JP2785922B2 - 液晶表示装置用トレー - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は液晶表示装置用トレーに
関する。さらに詳しくは、液晶表示パネルと液晶表示パ
ネルを駆動する回路基板とがＴＡＢ（Tape Automated B
onding）で接続された液晶表示装置の製造および運搬な
どに用いられる液晶表示装置用トレーに関する。

【０００２】ここにＴＡＢとは、多数の箔状リード線が
可撓性フィルムで保持され、一方の回路端子部と他方の
回路端子部とを接続すると共に屈曲性を有するものを意
味し、前記箔状リード線の途中にＩＣなどの信号処理回
路を有するものも含む。

【０００３】

【従来の技術】液晶表示装置は低消費電力で取扱いが簡
単なため、電卓、ゲーム機、テレビやワープロなどのＯ
Ａ機器に幅広く用いられている。この液晶表示装置の低
消費電力や高寿命の特性をいかして、駅や街頭などでの
案内表示など、大型の表示ボードにも液晶表示装置を用
いることが検討され始めている。

【０００４】液晶表示装置で大型の画面を形成するため
には、たとえば10cm四方程度の液晶表示パネルからなる
液晶表示装置をアレー状またはマトリックス状に並べて
大画面を構成することが考えられ、個々の液晶表示装置
はたとえば図３に斜視図で示されるように、液晶表示パ
ネル11の両側面に電極端子が導出され、ＴＡＢ12のリー
ド端子が異方導電性接着フィルムにより接続され、液晶
表示パネル11の各画素を駆動する回路が形成された回路
基板13、14がＴＡＢ12の他方のリード端子に接続され、
回路基板13、14はそれぞれ約90゜に曲げられてケース19
に固定されている。回路基板13、14が直角方向に曲げら
れるのは液晶表示装置をできるだけ隙間なく並べるため
で、そのため、可撓性のあるＴＡＢで液晶表示パネルと
駆動用回路基板とを接続している。このＴＡＢ12は、図
４に示されるように、非常に細いリード線15がフィルム
16で保持されてなるもので、通常、液晶表示パネル11と
回路基板13、14とは垂直方向に屈曲されるので、ＴＡＢ
12の屈曲を容易にするため、部分的にフィルム16を付着
させないで、スリット17が設けられ、リード線15が露出
している。さらにこのＴＡＢ12にはＩＣ20が設けられ、
信号処理がなされるため、液晶表示パネル側のリード線
15の数は多いが、回路基板側のリード線15は少なくなっ
ている。

【０００５】また、ＴＡＢ12の先端にはリード線をハン
ダづけするため、フィルム16を設けないで、接続スリッ
ト18が形成され、リード線15が露出している。この接続
スリット18部で回路基板13のリード端子部とハンダづけ
される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このような構造の液晶
表示装置では、液晶表示パネル11と回路基板13、14とを
ＴＡＢ12で接続したのちの製造工程で、たとえば液晶表
示パネル11を持ちあげると回路基板13、14の自重でＴＡ
Ｂ12が折り曲げられる。このＴＡＢ12は、フィルムが形
成されないでリード線15が露出したスリット17部が一番
弱くその部分で曲げられる。一方リード線は、厚さが35
μｍ程度で、幅が100 μｍ程度と、非常に細いため、２
〜３回折り曲げられると断線するリード線が出てくる。
そのため、取り扱いが非常に難しいという問題がある。

【０００７】また、液晶表示パネルに接続されたＴＡＢ
12のリード線端子と回路基板13、14のリード端子との位
置合わせが正確になされていないと、細いリード線のハ
ンダづけが正確にできず、また位置合わせの際にＴＡＢ
に力が加わるとリード線が切断し易いという問題があ
る。

【０００８】さらに、モジュールの組立後正常に動作す
るか否かの試験を行うが、回路基板に設けられたコネク
タに試験用コネクタを差し込んだり、抜いたりするとき
にもＴＡＢのリード線部に力が加わり、破断し易いとい
う問題がある。

