JP2774349B2 - 微粒の製造方法 - Google Patents
微粒の製造方法Info
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/54—Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids
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- Glanulating (AREA)
- Silicon Compounds (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は微粒の製造方法に関し、殊に超臨界状態また
は亜臨界状態にある溶媒が高い溶解能力を示すことを利
用し、該溶媒中に溶解されている溶質を、圧力制御によ
り微粒として析出させる方法に関するものである。
は亜臨界状態にある溶媒が高い溶解能力を示すことを利
用し、該溶媒中に溶解されている溶質を、圧力制御によ
り微粒として析出させる方法に関するものである。
[従来の技術] 超微粉は体積当りの表面積が著しく大きく、その表面
エネルギーも著しく大きくなることから、焼結,吸着,
触媒等の各種技術分野において重要な役割を果たしてい
る。また超微粉がアモルファス状固体であれば、結晶状
のものに比べて微粉自体のエネルギーも更に高くなり、
表面の活性は非常に高いものとなる。こうしたことから
超微粉の製造方法については様々な手段が研究され、ま
た実施されており、夫々の技術分野で多様な効果を発揮
している。
エネルギーも著しく大きくなることから、焼結,吸着,
触媒等の各種技術分野において重要な役割を果たしてい
る。また超微粉がアモルファス状固体であれば、結晶状
のものに比べて微粉自体のエネルギーも更に高くなり、
表面の活性は非常に高いものとなる。こうしたことから
超微粉の製造方法については様々な手段が研究され、ま
た実施されており、夫々の技術分野で多様な効果を発揮
している。
近年、数百気圧以上の高圧下に形成した超臨界流体内
に溶質を溶解し、これを大気圧または減圧下の雰囲気に
むけてオリフィスから基板上に噴射し、噴流中での瞬時
の減圧過程における過飽和状態の発生を利用して、基板
上に固体皮膜や超微粉を形成する技術がスミス・リチャ
ード・ディーらによって提案されている(公表特許昭和
61−500210号)。彼らによれば、オリフィスからの『噴
射プロセスは膨張中の溶剤クルスターの形成、および溶
液の自由ジェットまたは超音波膨張から生じるマッハ
ディスク(Mach Disc)における溶剤クルスター「崩壊
(freak up)」現象の影響を受ける』ことが指摘されて
いる(前記公表特許公報第4頁右上欄)。つまりマッハ
ディスクによる衝撃によって溶媒の凝集核を一度破壊
して溶質の超微細粒子からなる固体析出物を形成し、こ
れを基体上に膜状に堆積させるものである。従って、こ
の技術は、膜製造分野には一つの指針を与えるものであ
ると言える。また超臨界流体では溶解度が著しく高くな
ることが一般的に知られており、この性質を利用して水
晶の単結晶育成や混合物からの特定の溶質の抽出等に応
用されているが、上記技術は超臨界流体から固定皮膜や
超微粉を形成しようとする発想からくるものであると位
置付けることができる。
に溶質を溶解し、これを大気圧または減圧下の雰囲気に
むけてオリフィスから基板上に噴射し、噴流中での瞬時
の減圧過程における過飽和状態の発生を利用して、基板
上に固体皮膜や超微粉を形成する技術がスミス・リチャ
ード・ディーらによって提案されている(公表特許昭和
61−500210号)。彼らによれば、オリフィスからの『噴
射プロセスは膨張中の溶剤クルスターの形成、および溶
液の自由ジェットまたは超音波膨張から生じるマッハ
ディスク(Mach Disc)における溶剤クルスター「崩壊
(freak up)」現象の影響を受ける』ことが指摘されて
いる(前記公表特許公報第4頁右上欄)。つまりマッハ
ディスクによる衝撃によって溶媒の凝集核を一度破壊
して溶質の超微細粒子からなる固体析出物を形成し、こ
れを基体上に膜状に堆積させるものである。従って、こ
の技術は、膜製造分野には一つの指針を与えるものであ
ると言える。また超臨界流体では溶解度が著しく高くな
ることが一般的に知られており、この性質を利用して水
晶の単結晶育成や混合物からの特定の溶質の抽出等に応
用されているが、上記技術は超臨界流体から固定皮膜や
超微粉を形成しようとする発想からくるものであると位
置付けることができる。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者らは、かねてより超臨界状態の応用という観
点から様々な研究を進めてきており(例えば化学工業第
54年会、1989年)、上記従来技術についてもその効果の
確認を行なった。しかしながら本発明者らの実験によれ
ば、噴流中で微粉を形成する方法では次に示す様な幾つ
かの問題があることが判明した。
点から様々な研究を進めてきており(例えば化学工業第
54年会、1989年)、上記従来技術についてもその効果の
確認を行なった。しかしながら本発明者らの実験によれ
ば、噴流中で微粉を形成する方法では次に示す様な幾つ
かの問題があることが判明した。
高速の領域で製造される固体は、その性状(微粉の形
成数、大きさ、形状等)の再現性が劣る。
成数、大きさ、形状等)の再現性が劣る。
噴流中の溶質の全てが、目的とする薄膜または微粉の
どちらか一方になるとは限らず、回収されないまま大気
中へ飛散するものもあり、従って歩留まりが悪くなる。
どちらか一方になるとは限らず、回収されないまま大気
中へ飛散するものもあり、従って歩留まりが悪くなる。
ノズルを安定的に同一孔径・同一形状に製作すること
は困難であり、少しの違いによっても噴流が変化する
為、製造条件の再現性及び生成微粉の均一性に劣る。
は困難であり、少しの違いによっても噴流が変化する
為、製造条件の再現性及び生成微粉の均一性に劣る。
固化した微粉の回収が困難である。
本発明はこうした情況のもとになされたものであっ
て、その目的は、超臨界状態または亜臨界状態にある溶
媒中から、溶質を再現性良く析出・成長させて微粉を製
