JP2777986B2 - 機能性ポリペプチド - Google Patents

機能性ポリペプチド

Info

Publication number
JP2777986B2
JP2777986B2 JP8122797A JP12279796A JP2777986B2 JP 2777986 B2 JP2777986 B2 JP 2777986B2 JP 8122797 A JP8122797 A JP 8122797A JP 12279796 A JP12279796 A JP 12279796A JP 2777986 B2 JP2777986 B2 JP 2777986B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glu
ser
gly
thr
polypeptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8122797A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08275786A (ja
Inventor
房夫 君塚
立 木下
洋一 大館
由起 菅原
郁之進 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Takara Shuzo Co Ltd
Original Assignee
Takara Shuzo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Takara Shuzo Co Ltd filed Critical Takara Shuzo Co Ltd
Priority to JP8122797A priority Critical patent/JP2777986B2/ja
Publication of JPH08275786A publication Critical patent/JPH08275786A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2777986B2 publication Critical patent/JP2777986B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能性ポリペプチ
ド、特にヒトフィブロネクチン(以下、FNと略記す
る)の機能性ポリペプチド、並びにそれをコードする遺
子に関する。
【0002】
【従来の技術】フィブロネクチンは、ヒト及び動物の血
液や組織に広く分布する多機能糖タンパク質であり、細
胞の接着、伸展、移動、分化、増殖、貪食などの生理作
用に関与し、組織の構築と修復、血液凝固、生体防御な
どに重要な役割を果たしていることが知られている。最
近の分子生物学の進歩により、FNの全アミノ酸配列及
び遺伝子構造が解明された〔ジ エムボ ジャーナル
( The EMBO Journal ) 、第4巻、第1755〜175
9頁(1985)〕。FNは、最大2327アミノ酸か
ら成る分子量約25万のポリペプチドがC末端付近で2
つのS−S結合で2量体を形成している。分子内アミノ
酸配列はI型、II型、 III型の繰返し構造を有し、更
に、細胞、コラーゲン、ヘパリン及びフィブリン等に対
する結合領域(ドメイン)がそれぞれ独立に存在する。
FNのこれらの機能は、産業上有用であり、例えば細胞
接着機能は細胞培養基質のコーティング剤、あるいは創
傷治療剤として利用できる。またフィブリン結合能は、
血小板とフィブリンの結合を阻止することによる血液凝
固阻止剤としての用途が考えられる。逆に、細胞接着活
性とフィブリン結合活性の両方の機能を持つペプチド
は、血小板とフィブリンの結合を促進し、創傷治癒効果
を高める。更に、最近の知見から、FNのフィブリン結
合ドメインがインスリン結合活性を有することが明らか
にされ(第46回日本癌学会総会記事、第181頁)、
細胞接着活性とインスリン結合活性の両方の機能を有す
るポリペプチドは、ドラッグデリバリーシステムとして
の用途も考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、FNはそ
れ自体あるいはその機能的断片として有用であるが、血
液から採取するために、高価で採取量にも限界がある。
また、ウイルス感染等の問題もあることから、その利用
は大幅に制限されていた。更にFNから特定の機能を有
する領域を取出す方法としては、酵素による限定分解あ
るいは、ブロモシアン等による限定分解等が知られてい
るが、いずれも操作が煩雑で収率も非常に低く実用的と
は言い難い。本発明の目的は、フィブリン結合活性を持
つ新規な機能性ポリペプチドを構築し、それをコードす
る遺伝子、それを用いた遺伝子工学的な該ポリペプチド
