JP2781566B2 - 放射性廃棄物のセメント固化方法及び固化体 - Google Patents

放射性廃棄物のセメント固化方法及び固化体

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JP2781566B2 JP63228705A JP22870588A JP2781566B2 JP 2781566 B2 JP2781566 B2 JP 2781566B2 JP 63228705 A JP63228705 A JP 63228705A JP 22870588 A JP22870588 A JP 22870588A JP 2781566 B2 JP2781566 B2 JP 2781566B2
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    • G21NUCLEAR PHYSICS; NUCLEAR ENGINEERING
    • G21FPROTECTION AGAINST X-RADIATION, GAMMA RADIATION, CORPUSCULAR RADIATION OR PARTICLE BOMBARDMENT; TREATING RADIOACTIVELY CONTAMINATED MATERIAL; DECONTAMINATION ARRANGEMENTS THEREFOR
    • G21F9/00Treating radioactively contaminated material; Decontamination arrangements therefor
    • G21F9/28Treating solids
    • G21F9/30Processing
    • G21F9/301Processing by fixation in stable solid media
    • G21F9/302Processing by fixation in stable solid media in an inorganic matrix
    • G21F9/304Cement or cement-like matrix

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は放射性廃棄物の固化方法及び固化体に係わ
り、特に放射性廃棄物固化体の陸地処分に適した、放射
能浸出の少ない放射性廃棄物の固化方法及び固化体に関
するものである。
〔従来の技術〕
原子力発電所などの放射性物質取り扱い施設から発生
する放射性廃棄物を安定に貯蔵又は処分するためには、
固化材とともに容器に詰めて固化体となし、放射性物質
の環境への拡散を防止する必要があるのは周知の事実で
ある。
また、最近、放射性廃棄物の埋設処分場が決定され、
放射性廃棄物の固化体に要求される性能が明確に成りつ
つあり、法令化などの具体的措置が実施されてきてい
る。それによると、放射性物質の環境への拡散を防止す
る事を重点に、放射性廃棄物固化体から環境への放射性
物質の移行経路を評価している。この移行経路の内、次
の雨水による地下水移行の経路が周辺住民の放射能被曝
の点から特に重要視されている。
すなわち、放射性廃棄物の固化体は、処分場の地下3
〜5mに設けられたコンクリート製のピツト内に埋設され
る。これによつて、放射能レベルが高い初期50年程度の
間、放射性物質の漏洩がないように管理される。この間
に放射性物質の崩壊によつて放射能レベルが低下する。
しかしながら、微量の放射性物質が放射性廃棄物の固化
体内に残留しており、これの放出の抑制が必要となる。
安全評価では、固化体が水に浸かると、水を媒体として
固化体中から放射性物質が浸出してくることに注目し、
安全側の評価として、ピツト内への雨水の侵入によつて
固化体が水に浸かることを想定している。
これまでの固化体でも、上記の様な状態における放射
能の浸出は十分に小さく、問題とはならないが、固化体
の安全性をさらに高め、今後の放射能レベルの高い放射
性廃棄物の処分にも対応できる放射性廃棄物の固化方法
の開発が望まれている。
以上の様な点から、新しい固化方法が考えられてい
る。これは、固化材として固化操作が簡単なセメントを
主成分とするものが中心で、その一つは特開昭61−2159
99号公報に記載されたものである。これは、セメント系
固化材と水を混合する際の水の量(水/セメント比)を
低下させ、余剰の水による空隙の発生を抑制するもので
ある。
すなわち、セメントでは、一定の流動性を保つため
に、セメントの硬化反応で消費される水の量以上に水を
加える必要がある。このため、余剰の水によつてセメン
