JP2780755B2 - プロスタグランジン‐脂質製剤 - Google Patents

プロスタグランジン‐脂質製剤

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ザ リポソーム カンパニー,インコーポレイテッド
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Description

【発明の詳細な説明】 関連した米国出願資料 この出願は1987年5月22日に出願された供係属特許出
願第053,305号の一部継続出願である。
発明の背景 本発明は、アラキドン酸代謝物−結合リポソーム製剤
およびその製造方法に関する。このアラキドン酸代謝物
とすてはその構造類似体、合成酵素阻害剤およびアラキ
ドン酸それ自体が挙げられる。アラキドン酸代謝物の一
つの種類として、プロスタグランジン類として知られて
いる生物活性剤のグループがある。この発明はプロスタ
グランジンE1を用いたプロスタグランジン−結合リポソ
ームを特に開示している。この「プロスタグランジン」
という語は天然に存在するプロスタグランジンに構造的
に関連した合成化合物をも包含している。
プロスタグランジンは本質的に全ての人間の組織およ
び体液中に見出される物質であり、事実上全ての生物学
的機能を包含する広範囲の効果を奏している。これらの
物質は20個の炭素原子の必須脂肪酸(アラキドン酸、最
も豊高な前駆体)から得られ、このものは以下に示され
る20−炭素プロスタグランジンサグクラスE1(「PG
E1」)のような構造を生物学的に合成されるのである。
他のプロスタグランジンのサブクラス類は文字によっ
て指定され、またそのシクロペンタン環における置換に
よって区別される。このようなサグクラス類としてはプ
ロスタグランジンEおよびFaシリーズがあり、これらは
Eの誘導体であるサグクラスA,BおよびCと共に、最も
集中的に研究されてきたものである。プロスタグランジ
ンAからFまでは「第一のプロスタグランジン類」と考
えられており、プロスタグランジンG2およびH2(環状エ
ンドパーオキシド類)およびスロンボキサンA2およびB2
の構造はより最近になって解読された〔Goodmanら偏、
ザ ファーマコロジカル ベーンズ オブ セラポイテ
ィクス(The Pharmacological Basis of Therapeutic
s),Macmillian Publishing Co.,New York,pp 668−67
6〕。本発明に用いることのできる他の生物活性剤とし
てはプロスタサイクリン類およびロイコトリエン類があ
る。
プロスタグランジン類は、血管拡張作用、末端血管循
環改善および抗脂肪分解作用のような種々の生理作用を
有する。このプロスタグランジン類は種々の状態で治療
的に指示され、その状態としては動物における動脈管
(ductus artiosus)、流産と同様、出産予定日におけ
る陣痛を誘導する子宮収縮の刺激、気管支喘息の処置、
および胃潰瘍の抑圧等があるが、これらに限定されるも
のではない。これらはまた動脈硬化の予防に用いられ
る。
リポソームは取り込まれた水性容量を有する完全に閉
鎖された二分子膜層である。リポソームはユニラメラ小
胞体(unilamellar vesicles)(単一膜二分子層を有
す)もしくはマルチラメラ小胞体(多数の膜二分子層に
よって特徴づけられる玉葱様構造をもち、各層は水性層
によって次の層と分けられている)であることもでき
る。この二分子層は疎水性“尾部”領域と親水性“頭
部”領域を有する2つの脂質モノレイヤー(一分子層)
から成っている。膜二分子層の構造は、単分子膜の疎水
性(無極性)の脂質モノレイヤの”尾部”が二分子層の
中心に向かっており、一方親水性(極性)の”頭部”水
性層に向かうといったものとなっている。
バンガム(Bangham)等の、初期のリポソーム構造
〔ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J.
Mol.Biol.),12,238−252,1965〕は有機溶媒中にリン
脂質を懸濁させ、次いでこの溶媒を蒸発乾燥させ、反応
容器上にリン脂質の膜を残留させるものである。続いて
適当量の水性相を添加し、この混合物を”膨潤(swel
l)”させ、そして得られたマルチラメラ(multilamell
ar)小胞体(MLVs)からなるリポソームを機械的手段で
分散させる。この技術が、パパハジョポウロス(Papaha
djiopoulos)らによって記載された〔バイオヒミカ エ
ト バイオフィジカ ウント アクタ(Biochim.Biophy
s.Acta.)135,624−638,1968〕音波処理された小さなユ
ニラメラおよび大きなユニラメラ小胞体の開発のための
基礎を提供している。
ユニラメラ小胞体はCullis等、PCT公開番号86/0023
8、1986年1月16日、名称“ユニラメラ小胞体製造のた
めの押し出し手法”に記載されている方法によって押出
機を用いて製造することができ、これはここで引用して
いる。この手法によって作られた小胞体は、LUVETSと呼
ばれ、加圧下で膜フィルターを通して押し出される。小
胞体は、200nmのフィルターを通す押し出し技術によっ
て作られてもよい。このような小胞体は、VET200sとし
て知られている。
リポソームを製造するための他の技術としてはパパジ
ョポウロス(米特許第4,235,871号、1980年11月25日発
行)の「逆相蒸発(REV)」法がある。この方法はオリ
ゴラメラ脂質小胞体を製造し、ここでは取り込まれるべ
き水性物質が有機溶媒中の脂質に添加され、油中水型エ
マルジョンを形成する。この有機溶媒が除去されてゲル
を形成する。このゲルは水性媒体中に分散され、それを
懸濁液に変える。また別の方法としては洗浄剤−透析法
〔エノク(Enoch)ら、1979,プロシージングス オブ
ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Pro
c.Natl.Acad.Sci.),76:145〕である。この方法では、
脂質をデオキシコレートのような洗浄剤と水中で混合
し、音波処理を行い、ゲルろ過によってこの洗浄剤を除
去する。更に別の技術としては、小さなユニラメラ小胞
体を製造するためのバツリイ(Batzri)ら〔1973,バイ
オヒミカ バイオフィジカ ウント アクタ(Biochim.