の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は機能性ポリペプチドに関する発明で
あって、下記式(化1)で示されるアミノ酸配列で表さ
れることを特徴とする。
【0005】
【化1】 Asn Glu Gly Leu Asn Gln Pro Thr Asp Asp Ser Cys Phe Asp Pro Tyr Thr Val Ser His Tyr Ala Val Gly Asp Glu Trp Glu Arg Met Ser Glu Ser Gly Phe Lys Leu Leu Cys Gln Cys Leu Gly Phe Gly Ser Gly His Phe Arg Cys Asp Ser Ser Arg Trp Cys His Asp Asn Gly Val Asn Tyr Lys Ile Gly Glu Lys Trp Asp Arg Gln Gly Glu Asn Gly Gln Met Met Ser Cys Thr Cys Leu Gly Asn Gly Lys Gly Glu Phe Lys Cys Asp Pro His Glu Ala Thr Cys Tyr Asp Asp Gly Lys Thr Tyr His Val Gly Glu Gln Trp Gln Lys Glu Tyr Leu Gly Ala Ile Cys Ser Cys Thr Cys Phe Gly Gly Gln Arg Gly Trp Arg Cys Asp Asn Cys Arg Arg Pro Gly Gly Glu Pro Ser Pro Glu Gly Thr Thr Gly Gln Ser Tyr Asn Gln Tyr Ser Gln Arg Tyr His Gln Arg Thr Asn Thr Asn Val Asn Cys Pro Ile Glu Cys Phe Met Pro Leu Asp Val Gln Ala Asp Arg Glu Asp Ser Arg Glu
【0006】本発明の第2の発明は、第1の発明の機能
性ポリペプチドをコードする遺伝子に関する。また本発
明の第3の発明は、上記第1の発明の機能性ポリペプチ
ドをコードする遺伝子を組込んだ組換体プラスミドに関
する。
【0007】本発明者らは、FNの細胞接着活性ポリペ
プチドに関し、実質的にFNと同等の活性を有するポリ
ペプチドの配列を明らかにし、その遺伝子工学的製造方
法を開発して特許出願した〔特願昭63−148号(特
開平1−180900号)、及び同63−31820号
(特開平1−206998号)〕。その後、更に研究を
進め、細胞接着活性と他の機能を合せ持つ機能性ポリペ
プチドについて研究を重ねた結果、細胞接着活性ポリペ
プチドとフィブリン結合ドメインペプチドとのハイブリ
ッドポリペプチドを遺伝子工学的に製造することに成功
した。このハイブリッドポリペプチドを単離して、その
生物活性を調べた結果、細胞接着活性とフィブリン結合
活性を合せ持つ多機能性ポリペプチドとしての生物活性
を有することがわかった。本発明は以上の知見に基づい
て完成された。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。FNの細胞接着活性ポリペプチドとフィブリン結合
ドメインペプチドとのハイブリッドペプチドを遺伝子工
学的に調製する手段としては、細胞接着活性ポリペプチ
ドをコードするDNAを含むプラスミド及びフィブリン
結合ドメインペプチドをコードするDNAを含むプラス
ミドから、それぞれ必要な断片を取出し、両DNA断片
をつなぎ合せた後、適当な発現ベクターに読取りフレー
ムが合うように接続することによって達成される。細胞
接着活性ポリペプチドをコードするDNA断片は、既に
種々の断片がクローン化されている(特開平1−180
900号及び同1−206998号)。これらのプラス
ミドから、必要な部分を切出すことができる。一方、フ
ィブリンドメインをコードするDNA断片は、 pLF5、
pLF3、 pLF4及び pLF2のFN cDNA部分をつな
ぎ合せて構築された pLF 2435 〔バイオケミストリー
( Biochemistry ) 、第25巻、第4936〜4941
頁(1986)〕から必要な断片を切出すことによって
調製することができる。細胞接着活性ポリペプチドとフ
ィブリンドメインポリペプチドのハイブリッドペプチド
をコードするDNA断片を適当な発現ベクターに接続
し、大腸菌に導入することにより、ハイブリッドペプチ
ドを大腸菌で発現させることができる。発現ベクターと
しては、既存のすべてのベクターを使用することができ
る。
【0009】大腸菌によるハイブリッドペプチドの確認
はイムノブロッティングによって調べられる。全菌体タ
