JP2777538B2 - 溶接性とHAZ靭性の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板 - Google Patents

溶接性とHAZ靭性の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板

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JP2777538B2
JP2777538B2 JP7965694A JP7965694A JP2777538B2 JP 2777538 B2 JP2777538 B2 JP 2777538B2 JP 7965694 A JP7965694 A JP 7965694A JP 7965694 A JP7965694 A JP 7965694A JP 2777538 B2 JP2777538 B2 JP 2777538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接性とHAZ靭性の優
れた690N/mm2以上の高張力鋼板に関するもので
あり、さらに詳しくは、橋梁、ペンストック、タンク等
に使用される690N/mm2以上のの溶接性とHAz
靭性の優れた高張力鋼板に関するものである。
【0002】
【従来技術】一般に、高張力鋼は構造用鋼として広く使
用されてきている。そして、特に、690N/mm2
上の高張力鋼板は、高い強度を確保するために炭素当量
が高く、溶接施工時において溶接割れを防止するため
に、局部予熱(約100℃)を行う必要がある。
【0003】この予熱を行うことにより、鋼板に歪が発
生したり、また、作業環境が悪化するという問題が生じ
ており、最近になって予熱を軽減するという観点から、
溶接性に優れた690N/mm2以上の高張力鋼板の開
発が強く要望されている。
【0004】そして、溶接性を向上させるためには、P
CMを低減させることが有効な手段であり、例えば、特開
昭53−29217号公報、特開昭53−20218号
公報、特開昭53−28017号公報、特開昭51−1
03018号公報、特開昭59−136418号公報に
は、この考え方に基づいて提案されたものである。
【0005】しかし、PCMを低減するために合金元素を
低減することは、鋼板の焼入れ性を低下させ、強度の低
下は勿論のこと、溶接継手部において上部ベイナイト主
体の組織を生成させることから、HAZ靭性の劣化をも
たらすことになる。即ち、上記の方法では所定の強度と
優れた溶接性は有してはいるが、必ずしも良好なHAZ
靭性を有する鋼板を製造することができないという問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術において、上
記に説明したように、HAZ靭性を劣化させる要因とし
て、上部ベイナイト組織が生成することに加え、上部ベ
イナイト主体の組織における島状マルテンサイトの生成
量が増加することが挙げられており、この島状マルテン
サイトの生成量は鋼板のC含有量を低減することにより
減少させることは知られている。
【0007】従って、溶接性を改善するためにPCMを低
減する場合には、単に、Mn、Cu、Cr、Mo等の合
金元素を低減させるのではなく、主としてC含有量を低
減させて島状マルテンサイトの生成量を減少させること
が、HAZ靭性の劣化を最小限にできるものと考え、こ
の考えを基本として690N/mm2以上の高張力鋼板
における問題を解決するために、本発明者が鋭意研究を
行い、検討を重ねた結果、従来鋼と比較してC含有量の
低い鋼においては、含有させる合金元素の内でCu含有
量を低減することがHAZ靭性の劣化を防止するために
有効であることを知見し、この知見に基づいてC含有量
およびCu含有量を適正に制御し、MnおよびCr等の
合金元素の含有量を調整することによりPCMを低減させ
ることにより、所定の強度と優れた溶接性を有し、か
つ、良好なHAZ靭性を有する690N/mm2以上の
高張力鋼板を開発したのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る溶接性とH
AZ靭性の優れた780N/mm2級高張力鋼板は、C
0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜0.50w
t%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01
〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt%、Cr
0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜1.00w
t%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.0005
〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10wt%を
含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第1の発明
とし、C 0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜
0.50wt%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu
0.01〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt
%、Cr 0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜
1.00wt%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.
0005〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10
wt%、Nb 0.005〜0.030wt%を含有し、
残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第2の発明
とし、C 0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜
0.50wt%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu
0.01〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt
%、Cr 0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜
1.00wt%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.
0005〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10
wt%、Ti 0.005〜0.050wt%を含有し、
残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第3の発明
とし、C 0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜
0.50wt%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu
0.01〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt
%、Cr 0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜
1.00wt%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.
0005〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10
wt%、Ca 0.0005〜0.0050wt%を含有
し、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第4の発明
とし、C 0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜
0.50wt%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu
0.01〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt
%、Cr 0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜
1.00wt%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.