Biophys.Acta.),298:1015〕のエタノール注入法であ
り、ここでは脂質のエタノール溶液が目的とする水性相
に注入され、直径が約30nmから2nmのリポソームを形成
するものである。残っているエタノールは続いて回転蒸
発により除去することができる。
本発明において使用することのできる他の種類のリポ
ソーム類に、実質的に均一なラメラ溶質分布を有するこ
とを特徴とするものがある。この種のリポソーム類は、
Lenk等米国特許第4,522,803で定義されているように、
安定複ラメラ小胞体(SPLV)、ハウンライン(Fountai
n)等、米国特許第4、588,578号に記載されているよう
な単相性小胞体及びこの方法はBallyらのPCT公開No.87/
00043、1987年1月15日、発明の名称は、“改善された
取り込み効果を有するマルチラメラ リポソーム類”に
記載されているが、該小胞体は少なくとも1回の凍結融
解をサイクルにさらされた、凍結解凍した多重ラメラ小
胞体(FATMV)と呼ばれている。これらの文献の関連あ
る部分は参考のために引用されている。
リポソーム−薬搬送(delivery)系において、薬のよ
うな生物活性剤をリポソーム中に取り込むか或いは会合
させ、次いで治療すべき患者に投与する。例えば、ラー
マン(Rahman)等、米国特許第3,993,754号;Sears,米国
特許第4,145,410号;パパジョポウロス等、米国特許第
4,235,871号;シュネイダー(Schneider),米国特許第
4,114,179号;レンク(Lenk)等、米国特許第4,522,803
号;及びファウンティン(Fountain)等、米国特許第4,
588,578号参照。
薬を投与するためのリポソーム類の使用は、薬の取り
込みおよび治療の間の薬放出の両者に関して問題を生ぜ
しめた。取り込みに関しては、患者に与えられる脂質の
負荷を最小限にするよう取り込み効率を増加させること
がこれまでずっと必要とされてきた。これに加えて、高
取り込み効率とは、ほんのわずかな量の薬だけしかこの
取り込み工程の間に失なわれないことを意味しており、
これは高価な薬を扱うときに重要な利点である。薬放出
に関しては、多くの薬がカプセルに包まれた後リポソー
ムから急速に放出されでしまうことが見出された。この
ような急速な放出はリポソームカプセル包囲の有利の効
果を消滅させるものである。したがって、リポソームか
らの薬の放出の割合を減少させる方法を見出すために、
当業者により努力が続けられている。
カプセル包囲および放出に関するこれらの問題に加え
て、薬含有リポソームを臨床医に提供するための商業上
許容し得る方法を見出すという最大の問題がある。リポ
ソームの製造および「必要とされる」基本上にリポソー
ムを装薬することは実験の状態では許容し得る手法であ
るが、それは一般的には臨床の状態では不満足なもので
ある。したがって、カプセルに包まれた薬を含有するも
のも含有しないものも含めてリポソーム輸送し、貯蔵
し、実質的な損害なしに通常の商業的な流通手段と通じ
て移動させる手段を見つけるための重大な必要性が継続
的にあるのである。
発明の要旨 本発明は、プロスタグランジンをリポソーム中に区画
分割(partitioning)およびそれに続く取り込みの両者
およびリポソーム−取り込みプロスタグランジン製剤の
安定性を非常に改善させるカプセルに包む方法を開示し
ている。より特定すれば、このリポソームはまず比較的
塩基性のpHの水溶液中で製造され、このpHは後から比較
的酸性のpHに調製される。リポソームの外部溶液を酸性
化するとき、プロスタグランジンはリポソームと結合す
る。このような結合物は区画分割によりリポソーム膜中
に及び膜を通じて入っていくのである。この方法では驚
くべきことに、プロスタグランジンのリポソーム中への
50〜100%の取り込みという結果となる。この取り込み
を獲得するために用いられるこの緩衝系はしたがって区
画分割−強化緩衝剤と呼ばれる。
得られたリポソームは均一なサイズの分布となるまで
サイズの減少が行われる。pHの調製に続き、得られた溶
液は脱水されるか凍結粉砕され、使用まで貯蔵され、使
用時には水溶液を用いて再水和することができる。この
ような方法はその乾燥工程(脱水もしくは凍結乾燥)の
前に乾燥保護剤(protectant)の添加を必要とし、乾燥
工程は再水和後のリポソーム粒子のサイズを維持するも
のである。このような乾燥保護剤がないと、水性懸濁液
中にあるときのリポソームの完全な状態(integrity)
を維持する力が除去される。このような保護剤としては
シュークロース、デキストロース、マルトース、マンノ
ース、ガラクトース、ラフィノース、トレハロースもし
くはラクトースのようなサッカロイドを挙げることがで
きる。マンニトールはどのようなサッカロイドとも一緒
に用いることができる。アルブミン、デキストランもし
くはポリ(ビニルアルコール)のような他の物質もまた
用いることができる。
高価でない脂質が本発明で用いることができ、広範囲
の脂質組成に対し、約50%およびそれ以上(好ましくは
80−100%)の取り込み効率が容易に得られるのであ
る。このpH−駆動取り込み方法のもう一つの独特の利点
は、薬がリポソームから放出される割合を減少させるこ
とで、その結果、消極的に取り込まれた(pH勾配なし)
プロスタグランジンを有するリポソームと比べて安定性
が増大する。取り込まれた生物活性剤の放出の減少され
た割合は、この製剤中で用いられている水溶液のpHの相
違(区画分割強化緩衝系)によって測定される。すなわ
ち、この区画分割強化緩衝剤もしくは緩衝系がリポソー
ムにおけるプロスタグランジンの維持を助けるのであ
る。
すなわち、本発明の好ましくはプロスタグランジンで
あるアラキドン酸代謝物、脂質、乾燥保護剤および区画
分割−強化緩衝剤もしくは緩衝系を含有するリポソーム
組成物を開示している。このプロスタグランジンとして
はプロスタグランジンE1が好ましい。このリポソームは
濃度勾配等のような、それは好ましくはpH勾配である
が、膜間化学電位をもつことができる。この区画分割−
強化緩衝系は2つの溶液を含有し、1つは乾燥保護剤溶
液でその好ましいものはサッカロイド溶液であり、2つ
目は好ましくはクエン酸溶液である。このサンカロイド
溶液としてはデキストロース、シュークロース、もしく
はマルトースが好ましいが、これらのうちいずれもマン
ニトールと一緒に用いることができる。使用し得る他の
保護剤としてはデキストラン、ポリ(ビニルアルコー
ル)もしくはアルブミンが挙げられる。保護剤溶液のpH
は比較的塩基性であることが好ましく、約pH3から約pH1
1であり、最も好ましいのはpH7である。乾燥保護剤溶
液、好ましくはサッカロイド溶液であるが、約5重量%
から約20重量%存在し、最も好ましいのは約10ないし約
12%である。リポソーム溶液は例えば押出もしくは乳濁
化(homogenization)手段によってサイズを減少させる
ことができる。得られた溶液は脱水もしくは凍結乾燥手
段によって乾燥させることができる。クエン酸溶液は約
2.5ないし約4.5のpHであるのが好ましく、pH3.0であれ
ば最も好ましい。
脂質はリン脂質を含有するのが好ましく、より好まし
いのはホスファチジルコリンであり、最も好ましいのは
卵ホスファチジルコリンである。リポソームは直径100
ないし500nmであるのが好ましく、最も好ましいのが約2
00nmである。リポソーム中へのプロスタグランジンの取
り込みは約50にないし約100%であり、特に約60ないし1
00%である。このリポソーム組成物は患者に静脈注射を
することができる。このリポソーム性プロスタグランジ
ンの薬剤組成物は、薬剤用担体もしくは希釈剤と混合す
ることによって製造することができる。
本発明の組成物におけるプロスタグランジンに対する
脂質の重量割合は約150:1から約1000:1であり、より好
ましくは約300:1から800:1、最も好ましいのは約600:1
である。本発明のリポソーム性プロスタグランジン組成
物はまた凍結乾燥することもできる。
本発明のリポソームは該プロスタグランジンと該脂質
