JP2777119B2 - 合成繊維糸条の熱処理装置 - Google Patents
合成繊維糸条の熱処理装置Info
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Description
リアミドのような合成繊維糸条を延伸仮撚加工する装置
に用いられる熱処理装置に関する。より詳しくは、本発
明は、第1および第2送りローラ間にて所定の倍率で延
伸されると同時に仮撚手段によって合成繊維糸条に付与
され、合成繊維糸条に沿って遡及する撚を熱固定するた
めの、所謂第1ヒータに好適な熱処理装置に関する。
高めるため、合成繊維糸条に付与された仮撚を熱固定す
る熱処理装置の温度を300℃以上に高めることが行わ
れている(特開昭55−16936号公報、特開昭57
−66145号公報)。
熱処理(仮撚の熱固定)には、仮撚に対する抵抗が少な
いこと等の理由から、糸条が加熱体に直接接触すること
なく加熱壁面によって囲まれた糸条通路を走行する非接
触式加熱装置が多く用いられている。
内で糸条が振動(バルーニング)を起して充分な撚遡及
が行われなかったり、また、振動に伴う風損等のため糸
条が不安定状態になって良好な熱伝達が行われず糸品質
に悪影響を与えるという問題があった。
従って一層顕著になり、高速加工が行い難い原因の一つ
になっていた。
消するために、糸条が振動して加熱壁面に接触すること
なく、風損等による熱効率の低下も少ない非接触式加熱
装置であって高温(300℃以上)で熱処理するものに
あっては、従来、糸道規制用ガイドが取付けられている
(実公昭61−42937号公報)。
て、ポリエステル糸条を加工する場合に、ヒータ設定温
度を400℃未満として使用すると、断糸発生時に、糸
条がこの糸道規制用ガイド部に融解付着する。
は、この付着物がベーパーライズ(気化)し液体状でな
くなるまでに長時間を必要とする。しかも、仮に付着物
がベーパーライズする前に、再糸掛けをしたときには、
熱容量の大きい高温液状体が走行糸に付着することとな
り、糸を融解、断糸させることとなる。従って、液体状
の付着物が糸道規制用ガイドに付着している間は、再糸
掛が行なえない。
ば、再糸掛ができるが、高温に加熱されたヒータから人
手で付着物を除去する作業は危険である。
に、通常、ヒータ出口の糸温度が、その糸条の必要とす
る温度となるようヒータの温度設定を行なう。そして、
ヒータ設定温度は、糸速、糸条太さ(デニール)、ヒー
タ長等の条件を考慮して決定される。この場合に、加工
条件によっては、ヒータ設定温度を400℃未満とする
必要が生じる。このため、前述のように断糸発生時に長
時間糸掛けができないという問題が発生する。
処理時間が0.035秒以下になると得られた糸条の糸
質が低下する(捲縮特性が悪くなる)という現象が観測
されており、熱処理に際しては、単にヒータ長を短くし
て、要求するヒータ出口糸温度になるよう、より高温で
処理してよいというものでない。
いては、その機械仕様に合せ、従来一定の長さのヒータ
長を決めている。このように従来装置では、ヒータ長が
一定であり加工条件として変化させられる範囲が狭くな
るので、上述したような問題点が発生しない加工条件
は、非常に狭い範囲となってしまう。
例として、ポリエステル繊維糸条を処理する際に融着物
がなくなるまでの時間は、ヒータ温度が370℃で60
分程度450℃で2分程度500℃で10秒程度であっ
た。従って、ヒータの設定温度を400℃以上とするこ
とにより、糸道ガイドに付着した糸条が短時間でベーパ
ーライズしセルフクリーニング(自己清浄性)機能を有
するヒータとすることができることが判明した。
糸発生時に長時間糸掛けができないという問題を解消
し、断糸時にも人手による清掃を要することなく、短時
間でセルフクリーニングされ、容易かつ迅速に再糸掛が
できる設備であり、しかも、広範囲の加工条件を得られ
糸条のバルーニングを効果的に防止することができるヒ
ー タ長の短い熱処理装置を提供することを目的とする。
の目的を、 A)同時延伸仮撚機における撚掛装置の上流にて合成繊
維糸条のセットを行う熱処理装置であって、ヒータ本体
が長手方向に延在する糸条走行溝を有し、該糸条走行溝
の溝底と反対側からヒータへの糸掛けを行い得るように
した合成繊維糸条の熱処理装置において、 B)前記ヒータ本体が糸条の走行方向に2分割されてお
り、 C)分割された各ヒータ本体の長さが互いに異なるとと
