JPH05293352A - 異形状微粒子の製造方法 - Google Patents

異形状微粒子の製造方法

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JPH05293352A
JPH05293352A JP24686091A JP24686091A JPH05293352A JP H05293352 A JPH05293352 A JP H05293352A JP 24686091 A JP24686091 A JP 24686091A JP 24686091 A JP24686091 A JP 24686091A JP H05293352 A JPH05293352 A JP H05293352A
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JP
Japan
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pressure
fine particles
temperature
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solvent
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Withdrawn
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JP24686091A
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Inventor
Kazuo Kitagawa
一男 北川
Seiichi Yamamoto
誠一 山本
Masato Moritoki
正人 守時
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 超臨界状態にある溶媒中から、溶質を再現性
良く析出・成長させて異形状微粒子(ひげ付き微粒子)
を製造することができる方法を提供する。 【構成】 シリカを溶媒に溶解して超臨界状態の系とし
た後、この系を断熱膨張させる過程において、高温・高
圧下の圧力−温度−溶解度曲線における圧力及び温度を
降下へ変化させる軌跡が、気相側から上記溶媒の液相と
気相及び溶質が共存する3相領域へ一旦入り、その後再
び気相側へ出るように断熱膨張過程を制御することによ
り過飽和状態を経て異形状微粒子を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異形状微粒子(ひげ付
き微粒子)の製造方法に関し、殊に超臨界状態若しくは
亜臨界状態(以下超臨界状態で代表する)にある溶媒が
高い溶解能力を示すことを利用し、該溶媒中に溶解され
ている溶質を、圧力制御により異形状微粒子として析出
させる方法に関するものである。ここに得られる微粒子
は、触媒、磁性材料、感光材料、ファインセラミックス
成形材料、センサ材料等に応用されるものである。
【0002】
【従来の技術】微粒子は体積当りの表面積が著しく大き
く、その表面エネルギーも著しく大きくなることから、
焼結、吸着、触媒等の各種技術分野において重要な役割
を果たしている。また微粒子がアモルファス状固体であ
れば、結晶状のものに比べて微粒子自体のエネルギーも
更に高くなり、表面の活性は非常に高いものとなる。こ
うしたことから微粒子の製造方法については様々な手段
が研究されており、夫々の技術分野で多様な効果を発揮
している。
【0003】近年、数百気圧以上の高圧下に形成した超
臨界流体内に溶質を溶解し、これを大気圧または減圧下
の雰囲気に向けてオリフィスから基板上に噴射し、噴流
中での瞬時の減圧過程における過飽和状態の発生を利用
して、基板上に固体皮膜や超微粒子を形成する技術がス
ミス・リチャード・ディーらによって提案されている
(公表特許昭61-500210 号)。彼らによれば、オリフィ
スからの『噴射プロセスは膨張中の溶剤クラスターの形
成、および溶液の自由ジェットまたは超音波膨張から生
じるマッハディスク(Mach Disc)における溶剤クラスタ
ー「崩壊(freakup)」現象の影響を受ける』ことが指
摘されている(前記公表特許公報第4頁右上欄)。つま