造することができ、また回収も容易な方法を提供するこ
とにある。
て、その目的は、超臨界状態または亜臨界状態にある溶
媒中から、溶質を再現性良く析出・成長させて微粉を製
造することができ、また回収も容易な方法を提供するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] 上記目的を達成し得た本発明とは、溶質を溶解してい
る超臨界状態または亜臨界状態の溶媒を、高圧容器の閉
じられた系内において断熱的に膨張させ、前記高圧容器
内において溶質を析出せしめた後、容器内の残存圧力を
大気に開放してからまたは開放しつつ、前記溶質の微粒
を回収する点に要旨を有する微粉の製造方法である。ま
た上記構成において、断熱膨張速度を制御すれば、微粉
の発生数および形状を任意に制御することができる。尚
微粒の形状は、球形に限らずひげ状、塊状その他のあら
ゆるものを含む趣旨である。
る超臨界状態または亜臨界状態の溶媒を、高圧容器の閉
じられた系内において断熱的に膨張させ、前記高圧容器
内において溶質を析出せしめた後、容器内の残存圧力を
大気に開放してからまたは開放しつつ、前記溶質の微粒
を回収する点に要旨を有する微粉の製造方法である。ま
た上記構成において、断熱膨張速度を制御すれば、微粉
の発生数および形状を任意に制御することができる。尚
微粒の形状は、球形に限らずひげ状、塊状その他のあら
ゆるものを含む趣旨である。
[作用] 以下、図面に基づいて本発明の原理および作用・効果
について説明する。
について説明する。
第1図は高温高圧水中へのSiO2(水晶)の溶解度の変
化を示すグラフ(G.C.Kennedy,1950)である。第1図か
ら明らかな様に、臨界温度以上では、温度および/また
は圧力が上がるにつれてSiO2の溶解度が上がる。
化を示すグラフ(G.C.Kennedy,1950)である。第1図か
ら明らかな様に、臨界温度以上では、温度および/また
は圧力が上がるにつれてSiO2の溶解度が上がる。
例えば、第1図の点A(550℃,750Bars)でSiO2を飽
和溶解した超臨界水を、オリフィスを経て大気圧下へ断
熱的に膨張させる場合では、熱力学的計算によればライ
ンl1の如き経過を辿って超臨界水の温度および圧力が下
降し、従ってSiO2の溶解度も下降する。但し、溶解度が
下降しても溶質固体は直ちに析出することはなく、まず
は過飽和状態になる。
和溶解した超臨界水を、オリフィスを経て大気圧下へ断
熱的に膨張させる場合では、熱力学的計算によればライ
ンl1の如き経過を辿って超臨界水の温度および圧力が下
降し、従ってSiO2の溶解度も下降する。但し、溶解度が
下降しても溶質固体は直ちに析出することはなく、まず
は過飽和状態になる。
今、初期条件の溶解度をXo,降圧中の任意の瞬間圧力
に対応する溶解度をXpとすると、過飽和度Cは下記
(I)式の様に表わされる。
に対応する溶解度をXpとすると、過飽和度Cは下記
(I)式の様に表わされる。
前記第1図から明らかな様に、大気圧下におけるSiO2
の溶解度はほとんど0であり、従ってオリフィスから噴
射するとき(即ち瞬時に断熱膨張するとき)の過飽和度
は無限大となる。
の溶解度はほとんど0であり、従ってオリフィスから噴
射するとき(即ち瞬時に断熱膨張するとき)の過飽和度
は無限大となる。
一般に、過飽和度が小さいと溶質は析出せず、ある過
飽和度(臨界飽和度)を超えると核が発生する確率が実
質的に現われ始め、更にそれより大きくなると核発生の
確率が高くなっていく。従って圧力が低下して過飽和度
が無限大に近くなると、超微細核が無数に発生し、それ
らが噴射流の下流側の固体表面上に堆積すれば薄膜を形
成することになる。このことから、薄膜ではなく微粒状
に形成したい場合においては、過飽和度をある程度まで
に抑えて核発生数もある程度の範囲内とし、発生核を微
粒にまで成長させる必要がある。
飽和度(臨界飽和度)を超えると核が発生する確率が実
質的に現われ始め、更にそれより大きくなると核発生の
確率が高くなっていく。従って圧力が低下して過飽和度
が無限大に近くなると、超微細核が無数に発生し、それ
らが噴射流の下流側の固体表面上に堆積すれば薄膜を形
成することになる。このことから、薄膜ではなく微粒状
に形成したい場合においては、過飽和度をある程度まで
に抑えて核発生数もある程度の範囲内とし、発生核を微
粒にまで成長させる必要がある。
上述の様な過飽和度と核発生の確率との関係は、実際
の工業界でも多くの例が認められるが、これを統計力学
の手法に基づいてマクドナルド(McDonald)が計算した
例を下記第1表に示す(黒田登志雄著,結晶は生きてい
る,株式会社サイエンス社発行)。この表は0℃の水蒸
気の蒸気圧(4.58Torr)をPeとし、取扱う環境の蒸気圧
をPとしたときの、種々の過飽和度比P/Peに対する核発
生頻度Js,臨界核の半径r*,臨界核中に含まれる分子
数i*を夫々示している。
の工業界でも多くの例が認められるが、これを統計力学
の手法に基づいてマクドナルド(McDonald)が計算した
例を下記第1表に示す(黒田登志雄著,結晶は生きてい
る,株式会社サイエンス社発行)。この表は0℃の水蒸
気の蒸気圧(4.58Torr)をPeとし、取扱う環境の蒸気圧
をPとしたときの、種々の過飽和度比P/Peに対する核発
生頻度Js,臨界核の半径r*,臨界核中に含まれる分子
数i*を夫々示している。
第1表から次の様に考察できる。P/Peが3以下では実
質的に核は発生しないと考えてもよい。P/Peが4のとき
は、毎秒当たりの核発生確率が5個/cm3・secとなり、P
/Peがそれより多くなると実用上核が発生し得る条件と
なる。但し、P/Peが8にもなると、核発生頻度Jsが4×
1015個/cm3・secにもなり、実際上は無数と表現される
状態となる。
質的に核は発生しないと考えてもよい。P/Peが4のとき
は、毎秒当たりの核発生確率が5個/cm3・secとなり、P
/Peがそれより多くなると実用上核が発生し得る条件と
なる。但し、P/Peが8にもなると、核発生頻度Jsが4×
1015個/cm3・secにもなり、実際上は無数と表現される
状態となる。
こうして発生した核のまわりには気体分子が凝集し、
