JP2779591B2 - 編網機の下鉤駆動装置 - Google Patents

編網機の下鉤駆動装置

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JP2779591B2 JP15125394A JP15125394A JP2779591B2 JP 2779591 B2 JP2779591 B2 JP 2779591B2 JP 15125394 A JP15125394 A JP 15125394A JP 15125394 A JP15125394 A JP 15125394A JP 2779591 B2 JP2779591 B2 JP 2779591B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は編網機おける下鉤を駆
動する編網機の下鉤駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】編網機における下鉤は、結節を形成しつ
つある上鉤の下部に突込まれ、そこからたて糸を引出
し、シャトルをくぐらせて結節するように構成されてい
る。このような下鉤を駆動する装置として、従来、下鉤
を多数並設した下鉤板の両側を、ローラを介して移動可
能に支持する1対のレールを設けた1本レール式の装置
と、両側に2本づつのレールを設けた2本レール式の装
置が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】1本レール式の下鉤駆
動装置は、その構造上、引出したたて糸を、シャトル後
方下側の糸外し部材下側に下鉤を突込んで外す際、下鉤
先端が下向き傾斜をつくることができず、このために下
鉤からたて糸が外れにくくなり、たて糸が外れるタイミ
ングにばらつきが生じて網目が不揃いになったり、たて
糸が下鉤から外れる際、たて糸に大きな張力がかかり下
鉤が大きく振動するという問題があった。
【0004】2本レール式の下鉤駆動装置は、例えば、
図6,7に示すように、固定レール51と可動レール5
2とが隣接して軸53により本体フレーム50に枢着さ
れており、可動レール52の先端部には、下鉤落し機構
のロッド54が連結されている。また、多数の下鉤55
を並設した下鉤板56の端部に枢着されたローラ57,
58が、固定レール51と可動レール52に案内されて
転動可能に設けられている。また、固定軸59を支点に
して図示しないカムにより回動運動するレバー60、お
よび前後方向の駆動用リンク61により下鉤前後機構を
形成し、リンク61がシャフト62を介して下鉤板56
のローラ57の軸に連結されて構成されている。
【0005】この装置は、図7に示すように、まず、固
定レール51と可動レール52とが水平な状態でレバー
60の回動により下鉤板56が前進し(図の左方向)、
結節を行いつつある上鉤の下部からたて糸を引出して後
端位置(図に実線で示す)に戻る。次に可動レール52
が、軸53を支点に下方へ少し回動しながら下鉤板56
が所定位置まで前進する(図に2点鎖線で示す。)これ
により、下鉤55がシャトル63の後端下側に位置する
糸外し部材64に、斜め下向きに突込まれ、このとき、
たて糸は下鉤55から外れてシャトル63をくぐる。
【0006】しかし、この2本レール式の下鉤駆動装置
は、シャトルの大形化により、シャトルの後端部を下が
った姿勢で配置するような場合には、引出したたて糸を
下鉤から外す位置がかなり下方になるため、下鉤を大き
く落す必要があって、可動レールの回動範囲を大きくし
なければならない。従って、可動レールを動かす下鉤落
し機構の負荷が増大して、編網機の回転、つまり編網速
度を高速化することができず、また装置の摺動部の摩耗
も大きくなるという問題があった。
【0007】この発明は上記の点にかんがみてなされた
ものであり、その目的とするところは、編網機の高速運
転が可能で、かつ簡潔に構成することができる編網機の
下鉤駆動装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達
成するためになされたものであり、本発明の編網機の下
鉤駆動装置は、下鉤板に多数並設された下鉤をシャトル
