JP2782120B2 - ブレーキ付き流体圧シリンダ及びそのシリンダを用いた汎用ワーク位置決め装置 - Google Patents

ブレーキ付き流体圧シリンダ及びそのシリンダを用いた汎用ワーク位置決め装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はピストンロッドを任意の
位置に移動不能に固定することができるブレーキ付き流
体圧シリンダ及びこれを利用して形状の異なる複数種類
のワークの位置決めを行うことが可能な汎用ワーク位置
決め装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のブレーキ付き流体圧シリンダは、
特開昭62−213934号公報に記載されているよう
に、ワーク検出用のエア噴出口がワークに直に接触する
ようにピストンロッドの先端に上向きに形成されてい
た。 また、自動加工ラインにおいてワークに溶接等の加
工を施す際にワークを位置決めする手段として、従来
は、ワークの形状に合わせて治具を製作し、その治具に
ワークを整合させることにより位置決めするという方法
が採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のブレーキ付き流
体圧シリンダは上記の構成になっていたため、エア噴出
口が詰まって作動不良を生じやすく、また、従来の治具
はワーク毎に形状の異なったものを製作しなければなら
なかった。
【0004】したがつて、ワークの種類の数だけ治具が
必要となり、コストが高くつくばかりでなく、段取り替
えの際に治具の交換という手間のかかる作業が必要とな
るという欠点があつた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、請求項1の発明のブレーキ付き流体圧シ
リンダは流体圧シリンダのピストンとピストンロッドを
中空とし、一端をエア供給源と圧力スイッチに接続した
給気パイプをピストンの中空に摺動自由に嵌合してピス
トンロッドの中空内に挿入し、そのピストンロッドの先
端にノズルとそのノズルを保持するハウジングを取り付
けてそのハウジングに排気孔とノズルに対向する突出孔
を形成し、そのハウジング内に弾性体の付勢により突起
を突出孔から突出させてその突起がワークに突き当たる
と弾性体の付勢に抗して後退してノズルを閉じる検知体
を収容するとともに、圧力スイッチのオン又はオフ信号
によりピストンロッドの固定及び解除を行うブレーキ機
構を設けた構成とし、請求項2の発明のブレーキ付き流
体圧シリンダは請求項1の発明において、ブレーキ
が、ピストンロッドに対して斜めに形成されたシリンダ
孔を有するボデイを有し、そのシリンダ孔内に摺動自由
に嵌入した摺動体を、シリンダ孔の他端側へ押してロッ
ドとシリンダ孔の間にくさび状に食い込ませることによ
りそのピストンロッドを移動不能に固定する付勢部材を
設けるとともに、ボデイにそのシリンダ孔の他端側に加
圧流体を供給して摺動体を一端側へ押しまた排出する給
排気ポートを形成し、圧力スイッチのオン又はオフ信号
によりその給排気ポートから加圧流体を排出又は供給す
るようにした加圧流体切替装置を設けて成る構成とし、
請求項3の汎用ワーク位置決め装置の発明は請求項1記
載のブレーキ付き流体圧シリンダを多数個列設した構成
とし、請求項4の汎用ワーク位置決め装置の発明は請求
項2記載のブレーキ付き流体圧シリンダを多数個列設し
た構成とした。
【0006】
【発明の作用及び効果】請求項1記載のブレーキ付き流
体圧シリンダはピストンロッドが進出してその先端の検
知体がワークに突き当たるとその検知体がノズルをふさ
ぐことにより給気パイプ内のエア圧力が上昇して圧力ス
イッチのオンオフ信号によりピストンロッドにブレーキ
がかかるのであって、ノズルがワークに直に接触しない
から、ノズルが詰まって作動不良を生じるおそれがない
効果がある。
【0007】請求項2記載のブレーキ付き流体圧シリン
ダは給排気ポートからシリンダ孔内に加圧流体を供給す
ることにより摺動体をシリンダ孔の一端側へ押し付けた
状態にしておいてピストンロッドをワークに向けて進出
させてそのピストンロッドの先端がワークに当接する
と、オンまたはオフ信号が発信されて加圧流体切替装置
が作動し、給排気ポートからシリンダ孔内の加圧流体が
排出されることにより付勢部材の付勢によって摺動体が
シリンダ孔の他端側へ押されてピストンロッドとシリン
