JP2781547B2 - 管推進方法および推進装置 - Google Patents

管推進方法および推進装置

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JP2781547B2
JP2781547B2 JP18700696A JP18700696A JP2781547B2 JP 2781547 B2 JP2781547 B2 JP 2781547B2 JP 18700696 A JP18700696 A JP 18700696A JP 18700696 A JP18700696 A JP 18700696A JP 2781547 B2 JP2781547 B2 JP 2781547B2
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propulsion
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partition
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清徳 寒川
洋 鈴木
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長野油機株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は管推進方法および推
進装置に関し、特に、人が入ることができない小口径の
管を推進装置のヘッドに後続して滞水砂層を推進するの
に適する方法および推進装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ヘッドの先端に取り付けたカッタによっ
て土砂を掘削し、掘削した土砂をヘッド内に配置したオ
ーガコンベヤによって後方へ排出する推進装置では、他
の推進装置と同様に、ヘッドが推進した体積に相当する
土砂を後方へ排出し、これによって切羽の圧力と平衡を
保ち、切羽の安定を図っている。ところが、水の溜った
いわゆる滞水砂層では、切羽に働く水圧によって土砂の
ヘッドへの取り込み量が多くなり過ぎ、排出能力を上回
ってしまう現象が発生することがある。この現象が発生
すると、切羽と平衡を保った状態でのヘッドの推進がで
きなくなるため、切羽の崩落が起こるおそれがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記現象に対処するた
め、たとえば、オーガコンベヤの送り羽根を取り付けた
軸とケーシングとの間に圧縮空気によって膨張可能なピ
ンチ弁を取り付け、ピンチ弁に供給する空気量を変えて
土砂が通過するすきまの大きさを調整できるようにした
推進装置がある。この推進装置では、袋体で形成された
ピンチ弁が常に土砂と接触する状態におかれているた
め、ピンチ弁に損傷が発生し易く、その損傷によってピ
ンチ弁としての機能を発現できなくなるおそれがある。
また、ピンチ弁に供給する圧縮空気の圧力を、排出され
る土砂量の状態その他から決定して調整する必要がある
ため煩雑である。
【0004】本発明は、排出能力を上回るような土砂の
ヘッドへの取り込みが生じたとき、これを直ちに解消し
て切羽の崩落を防止できる、煩雑さのない、管推進方法
及び推進装置を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】本発明
は、推進装置のヘッドであって仕切り部を有し、この仕
切り部が前記ヘッドの内部を切羽側の前方室と、後方室
とに仕切り可能、かつ、仕切りを解放可能であるヘッド
を地盤中に推進し、前記ヘッドに後続する管を地盤中に
推進する方法である。前記仕切り部を、前記ヘッドに固
定された弁座部と、前記ヘッドの推進方向において前記
弁座部の後方となる第1のシールを有し、前記弁座部に
対して前記ヘッドの推進方向の前方と後方とへ移動可能
である可動部とによって形成する。そして、前記可動部
の前記第1のシールを切羽の圧力より所定以上高い圧力
で前記弁座部に押し付けて推進する。
【0006】ヘッドの前方室の圧力が所定以上高い圧力
になると、可動部はヘッドの推進方向の後方へ向けて動
く。その結果、排出能力を上回るような土砂の取り込み
が生じたとき、土砂は後方室へ逃げる。前方室の圧力が
下がると、可動部はヘッドの推進方向の前方へ向けて動
き、第1のシールを弁座部に押し付ける。
【0007】排出能力を上回るような土砂の取り込みが
生じたとき、前方室の土砂を後方室へ逃がすため、ヘッ
ドは切羽の圧力と平衡を保った状態で推進する。これに
よって、切羽の崩落を防止できる。
【0008】第1のシールを弁座部に押し付ける圧力
は、切羽の圧力より所定以上高くなるように設定してお
くだけでよく、特に調整を必要とすることがないため、
煩雑さはない。
【0009】好ましい態様では、前記可動部は、前記ヘ
ッドの推進方向の前方の移動限界と後方の移動限界との
間で移動可能であり、前記ヘッドの推進を停止したと
き、前記可動部を後方の移動限界まで移動して別のシー
ルを働かせ、これによって前記前方室の圧力を受け止め
る。
【0010】ヘッドの後続の管を継ぎ足す際、可動部の
後方の移動限界までの移動によって別のシールが働き、
前方室の圧力、すなわち、切羽の圧力を受け止めるた
め、推進停止時の切羽の崩落を防止できる。
【0011】本発明はまた、推進装置のヘッドであって
仕切り部と、この仕切り部を支持する筒状部材とを有
し、前記仕切り部が前記ヘッドの内部と切羽とを実質的
に遮断可能、かつ、遮断を解放可能であるヘッドを地盤
中に推進し、前記ヘッドに後続する管を地盤中に推進す
る方法である。前記仕切り部を、前記筒状部材に固定さ
れた弁座部と、前記ヘッドの推進方向の前方と後方とへ
移動可能に前記筒状部材に取り付けられた可動部とによ
って形成すると共に、前記可動部を切羽の圧力より所定
以上高い圧力で前記弁座部に押し付けて推進する。
【0012】仕切り部の前方の圧力が所定以上高い圧力
になると、可動部はヘッドの推進方向の後方へ向けて動
く。その結果、排出能力を上回るような土砂の取り込み
が生じたとき、土砂は仕切り部の後方へ逃げる。仕切り
部の前方の圧力が下がると、可動部はヘッドの推進方向
の前方へ向けて動く。
【0013】排出能力を上回るような土砂の取り込みが
生じたとき、仕切り部の前方の土砂を後方へ逃がすた
め、ヘッドは切羽の圧力と平衡を保った状態で推進す
る。これによって、切羽の崩落を防止できる。
【0014】可動部を弁座部に押し付ける圧力は、切羽
の圧力より所定以上高くなるように設定しておくだけで
よく、特に調整を必要とすることがないため、煩雑さは
ない。
【0015】好ましい態様では、前記筒状部材は、前記
ヘッドの推進方向の前方の移動限界と後方の移動限界と
の間で移動可能であり、前記ヘッドの推進を停止したと
き、前記筒状部材を後方の移動限界まで移動してシール
を働かせ、これによって前記切羽の圧力を受け止める。
【0016】ヘッドの後続の管を継ぎ足す際、筒状部材
の後方の移動限界までの移動によってシールが働き、切
