JP2641337B2 - 高速仮撚加工方法 - Google Patents
高速仮撚加工方法Info
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Description
仮撚加工法に関し、更に詳しくは短時間で均一な熱処理
を行うことができ、熱収縮率の幅広い(範囲が広い)仮
撚加工糸を得ることが可能である共に、高速仮撚(糸速
度1000m/分以上)加工時のサ−ジング現象(加撚
ゾ−ン走行糸条に極端な張力の変動が生じる現象)を制
御し、かつヒ−タ汚れがなく、しかも1000m/分以
上の仮撚加工を円滑に実施可能にする高速仮撚加工法に
関するものである。
う際には、仮撚具(スピンドル、フリクシヨンデイス
ク、ベルト等)により実撚を入れた部分に熱セツト用の
第1ヒ−タが用いられているが、このヒ−タは接触式の
熱板で、溝と曲率を有したものである。また、加工速度
によりヒ−タ長さも異なり、通常市販されている加工機
のヒ−タ長は加工速度100m/分位のもので1m長程
度、400m/分位のもので1.5m、700m/分位
のもので2.5mに設計されており、これらヒ−タ設計
で基本的な考えはヒ−タ温度250℃以下にすること
と、熱セツト時間を少なくとも0.17秒以上にするこ
とである。
を目的として、仮撚加工速度は次第に高速化される傾向
にある。この高速仮撚加工を行うために加工速度に応じ
て熱セツト性の低下を防ぐためにヒ−タ長を長くした
り、高温にしたりするようになつてきている。
導も屈曲したものとなり、撚遡及ダウンおよび熱処理−
冷却が不充分となり、従来の加工糸の品質が維持できな
い。また、接触式加熱タイプの場合はヒ−タ長が長くな
ると、糸条の接触抵抗が増大して毛羽が発生し易くな
り、細繊度糸条の加工や高速での加工が困難になる。
しているため加熱ゾ−ンが長いと糸条走行溝から外れて
しまうことがあり、糸速度を上げていくとバル−ニング
が加撚糸条に発生し、糸切れが増加し安定な生産を維持
できなくなる。また、比較的低い糸条速度でサ−ジング
現象が起こり、高速で安定に仮撚加工するのが困難であ
る。
持するために低速時よりも撚数を少なくし加工張力、特
に加撚張力(T1 )を高くするなどして調整をすること
があるが、当然良好な加工糸物性は得られない。
の昇温カ−ブの勾配が急になり、高温、短時間の加熱に
なるため糸条の外層と内層とで温度差が生じ、染着差
(錘内、錘間差)のコントロ−ルが困難であつた。
し、その温度を350℃以上800℃以下で加工する方
法(特公平2−60769号公報)においては、高熱収
縮率[T.Cが25〜35%の高T.C]の加撚加工糸
を得るのは有利であるが、逆に熱収縮率の低い仮撚加工
糸(一般的にT.Cが15〜25%)を得るには不利で
ある。即ちヒ−タ温度350℃未満で加工することで低
T.C加工糸が得られるが、巻込み毛羽等の原因で断糸
したとき、ヒ−タ内のガイド等に溶融ポリマ−が付着
し、それがなかなか灰にならないため著しく作業性に支
障を来たし(溶融ポリマ−が付着し清掃が困難となり、
単なる清掃のみでは十分に付着ポリマ−が取れないた
め、次に糸掛けしてもすぐ断糸することになる。)、操
業生産性が低下し従来の操業生産レベルを維持できな
い。
従来の問題点を解消し、非接触ヒ−タを2分割してコン
パクト化(小型化)し、短時間で均一な熱処理を行うこ
とができ、熱収縮率の幅広い製品を得ることが可能であ
り、高速仮撚加工時のサ−ジング現象を抑制し、高速で
の仮撚加工を安定化した品質、加工性を得る、操業生産
可能な仮撚加工法を提供するものである。
エチレンテレフタレ−トからなるポリエステル繊維を仮
撚加工する際に、第1ヒ−タを糸条進行方向に上段、下
段の2つに分割した非接触ヒ−タとし、下記式を満足し
かつ第1ヒ−タの上段ヒ−タ(HA)の温度を400℃
以上800℃以下、熱処理時間を0.01秒以上0.0
4秒以下、第1ヒ−タの下段ヒ−タ(HB)の温度を3
20℃以下、熱処理時間を0.03秒以上0.08秒以
下に維持して、延伸同時仮撚加工することを特徴とする
高速仮撚加工方法である。
HA=(0.2〜0.5)m 第1ヒ−タの下段(糸条出側)ヒ−タ長 HB=(0.