を膜透過(transmembrane)pH勾配手段によって結合さ
せて調製することができる。この勾配はまず塩基性水性
媒体中でリポソームを形成し、この水性懸濁液にプロス
タグランジンを添加、次いでリポソームの外部(水性)
媒体を酸性化することによって得ることができる。この
塩基性外部媒体はサッカロイド溶液であることができ、
上記酸性化はクエン酸溶液のような酸性溶液を使用する
ことによって達成することができる。
本発明のリポソームは直線経路もしくは曲りくねった
経路をもつフィルターを通じてそれらを押出すことによ
って、もしくは均質化によって均一なサイズ分布にまで
サイズを減少させることができる。このサイズ−減少工
程ほプロスタグランジン添加、乾燥工程および膜透過pH
勾配の形成に先立って行われるのが好ましい。
また別法として、本発明のリポソームは消極的装薬技
術を用いることにより製造することができ、このときに
は脂質は、プロスタグランジンをも含有する乾燥保護剤
の水性溶液を混合される。この脂質は乾燥した脂質膜の
形態のものでよい。消極的に装薬されたリポソームはま
た凍結乾燥することができる。
すなわち本発明は、 (1) (i)このアラキドン酸代謝物、脂質および乾
燥保護剤を含有するリポソームを凍結乾燥し;次いで (ii)この凍結乾燥リポソームを酸性区画分割
−強化緩衝剤で再水和し、該バッファー中にリポソーム
を懸濁させる工程により製造されたリポソーム組成物。
(2)アラキドン酸代謝物がプロスタグランジンである
(1)記載のリポソーム組成物。
(3)プロスタグランジンがプロスタグランジンE1を含
有する(2)記載のリポソーム組成物。
(4)リポソームが膜透過濃度勾配を有するものである
(1)記載のリポソーム組成物。
(5)濃度勾配がpH勾配である(4)記載のリポソーム
組成物。
(6)乾燥−保護剤が糖類である(1)記載のリポソー
ム組成物。
(7)酸性区画分割−強化緩衝剤のpHが2.5から4.5であ
る(1)記載のリポソーム組成物。
(8)糖類がデキストロース,シュークロース又はマル
トースを含有するものである(1)記載のリポソーム組
成物。
(9)糖類を5%から20%の含有量で含有する(1)又
は(8)記載のリポソーム組成物。
(10)脂質が燐脂質を含有する(1)記載のリポソーム
組成物。
(11)燐脂質がホスファチジルコリンを含有する(10)
記載のリポソーム組成物。
(12)ホスファチジルコリンが卵ホスファチジルコリン
を含有する(11)記載のリポソーム組成物。
(13)リポソーム類が直径が約10nmから約500nmである
(1)記載のリポソーム組成物。
(14)リポソーム中へのアラキドン酸代謝物の取り込み
が約50%100%である(1)記載のリポソーム組成物。
(15)アラキドン酸代謝物がプロスタグランジンE1、脂
質が卵ホスファチジルコリン及び糖類溶液が10%マルト
ースを含有するものである(1)記載のリポソーム組成
物。
(16)特許請求の範囲1記載のリポソーム組成物及び製
薬学的に許容し得る担体又は希釈剤を含有する製薬学的
組成物。
(17)脂質対プロスタグランジンの重量比が約300:1か
ら約1000:1である(15)記載のリポソーム組成物。
(18) (i)アラキドン酸代謝物、脂質および乾燥保
護剤を含有するリポソームを凍結乾燥し;次いで (ii)この凍結乾燥されたリポソームを酸性区
画分割−強化緩衝剤を用いて再水和しこのリポソームを
バッファー中に懸濁する工程を含有する、 アラキドン酸代謝物、脂質および乾燥保護剤を含有する
リポソーム組成物の調製方法。
(19)リポソームがマルチラメラリポソームである(1
8)記載の製造方法。
(20)リポソームがユニラメラリポソームである(18)
記載の製造方法。
(21)アラキドン酸代謝物がプロスタグランジンである
(18)記載の製造方法。
(22)プロスタクランジンがE系列のプロスタグランジ
ンである(21)記載の製造方法。
(23)プロスタグランジンがE1である(12)記載の製造
方法。
(24)脂質が卵ホスファチジルコリンである(18)記載
の製造方法。
(25)酸性区画分割−強化緩衝剤がpH約4である(18)
記載の製造方法。
発明の詳細な説明 本発明のリポソームはリポソームと結合したアラキド
ン酸代謝物、特にプロスタグランジンを提供する。該結
合としてはリポソーム中へのプロスタグランジンの取り
込み、およびリポソームの外部もしくは内部膜表面とプ
ロスタグランジンとの電位的結合を包含する。
上で述べたように、本発明のリポソームはリポソーム
を製造するための公知の方法のいずれによっても製造す
ることができるが、Ballyらのイオン化し得る抗腫瘍剤,
PCT出願 第86/01102号、1986年2月27日に記載された
方法で参考のためにここにも引用されているものにした
がって生物活性剤が装薬されているものが好ましい。こ
の技術はリポソームにイオン化し得る生物活性剤を装薬
させるものであり、その場合に膜透過濃度勾配がリポソ
ームの膜を横切って生じ、その薬はこの勾配手段によっ
てリポソーム中に装薬される。この膜透過濃度(イオ
ン)勾配はリポソーム膜を横切って1ないしはそれ以上
の荷電種(例えばNa+,Cl-,K+,Li+,H+)のための濃
度勾配を創ることによってつくられるものである。これ
らのイオン勾配はpH(H+)勾配であるのが好ましい。
これらのpH勾配はそのリポソーム膜を横切ってイオン化
し得る生物活性剤(プロスタグランジンのような薬)の
取り込みを推進することができる。
本発明によれば、最初の水溶媒体(相対的に酸性もし
くは塩基性)をカプセルに包んでリポソームが調製され
る。PGE1の場合には、第一の水溶媒体が相対的に塩基性
(第2の水溶媒体に関連して)であるカプセル包囲形式
の場合に高い取り込みの結果となることを見出した。
濃度勾配を形成するために、第一の外部媒体が調整
(該部pHの調整により)されるか、第二の外部媒体が添
加される(例えば最初の外部媒体に関して相対的に塩基
性もしくは酸性のいずれかであることができる)。PGE1
取り込みの場合には、第一の外部媒体に対して酸性であ
る第二の外部媒体の添加が好ましい。第一のもしくは第
二の外部媒体のいずれかがイオン化し得るプロスタグラ
ンジンのようなイオン化し得る生物活性剤を含有するな
らば、この膜透過pH(H+)勾配(外部によって内部が
塩基性である)が該薬をリポソーム中に、遊離の小胞体
−結合生物活性剤比が〔H+〕内〔H+〕外比を反映す
るように区画分割させる。イオン勾配は、この装薬が完
了した後もリポソーム内に残る。
この膜透過pH勾配装薬法は、適当な水性媒体中に溶解
したときイオン化し得る状態で存在できるいずれのプロ
スタグランジンについても本質的に使用することができ
る。プロスタグランジン類の場合、イオン化し得る基と
しては脂肪酸類(上記Iを参照)上のカルボキシル基で
あることができる。プロスタグランジンは、リポソーム
膜中に区画分割するので相対的に親油性であることが好
ましい。この方法によりリポソーム中に装薬でき、その
ため本発明で用いることのできるプロスタグランジンの
例としては、PGE1,PGE2,PGG,およびPGF等が挙げられ
る。
単一のプロスタグランジンをリポソーム中に装薬させ
ることに加えて、このpH勾配装薬法は、多数のプロスタ
グランジン類を同時もしくは逐次のいずれかで装薬する
ために用いることができる。
一般に、本発明の背景の所で述べたようにリポソーム
形成法のいずれかの方法も本発明の実施に用いることが
できるが、ユニラメラ小胞体を形成する方法が好まし
く、大ユニラメラ小胞体のものが最も好ましい。これら
のユニラメラ小胞体形成する2つの方法が好ましい:第
一の技術は生物活性剤(薬、特にプロスタグランジン)
と脂質のエタノール溶液との結合であり、これはBally
ら(前出)に記載されている様に、生物活性剤を装薬す
るために膜透過濃度勾配を使用してバッツリ(Batzri)
らの技術〔1973,バイオヒミカ エト バイオフィジカ
ウント アクタ(Biochim.et Baiphys.Acta.),298:1
015〕と同様の方法である。この技術においては脂質と
プロスタグランジンを総水性容量の5%をエタノール水