ダ孔の間にくさび状に食い込んでピストンロッドが移動
不能に固定されるのであって、簡単な構造で確実にブレ
ーキをかけることができる効果がある。
【0008】請求項3、4の汎用ワーク位置決め装置は
それぞれ上記請求項1、2のブレーキ付き流体圧シリン
ダを用いたから、形状の異なる各種のワークの位置決め
を確実かつ容易に行うことができる効果がある。
【0009】以上説明したように、本発明の汎用ワーク
位置決め装置は、進退するピストンロツドの先端のセン
にワークを当接させることによつて位置決めを行うよ
うにしたから、ピストンロツドの進出位置を調節し直す
だけで形状の異なる複数種類のワークに適用することが
できる。したがつて、流体圧シリンダはワークの種類の
数に関係なく一定の個数だけ用意すればよく、コストを
低く抑えることができるとともに流体圧シリンダの交換
の手間を要することなく段取り替えを行うことができる
効果がある。
【0010】しかも、ピストンロツドの進出すべき位置
の決定は、調節用のワークに対するピストンロツドの当
接を検知するセンサとその検知信号によつて作動するブ
レーキとによつて自動的に行われるから、ピストンロツ
の進出位置の調節作業に際しては、作業者がスイツチ
等の操作をするだけでよく、作業者の負担が軽いととも
に、作業者が熟練していなくても正確な調節を行うこと
ができる効果がある。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【0012】図において、符号1は、流体圧シリンダ
示す。この流体圧シリンダ1は、両端にヘツドカバー4
とロツドカバー5が嵌着されたシリンダチユーブ3内に
ピストン6を内嵌するとともに、ピストン6に固着した
ピストンロツド9をロツドカバー5から突出させてなる
エアシリンダ2を用いた構造になる。流体圧シリンダ1
は、ピストンロツド9の進出位置を検知するためのセン
サ10と、ピストンロツド9の移動を阻止するためのブ
レーキ30とを備えている。
【0013】まず、センサ10の構造について説明す
る。
【0014】ピストンロツド9は中空のパイプ状に成形
されているとともに、ピストン6にはピストンロツド9
の中空と連通する嵌通孔19が形成されている。ヘツド
カバー4には、嵌通孔19を気密かつ相対的摺動自由に
嵌通してピストンロツド9の中空内に臨む給気パイプ2
0が固着されているとともに、この給気パイプに連通す
る給気ポート11が形成されている。
【0015】給気ポート11には図示しないエア供給源
と圧力スイツチが接続されており、これにより、ピスト
ンロツド9の中空内には、給気ポート11と給気パイプ
20を介してエア供給源から低圧微流量の検知用エアが
供給されるようになつているとともに、ピストンロツド
の中空内の圧力が一定値以上に上昇すると、圧力スイ
ツチから検知信号が出力されるようになつている。
【0016】ピストンロツド9の先端には、その開口に
筒形のノズル22が嵌着されているとともに、ノズル2
2を囲むようにハウジング23が固着されている。ハウ
ジング23の内部空間は、その側面に形成した排気ポー
ト24によつて常に外気と連通しているとともに、ノズ
ル22の中空を介すことによつてピストンロツド9の中
空と連通し得るようになつている。
【0017】ハウジング23内には、ノズル22の中空
の開口を開閉する検知体25が、その突起26をハウジ
ング23の先端面の突出孔27から突出させた状態で収
容されている。この検知体25は、常には圧縮コイルば
ね28によつてノズル22の中空を開放することにより
ピストンロツド9の中空を外気に連通させる状態に保持
されるようになつている。また。検知体25の突起26
が外側から押されると、検知体25が圧縮コイルばね2
8の弾力に抗してノズル22の中空の開口を閉塞する位
置に移動することにより、ピストンロツド9の中空内が
気密状態に密閉されるようになつている。
【0018】次に、ブレーキ30の構造について説明す
る。
【0019】ロツドカバー5には、中心孔32にピスト
ンロツド9を気密かつ摺動自由に貫通させたボデイ31
が固着されている。ボデイ31には、ピストンロツド9
の周囲を囲む空間を有する円形断面のシリンダ孔33
が、その軸線をピストンロツド9の軸線に対して傾けて
形成されており、シリンダ孔33の開口には、貫通孔3
5にピストンロツド9を摺動自由に貫通させたカバー3
4が嵌着されている。