先に発生した核から順次大きくなり気体分子の数が少な
くなっていく。それが閉じられた系内で行なわれるなら
ば、P/Peは結果的に減少し、核発生の頻度は低下する。
この傾向は、意図的にP/Peを小さくした場合においても
同様であり、例えばP/Peが3以下に下った場合には、新
たな核の発生の確率は実質上0となり、それまでに発生
した核に基づく粒が成長して気体分子を消費しつつ、P/
Peが更に下がって遂には1に達する。しかし第1表から
明らかな様に、臨界核の半径r*は10Å以下のものであ
って、そのままでは微粒として使用できず、エネルギー
的にも不安定であり、大きなものに成長しようとする傾
向があり、本発明はこの様な点に着目して研究を行っ
た。
先に発生した核から順次大きくなり気体分子の数が少な
くなっていく。それが閉じられた系内で行なわれるなら
ば、P/Peは結果的に減少し、核発生の頻度は低下する。
この傾向は、意図的にP/Peを小さくした場合においても
同様であり、例えばP/Peが3以下に下った場合には、新
たな核の発生の確率は実質上0となり、それまでに発生
した核に基づく粒が成長して気体分子を消費しつつ、P/
Peが更に下がって遂には1に達する。しかし第1表から
明らかな様に、臨界核の半径r*は10Å以下のものであ
って、そのままでは微粒として使用できず、エネルギー
的にも不安定であり、大きなものに成長しようとする傾
向があり、本発明はこの様な点に着目して研究を行っ
た。
前記第1表は純成分(水)の0℃における蒸気(水蒸
気)についての計算の一例であり、蒸気から液滴的発生
に係るものである。しかしながらこの様な傾向は、気・
固転移や液・固転移の場合についても成立する。また一
方が溶質で他方が溶媒の成分系についても成立するもの
である。但し、この場合は過飽和度として の代わりに、前記(I)式に示したCが用いられること
が多い。
気)についての計算の一例であり、蒸気から液滴的発生
に係るものである。しかしながらこの様な傾向は、気・
固転移や液・固転移の場合についても成立する。また一
方が溶質で他方が溶媒の成分系についても成立するもの
である。但し、この場合は過飽和度として の代わりに、前記(I)式に示したCが用いられること
が多い。
以上の様な事情を考慮しつつ、スミスらの技術を検討
すると、下記の様な知見が得られた。オリフィスから噴
射された直後の大気圧下におけるSiO2の溶解度Xpはほと
んど0に近く、従って過飽和度Cは無限大であり、この
とき核は無数に発生し、それに伴って過飽和度Cが瞬時
に0に近づくので発生した無数の核の成長はほとんど起
こらない。これが前記技術における薄膜、超微粉の形成
の基本原理となっている。しかも上記技術では、オリフ
ィスからの噴射に当たり、マッハ ディスクにおける衝
撃によって、クラスター(核の基になる分子の集団)を
粉砕することになり、より一層の微細化が図られてい
る。尚スミスらによる研究では、SiO2以外に有機物の代
表としてポリスチレンの例も示されているが、ここにお
いては大気圧から更に減圧雰囲気に噴射しており、これ
は前記(I)式における平衡濃度Xpを更に小さくして、
過飽和度Cを大きくするものであり、上記傾向に拍車を
かける結果となっている。
すると、下記の様な知見が得られた。オリフィスから噴
射された直後の大気圧下におけるSiO2の溶解度Xpはほと
んど0に近く、従って過飽和度Cは無限大であり、この
とき核は無数に発生し、それに伴って過飽和度Cが瞬時
に0に近づくので発生した無数の核の成長はほとんど起
こらない。これが前記技術における薄膜、超微粉の形成
の基本原理となっている。しかも上記技術では、オリフ
ィスからの噴射に当たり、マッハ ディスクにおける衝
撃によって、クラスター(核の基になる分子の集団)を
粉砕することになり、より一層の微細化が図られてい
る。尚スミスらによる研究では、SiO2以外に有機物の代
表としてポリスチレンの例も示されているが、ここにお
いては大気圧から更に減圧雰囲気に噴射しており、これ
は前記(I)式における平衡濃度Xpを更に小さくして、
過飽和度Cを大きくするものであり、上記傾向に拍車を
かける結果となっている。
一方本発明においては、ある程度成長した微粒を製造
することを目的としており、ここにその原理を説明す
る。例えば前記第1表において、P/Peが4になる状態で
10秒間保持させると、5個×10=50個の核が形成される
が、これらの核は第1表のi*に示す如く少なくとも87
個の分子の集合体となっている。そこでこの分子集合体
を核として次々に分子を取り込んで核は成長するが、69
5個以上の集合体に成長した段階でP/Pe=2に変化させ
るならば、その核は695個以上の分子集合体であるとい
う理由によって分解消滅することなく引続き成長を続け
ていくことが可能になる。即ち50個の粒子はそのまま成
長を続けることになる。50個の粒子が分子数695個以上
に成長する間に、さら生成・増加してくる新たな核は、
それらの分子数が臨界核の分子数i*,695個に満たない
という理由で、P/Peを4から2にした時点で再び分解気
化して消失する。結局、粒径が比較的大きな粒子のみが
粒子成長を達成することができ、最終的に粒径の揃った
微粒子となる。尚P/Peを4から3→2→1と変化させる
と、粒子の近傍における過飽和状態にはかなり大きな差
が生じる。試算によれば、蒸気圧Pが1,2,3,4のとき、1
cm3中にある蒸気分子の数は夫々、1.6,3.2,4.8,6.4(×
1017)個であり、この様な差は成長の立場から見ると形
態上重大な差異が生じる原因になるものと考えられる。
することを目的としており、ここにその原理を説明す
る。例えば前記第1表において、P/Peが4になる状態で
10秒間保持させると、5個×10=50個の核が形成される
が、これらの核は第1表のi*に示す如く少なくとも87
個の分子の集合体となっている。そこでこの分子集合体
を核として次々に分子を取り込んで核は成長するが、69
5個以上の集合体に成長した段階でP/Pe=2に変化させ
るならば、その核は695個以上の分子集合体であるとい
う理由によって分解消滅することなく引続き成長を続け
ていくことが可能になる。即ち50個の粒子はそのまま成
