JP2779060B2 - グルタチオンの定量方法 - Google Patents

グルタチオンの定量方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、グルタチオンの定量方法に関し、特に試料
を添加した活性酵素の発生系で得られるラジカルをスピ
ントラップ剤によって捕捉して生成したスピンアダクト
を電子スピン共鳴装置によって定量する方法に関する。
【従来の技術】
多くの生物は、酸素(3O2)を呼吸によって体内に取
り込んで生命を維持しており、酸素は生命活動にとって
不可欠のものである。ところが、地球誕生時には地球上
には現在の数千分の1ないし1万分の1程度の酸素が存
在していたのみであり、光合成により地球上の酸素が増
加する過程で酸素による障害についての防御機能を獲得
した生物が酸素を利用する能力を獲得し増殖したといわ
れている。 生物が酸素や水を体内で利用できるのは、酵素の働き
によって生成する活性酸素が重要な役割を果たしてい
る。活性酸素を基質の酸化や各種の反応に利用している
が、一方では、活性酸素は極めて高い反応性を有してい
るため、生物体では活性酸素の濃度を必要以上に高めな
いような機能(酸素分圧調整)や、、生成した活性酸素
を消去する防御機能によって酸素を安全に利用してい
る。 活性酸素には、スーパーオキサイドラジカル(C
2 -・)をはじめとして、ヒドロキシルラジカル(・O
H)、過酸化水素(H2O2)、1重項酸素(1O2)等である
が、これらは、生体中での生化学的な反応に利用する以
外にも好中球による殺菌作用のような生体防御機能にお
いて重要な役割を果たしている。 活性酸素の生体内反応の一例を第9図に示す。ヒポキ
サンチンはキサンチンオキシダーゼの作用によって、酸
素と反応して活性酸素の1種であるスーパーオキサイド
ラジカル(O2 -・)を生成し、H+を得て過酸化水素を生
成する。ヒポキサンチンから生成したキサンチンはキサ
ンチンオキシダーゼの作用によって尿酸に酸化され、こ
の過程においても同様にスーパーオキサイドラジカルが
生成する。 また、ヒドロキシルラジカル(・OH)は、スーパーオ
キサイドラジカル(O2 -・)によって生成した過酸化水
素と次のように金属イオンが触媒となって発生する。 Fe3++O2 -・→Fe2++O2 2O2 -・+2H+→H2O2+O2 Fe2++H2O2→Fe3++・OH+OH- このような酸化酵素の作用による活性酸素の発生以外
にも、放射線、紫外線、過酸化物、金属イオン等の外的
な要因や、生体が受けるストレス、ショック、虚血等に
よっても生成し、活性酸素が過剰に生成すると生体に対
して悪影響を及ぼすことが明らかとなった。 さらに、活性酸素の量とある種の疾患とが有意の関係
を有することも明らかにされ、活性酸素量の測定により
各種の疾患の早期発見および経過の把握に利用可能なこ
とが報告されており、活性酸素の関係する系に存在する
物質を正確に測定する方法の開発が望まれている。
【発明が解決しようとする課題】
これまで行われてきた活性酸素の関与する系に存在す
る物質の測定方法は、酸素分圧を測定し酸素の消費量か
ら求める方法と、非酵素的な自動酸化反応を利用する方
法、酸素産生酵素反応を利用する方法、活性酸素による
還元反応を利用する方法などが用いられていたが、後者
のいずれの方法も各種の試薬による処理の後に、得られ
た呈色を比色分析法によって測定することが行われてい
た。 例えば、第9図に示すヒポキサンチンがキサンチンオ
キシダーゼによって酸化される過程で発生するスーパー
オキサイドラジカルをニトロブルーテトラゾリウム(NB
T)と反応させて得られるジホルマザンを比色分析によ
って定量する方法が知られている。 また、グルタチオンの定量は、グルタチオンの有する
SH基を測定する方法あるいは、グルタチオン酸化酵素を
用いる方法によって行う方法が知られている。 ところが、SH基を測定する方法は、システインが共存
している場合には、区別して測定することができず、ま
た酵素を使用した比色定量法も選択性が十分ではなく共
存する物質によって影響を受けて測定値が不正確なもの
となったり、あるいは比色分析を行う際には、ヘモグロ
ビンのような試料自身が着色しているものを含む場合
は、正確な測定が困難であり、また試料の前処理に多く
の処理を行うことが必要であるなどの問題があった。 本発明者らは、活性酸素の一種であるスーパーオキサ
イドおよびスーパーオキサイドディスムターゼを電子ス
ピン共鳴装置を使用して分析する方法について提案して