溶液のような水混合性有機溶媒中に共溶解させ、続いて
これらを第一の水性溶液にゆっくりと添加する。この第
一の水性溶液は、好ましくは乾燥保護剤、もしくは緩衝
剤、例えばクエン酸塩もしくはリン酸塩のような水性溶
液であることができる。このような緩衝溶液は更に乾燥
保護剤を含有することができる。この乾燥保護剤はシュ
ークロース、マルトース、ラクトースもしくはデキスト
ロースのようなサッカライド、或いはシュークロース、
マルトース、ラクトースもしくはデキストロースのいず
れかとマンニトールとの組合せのようなサッカロイドの
組合せを包含することができる。マルトースを使用する
のが好ましい。他のサッカロイドとしては例えばマンノ
ース、ガラクトース、ラフィノースもしくはトレハロー
スを挙げることができる。他のものとしては、デキスト
ラン、アルブニンおよびポリビニルアルコールのような
他の保護剤をも用いることができる。この第一の水性溶
液のpHは相対的に塩基性であり(第二の水性溶液に比し
て、以下参照)、例えば約3.0から約11.0であり、最も
好ましくは約7.0である。言葉を換えて言えば、第二の
水性溶液に比して、第一のものはより塩基性である。こ
の緩衝剤はまた相対的に酸性(第二の水性溶液に比し
て)であることもできる。
得られた単一相リポソーム溶液は、例えばフィルター
を通した押出しによって均質な集団となるまでサイズが
減少され、このフィルターは好ましくは0.2ミクロンの
孔サイズで、直線経路もしくは曲りくねった経路のいず
れかである。このような集団はクリス(Cullis)ら、PC
T公開第86/00238号、1989年1月16日の押出法により形
成され、その内の関連ある部分は参照のため、ここに引
用される。加圧下リポソームをフィルターを通過させる
ような押出法により、サイズに関して均質な集団のリポ
ソームの形成が行われる。この押出法はフィルターを1
回もしくは数回通過することによって行うことができ
る。フィルターとしては例えば直線経路膜フィルター
〔例えばヌクレオポーア(Nucleopore)ポリカーボネー
ドフィルター〕もしくは曲りくねった経路のフィルター
〔例えば0.2μmサイズのヌクレオポーアメンブランフ
ィルター(混合セルロースエステル)〕である。リポソ
ームがフィルターを1回以上通過するとき、必要とされ
る通過回数は目的のリポソームサイズ、すなわち好まし
くは約0.20μmを得るのに必要な回数ということで決定
される。
本発明で用いられるフィルターのサイズは最終的なリ
ポソーム生成物の目的とするサイズによって選択され
る。本発明では例えば、約0.20nmの平均直径を有するリ
ポソームが好ましい。
本発明のリポソームは直径が約500nmより小であるこ
とが好ましく、直径100nmから300nmが好ましい。本発明
では約200nmのものが最も好ましい。というのはこのサ
イズのリポソームは肺の毛細床を通過し、そこを通って
他の器官および組織へと通っていくことができることが
知られているからである。したがって約0.20μmの孔サ
イズを有するフィルターがこの押出し工程における使用
に選ばれる。
上で定義したような均質なサイズ分布までリポソーム
をサイズ減少させる他の方法は超音波照射、プレンチプ
レス技術、液体力学剪断、例えばコロイドミルもしくは
ガウリン(Gaulin)ホモジナイザーを用いた均質法、も
しくは他のサイズ減少化技術である。例えばガウリン均
質化法が使われるとき、サイズを調整されるリポソーム
類は貯槽から例えばホモジナイザーへ2/分の流速
で、すなわち1リットルのバッチに対してリポソームは
4分間の間約14,000psiで再循環されるように、継続的
に循環される。熱交換器がこのバッチ温度を約30℃より
下に維持するために使用することができる。
得られたサイズ減少化リポソームはサイズに関して均
質である。例えばこのリポソームは約20ないし約500nm
の範囲、平均200nmのガウス分布を有している。
得られたサイズの減少された生成物は追加の水性溶液
で希釈し、乾燥、使用まで貯蔵することができる。また
このpHは膜透過pH勾配を介して薬を装薬するために変化
させることができる。しかしながらこの大きさを決める
工程は最終的なpH調整の前に行わなければならない。
本発明のリポソームを形成するための第二のそしてよ
り好ましい方法は、バッツリら(前出)のエタノール注
入法を用いるもので、まず脂質と防腐剤、例えばブチル
化ヒドロキシトルエン(BHT)とを全水性容量の5%の
エタノール中で混合し、次いでこの混合物を最初の水性
媒体のゆっくりと添加する。この第一の水性媒体はこれ
まで述べてきたいずれのものでもよいが、例えばマルト
ースのようなサッカライド溶液が好ましい。この第一の
水溶液のpHは第二の水性溶液に比べて塩基性であり、p
3.0から約11.0が好ましく、最も好ましいのは約pH7.0で
ある。この方法でサッカライド溶液を取り込むリポソー
ムを形成する。
得られたリポソーム溶液は上述のいずれの方法によっ
ても均質な集団にまでサイズの減少を行うことができる
が、記載したようにガウリンの均質化方法によるのが好
ましい。約20〜500nmのリポソーム、好ましくは直径約3
00nmから約500nmのもの、好ましくは平均サイズ200nmの
リポソームが形成される。
得られたサイズの減少されたリポソーム生成物は0.2
μmのミリパック(Millipak)フィルター(ミリポア
社、ベットフォード、マサチューセッツ)を通して無菌
的にろ過することができる。得られたサイズの減少され
またろ過されたリポソームは続いて、エタノールに溶解
された生物活性剤と混合される。例えばエタノール中に
溶解されたプロスタグランジンはリポソーム撹拌溶液に
加えられる。このプロスタグランジン−リポソーム生成
物は続いて0.2μmのフィルターを通して無菌的にろ過
することができる。この生成物はまた追加の水溶液で希
釈、およびまたは乾燥(脱水)、使用まで貯蔵すること
ができる。好ましい実施態様では、この大きさが減少さ
れた生成物はガラスびんにつめられ、凍結乾燥し、使用
するまで貯蔵する。
使用直前にこの凍結乾燥生成物は第一の水性媒体に対
し相対的に酸性もしくは塩基性のpHを有する水性溶液で
再構成化される。この第二の水性媒体は相対的に酸性で
あるのが好ましい。この水性媒体の添加によりpH勾配が
形成される。
使用されるリポソーム形成法にかかわらず、膜透過Hp
勾配を形成するために、第一の外部媒体に対し相対的に
酸性のpHを有する第二のpH(第二の外部媒体)の水性溶
液を含有する外部媒体をリポソーム溶液に添加される。
この第二の水性溶液のpHは一般的に約2.5から約4.5、好
ましくは約3.0から3.5、最も好ましくは約pH3.0であ
る。例えばこの第二の水性溶液の添加により第一の外部
媒体を調整すると、そのリポソーム溶液のpHは約3.5か
ら4.5、最も好ましくは約pH3.0である。また選択的に、
第一の水性溶液が相対的に酸性であるなら、第二の水性
溶液は相対的に塩基性であろう。
外部媒体のpHをこのように調整すると、リポソーム膜
の中および通して生物活性剤(プロスタグランジン)を
区画分割させ、効率的にプロスタグランジンをリポソー
ム中に装薬することになる。本発明の区画分割強化緩衝
剤と上述のpH勾配とを使用すると、プロスタグランジン
の取り込み率は約50ないし100%、より特定すれば60な
いし100%、そして最も好ましくは80ないし100%であ
る。
いずれの理論にも拘束されるものではないが、製剤中
の乾燥保護剤の役割は乾燥工程の間、および再水和後の
リポソームのサイズおよび保全を保持することである。
リポソーム製剤から乾燥保護剤が除去されると、再水和
リポソームは低い取り込み効率(約30%およびそれより
低いもの)を有し、凍結乾燥に続くリポソームサイズは
保持されない。
脱水もしくは凍結乾燥手段はpH勾配の確立の前もしく
は確立後に行うことができる。pH勾配の確立の前に行わ
れるのが好ましく、最も好ましいのは第一の水性媒体が
相対的に塩基性で、第二の媒体が相対的に酸性のもので
ある。この場合、乾燥されたリポソーム−プロスタグラ
ンジン製剤の再水和は第二の(相対的に酸性の)溶液を
