JP2775757B2 - ポリマクラッド石英光ファイバコード - Google Patents

ポリマクラッド石英光ファイバコード

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JP2775757B2 JP63165686A JP16568688A JP2775757B2 JP 2775757 B2 JP2775757 B2 JP 2775757B2 JP 63165686 A JP63165686 A JP 63165686A JP 16568688 A JP16568688 A JP 16568688A JP 2775757 B2 JP2775757 B2 JP 2775757B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、有機高分子をクラッドとするポリマクラッ
ド石英光ファイバのコードに関する。更に詳しくは、低
温においても透光性能に優れたポリマクラッド石英光フ
ァイバコードに関する。
<従来の技術> ポリマクラッド石英光ファイバは、コアを石英として
いるため、光ファイバの第1機能である高透過能に優れ
ている。更にクラッド部を有機高分子体より構成してい
るため、可とう性に代表されるように取り扱い性に優れ
ており、大口径にできるため、工場内通信などの環境条
件の厳しい短中距離通信に適している。
このポリマクラッド石英光ファイバの構成としては、
コアが石英ガラスよりなり、クラッドがシリコーン樹脂
よりなるファイバが知られている。
しかしながら、実際の使用にあたっては、該ポリマク
ラッド石英光ファイバを外的刺激から保護するために、
ポリマクラッド石英光ファイバの外周に被覆層を配した
コード構造とする必要がある。このようなコードの構成
としては該ポリマクラッド石英光ファイバをナイロン樹
脂などの熱可塑性樹脂により被覆したコードが知られて
いる。
<発明が解決しようとする課題> しかし、従来のポリマクラッド石英光ファイバコード
には、次のような問題がある。つまりコアが石英ガラス
よりなり、かつクラッドおよび保護層又は被覆層が有機
高分子で形成されている。この場合、両者の熱膨脹係数
が著しく異なるため、低温領域において有機高分子が収
縮し、その収縮応力が石英にひずみを与え、光ファイバ
の透光性能を劣化させるという欠点があった。
この欠点は、特に経済性や被覆厚みの点から熱可塑性
樹脂が採用されるコードにおいて顕著であった。つま
り、外的刺激から保護するためにコード構造とした場
合、コアとクラッドよりなるポリマクラッド石英光ファ
イバの低温での透光損失よりも更に損失が増大し、温度
環境の厳しい条件下で使用できないという問題があっ
た。
本発明の目的は、かかる従来の欠点であるポリマクラ
ッド石英光ファイバコードの低温下での透光損失の増大
を抑制し、なおかつ配線工事時のひきまわしなどに対し
て充分な抗力を持った取り扱い性及び工事性に優れたポ
リマクラッド石英光ファイバコードの提供にある。
<課題を解決するための手段> 本発明は次の構成を有する (1) 石英ガラスよりなるコア(1)の外周に、有機
高分子よりなるクラッド(2)、保護層(3)及び被覆
層(4)が同心円状に配置され、前記保護層(3)と前
記被覆層(4)との間に、有機高分子繊維よりなる抗張
力体繊維(5)を介在させてなるポリマクラッド石英光
ファイバコードであって、該コードの断面構造が下記
(I)式及び(II)式の関係を同時に満足することを特
徴とするポリマクラッド石英光ファイバコード。
4≦α≦40 ………(I) (但し、 であり、 ここで、D3は保護層(3)の外径(mm)、D4は被覆層
(4)の内径(mm)、dは抗張力体繊維(5)のデニー
ル数で1000から5000までの整数、をそれぞれあらわ
す。) 1.5≦γ ………(III) (但し、γは、被覆層(4)の内径と外径との比(=D5
/D4)であり、ここで、D5は被覆層(4)の外径(mm)
を、D4は被覆層(4)の内径(mm)をそれぞれあらわ
す。) (2) 保護層(3)の外径と石英ガラスよりなるコア
(1)の外径との比βが次の(II)式を満足することを
特徴とする前記1項記載のポリマクラッド石英光ファイ
バコード。
1.4≦β≦2.5 ………(II) (但し、β=D3/D1であり、D3は保護層(3)の外径(m
m)、D1はコア(1)の外径(mm)をそれぞれあらわ
す。) (3) 前記γが次の(IV)式を満足することを特徴と
する前記1又は2項記載のポリマクラッド石英先ファイ
バコード。
1.5≦γ≦1.8 ………(IV) (4) クラッド(2)が石英ガラスのコア(1)より
屈折率が0.3%以上小さいフッ素含有高分子であり、保
護層(3)が500kg/mm2以上の引張弾性率を有する有機
高分子からなり、抗張力体繊維(5)が5000kg/mm2以上
の引張弾性率を有する有機高分子繊維であり、被覆層
(4)がポリウレタン、ポリエステルエラストマー、ポ
リ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンから選ば
れた少なくとも1種であることを特徴とする前記1、2
又は3項記載のポリマクラッド石英光ファイバコード。
以下本発明を図面を用いて更に詳細に説明する。
第1図は本発明のポリマクラッド石英光ファイバコー
ドの断面図である。
石英ガラスよりなるコア1の外周に同心円状にクラッ
ド2が配置され、光ファイバを構成している。このクラ
ッド2はコア1の石英よりも屈折率が0.3%以上小さい
透明有機高分子で構成される。具体的には紫外線硬化性
のフッ素含有アクリレートポリマなどのフッ素含有高分
子を例示することができるが、特にこれに厳定されるこ
とはない。
該クラッド2の外周に該クラッド2対して同心円状に
保護層3が配置されている。この保護層3は、光透過能
を有するコア1及びクラッド2を外的な力学刺激及び汚
染から保護する役割をなすものであるため、機械的特性
に優れたものが好ましい。
保護層3としては、引張弾性率で500kg/mm2以上を有
するものが良い。具体的にはナイロンの他テトラフルオ
ロエチレン共重合体などを例示することができる。又、
その保護層3の外径は、コア外径に対して1.4倍以上、
2.5倍以下が好ましい。何故ならば1.4倍未満では厚みが
小さいため、保護層の役割をはたさず、ポリマクラッド
石英光ファイバを外的刺激から充分に保護することがで
きないからである。又、2.5倍を越えると厚みが大きす
ぎて、可とう性に乏しくなると共に、この保護層の低温
下での収縮応力が強大となり、ポリマクラッド石英光フ
ァイバの透光損失を増大させるからである。よって次式
(II)に示す関係を満足させることが好ましい。
1.4≦β≦2.5 ………(II) 但しβ=D3/D1 D3は、保護層3の外径(mm)、D1はコア1の外径(m
m)をそれぞれあらわす。
更に保護層3の外周には該保護層と同心円状に被覆層
4が配置される。又、該保護層3の外周と該被覆層4の
内周との間には有機高分子繊維よりなる抗張力体繊維
(5)が介在されている。この際各層の寸法は次の
(I)式及び(III)式を満足する必要がある。
又(IV)式を満足することが好ましい。
4≦α≦40 ………(I) 但し 1.5≦γ ………(III) 1.5≦γ≦1.8 ………(IV) 但しγ=D5/D4 ここで、D3は保護層(3)の外径(mm)、D4は被覆層
(4)の内径(mm)、D5は被覆層(4)の外径(mm)を
をそれぞれあらわし、dは抗張力体繊維(5)のデニー
ル数であり、1000から5000までの整数を表わす。
つまり、(I)式において、αが4より小さいと保護
層3と被覆層4の間との空隙が小さすぎて被覆層4の低
温下における収縮応力が保護層3に伝搬してコアにひず
みを与え、ポリマクラッド石英光ファイバの透光損失を
増大させる。又、αが40より大きい場合には、被覆層4
内にて保護層3が自由に動くため被覆層4によるポリマ
クラッド石英光ファイバの保護効果が全く保たれなくな
る。更に、(I)式における関係が保たれないと、抗張
力体繊維5の配置効果がなく、工事時のひきまわし等に
対して破断が生じる。
なお、(III)式及び(IV)式において、γが1.5より
小さい場合には、被覆層による保護効果が発揮できな
い。又、(IV)式において、γが1.8より大きい場合に
は、ポリマクラッド石英光ファイバコードの重量が大と
なり、低温下における収縮応力が保護層3に伝播してコ
アにひずみを与え、ポリマクラッド石英光ファイバの透
光損失を増大させるとともに、不経済となる。このた
め、γは(III)式を満足することが必要であり、さら
に(IV)式を満足することが好ましい。
ここで被覆層4としては、ポリウレタン、ポリエステ
ルエラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ
プロピレンの少なくとも1種を選ぶことができ、抗張力
体繊維としては、少なくとも5000kg/mm2以上の引張り弾
性率を有する有機高分子繊維が好ましく、具体的にはポ
リアラミド、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、
高強力ポリエチレン、炭素繊維、高強力ポリアクリロニ
トリル、高強力ポリビニルアルコールなどを例示するこ
とができる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明する。
(実施例) 実施例1 抗張力体繊維として引張弾性率13000kg/mm2 のアラミド繊維を用い、ポリ塩化ビニルを被覆層とし
たポリマクラッド石英光ファイバコードを製作した。用
いたポリマクラッド石英光ファイバは、200μm径の純
粋石英をコア部とし、コア外周にクラッド厚み15μでク
ラッド径230μmのフッ素ポリマからなるクラッドを配
し、更にこれに引張弾性率1000kg/mm2のテトラフルオロ
エチレン−エチレン共重合体を外径0.5mmとなるように
設け、保護層とした。このポリマクラッド石英光ファイ
バの外周に380デニールのアラミド繊維からなる抗張力
体繊維束を5本、ポリマクラッド石英光ファイバを中心