0005〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10
wt%、Nb 0.005〜0.030wt%、Ti
0.005〜0.0050wt%、を含有し、残部Feお
よび不可避不純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第5の発明
とし、C 0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜
0.50wt%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu
0.01〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt
%、Cr 0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜
1.00wt%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.
0005〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10
wt%、Nb 0.005〜0.030wt%、Ca
0.0005〜0.0050wt%を含有し、残部Feお
よび不可避不純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第6の発明
とし、C 0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜
0.50wt%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu
0.01〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt
%、Cr 0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜
1.00wt%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.
0005〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10
wt%、Ti 0.005〜0.050wt%、Ca
0.0005〜0.0050wt%を含有し、残部Feお
よび不可避不純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第7の発明
とし、C 0.03〜0.09wt%、Si 0.05〜
0.50wt%、Mn 0.60〜1.80wt%、Cu
0.01〜0.20wt%、Ni 0.03〜2.00wt
%、Cr 0.20〜1.00wt%、Mo 0.20〜
1.00wt%、V 0.01〜0.10wt%、B 0.
0005〜0.005wt%、Al 0.01〜0.10
wt%、Nb 0.005〜0.030wt%、Ti
0.005〜0.0050wt%、Ca 0.0005〜
0.0050wt%を含有し、残部Feおよび不可避不
純物からなり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板を第8の発明
とする8つの発明よりなるものである。
【0009】以下、本発明に係る溶接性とHAZ靭性の
優れた690N/mm2以上の高張力鋼板について詳細に
説明する。
【0010】本発明に係る溶接性とHAZ靭性の優れた
690N/mm2以上の高張力鋼板においては、溶接性を
改善するためには、その指標としてのPCMを低減させる
必要があり、従来鋼の鋼板に比較し、C含有量とCu含
有量を適正量に制御し、強度を確保するために、Mn、
Cr等の合金元素の含有量を調整することにより、所定
の強度と優れた溶接性を有し、さらに、良好なHAZ靭
性とすることができるのである。
【0011】そして、溶接性の改善には、合金元素の含
有量を低減することが有効であり、その指標としてPCM
が広く使用されているが、優れた溶接性を有する690
N/mm2以上の高張力鋼板とするためには、PCMは0.
23%以下とする必要がある。
【0012】次に、HAZ靭性の改善について説明す
る。即ち、Cu含有鋼では、Cuを固溶させた状態から
約500℃の温度で焼戻し処理を行った場合、Cuの析
出により強度が最も高くなる一方で、靭性が劣化するこ
とは広く知られており、この靭性劣化の程度はCu含有
量が増加すればする程大きくなるのである。
【0013】これと同様な現象が多層盛溶接継手部にお
いても生じていると考えられる。即ち、溶接パスにより
Cuを固溶する温度にまで昇温された後、後続パスで約
500℃の温度となる領域を有する多層盛溶接継手部
は、Cuの析出により脆化するため、Cuの含有量が増
加すればする程、HAZ靭性が劣化するのである。
【0014】しかして、従来鋼においてCu含有量が問
題にならなかったのは、従来鋼は本発明に係る溶接性と
HAZ靭性の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板
よりC含有量が多く、溶接継手部において生成する島状
マルテンサイトの生成量が多いため、もともとHAZ靭
性が低い水準にあり、HAZ靭性におよぼすCu含有量
の影響が現れ難かったためと考えられる。
【0015】しかし、本発明に係る溶接性とHAZ靭性
の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板のように、C
含有量を低減させ、HAZ靭性を改善した場合には、従
来鋼において問題とならなかったCu含有量の影響が現
れるようになった。従って、HAZ靭性におよぼすCu
含有量の影響はC含有量と合わせて考慮する必要があ
る。
【0016】表1に示すように、C含有量およびCu含
有量を種々に変化させた、PCMが0.23%以下である
鋼を溶製し、板厚35mmに圧延を行った後、それぞれ
焼入れ、焼戻し処理を行い、引張強さを約860N/m
2に調整した後、入熱5kJ/mmの多層盛SAW溶
接継手シャルピ試験を行った。
【0017】
【表1】
【0018】図1にボンド部におけるvE-15におよぼ
すC含有量とCu含有量の影響を示す。このことより、
Cu含有量とC+0.17×Cu含有量を規定すること
により、ボンド部のvE−15が150J以上という良
好なHAZ靭性を有する鋼板が得られる。図1におい
て、○内の数字はボンド部のvE-15の値を示してあ
り、○の添数字は鋼記号を示してある。
【0019】即ち、表1および図1から優れたHAZ靭
性を確保するためには、Cu含有量が 0.2wt%以
下であり、かつ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% の式をを満足することが必要である。
【0020】本発明に係る溶接性とHAZ靭性の優れた
690N/mm2級高張力鋼板の含有成分および成分割合
について説明する。
【0021】Cは強度を得るために含有させるのであ
り、含有量が0.03wt%未満では必要最小限度の強
度を得ることができず、また、0.09wt%を越えて
含有させると溶接性が劣化する。よって、C含有量は
0.03〜0.09wt%とする。
【0022】Siは脱酸剤の作用を有する元素であり、
含有量が0.05wt%未満ではこのような効果は期待
できず、また、0.50wt%を越えて含有させると溶
接性および靭性が劣化する。よつて、Si含有量は0.
05〜0.50wt%とする。
【0023】Mnは強度を向上させる効果を有する元素
であり、含有量が0.60wt%未満ではこのような効
果はなく、また、1.80wt%を越えて含有させると
溶接性および靭性が劣化する。よって、Mn含有量は
0.60〜1.80wt%とする。
【0024】Cuは固溶強化および析出強化によって鋼
板の強度を上昇させるのに有効であるが、過多に含有さ
せると熱間加工性や靭性を劣化させるが元素であり、含
有量が0.01wt%未満ではこのような効果は少な
く、0.2wt%を越えてると良好なHAZ靭性を得る
ことができない。よって、Cu含有量は0.01〜0.2
wt%とする。そして、C+0.17×Cuを0.09w
t%以下とすることが必要である。
【0025】Niは母材靭性を向上させるのに有効な元
素であり、含有量が0.03wt%未満ではこのような
効果は期待できず、また、2.00wt%を越えて過剰
に含有させるとスケール疵を発生し易くする。よって、N
i含有量は0.03〜2.00wt%とする。
【0026】Crは焼入れ性の向上効果を有する元素で
あり、含有量が0.20wt%未満ではこの効果は少な
く、また、1.00wt%を越えて過剰に含有させると
溶接性を劣化させる。よって、Cr含有量は0.20〜
1.00wt%とする。
【0027】Moは焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高
くする効果を有する元素であり、含有量が0.20wt
%未満ではこのような効果は得られず、また、1.00
wt%を越えると溶接性を劣化させる。よって、Mo含
有量は0.20〜1.00wt%とする。
【0028】Vは少量の含有により鋼の焼入れ性および
焼戻し軟化抵抗を高くする効果を有する元素であり、含
有量が0.01wt%未満ではこの効果は期待できず、
また、0.10wt%を越えて含有させると溶接性およ
び靭性を劣化させる。よって、V含有量は0.01wt
%〜0.10wt%とする。
【0029】Bは微量の含有により鋼の焼入れ性を高く
する効果を有する元素であり、含有量が0.0005w
t%未満ではこのような効果は少なく、また、0.00
5wt%を越えて過剰に含有させるとB化合物を生成し
て焼入れ性を低下させ、かつ、靭性を劣化させる。よっ
て、B含有量は0.0005〜0.005wt%とする。
【0030】Alは脱酸元素であると共に、Nを固定
し、固溶Bを増加させることにより、Bの焼入れ性を向
上させる効果を有する元素であり、含有量が0.01w
t%未満ではこの効果は少なく、また、0.10wt%
を越えて含有させると靭性を劣化させる。よって、Al
含有量は0.01〜0.10wt%とする。
【0031】Nbは鋼の結晶粒を微細化させる効果を有
しており、含有量が0.005wt%未満ではこの効果
が得られず、また、0.030wt%を越えて含有させ
ると溶接性を劣化させる。よつて、Nb含有量は0.0
05〜0.030wt%とする。
【0032】TiはNを固定し、固溶Bを増加させるこ
とによりBの焼入れ性を向上させる効果を有しており、
含有量が0.005wt%未満ではこのような効果は得
られず、また、0.050wt%を越えると靭性を劣化
させる。よって、Ti含有量は0.005〜0.050w
t%とする。
【0033】CaはMnSを球状化するという介在物の
形態制御による異方性を低減する効果を有しており、含
有量が0.0005wt%未満ではこのような効果は少
なく、また、0.0050wt%を越える過剰の含有は
靭性を著しく損なう。よって、Ca含有量は0.000
5〜0.0050wt%とする。
【0034】PCMは0.23%以下とする理由について
説明すると、690N/mm2以上の高張力鋼板におい
て、溶接性の改善、即ち、割れ防止予熱温度を50℃以
下とするためである。
【0035】
【実 施 例】本発明に係る溶接性とHAZ靭性の優れ
た690N/mm2以上の高張力鋼板の実施例を比較例と
共に説明する。
【0036】
【実 施 例】表2に示す含有成分および成分割合の鋼を
通常の溶製法により溶解し、所定の板厚に圧延を行い、
これに焼入れ処理を行った後、表3に示す温度において
焼戻し処理を行い、引張試験、入熱5kJ/mmの多層
盛SAW溶接継手シャルピ試験およびy形溶接割れ試験
を行った。
【0037】この表3から次のことが明らかである。本
発明のNo.1〜No.11は、690N/mm2以上の
高張力鋼板として、充分な強度を有しており、ルート割
れ防止予熱温度は50℃以下と低く、溶接性に優れてお
り、かつ、ボンド部のvE-15が150J以上であると
いう優れたHAZ靭性を有している。
【0038】これに対して、比較例No.12、No.1
3、No.18およびNo.19は、PCMが0.23より
も高いために、ルート割れ防止予熱温度が100℃以上
と高くなっており、溶接性に劣ることは明らかである。
【0039】また、比較例No.14、No.15、N
o.18、No.19およびNo.21は、Cu含有量が
0.2wt%より高いのでボンド部のvE-15が50J未
満であり、HAZ靭性は充分ではない。さらに、比較例
No.16〜No.21は、C+0.17×Cu含有量が
0.09wt%よりも高く、ボンド部のvE-15が50J
未満でありHAZ靭性は充分ではない。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る溶接性とHAZ靭性の優れた690N/mm2級高張力
鋼板は上記の構成を有しているから、C含有量とCu含
有量を適正な含有量に制御し、Mn、Cr等の合金元素
の含有量を調整することによって、所定の強度と優れた
溶接性を有していると共に、良好なHAZ靭性を有して
いるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボンド部のvE-15におよぼすC含有量とCu
含有量との関係を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−28017(JP,A) 特開 昭60−21326(JP,A) 特開 昭54−38216(JP,A) 特開 昭50−55518(JP,A) 特開 昭60−238449(JP,A) 特公 昭50−17015(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
    23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
    の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板。
  2. 【請求項2】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt%、 Nb 0.005〜0.030wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
    23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
    の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板。
  3. 【請求項3】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt%、 Ti 0.005〜0.050wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
    23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
    の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板。
  4. 【請求項4】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt%、 Ca 0.0005〜0.0050wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
    23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
    の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板。
  5. 【請求項5】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt%、 Nb 0.005〜0.030wt%、Ti 0.005
    〜0.0050wt%、 を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
    23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
    の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板。
  6. 【請求項6】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt%、 Nb 0.005〜0.030wt%、 Ca 0.0005〜0.0050wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
    23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
    の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板。
  7. 【請求項7】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt%、 Ti 0.005〜0.050wt%、 Ca 0.0005〜0.0050wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
    23wt% の各式を満足することを特徴とする溶接性とHAZ靭性
    の優れた690N/mm2以上の高張力鋼板。
  8. 【請求項8】C 0.03〜0.09wt%、Si 0.
    05〜0.50wt%、 Mn 0.60〜1.80wt%、Cu 0.01〜0.2
    0wt%、 Ni 0.03〜2.00wt%、Cr 0.20〜1.0
    0wt%、 Mo 0.20〜1.00wt%、V 0.01〜0.10
    wt%、 B 0.0005〜0.005wt%、Al 0.01〜
    0.10wt%、 Nb 0.005〜0.030wt%、Ti 0.005
    〜0.0050wt%、 Ca 0.0005〜0.0050wt% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、か
    つ、 C+0.17×Cu ≦ 0.09wt% であり、さらに、 PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/6
    0+Cr/20+Mo/15+V/10+5×B ≦ 0.
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