【０００９】本発明はかかる問題を解消し、ＴＡＢを曲
げることなく液晶表示装置の製造、試験および出荷をで
き、不用意にリード線を破断させてしまうことのない液
晶表示装置用トレーを提供するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示装置用
トレーは、リード線がフィルムに固着されたＴＡＢによ
り液晶表示パネルの電極端子と回路基板の端子とが接続
されてなる液晶表示装置を保持する液晶表示装置用トレ
ーであって、液晶表示パネルおよび回路基板の位置決め
を行うガイド部が設けられ、かつ、液晶表示パネルおよ
び回路基板の入力端子部に開口部が設けられてなるもの
である。

【００１１】

【作用】本発明の液晶表示装置用トレー（以下、トレー
という）によれば、液晶表示パネルと回路基板の双方が
トレーにより位置決めされ、僅かな位置調整後ＴＡＢの
リード線の端末と回路基板の端子とをハンダづけできる
ため、ＴＡＢに無用な力がかかることなくハンダづけで
きる。しかも、トレーの底面で液晶表示パネル部と回路
基板の入力端子部に開口部が設けられているため、トレ
ーに保持したまま裏面からバックライトで照らすと共
に、試験用プローブを回路基板の入力端子に接触させる
だけで性能試験を行うことができる。さらに、出荷もト
レーに載せたまま行うことができ、液晶表示パネルを一
々持ちあげる必要がなく、また試験用コネクタを接続す
る必要もないので、ＴＡＢに不用意に力がかかって、リ
ード線を破断させてしまうことがない。

【００１２】

【実施例】つぎに、図面を参照しながら本発明のトレー
について説明する。図１は本発明の液晶表示装置用トレ
ーの一実施例に回路基板と液晶表示パネルを組み込むと
きの分解斜視図、図２は図１のトレーに液晶表示装置を
載置した状態を裏面から見た説明図である。

【００１３】トレー１は型成形などで成形された、たと
えばポリカーボネート樹脂製の浅いプレート状容器で、
液晶表示パネル11の位置決めを行う第１のガイド部２、
回路基板13の位置決めを行う第２のガイド部３、および
回路基板14の位置決めを行う第３のガイド部４が設けら
れており、この位置に四角が係合するように液晶表示パ
ネル11および回路基板13、14をトレー１上に載置する
と、僅かな位置合わせをするだけであらかじめ液晶表示
パネル11に貼付しておいたＴＡＢ12の接続スリット18
が、ちょうど回路基板13の接続部19と当接するようにな
っている。そのため、液晶表示パネル11と回路基板13お
よび14を接続する工程において、ＴＡＢ12に直接触れる
ことなく作業ができ、ＴＡＢ12を不用意に曲げてしまっ
たりすることはない。

【００１４】また、トレー１の裏面には、液晶表示パネ
ル11の裏面を露出させるパネル用開口部５と、回路基板
13、14の裏面にある回路基板の入力端子部20ａ、20ｂ、
20ｃを露出させる端子用開口部６ａ、６ｂ、６ｃが設け
られている。回路基板には外部リードとの接続用にソケ
ット21ａ、21ｂ、21ｃが設けられているが、このソケッ
トの各リードが回路基板の裏面に露出しているのを利用
して、トレー１に端子用開口部６ａ、６ｂ、６ｃを設け
ることにより、裏面側から試験用プローブを接触させる
だけで性能試験を行いソケットへの着脱を不用としたも
のである。なお、ソケット21ａが信号入力用でソケット
21ｂは電源入力用、ソケット21ｃは実際に液晶表示装置
を左右または上下に並べたばあいに、隣の液晶表示装置
に入力信号を伝えるためのソケットで、この部分は必ら
ずしもトレーに開口部を設ける必要はない。このような
構造のトレー１内でＴＡＢ12が接続された液晶表示パネ
ル11と回路基板13、14とが接続されるため、液晶表示装
置の製造工程終了後、回路基板13、14が接続された液晶
表示装置をトレー１から取り出すことなく、そのまま試
験工程に移れる。そこで、前述のように、ＴＡＢ12に直
接触れることなく性能試験をできるので、ＴＡＢ12に無
用な力が加わったり、不用意に曲げてしまったりするこ
とはない。