羽の圧力を受け止めるため、推進停止時の切羽の崩落を
防止できる。
【0017】本発明はまた、地盤中を推進される筒状の
ヘッドであって仕切り部を有し、この仕切り部が前記ヘ
ッドの内部を地盤の切羽側の前方室と、後方室とに仕切
り可能、かつ、仕切りを解放可能であるヘッドを備える
推進装置である。前記仕切り部は、前記ヘッドに固定さ
れた弁座部と、前記ヘッドの推進方向において前記弁座
部の後方となる第1のシールを有し、前記弁座部に対し
て前記ヘッドの推進方向の前方と後方とへ移動可能であ
る可動部とからなる。この可動部は、切羽の圧力より所
定以上高い圧力で前記第1のシールを前記弁座部に押し
付け可能な押し付け手段を備える。
【0018】ヘッドの前方室の圧力が押し付け手段に設
定した圧力を上回ると、可動部の押し付け手段がヘッド
の推進方向の後方へ押し戻され、第1のシールが弁座部
から離れる結果、前方室の圧力は後方室へ逃げる。前方
室の圧力が押し付け手段に設定した圧力を下回ると、押
し付け手段がヘッドの推進方向の前方へ向けて押し出さ
れ、第1のシールが弁座部に押し付けられる。
【0019】前方室と後方室とを仕切る仕切り部を弁座
部と可動部とによって形成し、ヘッドの推進方向におい
て弁座部の後方となる第1のシールを可動部に設けてい
るため、前方室と後方室との仕切りと、その解放とを第
1のシールによって達成できる。また、第1のシールを
押し付け手段によって弁座部に押し付けて圧力調整を行
うため圧力調整が簡単である。さらに、第1のシールは
その内部に空気を導く必要がないため、第1のシールに
損傷が生じても、シール機能が全く失われてしまうこと
はない。
【0020】前記可動部は、前記ヘッドの軸線方向すな
わちヘッドの推進方向へ伸び、かつ、推進方向へ移動可
能である筒状部材を備えることが好ましい。この場合、
前記押し付け手段は、前記筒状部材と同軸に筒状部材の
外側に配置されるシリンダであって前記ヘッドの推進方
向において前方となるシリンダ端部に前記第1のシール
を取り付け、前記筒状部材に沿って移動可能であるシリ
ンダを備えることができる。このシリンダはばね力によ
って前記第1のシールを前記弁座部に押し付けるように
形成される。
【0021】可動部の筒状部材を押し付け手段のシリン
ダのガイドとして使用できるため、シリンダの弁座部に
向く移動または弁座部から離れる移動を簡単な構造で達
成でき、第1のシールが弁座部に押し付けられ、また弁
座部から離れるのを確実にすることができる。加えて、
筒状部材の移動によって押し付け手段をヘッドの推進方
向へ移動させ、第1のシールが弁座部から離れた状態に
保つことができる。これは、切羽の圧力が前方室に働か
ないとき、前方室と後方室とを連通した状態で推進する
ことを可能にする。さらに、筒状部材を後方の移動限界
まで移動して別のシールを働かせることが可能であるた
め、推進停止時の切羽の崩落を防止できる。
【0022】前記筒状部材は、前記前方室と前記シリン
ダとに液体を供給可能であることが好ましい。
【0023】前方室への水その他の液体の供給によって
切羽の圧力と平衡させることができるが、この供給を可
動部の筒状部材で行うため、水を供給するための配管を
省略することができる。これは、特に、小口径の管を推
進する場合のスペース的な制約を解消することとなる。
また、シリンダにも水を供給することによって、シリン
ダに取り付けた第1のシールの前方面に前方室から働く
水圧と、第1のシールの後方面にシリンダから働く水圧
とを実質的に相殺させることができるため、第1のシー
ルを弁座部に押し付けるためのばね力または流体力を小
さくすることができる。
【0024】前記筒状部材は二重管とすることができ
る。この場合、二重管の一方の空間は前記前方室に液体
を供給可能とし、前記二重管の他方の空間は前記シリン
ダに液体を供給可能に形成する。
【0025】前方室に供給する液圧とシリンダに供給す
る液圧とを異ならせ、後者を前者より高く設定する。こ
れにより、シリンダに供給する液圧によって第1のシー
ルを弁座部に押し付けることができる。すなわち、前方
室の液圧は切羽の圧力と平衡するように定めるが、シリ
ンダに供給する圧力は前記切羽の圧力より高い圧力に設
定し、その差の圧力によって第1のシールを弁座部に押
し付けることができる。
【0026】前記筒状部材は、オーガコンベヤの送り羽
根を外周面に取り付けることができる。
【0027】筒状部材の外周面に送り羽根を取り付け、
さらに、筒状部材をケーシング内に収容することによっ
てオーガコンベヤを形成する。これによって、ヘッドの
カッタで掘削した土砂をオーガコンベヤによって後方へ
排出できることとなり、簡便な推進装置を得ることがで
きる。
【0028】前記筒状部材の外周面に送り羽根を取り付
ける場合、前記ヘッドの推進方向において前記弁座部の
前方となる第2のシールを筒状部材に取り付ける。この
第2のシールは、前記筒状部材が後方の移動限度まで移
動したとき、前記弁座部に押し付けられる。または、前
記後方室を前記オーガコンベヤのケーシングの内部に連
通させる、ヘッドの推進方向の後方に向けて先細状とな
った筒状の壁を前記ヘッドに設けると共に、前記筒状部
材が後方の移動限度まで移動したとき、前記筒状の壁に
押し付けられる第3のシールを前記押し付け手段に取り
付ける。
【0029】推進装置のヘッドに後続する管を継ぎ足す
べきとき、筒状部材に取り付けた第2のシールまたは押
し付け手段に取り付けた第3のシールを後方へ移動させ
ると、第2のシールが弁座部に押し付けられ、または押
し付け手段の第3のシールが筒状の壁に押し付けられ、
前方室に働く切羽の圧力を受け止める。これによって、
推進停止時の切羽の崩落を防止できる。
【0030】本発明はまた、地盤中を推進される筒状の
ヘッドであって仕切り部と、この仕切り部を支持する筒
状部材とを有し、前記仕切り部が前記ヘッドの内部と切
羽とを実質的に遮断可能、かつ、遮断を解放可能である
ヘッドを備える推進装置である。前記仕切り部は、前記
筒状部材に固定された弁座部と、前記ヘッドの推進方向
の前方と後方とへ移動可能に前記筒状部材に取り付けら
れた可動部とからなり、この可動部は、切羽の圧力より
所定以上高い圧力で前記可動部を前記弁座部に押し付け
可能な押し付け手段を備える。
【0031】仕切り部の前方の圧力が押し付け手段に設
定した圧力を上回ると、可動部の押し付け手段がヘッド
の推進方向の後方へ押し戻される結果、仕切り部の前方
の圧力は後方へ逃げる。仕切り部の前方の圧力が押し付
け手段に設定した圧力を下回ると、押し付け手段がヘッ
ドの推進方向の前方へ向けて押し出され、可動部は弁座
部に押し付けられる。
【0032】ヘッドの内部と切羽とを仕切る仕切り部を
弁座部と可動部とによって形成しているため、切羽とヘ
ッドの内部との遮断と、その解放とを可動部によって達
成できる。また、可動部を押し付け手段によって弁座部
に押し付けて圧力調整を行うため圧力調整が簡単であ
る。さらに、特にシールを設ける必要がないため、シー
ル部分の損傷事故は起こらない。
【0033】前記押し付け手段は、前記筒状部材と同軸