もに分割されたヒータ本体間には間隙があり、 D)分割された各ヒータ本体には糸条走行溝の壁面を高
温に加熱するシーズヒータがそれぞれ埋設されており、 E)各糸条走行溝には糸条走行溝の溝底と反対側からヒ
ータへの糸掛けを行い得る形態の複数の糸ガイドが連続
して設けられており、 F)一連の前記糸ガイドは糸条が強制的に押し付けられ
るように配置されており、 G)分割された前記ヒータ本体の外側には単一の保温カ
バーが設けられており、 H)前記各シーズヒータが各ヒータ本体の加熱を独立に
制御する制御器に接続されている、ことを特徴とする合
成繊維糸条の熱処理装置により達成する。
に加熱し、または同時に加熱するよう制御器に接続され
ている。
ズヒータが単一の保温カバー内において2つ以上に分割
されており、太デニールの糸条を高速加工するときは、
分割した両加熱体を同時に加熱し、両ヒータ本体内にあ
るガイドが400℃以上となるようにすることが好まし
い。
加熱体の一方のみを400℃以上に加熱するよう制御を
切替えることができる。
することにより、糸の走行方向に多段階の温度設定を行
う熱処理装置とすることができる。この場合に適応範囲
を広くするために、両ヒータ本体の長さを異ならせて、
全ヒータ長に対する加熱部のヒータ長の割合を変えられ
るようにすることが好ましい。
詳細に説明する。図4は本発明に係る合成繊維糸条の熱
処理装置を組込んだ延伸仮撚装置の概略正面図である。
らなる第1送りローラ2により糸条Yが引き出され、第
2送りローラ6との間で所定の倍率に延伸されると同時
に、摩擦ベルト、摩擦円板、仮撚スピンドル等の公知の
撚掛装置5により糸条Yに撚が付与される。
は、第1送りローラ2の方向に向って、糸条Yに沿って
遡及する。糸条Yに沿って遡及した撚は、熱処理装置3
により熱固定され、更に、熱処理装置3の下流に設けら
れたスタビライジングトラック4において冷却される。
第2送りローラ6の間において撚掛装置5の上流の糸条
Yに仮撚が付与され、撚掛装置5を出た後、糸条Yは解
撚され、糸条Yは第2送りローラ6から巻取装置7に送
給される。
ース装置8、糸条Yを巻取るボビンを装着するボビンホ
ルダ10およびボビンまたはボビンに巻取られた糸条に
圧接されるフリクションローラ9からなっている。
図3を参照して詳細に説明する。
は、ヒータ本体が長さ方向に2分割されており、シーズ
ヒータもまた2分割されている。
されたヒータ本体11および21からなり、図1、図2
に示すようにヒータ本体11、21の間に小間隙Gが設
けられており、これらヒータ本体11、21を加熱する
シーズヒータ12、22がヒータ本体11、21内に設
けられている。また、両シーズヒータ12、22は、接
続プレート33により接続されている。13、23は温
度センサーである。
においてAで示すように、両方とも同時に400℃以上
に加熱してもよく、またシーズヒータ12のみ、すなわ
ち、(図1のB)のみを主に加熱し、またはシーズヒー
タ22(図1のC)のみを主に加熱してもよい。またシ
ーズヒータ12、22の加熱条件を変えるようにしても
よい。これらの条件設定は図示していない制御器によっ
て行うようになっている。
温材31により保温されており、更に、その外側に図1
に示すように単一の保温カバー32が設けられている。
また、図1に示すようにヒータ本体11、21間の小間
隙Gにも保温材31が設けられていることが好ましい。
うにコの字状断面形状をした糸条走行溝Sが形成され、
糸条走行溝Sは図2に示すようにヒータ本体11、21
の長手方向に延在しており、図1および図2に示すよう
に糸条走行溝Sの開口側(溝底と反対側)から糸掛けが
できる。
糸条走行溝Sの糸条Yの走行方向に間隔を開けて突設さ
れている。
に、糸条走行溝Sの溝底と反対側(開口側)に開いた凹
部14a、24aが糸走行路として形成されており、糸
条走行溝Sの溝底と反対側から糸ガイド14、24の凹
部14a、24aに糸掛けができるようになっている。
凹部14a、24aの頂点を長さ方向に結ぶ線は、図2
に示すように、全体として軽い弓形をなすようにしてお
り、一連の糸ガイド14、24を通過する糸条Yが糸張
力によって糸ガイド14、24に強制的に押し付けられ
るよう糸ガイド14、24を配置することが、糸条の振
動(バルーニング)なくすために好ましい。
14、24の材質はセラミックを用いることが好まし
い。上述したように、また、図1および図2に示すよう
に、ヒータ本体11、21は小間隙Gを開けて完全に切