【0020】このシリンダ孔33内には、内径寸法が
ストンロツド9の外径よりも極く僅かに大きい嵌通孔3
7にピストンロツド9をOリング42により気密に、か
つ、摺動可能に嵌通させた摺動体36が、緊密に、か
つ、気密を保つた状態でシリンダ孔33の軸線方向への
摺動自由に内嵌されている。この摺動体36は、常には
圧縮コイルばね38の弾力によりカバー34から離間す
る方向に移動して、嵌通孔37の内周の一部がピストン
ロツド9の外周に押し付けられる位置に保持されるよう
になつている。かかる状態においては、嵌通孔37の内
周のピストンロツド9への押圧によつて生じる摩擦抵抗
によりブレーキ30が作動して、ピストンロツド9の軸
線方向の移動が阻止されるようになつている。
【0021】ボデイ31にはシリンダ孔33内に連通す
る給排気ポート39が形成されており、給排気ポート3
9には図示しない加圧エア供給源が接続されている。こ
の加圧エア供給源から給排気ポート39を介してシリン
ダ孔33内に加圧エアが供給されると、摺動体36が圧
縮コイルばね38の弾力に抗してカバー34に当接する
位置まで移動するようになつている。この状態において
は、摺動体36の嵌通孔37の内周とピストンロツド9
の外周との間に隙間が生じることによりブレーキ30が
解除されて、ピストンロツド9の軸線方向の移動が許容
されるようになつている。
【0022】また、シリンダ孔33内への加圧エアの供
給によりブレーキ30が解除されている状態において、
前記センサ10の圧力スイツチから検知信号が出力され
ると、シリンダ孔33内への加圧エアの供給が停止する
とともにシリンダ孔33内が大気に開放されて、摺動体
36に作用していた圧縮コイルばね38の弾力に抗する
方向の移動力が解除されるようになつている。
【0023】上記構成になる流体圧シリンダ1は複数個
用意されていて、そのボデイ31の外周に形成したねじ
部45をブラケツト46に形成した複数個のねじ孔47
に螺合することにより、ピストンロツド9を上向きにし
た姿勢で互いに適当な間隔を空けて固設されている。
【0024】本実施例装置は上記構成になり、ワークW
の位置決めは、各流体圧シリンダ1ピストンロツド9
の先端のセンサにワークWを当接させることによつて行
う。このため、ワークWの位置決めを行うのに先立ち、
ワークWの形状に合わせて各ピストンロツド9の進出位
置を調節する。以下、その作動を説明する。
【0025】まず、図1に示すように、ピストンロツド
を下方位置に退避させておく。次に、移送装置Aの吸
盤Bで吸着された状態で移送されたワークWを、流体圧
シリンダ1の上方においてワークWに加工が施されると
きに位置決めされるべき所定の位置と姿勢に保持してお
く。
【0026】一方、流体圧シリンダ1においては、ブレ
ーキ30のシリンダ孔33に加圧エアの供給を行うこと
により摺動体36を図1に示す位置まで移動させて、ブ
レーキ30を解除しておく。
【0027】かかる状態で、エア供給源からピストンロ
ツド9の中空内に低圧微流量の検知用エアを供給しつ
つ、ヘツドカバー4のポート48からの空気の供給とロ
ツドカバー5のポート49からの空気の排出とにより
ストンロツド9を上方へ進出させる。
【0028】ピストンロツド9が進出を続けている間は
その中空内に供給された低圧微流量の検知用エアがセン
サ10のノズル22の中空、ハウジング23内及び排気
ポート24を通ることによつて外部に放出される。した
がつて、ピストンロツド9の中空内の圧力は低いままで
あり、圧力スイツチからは検知信号は出力されない。
【0029】ワークWの下面にピストンロツド9の先端
のセンサが当接すると、そのセンサ10の突起26がワ
ークWで押されることとなるために検知体25が図2に
示すようにノズル22の開口を閉塞する位置まで下動す
る。これにより、ピストンロツド9の中空内が気密状態
に密閉されるため、供給される低圧微流量の検知用エア
がハウジング23の排気ポート24から放出されなくな
り、ピストンロツド9の中空内の圧力が上昇する。この
圧力が一定値以上に上昇することによつてピストンロツ
ド9が所定の位置まで進出したとの検知がなされたこと
となり、圧力スイツチからは検知信号が出力される。
【0030】この検知信号の出力により、ブレーキ30
のシリンダ孔33内への加圧エアの供給が停止するとと
もにシリンダ孔33内が大気に開放されて、圧縮コイル
ばね38の弾力により摺動体36が図2に示す位置に移