用いて行われ、それによって濃度勾配が確立され、プロ
スタグランジンを効率的にリポソーム中に装薬する。こ
の酸性化が脱水もしくは凍結乾燥に先だって行われれ
ば、第二の溶液は乾燥保護剤、およびBHTのような防腐
剤、および/またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を
含有することもできる。この第二の水性(酸性化)溶液
のpH約1.5から約3.5で好ましくは約3.0である。しかし
ながら、この酸性化が脱水もしくは凍結乾燥に続いて行
われるのであれば、再水和はpH約2.5から約4.5、好まし
くは約3.0の水性溶液を用い、乾燥保護剤は存在させず
に行われる。この後者の方法、即ち乾燥工程後に溶液を
酸性化するのが好ましい。
両リポソーム形成法において、得られたプロスタグラ
ンジン−結合リポソームは公知のいずれの方法によって
も脱水もしくは凍結乾燥することができる。この乾燥工
程はリポソーム懸濁液への乾燥保護剤の添加を必要とす
る。この乾燥保護剤はリポソーム中への脂質の再編成
(rearrangemennt)を妨げ、この乾燥手段および再水和
の間、サイズとその中身を保持するものである。このよ
うな乾燥保護剤の適当な特質はそれらが強い水素結合受
容体であり、リポソーム二分子層成分の分子間空間を保
護する立体化学的性質を有することである。乾燥保護剤
の一群たるサッカロイド糖はリポソーム製剤に含まれた
とき、再水和後のリポソーム粒子サイズを維持するのに
特に有用であることが見出されている。このサッカロイ
ドの特定のグループとしては例えばデキストロース、ジ
ュークロースおよびマルトースがあり、これらは水性相
の5ないし20重量%、好ましくは10重量%で使用するこ
とができる。使用することのできる他のサッカロイドと
してはマンノース、ガラクトース、ラフィノース、トレ
ハロース、ラクトースもしくはトリオース糖がある。マ
ンニトールはいずれのサッカロイドとも一緒に用いるこ
とができるが、単独で用いたときは、マンニトールはリ
ポソームのサイズを維持することには成功しないという
ことが驚くべきことに見出された。マンニトールはサッ
カロイドと共に約0−2%の濃度で、好ましくは1%の
濃度で用いることができる。用いられるサッカロイドの
総濃度は約5%から約20%、好ましくは10%から12%、
最も好ましくは約10%である。製剤中におけるBHTもし
くはEDTAのような追加する防腐剤は、例えばエタノール
1μにつき0.02mgBHT、また10%デキストロース中の
0.01%EDTAといったものも含まれる。尿素、アルブミ
ン、デキストランもしくはポリ(ビニルアルコール)の
ような他の物質もまた用いることができる。
脱水もしくは凍結された生成物の再水和に当たって
は、(pH勾配が凍結乾燥に先立って確立されていたなら
ば)蒸留水のような水性溶液を添加することができる。
リポソームがその元来の外部水性溶液中で凍結乾燥され
た場合、以下に記載されるように(それが相対的に酸性
もしくは塩基性であるもの)、再水和はpH勾配を確立す
る第二の水性溶液を用いて行われる。好ましい方法にお
いては、pH勾配は相対的に酸性水性溶液を製剤に添加す
ることにより、好ましくは例えばクエン酸溶液を添加す
るが、それによって確立される。全ての場合、再構成は
約20ないし30℃、好ましくは25℃で行うことができ、こ
の溶液は必要に応じて希釈され投与される。
本発明においては、ここで用いられる脂質という語は
水性媒体との混合によって脂質化合物の疎水性部分が二
分子層の方を向き、親水性部分が水性相の方法を向く形
の二分子層となるいずれの好適な物質も意味する。脂質
としては、ドリグリセライドのような高度に疎水性化合
物、コレステロールのようなステロール類、および両親
媒性脂質が挙げられる。本発明のリポソーム製剤におい
て好ましく用いられる脂質としては、ホスファチジルコ
リン(PC)、ホスファチジルコリンエタノールアミン
(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジル
グリセロール(PG)、ホスファチジン酸(PA)、ホスフ
ァチジルイノシトール(PI)、スフィンゴミエリン(SP
M)等のようなリン脂質が、単独もしくは組合せて用い
られる。このリン脂質は合成のものでもよいし、卵もし
くは大豆のような天然物由来のものでもよい。好ましい
実施様態としてはリン脂質卵ホスファチジルコリン(EP
C)が用いられる。リポソームはまたコプロスタノー
ル、コレスタノールもしくはコレスタンのような他のス
テロイド成分、およびEPCとコレステロールの組合せを
も包含することができる。リポソームはまた糖脂質を含
有することができる。
pH勾配を介してリポソームに装薬を行い第一の外部媒
体が塩基性であるような場合、好適な水性媒体としては
pH3.0から約11.0、好ましくは約pH7.0に調整された例え
ばクエン酸、コハク酸もしくはマレイン酸緩衝剤のよう
なものが挙げられるが、これに限定されることはない。
使用される第一の緩衝剤が塩基性である他の場合にはリ
ン酸塩緩衝液もしくは0.9%水性塩化ナトリウムのよう
な緩衝剤がpH7−9で使用することができる。さもなけ
れば、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸塩緩衝剤を使用す
ることができる。他の緩衝塩がこの混合物に約pH8.0で
含むことができる。このような緩衝塩としては、リン酸
緩衝生理食塩水「PBS」、トリス−(ヒドロキシメチ
ル)−アミノメタン塩化水素(「トリス」)緩衝液、も
しくはN−2−ヒドロキシエチル ピペラジン−N′2
−エタンスルホン酸(「HEPES」)あるいはグリシンが
挙げられる。最も好ましいものとしては、第一の水性溶
液が乾燥保護剤の溶液、即ちサッカロイド溶液で、例え
ば約5ないし20%のマルトース(好ましくは約10%マル
トース)、pHは約7.0のものである。この溶液はEDTAも
しくは同じような防腐剤(BHT)を薬剤生成物に対し許
容し得るいずれの濃度においても含有することができる
(好ましくは約0.01%のEDTA)。
pH勾配を確立するために、第二の外部媒体が添加され
(脱水工程の後が好ましい)、即ち第一の媒体が好まし
くは酸性のpHに調整される。第一の外部媒体に取って替
わることのできるこのような第二の外部媒体としては例
えばpH約2.5から4.5、最も好ましくは約pH3.0のクエン
酸、乳酸もしくはリン酸のような緩衝剤を含有すること
ができる。例えば0.1Nの水性塩酸で適当なpH(上記のよ
うな)に調整された生理食塩水(0.9%)もまた使用す
ることができる。最も好ましいのは、外部媒体のpHがお
よそ等量のクエン酸溶液(pH約2.5ないし約4.5、好まし
くは3.0)をリポソーム溶液に添加することによって調
整することができる。どちらの場合もリポソーム溶液の
最終pHは約2.5から約4.5であり、好ましくは3.0−3.5、
最も好ましくは3.0である。このクエン酸溶液はまた5
ないし20重量%の乾燥保護剤(サッカロイド、好ましく
はマルトースを好ましくは10重量%)を含有することが
でき、そしてBHTおよび/またはEDTAのような防腐剤を
薬剤生成物が許容し得る濃度で含有することもできる
(好ましくは最終溶液1mlにつき0.01%EDTAおよび0.02m
gBHT)。
相対的に酸性の第一の外部媒体の場合、約pH5ないし
約6のクエン酸ホスフェート緩衝液、あるいはHClで約
3.0のpHに調整された0.9%水性塩化ナトリウムまたは他
の上述の酸性溶液のいずれも用いることができる。この
場合、濃度勾配を確立するために使用される相対的に塩
基性の媒体は約pH8.0のホスフェート緩衝液、水酸化ナ
トリウムで約pH7−10に調整された塩化ナトリウム水溶
液(0.9%)、炭酸ナトリウム、重炭酸塩緩衝液または
上述の塩基性溶液のいずれかである。
最も好ましくは、初期の塩基性媒体、好ましくは約pH
7から約8まで、最も好ましくは約pH7.0の塩基性サッカ
ライド溶液を有するリポソームがつくられる。濃度勾配
が第二の(相対的に酸性の)緩衝液、好ましくはpH約2.