ト中に水で満たされた空隙が発生する。これは、セメン
ト中を水が透過する原因となる(放射性廃棄物を固化し
た場合、放射性物質の固化体からの放出経路となる)。
一般産業用のうち、水の透過が問題となる貯水槽や産業
場の床面などの用途に対して、水の透過性の低いセメン
トが開発されている。このようなセメントとしては、セ
メント粒子の流動性を高めるため、界面活性剤(減水
剤)を添加するもの、セメント粒子よりも小さな丸い粒
子を加えるもの(ベアリング効果)とがある。上記特開
昭61−215999号公報に記載されたものは、後者である。
また、僅かに残つた空隙に対して、セメントに焼成CaO
などの膨張材の使用も効果的であるとしている。
また、上記従来技術と同様にベアリング効果を持つた
セメントとして、特開昭62−267699号公報及び特開昭62
−267700号公報に記載されたものがある。これらは、目
的が異なるため、ベアリング効果以外に、砂などの骨材
の添加によつて、添加する水の量を低下させているがセ
メントに対する水の量が多く、余剰水の抑制はなされて
いない。
〔発明が解決しようとする課題〕 上記従来技術には、発明者らが見出した事実によれ
ば、次に2つの問題点がある。
(1)放射性廃棄物のセメント固化体において、放射能
の浸出を抑制できる効果的な空隙率が明らかにされてい
ない。これは、一般産業用のセメントを放射性廃棄物に
適用しただけであるためである。
(2)セメント中に可溶性成分があつて、水浸漬時の新
たな空隙発生をもたらす。従来技術の一つには、焼成Ca
Oの膨張材の併用が放射能の浸出を低下させるのに効果
的であるとしているが、これは可溶性成分を生成する。
したがつて、従来技術は、放射性廃棄物のセメント固
化体の固化材として、十分な性能を有していない。
本発明の目的は、放射性廃棄物のセメント固化体にお
いて要求される空隙率を実験的に明らかにし、放射性廃
棄物固化体からの放射能浸出量が少ない放射性廃棄物の
固化方法及び固化体を提供することにある。
また、セメント中に生成する可溶性成分が水浸漬時に
溶出し、セメント固化体の放射能浸出率を高めることを
実験的に見出し、これを防止するため水浸漬時でも放射
能浸出率を低く抑えることができる放射性廃棄物のセメ
ント固化方法および固化体を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記の目的は、以下の手段によつて達成される。
すなわち、放射能浸出量を最小にするため空隙率が20
vol%以下であるようにする。このような空隙率を得る
ために、水/セメント比,固化材と廃棄物との混合物の
硬化時間,有機高分子の添加などの操作条件を決定す
る。
また、可溶性成分Ca(OH)の生成を防止するため、
セメント中のCaO含有率を0.62×Csio2+0.27×CAl2o3
越え、かつ1.87×Csio2+2.20×CAl2o3未満とする[た
だし、Csio2:SiO2重量換算のケイ素含有率(wt%)、C
Al2o3:Al2O3重量換算のアルミニユウム含有率(wt
%)]。
〔作用〕
固化体からの放射能浸出は、固化体の硬化の際、固化
体内に形成される気泡が連続することにより発生する。
従つて固化体内に大きな気泡が形成されてもそれが連続
して形成されなければ放射能浸出は発生しない。本発者
によれば、微細な(1μm以下)気泡がある程度の量形
成された場合に気泡が連続して形成され、それによつて
放射能浸出が発生することが分つた。そして、この放射
能浸出を最小にするためには、固化体中のセメント硬化
物の空隙率が20vol%以下とすれば良いことが分つた
(微細な気泡が連続しなくなる。)空隙率の調整方法と
しては、次の方法が考えられる。即ち、水/セメント比
の調整によつて、セメントの硬化に必要な水を確保し、
かつ余剰水による空隙率の増加を防止できる。また、固
化材と混合物の硬化時間の調節によつて、混合時にセメ
ント中に入つてしまう空気の脱離に必要な時間を確保で
き、空隙率増加を抑制できる。また、有機高分子の添加
によつて、残留した空隙を埋めることができる。
また、セメント中のCaO含有率の調整によつて、次の
作用が得られる。すなわち、セメント中のSiO2及びAl2O
3は、CaOの水和によつて生成する可溶性のCa(OH)
反応して、不溶性のCaO−SiO2−H2Oゲル及び不溶性のCa
O−Al2O3−H2Oゲルとなる。これによつて、セメント中
の可溶性成分の生成が防止でき、水浸漬時においても放
射能浸出を高めるような空隙の発生を防止できる。
〔実施例〕
最初に、本発明に至つた2つの基礎実験の結果につい
て述べる。