ンパク質をSDS−PAGE(SDS−ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動)で分離した後、泳動パターンをニト
ロセルロースフィルターに移し取り、FNの細胞接着ド
メインを認識するモノクローナル抗体とフィブリンドメ
インを認識するモノクローナル抗体の両方に反応するバ
ンドを検出することができる。発現されたペプチドの精
製には通常のクロマトグラフィーの技術が用いられる。
例えば菌体ペレットをバッファーに懸濁し、超音波処理
により可溶性画分を得る。これを、イムノブロッティン
グに用いた抗体を結合させたセファロース4Bのカラム
にかけ、アフィニティ精製を行う。イムノブロッティン
グにより目的画分を集めることによって、細胞接着活性
とフィブリン結合活性の両方の機能を持つ機能性ポリペ
プチドを得ることができる。必要とあれば、FPLC又
はHPLCで更に精製することができる。
【0010】このようにして得られた機能性ポリペプチ
ドは、細胞接着活性、フィブリン結合活性及びインスリ
ン結合活性等の生物活性の測定に用いる。細胞接着活性
の測定には、NRK細胞を用い、例えば、試料をバッフ
ァーに溶かして、マイクロプレートに吸着させた後、N
RK細胞を添加して37℃で一定時間インキュベートす
る。顕微鏡下で細胞の伸展を観察し、伸展の発現に必要
な最少量を天然のFNと比較することにより細胞接着活
性の強さを表すことができる。フィブリン結合活性の測
定にはフィブリンを結合させたセファロース4B〔文献
トロムボシス リサーチ( Thrombosis Research )第
2巻、第137−154頁(1973)〕を用いること
ができる。すなわち試料をフィブリン結合カラムに通し
た後、通過液のSDS−PAGEを行うことにより、フ
ィブリン結合活性の有無を判定する。インスリン結合活
性は、イムノブロッティングの手法に準拠して行うこと
ができる。すなわち、試料をSDS−PAGEで分離し
た後、ニトロセルロースフィルターに移し取り、酵素標
識したインスリンを作用させる。フィルターを洗浄後、
結合したインスリンを酵素活性により判定することがで
きる。
【0011】このようにして、得られるペプチドの好適
な例としては、FNの細胞接着活性を有するAla1235 -
Gln1516 (282アミノ酸残基ペプチド)又は、Ile
1410 -Gln1516 (107アミノ酸残基ペプチド)と、フ
ィブリン結合ドメインペプチドAsn2133 - Glu2324 (1
92アミノ酸残基)の結合したハイブリッドポリペプチ
ドが挙げられる。上記FNの細胞接着活性を有するポリ
ペプチドのアミノ酸配列は下記式(化2)に示すとおり
である:
【0012】
【化2】1235 Ala Val Pro Pro Pro Thr Asp Leu Arg Phe Thr Asn Ile Gly Pro Asp Thr Met Arg Val Thr Trp Ala Pro Pro Pro Ser Ile Asp Leu Thr Asn Phe Leu Val Arg Tyr Ser Pro Val Lys Asn Glu Glu Asp Val Ala Glu Leu Ser Ile Ser Pro Ser Asp Asn Ala Val Val Leu Thr Asn Leu Leu Pro Gly Thr Glu Tyr Val Val Ser Val Ser Ser Val Tyr Glu Gln His Glu Ser Thr Pro Leu Arg Gly Arg Gln Lys Thr Gly Leu Asp Ser Pro Thr Gly Ile Asp Phe Ser Asp Ile Thr Ala Asn Ser Phe Thr Val His Trp Ile Ala Pro Arg Ala Thr Ile Thr Gly Tyr Arg Ile Arg His His Pro Glu His Phe Ser Gly Arg Pro Arg Glu Asp Arg Val Pro His Ser Arg Asn Ser Ile Thr Leu Thr Asn Leu Thr Pro Gly Thr Glu Tyr Val Val Ser 1410 Ile Val Ala Leu Asn Gly Arg Glu Glu Ser Pro Leu Leu Ile Gly Gln Gln Ser Thr Val Ser Asp Val Pro Arg Asp Leu Glu Val Val Ala Ala Thr Pro Thr Ser Leu Leu Ile Ser Trp Asp Ala Pro Ala Val Thr Val Arg Tyr Tyr Arg Ile Thr Tyr Gly Glu Thr Gly Gly Asn Ser Pro Val Gln Glu Phe Thr Val Pro Gly Ser Lys Ser Thr Ala Thr Ile Ser Gly Leu Lys Pro Gly Val Asp Tyr Thr Ile Thr Val Tyr Ala Val Thr Gly Arg Gly Asp Ser Pro Ala Ser Ser Lys Pro Ile Ser 1516 Ile Asn Tyr Arg Thr Glu Ile Asp Lys Pro Ser Gln