いるが、本発明は活性酸素を利用してグルタチオンを定
量する精度の高い方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性酸素が発生する系に、グルタチオンを
含む試料を加えて、スピントラップ剤によって安定なラ
ジカル(スピンアダクト)として捕捉し、電子スピン共
鳴装置(ESR)または電子常磁性共鳴装置(EPR)を使用
して測定するものであるが、とくに試料が純物質ではな
く生体試料のように各種の成分を含んでいる場合であっ
ても測定対象物の作用を阻害する選択性の大きな物質を
使用して、阻害する物質の添加の前後のスピンアダクト
の測定値から測定対象物の量を正確に把握する方法であ
る。 グルタチオンは下記に示すように、 生体中にもっとも多量に含まれているチオールであり、
ビタミンCと同様に抗酸化作用を有している。 グルタチオンには、GSHで表される還元型グルタチオ
ンと、GSSGで表される酸化型グルタチオンがあり、第1
図に示すように、グルタチオン酸化酵素によってGSHはG
SSGに変化し、逆にグルタチオン還元酵素によってGSSG
はGSHに変化することが知られている。 過酸化水素等の基質から発生したヒドロキシルラジカ
ルの存在する活性酸素の発生系にグルタチオンを含む試
料を加えると、ヒドロキシルラジカルの量は、添加した
試料中に含まれるグルタチオンの量に応じて減少するの
で、グルタチオンを含む試料の添加の前後におけるヒド
ロキシルラジカルの量をスピントラップ剤によって捕捉
したスピンアダクトとして定量することが可能となる。 グルタチオンのヒドロキシルラジカルの消去能は、酸
化型グルタチオン(GSSG)が還元型に比べて極めて大き
く、ヒドロキシラジカルの減少は酸化型グルタチオンの
量に対応していることが判明した。 したがって、試料中に存在する酸化型のグルタチオン
の量は、活性酸素の発生系にグルタチオンを含有する試
料を加えることによって、減少したスピンアダクトの測
定値から定量することが可能であるが、さらに試料中の
グルタチオンのうちの、還元型グルタチオン(GSH)を
グルタチオン酸化酵素によって処理し、含まれているグ
ルタチオンの全量を酸化型とすることができるので、グ
ルタチオンの総量を定量することができる。 ところが、試料中に活性酸素の基質である過酸化水素
を不均化したりあるいは生成した反応性のきわめて大き
なヒドロキシルラジカルと反応するビタミンC、各種の
酵素等の物質が存在している可能性のある試料を測定す
る場合には、ヒドロキシルラジカルによるスピンアダク
トの測定値の減少を直ちに酸化型グルタチオンの量とし
て定量することはできない。 このような場合には、ヒドロキシルラジカルを消去す
る酸化型グルタチオンをすべて還元型グルタチオンに変
えた際のスピンアダクトの量を測定し、両者の測定値か
ら酸化型グルタチオンを正確に定量することが可能とな
る。 したがって、試料が生体物質のような各種の成分を含
んでいる場合には、グルタチオン以外にも活性酸素の生
成を抑制する物質あるいは活性酸素を消去する物質が存
在していることが考えられるが、酵素を加えないで測定
した際の測定値とグルタチオンをすべて還元型と変えた
後の測定値との比較によって酸化型グルタチオンの量を
正確に知ることが可能となる。 本発明の方法に使用する試薬等について説明すると、
グルタチオンとの反応に利用するヒドロキシルラジカル
は、過酸化水素と金属イオンとの反応を利用したフェン
トン反応などで発生させることができるが、金属イオン
としては硫酸第1鉄を等濃度のキレート化剤であるDETA
PAC(diethylene−triamine−pentaacetic−acid)に配
位させたものなどを使用して、定量的にヒドロキシルラ
ジカルを発生させることが望ましい。 このフェントン反応によって生成するヒドロキシルラ
ジカル(・OH)は寿命が短く、また試料中に存在する各
種の物質と容易に反応するので、直接的に正確なラジカ
ルの量を電子スピン共鳴装置によって測定することが困
難であるので、スピントラップ剤を添加して安定なスピ
ンアダクトを得ている。 スピントラップ剤には、DMPO(5,5−dimethyl−1−p
yrroline−1−oxide)、DBNBS(3,5−dibromo−4−ni
troso−benzensulfonic acid sodium salt hydrat
e)、PBN(α−phenyl−N−t−butylnitrone)等を使
用することができる。第2図には、これらによるスピン