【００１５】また、液晶表示パネル11、回路基板13、14
をトレー１から指などで取り出し易くするために、溝
８、９、10が設けられることが好ましい。最終的には液
晶表示パネルと直角方向に回路基板を屈曲させてケース
に固定するが、その取り出しの際に無理なく取り出せる
からである。

【００１６】前述のトレー１を用いた液晶表示装置の製
造、および試験工程はつぎのように行われる。まず、通
常の製法により製造された液晶表示パネル11の両側に引
き出された電極端子にＴＡＢ12のリード線端子を異方導
電性接着フィルムなどを用いて接続する。そして、駆動
回路を形成した回路基板13、14をトレー１に、それぞれ
の四角が第２および第３のガイド３、４と係合するよう
に載置し、前述のＴＡＢ12を接着した液晶表示パネル11
をトレー１の中央に、四角が第１のガイド２と係合する
ように置く。すると、ＴＡＢ12の接続スリット18が、ち
ょうど回路基板13の接続部19とほぼ当接しているので、
僅かな微調をしたのち、この上からハンダづけを行うこ
とにより、液晶表示パネル11の各電極端子はＴＡＢ12を
介して回路基板13、14の各端子と接続される。つぎに、
前述の状態のままで、裏面の端子用開口部６ａ、６ｂよ
り露出された回路基板13、14の入力端子部20ａ、20ｂに
測定用プローブをトレーの裏面側から接触させると共
に、中央部に設けられたパネル用開口部５を通して裏面
からバックライトを照射して、液晶表示パネル11に試験
パターンを表示させ、表示特性の良否を検査する。以上
の工程で、ＴＡＢ12に力をかけることなく試験工程まで
の作業を行えるので、ＴＡＢ12を不用意に曲げてしまっ
たりすることはなく、ＴＡＢ12に添付されているリード
線を破断させることはない。

【００１７】本実施例の液晶表示装置は、たとえば24ド
ット×24ドットで、液晶表示パネルの大きさが約90mm×
90mm、ＴＡＢ12の１個の大きさが約30mm×20mm、回路基
板13、14の大きさが約40mm×90mmで、トレー１の外形は
約240mm ×135mm であるが、液晶表示装置のドット数や
大きさは適宜しうるもので、この例に限定されるもので
はない。

【００１８】なお、前記実施例では液晶表示パネルの両
側に回路基板が設けられる例で説明したが、片側だけに
設けられるばあいでも、また、三方もしくは四方に設け
られるばあいでも同じである。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、液晶表示パネルと回路
基板が接続されたのちは、トレーに入れたまま、液晶表
示装置の組立が続けられ、トレーに保持したまま試験を
行えるので、ＴＡＢのリード線に、無駄な曲げ応力がか
からず、リード線を破断させることなく、信頼性が向上
すると共に楽に作業を行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の液晶表示装置用トレーの一実施例の斜
視図である。

【図２】図１のトレーに液晶表示装置を載置した状態の
裏面図である。

【図３】液晶表示装置を枠に取りつけた状態の一例の斜
視図である。

【図４】液晶表示装置のＴＡＢ部分の拡大説明図であ
る。

【符号の説明】

１ トレー ２ 第１のガイド部 ３ 第２のガイド部 ４ 第３のガイド部 ５ パネル用開口部 ６ 端子用開口部 11 液晶表示パネル 12 ＴＡＢ 13、14 回路基板

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リード線がフィルムに固着されたＴＡＢ
   により液晶表示パネルの電極端子と回路基板の端子とが
   接続されてなる液晶表示装置を保持する液晶表示装置用
   トレーであって、前記液晶表示パネルおよび回路基板の
   位置決めを行うガイド部が設けられ、かつ、前記液晶表
   示パネルおよび回路基板の入力端子部に開口部が設けら
   れてなる液晶表示装置用トレー。