長を続けることになる。50個の粒子が分子数695個以上
に成長する間に、さら生成・増加してくる新たな核は、
それらの分子数が臨界核の分子数i*,695個に満たない
という理由で、P/Peを4から2にした時点で再び分解気
化して消失する。結局、粒径が比較的大きな粒子のみが
粒子成長を達成することができ、最終的に粒径の揃った
微粒子となる。尚P/Peを4から3→2→1と変化させる
と、粒子の近傍における過飽和状態にはかなり大きな差
が生じる。試算によれば、蒸気圧Pが1,2,3,4のとき、1
cm3中にある蒸気分子の数は夫々、1.6,3.2,4.8,6.4(×
1017)個であり、この様な差は成長の立場から見ると形
態上重大な差異が生じる原因になるものと考えられる。
例えば前記第1図における点A(750気圧)から断熱
膨張させて点A′(500気圧)に達したとすると、超臨
界流体中のSiO2溶解度はX750=0.165からX500=0.07に
変化し、このときのX750/X500(以下溶解度比と言うこ
とがある)は2.2となる。ここで有限個のSiO2凝集核が
発生・成長し始めたと仮定すると、溶解度Xの値は低下
し、新たな核は発生しなくなる。そこで500気圧から例
えば300気圧まで徐々に圧力を下げると、そのときの溶
解度比(X/X300)は再び増加するが、上記溶解度比2.2
を超えない限りにおいては、新たな核発生はなく、既存
の粒子が成長するだけである。以下同様の原理で、新た
な核が発生しない程度の速度で蒸気圧を大気圧まで下げ
ることによって、粒径の揃った微粉が得られる。そして
大気圧近傍においては、溶解度がほとんど0に近くな
り、圧力・温度を急激に下げても粒子の性状に大きく影
響を与えることはほとんどない。しかしながら、残存圧
力を急激に開放する前の溶解度が無視できない程度に実
質的な数値を示す場合は、溶解度の絶対値が低くてもそ
の条件における溶解度比が核発生条件を満たし、臨界核
が発生することにより、既にいくらか成長してきた大き
な粒子の表面に微細粒子が付着或は独立に成長すること
などもあり得る。
膨張させて点A′(500気圧)に達したとすると、超臨
界流体中のSiO2溶解度はX750=0.165からX500=0.07に
変化し、このときのX750/X500(以下溶解度比と言うこ
とがある)は2.2となる。ここで有限個のSiO2凝集核が
発生・成長し始めたと仮定すると、溶解度Xの値は低下
し、新たな核は発生しなくなる。そこで500気圧から例
えば300気圧まで徐々に圧力を下げると、そのときの溶
解度比(X/X300)は再び増加するが、上記溶解度比2.2
を超えない限りにおいては、新たな核発生はなく、既存
の粒子が成長するだけである。以下同様の原理で、新た
な核が発生しない程度の速度で蒸気圧を大気圧まで下げ
ることによって、粒径の揃った微粉が得られる。そして
大気圧近傍においては、溶解度がほとんど0に近くな
り、圧力・温度を急激に下げても粒子の性状に大きく影
響を与えることはほとんどない。しかしながら、残存圧
力を急激に開放する前の溶解度が無視できない程度に実
質的な数値を示す場合は、溶解度の絶対値が低くてもそ
の条件における溶解度比が核発生条件を満たし、臨界核
が発生することにより、既にいくらか成長してきた大き
な粒子の表面に微細粒子が付着或は独立に成長すること
などもあり得る。
これまでの説明では臨界核発生の過飽和度比X/Xpを2.
2と仮定して便宜的に述べたが、現在の技術ではこの値
を容易に測定することができない。仮に測定できたとし
ても、温度、圧力、溶解度等の全ての操作条件、溶質や
溶媒の種類、更には微量添加される酸またはアルカリ或
はいわゆるエントレーナー等の影響を受けるであろうか
ら、特定の条件を明らかにしても一般的な意味はない。
また操業条件に関しても減圧をどの程度の速度で行なう
か、或は途中で一旦中断して段階的に減圧していくかと
いったことなども、個々の対象物質、条件、目的粒子の
性状をもとにして適応条件が定められる。しかしながら
本発明は高圧容器の閉じられた系内で行なうものである
ので、比較的余裕のある条件範囲で再現し得るものであ
って工業的操作に困惑を来たすほど厳密な条件設定が求
められるものではない。
2と仮定して便宜的に述べたが、現在の技術ではこの値
を容易に測定することができない。仮に測定できたとし
ても、温度、圧力、溶解度等の全ての操作条件、溶質や
溶媒の種類、更には微量添加される酸またはアルカリ或
はいわゆるエントレーナー等の影響を受けるであろうか
ら、特定の条件を明らかにしても一般的な意味はない。
また操業条件に関しても減圧をどの程度の速度で行なう
か、或は途中で一旦中断して段階的に減圧していくかと
いったことなども、個々の対象物質、条件、目的粒子の
性状をもとにして適応条件が定められる。しかしながら
本発明は高圧容器の閉じられた系内で行なうものである
ので、比較的余裕のある条件範囲で再現し得るものであ
って工業的操作に困惑を来たすほど厳密な条件設定が求
められるものではない。
また上記の説明においては、出発条件として第1図の
点Aからの断熱膨張の例で説明してきたが、この条件で
は臨界点以下の圧力を通って気液共存線に入って、液滴
が発生しはじめる。この時点において、なお相当量の溶
解度が残留しておれば、液滴として凝集する水分自体が
第1表に示した傾向を有し、且つ水分子とSiO2分子が混
合または水素会合したクラスター、更には臨界核を構成
することもあり得る。そして上記水滴は、数を増し、ま
たは成長する。そして最終に水分が除去された場合には
固体が得られる。この過程を第2図の水蒸気圧の温度−
エントロピー線図上で示せば、気液共存領域を示す境界
線の頂点(臨界点)より右側を点Aから直下に下降する
ことを意味する。
点Aからの断熱膨張の例で説明してきたが、この条件で
は臨界点以下の圧力を通って気液共存線に入って、液滴
が発生しはじめる。この時点において、なお相当量の溶
解度が残留しておれば、液滴として凝集する水分自体が
第1表に示した傾向を有し、且つ水分子とSiO2分子が混
合または水素会合したクラスター、更には臨界核を構成
することもあり得る。そして上記水滴は、数を増し、ま
たは成長する。そして最終に水分が除去された場合には
固体が得られる。この過程を第2図の水蒸気圧の温度−