【0013】また、上記したFNのフィブリン結合ドメ
インペプチドのアミノ酸配列は既述の式(化1)に示す
とおりである。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0015】実施例1 FNの細胞接着ドメインIle1410 - Met1517 (108ア
ミノ酸残基)及びフィブリン結合ドメインAsn2133 - Gl
u2324 (192アミノ酸残基)をコードするcDNA断
片のクローニング(図1参照) 図1は、本発明による pTF 1301 構築の工程図である。 (1−1)cDNA断片の調製 FNの細胞接着ドメインIle1410 - Met1517 (108ア
ミノ酸残基)をコードするcDNA断片を含む7.8 k
b のプラスミド pTF 201(特開平1−180900号)
100μgを制限酵素 XbaI用バッファー、100ユニ
ットの XbaI及び100ユニットのEcoRIを含む100
μlの反応液中、37℃、2時間インキュベートした。
反応液をダイアジェン( DIAGEN ) 社製HPLCカラ
ム、ニュクレオジェン( Nucleogen )DEAE−400
0(6×125mm)にかけ、0.41kb断片2μgを得
た。次に、この断片を20ユニットの FokIで37℃、
1時間処理し、同様の精製法で XbaI− FokI断片(1
80 bp )、 FokI− FokI断片(203 bp )をそれ
ぞれ250ngずつ得た。一方、フィブリン結合ドメイ
ンAsn2133 - Glu2324 (192アミノ酸残基)をコード
するcDNA断片を含む5.9 kb のプラスミド pLF 2
435 〔バイオケミストリー、第25巻、第4936〜4
941頁(1986)〕100μgを Hind III 用バッ
ファー、100ユニットの Hind III 及び100ユニッ
トの HincIIを含む100μlの反応液中、37℃、2
時間インキュベートした。これをアガロース電気泳動に
かけ、1.2 kb の断片を切出した(収量2μg)。こ
の断片1μgを Sau3AIで37℃、1時間処理し、ニュ
クレオジェンDEAE−4000カラムにかけ、 Hinc
II− Sau3AI断片(621 bp )を200ng得た。 (1−2)合成DNAアダプターの調製 細胞接着ドメインとフィブリン結合ドメインのcDNA
断片を接続するためのアダプター(鎖長24及び20、
図1参照)をアプライドバイオシステムズ社のDNA合
成機を用いて合成し、それぞれ2.7μg、2.3μg
得た。それぞれ100ngをアニーリング操作により2
重鎖とした。
【0016】(1−3)cDNA断片とベクターの結合 (1−1)で得たcDNA断片を分泌型発現ベクター p
IN III− omp AI〔ジエムボ ジャーナル、第3巻、第
2437〜2442頁(1984)〕と結合させた。す
なわち、 XbaI− FokI断片(180 bp )10ng、
FokI− FokI断片(203 bp )10ng、 Hinc II
− Sau 3AI断片(621 bp )30ng、(1−2)で
得た合成DNAアダプター10ng、あらかじめ XbaI
−BamHI挿入断片を除去した pIN III−ompAIベクター
50ngをT4 DNAリガーゼ用バッファー、0.5mM
ATP、10mM DTT及び2.8ユニットのT4
NAリガーゼを含む20μlの反応液中、16℃、一夜
インキュベートした。この反応液を大腸菌の形質転換に
使用した。
【0017】(1−4)大腸菌の形質転換とプラスミド
の確認 (1−3)で得た反応液20μlを用いて大腸菌HB1
01を形質転換させた。得られた形質転換体21クロー
ンについてプラスミドの分析を行った。すなわち、各ク
ローンについて50μg/mlアンピシリンを含む1.5
mlのL−ブロスで一夜振とう培養し、ラピッド法により
プラスミドを調製し、その一部を XbaIと SalIで2重
消化した。これをアガロース電気泳動で分離し、予想さ
れる XbaI− XbaI断片(0.56 kb )及び XbaI−
SalI断片(1.5 kb )のバンドの生成を調べた。そ
の結果、12クローンに目的のバンドが認められた。更
に、その塩基配列をダイデオキシ法で決定したところ、
細胞接着ドメインの108アミノ酸のC末端のメチオニ
ンのコドンが欠落している以外は正しい塩基配列を持つ