アダクトの発生の化学反応式を示すが、活性酸素と安定
なラジカルを生成するものであれば任意のスピントラッ
プ剤が使用可能である。 また、スピンアダクトの量は、TEMPOL(2,2,6,6−tet
ramethyl−4−hydroxyl−piperidine−1−oxyl)のよ
うな安定なラジカルを標準物質として測定する。 スピンアダクトの量の測定は、まず過酸化水素の濃度
を変化させた場合のスピンアダクトの量を測定して、過
酸化水素に関する検量線を作成し、つづいて濃度の判明
した過酸化水素中へ添加する酸化型グルタチオンの濃度
を変化させて、酸化型グルタチオンの量による検量線を
作成し、得られた検量線に基づいて測定すべき試料中の
酸化型グルタチオンの量を測定する。 一方、試料が純物質ではなく生体成分、あるいは食品
などのように測定に影響を与える可能性を有する物質を
含む場合には、試料に酸化型グルタチオンを還元型に変
えるグルタチオン還元酵素を加えて、酸化型グルタチオ
ンを還元型に変えてラジカルを消去する機能を取り除い
た後に測定し、両者の測定値の比較から酸化型グルタチ
オンによって消去されたスピンアダクトの量を正確に知
ることができ、これから試料中の酸化型グルタチオンを
定量することが可能となる。 また、試料をグルタチオン酸化酵素によって処理して
試料中のグルタチオンの全部を酸化型とした場合の測定
値と全部を還元型とした場合の測定値の差から還元型グ
ルタチオンの量および総グルタチオンの量の測定も可能
である。 本発明の方法に使用することができる基質は、ヒドロ
キシルラジカルを生成するものであれば、過酸化水素等
の過酸化物、t−ブチルヒドロペルオキシド(t−BuOO
H)等の有機過酸化物等を使用することができる。 そして、本発明の方法では、酸化型および還元型のグ
ルタチオン、総グルタチオンのみではなく、酸化型と還
元型のグルタチオンを変換させるグルタチオン酸化酵素
およびグルタチオン還元酵素についても測定することが
できる。 測定に使用する試料は比色分析等で必要な各種の前処
理をする必要がなく、着色している試料や浮遊物あるい
は懸濁状態の試料であっても問題なく測定することが可
能である。
【作用】
本発明は、過酸化物を基質として発生するヒドロキシ
ルラジカルの発生系に、ヒドロキシルラジカルを消去す
る酸化型グルタチオンを含有する試料、またはグルタチ
オン酸化酵素で処理した試料を添加して、試料の添加の
前後の活性酸素の量をスピントラップ剤によって捕捉
し、生成したスピンアダクトの量を電子スピン共鳴装置
によって測定する方法であって、酸化型グルタチオン、
還元型グルタチオンおよび総グルタチオンの量を定量す
ることができる。
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、さらに詳細に本発明を
説明する。 実施例1 測定1 0.1mMに調整した硫酸第1鉄を等濃度のキレート化剤
であるDETAPAC(diethylene−triamine−pentaacetic−
acid)に配位させて得られたFe−DETAPACキレートと1mM
の過酸化水素を反応(フェントン反応)させ、生じるヒ
ドロキシルラジカル(OH・)を60mMに調整したDMPO、DB
NBSからなるスピントラップ剤によって捕捉し、生成し
たスピンアダクトを電子スピン共鳴装置によって測定し
た。 測定は日本電子(株)製JESRE1Xを用い、磁場:3370±
50G、磁場変調:100KHz、0.8G、増幅比:100ないし500、
応答時間:0.1秒、掃引時間:2分の条件で測定した。 具体的には上記の0.1mMのFe−DETAPACキレート溶液の
75μlに50μlの水を混合して、この溶液に60mMのDMP
O、DBNBSを加え、1mMの過酸化水素水の75μlを加え、1
0秒間撹拌した後に、水溶液用のセルに移し40秒後に測
定を開始し、2分間で測定した。 第3図に、得られたDMPOおよびDBNBSをトラップ剤と
した場合のヒドロキシルラジカルのESPスペクトルを示
す。 そして、TEMPOL(2,2,6,6−tetramethyl−4−hydrox
yl−piperidine−1−oxyl)によって得られるESRスペ
クトルとの比較定量法によってスピンアダクトの量を求
めた。 この条件において、第4図に過酸化水素濃度を変化さ
せて得られたスピンアダクトの量を過酸化水素濃度を横
軸に相対信号強度を縦軸として示すが、過酸化水素濃度
と相対信号強度が比例関係にあることがわかる。 また、試料中にヒドロキシルラジカルの消去剤である