エントロピー線図上で示せば、気液共存領域を示す境界
線の頂点(臨界点)より右側を点Aから直下に下降する
ことを意味する。
これに対して第1図および第2図の点Bは超臨界状態
から、亜臨界状態(臨界温度よりも低い液相域)を経
て、或は点B′は亜臨界状態から出発して減圧し臨界点
の液側(左側)を通って気液共存域に入る。
から、亜臨界状態(臨界温度よりも低い液相域)を経
て、或は点B′は亜臨界状態から出発して減圧し臨界点
の液側(左側)を通って気液共存域に入る。
亜臨界状態における臨界核発生についても、数値は第
1表の場合と異なるが、臨界核半径、核発生頻度と過飽
和度比の関係はやはり同じ傾向を示す。また亜臨界域か
ら気液共存域に入る場合においては、前記点Aを出発点
とする場合と異なり、水蒸気の割合が増加する方向に状
態変化が進みながら飽和溶解度が下降することになる。
1表の場合と異なるが、臨界核半径、核発生頻度と過飽
和度比の関係はやはり同じ傾向を示す。また亜臨界域か
ら気液共存域に入る場合においては、前記点Aを出発点
とする場合と異なり、水蒸気の割合が増加する方向に状
態変化が進みながら飽和溶解度が下降することになる。
亜臨界からまたは亜臨界を通過して減圧し、微粒を作
る場合においても、圧力下降速度を制御することによっ
て様々な形態の微粒が得られる。さらに亜臨界の液体か
ら気液共存域に入ることによって気化の進行に伴う凝集
メカニズムの変化も利用し、一層多様な形状、粒度分布
が期待できる。
る場合においても、圧力下降速度を制御することによっ
て様々な形態の微粒が得られる。さらに亜臨界の液体か
ら気液共存域に入ることによって気化の進行に伴う凝集
メカニズムの変化も利用し、一層多様な形状、粒度分布
が期待できる。
以上に述べてきた核は、主として分子レベルの凝集で
あるが、それが成長したときの粒子は、超微細粒の凝集
体であることを必ずしも意味するものではない。成長し
た粒子は、アモルファス状の固体であり、またそれが成
長の過程や取出しまでの温度経過等により、一部または
全部が結晶構造になることもあり得るし、またそれらが
凝集することもありうる。
あるが、それが成長したときの粒子は、超微細粒の凝集
体であることを必ずしも意味するものではない。成長し
た粒子は、アモルファス状の固体であり、またそれが成
長の過程や取出しまでの温度経過等により、一部または
全部が結晶構造になることもあり得るし、またそれらが
凝集することもありうる。
本発明によって得られる微粒がその形態において広範
な多様性を有していることを以下説明する。まず比較的
おだやかな過飽和条件下で製造すると、分子または極め
て小さな(一般に臨界核半径以下の半径の)粒子も大き
な粒子の表面に付着するように成長する。また を小さくして成長した後新たに核発生をし得る条件が与
えられた場合には、新たに出来た核が、大きくなりかけ
た状態で、先に存在する大きな微粒に付着することもあ
る。更に新たな核発生はしないが、過飽和が相当にある
ような条件で製造すると球状微粒表面にひげ状体が急成
長する。尚ひげ状体が成長する微粒については、第1表
における臨界半径が示すとおり、過飽和度比が小さくな
るとある程度以上の大きさのひげでなければエネルギー
的にX/Xp=1の条件では存在が許容されず、急激にX/Xp
=1になる時はすでに発生していたひげが消失すること
もあり得る。
な多様性を有していることを以下説明する。まず比較的
おだやかな過飽和条件下で製造すると、分子または極め
て小さな(一般に臨界核半径以下の半径の)粒子も大き
な粒子の表面に付着するように成長する。また を小さくして成長した後新たに核発生をし得る条件が与
えられた場合には、新たに出来た核が、大きくなりかけ
た状態で、先に存在する大きな微粒に付着することもあ
る。更に新たな核発生はしないが、過飽和が相当にある
ような条件で製造すると球状微粒表面にひげ状体が急成
長する。尚ひげ状体が成長する微粒については、第1表
における臨界半径が示すとおり、過飽和度比が小さくな
るとある程度以上の大きさのひげでなければエネルギー
的にX/Xp=1の条件では存在が許容されず、急激にX/Xp
=1になる時はすでに発生していたひげが消失すること
もあり得る。
上記の説明では凝集する物質は、溶質であるとの前提
で述べたが、溶質と溶媒が会合し、吸着するなどした状
態のクラスターや凝集体が発生することも当然あり得
る。このような場合には、高圧力下で凝集した粒子は、
減圧過程で溶媒が再び気化消失して粒子が多孔質になっ
たり、条件によっては「空気の抜けたボール」のように
変形した後固い粒子として取出されることもある。この
様な場合全て本発明の範囲に含まれる。
で述べたが、溶質と溶媒が会合し、吸着するなどした状
態のクラスターや凝集体が発生することも当然あり得
る。このような場合には、高圧力下で凝集した粒子は、
減圧過程で溶媒が再び気化消失して粒子が多孔質になっ
たり、条件によっては「空気の抜けたボール」のように
変形した後固い粒子として取出されることもある。この
様な場合全て本発明の範囲に含まれる。
本発明は降圧にともなう過飽和の発生を駆動力とする
ものであるから、できれば溶質は、降圧開始条件におけ
る飽和溶解度に近く溶解しておくことが、圧力の効率的
利用の立場からは好ましいが、目的によっては未飽和の
状態から減圧し飽和を経て過飽和に至ることもあり、こ
の様な場合も本発明の範囲に含まれる。
ものであるから、できれば溶質は、降圧開始条件におけ
る飽和溶解度に近く溶解しておくことが、圧力の効率的
利用の立場からは好ましいが、目的によっては未飽和の
状態から減圧し飽和を経て過飽和に至ることもあり、こ
の様な場合も本発明の範囲に含まれる。
また本発明は気体分子運動論などの統計力学に基礎を
おく臨界核発生理論を考察することによって得られたも
ので、極めて一般性が高い。従ってSiO2−超臨界水の例
に留まらず、高温高圧力下で溶解度を増す全ての系に適
用され、水を溶媒とするものでは種々の酸化物、一部の
水酸化物、或は一部の硫酸塩や隣接塩などの種々の化合
物の微粒が得られる。このとき用いる水は適量の酸また
はアルカリやハロゲンを添加するなど溶解度を増すよう
に調整したものであってもよい。また溶媒を二酸化炭