まず、放射性廃棄物のセメント固化体において要求さ
れる空隙率の条件を決定した基礎実験結果を述べる。第
1図にその基礎実験結果を示す。実験では、水/セメン
ト比,有機高分子の添加量を調節して空隙率の異なるセ
メントの硬化体を作成した。硬化体の作成に当つては、
所定の水/セメント比,有機高分子の添加量に合わせ
て、セメントを混練し、20℃、28日間密封養生した。こ
れを、50φ×5mm t円板とし、一方の面に放射性の134Cs
を含む溶液を接触させ、他方の面に純水を接触させる。
このようにして、純水中に浸出してくる放射能量を測定
し、最終的にセメント硬化体の拡散係数を算出した。拡
散係数は大きいほど、放射能は固化体から浸出し易くな
る。また、空隙率は水銀圧入法とアルキメデス法とを併
用し、放射能浸出に寄与する1μm以下の空隙量を測定
し、空隙率を算出した。第1図から空隙率20vol%を境
として拡散係数が大きくなり、放射能が浸出し易くなる
ことがわかる。従つて、放射能が浸出し難い放射性廃棄
物固化体を作成するためには、固化材であるセメントの
硬化体の空隙率を20vol%以下にする必要があることが
わかつた。
次に、もう一つの基礎実験の結果であるセメント中の
CaO含有率を決定した根拠について述べる。第2図に可
溶性成分であるCa(OH)の生成範囲と硬化可能な範囲
をCaO−SiO2−Al2O3の三元状態図で示す。ここでは、Ca
O,SiO2及びAl2O3の含有率を変えるため、セメント中の
これらの成分の含有率が異なる市販セメントを用い、水
/セメント比0.19となるように水を加え、有機高分子と
してスチレン・ブタジエン共重合体エマルジヨンをセメ
ント100重量部当たり5重量部を加えて硬化させた。こ
の硬化体の熱重量変化を熱天秤によつて測定し、Ca(O
H)がCaOとH2Oに分解する温度での重量減少量からCa
(OH)の生成量を求めた。このようにして求めた実験
値と、熱力学的な化学平衡計算から、第2図に見られる
ような範囲を求めた。ここで、CaOが少ない場合に硬化
しない範囲があるのは、セメントの硬化が次のような反
応によるためで、セメントの硬化においてはCa(OH)
の生成が必須である。
CaO+H2O→Ca(OH) Ca(OH)+SiO2 →CaO−SiO2−H2Oゲル しかしながら、CaOの含有率が高くなると、生成したC
a(OH)が、そのままセメント硬化体中に残留する。
また、第2図の本発明の範囲を数式で表わすと次のよ
うになる。
Ccao>0.62×Csio2+0.27×CAl2o3 かつ Ccao<1.87×Csio2+2.20×CAl2o3 ここで、Ccao:CaO重量換算のカルシウム含有率(wt
%)、CSiO2:SiO2重量換算のケイ素含有率(wt%)、C
Al2o3:Al2O3重量換算のアルミニユム含有率(wt%) 従つて、放射能が浸出し難い放射性廃棄物固化体を作
成するためには、固化材であるセメントのCaO含有率を
所定の範囲内にあるようにする必要がある。
以上の結果から,放射能が浸出し難い放射性廃棄物固
化体を作成するためには、固化材であるセメントとし
て、CaO含有率が第2図の範囲内にあるセメントを用
い、かつ、そのセメントの硬化体の空隙率を20vol%以
下にする必要がある。
以下、上記の放射能が浸出し難い放射性廃棄物固化体
を作成するための、具体的条件及び効果を実施例として
図面を用いて詳細に説明する。
まず、固化材であるセメントのCaO含有率を第2図の
範囲内に調整した際の具体的な効果を見るために、水浸
漬時のセメント固化体の強度を測定した。第3図に、イ
オン交換樹脂廃棄物を固化したセメント固化体の30日間
水浸漬後の圧縮強度を示す。ここでは、セメントとして
Al2O3の含有率が20wt%以下と少なく、かつCaOの含有率
を第2図の範囲内にある市販セメントを用い、水/セメ
ント比0.19となるように水を加え、同時に有機高分子と
してスチレン・ブタジエン共重合体エマルジヨンをセメ
ント100重量部当たり5重量部を加えて混合した後、乾
燥重量換算で20wt%となるように50wt%含水樹脂を加え
て固化した。このようにして作成した固化体を20℃で30
日間水に浸漬した後、圧縮強度を測定した。この場合の
セメントはAl2O3の含有率が少ないため、主要成分であ
るCaO/SiO2の含有比をパラメーターとして、圧縮強度の
測定結果を第3図に示す。第3図に見られるように、Ca
O/SiO2比が1.5以上、かつ2.3以下、特に1.5以上、2以
下で強度の高い固化体が得られる。ここで、CaO/SiO2
の下限は、セメントの硬化反応によつて生成する不溶性