ことを確認した。この組換体プラスミドを pTF 1301 と
命名した。またこのプラスミドを保持する大腸菌HB1
01を Escherichia coli HB101 / pTF 1301 と表示
し、工業技術院微生物工業技術研究所に寄託した〔微工
研菌寄第9947号(FERM P−9947)〕。
【0018】実施例2 FNの細胞接着ドメインAla1235 − Gln1516(282ア
ミノ酸残基)及びフィブリン結合ドメインAsn2133 − G
lu2324(192アミノ酸残基)をコードするcDNA断
片のクローニング(図2参照)図2は、本発明による p
TF 1801 構築の工程図である。 (2−1) pTF 901の XbaI− Pvu II 断片の調製 細胞接着ドメインAla1235 − Met1517をコードするcD
NA断片を含むプラスミド pTF 901(特開平1−180
900号)20μgを50ユニットの XbaI及び50ユ
ニットの Pvu II を含む200μlの反応液中、37
℃、1時間インキュベートした。この反応液をアガロー
ス電気泳動にかけ、 XbaI− Pvu II 挿入断片(0.6
1 kb )を切出した(収量400ng)。 (2−2) pTF 1301 の XbaI− Pvu II 断片の調製 実施例1で得たプラスミド pTF 1301 25μgを50ユ
ニットの XbaI及び50ユニットの Pvu II を含む20
0μlの反応液中、37℃、1時間インキュベートし
た。この反応液をアガロース電気泳動にかけ、 XbaI−
Pvu II 挿入断片(0.40 kb )を切出した(収量4
00ng)。また、 XbaI− XbaI挿入断片を欠く8.
0 kb のベクターを同時に切出し(収量2μg)、脱リ
ン酸後、クローニングに使用した。
【0019】(2−3) XbaI− Pvu II 断片(0.6
1 kb 及び0.40 kb )の結合 (2−1)で得た0.61 kb 断片400ngと(2−
2)で得た0.40 kb 断片400ngをT4 DNAリ
ガーゼ用バッファー、0.5mM ATP、10mM DT
T及び2.8ユニットのT4 DNAリガーゼを含む20
μlの反応液中、16℃、3時間インキュベートした。
65℃、10分間の処理で反応を止め、バッファーを X
baI至適条件にし、10ユニットの XbaIを加えて、3
7℃、2時間反応させた。反応液をアガロース電気泳動
にかけ、 XbaI− XbaI断片(1.01 kb )を切出し
た(収量20ng)。
【0020】(2−4) XbaI− XbaI断片(1.01
kb )とベクターの結合 (2−3)で得た XbaI− XbaI断片(1.01 kb )
20ngと(2−2)で得た8.0 kb のベクター20
ngをT4 DNAリガーゼ用バッファー、0.5mM A
TP、10mM DTT及び2.8ユニットのT4 DNA
リガーゼを含む20μlの反応液中、16℃、3時間イ
ンキュベートした。この反応液を大腸菌の形質転換に使
用した。
【0021】(2−5)大腸菌の形質転換とプラスミド
の確認 (2−4)で得た反応液20μlを用いて大腸菌HB1
01を形質転換させた。得られた形質転換体中12クロ
ーンについてプラスミドの確認を行った。ラピッド法で
調製したプラスミドを XbaI− Pvu II の2重消化を行
い、アガロース電気泳動にかけ、予想される挿入断片
(0.61 kb 及び0.40 kb )の生成を調べた。そ
の結果1クローンに目的のバンドが認められた。このク
ローンについて、更にEcoRI消化を行い、挿入断片の方
向性を調べたところ、正しい方向に挿入されていること
を確認した。また、ダイデオキシ法により塩基配列を決
定し、目的の配列を含むことを確認した。この組換体プ
ラスミドを pTF 1801 と命名した。また、このプラスミ
ドを保持する大腸菌HB101を Escherichia coli HB
101 / pTF 1801 と表示し、工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託した〔微工研菌寄第9948号(FERM
P−9948)〕。
【0022】実施例3 FNのキメラポリペプチド Ile1410− Gln1516/ Asn
2133− Glu2324(299アミノ酸残基)の生産と精製 実施例1で得たHB101/ pTF 1301 を50μg/ml
のアンピシリンを添加した5mlのL−ブロスを含む試験
管2本に接種し、37℃、一夜振とう培養した。これを
500mlの同培地を含む2 リットルの三角フラスコにそ
れぞれ接種して培養を続け、660nmの吸光度が0.3
となったところで2mMのIPTG(イソプロピルβ−チ
オガラクトシド)を添加し、20時間後に集菌した。全
菌体ペレットを10 mM トリス−HCl(pH7.