素、メタン、プロパン、メタノールをはじめ近年超臨界
抽出に使われているような有機溶媒とすることによっ
て、有機物などの微粒も得られる。2種以上の溶質を超
臨界流体に適正なモル比で溶解し、反応させて微粒を得
ることも可能である。
おく臨界核発生理論を考察することによって得られたも
ので、極めて一般性が高い。従ってSiO2−超臨界水の例
に留まらず、高温高圧力下で溶解度を増す全ての系に適
用され、水を溶媒とするものでは種々の酸化物、一部の
水酸化物、或は一部の硫酸塩や隣接塩などの種々の化合
物の微粒が得られる。このとき用いる水は適量の酸また
はアルカリやハロゲンを添加するなど溶解度を増すよう
に調整したものであってもよい。また溶媒を二酸化炭
素、メタン、プロパン、メタノールをはじめ近年超臨界
抽出に使われているような有機溶媒とすることによっ
て、有機物などの微粒も得られる。2種以上の溶質を超
臨界流体に適正なモル比で溶解し、反応させて微粒を得
ることも可能である。
本発明における微粒生成の駆動力は断熱膨張である。
これによって高圧容器内を非常に広い膨張速度範囲で均
一に制御できる。ここでいう断熱膨張は高圧容器の閉じ
られた系内で行なわれるから、断熱膨張時に流体の温度
下降はさけられず、したがって膨張開始温度に保持され
た容器から流体への熱の流入はさけられない。比較的低
温に保持した他の高圧容器に流体を移しかえて断熱膨張
させる場合には逆に熱の流出をともなう。しかしこれら
は操作上必要な伝熱であって凝集、析出の駆動力が圧力
変化に伴う断熱膨張であることに変りはない。
これによって高圧容器内を非常に広い膨張速度範囲で均
一に制御できる。ここでいう断熱膨張は高圧容器の閉じ
られた系内で行なわれるから、断熱膨張時に流体の温度
下降はさけられず、したがって膨張開始温度に保持され
た容器から流体への熱の流入はさけられない。比較的低
温に保持した他の高圧容器に流体を移しかえて断熱膨張
させる場合には逆に熱の流出をともなう。しかしこれら
は操作上必要な伝熱であって凝集、析出の駆動力が圧力
変化に伴う断熱膨張であることに変りはない。
これらの説明から明らかである様に、本発明における
高圧容器は単一容器、複合容器の別を問わず、また高圧
容器内の区画によって断熱膨張を達成するものであって
良く、要は大気圧と空間的に隔絶されている高圧系内で
の断熱膨張による核発生操作は全て本発明に含まれる。
高圧容器は単一容器、複合容器の別を問わず、また高圧
容器内の区画によって断熱膨張を達成するものであって
良く、要は大気圧と空間的に隔絶されている高圧系内で
の断熱膨張による核発生操作は全て本発明に含まれる。
本発明によって得られた微粒はその表面積の大きさ、
活性の高さ、そしてその他微粒の形態的特徴等を有効に
利用することにより、多様な用途が考えられる。例えば
触媒用途を考えると、得られた微粒をそのまま使うこと
もできるが、その他、表面処理(例えば白金等の電解メ
ッキ)するなどして利用することもできる。また表面に
化学的に吸着機能をもたせ、光学活性体の分離等に使う
ことも可能である。このような微粒の工業的利用技術の
開発は今後多くの先端技術分野で進展し得るものと考え
られるから、本発明で得られる微粒の応用範囲は今後更
に拡大していくものと期待される。
活性の高さ、そしてその他微粒の形態的特徴等を有効に
利用することにより、多様な用途が考えられる。例えば
触媒用途を考えると、得られた微粒をそのまま使うこと
もできるが、その他、表面処理(例えば白金等の電解メ
ッキ)するなどして利用することもできる。また表面に
化学的に吸着機能をもたせ、光学活性体の分離等に使う
ことも可能である。このような微粒の工業的利用技術の
開発は今後多くの先端技術分野で進展し得るものと考え
られるから、本発明で得られる微粒の応用範囲は今後更
に拡大していくものと期待される。
以下本発明を実施例によって、更に具体的に説明する
が、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく
前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも
本発明の技術的範囲に含まれるものである。
が、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく
前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも
本発明の技術的範囲に含まれるものである。
[実施例] 第3図は本発明を実施する為に構成される装置構成例
を示す概略説明図であり、図中1は原料溶解槽、2は第
1高圧容器、3は第2高圧容器、4は大気圧容器、5は
圧力調整器、6は減圧器、V1〜V3は塞止弁、V5及びV6は
絞り弁を夫々示す。
を示す概略説明図であり、図中1は原料溶解槽、2は第
1高圧容器、3は第2高圧容器、4は大気圧容器、5は
圧力調整器、6は減圧器、V1〜V3は塞止弁、V5及びV6は
絞り弁を夫々示す。
原料溶解槽1内には、溶質を溶解している超臨界又は
亜臨界状態の溶媒が充填されており、この溶媒は第1高
圧容器2内に送り込まれる。そして圧力調整器5によっ
て第1高圧容器2内の溶媒が断熱膨張されると、溶媒中
には溶質からなる核が生成し、成長する。次いで、溶媒
は減圧器6でさらに減圧されつつ第2高圧容器3に送ら
れ、この段階で溶媒中の発生核の成長はほぼ完了する。
この際第1高圧容器2内の溶媒は一度に第2高圧容器2
に送る様にしてもよいし、段階的に分けて送る様にして
もよい。核の成長がほぼ完了すると、絞り弁V5および塞
止弁V3が開放され、第2高圧容器3内の残存圧力は開放
される。尚図中7,8は、第2高圧容器3および大気圧容
器4に夫々設けられたフィルターであり、これらのフィ
ルター7,8によって微粒が回収される。
亜臨界状態の溶媒が充填されており、この溶媒は第1高
圧容器2内に送り込まれる。そして圧力調整器5によっ
て第1高圧容器2内の溶媒が断熱膨張されると、溶媒中
には溶質からなる核が生成し、成長する。次いで、溶媒
は減圧器6でさらに減圧されつつ第2高圧容器3に送ら
れ、この段階で溶媒中の発生核の成長はほぼ完了する。
この際第1高圧容器2内の溶媒は一度に第2高圧容器2
