JP2783361B2 - ほ乳類サイトカイン、il−11 - Google Patents

ほ乳類サイトカイン、il−11

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫および造血系
細胞の機能を刺激する新規サイトカイン、およびこの因
子を得る方法および組換え遺伝子工学技術によるその製
法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】免疫系の細胞間にシグナルを送達する調
節蛋白質の増加しつつある一群が同定された。これらの
調節分子はサイトカインとして知られている。サイトカ
イン類の多くは、造血および免疫系細胞の生長および発
達、並びに生物活性を制御することが見出されている。
これらの調節分子には、コロニー刺激因子(例、GM−
CSF、G−CSF、M−CSFおよびマルチCSFま
たはインターロイキン−3)、インターロイキン類(IL
−1ないしIL−9)、インターフェロン類(アルファ、
ベータおよびガンマ)、腫よう壊死因子(アルファおよび
ベータ)、エリスロポイエチン、マクロファージ阻止蛋
白質、腫よう増殖因子および白血病阻止因子(LIF)
が全て含まれる。これらのサイトカインは、骨髄、末梢
血、胎児肝臓、および他のリンパまたは造血器官からの
標的細胞による広い範囲の生物活性を呈する。例えば、
F.R.バークウィルおよびF.バーク、「イミュノロ
ジー・トゥデイ」、10(9):299(1989)、G.ウォン
グおよびS.クラーク、「イミュノロジー・トゥデ
イ」、9(5):137(1988)並びにS.C.クラークおよ
びR.カーメン、「サイエンス」、236:1229−1237(1
987)参照。ある種のサイトカイン類の生化学的および生
物学的同定および特性検定は、天然供給源、例えば血液
および尿から入手され得る少量の天然因子により妨害さ
れた。最近、サイトカイン類の多くは、分子クローン化
され、異種的に発現され、均一に精製された。これらの
精製因子の幾つかは、GM−CSF、M−CSF、G−
CSF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、I
L−7、TNF、インターフェロン類およびエリスロポ
イエチンを含め、インビボ造血および免疫系に対して調
節作用を示すことが見出されている。
【0003】当業界では依然として、免疫応答性および
造血細胞の発達を刺激または促進し、医薬用途に適し
た、天然供給源から精製されるかまたは別法により均一
形態で製造される追加的蛋白質が要望されている。
【0004】
【発明の要旨】一態様において、本発明は、実質的に他
のほ乳類蛋白質を含まない、IL−11と呼ばれる新規
ほ乳類サイトカインを提供する。この蛋白質は、組換え
遺伝子工学技術により製造され得る。また、それは、因
子を自然にまたは他の因子により誘導されて産生する細
胞供給源から精製され得る。また、IL−11は、化学
技術または上記で列挙した技術の組み合わせにより合成
され得る。
【0005】活性を示す成熟ほ乳類IL−11は、ドデ
シル硫酸ナトリウム・ポリアクリルアミド・ゲル電気泳
動においてIL−11cDNAトランスフェクションC
OS−1細胞から誘導された35Sメチオニン標識上清液
を分析することにより測定すると、約20kdの見かけ上
の分子量を特徴とする、約178アミノ酸蛋白質であ
る。成熟蛋白質について計算された分子量もまた約20
kdである。
【0006】この発明のIL−11蛋白質は様々な検定
で生物活性を表し、様々な造血および免疫機能の一般的
刺激因子としてのその役割を示している。この発明のI
L−11蛋白質は、IL−6依存性マウス・プラズマサ
イトーマ・セルライン、T1165において増殖活性を
示す。またIL−11は、予備検定においてB細胞の成
熟を直接的または間接的に刺激する能力を立証した。具
体的には、IL−11は、B細胞のT細胞依存的発達を
刺激すると考えられている。さらにそれは、血小板生成
細胞の増殖を刺激する検定でIL−3との相乗作用を示
すが、他の系列にも同様に作用し得る。
【0007】本発明の別の態様は、ほ乳類IL−11蛋
白質の発現をコードするDNA配列である。このDNA
配列は、上述されているほ乳類IL−11蛋白質の発現
をコードする単離されたDNA配列を含み得る。活性I
L−11をコードするDNA配列は、第1表と同一また
は実質的に同一のヌクレオチド配列またはそのフラグメ
ントを含むことを特徴とする。このDNA配列は、IL
−11暗号化配列に近接する5'および3'ほ乳類非暗号
化配列を含み得る。また、DNA配列は、アミノ末端シ
グナルペプチドをコードし得る。第1表は、これらの非
暗号化5'および3'近接配列並びに霊長動物セルライン
PU34から単離され、COS−1細胞で発現されたほ
乳類IL−11のシグナル配列を示している。
【0008】しかしながら、この発明のDNA配列は、
これらのフランキング(flanking)またはシグナル配列
の幾つかまたは全部を除外し得るものと理解される。さ
らに、生物活性ほ乳類IL−11蛋白質をコードする本
発明のDNA配列はまた、表1の単離されたDNA配列
と、適当な条件下でハイブリダイゼーションし得るか、
または遺伝子コードの縮重がなければ前記条件下でハイ
ブリダイゼーションし得るDNAを含み得る。すなわ
ち、この発明のDNA配列は、対立遺伝子的改変、種改
変または意図的な修飾に基づいた非暗号化配列、シグナ
ル配列または暗号化配列における修飾を包含または含有
し得る。
【0009】また、本発明は、ベクターDNAを含む組
換えDNA分子およびほ乳類IL−11をコードするD
NA配列を提供する。DNA分子は、選択された宿主細
胞においてIL−11の複製および発現を指図し得る調
節配列を機能し得る形で随伴したIL−11DNAを提
供する。また、本発明は、組換えIL−11蛋白質の発
現に使用される、前記DNA分子により形質転換された
宿主細胞を提供する。
【0010】本発明のDNA分子および形質転換細胞
は、別の態様、すなわち組換えほ乳類IL−11蛋白質
またはそのペプチドフラグメントの新規製造方法で使用
される。この方法において、蛋白質発現を制御し得る適
当な調節または発現制御配列を機能し得る形で随伴した
IL−11蛋白質またはそのフラグメントの発現をコー
ドするDNA配列(または上記組換えDNA分子)によ
り形質転換されたセルラインは、組換えDNAの発現を
可能にする適当な条件下で培養される。次いで、この発
現されたIL−11蛋白質を、適当な慣用的手段により
宿主細胞または培養培地から採取する。この主張されて
いる方法は、蛋白質発現用宿主細胞として若干の既知細
胞を使用し得る。現時点でIL−11の製造に好ましい
セルラインは、ほ乳類セルラインおよび細菌細胞であ
る。
【0011】この発明の別の態様は、ほ乳類IL−11
またはその1種もしくはそれ以上の生物活性ペプチドフ
ラグメントの治療有効量を含む医薬組成物を提供する。
これらの蛋白質またはペプチドフラグメントは、医薬的
に許容し得る賦形剤により製剤化され得る。これらの医
薬組成物は、造血細胞の数または活性レベルの欠乏を特
徴とする疾患状態の処置方法において、単独または他の
適当な薬剤と組み合わせた形で使用され得る。IL−1
1を含む医薬組成物はまた、免疫系の疾患、例えば免疫
不全症の処置に使用され得る。
【0012】IL−11含有組成物は、IL−3と相乗
作用した状態で血小板生成細胞の生長および分化を刺激
するのに使用され得る。追加的な使用領域には、血小板
形成、後天的な化学療法または骨髄関連血小板減少症が
ある。また、IL−11は、エフェクター分子として作
用することにより、他のサイトカインの機能を改善する
と思われる。IL−11組成物はまた、B細胞の産生ま
たは機能を直接的または間接的に刺激するのに有用であ
り得る。すなわち、IL−11組成物は、癌治療、感染
症の処置、創傷治癒の促進および免疫系全般の刺激に使
用され得る。IL−11はまた、ある種の抗原、特にワ
クチンに対する免疫応答を強化するのに使用され得る。
【0013】従って、この発明のさらに別の態様は、患
者に対し、適当な医薬用担体と共にIL−11またはそ
のペプチド・フラグメントの治療有効量を投与すること
による、これらおよび/または他の病的状態の処置方法
である。これらの治療方法は、IL−11またはそのペ
プチドフラグメントと同時またはそれに続いて少なくと
も1種の他のサイトカイン、ヘマトポイエチン、インタ
ーロイキン、成長因子または抗体の有効量を投与するこ
とを含み得る。
【0014】本発明のさらに別の態様は、ほ乳類IL−
11またはそのペプチドを指向した抗体である。従っ
て、この態様の一部として、本発明は、前記の抗体を分
泌し得るセルラインおよびそれらの製造方法を主張して
いる。
【0015】本発明の他の態様および利点は、さらに後
記の本発明の好ましい態様の詳細な記載中に記載されて
いる。
【0016】
【発明の詳細な記載】本発明は、他のほ乳類蛋白質およ
び蛋白質様物質の随伴を実質的に含まない形態での、生
物活性ほ乳類サイトカイン、IL−11を提供する。こ
の蛋白質は、治療適用に有用な純粋活性IL−11の大
量生産を可能にする組換え技術により製造され得る。別
法として、この蛋白質は、それを分泌または発現するほ
乳類セルラインから精製された均一蛋白質として入手さ
れ得る。さらにIL−11またはその活性フラグメント
は、化学的に合成され得る。
【0017】ほ乳類IL−11は、最初、長期培養中に
健康なマカークサルから得られた骨髄細胞を置き、それ
らをレトロウイルスU19−5で感染させることにより
生長させた霊長動物セルラインから単離された[ドクタ
ー・ロジャー・コーン、タフツ・メディカル・スクー
ル]。適当な抗生物質とのインキュベーション後、PU
34と命名された生きたセルラインを、その生長特性に
関して選択し、エシェリヒア・コリで発現させたIL−
1アルファにより誘導した。条件培地は、IL−6に対
する中和性抗体の存在下、IL−6依存性マウス・プラ
ズマサイトーマ細胞を用いた増殖検定において活性を示
した。例えばG.G.ウォング等、「サイエンス」、2
28:810−815(1985)、Y.C.ヤング等、「セ
ル」、47:3−10(1986)、およびA.E.ナーメン
等、「ネイチャー」、333:571−573(1988)に
既に記載されている発現クローニング方法に従い、IL
−1−刺激(24時間2μ/mlIL−1)PU34細胞
mRNAからcDNAライブラリーを製造した。
【0018】ほ乳類細胞、例えばCOS−1細胞におい
てcDNA挿入体の発現を可能にする発現ベクター中に
ライブラリーを構築した。200−500cDNAクロ
ーンのプールから製造された5μgのDNAでCOS−
1細胞をトランスフェクションすることにより、ライブ
ラリーのスクリーニングを行った。T1165検定で活
性に関して上清液を検定することにより、IL−11活
性を発現するcDNAクローンが同定された。
【0019】T1165活性を有する単離クローンは、
pPU34−TRA(pC1R6とも呼ばれる)と命名さ
れ、配列決定された。表1は、IL−11ポリペプチド