に筒状部材の外側に配置され、前記筒状部材に沿って移
動可能であるシリンダを備えることができる。このシリ
ンダはばね力によって前記可動部を前記弁座部に押し付
けるように形成される。
【0034】筒状部材を押し付け手段のシリンダのガイ
ドとして使用できるため、シリンダの弁座部に向く移動
または弁座部から離れる移動を簡単な構造で達成でき
る。
【0035】前記筒状部材は、前記可動部の前方の部位
と前記シリンダとに液体を供給可能であることが好まし
い。
【0036】水その他の液体を可動部の前方の部位とシ
リンダとに供給することによって、液体が作用する面積
差を利用してシリンダを前方へ押し出すことができる
上、可動部の前方の部位に土砂が滞留するのを防ぐこと
ができる。
【0037】好ましい態様では、前記弁座部は、前記筒
状部材に取り付けられた環状の面板であって軸線方向へ
伸びる複数の貫通穴と、これら貫通穴から外れる部位に
設けられた複数のカッタとを有する面板を備え、前記可
動部は、前記複数の貫通穴のそれぞれにすきまをもって
移動可能に差し込まれた攪拌羽根と、これら攪拌羽根を
一体に有する当て板とを備える。
【0038】面板と当て板とによって弁座部と可動部と
を形成しているため、簡単な構造であり、攪拌羽根によ
って土砂が面板の貫通穴に入るのを促すことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】管推進の1つの方法は、筒状のヘ
ッドであって仕切り部を有し、この仕切り部がヘッドの
内部を地盤の切羽側の前方室と、後方室とに仕切り可
能、かつ、仕切りを解放可能であるヘッドを備える推進
装置を使用して実施する。推進装置は、前方室の先端に
あるカッタで掘削した土砂を後方へ排出するオーガコン
ベヤを備える。オーガコンベヤは、筒状部材に送り羽根
を取り付け、筒状部材と送り羽根とをケーシング内に収
容して形成する。筒状部材と送り羽根とは、ヘッドに対
して回転可能であり、かつ、ヘッドの軸線方向すなわち
ヘッドの推進方向の前方と後方とへ所定の距離移動可能
である。前記仕切り部を前記ヘッドに固定された弁座部
と、この弁座部に対して前記ヘッドの推進方向の前方と
後方とへ移動可能な可動部とによって形成し、前記オー
ガコンベヤの前記筒状部材を前記可動部の要素とするこ
とができる。可動部は、ヘッドの推進方向において弁座
部の後方となり、弁座部に密着可能な第1のシールを有
する。可動部は、切羽の圧力より所定以上高い圧力で第
1のシールを弁座部に押し付ける手段を備える。
【0040】前記可動部の前記押し付け手段は、前記筒
状部材と同軸に筒状部材の外側に配置されるシリンダを
備える。シリンダが存在するオーガコンベヤの部分で
は、送り羽根を部分的に取り除いておき、シリンダが筒
状部材に沿って移動できるようにする。シリンダは、ヘ
ッドの推進方向において前方となる端部に前記第1のシ
ールを取り付けている。前記シリンダは、ばね力によっ
てまたは流体力によって前記第1のシールを前記弁座部
に押し付けるように形成する。
【0041】
【実施例】管推進方法は、図1に示すように、推進装置
のヘッド20の内部を切羽22の圧力を直接受ける前方
室24と、前方室24から後方へ連なる後方室26とに
仕切る仕切り部28によって切羽22の圧力を受け止め
つつヘッド20を、ジャッキを有する駆動台34によっ
て地盤30中に推進し、さらに、ヘッド20に後続する
地盤に埋設すべき管32を駆動台34によって地盤30
中に推進する。
【0042】ヘッド20の内部には、前方室24の先端
にあるカッタ36で掘削した土砂を後方へ排出するオー
ガコンベヤ38が配置されている。オーガコンベヤ38
は筒状部材40と、筒状部材40にらせん状に取り付け
られた送り羽根42と、ケーシング43とを備える。筒
状部材40は円筒材からなり、ヘッド20に対して回転
可能、かつ、ヘッド20の軸線方向すなわちヘッドの推
進方向の前方と後方とへ所定の距離、たとえば、100 〜
200mm 移動可能である。カッタ36は筒状部材40の先
端に固着され、円筒状のガイド37を一体に有する。ガ
イド37はヘッド20の先端部に移動可能に挿入されて
いる。後述するように、筒状部材40が軸線方向へ移動
するとき、ガイド37はカッタ36を案内する。
【0043】図1の(a)のように、前方室24と後方
室26とを仕切り部28で仕切る。そして、筒状部材4
0の後方端の注水口44から、切羽22の圧力と実質的
に等しい圧力の泥水のような液体を供給し、吐出口46
から吐出させて、切羽22と、前方室24と、後方室2
6とに泥水を充満させ、平衡を保たせる。推進中、前記
圧力より所定以上高い圧力が前方室24に発生すると、
仕切り部28による仕切りを解放し、前方室24と後方
室26とを、図1の(b)のように連通状態とする。そ
の結果、前方室24内の土砂が後方室26へ排出され、
後方室26を経てオーガコンベヤ38のケーシング43
内に送られる。
【0044】図示の後方室26には、オーガコンベヤの
送り羽根42の一部を省略してあるが、特に、本発明の
対象とする滞水砂層では水が土砂内に大量に含まれてい
るため、後方室28に送り出された土砂は支障なく、水
と共に後方のオーガコンベヤのケーシング43へ排出さ
れる。仕切り部28による仕切りを解放し、前方室24
の圧力が低下した後、図1の(a)のように、再び前方
室24と後方室26とを仕切って推進する。
【0045】仕切り部28を、ヘッド20に固定された
弁座部50と、弁座部50に対してヘッド20の軸線方
向へ移動可能な可動部52であってヘッド20の推進方
向において弁座部50の前方となり、弁座部50に密着
可能なシール54と、ヘッド20の推進方向において弁
座部50の後方となり、弁座部50に密着可能なシール
56とを有する可動部52とに分けると共に、可動部5
2のシール56を前記切羽の圧力より所定以上高い圧力
で弁座部50に押し付けるようにする。
【0046】ヘッド20に後続する管32の実質的に全
長が地盤中に推進されたとき、この管32の後方に別の
管を接続するために、ヘッド20の推進を停止する。こ
のとき、可動部52のシール54が後方へ移動し、図1
の(c)のように、弁座部50に密着して切羽22の圧
力を受け止める。
【0047】仕切り部28は、図2に示すような構造と
することができる。仕切り部28は、ヘッド20に固定
された弁座部50と、弁座部50に対してヘッド20の
推進方向の前方と後方とへ移動可能な可動部52とから
なり、可動部52は、切羽の圧力より所定以上高い圧力
でシール56を弁座部50に押し付ける手段60を備え
る。
【0048】オーガコンベヤの筒状部材40は、前述の
ように、ヘッド20の軸線方向すなわちヘッドの推進方
向へ所定距離移動できることから、可動部52は筒状部
材40を利用して形成されている。ヘッド20の推進方
向において弁座部50の前方となる筒状部材40の部分
にシール54を取り付け、ヘッド20の推進方向におい
て弁座部50の後方となる押し付け手段60の前方の端
部にシール56を取り付けている。