のCaO−SiO2−H2Oゲルの組成範囲を逸脱し、セメントそ
のものの硬化反応が進行しなくなるためである。また、
以下の理由により、強度の高い固化体は、放射能の浸出
量も小さい。すなわち、上記実施例のイオン交換樹脂廃
棄物は、水を吸収して膨張する性質を持つており、固化
体を水に浸漬した際にイオン交換樹脂が水を吸収して膨
張し、固化体を破損させたり、固化体の強度を低下させ
る。従つて、固化体に水を通す経路があると、水を通し
易く、かつ、放射性物質が浸出し易くする。
以上の結果、固化材であるセメントのCaOの含有率を
第2図の範囲内に調整することによつて、強度の高く、
かつ、放射能の浸出が少ない固化体を作成できることが
確認できた。また、セメントの硬化反応の点から、CaO
含有率の下限もあることがわかつた。
次に、空隙率の調整方法について、水/セメント比と
硬化時間の2つの具体的な例を述べる。
まず、水/セメント比による空隙率の調整方法につい
て述べる。ここでは本発明の一例として、CaO,SiO2,Al2
O3の含有率がそれぞれ、49,30,11wt%である市販セメン
トを用い、水/セメント比をパラメーターとして、セメ
ントのみの硬化体を作成した。また、必要に応じ、有機
高分子としてスチレン・ブタジエン共重合体エマルジヨ
ンを添加した。この結果を、第4図の黒丸で示すが、空
隙率と水/セメント比にはほぼ直線関係が成立し、水/
セメント比を0.2未満とすることによつて、空隙率20%
以下にできることがわかる。また、SiO2の含有率が高い
セメントでは、主要な水和物は4CaO・3SiO2・3/2H2Oで
あり、セメントの水和によつて100%この水和物になる
と仮定すると、この時の水/セメント比は(3/2H2O)/
(CaO・3SiO2)で求まり、0.17となる。この値は空隙率
20%の水/セメント比とよく一致する。
一方、Al2O3含有率50wt%以上となると、セメントの
硬化反応による生成物が異なるため、第4図白丸で示す
ように、空隙率20%が得られる水/セメント比が異な
る。これは、このようなセメントの硬化反応が早く、実
験的に求められなかつたため、次の様にして求めた。す
なわち、SiO2の含有率が高い場合の計算と同様に、Al2O
3含有率が高い場合には、その水和反応が下式で表わさ
れ、 3(CaO・Al2O3)+12H2O →3CaO・Al2O3・6H2O+4Al(OH) その時の水/セメント比は12H2O/(CaO・Al2O3)でもと
められ、0.45となる。このことからAl2O3含有率が50wt
%以上と高いセメントでは、空隙率を20%以下にするた
めに、は、水/セメント比を0.45以下にすれば良いこと
がわかる。
次に、硬化時間と空隙率の関係を述べる。第5図にこ
の関係を示す。ここでは、セメントを廃棄物を含まない
状態(ただし、高分子添加材や、従来技術で言う骨材な
どの混和剤を含む)での硬化時間を基準とし、放射性廃
棄物として硫酸ナトリウムのペレツトやイオン交換樹脂
粒子を固化した場合のセメント硬化物中の空隙率を示し
た。第5図からわかるように、硬化時間が長くなるに従
つて、空隙率が低下する。これは、硬化時間が短い場合
には、セメント混合時やセメントの固化体容器への注入
時に混入した空気によるものである。放射性廃棄物を固
化する場合には、硬化時間が、セメントだけの場合に比
べて、1/3〜1/4になり、混入した空気は抜け難くなつて
いる。従つて、放射性廃棄物のセメント固化体に要求さ
れる空隙率20vol%以下とするためには、セメントのみ
を硬化した場合の硬化時間を基準とすると、8時間以上
必要であることがわかる。一方Al2O3含有率が高くなる
と、硬化時間が短くなり、本発明の範囲から逸脱する。
これを防止するためには、凝結遅延材の併用が必要であ
る。凝結遅延材としては、石膏、砂糖などの炭化水素,
ケイフツ化物(ヘキサフルオロ燐酸塩),酒石酸,フミ
ン酸,リグニンスルホン酸,硼酸,燐酸などの酸とその
塩類,酸化亜鉛などが使用できる。
以上の結果、本発明で言う空隙率20vol%以下に調整
できる。
次に、本発明の具体的な効果を見るために、以上の結
果に基づき固化体を作成し、水浸漬時のセメント固化体
の強度を測定した。第6図に、イオン交換樹脂廃棄物を
固化したセメント固化体の場合について、水浸漬の前後
の圧縮強度を測定した結果を示す。ここでは、本発明の
一例としてCaO含有率が第2図の範囲内で、CaO,SiO2,Al
2O3の含有率がそれぞれ、49,30,11wt%である市販セメ
ントを用い、水/セメント比0.13以上2未満の条件で、
有機高分子であるスチレン・ブタジエン共重合体エマル
ジヨンの添加量をパラメーターとしてイオン交換樹脂を