の霊長動物およびヒト・クローンの両方のcDNA配列
およびアミノ酸配列(1文字コード)を示す。霊長動物
配列における1−721位のヌクレオチド配列は、pC
1R6から得られた。残りのヌクレオチド721−11
02は、pC1R6とのハイブリダイゼーションにより
単離された第2霊長動物cDNAから配列決定された。
IL−11のプラズマサイトーマ刺激活性をコードする
ヒトcDNAは、pPU34−TRA(pC1R6)から
の挿入体との直接ハイブリダイゼーションにより、ヒト
肺セルラインMRC5[ジャコブス等、「ネイチャ
ー」、227:43(1970)により記載]から製造されたc
DNAライブラリーから単離された。ヒトIL−11ヌ
クレオチド配列から見出される差異は、表1において霊
長動物配列の上に示されており、アミノ酸配列に生じた
変化は霊長動物配列における適当なアミノ酸の下に示さ
れている。
【0020】霊長動物ヌクレオチド配列は1100塩基
対を含む。霊長動物配列は、72塩基対の5'非暗号化
配列を含む。また、表1の配列は、431塩基の3'非
暗号化配列を示す。同じくヒト・ヌクレオチド配列は、
597ヌクレオチドの単一の長い転写解読枠を含んでい
た。
【0021】霊長動物およびヒト配列は、両方とも、表
1の霊長動物ヌクレオチド73位から始まる非プロセシ
ング199アミノ酸ポリペプチドを予測させる単一の長
い転写解読枠を特徴とする。霊長動物およびヒト・クロ
ーンの両方から得られたIL−11の予測されたアミノ
酸配列における(1)位Metから(21)位Alaまでの最初
の21アミノ酸は、慣用的ほ乳類分泌リーダー配列
[D.ペールマン等、「ジャーナル・オブ・モレキュラ
ー・バイオロジー」、167:391−409(1983)]
と類似した疎水性アミノ酸の範囲を含む。成熟IL−1
1蛋白質のN−末端(表1の下線部)は、アミノ酸配列
PRO−GLY−PRO−PRO−PRO−GLYによ
り構成される。当該蛋白質は、まず199個のアミノ酸
から成る前駆体として合成され、これが21位と22位
のアミノ酸の間で蛋白質加水分解酵素的に開裂して、ア
ミノ酸22−23位の配列Pro−Glyから始まり、ヌク
レオチド671−672位のTGA終止コドンのアミノ
酸199位の後で終わる成熟178アミノ酸ポリペプチ
ドを与える。成熟蛋白質の計算された分子質量は、IL
−11cDNAトランスフェクションCOS−1細胞か
ら誘導された上清液のSDS−PAGE(還元条件)に
より現れた新規蛋白質帯の見かけ上の分子量と完全に対
応しており、両場合とも約20kdである。
【0022】
【表3】
【表4】
【表5】
【0023】IL−11cDNAのヌクレオチド配列
を、ジェンバンクに記録されたヌクレオチド配列と比較
した。他の蛋白質の公表されたDNA配列とのヌクレオ
チド配列の重要な類似性は、全く見出されなかった。I
L−11のリーダー配列およびガンマ・インターフェロ
ンおよびIL−6の前記配列間からは、軽い相同性しか
見出されなかった。IL−11の暗号化配列および他の
公表されたポリペプチド配列間からは、重要な相同性は
全く見出されなかった。
【0024】さらに、実施例11でさらに詳細に記載さ
れている通り、IL−11は、始原細胞のIL−3依存
性増殖の相乗的因子である。相乗作用の成果は、幹細胞
のG0期間の短縮である。少なくとも一つの培養システ
ムにおいて、IL−11は、IL−6と同様、血小板生
成細胞コロニー形成の促進においてIL−3と相乗的に
作用する[S.R.パウル等、「プロシーディングス・オ
ブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシー
ズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリ
カ」、87:7512−7516(1990)]。すなわち、
IL−11、並びにG−CSFおよびIL−6は、初期
および後期造血リネッジと相互作用すると思われる。し
かしながら、同じく上記の相乗的因子であるIL−6と
は対照的に、IL−11は、貯蔵された芽細胞の二次培
養物においてマクロファージ増殖のみを優先的に刺激す
る。すなわち、IL−11は、他の既知リンホカイン
類、因子および蛋白質とは異なると思われる。IL−1
1はまた、リンパ様リネッジ内でのある役割を演じる場
合に関与し、その結果、防御系の多重アームを刺激す
る。すなわち、IL−11は、実験および臨床目的の両
方に関する幹細胞の操作に有用であると予測される。
【0025】この配列によりコードされるほ乳類IL−
11の生物活性は、適当な発現制御配列の制御下、クロ
ーン化配列によりトランスフェクションされたほ乳類細
胞により産生された機能的ポリペプチドから検出され
た。表1に記録された通りプラスミドpPU34−TR
A(pC1R6)におけるクローン化された霊長動物配
列は、1989年11月14日付けでメリーランド、ロ
ックビル、パークローン・ドライブ12301のアメリ
カン・タイプ・カルチャー・コレクションにATCCナ
ンバー68172として寄託された。ヌクレオチドおよ
びアミノ酸レベルの両方で霊長動物配列からの修飾によ
り表1に示されたクローン化されたヒト配列は、199
0年3月30日付けでメリーランド、ロックビル、パー
クローン・ドライブ12301のアメリカン・タイプ・
カルチャー・コレクションにATCCナンバー6828
4として寄託された。
【0026】IL−11ポリペプチドは、下記の通り、
T1165検定において活性を示す。初めの試験におい
て、IL−11は、1:500程度の高い最終希釈率で
も、標準ネズミひ臓細胞プラーク形成検定において免疫
グロブリン分泌性B細胞の形成を顕著に向上させること
が見出された。このシステムでは、ひ臓の正常な細胞構
成成分から成る状況において特異的免疫原、4−ヒドロ
キシ−3−ニトロフェニル−アセチル修飾ウマ赤血球細
胞(NP−HRBC)に応答する培養中におけるB細胞
の発達が測定される。ひ臓細胞培養物からのT細胞のT
hy1補体による消耗の結果、応答が完全に廃棄され、N
P−応答性B細胞の増加は、霊長動物IL−11の存在
下でも、少なくとも部分的にT細胞の存在に左右される
ことが立証された。従って、B細胞ミトゲン、例えばリ
ポ多糖類はT細胞の非存在下でNP−特異的プラーク形
成細胞の形成を刺激するため、IL−11の活性は、直
接的B細胞有糸分裂促進作用に帰属し得ない。すなわ
ち、IL−11は、TおよびBリンパ球の増殖、分化お
よび活性化を調整し得る。
【0027】様々な造血培養システムにおけるIL−1
1の作用の分析により、血小板生成細胞の発達に対する
著しい作用が証明された。標的としてネズミ骨髄細胞を
用いた場合、IL−11は単独ではほとんど効果を示さ
ないが、IL−3により助けられると血小板生成細胞コ
ロニー形成を3倍促進した。IL−3およびIL−11
によるCFU−Meg形成は、陽性対照として使用される
形成不能性イヌ血清の場合を凌いでいた。
【0028】また、本発明により提供されるIL−11
ポリペプチドには、表1の組換えIL−11の配列と類
似しているが、自然にまたは意図して工学的に修飾が加
えられた配列によりコードされる因子が含まれる。すな
わち、本発明はまた、他の霊長動物蛋白質をコードし、
IL−11ポリペプチドの発現をコードするDNA配列
の随伴を欠く、これらの新規DNA配列を包含する。こ
れらのDNA配列には、上記で示したDNA配列および
そのフラグメントと同一または実質的に同一の配列、お
よび厳密なハイブリダイゼーション条件[T.マニアチス
等、「モレキュラー・クローニング(ア・ラボラトリー
・マニュアル)」、コールド・スプリング・ハーバー・
ラボラトリー(1982)387−389頁参照]下で表1の
DNA配列とハイブリダイゼーションする配列が含まれ
る。上記の厳密な一ハイブリダイゼーション条件の一例
は、65℃で4XSSC、次いで65℃で1時間0.1
XSSC中で洗浄を行うハイブリダイゼーションであ
る。別法として、厳密なハイブリダイゼーション条件の
一例は、42℃で50%ホルムアミド、4XSSCであ
る。
【0029】リラックスなハイブリダイゼーション条件
下でIL−11またはその活性フラグメントに対する配
列とハイブリダイズし、発現に際してIL−11の生物
学的特性をもつIL−11ペプチドをコード化するDN
A配列は、また新規なIL−11ポリペプチドをコード
化している。このような非ストリンジエントハイブリダ
イゼーション条件の例は、4XSSC50℃または42
℃で30−40%ホルムアミドを用いるハイブリダイゼ
ーションである。例えば、IL−11配列と顕著な相同
性をもつ領域を共有しIL−11の生物学的性質の1種
以上をもつ蛋白質をコード化するDNA配列は、たとえ
そのDNAが第1表のIL−11配列またはIL−11
活性をもつペプチドをコード化するそのフラグメントと
ストリンジエントにハイブリダイズしなくとも、明らか
にIL−11ポリペプチドをコード化している。
【0030】同様に、IL−11ポリペプチドをコード
化するが遺伝子コードの縮重によりコドン配列が異なる
DNA配列もまたこの発明に含まれる。IL−11蛋白
配列およびIL−11の生物活性を示すペプチドフラグ
メントをコード化するDNA配列におけるアレル性変異
体並びにその類似体または誘導体もまたこの発明に含ま
れる。点突然変異またはそれがコード化するポリペプチ
ドの生物活性、半減期もしくは産生のようなIL−11
蛋白質のある種の特性を増強する修飾導入により起こっ
たIL−11DNA配列のその他の変異体もこの発明に
含まれる。
【0031】組換え体技術における上記cDNA配列の
使用に加えて、この発明のIL−11ポリペプチドはま
た既知の慣用化学合成により製造することができる。合
成的手段によりこの発明のポリペプチドを構築する方法
は当業者に知られている。合成構築されたIL−11ポ
リペプチド配列または表1のアミノ酸残基連続配列を複
製しまたは部分的に複製するフラグメントもまたこの発
明の一部をなす。この合成構築IL−11ポリペプチド
配列は、天然IL−11ポリペプチドと1次、2次また
は3次構造的および立体的特性を共有するため、IL−
11の生物特性を共通して有し得る。すなわち、これら
は天然の精製IL−11ポリペプチドの生物学的に活性
なまたは免疫学的な代替物として治療および免疫学的方
法に使用し得る。
【0032】IL−11またはその活性フラグメントの
蛋白質、ペプチドまたはDNA配列における修飾は、公
知技術を用いて当業者が行なうことができる。IL−1
1配列において関心がもたれる修飾には、コード配列中
の1種以上の選択アミノ酸の置換、挿入または欠失が含
まれる。このような置換、挿入または欠失の変異誘発技
術は当業者に周知である。[例えば、米国特許第451
8584号参照。]
【0033】この明細書に記載するIL−11ポリペプ
チド配列のその他の特異的変異は、例えば1種以上のグ
リコシル化部位の挿入を含み得る。アスパラギン結合グ
リコシル化認識部位をアミノ酸の欠失、置換または付加
によりペプチド配列に、またはヌクレオチドのそれらに
よりDNA配列に、挿入し得る。このような変化は、O