【0049】押し付け手段60は、筒状部材40と同軸
に筒状部材40の外側に配置されるシリンダ62を備え
る。図示の実施例では、シリンダ62は、筒状部材40
と同軸に配置された内側のシリンダ64から半径方向へ
間隔をおいて配置され、Oリングによって液密状態に保
たれた液室66が2つのシリンダ62、64の間に形成
されている。液室66は、穴68を経て筒状部材40の
内部に連通している。シリンダ62は、コイルばね70
によって前方へ押し出され、ストッパ72によって図示
の位置に留まっている。コイルばね70は、筒状部材4
0が前方へ移動し、シール56が弁座部50に突き当た
ったとき、弁座部50から押し込まれる結果、圧縮荷重
を受けるように形成することができる。コイルばね70
の圧縮荷重によってシリンダ62に蓄えられた圧力は、
切羽の圧力より所定以上高い圧力となるように定める。
ここで、所定以上高い圧力は、経験的にまたは実験的に
定めることができる。
【0050】筒状部材40の内部に供給された液体は、
吐出口46から切羽と、前方室24と、後方室26とに
流出してここを充満し、さらに、穴68から液室66に
流出して液室66を充満する。その結果、シリンダ62
に働く液体の圧力は相殺される。したがって、コイルば
ね70の圧縮荷重によってシリンダ62に蓄える圧力
は、前記所定以上高い圧力と切羽の圧力との差に定めれ
ばよい。
【0051】シリンダ64を円筒状の2つのスペーサ7
4とクリップリング76とによって筒状部材40に固定
し、これによって押し付け手段60を筒状部材40に固
定した後、オーガコンベヤの送り羽根の前方室分41を
筒状部材40にスプライン結合する。その後、ヘッド2
0の前方室分21を複数のボルト78によってヘッド2
0の後方室分に取り付け、最後に、前方のシール54や
カッタ36を、送り羽根の前方室分41の軸であって円
筒部材40の一部となる軸39にスプライン結合して、
ヘッド20を組み立てる。
【0052】図3に示すように、流体力による押し付け
手段80を使用することもできる。この場合、筒状部材
82に同軸に配置されるシリンダ84の基本的な構造
は、シリンダ62と実質的に同じであるが、シリンダ8
4にはコイルばねを配置しない。一方、筒状部材82は
二重管とし、その一方の空間を前方室24に連通させ、
他方の空間をシリンダ84の液室86に連通させる。
【0053】図3に示す実施例では、二重管の外側空間
がシリンダ84の液室86に連通し、二重管の内側空間
が前方室24と後方室26とに吐出口83を経て連通し
ている。筒状部材82の後方端にある液室86への供給
口88に液体または空気を圧力状態で供給する。一方、
筒状部材82の後方端にある前方室24および後方室2
6への供給口90に液体を圧力状態で供給する。この場
合、供給口90に付加する圧力は切羽の圧力と実質的に
等しくし、供給口88に付加する圧力は切羽の圧力より
所定以上高くする。両者の圧力設定は、リリーフ弁9
2、94によって行うことができる。
【0054】シリンダ84の液室86の圧力が前方室2
4および後方室26の圧力より高いため、筒状部材82
がヘッド20の推進方向の前方へ移動したとき、シリン
ダ86は前方に向けて押し出され、図3に示すように、
シール56が弁座部50に突き当たっている。推進中、
前方室24の圧力が供給口88に設定した圧力より高く
なると、リリーフ弁92から圧力が逃げるため、押し付
け手段80は押し戻され、シール56が弁座部50から
離れる。これによって、仕切り部28による前方室24
と後方室26との仕切りが解放され、前方室24の土砂
は後方室26へ排出される。前方室24の圧力がリリー
フ弁92に設定した圧力より下がると、押し付け手段8
0のシリンダ84は再び前方に押し出され、シール56
が弁座部50に押し付けられる。
【0055】図1ないし図3に示した実施例では、円筒
部材40、82は、ヘッド20の推進方向において弁座
部50の前方となるシール54を有する。このシール5
4は、円筒部材40、82がヘッド20の推進方向の後
方へ向けて移動したとき、弁座部50と密着し、前方室
24の圧力を受け止める。これに代えて、次のように形
成することもできる。すなわち、図13に示すように、
ヘッド20は、後方室26をオーガコンベヤのケーシン
グ43の内部に連通させる、ヘッド20の推進方向の後
方に向けて先細状となった筒状の壁96を有する。壁9
6は、ヘッド20とケーシング43とに結合されてい
る。そこで、ヘッド20の推進方向においてシリンダ6
2、84の後方となる端部98をシールとし、筒状部材
62、84が後方へ移動したとき、シールである端部9
8を壁96に密着させる。これによって、前方室24の
圧力を受け止める。
【0056】図3に示す実施例では、ヘッド20はオー
ガコンベヤ38のケーシング43に連結され、ケーシン
グ43はアダプタ102に連結されている。さらに、ア
ダプタ102は駆動台34に連結されている。ケーシン
グ43は、埋設すべき管32の内径より小さい外径を有
する複数のセクション管を連結して形成されているが、
セクション管相互の連結やセクション管とアダプタ10
2との連結は、フランジにボルトを通し、ナットをねじ
込むことによって行うことができる。一方、外周面に送
り羽根42を取り付けた円筒部材82は複数のセクショ
ン管を接続して形成され、駆動台34に連結されてい
る。そこで、二重管の筒状部材82を複数のセクション
管で形成し、駆動台34に連結する構造の詳細と、円筒
部材82を軸線方向に移動させる構造の詳細とを次に説
明する。
【0057】オーガコンベヤは、図4ないし図6に示す
ように、オーガコンベヤの後方に位置することとなる後
方のセクション管110と、このセクション管110の
前方に位置することとなる、図7に示す前方のセクショ
ン管112とから基本的に形成できる。各セクション管
の外周には図示は省略したが、送り羽根を取り付ける。
【0058】セクション管110は、移動可能な駆動台
34によって回転可能に支持される円筒状の胴114
と、胴114の前方の端部の連結部115と、胴114
の内周面と外周面とで囲まれた肉部分に設けられた液体
通路116と、液体通路116に液密状態で連通し、外
部の液体供給源に接続可能な接続口117とを備える。
液体通路116は、軸線方向へ前方の連結部115まで
伸びている。
【0059】図5および図6に示した実施例では、後方
のセクション管110の胴114は、駆動台34に回転
可能に支持された円筒状の駆動部118に挿入され、駆
動部118に相対回転不可能に連結されている。胴11
4の内側に円周方向の全周にわたって溝を設けると共
に、この溝を囲むように円筒材120を内側に溶接し、
胴114の内周面と外周面とで囲まれた肉部分の液体通
路116が形成されている。
【0060】胴114の駆動台34から後方へ突出する
部分に、後述する筒状部材の移動装置230を取り付け
る。さらに、円筒状のベアリングシャフト122をOリ
ング124を介在して取り付けて止め輪125で固定
し、接続口117を有する円筒状のハウジング126を
パッキン128とベアリング130とを介在して取り付