5)、5 mM EDTAを含む溶液に懸濁して、超音波処
理を行い、12000rpm 、30分間遠心して上清40
mlを得た。これを抗FNモノクローナル抗体(FN−1
2、宝酒造)を結合させたセファロース4Bカラム(8
ml)に通した。カラムを洗浄バッファーA(20 mM ト
リス−HCl、pH7.5)で洗浄し、更に洗浄バッフ
ァーB(20 mM トリス−HCl、pH8.0、0.1
M KCl)で洗浄した。最後に溶出バッファー(50
mM グリシンHCl、pH2.3、0.2M KCl)
で溶出した。溶出画分を集め、電気泳動的にほぼ単一な
34 kd ポリペプチド500μgを得た。
【0023】実施例4 FNのキメラポリペプチド Ala1235− Gln1516/ Asn
2133− Glu2324(474アミノ酸残基)の生産と精製 実施例2で得たHB101/ pTF 1801 を実施例3と同
様の方法で2リットル培養し、抗FNモノクローナル抗
体(FN−12)セファロース4Bカラムにより精製し
た。この抗体カラム溶出画分には55 kd の目的のポリ
ペプチドのほかに、その分解物である35 kd のポリペ
プチドを含んでいた。そこで続いてフィブリン−セファ
ロース4Bカラムにより精製した。すなわちD.L.ヘ
ーン(D.L.Heene)らの方法〔トロムボシス リサーチ、
第2巻、第137〜154頁(1973)〕により作製
したフィブリン−セファロース4Bカラム(10ml) に
抗体カラム溶出画分を通した。カラムを洗浄バッファー
(10 mM トリス−HCl、pH7.6、50 mM Na
Cl、0.5 mM EDTA)で洗浄後、溶出バッファー
(25 mM トリス−HCl、pH7.6、6M 尿素)
で溶出した。溶出画分を集め、電気泳動的に単一な55
kd のポリペプチド100μgを得た。
【0024】実施例5 生物活性の測定 実施例3,4で得られたキメラポリペプチド Ile1410
Gln1516/ Asn2133−Glu2324(107CBP/192
FBP、299アミノ酸残基)、 Ala1235− Gln1516
Asn2133− Glu2324(282CBP/192FBP、4
74アミノ酸残基)を用いて以下の生物活性を測定し
た。 (5−1)細胞接着活性 ルオスラーティー( Ruoslahti )らの方法〔メソッズ
イン エンザイモロジー( Methods in Enzymology )第
82巻、第803〜831頁(1981)〕に準じて細
胞接着活性を測定した。すなわち試料を生理食塩水又は
蒸留水で段階的に希釈し、その50μlを96穴マイク
ロプレートに分注し、4 ℃、一夜インキュベートして試
料をプレートに付着させた。次にPBSバッファーでプ
レートを2回洗浄し、3%BSAを100μl加え37
℃、1時間インキュベートしてプレートをブロックし
た。プレートをPBSバッファーで2回洗浄した後、あ
らかじめ、イーグルの最小培地(MEM)に106 細胞
/mlとなるように懸濁させたラット腎細胞(NRK−4
9F)を100μl/ウエルの割合で分注し、37℃、
2〜3時間インキュベートした。なお使用したNRK−
49F細胞は凍結保存した株を前培養した後、トリプシ
ン処理したものを用いた。顕微鏡下で細胞の伸展を観察
し、伸展に必要な最少量を最少細胞接着活性として示
す。結果を他の活性と共に、後記表1に示す。108ア
ミノ酸残基及び283アミノ酸残基の細胞接着ドメイン
のみを有するポリペプチド〔108CBP及び283C
BP( Ile1410− Met1517及び Ala1235− Met1517)、
特開平1−180900〕を同時に測定し、キメラポリ
ペプチドと比較検討した。その結果、107CBP/1
92FBPは、108CBPに比し、約52倍以上の活
性が認められた。282CBP/192FBPは283
CBPと同等の活性が認められた。
【0025】(5−2)フィブリン結合活性 関口らの方法〔ジャーナル オブ バイオロジカル ケ
ミストリー( Journalof Biological Chemistry )、第
256巻、第6452〜6462頁(1981)〕に従
い、フィブリン−セファロース4Bカラムへの吸着によ
りフィブリン結合活性を調べた。前記D.L.ヘーンら
の方法〔トロムボシス リサーチ、第2巻、第137〜
154頁(1973)〕により作製したフィブリン−セ
ファロース4Bカラム(1.4ml) にキメラポリペプチ
ド Ile1410− Gln1516/ Asn2133− Glu2324(107C
BP/192FBP、299アミノ酸残基)5μgを通
した。7.5mlの洗浄バッファー(10 mM トリス−H
Cl、pH7.6、50 mM NaCl、0.5 mM ED
TA)で非吸着画分を除いた後、溶出バッファー(25
mM トリス−HCl、pH7.6、6M 尿素)で吸着
画分を溶出させた。各画分を0.5mlずつ分画し、10
7CBP/192FBPの溶出位置を抗FNモノクロー
ナル抗体(FN−12、宝酒造)を用いたELISA法