動してブレーキ30が作動し、摺動体36の嵌通孔37
の内周とピストンロツド9の外周との間の摩擦力により
ピストンロツド9が進退不能にロツクされる。
【0031】なお、ブレーキ30が作動した後は、ピス
トンロツド9を進出させるためのエアの供給を停止する
とともに、ピストンロツド9の中空内への検知用エアの
供給を停止する。
【0032】上記の作動を各流体圧シリンダ1について
行い、これにより、ワークWの形状に合うように各ピス
トンロツド9の進出位置が、夫々、所定の高さに調節さ
れる。すべてのピストンロツド9の進出位置の調節が完
了すると、ワークWの位置決めを行うことができる状態
となる。ワークWの位置決めは、ワークWを下からピス
トンロツド9で支えることによつて行われる。
【0033】本実施例装置においては、ピストンロツド
のワークWへの当接の検知を空気圧の変化によつて行
うから、電気的に作動するセンサを用いた場合とは異な
り、火花が発生する恐れがない。したがつて、火花によ
り引火や爆発を引き起こし易い雰囲気でも使用すること
ができる利点がある。
【0034】上記実施例装置においては、流体圧シリン
ダ1としてエアシリンダ2を用いたが、本発明によれ
ば、流体圧シリンダとして、油圧シリンダを用いてもよ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる流体圧シリンダの作
動前の状態をあらわす断面図である。
【図2】流体圧シリンダの作動状態をあらわす断面図で
ある。
【図3】実施例装置の使用状態をあらわす側面図であ
る。
【符号の説明】
流体圧シリンダピストンロツド 10 センサ 30 ブレーキ W ワーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−213934(JP,A) 特開 平2−139147(JP,A) 特開 平1−109042(JP,A) 実開 平1−156830(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23Q 3/02 B23Q 3/10 B23Q 17/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体圧シリンダのピストンとピストンロ
    ッドを中空とし、一端をエア供給源と圧力スイッチに接
    続した給気パイプを前記ピストンの中空に摺動自由に嵌
    合して前記ピストンロッドの中空内に挿入し、該ピスト
    ンロッドの先端にノズルと該ノズルを保持するハウジン
    グを取り付けて該ハウジングに排気孔と前記ノズルに対
    向する突出孔を形成し、該ハウジング内に弾性体の付勢
    により突起を前記突出孔から突出させて該突起がワーク
    に突き当たると前記弾性体の付勢に抗して後退して前記
    ノズルを閉じる検知体を収容するとともに、前記圧力ス
    イッチのオン又はオフ信号により前記ピストンロッドの
    固定及び解除を行うブレーキ機構を設けたブレーキ付き
    流体圧シリンダ。
  2. 【請求項2】 前記ブレーキ機構が、ピストンロッドに
    対して斜めに形成されたシリンダ孔を有するボデイを有
    し、該シリンダ孔内に摺動自由に嵌入した摺動体を、前
    記シリンダ孔の他端側へ押して前記ロッドと前記シリン
    ダ孔の間にくさび状に食い込ませることにより該ピスト
    ンロッドを移動不能に固定する付勢部材を設けるととも
    に、前記ボデイに該シリンダ孔の他端側に加圧流体を供
    給して前記摺動体を一端側へ押しまた排出する給排気ポ
    ートを形成し、前記圧力スイッチのオン又はオフ信号に
    より該給排気ポートから加圧流体を排出又は供給するよ
    うにした加圧流体切替装置を設けて成る請求項1記載の
    ブレーキ付き流体圧シリンダ。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のブレーキ付き流体圧シリ
    ンダを多数個列設した汎用ワーク位置決め装置。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のブレーキ付き流体圧シリ
    ンダを多数個列設した汎用ワーク位置決め装置。
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