JP2776920B2 - トーリツク形状および非球面形状物体の加工装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、円環状のトーリツク形状および非球面形状
物体の加工装置に係り、特に形状精度の高いトーリツク
レンズならびに非球面レンズを形成するのに好適なトー
リツク形状および非球面形状物体の加工装置に関するも
のである。

〔従来の技術〕

従来、トーリツクレンズの加工は、特開昭62−203744
号公報に記載されているように、研磨皿を予め加工すべ
きレンズ形状と相反関係をなす形状に加工しておき、こ
の研磨皿をガラス素材に押しあて砥粒を研磨皿とガラス
素材のすき間に供給し、こすり合わせる光学研磨法がと
られていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記従来技術は、第３図の破線で示されるようにトー
リツク形状のみしか加工できないが、例えばレーザビー
ムリンタなどの用途においては、トーリツク形状から同
図の実線で示されるような、わずかに偏差をもたせた面
を有する変形トーリツクレンズを用いることにより、光
学的な結像性能を向上できることがわかつている。第２
図は、そのトーリツク面および非球面加工装置の構成を
示している。

ワーク（被加工物）１は、モータ12により回転する回
転テーブル２上に、同回転テーブル２は前後に移動可能
な直進テーブル３上にそれぞれ設けられている。この直
進テーブル３を駆動するために、ピエゾアクチユエータ
４が用いられる。一方、ワーク１を加工するために、砥
石５が用いられるが、この砥石５は、エアスピンドル６
に取付けられて、10,000rpmほどの回転数で、高精度に
回転する。また、エアスピンドル６はその回転軸と平行
に設置されたエアスピンドル保持軸９を中心として、ウ
オーム7,ウオームホイル８により、円弧状に揺動できる
ように構成されている。

エアスピンドル保持軸９はアンギュラコンタクト形こ
ろがり軸受21を介して、支持部材20a,20bにより、その
両端が固定されている。

上記アンギユラコンタクト形ころがり軸受21の回転精
度は、ワーク１の表面形状の形状精度に直接、影響をお
よぼす。したがつて、高精度なころがり軸受21を使用す
るのは言うまでもないが、その回転精度を0.5μｍ以下
におさえることは困難であり、ワーク１の形状精度をそ
れ以下におさえることは不可能であつた。

本発明は、エアスピンドル６が円弧状に揺動する際測
アンギユラコンタクト形ころがり軸受21の回転精度に起
因するエアスピンドル保持軸９の変動をなくし、砥石５
とワーク１との相対関係を常に一定に保たせることによ
り、形状精度の高いトーリツク面および非球面を加工す
るのに好適なトーリツク形状および非球面形状物体の加
工装置を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明は、前述の装置に
おいて、砥石スピンドルの円弧運動の中心軸となるエア
スピンドル保持軸の位置の変化を検出する手段と、この
検出された位置信号に対応させて、上記砥石スピンドル
の円弧運動の中心軸の位置を常に一定に保つ手段を設け
たものである。

〔作用〕

前述の装置において、砥石スピンドルが円弧運動した
時、ころがり軸受の回転精度に起因する中心軸の変動が
発生する。その変動を検出するとともに、その変動量分
だけ、ころがり軸受を支持する支持部材に対し弾性変形
を支え変動分を補正する。従つて、実質、上記中心軸の
位置は常に一定となる。したがつて、砥石とワークとの
相対関係が変動することなく一定となるので、高い形状
精度を有するトーリツク形状および非球面形状物体が加
工できる。

〔実施例〕

以下、図面にしたがつて本発明における実施例につい
て説明する。

第１図は、本発明に係る非球面レンズの加工装置の構
成を示している。図中の番号は第２図のものと一致す
る。但しこの場合には、エアスピンドル保持軸９の位置
の変化を検出する非接触変位計15を有している。エアス
ピンドル６をウオーム7,ウオームホイール８を介して円
弧運動させた場合、上記エアスピンドル保持軸９におい
て非接触変位計15で計測する部分を0.1μｍ以下の真円
度に仕上げておけば、アンギユラコンタクト形ころがり
軸受21の転動に伴う変動量は軸フレを検出することによ
り計測できる。一方、上記ころがり軸受21を支持してい
る支持部材20aは、ピエゾアクチユエータ４を変位させ
ることにより弾性変形し、つまり、エアスピンドル保持
軸９の位置を任意に制御することができる。そこで、軸
フレ量の変動を検出し、その量が常に一定の値以下にな
るようにピエゾアクチユエータ４を駆動するような閉ル
ープ制御を行うことにより、エアスピンドル６の円弧運
動の精度を高精度に保つことができる。これにより、ワ
ー１の形状精度を向上させることができる。

ここでは、砥石５に近い側のみに本発明を適用した
が、エアスピンドル保持軸９の両端に本発明を具備する
こともできる。

また、ころがり軸受以外の所謂空気軸受等を用いた場
合、補正量は減少する可能性はあるが、本発明を適用で
きることは明らかである。

さらに、本発明はトーリツク形状および非球面形状物
体の加工装置以外の装置においても、高精度な回転軸受
として利用できる。

〔発明の効果〕

本発明によれば、形状精度の高いトーリツク形状およ
び非球面形状物体を加工できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の非球面レンズ加工装置を示す構成
図、第２図は、非球面レンズ加工装置を示す構成図、第
３図は、非球面レンズの形状を示す図である。 １……ワーク、４……ピエゾアクチユエータ、５……砥
石、６……エアスピンドル、９……スピンドル保持軸、
15……非接触変位計、16……レンズ、21……ころがり軸
受。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 芳正 東京都国分寺市東恋ケ窪１丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 久貝 健一 東京都千代田区大手町２丁目６番２号 日立工機株式会社内 (72)発明者 和田 聡 東京都千代田区大手町２丁目６番２号 日立工機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−193760（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−216664（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B24B 13/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被加工物の回転装置と、該被加工物を加工
   する回転砥石を備えた砥石スピンドルと、該砥石スピン
   ドルの軸を円弧運動させる手段と、上記被加工物の回転
   軸と上記砥石スピンドルの円弧運動の中心軸間の距離を
   変化させる手段と、上記被加工物回転角位置を検出する
   第１の検出器と、上記砥石スピンドルの円弧運動の角位
   置を検出する第２の検出器と、上記第１と、第２の検出
   器で検出された２つの角位置信号に対応させて、予め蓄
   積手段に蓄積された制御データを読み出し、該読み出さ
   れた制御データにもとづいて上記の軸間距離を変化すべ
   く構成した制御装置を有して構成したトーリック形状お
   よび非球面形状物体の加工装置において、上記砥石スピ
   ンドルの円弧運動の中心軸の回転フレを検出する手段
   と、この検出された回転フレ信号に基づいて、上記砥石
   スピンドルの円弧運動の中心軸の位置を補正させる手段
   を設けたことを特徴とするトーリック形状および非球面
   形状物体の加工装置。