により調べた。その結果、107CBP/192FBP
は吸着画分に認められ、フィブリン結合活性を有するこ
とが確認された。同様の結果は Ala1235− Gln1516/ A
sn2133− Glu2324(282CBP/192FBP、47
4アミノ酸残基)でも確認された。また、フィブリン結
合ドメインを有しない Ile1410− Met1516(108CB
P)及び Ala1235− Met1516(283CBP)は、フィ
ブリン−セファロース4Bへの吸着は認められなかっ
た。(表1参照)
【0026】(5−3)インスリン結合活性 FNのフィブリン結合ドメインにはインスリンの結合活
性があることが知られている(第46回日本癌学会総会
記事、第181頁)。そこでキメラポリペプチドのイン
スリン結合活性を調べた。107CBP/192FB
P、283CBP/192FBP、108CBP、28
3CBPを20μgより順次1/2希釈したものをバイ
オラッド社製BIO−DOTTMを用いてニトロセルロー
ス膜に吸着させた。このニトロセルロース膜を3%BS
Aを含むPBSバッファーでブロッキング操作を行った
後、50μg/mlのパーオキシダーゼ標識したインスリ
ン(シグマ社)を含むPBSバッファー中室温、2時間
放置した。次にこのニトロセルロース膜をPBSで5分
間、2回洗浄した後、結合したパーオキシダーゼ−イン
スリンを4−クロロ−1−ナフトール及び過酸化水素を
基質として検出した。その結果108CBP及び283
CBPでは全く発色がみられないのに対して、107C
BP/192FBP及び283CBP/192FBPで
は濃度に対応した発色がみられた。したがって、107
CBP/192FBP及び283CBP/192FBP
にはインスリン結合活性があることが確認された(表1
参照)。
【0027】
【表1】 表 1 ─────────────────────────────────── ポリペプチド 最少細胞接着活性 フィブリン インスリン μg/ウエル pmole/ウエル 結合活性 結合活性 ─────────────────────────────────── 108CBP >50 >4400 − − 283CBP 0.03 1.0 − − 107CBP/192FBP 2.8 84 + + 282CBP/192FBP 0.13 2.4 + + FN 0.18 0.8 + + ─────────────────────────────────── 108CBP : Ile1410− Met1517 283CBP : Ala1235− Met1517 107CBP/192FBP : Ile1410− Gln1516/ Asn2133− Glu2324 282CBP/192FBP : Ala1235− Gln1516/ Asn2133− Glu2324
【0028】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
り、少なくともフィブリン結合活性を持つ機能性ポリペ
プチド、並びにそれをコードする遺伝子が提供された。
上記ポリペプチドは、創傷治癒、ドラッグデリバリーシ
ステムとしてなど各種の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラスミド構築の一例を示す工程図で
ある。
【図2】本発明のプラスミド構築の一例を示す工程図で
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 菅原 由起 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−89699(JP,A) 特開 昭62−272975(JP,A) 特開 昭62−282593(JP,A) 特開 昭62−236485(JP,A) 特表 昭59−501548(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C07K 14/78 C12N 1/21 C12P 21/02 A61K 37/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(化1)で示されるアミノ酸配列
    で表されることを特徴とする機能性ポリペプチド。 【化1】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の機能性ポリペプチドをコ
    ードする遺伝子。
  3. 【請求項3】 Escherichia coli H
    B101/pTF1301(FERM P−9947)
    より得られるプラスミドpTF1301、又はEsch
    erichia coli HB101/pTF180
    1(FERM P−9948)より得られるプラスミド
    pTF1801に含有されることを特徴とする請求項2
    記載の遺伝子。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の遺伝子を含有する