固化した。イオン交換樹脂は、乾燥重量換算で20wt%と
なるように、50wt%含水樹脂で加えた。第6図から有機
高分子の添加量0.001〜0.15の範囲で、水浸漬後でも、
本発明による固化体は十分な強度を有している。また、
前述の理由により、放射能の浸出も小さいことがわか
る。ここで、有機高分子に注目してみると、その添加に
よる大きな効果がある。これは、有機高分子がセメント
粒子間の流動性を高める効果と、硬化後のセメント中に
残留する空隙を埋める効果のためである。有機高分子の
添加量が上述の0.001〜0.15の範囲にあるセメントの拡
散係数は、第1図の左側のグループに属し、従来のセメ
ントに比べて小さい。従つて、前述のCaO含有率の限定
との組み合わせにより従来技術にはない放射能の浸出抑
制の効果が得られる。
本発明は、これまで記述した実施例に限定されること
はなく、以下の変形が可能である。
上記実施例では、CaO含有率が第2図の範囲内にある
市販セメントを用いたが、CaO含有率の高いセメントに
対して、SiO2,Al2O3の含有率が大きく、かつ、潜在水硬
性をもつ物質、すなわち、フライアツシユ,スラグ,ポ
ゾランなどを添加してもよい。この物質は、セメントの
水和反応によつて生成するCa(OH)に接することによ
つて、水硬性を示すもので、第2図の硬化不能域のう
ち、比較的、CaOの含有率の高いものである。従つて、
砂などの骨剤は含まれない。これらの物質の混合による
CaO含有率の調整は、工場生産段階で実施されるのが望
ましいが、使用時に調整してもよい。
また、セメントのCaO含有率が第2図の範囲外にあつ
ても、可溶性のCa(OH)を生成しなければよい。具体
的には、CaO,SiO2,Al2O3を主成分としない、燐酸塩セメ
ントなどを用いてもよい。
上記実施例では、放射性廃棄物として、主に、イオン
交換樹脂粒子を用いたが、他の廃棄物、例えば硫酸ナト
リウムペレツト、焼却灰ペレツト、硼酸ナトリウムペレ
ツトなどにも適用しても、同様の効果を奏する。また、
セメントと放射性廃棄物を均一に混合して固化する均質
固化にも適用できるが、硫酸ナトリウムや硼酸ナトリウ
ムでは、これらの廃棄物が溶解し易いため、水浸漬時に
廃棄物の溶解による空隙が発生するので本発明による効
果は小さくなる。従つて均質固化の場合は、イオン交換
樹脂などのように水に溶解しない廃棄物に対して有効で
ある。
前述の実施例では、有機高分子としてスチレン・ブタ
ジエン共重合体のポリマーエマルジヨンを使用したが本
発明はこれに限定されることはない。本発明で使用でき
る他のポリマーエマルジヨンとして、ポリプロピオン酸
ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酪酸ビニルなどのポリマ
ーを水に懸濁したエマルジヨンが使用できる。
また、有機高分子として、水に可溶な物質、すなわ
ち、ポリアルキルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸
ホルムアルデヒド縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホル
ムアルデヒド縮合物の塩、高分子量リグニンスルホン酸
塩、ポリカルボン酸塩、多価アルコールなどが使用でき
る。これら水に可溶な有機高分子を、前述のポリマーエ
マルジヨンと併用すると効果は大きくなる。また、これ
ら水に可溶な有機高分子のみで使用することも可能であ
るが、前述のポリマーエマルジヨンよりは効果が小さ
い。
〔発明の効果〕
本発明によれば放射能の浸出が少ないセメント固化体
を提供できる。また、水浸漬時において放射能浸出量の
増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は放射性廃棄物のセメント固化体において要求さ
れる空隙率の条件を決定した基礎実験結果を示した図、
第2図はセメント中のCaO含有率を決定した基礎実験結
果を示した図、第3図は本発明によるセメント固化体の
水浸漬後の強度を示した図、第4図に空隙率と水/セメ
ント比の関係を示した図、第5図は硬化時間と空隙率の
関係を示した図、第6図は本発明によるセメント固化体
の水浸漬前後の強度を有機高分子添加量パラメーターと