の前方側と後方側との間を往復移動可能な下鉤前後機構
と、前記下鉤を前記シャトルの後方下側へ下降可能な下
鉤落し機構と、を備えた編網機の下鉤駆動装置であっ
て、前記下鉤前後機構は、主軸に駆動される下鉤前後カ
ムと、下端部が下鉤軸に枢支され上端部が前記下鉤板に
枢着されるとともに前記下鉤前後カムに従動して前記下
鉤を前記シャトルの前方側と後方側との間を弧状軌跡を
描いて往復移動可能に設けられた下鉤前後レバーと、を
備え、前記下鉤落し機構は、主軸に駆動される下鉤落し
カムと、前記下鉤軸に枢支されるとともに前記下鉤落し
カムに従動して回動可能な下鉤落しレバーと、下端部が
前記下鉤落しレバーに枢着され上端部が前記下鉤板の前
端部に枢着されて前記下鉤落しレバーの回動に伴って前
記下鉤を下降可能に設けられた下鉤落しロッドと、を備
えてなることを特徴とする編網機の下鉤駆動装置であ
る。
【0009】
【作用】本発明は上記のように構成されたものであり、
下鉤前後機構は、下鉤前後カムの回転に伴って下鉤前後
レバーが一方向へ回動し、下鉤板の下鉤を結節が作られ
つつあるシャトル前方側へ移動する。このとき、下鉤落
し機構は、下鉤落しカムの回転に伴って下鉤落しレバー
が回動し、下鉤落しロッドを介して、シャトル前方側に
移動した下鉤板をほぼ水平状態で支持している。そし
て、下鉤にたて糸が糸引出し可能に掛けられる。
【0010】次いで、下鉤前後レバーが他方向へ回動
し、下鉤板は、シャトルの後方側へ弧状軌跡を描いて移
動し、たて糸を引出して最後方位置に到達する。続い
て、下鉤前後レバーが一方向へ少し回動するとともに、
下鉤落しレバーが回動し、下鉤落しロッドを介して下鉤
板前端部を下降させる。これにより、シャトル後下側に
おいて、下鉤からたて糸が外され、たて糸はシャトルを
くぐって結節状態となる。
【0011】
【実施例】以下、この発明の編網機の下鉤駆動装置の一
実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】図1は編網機における下鉤駆動装置の正面
図、図2は要部の分解斜視図である。図1において、編
網機の手前側と裏手側に本体フレーム1,1が相対して
立設され、その両外方側に、同一構成の下鉤駆動装置が
対称的に配置されており、本体フレーム1,1間には、
動力装置によって回転駆動される主軸3が軸支されてい
る。なお、以下では図1に示す装置の左方側を前方側と
し、右方側を後方側とする。
【0013】本発明の編網機の下鉤駆動装置は、下鉤前
後機構10と下鉤落し機構30とを備え、下鉤前後機構
10は、下鉤前後カム11と、前後従動レバー13と、
下鉤軸20に枢支された下鉤前後レバー17とからな
り、下鉤落し機構30は、下鉤落しカム31と、落し従
動レバー33と、下鉤軸20に枢支された下鉤落しレバ
ー37と、下鉤落しロッド38とからなり、下鉤前後レ
バー17の上端部と下鉤落しロッド38の上端部とが、
下鉤板40に取付けられた下鉤支持具25にそれぞれ枢
着されて構成されている。なお、下鉤板40には多数の
下鉤41が所定の間隔で並設されている。
【0014】下鉤前後機構10の下鉤前後カム11は、
実施例では、カム溝を有する確動カムからなり、主軸3
により駆動されるように形成されている。前後従動レバ
ー13は、基端部に当該レバー13の長手方向へ延びる
長孔14を有し、中央部に下鉤前後カム11の溝に係合
するカムボール15が固着されている。この前後従動レ
バー13は、長孔14が主軸3に外嵌されるとともに、
先端部が下鉤前後レバー17に枢着されている。
【0015】下鉤前後レバー17は、下端部が本体フレ
ーム1,1間に主軸3に平行して架設された下鉤軸20
に枢支され、上端部が下鉤支持軸25の支持軸孔26
に、支持軸19を介して枢着されている。これにより、
下鉤前後カム11の回転に伴って、下鉤前後レバー17
が下鉤軸20を支点として弧状軌跡を描いて前,後方向
へ往復移動するように構成されている。下鉤支持具25
は、後端部に支持軸孔26を有し、前端部に前端部孔2
7を有して形成され、下鉤板40の端部に固着されてい
る。なお、下鉤支持具25は下鉤板40と一体に形成し
てもよい。
【0016】下鉤落し機構30の下鉤落しカム31は、
カム溝を有する確動カムからなり、主軸3により下鉤前