    組換体プラスミド。
JP8122797A 1996-04-22 1996-04-22 機能性ポリペプチド Expired - Fee Related JP2777986B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8122797A JP2777986B2 (ja) 1996-04-22 1996-04-22 機能性ポリペプチド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8122797A JP2777986B2 (ja) 1996-04-22 1996-04-22 機能性ポリペプチド

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63089112A Division JP2561122B2 (ja) 1988-04-13 1988-04-13 機能性ポリペプチド

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9094457A Division JPH1042878A (ja) 1997-03-31 1997-03-31 機能性ポリペプチドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08275786A JPH08275786A (ja) 1996-10-22
JP2777986B2 true JP2777986B2 (ja) 1998-07-23

Family

ID=14844877

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8122797A Expired - Fee Related JP2777986B2 (ja) 1996-04-22 1996-04-22 機能性ポリペプチド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2777986B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB8516421D0 (en) * 1985-06-28 1985-07-31 Biotechnology Interface Ltd Fibronectins

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08275786A (ja) 1996-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4001604B2 (ja) 新規蛋白質及びこれを使用した薬剤の製法
JP2561131B2 (ja) 細胞接着活性ポリペプチド
EP0290419B1 (en) DNA clone of human thrombomodulin
EP0269455A2 (en) Highly purified fused protein comprising human IgE Fc fragment and production thereof
CA2011833C (en) Novel polypeptide and production thereof
JPH025869A (ja) Dna配列、組換えdna分子及びリポコルチン類3、4、5並びに6の製造方法
JPH03228682A (ja) E.コリでの非融合タンパク質の調製方法
JP2561113B2 (ja) 細胞接着活性ポリペプチド
JP2561526B2 (ja) 細胞接着活性ポリペプチド
JP2561122B2 (ja) 機能性ポリペプチド
JPH0829098B2 (ja) 細胞接着活性ポリペプチド
JP2777986B2 (ja) 機能性ポリペプチド
EP0527778B1 (en) Improved process of purifying recombinant proteins and compounds useful in such process
JPH05213998A (ja) 新規なポリペプチド及びこれを有効成分とする 医薬組成物
JP2561149B2 (ja) 機能性ポリペプチド
JPH1042878A (ja) 機能性ポリペプチドの製造方法
JP2829397B2 (ja) フィブリン結合活性ポリペプチド
JP2592441B2 (ja) 免疫インタフエロンおよびその精製方法
JP2623807B2 (ja) セリンプロテアーゼおよびセリンプロテアーゼ遺伝子
JP2516048B2 (ja) 化粧料
JP2780160B2 (ja) 機能性ポリペプチド
JP2657256B2 (ja) 機能性ポリペプチド
JP2780159B2 (ja) 機能性ポリペプチド遺伝子
JPH0413698A (ja) 生理活性ペプチド
JP4042923B2 (ja) 免疫関連因子

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees