代行機能を持たせることができ、且つ通話中のチャネル
が強制解放させられることのないデジタル移動通信シス
テムを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係わるデジタル
移動通信システムは、無線基地局と無線移動局との間で
制御用キャリアと複数の通話用キャリアとが交信され、
キャリア番号とスロット番号とで規定される無線チャネ
ルに呼が割当てられるＴＤＭＡマルチキャリア方式が用
いられ、前記制御用キャリアに異常が発生した場合に前
記通話用キャリアで前記制御用キャリアを代行させるデ
ジタル移動通信システムにおいて、上記複数の通話用キ
ャリアに予め優先順位を設定する手段、呼発生時に行う
無線チャネル割当ての際には、優先順位が下位のキャリ
アの無線チャネルから割当てる手段、前記制御用キャリ
アに異常が発生した場合に前記通話用キャリアで前記制
御用キャリアを代行させる際には、全スロットが空いて
いる優先順位が上位の通話用キャリアに代行させる手段
を備えたことを特徴とする。

【０００９】また、前記制御用キャリアに異常が発生し
た場合に前記通話用キャリアで前記制御用キャリアを代
行させる際には、スロットが一定数以上空いている優先
順位が上位の通話用キャリアに代行させる手段を備えた
ことを特徴とする。

【００１０】さらに、前記無線基地局に、各キャリア番
号ごとに少なくとも、前記優先順位，障害が発生してい
るか否か，各スロットの使用／未使用が書き込まれる通
信管理テーブルを設け、前記呼発生時に行う無線チャネ
ル割当てる際、および前記制御用キャリアに異常が発生
した場合に前記通話用キャリアで前記制御用キャリアを
代行させる際には、この通信管理テーブルの情報を用い
ることを特徴とする。

【００１１】本発明のデジタル移動通信システムは以上
のような構成とすることで、特別に予備のキャリアを設
けておく必要なく、異常時の代行が行え、通話中のチャ
ネルが強制解放させられることもなくなる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
用いて説明する。本発明のシステム全体の構成は図１で
説明したデジタル移動通信システムと同様であるので、
ここでは各部の説明は省略する。図２は、本実施形態に
おける無線基地局２００の構成の一例を示すブロック図
であり、２０ａは制御用キャリアの送受信を行っている
送受信機、２０ｂ〜２０ｎは通話用キャリアの送受信を
行っている送受信機、２１はそれぞれの送受信機２０ａ
〜２０ｎで電波障害あるいは装置障害が発生した場合に
これを検出しその情報を切替装置２２へ通知する障害監
視装置、２２は障害監視装置２１からの情報により送受
信機を切り替える切替装置で、通信管理テーブル２２０
を有する。２４は障害発生時の代行動作以外の無線基地
局で行う動作を制御する制御装置である。

【００１３】図３は、通信管理テーブル２２０の一例を
示す図である。図に示すように、通信管理テーブル２２
０は、各キャリアごとに、予め定める優先順位と、当該
キャリアに障害が発生しているか否か、および現在のス
ロット（チャネル）の使用／未使用が書き込まれるテー
ブルであり、その目的は障害発生時の代行先キャリアの
支障のない決定と、呼発生時に行うチャネル割当てとを
行わせるためにある。すなわち後述するように予め各キ
ャリアに優先順位を設定しておき、優先順位の下位から
通話チャネルを割当て、優先順位が例えば１番〜３番等
の上位のキャリアは全スロット（チャネル）が未使用あ
るいはスロットの使用数が少ない間は、代行先候補キャ
リアとなるが、使用スロット数が所定以上を超えると代
行不可能なキャリアと決定される。

【００１４】次に動作について説明する。図４は本実施
形態における障害発生時の処理を示すフローチャートで
ある。今、例えば制御用キャリアを送受信する送受信機
２０ａに障害（電波障害および装置障害の両方の場合を
含む）が発生した場合、障害が発生したキャリア（例え
ば図４のＮｏ．１とする）の全チャネルを閉塞し（Ｓ
１）、他の障害が発生した場合に代行候補からこのキャ
リアを削除しておくため、通信管理テーブル２２０に
「異常」を書き込む（Ｓ２）。

【００１５】そして、代行先キャリアを決定するため通
信管理テーブルを検索する（Ｓ３）。この検索の結果、
全チャネル未使用のキャリアがある場合（Ｓ４）、また
は全チャネル未使用のキャリアはなくても代行可能キャ
リアがある場合（Ｓ５）には次のステップへ移り、代行
可能キャリアのうち優先順位が最優先のキャリアを代行
先キャリアと決定し（Ｓ６）〜（Ｓ８）、無線移動局Ｍ
Ｓへ送信するレイヤ３信号のＲＴ（無線管理に関する）
メッセージである報知情報で、図５に示すような「周波
数代行中」である旨およびその「代行先周波数」の情報
を送信し、制御チャネルをこのキャリア（周波数）に切
り替える。無線移動局ＭＳはこの情報を受信すると、同
様にこの代行先周波数へ制御チャネルを切り替え、障害
が除かれて周波数代行中が解除された場合、正規の制御
用キャリアへ制御チャネルを切り替える。