メタノール、ジメチルスルフォオキサイドの添加によっ
て、DMPOおよびDBNBSで捕捉したスピンアダクトが消失
することからヒドロキシルラジカルが測定されることが
確かめられた。 測定2 0.1mMのFe−DETAPACキレート溶液の75μlに0.078mM
ないし5mMの酸化型グルタチオンを加えて、この溶液に6
0mMのDMPO、DBNBSを加え、1mMの過酸化水素75μlを加
え、酸化型グルタチオンを添加しない場合と同様にして
ESRでヒドロキシルラジカルの量を測定した。測定はス
ピントラップ剤を変えて2回行った。スピントラップ剤
としてDMPOを使用して測定した場合のスペクトルを第5
図に示し、スピントラップ剤としてDBNBSを使用した場
合のスペクトルを第6図に示す。 このように酸化型グルタチオン添加量の増大にともな
ってスピンアダクトの量が減少することが確認できた。
酸化型グルタチオンを添加しない場合のスペクトルの信
号強度I0と酸化型グルタチオンを添加した場合の信号強
度Iから、相対信号強度(I0/I−1)を求め、相対信号
強度を縦軸に、横軸には酸化型グルタチオンの濃度をと
ってプロットしたところ両者の関係を示す第7図が得ら
れた。 この図からは、被検液中に添加した酸化型グルタチオ
ンの量と相対信号強度に、0.990651の相対係数が得ら
れ、本発明の方法によって活性酸素の発生系の酸化型グ
ルタチオンの濃度が測定可能である。 実施例2 測定3 スピントラップ剤としてDBNBSを用いて、測定1と同
一の条件で測定した。得られたスペクトルを第8図
(a)に示す。 測定4 スピントラップ剤としてDBNBSを用いて、測定2と同
一の条件で0.6mMの酸化型グルタチオン25μlを加えて
測定した。得られたスペクトルを第8図(b)に示す
が、ヒドロキシルラジカルがほぼ全部消費され、信号強
度は零に近く減少している。 測定5 スピントラップ剤としてDBNBSを用いて、測定4と同
一の条件で酸化型グルタチオンと共に16U/mlのグルタチ
オン還元酵素25μlを加えて測定した。得られたスペク
トルを第8図(c)に示すが、グルタチオン還元酵素に
より酸化型グルタチオンが還元型グルタチオンに変換さ
れるためヒドロキシルラジカルがほとんど消費されず、
信号強度は第8図(a)からほとんど減少していない。 測定6 スピントラップ剤としてDBNBSを用いて、測定4と同
一の条件で酸化型グルタチオンの代わりに還元型グルタ
チオンに100U/mlのグルタチオン酸化酵素を加えて測定
すると、還元型グルタチオンがグルタチオン酸化酵素に
よって酸化型グルタチオンに変換され、それによってヒ
ドロキシルラジカルが消費されて、信号強度は第8図
(b)と同様に減少した。 以上の測定結果から、ヒドロキシルラジカルを消費し
ない還元型グルタチオンに、グルタチオン酸化酵素を加
えて酸化型グルタチオンに変換するとヒドロキシルラジ
カルを消費して検出できることがわかった。このことか
ら未知試料について、グルタチオン酸化酵素を加えて還
元型グルタチオンを酸化型グルタチオンに変換して酸化
型グルタチオンの量を測定すれば、酸化型グルタチオン
と還元型グルタチオンを合計したグルタチオンの総量が
求められることが理解される。 また、未知試料を2つに分け、一方について酸化型グ
ルタチオンの量を測定し、他方についてグルタチオン酸
化酵素を加えて還元型グルタチオンを酸化型グルタチオ
ンに変換して酸化型グルタチオンの量を測定すれば、両
測定の差によって還元型グルタチオンの量が判明し、未
知試料に含まれる酸化型グルタチオンと還元型グルタチ
オンの量が判明し、未知試料に含まれる酸化型グルタチ
オンと還元型グルタチオンの量が別々に求められること
が理解される。 また、未知試料にグルタチオン還元酵素を加え、未知
試料に含まれる酸化型グルタチオンを還元型グルタチオ
ンに変換し測定を行えば、未知試料に含まれるグルタチ
オン以外の成分によるヒドロキシルラジカルの消費量を
測定できることも理解できる。グルタチオン以外の成分
によるヒドロキシルラジカルの消費が大きい生体試料な
どの場合、単にヒドロキシルラジカルの消費量を測定し
たのでは、その影響により、酸化型グルタチオンを定量
したことにはならない。そのような場合、グルタチオン
還元酵素を加え未知試料に含まれるグルタチオン以外の
成分によるヒドロキシルラジカルの消費量を測定し、そ
の値を差し引けば、酸化型グルタチオンの量を正確に測
定することができる。 第10図にその場合の測定手順の一例を示す。第10図に