り離されており、好ましくはこれらヒータ本体11、1
2の間の小間隙に保温材31を設けている。このように
構成することにより、両ヒータ本体11、21間の熱の
影響を少なくすることができる。これにより、隣接する
2つのヒータ本体11、21における糸ガイド14、2
4のうち、間隙G部近傍に設けられた糸ガイドが他方の
ヒータ本体11または21からの熱の影響を受けること
を少なくすることができる。 また、図2に示すように、
両ヒータ本体11、21の隣接する端部の近傍に設けら
れた糸ガイド14と24との間の間隔を各ヒータ本体1
1、21における糸ガイド14と14、または24と2
4の間隔と同程度またはそれよりも小さくすることが好
ましい。これにより、ヒータ本体11、21の分割部分
においても強力なバルーニングの抑制力ができる。 前述
のように、ヒータ本体は単一の保温カバー32の内部で
分割されており、保温カバー32は分割されておらず、
加熱装置の全長さを短くできる。 シーズヒータ12、2
2は図1に示すように、分割された各ヒータ本体11、
21において糸条走行溝に沿って設けられた直線部12
L、22Lを有している。シーズヒータ12、22の端
部を図1に示すように、糸条走行溝Sの溝底を基準に見
て、糸掛けを行う側と反対方向に、折れ曲がった折れ曲
がり部12B、22Bとすることが好ましい。これによ
り、加熱装置の長さを短く抑えることができる。特にヒ
ータ本体11、21間の間隙側の端部を曲げることによ
り、間隙を小さくでき、結果的に間隙を挟む2個の糸ガ
イドの間隔が広くならず、この部分での強力なバルーニ
ング抑制力を確保するために有効である。
エステルの場合には、基本的にヒータ出口部の糸温度が
約220℃となるように設定する。この糸温度は、ヒー
タ長、糸速、糸のデニール、ヒータ設定温度により決定
される。一例として、150デニール、75デニール
(加工糸デニール)のポリエステルの場合について説明
する。
ータ本体11が0.7m、下流のヒータ本体21が0.
3mであり、計1mの長さを有している。
る場合、図5から明らかなように、糸速が800m/分
〜1500m/分の範囲において糸温度を220℃とす
るためのヒータ設定温度は456℃〜582℃となる。
従って、断糸時に糸ガイドに糸条が融着したとしても、
糸ガイド温度が高温(400℃以上)のため、短時間で
融着物がなくなりセルフクリーニングとなり、短時間で
再糸掛けが行える。
ば、図5から明らかなように、糸速が800m/分〜1
500m/分の範囲で糸温度を220℃とするためのヒ
ータ設定温度は355℃〜455℃となる。概略105
0m/分以下の糸速でガイド温度(=ヒータ設定温度)
が400℃未満となり、融着した糸条は溶融状態で長時
間に亘り糸ガイドに付着し続ける。このため、再度、糸
掛けを実施しても、この融着物が原因で糸掛成功率が非
常に低くなる(ほとんど成功しない)。
0.3m)のうち、0.7mのみを昇温し、0.3m部
を昇温しない状態とすれば、上記糸速範囲でのヒータ設
定温度は410℃〜500℃となり、セルフクリーニン
グされることになる。
を分割していることから、次のような使い方も可能であ
る。
温度としておき、0.3m側のヒータ温度を400℃以
上とすることでヒータ出口糸温度を約220℃とするこ
ともできる。
す。
ようにする。
割した各ヒータを同一の高温度に設定する。
は、分割したヒータの一方を主に加熱し、ヒータ温度を
上昇させる。
℃以上で糸条YのBヒータ通過時間が0.035秒以上
の場合には、Cヒータは昇温しない。
以上だが、糸条YのBヒータ通過時間が0.035秒以
下の場合には、Cヒータは、糸が融着しないガイド温度
(250℃以下)になるように、ヒータ温度を設定し、
トータルのヒータ通過時間を増加させる。
りヒータ本体全体の全長に亘って、糸条のバルーニング
を効果的に抑制できる。更に断糸時に、糸ガイド部に糸
条が融着したとしても、熱により短時間で付着物がベー
パーライズし、糸ガイド表面がもとの状態となり容易に
かつ迅速に再糸掛けが行える。
が多く、要求される糸質によっては、その加工スピード
も範囲が広い。このような状況下でも、本発明の熱処理
装置によれば幅広い条件範囲内でセルフクリーニングヒ
ータとすることができる。本発明によれば、ヒータ清掃
が不要となり、延伸仮撚機におけるヒータ設置場所にヒ
ータ清掃を考慮した設計をしなくてもよくなり、設備が
簡単となり設備費が安くなる。
ある。
置の概略正面図である。
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 A)同時延伸仮撚機における撚掛装置の
上流にて合成繊維糸条のセットを行う熱処理装置であっ
て、ヒータ本体が長手方向に延在する糸条走行溝を有
し、該糸条走行溝の溝底と反対側からヒータへの糸掛け
を行い得るようにした合成繊維糸条の熱処理装置におい
て、 B)前記ヒータ本体が糸条の走行方向に2分割されてお
り、 C)分割された各ヒータ本体の長さが互いに異なるとと
もに分割されたヒータ本体間には間隙があり、 D)分割された各ヒータ本体には糸条走行溝の壁面を高
温に加熱するシーズヒータがそれぞれ埋設されており、 E)各糸条走行溝には糸条走行溝の溝底と反対側からヒ
ータへの糸掛けを行い得る形態の複数の糸ガイドが連続
して設けられており、 F)一連の前記糸ガイドは糸条が強制的に押し付けられ
るように配置されており、 G)分割された前記ヒータ本体の外側には単一の保温カ
バーが設けられており、 H)前記各シーズヒータが各ヒータ本体の加熱を独立に
制御する制御器に接続されている、 ことを特徴とする合成繊維糸条の熱処理装置。 - 【請求項2】 前記各シーズヒータが、 I)分割された前記各ヒータ本体に糸条走行溝に沿って
設けられた直線部と、J)少なくとも前記ヒータ本体間
の間隙の近傍において、糸条走行溝の溝底を基準に見
て、糸掛けを行う側と反対方向に、折れ曲がった折れ曲
がり部と、 を有することを特徴とする請求項1記載の合成繊維糸条
の熱処理装置。 - 【請求項3】 前記ヒータ本体の全長が約1m、2分割
された各ヒータ本体の長さの比率が約7:3、かつ前記
糸条がポリエステルであってその走行速度が800m/
分ないし1500m/分であることを特徴とする請求項
1または2に記載の合成繊維糸条の熱処理装置。 - 【請求項4】 前記ポリエステル糸条の太さが加工糸太
さで75ないし150デニールであって、ヒータ出口の
糸温度が約220℃となり、かつ糸ガイドの温度が断糸
後直ちに再糸掛けが行えるセルフクリーニング温度とな
るよう前記各ヒータ本体が個別に制御されることを特徴
とする請求項3に記載の合成繊維糸条の熱処理装置。 - 【請求項5】 分割されたヒータ本体間の間隙に保温材
を設けたことを特徴とする請求項2に記載の合成繊維糸
条の熱処理装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP9019699A JP2777119B2 (ja) | 1997-01-18 | 1997-01-18 | 合成繊維糸条の熱処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP9019699A JP2777119B2 (ja) | 1997-01-18 | 1997-01-18 | 合成繊維糸条の熱処理装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2029804A Division JP2856260B2 (ja) | 1990-02-10 | 1990-02-10 | 合成繊維糸条の熱処理装置 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09302542A JPH09302542A (ja) | 1997-11-25 |
JP2777119B2 true JP2777119B2 (ja) | 1998-07-16 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2777119B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54131059A (en) * | 1978-03-29 | 1979-10-11 | Teijin Ltd | Heat treating apparatus of yarn |
-
1997
- 1997-01-18 JP JP9019699A patent/JP2777119B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH09302542A (ja) | 1997-11-25 |
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