【００１６】次に呼が発生した場合の通話チャネルの割
当て処理を図６のフローチャートで説明する。呼が発生
すると、まず障害発生時に代行可能キャリアとしている
優先順位が上位のキャリア以外のキャリアから、空きチ
ャネルを検索し、見つからない場合には代行可能キャリ
アから空きチャネルを検索するが、代行可能キャリアで
も空きチャネルが見つからない場合には、ビジーとする
（Ｓ１０）〜（Ｓ１３）。また空きチャネルが見つかっ
た場合には、この空きチャネルを割当てるが、空きチャ
ネルが複数ある場合には、優先順位が最下位のキャリア
の空きチャネルを割当て（Ｓ１４）〜（Ｓ１６）、出来
るだけ代行可能キャリアを確保しておくように処理す
る。

【００１７】なお上述の実施形態は無線基地局２００で
空きチャネルの割当てを行うシステムについて説明して
いるが、無線移動局ＭＳで空きチャネルの割当てを行う
システムでは、上述の報知情報で通信管理テーブル２２
０の内容が無線移動局ＭＳに送られる構成とすれば良
い。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明のデジタル移
動通信システムは、複数の通話用キャリアに予め優先順
位を設定する手段、呼発生時に行う無線チャネル割当て
の際には優先順位が下位のキャリアの無線チャネルから
割当てる手段、制御用キャリアに異常が発生した場合に
通話用キャリアで制御用キャリアを代行させる際には、
優先順位が上位の通話用キャリアに代行させる手段を備
えた構成とすることにより、通話中のチャネルが強制解
放させられる等の不都合を回避でき、信頼性の高いシス
テムが構築できる。また、予備の送受信機を備える必要
なく同等の代行能力を持たせることができ、コストの低
減が図れる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】デジタル移動通信システムのシステム構成を示
すブロック図である。

【図２】本実施形態における無線基地局２００の構成の
一例を示すブロック図である。

【図３】通信管理テーブルの一例を示す図である。

【図４】本実施形態における障害発生時の処理を示すフ
ローチャートである。

【図５】報知情報で無線移動局へ送る内容を示す図であ
る。

【図６】本実施形態における通話チャネル割当て処理を
示すフローチャートである。

【図７】従来のデジタル移動通信システムの無線基地局
の構成の一例を示すブロック図である。

【符号の説明】

２０ａ〜２０ｎ 送受信機 ２１ 障害監視装置 ２２ 切替装置 ２４ 制御装置 １００，１００ａ〜１００ｎ 制御局装置 ２００，２００ａ〜２００ｎ 無線基地局 ２２０ 通信管理テーブル ３００，３００ａ〜３００ｎ 無線ゾーン ＭＳ１〜ＭＳｎ 無線移動局

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無線基地局と無線移動局との間で制御用
   キャリアと複数の通話用キャリアとが交信され、キャリ
   ア番号とスロット番号とで規定される無線チャネルに呼
   が割当てられるＴＤＭＡマルチキャリア方式が用いら
   れ、前記制御用キャリアに異常が発生した場合に前記通
   話用キャリアで前記制御用キャリアを代行させるデジタ
   ル移動通信システムにおいて、 上記複数の通話用キャリアに予め優先順位を設定する手
   段、 呼発生時に行う無線チャネル割当ての際には、優先順位
   が下位のキャリアの無線チャネルから割当てる手段、 前記制御用キャリアに異常が発生した場合に前記通話用
   キャリアで前記制御用キャリアを代行させる際には、全
   スロットが空いている優先順位が上位の通話用キャリア
   に代行させる手段、 を備えたことを特徴とするデジタル移動通信システム。
2. 【請求項２】 前記制御用キャリアに異常が発生した場
   合に前記通話用キャリアで前記制御用キャリアを代行さ
   せる際には、スロットが一定数以上空いている優先順位
   が上位の通話用キャリアに代行させる手段、 を備えたことを特徴とする請求項第１項記載のデジタル
   移動通信システム。
3. 【請求項３】 前記無線基地局に、各キャリア番号ごと
   に少なくとも、前記優先順位，障害が発生しているか否
   か，各スロットの使用／未使用が書き込まれる通信管理
   テーブルを設け、 前記呼発生時に行う無線チャネル割当てる際、および前
   記制御用キャリアに異常が発生した場合に前記通話用キ
   ャリアで前記制御用キャリアを代行させる際には、この
   通信管理テーブルの情報を用いることを特徴とする請求
   項第１項または第２項記載のデジタル移動通信システ
   ム。