け、ベアリング130を止め輪131によってベアリン
グシャフト122に固定する。ベアリングシャフト12
2に、接続口117の穴に連通する穴132と、穴13
2に連通する環状の溝133とを設け、一方、胴114
に、溝133に連通する環状の溝135と、この溝13
5および通路116にそれぞれ連通する穴136とを設
ける。2つのパッキン128によって穴132からの液
漏れを防止し、2つのOリング124によって溝13
3、135からの漏れを防止する。その結果、ハウジン
グ126は胴114に対して液密状態で相対回転可能で
ある。
【0061】胴114の駆動台34から前方へ突出する
部分に環状のフランジ140を胴114と同軸的に溶接
し、2つの通路部142をフランジ140の直径方向に
開ける。この通路部142には、その後、ふた143を
圧入し、液漏れが起こらないようにする。一方、フラン
ジ140の内周面と円筒材120とに環状のスペーサ1
44を溶接し、通路部142を液体通路116に連通さ
せる。各通路部142から胴114の軸線方向へ伸びる
穴145を開ける。
【0062】フランジ140に円筒状の接続胴146を
胴114と同軸的に溶接し、セクション管110が形成
される。接続胴146は連結部115となるもので、図
示の実施例では、セクション管112とスプライン結合
するためのスプライン軸となっており、軸線方向へ伸び
る複数の凸条147と、各凸条147の延長上に設け
た、凸条147の円周方向の幅と等しい幅の溝148と
を有する。円筒状のスペーサ150を溝148を囲むよ
うに接続胴146に同軸的に溶接し、さらに、円筒状の
仕切り152を穴145と溝148の端とを覆うよう
に、スペーサ150に同軸的にスペーサ150とフラン
ジ140とに溶接する。各溶接は、液漏れしないものと
する。その結果、胴114の液体通路116は、穴14
2および穴145を経て、スペーサ150と仕切り15
2とで覆われた溝148に連通する。キー154がフラ
ンジ140に植え込まれており、セクション管110
は、後述するように、キー154によって駆動部118
に回転不可能に連結される。
【0063】中間のセクション管112は、図7に示す
ように、円筒状の胴158と、胴158の後方の端部の
連結部159と、胴158の前方の端部の連結部(この
連結部は図6または図7の連結部115と同じ構造でよ
いため、図示せず)と、胴158の内周面と外周面とで
囲まれた肉部分に設けられ、後方の連結部159から前
方の連結部へ伸びる液体通路160とを備える。図7に
示すように、胴158の後方の端部の連結部159は、
セクション管110の連結部115にスプライン結合す
るためのスプライン穴となるもので、スプライン軸の凸
条147を嵌合する、凸条147と同数の軸線方向へ伸
びる溝162を有する。溝162の円周方向の幅は凸条
147の幅と同じであるが、溝162の深さは、凸条1
47の高さより大きい。その結果、セクション管110
の連結部115とセクション管112の連結部159と
を、Oリング164、166を介在してスプライン結合
すると、図8および図9に示すように、スプラインのな
い部分には、接続胴146とスペーサ150とによって
囲まれた溝148があり、この溝148がスプラインの
ある部分の溝162と凸条147とによって画定される
通路163に連通する。
【0064】セクション管112の胴の外周に円周方向
の全周にわたって伸びる溝を形成し、この溝を円筒材1
68によって覆うように円筒材168を溶接して胴15
8を形成し、円筒材168にスプライン穴を設けて連結
部159とするのが便宜である。その結果、環状の液体
通路160が形成され、スプラインの通路163を経て
溝148に連通する。
【0065】後方のセクション管の連結部115と前方
のセクション管の連結部159とは、図7に示すよう
に、共に二重管で形成し、一方の連結部では、内側の管
の端部を外側の管の端より伸ばし、他方の連結部では、
外側の管の端部を内側の管の端より伸ばし、それぞれの
管の伸びた端部を利用してシール材を配置し、液密状態
を維持すればよい。したがって、図7では、連結部11
5がスプライン軸であり、連結部159がスプライン穴
であるが、逆に、連結部115をスプライン穴とし、連
結部159をスプライン軸とすることもできる。また、
連結部と液体通路とを形成するには、基本的には、各セ
クション管を内側管と外側管との二重管で形成すると共
に、内側管と外側管との位置をずらし、適当な穴を有す
る環状のスペーサを内側管と外側管との間に配して溶接
すればよい。
【0066】セクション管110の連結部115をセク
ション管112の連結部159に連結すると、図7に示
すように、連結部159の後方端が連結部115のスペ
ーサ150の肩151に突き当たる。オーガコンベヤに
よる土砂の搬出はこの状態で行われる。推進装置の推進
後、オーガコンベヤを引き抜く必要があることから、複
数のボルト170によってセクション管110とセクシ
ョン管112とを結合する。最も前方に位置することと
なるセクション管112の中間まで液体通路160を形
成すると共に、液体通路を図3のシリンダ84の液室8
6に連通させる。
【0067】駆動台34は、図4、図5および図10に
示すように、架台172に支持され、ジャッキ174で
移動される。架台172は、平面形状が長方形を呈する
もので、ベース176にねじ機構(図示せず)によって
レベル調整可能に支持されている。
【0068】駆動台34は、架台172に移動可能に支
持される本体部180と、本体部180に一対の軸受1
82によって回転可能に支持された駆動部118と、駆
動部118を駆動する駆動手段184と、アダプタ10
2を結合する駆動手段186とを有する。
【0069】本体部180は、架台172に設けた溝型
鋼173に、この溝型鋼に垂直な方向への抜け不可能
に、かつ、溝型鋼173に沿って移動可能に支持される
溝型部181を下方部分に有し、2つの穴179を両側
部分に有する。穴179に後述するジャッキ174を差
し込む。
【0070】駆動手段184は、油圧モータ190と、
油圧モータ190の軸に固定されたスプロケット192
と、駆動部118に固定されたスプロケット194と、
両スプロケットに掛け渡されたチェーン196とからな
る。セクション管110のフランジ140を駆動部11
8に設けたフランジ119に突き当て、キー154をフ
ランジ119のキー溝198に挿入する。フランジ14
0を貫通するボルト200(図6)をフランジ119に
ねじ込み、セクション管110は相対回転不可能に駆動
部118に連結される。
【0071】一方、駆動手段186は、フランジ202
に固定された歯車204と、油圧モータ206と、油圧
モータ206の軸に固定された、歯車204とかみ合う
歯車208とを有する。歯車204はベアリング210
によって回転可能に支持され、アダプタ102のフラン
ジ103がフランジ202にボルト止めされる。図10
の実施例では、油圧モータ206は左右に2台あリ、そ
れぞれの歯車208が歯車204とかみ合っている。駆