に送る様にしてもよいし、段階的に分けて送る様にして
もよい。核の成長がほぼ完了すると、絞り弁V5および塞
止弁V3が開放され、第2高圧容器3内の残存圧力は開放
される。尚図中7,8は、第2高圧容器3および大気圧容
器4に夫々設けられたフィルターであり、これらのフィ
ルター7,8によって微粒が回収される。
上記の説明では、第1高圧容器2内で核を発生・成長
させる様に述べたが、その操作は様々な手順が考えら
れ、例えば第1高圧容器2でわずかに圧力を下げて(断
熱膨張させ)微粒を生成させた後、第2高圧容器内で微
粒を成長させる様にしてよいし、核生成直前の過飽和状
態から、第2高圧容器に移送し、核発生,成長をさせて
もよい。
させる様に述べたが、その操作は様々な手順が考えら
れ、例えば第1高圧容器2でわずかに圧力を下げて(断
熱膨張させ)微粒を生成させた後、第2高圧容器内で微
粒を成長させる様にしてよいし、核生成直前の過飽和状
態から、第2高圧容器に移送し、核発生,成長をさせて
もよい。
また第2図においては、第1高圧容器2内で昇温昇圧
して、溶質を溶解させてもよい。また第1高圧容器の容
積の変化が十分に大きくとれる場合には、第1高圧容器
2内で実質的な工程がほぼ終了するので、第2高圧容器
3を省略することもできる。
して、溶質を溶解させてもよい。また第1高圧容器の容
積の変化が十分に大きくとれる場合には、第1高圧容器
2内で実質的な工程がほぼ終了するので、第2高圧容器
3を省略することもできる。
本発明者らは、第3図に示した装置を用いて、過飽和
状態が高いSiO2溶解水を550℃、643Barの超臨界状態か
ら、一旦核が生成した後は新たな核が発生しない条件下
で微粒を製造したところ、球状粒子表面にひげ状固体が
急成長した微粒が得られていた。
状態が高いSiO2溶解水を550℃、643Barの超臨界状態か
ら、一旦核が生成した後は新たな核が発生しない条件下
で微粒を製造したところ、球状粒子表面にひげ状固体が
急成長した微粒が得られていた。
第3図に示した構成では、第2高圧容器3を容積不変
のものとしたが、本発明を実施する為の装置構成は第3
図に示したものに限らず、例えば第4図に示す様に第2
高圧容器3を第1高圧容器2と同様な圧力調整可能な構
成としてもよい。この様な構成とすることによって、高
圧容器内の断熱膨張速度を比較的おだやかな傾斜で変化
させることができる(尚ここでは溶解槽は示していな
い)。
のものとしたが、本発明を実施する為の装置構成は第3
図に示したものに限らず、例えば第4図に示す様に第2
高圧容器3を第1高圧容器2と同様な圧力調整可能な構
成としてもよい。この様な構成とすることによって、高
圧容器内の断熱膨張速度を比較的おだやかな傾斜で変化
させることができる(尚ここでは溶解槽は示していな
い)。
本発明者らは、第4図に示した装置を用いて、X/Xpを
小さくして一旦核を発生させた後新たに核発生をし得る
条件下(450℃,600Barから)で微粒を製造したところ、
新たに出来た核が大きくなった状態で、既に形成されて
存在する大きな粒子に付着した形態の微粒が得られてい
た。
小さくして一旦核を発生させた後新たに核発生をし得る
条件下(450℃,600Barから)で微粒を製造したところ、
新たに出来た核が大きくなった状態で、既に形成されて
存在する大きな粒子に付着した形態の微粒が得られてい
た。
第5図は本発明を実施する為の他の装置構成例を示す
概略説明図であり、この構成では高圧容器10が前記2つ
の高圧容器2,3の機能を兼ね備えたものとなっている。
即ちこの装置構成例では高圧容器10内の第1空間11内に
超臨界状態の溶媒(溶質を溶解している)が充填された
後、絞り弁V7および塞止弁V8を閉じ、塞閉弁V9および絞
り弁V10を開くと第1空間11内の溶媒は高圧容器10内の
第2空間12に移動し、そこで溶媒が断熱膨張し、核が発
生し、粒子が成長する。次いで絞り弁V7および塞止弁V8
を開くと残存圧力は大気圧容器4を介して大気に開放さ
れる。そして成長した粒子は、大気圧容器4内で回収さ
れる。
概略説明図であり、この構成では高圧容器10が前記2つ
の高圧容器2,3の機能を兼ね備えたものとなっている。
即ちこの装置構成例では高圧容器10内の第1空間11内に
超臨界状態の溶媒(溶質を溶解している)が充填された
後、絞り弁V7および塞止弁V8を閉じ、塞閉弁V9および絞
り弁V10を開くと第1空間11内の溶媒は高圧容器10内の
第2空間12に移動し、そこで溶媒が断熱膨張し、核が発
生し、粒子が成長する。次いで絞り弁V7および塞止弁V8
を開くと残存圧力は大気圧容器4を介して大気に開放さ
れる。そして成長した粒子は、大気圧容器4内で回収さ
れる。
尚第5図に示した装置において、溶媒を第1空間11か
ら第2空間12に移動させる際に、絞り弁V7および塞閉弁
V8はわずかに開いておき、第2空間12内の圧力を徐々に
下げる様にしてもよい。あるいは絞り弁V11による背圧
調整などで第1空間11から第2空間12への移動を徐々に
行なわせてもよい。
ら第2空間12に移動させる際に、絞り弁V7および塞閉弁
V8はわずかに開いておき、第2空間12内の圧力を徐々に
下げる様にしてもよい。あるいは絞り弁V11による背圧
調整などで第1空間11から第2空間12への移動を徐々に
行なわせてもよい。
本発明者らは、第5図に示した装置を用い、550℃,78
1Barの超臨界状態のSiO2溶解水から、一旦核を生成した
後は核を発生させない条件で微粒を製造したところ、比
較的均一なSiO2粒子が得られていた。
1Barの超臨界状態のSiO2溶解水から、一旦核を生成した
後は核を発生させない条件で微粒を製造したところ、比
較的均一なSiO2粒子が得られていた。
第6図は本発明を実施する為の装置の更に他の構成例
を示す概略説明図であり、図中15は第1高圧容器、16は
第2高圧容器、17は第3高圧容器を夫々示す。この構成
では、絞り弁V12〜14の流量が下流になるにつれて流速
が遅くなるように調整されている。この様な構成では、
第2高圧容器16および第3高圧容器17は圧力を希望する
値にする為に機能するだけで良く、圧力を低下させる為
に必要な容量を比較的小さくすることができるという利
点がある。