りマッハディスクによる衝撃によって溶媒の凝集核を一
度破壊して溶質の超微粒子からなる固体析出物を形成
し、これを基体上に膜状に堆積させるものである。従っ
てこの技術は、膜製造分野にはひとつの指針を与えるも
のであると言える。また超臨界流体では溶解度が著しく
高くなることが一般的に知られており、この性質を利用
して水晶の単結晶育成や混合物からの特定の溶質の抽出
等に応用されているが、上記技術は超臨界流体から固体
皮膜や超微粒子を形成しようとする発想からくるもので
あると位置付けることができる。
【0004】微粒子の製造方法には、気相において蒸発
−凝縮又は化学反応を行わせる方法と、水溶液等の液相
中で溶解−析出又は化学反応を行わせる方法がある。気
相における製造方法では極めて小さな微粒子、例えば約
10nmの超微粒子が得られる。液相における製造法では、
約0.1 〜1μm の大きさの球、立方体、針状、円盤、八
面体等の形態の微粒子が得られる。しかしながら、いず
れの方法によっても異形状微粒子(ひげ付き微粒子)は
得ることはできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かねて
より超臨界状態の応用という観点から様々な研究を進め
てきており(例えば化学工学第54年会、1989年)、上記
従来技術についてもその効果の確認を行った。しかしな
がら本発明者らの実験によれば、噴流中で超微粒子を形
成する方法では次のような幾つかの問題があることが判
明した。 音速の領域で製造される固体は、その性状(微粒子の
形成数、大きさ、形状等)の再現性が劣る。 噴流中の溶質の全てが、目的とする薄膜又は微粒子の
どちらか一方になるとは限らず、回収されないまま大気
中へ飛散するものもあり、従って歩留りが悪くなる。 ノズルを安定的に同一孔形・同一形状に製作すること
は困難であり、少しの違いによっても噴流が変化する
為、製造条件の再現性及び生成微粒子の均一性に劣る。 固化した微粒子の回収が困難である。
【0006】本発明は上記事情に着目してなされたもの
であって、その目的は、超臨界状態にある溶媒中から、
溶質を再現性良く析出・成長させて微粒子を製造するこ
とができ、また回収も容易で、さらに従来の微粒子製造
法では製造不可能であった異形状微粒子(ひげ付き微粒
子)を製造することができる方法を提供しようとするも
のである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成した本発
明とは、溶質を溶媒に溶解して超臨界状態若しくは亜臨
界状態の溶媒に溶解した系とした後、該系を断熱膨張さ
せる過程において、高温・高圧下の圧力−温度−溶解度
曲線における圧力及び温度を降下方向へ変化させる軌跡
が、気相側から上記溶媒の液相と気相及び溶質が共存す
る3相領域へ一旦入り、その後再び気相側へ出るように
上記断熱膨張過程を制御することにより過飽和状態を経
て異形状微粒子を形成することを要旨とするものであ
る。
【0008】
【作用】以下、図面に基づいて本発明の原理及び作用・
効果について説明する。図1は高温高圧水中へのSiO
2 の溶解度の変化を示すグラフ(G.C.Kennedy,1950)で
ある。図1から明らかなように、臨界温度以上では、温
度および/または圧力が上るにつれてSiO2 の溶解度
が上がる。
【0009】例えば、図1の点A(550 ℃,750 Bars)
でSiO2 を飽和溶解した超臨界水を、オリフィスを経
て大気圧下へ断熱的に膨張させる場合では、熱力学的計
算によればラインL1 の如き経過を辿って超臨界水の温
度および圧力が下降し、従ってSiO2 の溶解度も下降
する。但し、溶解度が下降しても溶質固体は直ちに析出
することはなく、過飽和状態が形成された後で析出す
る。今、初期条件の溶解度をXo,降圧中の任意の瞬間
圧力に対応する溶解度をXpとすると、過飽和度Cは下
記(I) 式のように表される。
【0010】
【数1】
【0011】図1から明らかなように、大気圧下におけ
るSiO2 の溶解度はほとんど0であり、従ってオリフ
ィスから噴射するとき(即ち瞬時に断熱膨張するとき)
の過飽和度は無限大となる。
【0012】一般に、過飽和度が小さいと溶質は析出せ
ず、ある過飽和度(臨界過飽和度)を超えると核が発生