後カム11と同期して駆動されるように形成されてい
る。落し従動レバー33は、基端部に当該レバー33の
長手方向へ延びる長孔34を有し、中央部に下鉤落しカ
ム31のカム溝に係合するカムボール35が固着されて
いる。この落し従動レバー33は、長孔34が主軸3に
外嵌されるとともに、先端部が下鉤落しレバー37に枢
着されている。
【0017】下鉤落しレバー37は、2個の腕部37
a,37bを有し、基部が下鉤軸20に枢支されてい
る。そして、腕部37aは、落し従動レバー33の先端
部に枢着されており、腕部37bは、下鉤落しロッド3
8の下端部に枢着されている。下鉤落しロッド38の上
端部は、前支持軸39を介して下鉤支持具25の前端部
孔27に枢着されている。これにより、下鉤落しカム3
1の回転に伴って、下鉤落しレバー37が下鉤軸20を
支点として回動し、下鉤軸20と前支持軸39との間の
距離、すなわち、下鉤41の落し距離Dを可変するよう
に構成されている。
【0018】なお、図1,2では手前側の本体フレーム
1外側の下鉤駆動装置を示し説明したが、裏手側の本体
フレーム1外側に設けられた同様構成の下鉤駆動装置と
ともに、両者が同期して作動するように構成されてい
る。これにより、下鉤41が、シャトル5の前方側と後
方側との間を弧状軌跡を描いて往動移動するとともに、
下鉤41をシャトル5の後方下側へ下降移動が行われ
る。
【0019】また、本体フレーム1,1間の受けフレー
ム45上には、よこ糸を収容した多数のシャトル44が
載置され、シャトル44後部を支持する受けフレーム4
5には糸外し部材46が設けられ、シャトル44の前方
上部には上鉤47が配設され、その下方に櫛48および
糸振り49が配設されている。
【0020】次に、このように構成された編網機の下鉤
駆動装置の動作について説明する。
【0021】櫛48の上方において上鉤47の回転など
により、たて糸とシャトル44内のよこ糸を使って網の
結節形成が行われ、結節の途中で、下鉤41が作動して
たて糸を引出し、シャトル44の後下部でたて糸を外す
ことによりシャトル44をくぐらせる。この結節を作る
途中において、それまでシャトル44上方の弧状軌跡中
間部(例えば図1に示す部位)に位置していた下鉤41
は、下鉤前後レバー17の下鉤軸20を支点とする前方
への傾動に伴い、結節が作られつつある箇所(糸掛け位
置)へ移動する(図3参照)。
【0022】すなわち、下鉤前後機構10は、下鉤前後
カム11の回動により前後従動レバー13が従動し、そ
の長孔14と主軸3との係合により前方へ摺動する。こ
れにより、下鉤前後レバー17が最も前方へ傾動し、下
鉤支持具25を介して下鉤板40を最前方へ移動する。
このとき、下鉤落し機構30は、下鉤落しカム31の回
動により、落し従動レバー33が従動し、その長孔34
と主軸3との係合により前方へ摺動する。
【0023】そして、下鉤落しレバー37の腕部37a
が少し前方へ傾動し、腕部37bに枢着された下鉤落し
ロッド38を介して、落し距離Dを最大とし、下鉤板4
0をほぼ水平状態に保持する。これにより、下鉤41は
糸掛け位置へ移動し、糸振り49の作動によりたて糸が
下鉤41に掛けられ、糸引出し可能状態となる。
【0024】次いで、主軸3の回転に伴う下鉤前後機構
10の動作により、下鉤前後レバー17が中間位置(図
1に示す)を経由して、下鉤41を最も後傾した糸引出
し位置へ移動する(図4参照)。
【0025】すなわち、下鉤前後カム11の回動によっ
て前後従動レバー13が従動し、長孔14と主軸3との
係合により後方へ摺動する。これにより、下鉤前後レバ
ー17が最も後方へ傾動し、下鉤支持具25を介して下
鉤板40を最後方へ移動する。このとき、下鉤落し機構
30は、下鉤落しカム31の回動により、落し従動レバ
ー33が従動し、長孔34と主軸3との係合により図3
の位置より少し後方へ摺動する。
【0026】そして、下鉤落しレバー37の腕部37a
が少し後方へ傾動し、下鉤落しロッド38を介して、落
し距離Dを所定値に短縮し、下鉤板40の前端部を後端
部より高位置に保持する。これにより、下鉤41はたて
糸を掛けた状態で、弧状軌跡を描いてシャトル44後方
へ移動し、結節箇所からたて糸を引出す。