動手段184の油圧モータ190と駆動手段186の油
圧モータ206とは互いに独立に制御される。
【0072】ジャッキ174は、駆動台34の本体部1
80を架台172に沿って移動させる油圧シリンダ装置
であり、本体部180の両側にそれぞれ1つ設けられ
る。ジャッキ174は、架台172と一体の垂直壁21
2にピンにより取り付けられた、先端にピストン(図示
せず)を有するピストンロッド214と、前記ピストン
を滑動可能に収容し、ピストンロッド214を一方の端
部から突出させるチューブ216とを備える。チューブ
216は、本体部180の穴179に差し込まれ、本体
部180に対して移動可能、かつ、固定可能である。
【0073】チューブ216にフランジ218が固着さ
れ、フランジ218は本体部180に当てがわれる。チ
ューブ216は、ピストンロッド214が突出する端部
から遠方となる端部に穴220を有し、一方、本体部1
80はチューブを差し込む穴179に連通する穴222
を有する。2つの穴220、222は、チューブ216
を穴179に沿って移動し、穴220を穴222の位置
にもたらしたとき、整合する。
【0074】ジャッキ174によって駆動台34を移動
させるには、図4の実線で示すように、ピストンロッド
214をチューブ216に対して充分に縮めた状態と
し、フランジ218を本体部180に当接する。ジャッ
キ174を作動すると、チューブ216が移動を始め、
それにつれて本体部180が移動し、ストロークの終り
に、本体部180は仮想線の位置となる。この位置に達
したとき、チューブ216を押し戻し、再びピストンロ
ッド214をチューブ216に対して充分に縮めた状態
とし、本体部180の穴222とチューブ216の穴2
20とにピン224を差し込む。このように結合した
後、ジャッキ174を作動すると、本体部180は、チ
ューブ216のストロークの終りには、図4において架
台172の左端に達する。
【0075】逆に、駆動台34を戻すには、本体部18
0の穴222とチューブ216の穴220とにピン22
4を差し込んだ状態で、ジャッキ174を逆に作動し、
本体部180を仮想線の位置まで戻す。次いで、ピン2
24を抜いてチューブ216を押し出し、ピストンロッ
ド214をチューブ216に対して充分に伸ばした状態
にし、フックフランジ218を回転して外周縁に設けた
突出部を本体部180のL字状の掛止部に係合させる。
その後、ジャッキ174を逆に作動すると、本体部18
0は実線の位置に戻る。このジャッキ174に代えて、
通常の油圧シリンダ装置を使用することができる。
【0076】筒状部材82の移動装置230は、図11
および図12に示すように、セクション管110に対し
て相対回転可能な支持ブロック232と、2つのジャッ
キ234とからなる。支持ブロック232は、2つのベ
アリング236を介してセクション管110に回転可能
に、かつ、セクション管110の軸線方向へ移動不可能
に連結されている。一方、ジャッキ234は、複動式の
油圧シリンダ装置である。そのチューブ238がシリン
ダブロック240に連結され、シリンダブロック240
は支持ブロック232にボルト242によって連結され
ている。油圧シリンダ装置のピストンロッド244は、
駆動台の本体部180に止め金具246を介してボルト
248によって固定されている。2つの油圧シリンダ装
置234は、配管250、252によって相互に連通さ
れ、同期して伸縮される。
【0077】油圧シリンダ装置234の図11の伸長状
態では、図1、図2または図3の前方のシール54が弁
座部50に密着し、また前方のシール54がないとき、
図2のシール98がヘッドの筒状の壁96に密着する。
油圧シリンダ装置230が中間のストロークまで縮小し
た状態では、図1、図2または図3の前方のシール54
も後方のシール56も弁座部50に密着していない。そ
して、油圧シリンダ装置234が十分に縮小した状態で
は、後方のシール56が弁座部50に押し付けられる。
【0078】オーガコンベヤ38を使用するとき、架台
172を所定の場所に設置し、滑剤の接続口260(図
3)を外部の液体供給源に接続し、液体の滑材を供給す
る。これはヘッド20の吐出口262から流出し、ヘッ
ド20と地盤または管32と地盤との摩擦を低減する。
後方の供給口88に泥水または空気を圧力下で供給し、
供給口90に泥水を圧力下で供給する。このとき、供給
口88に供給する流体の圧力を供給口90に供給する泥
水の圧力より高く設定する。移動装置230の油圧シリ
ンダ装置234を縮小した状態にして押し出し手段80
の後方のシール56を弁座部50に押し付け、オーガコ
ンベヤ38を回転し、駆動台34を架台172に沿って
移動させて掘削と排出とを行う。駆動台34の移動によ
ってアダプタ102を介してオーガコンベヤのケーシン
グ43と、埋設すべき管32とが推進される。このと
き、オーガコンベヤのケーシング43は回転、非回転の
いずれでもよいが、回転の場合には送り羽根42の回転
向きとは逆向きに回転するようにする。
【0079】推進中、前方室24の圧力が供給口88に
設定した圧力より高くなると、リリーフ弁92から圧力
が逃げるため、押し出し手段80の後方のシール56が
弁座部50から離れ、土砂は後方室26に排出される。
水を含んだ土砂はその後、壁98に沿って後方のオーガ
コンベヤのケーシング43内に導かれる。前方室24の
圧力が供給口88に設定した圧力より低くなると、押し
出し手段80の後方のシール56が弁座部50に押し付
けられる。
【0080】推進すべき深さがセクション管の複数本に
相当する深さである場合、先頭のセクション管がそのほ
ぼ全長まで進入したとき、駆動台34の移動およびオー
ガコンベヤ38の回転を停止し、移動装置230の油圧
シリンダ装置234を伸長状態にしてシール54を弁座
部50に、またはシール98を筒状の壁96に密着させ
る。そして、先頭のセクション管をセクション管110
から切り離す。このとき、アダプタ102も駆動台34
から切り離す。その後、中継ぎのセクション管と埋設す
べき管32とを先頭のセクション管とセクション管11
0との間にもたらし、セクション管相互をスプライン連
結する。この連結により液体通路が連通される。さら
に、管32を先行の管32と連結する。オーガコンベヤ
38と管32との連結後、再び掘削と推進とを繰り返
す。
【0081】図14に示す推進方法は、推進装置のヘッ
ド300であって仕切り部302と、筒状部材304と
を有し、仕切り部302がヘッド300の内部306と
切羽308とを実質的遮断可能、かつ、遮断を解放可能
であるヘッド300を地盤中に推進し、ヘッド300に
後続する管310を地盤中に推進する。仕切り部302
を、筒状部材304に固定された弁座部312と、ヘッ
ド300の推進方向の前方と後方とへ移動可能に筒状部
材304に取り付けられた可動部314とによって形成
すると共に、可動部314を切羽の圧力より所定以上高
い圧力で弁座部312に押し付けて推進する。
【0082】この推進方法の実施に使用する推進装置