おけるないしは下記のものを示している。 Fe−DETAPAC 0.1mM 75μl 過酸化水素水 1.0mM 75μl DMPOまたはDBNBS 60mM 20μl 未知試料 25μl 酸化型グルタチオン 各種濃度 25μl グルタチオン還元酵素 25μl 水 25μl 第10図において(a)は検量線を作成する手順を示
し、既知の各種濃度の酸化型グルタチオンについて測定
を行い、その測定値を用いて酸化型グルタチオンの濃度
と信号強度との関係を求める。 (b)、(c)が未知試料についての測定で、(c)
の測定により未知試料に含まれるグルタチオン以外の成
分によるヒドロキシルラジカルの消費量を測定できる。
酸化型グルタチオンの量は、(b)と(c)の測定値の
差に基づいて(a)で求めた検量線を用いて決定され
る。
【発明の効果】
本発明は、過酸化物を基質として発生するヒドロキシ
ルラジカルの発生系に、ヒドロキシルラジカルを消去す
る酸化型グルタチオンを含有する試料またはグルタチオ
ン酸化酵素で処理した試料中の活性酵素の量をスピント
ラップ剤によって捕捉し、生成したスピンアダクトの量
を電子スピン共鳴装置によって測定するとともに、試料
をグルタチオン還元酵素によって処理して同様に電子ス
ピン共鳴装置によって測定し、両者の測定値から酸化型
グルタチオン、還元型グルタチオンおよび総グルタチオ
ンの量を定量することができ、供する試料の前処理など
を行うことなく、着色している試料、浮遊物あるいは懸
濁状態の試料であっても問題なく測定することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は、グルタチオン酸化酵素およびグルタチオン還
元酵素によるGSHとGSSGの変化を示し、第2図は、スピ
ントラップ剤による活性酸素の捕捉の結果生じるスピン
アダクトを示す化学反応式を示し、第3図は、DMPOおよ
びDBNBSをトラップ剤とした場合のヒドロキシルラジカ
ルのESRスペクトルを示し、第4図は、過酸化水素濃度
を変化させて得られたスピンアダクトの量を過酸化水素
濃度を横軸に相対信号強度を縦軸として示し、第5図
は、スピントラップ剤としてDMPOを使用して、酸化型グ
ルタチオンの濃度を測定したスペクトルを示し、第6図
は、スピントラップ剤としてDBNBSを使用して、酸化型
グルタチオンの濃度を測定したスペクトルを示し、第7
図は、相対信号強度を縦軸に、横軸には酸化型グルタチ
オンの濃度をとってプロットして両者の関係を示し、第
8図は、グルタチオン還元酵素によって処理をした場合
の場合の酸化型グルタチオン濃度の測定値の変化を示
し、第9図は、活性酸素の代謝機構の1例を示し、第10
図は、本発明による測定手順の1例を示す図。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】過酸化物を基質として発生するヒドロキシ
    ルラジカルの発生系に、ヒドロキシルラジカルを消去す
    る酸化型グルタチオンを含有する試料、またはグルタチ
    オン酸化酵素で処理した試料を添加して、試料の添加の
    前後のヒドロキシルラジカルの量をスピントラップ剤に
    よって捕捉し、生成したスピンアダクトの量を電子スピ
    ン共鳴装置によって測定することを特徴とするグルタチ
    オンの定量方法。
  2. 【請求項2】酸素または過酸化物を基質として発生する
    ヒドロキシルラジカルの発生系に、ヒドロキシルラジカ
    ルを消去する酸化型グルタチオンを含有する試料、また
    はグルタチオン酸化酵素で処理した試料を添加して、試
    料の添加の前後のヒドロキシルラジカルの量をスピント
    ラップ剤によって捕捉し、生成したスピンアダクトの量
    を電子スピン共鳴装置によって測定するとともに、試料
    中にグルタチオンのヒドロキシルラジカルの消去能を阻
    害するグルタチオン還元酵素を加えて同様にヒドロキシ
    ルラジカル量を測定し、両者の測定値の差から酸化型グ
    ルタチオンを測定するか、グルタチオン酸化酵素で処理
    した試料の測定によって総グルタチオン量を測定する
    か、あるいは総グルタチオン量の測定結果から酸化型グ
    ルタチオンの測定結果を差し引いて還元型グルタチオン
    の量を求めることを特徴とするグルタチオンの定量方
    法。
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