【0027】続いて、主軸3の回転に伴って、下鉤落し
機構30の下鉤落しレバー37が最も前方へ傾動し、下
鉤前後機構10の下鉤前後レバー17が少し前方へ傾動
し、下鉤41を糸外し位置へ移動する(図5参照)。
【0028】すなわち、下鉤落しカム31の回動によ
り、落し従動レバー33が従動して下鉤落しレバー37
を最も前方へ傾動させる。これにより、下鉤落しロッド
38を介して下鉤支持具25の落し距離Dが最も短縮
し、下鉤板40の前端部を下降させて前下がり状態にす
る。また、下鉤前後カム11の回動により、前後従動レ
バー13が従動して少し前方へ摺動し、下鉤前後レバー
17を少し前方へ傾動して、前下がり状態となった下鉤
41を、シャトル44の後下方へ進出させる。そのと
き、下鉤41に掛けられているたて糸が、糸外し部材4
6に接触して下鉤41から外され、シャトル44の下方
をくぐって結節箇所へ引戻される。
【0029】その後、主軸3の回転に伴って、下鉤前後
レバー17が少し後方へ傾動するとともに下鉤落しレバ
ー37が少し後方へ傾動して、下鉤41を図4に示す糸
引出し位置へ戻す。続く主軸3の回転により、下鉤前後
レバー17が前方へ傾動し、下鉤落しレバー37が少し
後方へ傾動した図1に示す中間位置を経由して、下鉤4
1が次の結節箇所である糸掛け位置へ進出し、上記と同
様な動作を繰返す。
【0030】なお、この発明は上述の説明および図例に
限定されるものではなく、この発明の技術的思想から逸
脱しない範囲において、その実施態様を変更することが
できる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明の編網機の下
鉤駆動装置によれば、下鉤のシャトル前方側と後方側と
の間の往復移動を、下鉤軸を支点とした円弧運動とした
構成なので、往復移動が極めて円滑となり、振動や騒音
を低減できるとともに、高速運転することができる。
【0032】また、装置が主軸と下鉤軸との2軸で構成
され、かつレバーにより下鉤板を支持しているので、従
来の2本レール式装置に比べ、装置を簡潔に構成できる
とともに、下鉤の往復移動範囲を自在に設定でき、か
つ、装置の組立,調整作業を簡便に行うことができる効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の編網機の下鉤駆動装置の正面
図。
【図2】同じく要部の分解斜視図。
【図3】下鉤の糸掛け位置状態を示す正面図。
【図4】下鉤の糸引出し位置状態を示す正面図。
【図5】下鉤の糸外し位置状態を示す正面図。
【図6】従来例の下鉤駆動装置を示す斜視図。
【図7】同じくレールと下鉤の動きを示す説明図。
【符号の説明】
1 主軸 10 下鉤前後機構 11 下鉤前後カム 17 下鉤前後レバー 20 下鉤軸 30 下鉤落し機構 31 下鉤落しカム 37 下鉤落しレバー 38 下鉤落しロッド 40 下鉤板 41 下鉤

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下鉤板に多数並設された下鉤をシャトル
    の前方側と後方側との間を往復移動可能な下鉤前後機構
    と、前記下鉤を前記シャトルの後方下側へ下降可能な下
    鉤落し機構と、を備えた編網機の下鉤駆動装置であっ
    て、 前記下鉤前後機構は、主軸に駆動される下鉤前後カム
    と、 下端部が下鉤軸に枢支され上端部が前記下鉤板に枢着さ
    れるとともに前記下鉤前後カムに従動して前記下鉤を前
    記シャトルの前方側と後方側との間を弧状軌跡を描いて
    往復移動可能に設けられた下鉤前後レバーと、を備え、 前記下鉤落し機構は、主軸に駆動される下鉤落しカム
    と、 前記下鉤軸に枢支されるとともに前記下鉤落しカムに従
    動して回動可能な下鉤落しレバーと、 下端部が前記下鉤落しレバーに枢着され上端部が前記下
    鉤板の前端部に枢着されて前記下鉤落しレバーの回動に
    伴って前記下鉤を下降可能に設けられた下鉤落しロッド
    と、 を備えてなることを特徴とする編網機の下鉤駆動装置。
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