は、ヘッド300の仕切り部302が図1および図2に
示した推進装置のヘッドとは異なるが、その他の構造は
実質的に同じでよい。そこで、ヘッド300の仕切り部
302およびその近傍の構造を図15ないし図17を参
照して説明する。
【0083】仕切り部302の弁座部312は、筒状部
材304の先端部に溶接された環状の面板であり、複数
の、図16に示す実施例では4つの貫通穴316と、こ
れら貫通穴316から外れる部位に取り付けた複数の、
図示の実施例では4つのカッタ318とを備える。4つ
の貫通穴316は正面形状が実質的に同じである。これ
に対し、4つのカッタ318のうち円周方向に180 °間
隔をおいた2つのカッタ318は中心からの距離が同じ
であるが、残りの2つのカッタ318とは中心からの距
離が異なるように配置してある。弁座部312の前方に
は、パイロット部320がボルト322によって筒状部
材304にねじ止めされている。パイロット部320が
まず地盤中に推進され、推進装置はパイロット部320
に案内されて地盤中を推進する。
【0084】仕切り部302の可動部314は、図17
に示すように、4つの攪拌羽根324と、これら攪拌羽
根324を一体に有する当て板326とを備える。攪拌
羽根324は弁座部312の貫通穴316にすきまをも
って差し込まれる。筒状部材304の先端部に設けたシ
リンダ330の外側にシリンダ332が配置され、筒状
部材304の軸線方向に移動可能に支持されている。シ
リンダ332は当て板326に溶接され、可動部314
となっている。コイルバネ334が両シリンダ330,
332間に配置され、可動部314を前方へ向けて押し
出し、当て板326を面板312に押し付けている。こ
のときの押し付け力が切羽に働く圧力より所定以上大き
くなるようにコイルばね334のばね力を定める。
【0085】筒状部材304は全体が円筒材からなる
が、先端部のシリンダ330は、図17に示すように、
外周面が六角形となるように形成されている。一方、外
側のシリンダ332は、その内周面がシリンダ330の
外周面と適合する六角形状を呈する。軸部材340がシ
リンダ330にキー結合されている。シリンダ330
は、筒状部材304の内部空間から伸びる液体通路34
2を有し、この通路342は液室344に連通してい
る。液室344から前方へ伸びる複数の通路346が設
けられ、可動部314の前方に液体を供給可能である。
各通路346からさらに半径方向へ伸びる通路348を
設けることが好ましい。これによれば、水その他の液体
を可動部314の滑動部分へ導き、土砂のかみ込みを防
止できる。
【0086】図18に示す実施例では、弁座部である面
板350は4つの貫通穴352と、カッタ354とを有
する。カッタ354は、2個および3個を貫通穴352
に関連させて配置し、さらに、1個を円周方向に間隔を
おいて配置してある。一方、可動部の当て板356は2
つの攪拌羽根358を有し、これら攪拌羽根358はカ
ッタ354のない貫通穴352にすきまをもって差し込
まれている。
【0087】図15の推進装置を使用する推進方法で
は、押し付け手段であるコイルばね334によって可動
部314の当て板326を弁座部の面板312に押し付
け、ヘッドの内部306と切羽308とを実質的に遮断
状態とする。このようにして切羽と平衡をとりつつ推進
する。仕切り部302の前方の圧力がコイルばね334
に設定したばね力を上回ると、可動部314が図15に
示したように弁座部312から離れ、土砂がヘッド30
0の内部306に入る。土砂はその後、スクリューコン
ベヤ360によって外部へ排出される。
【0088】筒状部材304は、前述のように、ヘッド
300の推進方向の前方の移動限界と後方の移動限界と
の間で移動可能である。そこで、ヘッド300の推進を
停止したとき、筒状部材304を後方の移動限界まで移
動すると、図15の(b)に示すように、シール362
がヘッド300の肉厚部分364の内周面に接するよう
にシール362を筒状部材304に取り付けておく。こ
れによって、切羽の圧力を受け止めて水や土砂を遮断
し、推進すべき管やスクリューコンベヤ360の接続作
業の容易性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る管推進方法の実施例を示す断面図
で、(a)、(b)、(c)は異なる状態を示ししてい
る。
【図2】本発明に係る推進装置のヘッドの実施例の拡大
断面図である。
【図3】本発明に係る管推進方法の別の実施例の断面図
である。
【図4】本発明に係る推進装置の実施例の側面図であ
る。
【図5】本発明に係る推進装置の断面図で、図10の5
−5線に沿って切断したものである。
【図6】図3に示した本発明に係る管推進方法を実施す
る際に使用するオーガコンベヤのセクション管の断面図
である。
【図7】図6に示したオーガコンベヤのセクション管
と、これに接続する別のセクション管とを示す断面図で
ある。
【図8】図7の8−8線に沿って切断した断面図であ
る。
【図9】図7の9−9線に沿って切断した断面図であ
る。
【図10】図4に示した推進装置の正面図である。
【図11】筒状部材を移動する装置の一部を断面とした
平面図である。
【図12】図11に示した装置の正面図である。
【図13】本発明に係る推進装置のヘッドの別の実施例
の拡大断面図である。
【図14】本発明に係る管推進方法の別の実施例の断面
図である。
【図15】本発明に係る推進装置のヘッドのさらに別の
実施例の拡大断面図で、(a)は仕切り部が前方の移動
限度まで進出した状態を示し、(b)は仕切り部が後方
の移動限度まで後退した状態を示している。
【図16】図15に示したヘッドの仕切り部の正面図で
ある。
【図17】図15の17−17線で切断した断面図であ
る。
【図18】ヘッドの仕切り部の別の実施例を示してお
り、(a)は正面図、(b)は一部を破断した側面図で
ある。
【符号の説明】
20,300 ヘッド 22,308 切羽 24 前方室 26 後方室 28,302 仕切り部 32,310 埋設すべき管 38,360 オーガコンベヤ 40,82,304 筒状部材 50,312 弁座部 52,314 可動部 54 前方のシール 56 後方のシール 60,80,334 押し付け手段 62,84 シリンダ 66,86,344 液室 110,112 セクション管 174 ジャッキ 180 本体部 184,186 駆動手段 230 筒状部材を移動する装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E21D 9/06 311 E21D 9/08

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 推進装置のヘッドであって仕切り部を有
    し、この仕切り部が前記ヘッドの内部を切羽側の前方室
    と、後方室とに仕切り可能、かつ、仕切りを解放可能で
    あるヘッドを地盤中に推進し、前記ヘッドに後続する管
    を地盤中に推進する方法であって、 前記仕切り部を、前記ヘッドに固定された弁座部と、前
    記ヘッドの推進方向において前記弁座部の後方となる第
    1のシールを有し、前記弁座部に対して前記ヘッドの推
    進方向の前方と後方とへ移動可能である可動部とによっ
    て形成すると共に、前記可動部の前記第1のシールを切
    羽の圧力より所定以上高い圧力で前記弁座部に押し付け
    て推進する、管推進方法。
  2. 【請求項2】 前記可動部は、前記ヘッドの推進方向の
    前方の移動限界と後方の移動限界との間で移動可能であ
    り、前記ヘッドの推進を停止したとき、前記可動部を後
    方の移動限界まで移動して別のシールを働かせ、これに
    よって前記前方室の圧力を受け止める、請求項1に記載
    の管推進方法。
  3. 【請求項3】 推進装置のヘッドであって仕切り部と、
    この仕切り部を支持する筒状部材とを有し、前記仕切り
    部が前記ヘッドの内部と切羽とを実質的に遮断可能、か
    つ、遮断を解放可能であるヘッドを地盤中に推進し、前
    記ヘッドに後続する管を地盤中に推進する方法であっ
    て、 前記仕切り部を、前記筒状部材に固定された弁座部と、
    前記ヘッドの推進方向の前方と後方とへ移動可能に前記
    筒状部材に取り付けられた可動部とによって形成すると
    共に、前記可動部を切羽の圧力より所定以上高い圧力で
    前記弁座部に押し付けて推進する、管推進方法。
  4. 【請求項4】 前記筒状部材は、前記ヘッドの推進方向
    の前方の移動限界と後方の移動限界との間で移動可能で
    あり、前記ヘッドの推進を停止したとき、前記筒状部材
    を後方の移動限界まで移動してシールを働かせ、これに
    よって前記切羽の圧力を受け止める、請求項3に記載の
    管推進方法。
  5. 【請求項5】 地盤中を推進される筒状のヘッドであっ
    て仕切り部を有し、この仕切り部が前記ヘッドの内部を
    地盤の切羽側の前方室と、後方室とに仕切り可能、か
    つ、仕切りを解放可能であるヘッドを備える推進装置で
    あって、 前記仕切り部は、前記ヘッドに固定された弁座部と、前
    記ヘッドの推進方向において前記弁座部の後方となる第
    1のシールを有し、前記弁座部に対して前記ヘッドの推
    進方向の前方と後方とへ移動可能である可動部とからな
    り、この可動部は、切羽の圧力より所定以上高い圧力で
    前記第1のシールを前記弁座部に押し付け可能な押し付
    け手段を備える、推進装置。
  6. 【請求項6】 前記可動部は、前記ヘッドの推進方向へ
    伸び、かつ、推進方向へ移動可能である筒状部材を備
    え、前記押し付け手段は、前記筒状部材と同軸に筒状部
    材の外側に配置されるシリンダであって前記ヘッドの推
    進方向において前方となるシリンダ端部に前記第1のシ
    ールを取り付け、前記筒状部材に沿って移動可能である
    シリンダを備え、このシリンダはばね力によって前記第
    1のシールを前記弁座部に押し付けるように形成され
    た、請求項5に記載の推進装置。
  7. 【請求項7】 前記筒状部材は、前記前方室と前記シリ
    ンダとに液体を供給可能である、請求項6に記載の推進
    装置。
  8. 【請求項8】 前記可動部は、前記ヘッドの推進方向へ
    伸び、かつ、推進方向へ移動可能である筒状部材を備
    え、前記押し付け手段は、前記筒状部材と同軸に筒状部
    材の外側に配置されるシリンダであって前記ヘッドの推
    進方向において前方となるシリンダ端部に前記第1のシ
    ールを取り付け、前記筒状部材に沿って移動可能である
    シリンダを備え、このシリンダは流体力によって前記第
    1のシールを前記弁座部に押し付けるように形成され
    た、請求項5に記載の推進装置。
  9. 【請求項9】 前記筒状部材は二重管であり、この二重
    管の一方の空間は前記前方室に液体を供給可能であり、
    前記二重管の他方の空間は前記シリンダに液体を供給可
    能である、請求項8に記載の推進装置。
  10. 【請求項10】 前記筒状部材は、オーガコンベヤの送
    り羽根を外周面に取り付けている、請求項6または請求
    項8に記載の推進装置。
  11. 【請求項11】 前記筒状部材は、前記ヘッドの推進方
    向の前方の移動限界と後方の移動限界との間で移動可能
    であり、かつ、前記ヘッドの推進方向において前記弁座
    部の前方となる第2のシールを備え、この第2のシール
    は、前記筒状部材が後方の移動限度まで移動したとき、
    前記弁座部に押し付けられる、請求項10に記載の推進
    装置。
  12. 【請求項12】 前記ヘッドは、前記後方室を前記オー
    ガコンベヤのケーシングの内部に連通させる、前記ヘッ
    ドの推進方向の後方に向けて先細状となった筒状の壁を
    有し、前記筒状部材は、前記ヘッドの推進方向の前方の
    移動限界と後方の移動限界との間で移動可能であり、前
    記押し付け手段は、前記筒状部材が後方の移動限度まで
    移動したとき、前記筒状の壁に押し付けられる第3のシ
    ールを有する、請求項10に記載の推進装置。
  13. 【請求項13】 地盤中を推進される筒状のヘッドであ
    って仕切り部と、この仕切り部を支持する筒状部材とを
    有し、前記仕切り部が前記ヘッドの内部と切羽とを実質
    的に遮断可能、かつ、遮断を解放可能であるヘッドを備
    える推進装置であって、 前記仕切り部は、前記筒状部材に固定された弁座部と、
    前記ヘッドの推進方向の前方と後方とへ移動可能に前記
    筒状部材に取り付けられた可動部とからなり、この可動
    部は、切羽の圧力より所定以上高い圧力で前記可動部を
    前記弁座部に押し付け可能な押し付け手段を備える、推
    進装置。
  14. 【請求項14】 前記押し付け手段は、前記筒状部材と
    同軸に筒状部材の外側に配置され、前記筒状部材に沿っ
    て移動可能であるシリンダを備え、このシリンダはばね
    力によって前記可動部を前記弁座部に押し付けるように
    形成された、請求項13に記載の推進装置。
  15. 【請求項15】 前記筒状部材は、前記可動部の前方の
    部位と前記シリンダとに液体を供給可能である、請求項
    14に記載の推進装置。
  16. 【請求項16】 前記弁座部は、前記筒状部材に取り付
    けられた環状の面板であって軸線方向へ伸びる複数の貫
    通穴と、これら貫通穴から外れる部位に設けられた複数
    のカッタとを有する面板を備え、前記可動部は、前記複
    数の貫通穴のそれぞれにすきまをもって移動可能に差し
    込まれた攪拌羽根と、これら攪拌羽根を一体に有する当
    て板とを備える、請求項13に記載の推進装置。
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