5〜0.8)m ここで、本発明にいう、実質的にポリエチレンテレフタ
レ−トからなるポリエステル繊維とは繰返し単位の85
%以上がポリエチレンテレフタレ−トであり、必要に応
じて少なくとも1種以上の共重合成分を共重合して成る
共重合ポリエステルでもよく、又これらポリエステルは
艶消剤、制電剤、防炎剤、滑剤等の添加剤を含んでもよ
い。
1ヒ−タのみで仮撚加工するワンヒ−タタイプのものと
第1、第2ヒ−タを用い、第2ヒ−タで第1ヒ−タで熱
セツトされた高巻縮糸の高トルク糸をオ−バフイ−ド下
またはアンダ−フイ−ド下で熱セツトし低巻縮性、低ト
ルク性にするツ−ヒ−タ加工のものも含むものである。
以下、本発明を図面に基いて説明する。図1は本発明
を実施するに好適な装置の概略図、図2(a),
(b),(c)ははそれぞれ図1の第1加熱装置の平面
図、部分的横断面図および上部(上段ヒ−タ)縦断面図
ある。
2送りロ−ラであり、これら第1および第2ロ−ラとの
間に第1加熱装置(第1ヒ−タ)3と撚掛装置4が設け
られており、第1ヒ−タ3と撚掛装置4の間には冷却プ
レ−ト5が設けられている。
されており、糸条の入側の上段ヒ−タHAと、糸条の出
側にあたる下段ヒ−タHBは、図2に示すようにヒ−タ
の長手方向に適宜の間隔で設けたガイド34により、走
行糸条yがヒ−タ本体(ヒ−タブロツク)31に接触し
ないようにした非接触式ヒ−タであり、糸条入側の上段
ヒ−タHAの加熱温度は糸条の融点以上の温度にされて
いる。また、糸条出側の下段ヒ−タHBの加熱温度は通
常、糸条の融点以上の温度にされる。
上段ヒ−タHAの長さは、通常0.2〜0.5m、また
糸条出側の下段ヒ−タHBの長さは、通常0.5〜0.
8mである。これら上、下段ヒ−タは若干の間隔をあけ
て配設してもよく、また連続して配置してもよい。
−タを非接触式加熱装置にし、上段ヒ−タHAの長さを
0.2〜0.5m、下段ヒ−タHBの長さを0.5〜
0.8mにすることが必要である。この配置を逆にする
と、適正化されている延伸点がずれ、糸条内部まで均一
に加熱することが困難となつて染着差が発生し易くな
り、本発明の目的を達成することができない。
ツケ−ジ、7は巻取装置である。
yは第1送りロ−ラ1により引取られ、2分割の非接触
式の第1ヒ−タ3と撚掛装置4とで仮撚加工が施され
る。第1ヒ−タ3を出た糸条yは冷却プレ−ト5によつ
て冷却、安定化された後、第2送りロ−ラ2で延伸仮撚
加工後引取られ、次いで巻取られる。また、必要に応じ
て第2送りロ−ラ2の後に第3送りロ−ラ2を設け、両
者の間に第2ヒ−タを配設して更に熱処理するようにし
てもよい。
に、撚によるバル−ニングを防止するためにガイドを設
けたものが必要であり、この意味においては完全な非接
触ヒ−タを意図するものではない。
更に詳しく説明すると、第1ヒ−タ3は上、下段ヒ−タ
HAとHBとから構成されており、両者ともシ−ズヒ−
タ(図示せず)を内設したヒ−タ本体31に2本の溝3
2,33が刻設され、該溝32,33には糸条案内用の
ガイド34が設けられている。
隔でガイド34が設けられ、糸条yはこのガイド34に
より図2(b),(c)に示すようにその底部に沿って
定位置を走ることになる。この場合、底部位置を一定か
つ安定して走行するようにある曲率を形成する如く配置
しておくのが好ましい。上段ヒ−タHAの温度は図2
(c)で示すようにその中央部で測定される温度が40
0℃以上で800℃以下にする必要がある。
(巻込毛羽)などで断糸したとき、ガイド等に溶融ポリ
マ−が付着し、それがなかなか灰ならず糸掛けが困難と
なり、操業生産上(再糸掛性低下)効率、歩留り低下と
なつて問題を生じる。
が、上段ヒ−タHAが0.2〜0.5mでの巻縮が従来
の製品と同レベルにするためには、加工速度を下げざる
を得ず、高速加工のメリツトがなく前述の作業性で効率
が悪くなる点でも不利である。
(2〜3分の数分)で分解して灰となり、スカムとして
残らないことに因る。しかし、800℃を越えるとヒ−
タの耐久性、エネルギ−コストの上昇となり、かつ熱セ
ツト時間が短くなるため期待した熱セツト効果が得られ
ない。
1秒以上、0.04秒以下にすることが必要である。セ
ツト時間が0.01秒未満においては巻縮率が十分上が
らなくなり、又その加工糸強度も低下するので好ましく
ない。逆に0.04秒を越える場合は染着が淡染とな
り、かつ染斑が発生して目立ち易くなるので好ましくな
い。
間、高温セツトの除冷ゾ−ンとしての役目を果たし、そ
の温度は320℃以下にすることが必要であり、320
℃を越える場合は上述の如くガイドでの溶融ポリマ−が
付着する問題が発生するが、320℃以下では接触式ヒ
−タの約220℃に相当する。このため断糸時におい
て、ガイドへの付着がなく、再糸掛性も数分で可能、操
業生産性も良好である。
図3に示すように概略320℃を越え400℃未満の範
囲である。
200℃以上320℃以下とするのが適当であり、糸条
の内層と外層の染着差を少なく、均一化し染斑も発生し
難いのである。
以上、0.08秒以下にすることが必要である。この時
間が0.03秒未満では強度ダウンに加えサ−ジングが
発生し易く、染着不良が生じ易い。0.08秒を越える
領域においては加工毛羽が発生し、品位に影響するので
好ましくない。
るのが好ましい。加工後、150deを越える場合は目
標とする糸強度及び巻縮特性を得るため加工速度ダウン
が必要となり(仮撚具の磨耗経時による寿命低下)、本
発明の目的とする高速仮撚加工によるメリツトがなくな
る懸念がある。一方、加工後、20de未満においては
高速加工によるクリ−ルからの解舒で負荷が発生し、僅
かの張力変動が未解撚発生となり易く、かつ染斑が発生
し易くなつて好ましくない。
平均加工速度1000m/分で安定した仮撚加工が可能
である(この場合、仮撚具はフリクシヨンデイスクでウ
レタンゴム、セラミツクコ−テングのデイスク等が適当
に選択される)。
時間でよいため、ヒ−タ長が900m/分加工の従来
(接触)ヒ−タであると2.5mが使用されているが、
同速加工だと本発明は0.6〜1.8mで、より好まし
くは0.6〜0.7mで十分であり、かなり設備のコン
パクト化が可能である。
経時的に発生し、10日〜1ケ月でヒ−タを清掃を必要
としていたが、このようなヒ−タ清掃も不要となるため
休止損失も少なくなる。また仮撚ヒ−タでのスカムを考
慮することなく供給原糸の油剤においても紡糸調子の良
い油剤を選択することが可能となり、パフオ−マンスが
向上する。
になるよう綛にとり、デニ−ル当り2mgの軽荷重を掛
け沸水中で20分間処理し、その後20℃65%RHの
室で一昼夜、自然乾燥した後、デニ−ル当り200mg
の重荷重を掛け1分間放置後の長さをl0 、その後重荷
重を取り除き軽荷重に変更し、1分後のl1 を測定し、
次式で計算される。
%、丸断面の130デニ−ル/36フイラメントのポリ
エステルマルチフイラメント糸条を図1に示すような延
伸仮撚装置により、下記に示す条件で1000m/分の
高速仮撚加工を行った。
タHAの長さを0.3m、設定温度を550℃、熱処理
時間を0.018秒とし、糸条出側の非接触式第1ヒ−
タの下段ヒ−タHBの長さを0.7m、設定温度を30
0℃、熱処理時間を0.042秒に維持して、ポリエス
テルフイラメント糸条を加工後の繊度が75デニ−ルに
なるように(加工DR=1.78)、1000m/分の
速度で加工した。
仮撚装置で、実施例1と同じ原糸を用いて、ヒ−タは長
さ2.5mの接触式ヒ−タを用いて220℃で熱処理
し、加工後のデニ−ルが75デニ−ルになるように70