5ないし4.5の0.01Mクエン酸の添加により確立され、こ
のものは第一の(相対的に塩基性の)外部媒体に添加さ
れたとき最終pHが約3.0となる。このような相対的に塩
基性/相対的に酸性溶液の対(緩衝液の対)がプロスタ
グランジンのリポソーム中への区画分割を強化するので
ある。この濃度勾配は脱水もしくは凍結乾燥工程の前も
しくは後のいずれかで確立できるが、しかし、上述のよ
うに、この脱水もしくは凍結乾燥工程は製剤の酸性化の
前に行われるのが好ましい。
本発明において、リポソームはまだ消極的技術によっ
て(pH勾配なし)装薬されることができ、この場合水性
溶液は蒸留水のような水性溶液、水性緩衝液、もしくは
乾燥保護剤、例えばデキストロースもしくはマルトース
溶液のようなサッカライド溶液を含有することができ
る。これらの方法はマルチラメラ小胞体(MLV)、安定
プリルラメラ小胞体(SPLV)、押出し手段により形成さ
れた大ユニラメラ小胞体(LUVETS)として知られている
リポソームを形成する方法、または他の公知のリポソー
ム形成法を包含することができる。SPLVSを形成する方
法はレンク(Lenk)ら、米国特許第4,522,803号、1985
年6月11日に発行に開示されており、そしてLUVET法は
クリス(Cullis)ら、PCT公開第86/0023号、1986年1月
16日に記載されており、そして各々の関連した部分は参
考のためにここで引用されている。この場合、リポソー
ムは濃度勾配の利益なしに形成されている。本発明のリ
ポソームを形成するためのこの別途の技術において、乾
燥保護剤およびプロスタグランジンを含有する水溶液
を、これまで述べられてきた本発明で用いられる好適な
脂質のいずれかを含有する乾燥フィルムに添加すること
ができる。この脂質膜は管、注射器もしくはフラスコの
ような容器面を覆うことができる。得られるリポソーム
溶液は前述のように脱水もしくは凍結乾燥することがで
きる。
本発明で用いられる脂質対プロスタグランジンの重量
比は約1000:1のように高いものであることができる。好
ましくは、それらは1000:1から約150:1,更に好ましくは
約900:1から200:1、最も好ましいのは約600:1の範囲で
ある。脂質対薬の重量比が薬150:1およびそれ以上のも
のは60%以上のPGE1の取り込みをもたらし、80−100%
の取り込みをもたらすことができる。
本発明のリポソーム類の脱水および凍結乾燥はリポソ
ーム類を脱水または凍結乾燥するための技術分野におけ
る既知の方法で行うことができる。脱水に対しては、例
えばリポソーム類をジャノフ等、1986年2月27日PCT出
願No.86/01103に従って乾燥することができ、そして、
それはここに参考に引用されている。
本発明のリポソーム類は好ましくは凍結乾燥の停止器
の取付けられた血清ガラスびん中のその水性−懸濁液リ
ポソーム類の一定量をビペットで取り、その凍結乾燥器
に入れて凍結乾燥される。このガラスびんをついで約1
分間から約24時間,0℃から50℃,好ましくは、約10℃で
好ましくは約1時間保持する。この棚温度を1分間当た
り約20℃から0.005℃,好ましくは1分間当たり約1℃
の割合で、約−12℃から約−80℃,好ましくは約−40℃
まで減少させる。このガラスびんをこの温度に約0.1時
間から約120時間,好ましくは3時間保持した。約0.2時
間から約27時間,好ましくは0.6時間,約0.0mmHgから約
100.0mmHg,好ましくは0.005mmHgの真空が適用される。
この棚温度をついで1時間当たり約20℃から約0.005
℃,好ましくは1時間当たり約10℃の割合で約40℃から
0℃,好ましくは約−25℃まで上昇させる。
このガラスびんを上記の温度(好ましくは約−25℃)
に約0.1から約120時間,好ましくは約12時間保持し、そ
の後、この棚温度を1時間当たり焼20℃から約0.005
℃,好ましくは1時間当たり約10℃の割合で約−20℃か
ら0℃,好ましくは約−10℃まで上昇させ、そして約0.
1から約120時間,好ましくは8時間保持する。この棚温
度をついで1時間当たり約2℃から約0.005℃,好まし
くは1時間当たり約10℃の割合で約2℃から約40℃,好
ましくは約10℃まで上昇させ、そして約0.1から約120時
間,好ましくは8時間保持した。ついでこの棚温度を約
20℃から約80℃,好ましくは約40℃に上昇させ,約0.1
から約120時間好ましくは約16時間保持した。最後にこ
の棚温度を、1時間当たり20℃から約0.005,好ましくは
1時間当たり約10℃の割合で約5℃から約30℃に減少さ
せ、そしてこの温度を停止するまで保持した。このガラ
スびんをついで窒素を充満させ、そして栓をした。
凍結乾燥技術の脱水に関係なく、この操作は約2%よ
り少なく、好ましくは約1%より少なくなるまで試料の
水性含量を減少させる。この現在の方法を用いて、この
リポソーム性プロスタグランジンの製剤は0〜2%水性
含有量、そして好ましくは0〜1%水性(水)含有量の
点まで凍結乾燥される。
この凍結されたプロスタグランジン−リポソームの製
剤は6℃または25℃で貯蔵されるとき、少なくとも1年
間安定であることができる。安定性の研究は実施例4の
方法により行われ、そしてその製剤の高圧液体クロマト
グラフ(HPLC)分析を用いる。1年間6℃で貯蔵後、PG
E1の分解生成物は存在しなかった。
この凍結乾燥されたリポソーム類が用いられるとき、
再水和は水性溶液、例えば蒸留水、注射のための水(WF
I),または上記したような緩衝剤または適当なpHの水
性溶液をこのリポソーム類に加え、そしてそれを再水和
するまで静置することにより達成される。このリポソー
ムをゆっくりと混合しながら、その水溶液中の再懸濁す
ることができる。この再水和化は約25℃で行われる。も
しもそのプロスタグランジンが脱水前にそのリポソーム
類中にまぜ合わされ、そして更に組成の変化を望まない
ならば、その水和されたリポソーム類は薬を取り込んだ
リポソームを投与するための既知の方法により治療に直
接用いることができる。
このリポソーム類の製造中に、有機溶媒がその脂質を
懸濁するために用いることができる。適当な有機溶媒は
脂質を溶解する種々の極性および誘電性を有するもので
あり、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド
(DMSO)、メチレン フロライドおよびヘキサン:エタ
ノール(95:5)のような溶媒混合物を包含するが、それ
に限定されるものではない。ヘキサン:エタノール(9
5:5)はその脂質を最初に懸濁するのに好ましく用いら
れ、そしてエタノールは脂質とプロスタグランジンの共
−混合を行うのに好ましく用いられる。溶媒はそれらの
生的適合性、低毒性および可溶化力を基にして選択され
る。
本発明の方法により得られたリポソーム類は、その生
活性の形態での薬の持続した搬送を必要とする伝染病或
いは状態の治療において、人間を含む哺乳動物に用いる
ことができる。そのような状態とは、プロスタグランジ
ンで処置できるもののような病気の状態を含むが、これ
に限定されるものではない。
その製剤の投与状態が、その化合物が搬送される組織
中の部位及び細胞を決定することができる。本発明のリ
ポソーム類は単独で投与することができるが、一般的に
は投与の意図されたルート及び標準の製薬学的プラクテ
ィスに関して選択された製薬上の担体として投与され
る。この製剤は非経口的に、例えば動脈内または静脈内
注射することができる。又この製剤は口、皮下又は筋肉
内ルートを経由して投与することができる。非経口的投
与のために、その他の溶質例えば、その溶液を等張性と
するための十分な塩またはグルコースを含有する減菌さ
れた水性溶液の形態で用いることができる。例えば本発
明のプロスタグランジンE1リポソーム類は1分間当た
り,1kg体重当たり5.0ngの服用量で2時間にわたり、1
日1又は2回に非経口的に与えることができる。この製
剤の特別の性質による他の方法は当該技術の当業者によ
り予見することができる。
投薬の経口的態様のために、この発明のプロスタグラ
ンジン−リポソーム組成物は錠剤、カプセル、ローゼン
ゲ(losenges)、粉末、シロップ、エリキシル、水性溶
液及び懸濁及びそれと同等のもの形態で用いることがで
きる。錠剤の場合において、用いることのできる担体は
ラクトース、クエン酸ナトリウ及び燐酸塩を包含する。
でん粉のような種々の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウ
ムのような潤滑剤が通常錠剤中に用いられる。カプセル
の形態での投薬のために、有用な希釈剤はラクトース及
び高分子量のポリエチレングリコールである。水性懸濁
液が経口使用のために要求されるとき、或る種の甘剤及
び/又は風味剤が添加され得る。
プロスタグランジン療法に反応する病気の状態の治療
処置における人間への投薬のために、前述の医師は究極
的には与えられた患者に応じて適当な服用量を決定する
であろう、そしてこれは患者の病気の性質及び重さはも
ちろん、個々の人の年齢、体重及び応答により変化する
ことが期待され得る。リポソーム形態での薬の服用量は
一般に、その遊離の薬に対して用いられるものであろ
う。或る場合には、しかしながら、これらの限定外の服
用量を投与することが必要であり得る。
次の実施例は説明のためにのみ記載されるものであ
り、この発明の範囲を限定するものではない。
実施例1 ヘキサン:エタノール(95:5)の中の卵ホスファチジ
ルコリン(200mg)を37℃で水浴中で減圧下回転蒸発
し、フラスコの側部上に薄膜を形成した。この膜を200.
0uのエタノール中に再懸濁し、それに1.0mgのPGE1
び2.0mgのBHTを加えた。このエタノール溶液を1.0ml容
量のツベルクリン注射器中に引き入れ、pH7.0のEDTA0.0
1%(W/V)水溶液を含む4.0mlの10%(W/V)デキストロ
ース水溶液中にかきまぜながら約2滴/秒で21口径針を
通して注射した。エタノール/脂質混合物の添加によ
り、この溶液は濁って来た。この溶液を0.2umのポリカ
ーボネート(直線通路型)フィルターを通して5回押出
し、次いで第2番目の同一の0.2umのフィルターを通し
て第2回目の5回の押出しを行った。得られたリポソー
ム類の粒子サイズは準弾性光散乱(QELS)(ニコンプパ
ーティクルサイザー社)を用いて0.24um±22%であると
測定された。この懸濁液をついで10%デキストロース、
0.01%EDTA、pH7.0%を用いて100mlまで希釈し、そして
1.0mlの一定量をガラスびん中にピペットで入れ、そし
て実施例9の操作により凍結乾燥した。この生成物を0.
01Mクエン酸0.1mlで再水和し、水酸化ナトリウム(NaO
H)でpH3.0に調節した。得られた懸濁液のpHは約3.0で
あった。リポソーム中のPGE1の取り込みは、実施例8の
技術によりHPLCにより測定された。
実施例2 実施例1の操作及び物質を用いたが、粒子サイズの測
定後、この懸濁液を10%デキストロース及び0.01%EDT
A、pH2.3を含有する0.01%クエン酸4.0mlで2回希釈し
た。これを更にpH4.5の0.01%EDTAを含有する10%デキ
ストロースにより100mlに希釈した。この懸濁液の最終p
Hは約3.5であった。この懸濁液の一定量(1.0ml)をガ
ラスびん(vial)中にピペットで入れ、そして実施例9
の操作により凍結乾燥した。この生成物を蒸留水1.0ml
で再水和し、最終pHを約3.4にした。取り込みは実施例
8の技術により測定された。
実施例3 10%デキストロース、0.01%EDTA及び1%マンニトー
ル(全11%糖類)の4.0mlを含有する撹拌水溶液を用い
て、実施例1の操作及び物質を行った。取り込みは実施
例8の技術に従って測定された。QELSはこのリポソーム
粒子のサイズが約0.247um±10%であると決定した。
実施例4 pH7.4の撹拌水溶液を用いて、実施例1の操作及び物
質を行った。取り込みは実施例8の技術に従って測定さ
れた。QELSはこのリポソーム粒子のサイズが直径0.288u
m±44%であると決定した。
実施例5 pH7.4の撹拌水溶液、及び2%のマンニトール、10%
デキストロース、及び0.01%EDTAを用いて、実施例2の
操作を行った。取り込みは実施例8の技術に従って測定
された。QELSにより測定されたこのリポソームの粒子サ
イズは0.288um±44%であった。
実施例6 10%デキストロース、0.01%EDTA、及び2%マンニト
ール(全12%糖類)の4.0mlを含有する撹拌水溶液を用
いて、実施例1の操作及び物質を行った。
実施例7 ヘキサン:エタノール(95:5)中の卵ホスファチジル
コリン(100mg)を減圧下回転蒸発し、フラスコの側部
上に薄膜を形成した。その膜を渦巻き状混合により0.3M
クエン酸溶液(pH3.0)の1.0ml中に再懸濁し、そして室
温で1時間放置した。このリポソーム溶液の最終pHは3.
5であった。この懸濁液を0.2umの直線通路のポリカーボ
ネート フイルターを通して5回押出し、そして得られ
た懸濁液のpHをNaOHを用いて6.9に調節した。PGE1と脂
質の結合は実施例8中で用いられているフィコール(Fi
coll)操作により再構成する前及び後で測定された。
実施例8 実施例1のリポソーム類を1.0ml水溶液中に懸濁し、1
5mlコレックス(Corex)管に移した。このリポソームを
含有しているガラスびんをヒストパクウ(histopaque)
フィコール溶液(シグマケミカル社)5mlで2回洗浄
し、そしてコレックス管の内容物と混合した。この管を
ソルバル(Sorvall)遠心分離器中で10分間16,320×g
で遠心分離した。脂質がフィコールの頂部に定着した。
底部の洗浄液0.5−1.0ml及びこの脂質層以外はすべて蠕
動ポンプを用いてこの管から除去した。脂質がマイクロ
ピペット抽出管にくっついて残らないように注意が払わ
れた。テトラヒドロフラン(THF)(2.5ml)をこの管中
に残っている脂質に加え、そして完全に混合した。この
溶液を箔で包まれた30mlコレックス管に移した。この15
mlコレックス管を0.1%燐酸10.0mlで洗浄し、この洗浄
液をそのリポソーム溶液に加えた。更に0.1%燐酸の7.0
mlを付加的にこのリポソーム溶液に加えた。このリポソ
ーム溶液を、メタノール5.0mlを通過し、次いで蒸留水1
0.0mlを通過させて調整されたSep−Pak C18カートリッ
ジを通して通過した。この脂質から分離するPGE1はこの
カートリッジ中に保有される。メタノール(7.0ml)をS
ep−Pakを通して通過し、PGE1を溶出し、このPGE1を小
さい丸底フラスコ中に集めた。この調製物におけるメタ
ノールは35℃以下の温度で減圧下回転蒸発により除去し
た。次いでこのPGE1を50ug/ml濃度の内部標準ベーター
−ナフトールを含有する1.0mlのHPLC流動相〔アセトニ
トリル:pH2.0(pH2.2、燐酸と共に)40:60容量部〕で溶
解した。この懸濁液をついで、HPLC中に注入する前に0.
45um注射器−先端フィルター〔ミリポーア ミレックス
(Millipore Millex)HV4型)を通してろ過した。
上記操作を上記実施例2−7のリポソーム類に繰り返
した。
実施例9 割れ目を有する頂部、ブチルゴムの栓を有するこはく
色の凍結乾燥ガラスびんを、取り込まれたPGE1を含有す
る水性−懸濁リポソーム1.0mlで満たした。これらのガ
ラスんびんをホネイウエルDCP7700ディジタル コント
ロール プログラマー(Honeywell DCP7700 Digital Co
ntrol Programmer)を装備した凍結乾燥機(PV−24スト
ークス リオファライザー)中のステンレス スチール
トレイ上に置いた。このガラスびんを10℃で1時間保
持した。この棚温度をついで1分間当り1℃の速度で−
40℃まぜで減少させた。−40℃の温度に到達した後、0.
005mmHg以下の真空に0.6時間適用し、3時間、−40℃に
このガラスびんを保持した。その棚温度を、ついで0.00
5mmHg以下の真空下で1時間当り10℃の速度で−25℃ま
で上昇させた。
このガラスびんを0.005mmHg以下で12時間、−25℃に
保持した。この棚温度を、ついで1時間当り10℃の速度
で10℃まで上昇させ、8時間保持した。ついでこの棚温
度を1時間当り10℃の速度で+10℃まで上昇させ、8時
間保持した。ついでこの棚温度を40℃に上昇させ、0.00
5mmHg以下で16時間保持した。最後に、この棚温度を1
時間当り10℃の速度で0.005mmHg以下で20℃に減少さ
せ、栓をするまで保持した。このガラスびんを窒素で充
満させ、栓をした。
実施例10 ヘキサン:エタノール(95:5)中の108mg/ml溶液とし
て、卵ホスファチジルコリン(41ml)、(全4,428mgEP
C)を500ml容量の丸底フラストコ中に秤量し、そのヘキ
サン:エタノールを37℃に設定された水浴中で回転蒸発
により除去した。BHT30mgを含有するエタノール(2.0m
l)をこのフラスコに加え、その乾燥脂質膜を懸濁し
た。付加的にエタノール1.0mlを加え、そのEPCを充分に
懸濁させた。
10%マルトース溶液1を調製し、そのpHを1.0N水酸
化ナトリウムで7.4に調節した。この溶液を、殺菌した
水で予め濡らされた0.22umミリパック40フィルターを通
過させ滅菌した。
このEPC/BHT/エタノール溶液を、2000mlビーカー中の
10%マルトース約800mlの撹拌溶液中に、約1.0ml/分の
速度で21口径針を取付けた1.0ml注射器から滴下して加
えた。これをEPC/BHT/エタノールの全量、約8.0mlに対
して繰り返し行った。脂質の全てを加えた後、この丸底
フラスコをマルトース溶液約3.0mlの一定量で2回連続
して洗浄し、そしてこのマルトースのビーカーに加え
た。この溶液を付加的に10%マルトース溶液を加え1000
mlとした。
実施例11 実施例10の方法によって形成したリポソーム類をガウ
リンモデル(Gaulin Model)30CDホモゲナイザー用いて
均質化した。このリポソーム類を、ガウリンへの配管、
そして316Lステンレス スチール、衛生的外部、及びガ
ウリンの下流の端に取付けられた管状熱交換器の取り付
けられた5L密閉貯蔵器中に置き、30℃以下の温度にこの
リポソーム溶液の温度を保った。窒素源(20spi)をガ
ウリン中のリポソームに与えられる圧力のために、その
5L貯蔵器に連結した。このリポソーム溶液を1分間当り
約1/2ガロンの流れ速度で、約4分間14,000psiの圧力で
そのガウリンを通して循環した。均質化を行ったこのリ
ポソームは、ニコプン パーティクル サイザー(Nico
mp Particle Sizer)(ニコンプ インストルーメンツ
インク、ゴレタ、カナダ)を用いて準−弾性光散乱に
より測定したところ、約20〜500nmのサイズ分布領域を
有し、平均直径約150〜200nmを有するものであった。
実施例12 実施例11の操作に従って均質化されたリポソーム類
(700ml)を0.2umミリパック フィルターでろ過し、15
00mlビーカー中で撹拌板上で撹拌した。プロスタグラン
ジンE1のエタノール溶液(1.4mlエタノール中に3.85mg
PGE1)を5.0mlのピペットで滴下して加えた。このPGE1
の添加後、この懸濁液を0.2umミリパック フィルター
でろ過して滅菌し、1.0mlの一定量を血清ガラスびん中
に充満した。この充満ガラスびんを実施例9の方法に従
って凍結乾燥した。
実施例13 実施例12の凍結乾燥された1本のガラスびんのリポソ
ームを、1.0mlの滅菌クエン酸pH3.0を用いて、このガラ
スびんを手で振って完全に再懸濁して再構成した。
実施例14 実施例12の凍結乾燥された1本のガラスびんのリポソ
ームを標準流動相HPLC(60%水、pH2.2、50ug/mlの濃度
のB−ナフトールを含有する40%HPLC級アクリロニトリ
ル)1.0mlで再懸濁した。この試料を、注射器先端フィ
ルターであるミリポアHV40.45umフィルターを通して2.0
ml容量のHPLCガラスびん中にろ過した。この試料を、20
5umに設定されたギルソン(Gilson)116探知器に取付け
られた15cm逆相カラム〔レイニン(Rainin)C−18カラ
ム〕の上に1.2ml/分の流出速度で20u充填輪(環)上
に過負荷される50u装置を用いるレイニンHPLC上に流
した。このクロマトグラフカラムを13分間流した。PGE1
及びB−ナフトールに相当するピークが確認された。
この試料びんのPGE1濃度を、ピーク域の標準直線回帰
分析により計算し、PGE1HPLCの標準曲線と比較した。試
験される各試料に対して3つのびんについて行なわれ、
その平均濃度を計算した。
実施例15 実施例1の方法に従って作られたリポソーム類に対し
て、1週間、2週間、30日、3ヵ月、6ヵ月、9ヵ月及
び1年の間隔で実施例14の方法を繰り返した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 トムショー,ミッチェル,エム アメリカ合衆国 ペンシルバニア州 19054 レビット タウン バイバーナ ムレーン 10 (72)発明者 サッディス,ロバート,エル アメリカ合衆国 ニュージャージィ州 08691 ロビンス ビレ ダルベルドラ イブ 8 (72)発明者 クリムチャック,ロバート,ジェー アメリカ合衆国 ニュージャージィ州 08822 フレミントン ロッカフェロー ミルロード ボックス628A (56)参考文献 特開 昭61−100518(JP,A) 特表 昭62−500102(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 31/557 A61K 9/127 A61K 47/26

Claims (25)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i)このアラキドン酸代謝物、脂質およ
    び乾燥保護剤を含有するリポソームを凍結乾燥し;次い
    で (ii)この凍結乾燥リポソームを酸性区画分割−強化緩
    衝剤で再水和し、該バッファー中にリポソームを懸濁さ
    せる工程により製造されたリポソーム組成物。
  2. 【請求項2】アラキドン酸代謝物がプロスタグランジン
    である特許請求の範囲1記載のリポソーム組成物。
  3. 【請求項3】プロスタグランジンがプロスタグランジン
    E1を含有する特許請求の範囲2記載のリポソーム組成
    物。
  4. 【請求項4】リポソームが膜透過濃度勾配を有するもの
    である特許請求の範囲1記載のリポソーム組成物。
  5. 【請求項5】濃度勾配がpH勾配である特許請求の範囲4
    記載のリポソーム組成物。
  6. 【請求項6】乾燥−保護剤が糖類である特許請求の範囲
    1記載のリポソーム組成物。
  7. 【請求項7】酸性区画分割−強化緩衝剤のpHが2.5から
    4.5である特許請求の範囲1記載のリポソーム組成物。
  8. 【請求項8】糖類がデキストロース,シュークロース又
    はマルトースを含有するものである特許請求の範囲1記
    載のリポソーム組成物。
  9. 【請求項9】糖類を5%から20%の含有量で含有する特
    許請求の範囲1又は8記載のリポソーム組成物。
  10. 【請求項10】脂質が燐脂質を含有する特許請求の範囲
    1記載のリポソーム組成物。
  11. 【請求項11】燐脂質がホスファチジルコリンを含有す
    る特許請求の範囲10記載のリポソーム組成物。
  12. 【請求項12】ホスファチジルコリンが卵ホスファチジ
    ルコリンを含有する特許請求の範囲11記載のリポソーム
    組成物。
  13. 【請求項13】リポソーム類が直径が10nmから500nmで
    ある特許請求の範囲1記載のリポソーム組成物。
  14. 【請求項14】リポソーム中へのアラキドン酸代謝物の
    取り込みが50%から100%である特許請求の範囲1記載
    のリポソーム組成物。
  15. 【請求項15】アラキドン酸代謝物がプロスタグランジ
    ンE1、脂質が卵ホスファチジルコリン及び糖類溶液が10
    %マルトースを含有するものである特許請求の範囲1記
    載のリポソーム組成物。
  16. 【請求項16】特許請求の範囲1記載のリポソーム組成
    物及び製薬学的に許容し得る担体又は希釈剤を含有する
    製薬学的組成物。
  17. 【請求項17】脂質対プロスタグランジンの重量比が30
    0:1から1000:1である特許請求の範囲15記載のリポソー
    ム組成物。
  18. 【請求項18】(i)アラキドン酸代謝物、脂質および
    乾燥保護剤を含有するリポソームを凍結乾燥し;次いで (ii)この凍結乾燥されたリポソームを酸性区画分割−
    強化緩衝剤を用いて再水和しこのリポソームをバッファ
    ー中に懸濁する工程を含有する、 アラキドン酸代謝物、脂質および乾燥保護剤を含有する
    リポソーム組成物の調製方法。
  19. 【請求項19】リポソームがマルチラメラリポソームで
    ある特許請求の範囲18記載の製造方法。
  20. 【請求項20】リポソームがユニラメラリポソームであ
    る特許請求の範囲18記載の製造方法。
  21. 【請求項21】アラキドン酸代謝物がプロスタグランジ
    ンである特許請求の範囲18記載の製造方法。
  22. 【請求項22】プロスタグランジンがE系列のプロスタ
    グランジンである特許請求の範囲21記載の製造方法。
  23. 【請求項23】プロスタグランジンがE1である特許請求
    の範囲21記載の製造方法。
  24. 【請求項24】脂質が卵ホスファチジルコリンである特
    許請求の範囲18記載の製造方法。
  25. 【請求項25】酸性区画分割−強化緩衝剤がpH4である
    特許請求の範囲18記載の製造方法。
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