−結合炭水化物の付加により修飾される分子の任意の部
位または分子中の他の部位になし得る。このような変化
したヌクレオチドまたはペプチドの発現により、その部
位がグリコシル化され得、薬理学的または生物学的性質
が変化または改善され得る変異体を産生する。
【0034】IL−11の活性全体またはその一部を保
持すると期待されるその他のIL−11配列の類似体お
よび誘導体も、この明細書の開示を与えられた当業者は
容易に作ることができる。このような修飾の1つは、I
L−11配列に存在するリジン残基へのポリエチレング
リコール(PEG)の結合、または1個以上のリジン残
基もしくはPEGもしくはPEG誘導体と反応する他の
アミノ酸残基を配列中に挿入してPEG部分の結合を可
能にすることである。このような修飾はこの発明に含ま
れると考えられる。
【0035】この発明はまたIL−11またはその活性
フラグメントの製造法を提供する。この発明の方法の1
つは、発現ベクターにIL−11ポリペプチドコード化
cDNAを導入してIL−11発現システムを作ること
を含む。選択した宿主細胞をベクターで形質転換し培養
する。それ故、この発明の方法は、既知の調節配列の制
御下にIL−11ポリペプチドまたはそのフラグメント
の発現をコード化するDNA配列で形質転換した適当な
細胞またはセルラインを培養することを含む。発現され
た因子を当業者に公知の適当な手段により培地(または
細胞内発現の場合細胞)から採取し、分離し、精製す
る。
【0036】この方法に適する細胞またはセルライン
は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)または
3T3細胞のような哺乳類細胞であり得る。適当な哺乳
類宿主細胞および形質転換法、培養法、増幅法、スクリ
ーニング法および生成物の産生、精製法の選択は当技術
において知られている。例えばゲチングおよびサムブル
ック、ネイチャー293巻620−625頁(1981
年)、またはカウフマン等、モレキュラー・アンド・セ
ルラー・バイオロジー5巻(7号)1750−1759頁(1985
年)またはハウリー等、米国特許第4419446号参
照。その他の適当な哺乳類セルラインはさるのCOS−
1セルラインおよびCV−1セルラインである。哺乳類
宿主細胞の別の例は、特に、形質転換セルラインを含め
た霊長類セルラインおよびげっ歯類セルラインを含む。
正常な2倍体細胞、一次組織のインビトロ培養で得られ
る細胞株、および一次外植体もまた適当である。候補細
胞は、選択遺伝子において遺伝子型として欠乏している
か、または優勢に作用する選択遺伝子を含み得る。その
他の適当な哺乳類細胞としては、ヒーラ(Hila)、マ
ウスL−929細胞、スイス系由来の3T3、Balb−c
もしくはNIHマウス、BHKまたはHakハムスターセ
ルラインを含むが、これらに限定されるものではない。
【0037】同様に宿主細胞として有用でこの発明に適
当な宿主細胞は細菌細胞である。例えば、エシエリキア
・コリの種々の株(例えばHB 101およびMC 10
61)はバイオテクノロジー分野で宿主細胞として知ら
れている。バチルス・サブチリス、シュードモナス、そ
の他の桿菌の種々の株等もこの方法で使用し得る。
【0038】当業者に公知の酵母細胞の種々の株がこの
発明のポリペプチドの発現用宿主細胞として入手でき
る。さらに、所望ならば、昆虫細胞もこの発明の宿主細
胞として使用できる。例えば、ミラー等、ジエネティッ
ク・エンジニアリング8巻277−298頁(プレナム
・プレス、1986年)およびその引用文献参照。
【0039】この発明はまた、新規IL−11ポリペプ
チドの発現に用いる組換え体DNA分子またはベクター
を提供する。これらのベクターは、この発明のIL−1
1ポリペプチドをコード化する新規単離DNA配列を含
有する。別法として、上記のような修飾配列をとり込ん
だベクターもこの発明の態様であり、IL−11ポリペ
プチドの生産に有用である。この方法で用いるベクター
はまた、この発明の配列をコード化するDNAと機能可
能に結合し宿主細胞中で複製および発現を指示し得る選
択した調節配列を含み得る。
【0040】下記の実施例で用いたベクターはpXM
[Y.C.ヤング等、セル47巻3−10頁(1986年)]で
ある。この明細書に記載する哺乳類細胞発現ベクター
は、当業者に周知の技術により合成することができる。
ベクターの成分、例えばレプリコン、選択遺伝子、エン
ハンサー、プロモーター等は、公知の方法により天然源
から得られまたは合成できる。カウフマン等、ジャーナ
ル・オブ・モレキュラー・バイオロジー159巻511
−521頁(1982年)およびカウフマン、プロシーディン
グス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシズ・ユーエスエイ82巻689−693頁(1985
年)。別法として、ベクターDNAは、ラレパピローマ
ウイルスゲノム[ラッキー等、セル36巻391−40
1頁(1984年)]の全部または一部を含み得、また安定な
エピソーム要素としてC127マウス細胞のようなセル
ライン中にとり込むことができる。適当な宿主細胞に対
するこれらのベクターによる形質転換はIL−11ポリ
ペプチドの発現をもたらす。
【0041】数々の型が哺乳類、昆虫、酵母、真菌およ
び細菌発現について当技術で知られるその他の適当な発
現ベクターもまたこの目的に用いることができる。細胞
源から均質になるまで精製され、または組換え体もしく
は合成で製造されたIL−11は免疫不全または障害の
処置のための医薬製剤または処方に使用することができ
る。IL−11はまた、造血始原細胞または幹細胞の不
全または関連障害の処置に使用することができる。IL
−11組成物は、がんおよびその他の疾患、放射線もし
くは薬剤への露出から生ずる病理学的状態であって例え
ば白血病、細菌もしくはウイルス感染、貧血、B細胞も
しくはT細胞欠乏(骨髄移植後の免疫細胞または造血細
胞欠乏を含む)の処置に使用することができる。IL−
11はまた、種々のワクチンに対する免疫応答を増強
し、長期持続性で効果が大きな免疫を作り出すために用
いることができる。前述のように、IL−11組成物は
B細胞および巨核球の分化刺激に使用することができ
る。IL−11ポリペプチド組成物によるこのような疾
患状態の治療処置は、現在入手できる薬剤による処置で
起る望ましくない副作用を回避するものである。
【0042】この発明のポリペプチドは、単独で、また
は他のサイトカイン類、ヘマトポイエチン類、インター
ロイキン類、成長因子類または抗体と組合わせて、上記
症状の処置に用いることができる。
【0043】この発明はまた、上述の症状の処置用治療
法および組成物を提供する。このような組成物は、この
発明のIL−11ポリペプチドの治療的有効量を、医薬
として許容される担体と混合して含有する。この組成物
は非経口的に全身投与し得る。別法として、組成物は静
脈内投与できる。所望ならば、組成物は皮下または局
所、例えば傷害部位に適用できる。全身投与の場合、こ
の発明の治療用組成物は発熱性物質不含有の非経口投与
上許容される水溶液である。このような医薬として許容
されpH、等張性、安定性等に必要な注意を払った蛋白
質溶液の製造法は当技術の範囲内にある。
【0044】上述の状態の処置方法に用いる用量、用法
は、薬剤の作用を修飾する種々の要因、例えば患者の症
状、体重、性別および食事、感染の重度、投与時期およ
びその他の臨床的因子を考慮して担当医師により定めら
れる。一般に、1日用量はポリペプチド1−1000mg
またはポリペプチド50−5000単位(1単位はT1
165アッセイで最高の50%の刺激をもたらすポリペ
プチド濃度)(体重1kg当り)の範囲内である。
【0045】この発明の治療法および組成物はまた、他
のひと因子との同時投与を含み得る。この用途のための
サイトカインまたはヘマトポイエチンの例としては、公
知の因子であるIL−1〜IL−9、GM−CSF、M
−CSF、MIF、Meg−CSF、インターフェロン
類、TNFおよびエリスロポイエチンが含まれる。IL
−11療法に関与するに特に望ましい候補品は、IL−
3およびIL−6を含み得る。B細胞成長因子、B細胞
分化因子または好酸球分化因子類のような成長因子もま
たIL−11との同時投与に有用であることがわかっ
た。上記の用量は治療用組成物の追加的成分と相殺する
ように調整することができる。処置される患者の経過は
慣用手段により監視することができる。
【0046】これらの新規ポリペプチドの他の用途は、
インビトロまたはインビボ診断および治療法用の標準的
方法による抗体の発生である。このような抗体には、公
知方法で製造したモノクローナルおよびポリクローナル
抗体、並びにキメラ抗体または「組換え体」抗体が含まれ
る。またこの発明により、選択した哺乳類に抗原として
IL−11またはそのフラグメントを与え、その後その
動物細胞を公知技術によりある種のがん細胞と融合させ
て不死化細胞を作ることにより生ずるセルラインが提供
される。このようなセルラインの生成およびこの発明の
哺乳類のIL−11ポリペプチドの全部または一部に対
する抗体の生成に用いる方法もまたこの発明に包含され
る。
【0047】この発明の抗体は、例えば抗体を検出可能
な標識または標識系と結合させることにより、インビボ
およびインビトロ診断法に用いることができる。別法と
して、これらの抗体は、例えば当業者に公知のある種の
毒性または治療用化合物またはその一部分と結合させる
ことにより、インビボおよびインビトロの治療目的に用
いることができる。
【0048】以下に示す実施例は、この発明のクローニ
ング、哺乳類IL−11の発現および製造、並びに他の
方法および製品を例示的に記述するものである。これら
の実施例は説明を目的とするもので、この発明の範囲を
限定するものではない。
【0049】実施例1−mRNAの単離およびcDNAラ
イブラリーの構築 霊長類セルライン、pU34を成長させると、実施例7
のT1165検定においてIL−6に対する中和抗体の
存在下、有意な活性を生じるのが見出された。PU−3
4間質セルラインは、両方向性欠損形質転換レトロウィ
ルスベクター(a defective amphotropic transforming
retroviral vector)で不死化することにより、長期間
の霊長類骨髄培養より得られた。U19レトロウィルス
プラスミドは以前に報告されたように構築し[P.S.ジ
ャットら、ジャーナル・オブ・ビロロジー59巻746
−750頁(1986年)]、SV40ラージT抗原配列およ
びG418−耐性をコードしモロネイ・ネズミ白血病ウ
ィルス末端反復配列から離れて発現するネオーホスホト
ランスフェラーゼ配列を含有する。両方向性産生クロー
ンは、パッケージング・セルラインψAM[R.コーン
ら、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステー
ツ・オブ・アメリカ81巻6349−6353頁(1984年)]をψ
2U19−5[P.S.ジャット、上記で引用]からのエコ
トロピック・ウィルスの収穫物で感染させ、続いて0.
75mg/mlのG418中で選別することにより産生し
た。
【0050】1個のクローンψAMU19−BLは、N
IH/3T3細胞で検定した場合、5×103 G41
8−耐性CFU/mlの力価の組換えSV40ウィルスを
産生する。長期骨髄培養物(LTMC)は常法で完成さ
れ、10%ウシ胎仔血清、10%ウマ血清、100単位
/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシ
ン(シグマ・ケミカル・カンパニー、セント・ルイス・
ミズーリー州)完全長期培養培地を補充したイスコフ改
変ダルベッコ培地(IMOM)中で維持した。
【0051】LTMC付着層は、完成後7および10日
にψAMU19−BLウィルス貯蔵物2mlで、8μg/m
lポリブレーン(アルドリッヒ・ケミカル・カンパニー
・インコーポレーティッド、ミルウォーキー、ウィスコ
ンシン州)の存在下33℃で2.5時間感染させた。感染
後最初の3日間は、培養物を0.5mg/mlG418中で
選別した。感染後14日にG418耐性コロニーをと
り、マルチウェルプレート(コーニング・グラスウェ
ア、コーニング、ニューヨーク)に広げた。
【0052】PU−34と称する1個のセルラインのな
らし培地を長期培養物中の始原細胞を保持する能力に基
づいて広範に分析した。このセルラインは多分化能ヒト
および霊長類始原細胞を、培養中3週間まで維持する能
力があることを示した。IL−6、IL−7、GM−C
SF、M−CSF、G−CSFおよびLIF/HILD
Aを含む既知の成長因子活性に加え、IL−1−の刺激
したPU−34ならし培地は、T1165ネズミ・プラ
スマ細胞腫セルラインの増殖を刺激する能力があること
が判明したが、これは通常IL−6に反応する[R.P.
ノールダンら、上記で引用]のだが、ヒトIL−6に対
する中和抗血清の存在下でさえも反応する。この生物検
定は、PU−34から得られたcDNAライブラリーの
発現クローニングの間に用いられた。生物検定について
の詳細は以下の実施例7で記載する。
【0053】PU−34細胞のcDNAライブラリーは
以下のように調製した。PU−34細胞をIL1−α
で、2単位/mlの濃度で24時間刺激した。ポリアデニ
ル化RNA(ポリA+RNA)を常法によりこれらの細胞
から調製した。全RNAをチルグウィンら、バイオケミ
ストリー18巻5294−5299頁(1979年)の方法に準じて、
刺激したpU34細胞から抽出した。mRNAは、オリゴ
(dT)−セルロース・クロマトグラフィーにより調製し
た[H.アビブら、プロシーディング・オブ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテ
ッド・ステーツ・オブ・アメリカ69巻1408−1412頁(1
972年)]。
【0054】mRNAを5μg用いて、ウォングら、(上
記で引用)により報告されたように、DNAポリメラー
ゼIで、および2本目の鎖の反応においてはRNAアー
ゼHで[T.マニアティスら、上記で引用]、二本鎖cDN
Aを合成した。Cos−1細胞発現ベクターpXM[Y.C.
ヤングら、セル47巻3−10頁(1986年)]を独特なXh
o I部位で直線化し、同等モル量のセミ−Xho I適合c
DNAに連結した。連結反応を用いてエシエリキア・コ
リ形質転換能細胞(HB101株)に形質転換し[Y.C.
ヤングら、上記で引用]、約500000個のアンピシ
リン耐性コロニーのライブラリーを得た。
【0055】実施例2−DNAの調製およびCos−1細
胞のトランスフェクション G.G.ウォングら(上記で引用)により以前に報告され
た発現クローニング系を用いて、以下のようなIL−1
1活性をコード化するcDNAを単離した。細菌性コロ
ニーをニトロセルロース膜上に写した。各膜からコロニ
ーをL−ブロース中にかきとり、プラスミドDNAを前
述の方法[J.A.メイヤーズら、ジャーナル・オブ・バ
クテリオルジー127巻1529−1536頁(1976年)]により
単離した。各々の最初のDNA試料を200−500コ
ロニーのプールから調製した。
【0056】各プラスミドDNAの5μgを用いて、0.
1mMクロロキンを添加したジエチルアミノエチル−デ
キストラン(DEAE)試験計画によりCos−1細胞を
トランスフェクトした[L.M.ソンパイラックら、プロ
シーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステーツ・オブ
・アメリカ78巻7575−7578頁(1981年)およびH.ルー
スマンら、タクル.アシッズ・レス・11巻1295−1308
頁(1983年);Y.C.ヤングら、上記で引用]。トランス
フェクトしたCos−1細胞の培養上清を、トランスフェ
クション後72時間に収穫し、T1165刺激剤活性を
検定した(実施例7参照)。
【0057】ふるい分けした317回のプールのうち、
検出可能な量のIL−6(抗IL−6抗体で中和するこ
とにより測定)を含有し、T1165検定において抗I
L−6抗体の存在下に活性が残存する2個の陽性プール
からのプラスミドDNAを、Cos−1細胞中に再びトラ
ンスフェクトし、トランスフェクトした上清をT116
5検定において活性を再びふるい分けした。このような
活性を有する1個のプールを選別し、含有するクローン
の数がより少なくなるようにさらに分割した。この群か
ら、検定においてプールを全て集めたものよりも高い活
性を示すプールを選別した。このプールから個々のクロ
ーンを取り出した。これらのDNAを調製し、トランス
フェクトし、トランスフェクトした上清をT1165検
定において活性を試験した。2個の陽性のクローンを固
定した。1個はIL−6活性を発現し、もう1個は抗I
L−6抗体により中和されない活性を発現した。この後
者のプールをさらに分割し、択一的にpC1R6かまた
はpPU34−TRAと称する、新規なT1165増殖
活性をコードする単一の陽性プラスミドが得られるまで
トランスフェクションを繰り返した。このクローンを実
施例7の検定において再び試験した。
【0058】pC1R6−トランスフェクトしたCos−
1細胞のならし培地の活性をもまた、その他のサイトカ
イン、例えばネズミおよびヒトIL−6、並びにネズミ
GM−CSFと比較した。ならし培地はT1165細胞
による測定可能な3H−チミジンの取り込みを、最終的
に1:1000まで希釈した時でさえ刺激した。至適濃
度では、新規なサイトカインは基底値の100倍以上の
取り込みを助けた。
【0059】このcDNAの挿入物を、ジデオキシ鎖終
結法により、超螺旋鋳型上で合成オリゴヌクレオチドプ
ライマーを用いて配列決定した。[F.サンガーら、プロ
シーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・
サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステーツ・オブ
・アメリカ74巻5463−5467頁(1977年)]。表1に示すp
C1R6のcDNAのヌクレオチド配列は予想される1
99アミノ酸ポリペプチドをコードする597ヌクレオ
チドの単一の長い転写解読枠を含有する。17−20個
の疎水性アミノ酸の広がりが推定上の開始コドンに直ぐ
近接して存在し、これは通常のタンパク分泌性先導配列
に類似している。
【0060】初期cDNAクローンであるpC1R6は不
完全であることが判明したが、さらにcDNAを分析
し、この転写物がサイトカイン遺伝子発現の重要な制御
要素であると考えられるRNA不安定配列、ATTTA
の多重コピーを有する約420塩基対の3'非コード化
配列を含有することが明らかになった[G.シャウら、セ
ル46巻659−667頁(1986年)]。
【0061】実施例3−タンパク分析 pPU34−TRAのcDNAによりコードされるポリペ
プチドをパルス標識化実験を用いて同定した。クロロキ
ンで誘導後48時間に、IL−11クローンの組み換え
DNAでトランスフェクトしたCos−1細胞の培養上清
を除去し、細胞を1.0mlのDMEM中の0.5mCi[35
S]メチオニンで、37℃で4時間パルス標識化した。
放射線標識した上清の試料10μlを回収し、ラエムリ
緩衝液系で12%ゲルの15%SDS−PAGE[U.
K.ラエムリ、ネイチャー227巻680−685頁(19
70年)]に供した。電気泳動後、ゲルを蛍光光度法増強溶
液(エンハンス;ニュー・インブランド・ニュークレ
ア、ボストン、マサチューセッツ州)中に浸し、乾燥
し、X線フィルムに爆露した。
【0062】35S−メチオニン標識化pC1R16−ト
ランスフェクトしたCos−1細胞のならし培地のSDS
−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
分析により、約180個のアミノ酸分泌タンパクに予想
される分子量に合致する偽トランスフェクトした対照に
は存在しない、主に20キロダルトンの種が存在するこ
とが示された。
【0063】この大きさの予測および発現タンパクの異
質性の欠如は、アスパラギン結合炭水化物の添加するた
めのコンセンサス配列(Asn−X−Thr/Ser)R.J.ウ
ィンツラー、「ホルモナル・プロテインズ・アンド・ペ
プタイスセ」リー,C.H.編(アカデミック・プレス・ニ
ューヨーク)1頁〜(1973年)]が存在しないことに一致す
る。成熟タンパクの予期されるアミノ酸配列にはシステ
イン残基は含まれず、これはその他の任意のサイトカイ
ン遺伝子では見られない様相である。
【0064】実施例4−IL−11を発現するヒト・セ
ルライン 2個のヒト・セルラインを、少なくとも1種のIL−1
1の源泉として同定した。具体的には、ヒト肺線維芽細
胞セルライン、MRC−5[アメリカン・タイプ・カル
チャー・コレクションより受け入れ番号ATCC CC
L 171で入手可能]を、1単位/mlの組み換えヒト
IL−1−アルファ(ジェネティックス・インスティテ
ュート、インコーポレーテッド)および10-7Mフォル
ボール12−13ジブチレート(シグマ)で誘導して、
T1165検定で試験した。誘導したならし培地が、I
L−6の飽和量より大きなカウント/分を呈する、すな
わちPU34の誘導ならし培地により呈するのと類似の
活性が観察された。IL−11が存在すれば低IL−6
信号を増強するであろうということは注目されている。
さらに、以下に詳細に記載するように、このセルライン
のノーザン・ブロットにより、IL−11のメッセージ
が存在することが示される。
【0065】さらに、ヒト栄養芽層セルライン、TPA
30−1(ATCCより、受け入れ番号CRL1583
で入手可能)もまた、ノーザン・ブロットにおいてIL
−11メッセージの存在を誘導しないことが示される。
その他のIL−11のヒト源泉もまた、本発明の教示に
より入手でき、容易に同定できる。
【0066】実施例5−RNA分析 A.PU34 細菌性IL−1アルファ誘導PU34細胞の全細胞性R
NA5μgを、2.2Mホルムアルデヒド含有1.2%ア
ガロースゲルを通して電気泳動した[H.レーラッハら、
バイオケミストリー16巻4743頁(1977年)]。ホルムア
ルデヒド−変性RNAを報告されたとおりナイロン膜
(ゼータバインド;クノー、メリーデン、コネチカット
州)に移し[E.M.サザーン、ジャーナル・オブ・モレ
キュラー・バイオロジー98巻503−514頁(1975
年)]、32P標識化cDNAプローブでプローブした。
【0067】cDNAプローブはベクターからcDNA挿
入物をXhoIで制限酵素で開裂することにより作り、プ
ライマーとして無作為なオリゴヌクレオチドを用いて、
DNAポリメラーゼIの大きな断片の存在下32P−dCT
Pで挿入物を標識化した[A.P.フェイルベルグら、ア
ナリティカル・バイオケミストリー132巻6−13頁
(1983年)]。ナイロン膜を65℃で4時間予めハイブリ
ダイズし、4×SSC、0.5%SDS 5×デンハー
ト溶液および100μg/ml変性サケ精子DNAからな
るハイブリダイゼーション溶液中65℃で16時間、32
P−dCTP標識化cDNAプローブでハイブリダイズし
た。その他の用いたプローブには、ヒト(rh)IL−1
α、rhIL−2、rhIL−3、rhIL−4、rhIL−
5、rhIL−6、rhIL−7、rhIL−9、rhGM−C
SF、rhM−CSF、LIF/HILDAおよび霊長類
IL−11がある。
【0068】ハイブリダイゼーションの後、膜を2×S
SC/0.1%SDSで65℃で30分間、次に0.2×
SSC/0.1%SDSで65℃で30分間の2回洗浄
した。ついで膜を乾燥し、−70℃でカルシウム・タン
グステート・インテンシファイング・スクリーンの存在
下X線フィルムに適用した。
【0069】このノーザン・ブロット分析により、PU
34 mRNAが約2.5キロベースおよび約1.5キロ
ベースの大きさのメッセージを有し、pC1R6プロー
ブでハイブリダイズされる2重のIL−11転写物を含
有することが示された。上記表IのcDNA配列の大きさ
は、より小さなメッセージとよく相関する。この違い
は、さらにcDNAクローンを単離および分析すること
により示されるように、別々にスプライシングして大き
な転写物中さらに3'非コード化配列を生じる結果であ
る。PU34細胞による2個の転写物の存在は、IL−
1α誘導がない場合は明白な転写物がないので、IL−
1α制御されるようである。
【0070】レクチン刺激ヒト末梢血リンパ球からまた
はヒト胎盤からのヒトTセルラインC10−MJ2[レ
アリーら、ブラッド69巻953頁(1987年)]、C5−
MJ2[アリアら、サイエンス223巻1086頁(1984年)]
およびMo[ゴルデら、プロシーディング・オブ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナ
イテッド・ステーツ・オブ・アメリカ77巻593頁(1
980年)]からのmRNA調製物中、RNAブロット分析に
より同定される転写物はない。従って、唯一同定される
IL−11の源泉は、間充組織由来の付着細胞である。
【0071】B.MRC−5 ヒト胎児肺線維芽細胞セルライン(MRC−5)は、ヤ
コブスら、ネイチャー227巻43頁(1970年)に報告さ
れるように、50ng/mlの酢酸フォルバール・ミリステ
ート(PMA)および1単位/mlのIL−1αで刺激
後、両方の転写物を発現することが見出された。上記で
PU34RNAに関して記載されるように、2種の転写
物は、このセルラインにおいて、約2.5キロベースお
よび約1.5キロベースの同一の大きさのメッセージで
同定された。MRC−5セルラインから単離されるヒト
cDNA配列の分析により、霊長類およびヒトのコード
化部域は、ヌクレオチドレベルで約95%の同一性を共
有することが示された。
【0072】C.TPA30−1 ヒトSV40−形質転換栄養芽層セルライン、TPA3
0−1に関して、同じプローブを用い、同じ方法を実施
した場合、大きな約2.3キロベースのIL−11メッ
セージのみが同定された。
【0073】実施例6−DNA配列分析 pPU34−TRAのcDNAクローンのヌクレオチド配
列を、報告されるように[G.G.ウォングら、およびY.
C.ヤングら、上記で引用]、Bal31ヌクレアーゼ消化
による重複断片の順序をもった組の生成およびM13ベ
クターへのサブクローニングにより決定した[M.ポンク
ツら、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテッド・ステ
ーツ・オブ・アメリカ79巻4298−4302頁(1982年);お
よびJ.メッシングら、ジーン、19巻269−276
頁(1982年)]。1本鎖DNAを調製し、ヌクレオチド配
列をジデオキシヌクレオチド鎖終結法により決定した
[F.サンガーら、プロシーディング・オブ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ジ・ユナイテ
ッド・ステーツ・オブ・アメリカ、74巻5463−5467頁
(1977年)]。このヌクレオチド配列は上記表1に示す。
【0074】実施例7−検定における生物学的活性 A.T1165増殖検定 T1165 IL−6依存性ネズミプラスマ細胞腫細胞
[R.P.ノルダンら、サイエンス233巻566頁(1986
年);ドクター・ノルダン、ナショナル・インスティテュ
ーツ・オブ・ヘルスより入手]は10%加熱不活化ウシ
胎仔血清、2mMグルタミン、100単位/mlペニシリ
ン、100μg/mlストレプトマイシン(全てギブコ、
グランド・アイランド、ニューユーク)5×10-5Mベ
ーター・メルカプトエタノール(シグマ・ケミカル・カ
ンパニー、セント・ルイス、ミズーリー州)を補充し、
およびCHO細胞で産生させた10−20単位/mlの組
み換えヒトIL−6(ジェネティックス・インスティテ
ュート・インコーポレーテッド)を補充したRPMI中
で通常どおり成長させる。2−4日経過後、細胞を培養
から取り出し、洗浄して残留IL−6を除去し、7.5
×104−1×105セル/mlの濃度で再懸濁する。
【0075】検定試料(PU34ならし培地かまたはp
C1R6−トランスフェクトしたCos細胞ならし培地)
を96ウェルマイクロタイタープレート上、IL−6不
含培養培地100μlで2検体ずつ連続希釈する。次に
上記細胞懸濁液を各ウェルに加え、プレートを37℃で
2−3日間恒温培養する;3H−チミジンの0.5μCi
[デュポント、ウィルミントン、デルウェア州]を検定の
最後の6時間、各ウェルに加える。細胞をGFC型C濾
紙(LKB)上に収穫し、水およびエタノールで洗浄
し、乾燥する。濾紙を次にシンチレーション用液中に浸
し、LKB平面シンチレーションカウンターで計数す
る。3H−チミジンの取り込みにより増殖を測定する。
【0076】PU34細胞から誘導したならし培地は、
IL−6の飽和量よりも多いT1165細胞の増殖を引
き起こし、これは別の因子の存在を示唆している。ヒト
IL−6に対する抗体の存在下で検定した場合、低いが
有意な活性がならし培地に残存する。非常に低量のIL
−6を含有するIL−1誘導PU34のならし培地の分
画化試料をもまたヒトIL−6に対する抗体の存在下お
よび不在下で検定し、その結果は、程度は低いが単独で
増殖でき、低量のIL−6とで相乗する能力がある因子
の存在が示唆された。
【0077】PU34ライブラリーのトランスフェクシ
ョンからのCos細胞上清もまた、単独およびヒトIL−
6に対する抗体+至適量内のネズミIL−6のカクテル
の存在下、活性を検定した。抗体はPU34細胞により
産生される霊長類IL−6を中和できるが、ネズミIL
−6を中和することができない。従って相乗因子はライ
ブラリーに存在するPU34 IL−6からの干渉をう
けることなくふるい分けできる。表1の成熟IL−11
タンパクは、この検定において、100希釈単位/mlの
最大活性の半分であるという特徴がある。
【0078】B.Bセルプラーク形成検定 Bセルプラーク形成検定を、R.M.オハラら、ジャーナ
ル・オブ・イムノロジー141巻2935−2842頁(1988年)
に報告されている方法に準じてIL−10発現Cos細胞
に関して実施した。ネズミプラーク形成検定は、本来の
C57B1/6マウスからの7.5×106脾臓細胞を3
×106 4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニル−アセ
チル改変ウマ赤血球(NP−HRBC)と共に0.75m
lの5%ウシ胎仔血清を補充したミッシェル−ダットン
培地[R.I.ミッシェルら、ジャーナル・オブ・エクス
ペリメンタル・メディシン126巻423−442頁(1
967年)]中、試験試料(IL−11含有Cos細胞ならし
培地)と共に、または伴なわずに5日間恒温培養するこ
とにより実施した。NP−共役ウマ赤血球(H−RB
C)またはヒツジ赤血球(S−RBC)を、以前に報告
されたように[P.B.ハウスマンら、ジャーナル・オブ
・イムノロジー134巻1388−1396頁(1985年)]、1ml
のパックしたH−RBCまたはS−RBC(コロラド・
セリューム・カンパニー、デンバー、コロラド州)と共
に、ジメチルホルムアミド(シグマ・ケミカル・カンパ
ニー、セントルイス、ミズーリー州)中、10mgのNP
−サクシンイミド(ケンブリッジ・バイオケミカル、イ
ンコーポレーティッド、ケンブリッジ、英国)を反応さ
せることにより調製した。
【0079】これらの培養物に、5%ウシ胎仔血清を含
有するが試験試料(ならし培地)を含まない補充用培地
を、毎日さらに0.1ml供給した。NP−反応性Bセル
は、ドレッサーら、「ハンドブック・イン・エクスペリ
メンタル・イムノロジー」(D.W.ワイヤー、ブラックウ
ェル、オックスフォード)、271頁(1973年)に報告さ
れるようにNP−共役−ヒツジRBCプラーク検定を用
いて培養期間の最後に同定し、IL−11含有ならし培
地で支持される培養物から得られるプラークの数を培地
のみを補充した培養物から得られるプラークの数と比較
することにより、反応率を算出した。典型的な実験で
は、外来性因子の欠如した基底反応では、プレートした
7.5×106セルあたり、6000NP−特異性プラー
ク形成細胞を産生した。
【0080】このような検定の結果を図1に示す。対照
反応のパーセントは、NP−HRBCで刺激し、pC1
R6−トランスフェクトしたCos−1細胞ならし培地の
規定の希釈により支持される本来の脾細胞の5日間の培
養中のNP−反応性Bセルの成長の増強を、培地のみを
補充した対照培養物と比較する。Cos産生哺乳動物IL
−11は、この検定においてプラーク形成単位/培養物
が2 1/2−3倍に増強され、このことは、IL−1
1がBセル刺激および分化に直接的に働くか、またはT
セル刺激に間接的に働き、Bセルの反応に影響を及ぼす
その他のサイトカインを分泌する。
【0081】C.ネズミ・フィブリン・クロット検定 Cos細胞産生哺乳動物IL−11もまた、巨核球コロニ
ー形成検定においてS.クリアら、エクスプ.ヘマトー
ル.15巻896−901頁(1987年)に報告されるよう
に実質的に行い、および2%仔ウシ血清を添加して改変
した方法で、活性を試験した。簡単に記載すると、ネズ
ミコロニー形成単位巨核球(CFU−Meg)検定は、
2.5×105ネズミ骨髄細胞を20%ウシ胎仔血清を補
充したIMDMの0.4ml中、6ウェル皿にプレートし
て実施した。クロット形成は0.25mgフィブリノーゲ
ンおよび0.25単位のスロンビン(シグマ・ケミカル
・カンパニー、セントルイス、モンタナ州)を37℃で
添加することにより開始した。種々に希釈した試験試料
をフィブリンクロットに加え、続いて培養物を37℃で
6日間、恒温培養した。クロットをS.クリヤら、上記
で引用、およびA.ナケフら、プロシーディング・オブ
・ザ・ソサイエティー、フォー・エクスペリメンタル・
バイオロジー・アンド・メディスン151巻587−5
90頁(1976年)に報告されるように、2.5%グルター
ルアルデヒドで固定し、0.5mg/mlのアチセルチオコ
リン・ヨーダイドで染色した。陽性のコロニー(巨核球
のみを含有)は直接検鏡して数えた。コロニーの数は2
検体ずつ評価した。
【0082】図2に結果を示す。コロニー数は、(1)イ
ヌ無形成貧血血清の1:10希釈;(2)150単位/ml
のネズミIL−3;(3)刺激剤なし;および(4)1:1
0もしくは(5)1:50希釈のpC1R6−トランスフ
ェクトしたCos−1細胞ならし培地のみ、または(6)
1:10もしくは(7)1:50希釈の150単位/mlの
ネズミIL−3を補充したpC1R6−トランスフェク
トしたCos−1細胞ならし培地により支持されるマウス
骨髄細胞の6日間培養物中の巨核球コロニー(アセチル
コリンエステラーゼが陽性細胞)の全数を表す。
【0083】IL−11をこの検定で単独で試験した場
合、反応はほとんど検出されなかった。しかしながら、
この検定ではIL−11を組み換えネズミIL−3の存
在下試験した場合、検定結果は、IL−11およびIL
−3の組み合わせによりこの検定において巨核球細胞の
産生および成熟を有意に刺激することを示した。この検
定は、哺乳動物IL−11が巨核球の成長の刺激におい
て、IL−3と相乗効果を有することが示された。
【0084】実施例8−ヒトIL−11の獲得 ヒトIL−11のクローン化配列を得るために、上記実
施例5においてヒトIL−11 mRNAとハイブリダ
イズしたPU34 IL−11 cDNAを用いて、前
述のヒト肺線維芽細胞セルライン、MRC−5から調製
したcDNAライブラリーをふるい分けした。このライ
ブラリーからの組み換え体をプレートし、2連のニトロ
セルロース・レプリカーゼをプレートから作る。これら
のレプリカーゼは機会的プライミング標識化法[A.P.
フェインベルグ、上記で引用]を用いて32P−dCTPで
標識化した哺乳動物のIL−11 cDNAと共に、標
準的なハイブリダイゼーション溶液(4×SSC)中6
5℃で一晩ハイブリダイズした。次に膜を0.2×SS
Cで、同温で、放射活性の基底値が特異的なハイブリダ
イジング配列の検出を可能にする値まで低下するまで洗
浄した。重複膜上で哺乳動物のIL−11プローブにハ
イブリダイズするのが見出されたコロニーを取り、プラ
スミドDNAの調製に用いた。
【0085】ヒトIL−11の全配列は、PU34セル
ラインから哺乳動物IL−11を単離するための前述の
方法と同様の方法に準じて決定した。ヒト配列もまた表
1に示す。ヒト配列ヌクレオチドが霊長類の配列と異な
る場合は、表1でヒトヌクレオチドを霊長類のヌクレオ
チド配列の上に記す。
【0086】別法として、オリゴヌクレオチドを、サブ
クローニングの目的で適当な制限部位を有する表1の配
列、およびIL−11のヒトDNA配列を得るために用
いられるポリメラーゼ連鎖反応から構築してもよい。例
えば以下のオリゴヌクレオチドが合成される:
【表6】 5'オリゴヌクレオチド:5'ATGGATCCACATGAACT GTGTTTGCCG3' 3'オリゴヌクレオチド:5'TCAAGCTTTCACAGCCG AGTCTTCAGC3'
【0087】次にこれらのオリゴヌクレオチドをMRC
−5またはTPA30−1のcDNAライブラリーにお
けるポリメラーゼ連鎖反応に用い、そこからヒトIL−
11のDNA配列を得る。PCR法は、現在当業界で標
準的な方法に準じて実施する。得られたPCR産生物を
次に適当に消化したpXM、またはその他の発現ベクタ
ーにサブクローン化する。上記のオリゴヌクレオチドに
関しては、pXMベクターサブクローニングするために
BamHIおよびHindIIIで消化する。
【0088】ヒトIL−11の配列を得るための第3の
方法としては、プローブとして表1の配列を用いてヒト
ゲノムライブラリーをふるい分けする方法がある。
【0089】実施例9−組みかえIL−11の発現 ヒト因子を含む組み換え哺乳動物IL−11を産生する
ために、それをコード化するcDNAを適当な発現ベク
ターに移す。この発現ベクターは標準的な分子生物学的
技術による哺乳動物、昆虫、酵母、菌類および細菌類の
発現用に非常に多くの型が当業界で公知である。例えば
Y.C.ヤングら、セル47巻3−10頁(1986年)を参照
されたい。
【0090】哺乳動物のIL−11に関して以前に報告
されているように、ヒトIL−11のcDNAは標準的
な技法を用いて合成され、発現ベクター、pXMでクロ
ーン化される(ヤングら、上記で引用)。このベクターは
哺乳動物細胞、例えばCos−1細胞でcDNA挿入物の
発現を可能にする。pXMはSV40エンハンサー、主
要アデノウィルス後期プロモーター、3部分先導配列、
および小さなハイブリッド介在配列、DHFRコード化
配列、SV40後期メッセージポリA添加部位並びにア
デノウィルスVaI遺伝子を含有する。このベクターをエ
ンドヌクレアーゼ酵素XhoIで直線化し、相補的な付着
末端を生じる合成オリゴヌクレオチドを添加して予め改
変したIL−11 cDNAの同等モル量に連結するこ
とができる。このようなオリゴヌクレオチドは市販によ
り入手できる[コラボラティブ・リサーチ・レキシント
ン、マサチューセッツ州]。
【0091】CHO細胞中でサイトカインをよく発現す
ることが認められているもう1つのベクターは、pEM
C2B1である。このベクターはアメリカン・タイプ・
カルチャー・コレクション(ATCC)、ロックビル、
メリーランド州(米国)に受け入れ番号ATCC403
48で寄託されているpMT2pcから誘導できる。DN
Aは、プラスミドをPstIで消化することにより直線化
する。次にDNAをT4DNAポリメラーゼを用いてブ
ラントする。オリゴヌクレオチド5'TGCAGGCG
AGCCTGAATTCCTCGA3'を次にDNAに
連結し、5'末端にPstI部位を再生し、DHFR cD
NAのATGの前にEcoRI部位およびXhoI部位をつけ
加える。このプラスミドをpMT21と称する。pMT2
1を、プラスミドを2個の隣接するクローニング部位で
開裂するEcoRIおよびXhoIで切断する。508塩基対
のEMCV断片を制限酵素EcoRIおよびTaqαIでpM
2ECAT1[S.K.ジョングら、ジャーナル・オブ・
ビロロジー63巻1651−1660頁(1989年)]から切断し
た。68ヌクレオチドの長さの1対のオリゴヌクレオチ
ドを合成し、ATGまでEMCV配列を重複させた。A
TGをATTに変え、Cを1個加え、3'末端でXhoI部
位を作る。TaqαI部位は5'末端に位置する。オリゴヌ
クレオチドの配列は:5' CGAGGTTAAAAAA
CGTCTAGGCCCCCCGAACCACGGGG
ACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACG
ATTGC 3'およびこれらの相補的鎖であった。
【0092】pMT21 EcoRIからXhoIまでの断片
をEMCV EcoRIからTaqαIまでの断片およびTaq
αI/XhoIオリゴヌクレオチドに連結し、ベクターpE
MC2B1を産生した。このベクターはSV40の複製
開始点およびエンハンサー、アデノウィルス主要後期プ
ロモーター、アデノウィルス3部分先導配列の大部分の
cDNAコピー、小さなハイブリッド介在配列、SV4
0ポリアデニル化信号およびアデノウィルスVA I遺
伝子、DHFRおよびβ−ラクタマーゼマーカー、並び
にEMC配列を、哺乳動物細胞中望ましいcDNAを高
量発現させるのに適当な関係で含有する。EMC2B1
ベクターはエンドヌクレアーゼ酵素EcoRIで直線化
し、続いて発現を構築するEcoRI相補的末端を生じる
合成オリゴヌクレオチドを加えることにより予め改変し
たIL−11をコードするcDNAに同等モル量で別々
に連結する。
【0093】IL−11を含有する望ましいベクターを
次に、通常の遺伝子工学の技術により適当な宿主細胞に
導入する。標準的な技法を用いて形質転換した細胞を培
養し、発現したIL−11を回収し、培養培地から精製
する。
【0094】A.哺乳動物細胞の発現 哺乳動物の宿主細胞中にIL−11ポリペプチドの発現
を得るために、IL−11 DNA配列を含有するpX
Mベクターを実施例2に記載のとおりCos細胞にトラン
スフェクトする。トランスフェクトしたCos細胞のなら
し培地は、T1165検定で測定されるIL−11生物
学的活性を含有する。同様にIL−11のcDNAを含
有するpEMC−2B1の構築物をCHO細胞にトラン
スフェクトする。
【0095】当業者はまた、例えば各々のプラスミドか
らのIL−11のDNA配列をXhoIで挿入し、周知の
組み換え遺伝子工業の技術並びにpJL3およびpJL4
[ゴーフら、エンボ.ジェイ.4巻645−653頁(1985
年)]およびpMT2(pMT2−VWF、ATCC#67
122で出発;PCT出願PCT/US87/0003
3参照)のようなその他の既知ベクターを用いて、pX
M/IL−11ベクターに匹敵するその他の哺乳動物発
現ベクターを構築することもできる。
【0096】これらのベクターを適当な宿主細胞に形質
転換することにより、結果的にIL−11ポリペプチド
を発現させることができる。Cos細胞以外の哺乳動物宿
主細胞も、IL−11の発現に用いることができる。例
えば、共に通常の方法によりベクターDNAを安定して
完成させ、完成したベクターDNAを続いて増幅させる
のが好ましく、そのために選り抜きの哺乳動物宿主細胞
としてCHO細胞を用いることができる。
【0097】一度ベクターおよび宿主細胞を選択し形質
転換すると、標準的な免疫学的なまたは酵素検定によ
り、安定した形質転換体を、IL−11の発現に関して
ふるい分ける。IL−11ポリペプチドをコードするD
NAまたはmRNAの存在は、標準的な方法、例えばサ
ザーンまたはノーザンブロッティングにより検出でき
る。発現ベクターDNAを適当な宿主細胞に導入後数日
間、ポリペプチドをコードするDNAの一過性の発現
は、培養培地のタンパクの活性または免疫学的検定、例
えばT1165検定により、選別せずに測定される。
【0098】B.細菌性発現系 同様に、当業者はコード化配列をフランキングするあら
ゆる哺乳動物の制御配列を排除し、細菌の配列を挿入し
て細菌性ベクターを作ることによりIL−11の配列を
操作し、細菌細胞により本発明のIL−11ポリペプチ
ドを細胞内または細胞外に発現させることができる。
【0099】因子をコード化するDNAはさらに、細菌
性の発現のための種々コドンを含有するように改変で
き、これは当業界で公知である。成熟IL−11配列
(表1で21−199アミノ酸をコードするヌクレオチ
ド)は、分泌性リーダーポリペプチドをコードするヌク
レオチド配列に効果的に枠内で結合し、成熟した種々タ
ンパクの細菌性発現、分泌および加工を可能にするのが
好ましく、これも当業界で公知である。次に細菌宿主細
胞で発現される化合物を全て既知の方法により回収し、
精製し、並びに/または物理化学的、生化学的および/
もしくは臨床パラメーターに関して特性化できる。
【0100】別法として、IL−11はエシエリキア・
コリ中に細胞質タンパクとして発現させてもよい。この
場合、分子は塩酸グアニジンで完全に変性した後、必ず
再び折りたたまなければならないようであるが、この方
法も当業界で公知である。現在のところエシエリキア・
コリにおいて、IL−11を発現させる好ましい方法で
は、ヒトIL−11配列の最初の31コドンを除去す
る。次に以下の配列:
【表7】 を成熟ヒトIL−11のコドン32に付ける。
【0101】C.昆虫または酵母細胞の発現 昆虫細胞で発現させるために昆虫ベクターを構築する
[例えば発行欧州特許出願第155476号に記載され
た方法を参照されたい]ために同様の操作を行うことが
できる。酵母細胞により本発明のタンパクを細胞内また
は細胞外に発現させるために、酵母制御配列を用いて酵
母ベクターをも構築できる。[例えば、発行PCT出願
WO第86/00639号および欧州特許出願EP第1
23289号に記載されている方法を参照されたい。]
【0102】実施例10−IL−11を高量発現するC
HOセルラインの構築 哺乳動物から本発明のIL−11ポリペプチドの高量を
産生する1つの方法には、異種のIL−11遺伝子の多
重コピーを含有する細胞の構築が含まれる。カウフマン
・アンド・シャープ、ジャーナル・オブ・モレキュラー
・バイオロジー、上記(1982年)の方法に準じて異種遺伝
子を増幅可能なマーカー例えば、増加した遺伝子コピー
を含有する細胞をメソトレキセート(MTX)の濃度上
昇中に伸長用に選別できるためのジヒドロホレート・リ
ダクターゼ(DHFR)に結合できる。この方法は多種
細胞型で用いることができる。別法として、IL−11
cDNAおよび薬剤耐性選別遺伝子(例えばDHFR)
を同じベクターに導入することができる。この方法で好
ましいベクターはpEMC2B1である。
【0103】例えば、その他のプラスミド配列と有効に
関連し、それのおよびDHFR発現プラスミドpAdA2
bSV(A)3[カウフマン・アンド・シャープ・モル・セ
ル・ビオール.3巻9号1598−1608頁(1983年)]の発現を
可能にするIL−11遺伝子含有pXMベクターは、リ
ン酸カルシウム共沈およびトランスフェクションにより
DHFR欠損CHO細胞、DUKX−BIIに同時導入
できる。
【0104】別法として、その他のプラスミド配列と有
効に関連し、それの発現を可能にするIL−11遺伝子
含有pEMC−2B1ベクターを、原形質体融合および
トランスフェクションによりDHFR−欠損CHO細胞
に導入する。IL−11遺伝子およびDHFRマーカー
遺伝子は共に、IL−9をpEMC2B1に導入した場
合に効果的に発現する。IL−11遺伝子を前述のとお
りpMT2に導入でき、その結果できたベクターはpXM
/IL−11およびpAdA26SV(A)3の代わりに用
いることができる。
【0105】DHFR発現形質転換体は、透析ウシ胎仔
血清を有するアルファー培地中の成長から選択する。形
質転換体を生物検定、免疫検定またはRNAブロッティ
ングによりIL−9の発現に関して検査し、続いて陽性
プールを選択して、カウフマンら、モル.セル.ビオール
5巻1750頁(1983年)に報告されるように、MTXの濃度
上昇中(逐次的に0.02、0.2、1.0および5μM
MTX)に成長を増幅させる。増幅した系列をクロー
ニングし、生物学的に活性なIL−11ポリペプチド発
現をT1165検定により監視する。IL−11ポリペ
プチド発現はMTX耐性の水準の増強と共に増加するこ
とが予想される。
【0106】前述の任意の発現系において、結果的に得
られたセルラインは適当な薬剤を選別することによりさ
らに増幅でき、結果的に得られたセルラインを再びクロ
ーニングし、発現量を本明細書で記載したT1165検
定を用いて評価できる。IL−11発現CHOセルライ
ンは血清不含培地中成長するように適合させることがで
きる。レクチン親和クロマトグラフィー、逆相HPLC
FPLC等のような技術を含む当業界でよく用いられ
る方法を用いて、セルラインのならし培地から、同一の
IL−11が単離できる。
【0107】実施例11−初期ネズミ始原細胞培養中の
増殖に対するIL−11の作用 メチルセルローズ細胞培養物を35mmラックス懸濁培養
皿(#5221R、ヌンク、インコーポレイテッド、ネ
イパービル、IL)中で確立した。5−フルオロウラシ
ル(5−FU)(アドリア・ラボラトリーズ、コロンビ
ア、OH)を、10〜15週令雌BDF1マウス(ARS
スプラーク・ドーリー、インディアナポリス、IN)に
尾静脈から150mg/kg体重を静脈注射により投与した
(ツダら、ジャーナル・オブ・セルラー・フィジオロジ
ー、117:308〜318(1983)およびG.S.ホジソ
ンら、ネイチャー、281:381〜382(1979))。
三匹のマウスから集めた大腿または脾臓から単一の細胞
懸濁液を調製した。低密度(<1077)単核細胞を40
0gにて遠心分離後、フィゴル−パクの界面から集め
た。これらの細胞をプラスチック製皿に一夜付着させた
後、非付着単核(骨髄および脾臓)細胞を5−FU注射
後、各2日および5日に採取した。
【0108】培養物1mlは、正常マウスの骨髄細胞2×
104個、5−FU−処理マウスの骨髄細胞5×104
または脾臓細胞1×106個、α−培地(フロー・ラボ
ラトリーズ、インコポレイテッド、マックリーン、V
A)、1.2%1500cpsメチルセルローズ(フィッシ
ャーサイエンチフィク・コーポレーション、ノルクロ
ス、GA)、30%胎子牛血清(FCS)(ハイクロン・ラ
ボラトリーズ、インコーポレイテッド、ロガン、U
T)、1%脱イオン化フラクション・V・ウシ血清アル
ブミン(BSA)(シグマ・ケミカル・コーポレーショ
ン、セントルイス、MO)、1×10-4M2−メルカプ
トエタノール(イーストマン・オーガニック・ケミカル
ズ、ロチェスター、NY)および造血因子を含有した。
皿を37℃にて5%CO2を通気した加湿雰囲気中でイ
ンキュベートした。血小板生成細胞を除いて、細胞50
個以上からなるコロニーをインキュベーション後の所定
の日に倒立顕微鏡で計数した。4個以上の血小板生成細
胞が含まれるときは血小板生成細胞を計数した。コロニ
ーの型の省略記号を下記に記載する:GM、顆粒球/マ
クロファージ;Mast、乳房細胞コロニー;E、赤血球
バースト;M、血小板生成細胞コロニー;GEMM、顆
粒球/マクロファージ/血小板生成細胞コロニー[T.ナ
カタら、ジャーナル・オブ・セルラー・フィジオロジ
ー、111:239−246(1982)];GMM、顆粒球/
赤血球/マクロファージ/血小板生成細胞コロニー[T.
ナカタら、上掲;およびA.A.フォーザーら、ブラッ
ド、52:1243−1248(1978)];およびBl、芽球細胞
コロニー[T.ナカタら、プロシーディング・オブ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス、79:3843
−3847(1982);およびT.スダら、上掲]。
【0109】芽球細胞(blast cell)の造血能力を未
分化細胞コロニー再平板培養により測定した。インキュ
ベーション5〜15日間に、50〜150個の細胞を含
む個々の芽球細胞コロニーをエッペンドルフピペットで
取り上げ、ヒト尿エリスロポイエチン(Ep)[1mg当り3
70Uの活性、カワキタ・マコト博士より入手、熊本医
科大学、熊本、日本]2U/ml、WEHI−3細胞の1
%濃縮(×20)培養物上清を含む二次メチルセルロー
ズ培養物中に再平板培養した。
【0110】芽球細胞はまた、観察されたIL−11の
効果が直接的であるのか、または他の因子によるものか
を調査するための造血細胞の純粋標的集団として用い
た。組換えネズミIL−3の100U/mlの存在下、5
−FU後4日の脾臓細胞100万個を培養した。遺伝子
工学的に高い力価(約30000U/ml)まで、ネズミI
L−3を産生するように計画されたチャイニーズ・ハム
スター卵巣(CHO)細胞によって調製された。培養8
日目に、各芽球細胞コロニー(50〜150個の細胞)
を培養物から取り上げ、集め、培地で2度洗浄し、種々
の因子の組合わせを含む各二次培養物中に再平板培養し
た。
【0111】4×106U/mg蛋白の比活性を有する組
換えヒトIL−6をエシェリキァ・コリ中に発現させ
た。ネズミ形質細胞腫−刺激活性をコード化したcDN
Aで形質導入されたCOS−1細胞により訓化された培
地(CM)あった。[S.R.ポールら、プロシーディン
グ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
ス、USA印刷中(1990)]
【0112】A.正常マウスの骨髄細胞からのコロニー
形成 正常骨髄細胞からのコロニー形成をIL−11により維
持した。Ep2U/mlの存在下または不存在下で、IL
−11は投与量−依存的にコロニーを生じさせた。1:
100稀釈のIL−11は最大のコロニー形成を維持し
た。しかしながら、IL−11とのインキュベーション
8日目または16日目に検出されたコロニーの総数は、
IL−3との培養物中よりも顕著に低かった。IL−1
1−含有培養物中に見られたコロニーはGM型が優勢で
あったが、数種の多系統(GMMおよびGEMM)コロニ
ーも観察された。1:100稀釈のIL−11は、イン
キュベーション16日目に3個の芽球細胞コロニーの形
成を維持した。
【0113】B.5−FU−処理マウスの骨髄細胞から
のコロニー形成 IL−11、IL−6、IL−3、単独および各種組合
わせの存在下で確立された培養物中150mg/kgの5−
FU [T.スダら、上掲およびG.S.ホジソンら、上掲]
の注射後2日目に採取された骨髄細胞からのコロニー形
成を検討し、IL−11が初期の始原細胞の増殖の維持
においてIL−3と相乗的に働くかどうかを調べた。
【0114】最終稀釈1:100および1:1000の
IL−11の、IL−3の最適濃度への添加はコロニー
形成を顕著に増強した。特に、IL−11の1:100
稀釈およびIL−3の存在下で、コロニー形成の動態は
各種因子により維持される動態に比較すると促進され
た。コロニー形成の時間的経過および維持されたコロニ
ーの総数はIL−6およびIL−3の組合わせで観察さ
れたのと類似している。1:100稀釈中のIL−11
単独は長期のインキュベーション後わずかなコロニー形
成を維持した。これらの結果はIL−11が初期の始原
細胞のIL−3依存性増殖を促進することを示してい
る。各相乗的因子の作用に関連する5−FU後2日の骨
髄細胞からのコロニー形成の動力学に対するIL−11
およびIL−6の組合わせの効果を別に検討した。IL
−6およびIL−11はIL−3依存性コロニー形成を
顕著に促進した。しかしながら、IL−6およびIL−
11の組合わせの効果は個別の効果と異ならなかった。
【0115】C.5−FU投与後4日の脾臓細胞からの
芽球細胞のコロニー発達の連続的観察 各種芽球細胞コロニーの成長率を培養図研究法により連
続的にプロットした。結果は、IL−11の相乗的効果
は幹細胞が休眠状態にある時期中に減少し、成長率がこ
れらの培養系で統計学的に異ならないから、IL−6ま
たはG−CSFで観察された効果と非常に類似した作用
をもたらすことを示した。
【0116】D.芽球細胞コロニーの再平板培養能力の
比較 IL−11およびIL−6に対応する芽球細胞コロニー
の増殖能力を再平板培養実験により検討した。すでに報
告されたように[K.イケブチら、ブラッド、72:2007
−2014(1988)]、各芽球細胞コロニーのうちに、二次再
平板培養効率中に顕著な変化が見られた。しかし、3種
の異なる一次培養条件で生長させた芽球細胞コロニーの
再平板培養効率には顕著な差はなかった。
【0117】先の報告[K.イケブチら、上掲]と同様
に、二次コロニー中の二次GEMMコロニーの百分率お
よび未分化細胞胚芽細胞コロニー当りの二次GEMMコ
ロニーの発生率は、IL−3単独を含む培養物中に見ら
れる一次未分化細胞コロニーよりも、IL−11または
IL−6を含む培養物中に確認された一次未分化細胞コ
ロニーからの方が著しく高かった。これらのパラメータ
ーは、IL−11+IL−3を含む培養物およびIL−
6+IL−3を含む培養物間に顕著な差はなかった。
【0118】これらの結果はIL−11およびIL−6
の相乗的活性が類似しており、二次GEMMコロニーの
発生率の増加が、芽球細胞コロニー形成中の幹細胞の
G.期間の短縮によるかもしれないことを示す[K.イ
ケブチら、上掲]。
【0119】E.集めた芽球細胞の再平板培養の検討 IL−3により維持された初期段階の培養物からの芽球
細胞を集めて得られた標的細胞をGMコロニー形成に対
するIL−11およびIL−6の直接的効果を比較する
ために用いた。集めた芽球細胞は間質細胞を欠き、非常
に高い平板培養効率を示した。
【0120】IL−3を含む培地で確認された細胞50
〜150個を含む芽球細胞を取り、集め、Ep2U/ml
の存在中、IL−11、IL−6、またはIL−3を含
む二次培地に再平板培養する。これらのデータは芽球細
胞の少なくとも70%が造血始原細胞であることを示
す。
【0121】IL−3とEpの組合せが種々の単一系統
および多系統のコロニー形成を維持したが、IL−11
およびEpはマクロファージコロニーのみの産生を維持
した。IL−6およびEpの組合せほぼ同数数の純粋マ
クロファージコロニーだけでなく、好中球/マクロファ
ージのコロニーの形成も維持した。IL−11により維
持されたマクロファージコロニーはIL−6により維持
されたマクロファージコロニーより小さかった。
【0122】これらの結果は、IL−11とIL−6が
異なる始原細胞サブセットを除いて重複して相互に作用
すること、および優先的にマクロファージ始原細胞群を
維持することを示した。
【0123】F.IL−11の相乗作用効果に対する抗I
L−6抗体中和効果 IL−11とIL−6間の直接コロニー維持活性がCos
細胞CMのそのものの性質の結果でなかったことを確認
するために、Cos−由来IL−6を阻害することで知ら
れる抗IL−6抗体の中和を、休止始原細胞からのIL
3−依存増殖に対するIL−11およびIL−6の相乗
効果の検討に用いた。
【0124】IL−6またはIL−11の存在中および
抗体の不在中で、5FU投与後5日の脾臓細胞からのコ
ロニーの発達は8日目のコロニー数により示されるよう
に顕著に促進された。抗IL−6抗体が存在したとき、
IL−6の相乗効果を完全に消失したが、IL−11の
効果は消失しなかった。抗体の効果は16日まで持続し
た。これらの結果は、Cos細胞CM中の明白な相乗効果
がIL−6により仲介されるという可能性を全く退け
た。
【0125】IL−11cDNAを形質導入されたCos
細胞の馴化培地(CM)は、培養中の多効能性始原細胞
のIL−3−依存増殖を促進することが判明し、活性は
独自にIL−6に関連した。促進の機構は休止幹細胞の
G.期間の短縮と思われる。
【0126】前述の記載はこの発明の現在の好ましい実
施態様を詳述したものである。この発明の実施において
多数の修飾および変更が当技術の熟練者に考えられるこ
とと思われる。そのような修飾および変更もまたこの発
明の範囲に含まれる。
【0127】この発明によって下記の各事項が可能とな
る。 (1) 実質的に他の蛋白質様物質の随伴を欠くほ乳類I
L−11蛋白質。 (2) 表1のアミノ酸#22−アミノ酸#199のアミ
ノ酸配列またはその生物活性フラグメントを含む、1記
載の蛋白質。 (3) ヒトIL−11アミノ酸配列を含む、2記載の蛋
白質。 (4) 表1に示されたDNA配列と同じかまたは実質的
に同じDNA配列、そのフラグメントまたはそこにハイ
ブリダイズし得るDNA配列の全部または一部によりコ
ードされる、1記載の蛋白質。 (5) 下記特性: 1) SDS−PAGEにおける還元条件下での見かけ上
の分子量が約20kd、 2) 計算された分子量が約20kd、 3) T1165検定における生物活性、 4) IL−3の存在下での血小板生成細胞コロニー形成
検定における生物活性、 5) B細胞プラーク形成検定における生物活性 のうちの一つまたはそれ以上を有する、1記載の蛋白
質。
【0128】(6) IL−11の複製および発現を指図
し得る発現制御配列を機能し得る形で随伴した10記載
のDNA配列により形質転換された細胞を培養し、IL
−11蛋白質をその条件培地から回収することにより製
造されるIL−11蛋白質。 (7) 実質的に他の蛋白質様物質の随伴を欠くヒトIL
−11蛋白質。 (8) ヒトIL−11蛋白質の複製および発現を指図し
得る発現制御配列を機能し得る形で随伴した、ヒトIL
−11蛋白質またはそのフラグメントの発現をコードす
るcDNA配列により形質転換されたセルラインを培養
することを含む、ヒトIL−11蛋白質またはそのフラ
グメントの製造方法。 (9) IL−11をコードし、第1表に示されたヌクレ
オチド塩基配列と同じかまたは実質的に同じ配列、その
フラグメントまたはそこにハイブリダイズし得るDNA
配列の全部または一部を含むDNA配列。 (10) 発現制御配列を機能し得る形で随伴した9または
19記載のDNA配列により形質転換された細胞。
【0129】(11) ほ乳類または細菌細胞を含む、10
記載の細胞。 (12) 9または19記載のDNA配列を含むプラスミド
・ベクター。 (13) さらに追加的なサイトカイン、ヘマトポイエチ
ン、生長因子または抗体の治療有効量を含む、12記載
の医薬。 (14) さらに追加的なサイトカイン、ヘマトポイエチ
ン、生長因子または抗体の治療有効量を含む、13記載
の組成物。 (15) サイトカインが、IL−1ないしIL−9、GM
−CSF、G−CSF、M−CSF、インターフェロン
類、Meg−CSF、MIF、LIF、TNFおよびエリ
スロポイエチンから成る群から選択される、14記載の
組成物。
【0130】(16) サイトカインがIL−3またはIL
−6である、15記載の組成物。 (17) 免疫系または造血系の刺激またはそれに関連した
疾患の処置に適した医薬組成物の製造における2または
3記載のIL−11蛋白質の用途。 (18) IL−6の非存在下でのT1165検定において
生物活性を有する均一ほ乳類IL−11。 (19) 発熱物質不含有の非経口投与に関して許容し得る
水性賦形剤中に2または3記載のIL−11蛋白質の有
効量を含む、免疫系または造血系の刺激またはその疾患
の処置を目的とする注射可能製剤。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ネズミ・プラーク-形成検定におけ
る、pC1R6-トランスフェクションcos−1細胞条件
培地によるネズミNP−反応性B細胞の発達の向上性を
描いた図である。
【図2】 図2は、ネズミ・フィブリン・クロット検定
における、pC1R6-トランスフェクションcos−1細
胞条件培地によるIL−3依存性ネズミ血小板生成細胞
コロニーの発達の向上性を描いた図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07K 14/54 A61K 37/02 ABY C12N 5/10 C12N 5/00 B (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 フランシス・ケー・ベネット アメリカ合衆国02176マサチューセッツ、 メルローズ、ファースト・ストリート 262番 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/09 ZNA BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記DNAのいずれかにより形質転換さ
    れた宿主細胞を培養し、この培養物からT1165検定
    において活性を示す蛋白質を回収することを特徴とす
    る、蛋白質の製造法: (a)次のいずれかのヌクレオチド配列を有するDN
    A: 【表1】 又は 【表2】 (b)(a)のDNAとストリンジェントな条件下でハ
    イブリダイズし得るDNA及び(c)(a)又は(b)
    のDNAと縮重の関係にあるDNA。
  2. 【請求項2】 蛋白質が哺乳類IL−11蛋白質であ
    る、請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 蛋白質がひとIL−11蛋白質である、
    請求項2記載の製造法。
  4. 【請求項4】 蛋白質がさるIL−11蛋白質である、
    請求項2記載の製造法。
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