0m/分の速度(比較例1)、1000m/分の速度
(比較例2)で加工した。
得られた仮撚加工糸の諸特性を表1に示す。
じ高速加工(1000m/分の比較例2)の従来技術に
おいては強度、伸度、T.Cが低くなつており、いずれ
の特性においても劣っていた。また比較例2の仮撚加工
糸は毛羽が多く、かつ操業中には糸切れが多発して長時
間の安定した加工は不可能であつた。
る品質特性、仮撚装置である。
装置を大幅に短くすることができ、1000m/分前後
の高速で加工する場合、従来の半分以下の長さにするこ
とが可能となり、設備を小型化できるとともに均一で十
分な熱処理を施すことができる。
た、操業生産可能にし、かつ巻縮T.Cのコントロ−ル
巾が広くなり汎用化が可能となる。また、加熱装置を短
くすることによつて糸条の接触抵抗が少なく毛羽発生を
少なくすると共に、高速仮撚加工時のサ−ジング現象を
抑制することができ高速で安定な仮撚加工が可能とな
る。
ラフである。
図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレ−トからなるポ
リエステル繊維を仮撚加工する際に、第1ヒ−タを糸条
進行方向に上段、下段の2つに分割した非接触ヒ−タと
し、下記式を満足しかつ第1ヒ−タの上段ヒ−タ(H
A)の温度を400℃以上800℃以下、熱処理時間を
0.01秒以上0.04秒以下、第1ヒ−タの下段ヒ−
タ(HB)の温度を320℃以下、熱処理時間を0.0
3秒以上0.08秒以下に維持して、延伸同時仮撚加工
することを特徴とする高速仮撚加工方法。 第1ヒ−タの上段(糸条入側)ヒ−タ長 HA=(0.
2〜0.5)m 第1ヒ−タの下段(糸条出側)ヒ−タ長 HB=(0.
5〜0.8)m - 【請求項2】 加工後の繊度が20de〜150deで
ある請求項1記載の高速仮撚加工方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12441991A JP2641337B2 (ja) | 1991-04-30 | 1991-04-30 | 高速仮撚加工方法 |
TW079102471A01A TW302403B (ja) | 1991-04-30 | 1992-10-24 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12441991A JP2641337B2 (ja) | 1991-04-30 | 1991-04-30 | 高速仮撚加工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04333629A JPH04333629A (ja) | 1992-11-20 |
JP2641337B2 true JP2641337B2 (ja) | 1997-08-13 |
Family
ID=14885016
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12441991A Expired - Lifetime JP2641337B2 (ja) | 1991-04-30 | 1991-04-30 | 高速仮撚加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2641337B2 (ja) |
-
1991
- 1991-04-30 JP JP12441991A patent/JP2641337B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04333629A (ja) | 1992-11-20 |
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