して示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 務 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 西 高志 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 菊池 恂 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (56)参考文献 特開 昭63−205600(JP,A) 特開 昭60−168097(JP,A) 特開 昭61−250597(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21F 9/16 G21F 9/30

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射性廃棄物のセメント固化方法におい
    て、カルシウム、ケイ素及びアルミニュウムを主成分と
    しカルシウムの含有量が下式の範囲にあるセメントを、
    固化体中の当該セメント硬化物の空隙が20vol%以下と
    なるように硬化させることを特徴とする放射性廃棄物の
    セメント固化方法。 Ccao>0.62×Csio2+0.27×CAl2o3 かつ Ccao<1.87×Csio2+2.20×CAl2o3 ここで、CcaoはCaO重量換算のカルシウム含有率(wt
    %)、Csio2はSiO2重量換算のケイ素含有率(wt%)、C
    Al2o3はAl2O3重量換算のアルミニュウム含有率(wt%)
  2. 【請求項2】水/セメント重量比を0.2未満とすること
    によつて、固化体中の当該セメント硬化物の空隙率を20
    vol%以下とすることを特徴とする請求項1の放射性廃
    棄物のセメント固化方法。
  3. 【請求項3】セメントの硬化時間が8時間以上、もしく
    は、凝結遅延剤の添加によつてセメントの硬化時間が8
    時間以上に調整されたセメントを用いることによつて、
    固化体中の当該セメント硬化物の空隙率を20vol%以下
    とすることを特徴とする請求項1の放射性廃棄物のセメ
    ント固化方法。
  4. 【請求項4】水/セメント重量比を0.2未満とし、かつ
    セメントの硬化時間が8時間以上、もしくは、凝結遅延
    剤の添加によつてセメントの硬化時間が8時間以上に調
    整されたセメントを用いることによつて、固化体中の当
    該セメント硬化物の空隙率を20vol%以下とすることを
    特徴とする請求項1の放射性廃棄物のセメント固化方
    法。
  5. 【請求項5】放射性廃棄物のセメント固化方法におい
    て、アルミナセメント及び燐酸塩セメントのいずれか
    を、固化体中の当該セメント硬化物の空隙率が20vol%
    以下となるように硬化させることを特徴とする放射性廃
    棄物のセメント固化方法。
  6. 【請求項6】セメントの硬化時間が8時間以上であるセ
    メント、もしくは、凝結遅延剤の添加によつてセメント
    の硬化時間が8時間以上に調整されたセメントを用いる
    ことによつて、固化体中の当該セメント硬化物の空隙率
    を20vol%以下とすることを特徴とする請求項5の放射
    性廃棄物のセメント固化方法。
  7. 【請求項7】放射性廃棄物のセメント固化方法におい
    て、カルシウムの含有量が下式の範囲にあるセメント
    を、固化体中の当該セメント硬化物の空隙が20vol%以
    下となるように硬化させることを特徴とする放射性廃棄
    物のセメント固化方法。 Ccao>0.62×Csio2+0.27×CAl2o3 かつ Ccao<1.87×Csio2+2.20×CAl2o3 ここで、CcaoはCaO重量換算のカルシウム含有率(wt
    %)、Csio2はSiO2重量換算のケイ素含有率(wt%)、C
    Al2o3はAl2O3重量換算のアルミニュウム含有率(wt%)
  8. 【請求項8】放射性廃棄物のセメント固化方法におい
    て、カルシウム、ケイ素及びアルミニュウムを主成分と
    しカルシウムの含有量が下式の範囲出、かつ空隙率が20
    vol%以下であるセメント硬化物が、放射性廃棄物粒子
    がつくる間隙部分を充填していることを特徴とする放射
    性廃棄物のセメント固化方法。 Ccao>0.62×Csio2+0.27×CAl2o3 かつ Ccao<1.87×Csio2+2.20×CAl2o3 ここで、CcaoはCaO重量換算のカルシウム含有率(wt
    %)、Csio2はSiO2重量換算のケイ素含有率(wt%)、C
    Al2o3はAl2O3重量換算のアルミニュウム含有率(wt%)
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