を示す概略説明図であり、図中15は第1高圧容器、16は
第2高圧容器、17は第3高圧容器を夫々示す。この構成
では、絞り弁V12〜14の流量が下流になるにつれて流速
が遅くなるように調整されている。この様な構成では、
第2高圧容器16および第3高圧容器17は圧力を希望する
値にする為に機能するだけで良く、圧力を低下させる為
に必要な容量を比較的小さくすることができるという利
点がある。
尚圧力を調整する構成は絞り弁V12〜14によるだけで
なく、例えば配管の太さを段階的または連続的に調整し
たり、付け換え可能型にすること等によっても達成され
る。
なく、例えば配管の太さを段階的または連続的に調整し
たり、付け換え可能型にすること等によっても達成され
る。
[発明の効果] 本発明によれば、次に示す様な様々な効果が得られ
る。
る。
膨張速度の制御や膨張開始条件を比較的容易に設定で
き、一様なまたは希望する粒度分布を有する球状を基本
として様々な微粒が再現性良く製造できる。
き、一様なまたは希望する粒度分布を有する球状を基本
として様々な微粒が再現性良く製造できる。
特に本発明によって得られる「ひげ状個体を有する微
粒」は比表面積が超微粉に匹敵するほど大きくなる一方
で、超微粉に比べて粒径が大きく、取扱いが極めて容易
である。
粒」は比表面積が超微粉に匹敵するほど大きくなる一方
で、超微粉に比べて粒径が大きく、取扱いが極めて容易
である。
高圧容器の閉じられた系で行なうものであるので、減
圧過程は様々な速度にプログラムすることができ、形状
選択が自由に行なえる。
圧過程は様々な速度にプログラムすることができ、形状
選択が自由に行なえる。
大気圧に開放する以前に容器内でほぼ完全に微粒が形
成されているので、装置規模を小さくすることができる
ばかりか、超微粉として飛散することが少ないので回収
率は高くなる。
成されているので、装置規模を小さくすることができる
ばかりか、超微粉として飛散することが少ないので回収
率は高くなる。
第1図は高温高圧水中へのSiO2の溶解度の変化を示すグ
ラフ、第2図は水蒸気圧の温度−エントロピー線図、第
3〜6図は本発明を実施する為の各種装置構成例を示す
概略説明図である。
ラフ、第2図は水蒸気圧の温度−エントロピー線図、第
3〜6図は本発明を実施する為の各種装置構成例を示す
概略説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 33/12 - 33/193 B01J 2/00
Claims (2)
- 【請求項1】溶質を溶解している超臨界状態または亜臨
界状態の溶媒を、高圧容器の閉じられた系内において断
熱的に膨張させ、前記高圧容器内において溶質を析出せ
しめた後、容器内の残存圧力を大気に開放してからまた
は開放しつつ、前記溶質の微粒を回収することを特徴と
する微粒の製造方法。 - 【請求項2】請求項(1)の方法において、断熱膨張速
度を制御することにより微粒の発生数および形状を制御
することを特徴とする微粒の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2067890A JP2774349B2 (ja) | 1990-03-17 | 1990-03-17 | 微粒の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2067890A JP2774349B2 (ja) | 1990-03-17 | 1990-03-17 | 微粒の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03271113A JPH03271113A (ja) | 1991-12-03 |
JP2774349B2 true JP2774349B2 (ja) | 1998-07-09 |
Family
ID=13357944
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2067890A Expired - Fee Related JP2774349B2 (ja) | 1990-03-17 | 1990-03-17 | 微粒の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2774349B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
SI9400079B (sl) * | 1994-02-15 | 2003-02-28 | Dr. Weidner Eckhard, Dipl. Ing. | Postopek in naprava za pridobivanje in frakcioniranje majhnih delcev iz raztopin nasičenih s plinom |
JP3663408B2 (ja) * | 2003-06-30 | 2005-06-22 | 株式会社アイテック | 高温高圧水を用いる微粒子製造方法および微粒子製造装置 |
JP4206317B2 (ja) * | 2003-09-10 | 2009-01-07 | 花王株式会社 | 有機板状粒子の製造方法 |
JP5000095B2 (ja) * | 2005-03-11 | 2012-08-15 | 花王株式会社 | 有機結晶粒子の製造方法 |
JP5143371B2 (ja) * | 2006-03-31 | 2013-02-13 | 花王株式会社 | 有機結晶性粒子の製造方法 |
FI20140266A (fi) * | 2014-10-06 | 2016-04-07 | Nanoform Finland Oy | Menetelmä ja laite nanopartikkeleiden valmistamiseksi |
-
1990
- 1990-03-17 JP JP2067890A patent/JP2774349B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03271113A (ja) | 1991-12-03 |
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