に囲むように配置させた。更にその外周を被覆層として
ポリ塩化ビニルを用いて外径2.2mm、内径1.34mmの構成
となるよう被覆した。上述の構成により、コードの断面
構造を表す(I)式にあらわすαは、5.4であった。
さらに(II)式におけるβおよび(III)式における
γは、夫々2.5と1.6であった。
ポリマクラッド石英光ファイバは、コード同心円に配
置された中心に位置し、被覆層とは直接接触しておらず
ポリ塩化ビニル被覆の表面は円滑な表面であった。又25
℃における、透光損失は4dB/kmとコード化される以前の
ポリマクラッド石英光ファイバの透光損失と同様であっ
た。このコード1kmを恒温槽に入れ、LED光源と光パワー
メータを用いて、25℃で8時間処理後の伝送光量と−40
℃で8時間処理後の伝送光量とを測定したところ、25℃
と−40℃との間の伝送光量変化は25℃対比でわずか1.0d
B/kmの損失増大であり、すぐれた低温性能を有する光通
信用コードである事がわかった。
比較例1 実施例1と同様のポリマクラッド石英光ファイバを用
い該光ファイバの外周にアラミド繊維を配置し更にその
外周をポリ塩化ビニルで被覆し外径2.2mm、内径1.0mmの
構成を有する光通信用コードを作製した。コード断面構
成を表すαは2.2となり、さらに(II)式におけるβお
よび(III)式におけるγは夫々2.5と2.2であった。
実施例1と同様な温度試験を行ったところ、光量変化
は25℃対比で7.0dB/kmと大きく通信用コードとしては適
していない事がわかった。
<発明の効果> 本発明は以下の効果を有する。
低温下における透光性能に優れている。
抗張力体繊維を配しているため、引張りに強く工事時
のひきまわしに対して損傷しにくい。
弾性率の大きな保護層を設けているため、保護層自身
の厚みを薄くでき経済的である。
弾性率の大きな保護層を設けているため、光ファイバ
の保護効果が高まり、被覆層設計の自由度が大きくな
る。
被覆層の厚みを小さくできるため、軽量で経済的であ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリマクラッド石英光ファイバコード
の断面図である。 1:コア 2:クラッド 3:保護層 4:被覆層 5:抗張力体繊維

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】石英ガラスよりなるコア(1)の外周に、
    有機高分子よりなるクラッド(2)、保護層(3)及び
    被覆層(4)が同心円状に配置され、前記保護層(3)
    と前記被覆層(4)との間に、有機高分子繊維よりなる
    抗張力体繊維(5)を介在させてなるポリマクラッド石
    英光ファイバコードであって、該コードの断面構造が下
    記(I)式及び(II)式の関係を同時に満足することを
    特徴とするポリマクラッド石英光ファイバコード。 4≦a≦40 ………(I) (但し、 であり、 ここで、D3は保護層(3)の外径(mm)、D4は被覆層
    (4)の内径(mm)、dは抗張力体繊維(5)のデニー
    ル数で1000から5000までの整数、をそれぞれあらわ
    す。) 1.5≦γ ………(III) (但し、γは、被覆層(4)の内容と外径との比(=D5
    /D4)であり、ここで、D5は被覆層(4)の外径(mm)
    を、D4は被覆層(4)の内径(mm)をそれぞれあらわ
    す。)
  2. 【請求項2】保護層(3)の外径と石英ガラスよりなる
    コア(1)の外径との比βが次の(II)式を満足するこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリマクラッド石英光フ
    ァイバコード。 1.4≦β≦2.5 ………(II) (但し、β=D3/D1であり、D3は保護層(3)の外径(m
    m)、D1はコア(1)の外径(mm)をそれぞれあらわ
    す。)
  3. 【請求項3】前記γが次の(IV)式を満足することを特
    徴とする請求項1又は2記載のポリマクラッド石英光フ
    ァイバコード。 1.5≦γ≦1.8 ………(IV)
  4. 【請求項4】クラッド(2)が石英ガラスのコア(1)
    より屈折率が0,3%以上小さいフッ素含有高分子であ
    り、保護層(3)が500kg/mm2以上の引張弾性率を有す
    る有機高分子からなり、抗張力体繊維(5)が5000kg/m
    m2以上の引張弾性率を有する有機高分子繊維であり、被
    覆層(4)がポリウレタン、ポリエステルエラストマ
    ー、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンか
    ら選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項1、2又は3記載のポリマクラッド石英光ファイバコ
    ード。
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