する確率が実質的に現れ始め、更にそれより大きくなる
と核発生の確率が高くなっていく。従って圧力が低下し
て過飽和度が無限大に近くなると、超微細核が無数に発
生し、それらが噴射流の下流側の固体表面上に堆積すれ
ば薄膜を形成することになる。このことから、薄膜では
なく微粒子状に形成したい場合においては、過飽和度を
ある程度までに抑えて核発生数もある程度の範囲内と
し、発生核を微粒子にまで成長させる必要がある。
【0013】上述の様な過飽和度と核発生の確率との関
係は、実際の工業界でも多くの例が認められるが、これ
を統計力学の手法に基づいてマクドナルド(McDonald)
が計算した例を下記表1に示す(黒田登志雄著,結晶は
生きている,株式会社サイエンス社発行)。この表1は
0℃の水蒸気の蒸気圧(4.58Torr)をPeとし、取扱う
環境の蒸気圧をPとしたときの、種々の過飽和度比P/
Peに対する核発生頻度Js,臨界核の半径r* ,臨界
核中に含まれる分子数i* を夫々示している。
【0014】
【表1】
【0015】表1から次のように考察できる。P/Pe
が3以下では実質的に核は発生しないと考えてもよい。
P/Peが4のときは、毎秒当りの核発生確率が5個/
cm3・sec となり、P/Peがそれより多くなると実用上
核が発生し得る条件となる。但し、P/Peが8にもな
ると、核発生頻度Jsが4×1015個/cm3・sec にもな
り、実際上は無数と表現される状態となる。
【0016】こうして発生した核のまわりには気体分子
が凝集し、先に発生した核から順次大きくなり気体分子
の数が少なくなっていく。それが閉じられた系内で行わ
れるならば、P/Peは結果的に減少し、核発生の頻度
は低下する。この傾向は、意図的にP/Peを小さくし
た場合においても同様であり、例えばP/Peが3以下
に下った場合には、新たな核の発生の確率は実質上0と
なり、それまでに発生した核に基づく粒が成長して気体
分子を消費しつつ、P/Peが更に下って遂には1に達
する。しかし表1から明らかなように、臨界核の半径r
* は10Å以下のものであって、そのままでは微粒子とし
て使用できず、エネルギー的にも不安定であり、大きな
ものに成長しようとする傾向があり、本発明はこのよう
な点に着目して研究を行った。
【0017】前記表1は純成分(水)の0℃における蒸
気(水蒸気)についての計算の一例であり、蒸気から液
滴発生に係るものである。しかしながらこのような傾向
は、気・固転移や液・固転移の場合についても成立す
る。また一方が溶質で他方が溶媒の成分系についても成
立するものである。但し、この場合は過飽和度として
(P−Pe)/Peの代わりに、前記(I) 式に示したC
が用いられることが多い。
【0018】以上のような事情を考慮しつつ、スミスら
の技術を検討すると、下記のような知見が得られた。オ
リフィスから噴射された直後の大気圧下におけるSiO
2 の溶解度Xpはほとんど0に近く、従って過飽和度C
は無限大であり、このとき核は無数に発生し、それに伴
って過飽和度Cが瞬時に0に近づくので発生した無数の
核の成長はほとんど起こらない。これが前記技術におけ
る薄膜、超微粒子の形成の基本原理となっている。しか
も上記技術では、オリフィスからの噴射に当り、マッハ
ディスクにおける衝撃によって、クラスター(核の基に
なる分子の集団)を粉砕することになり、より一層の微
細化が図られている。尚スミスらによる研究では、Si
2 以外に有機物の代表としてポリスチレンの例も示さ
れているが、ここにおいては大気圧から更に減圧雰囲気
に噴射しており、これは前記(I)式における平衡濃度X
pを更に小さくして、過飽和度Cを大きくするものであ
り、上記傾向に拍車をかける結果となっている。
【0019】一方本発明においては、ある程度成長した
微粒子を製造することを目的としており、ここにその原
理を説明する。例えば前記表1において、P/Peが4
になる状態で10秒間保持させると、5個×10=50個の核
が形成されるが、これらの核は表1のi* に示す如く少
なくとも87個の分子の集合体となっている。そこでこの
分子集合体を核として次々に分子を取り込んで核は成長
するが、695 個以上の集合体に成長した段階でP/Pe
=2に変化させるならば、その核は695 個以上の分子集
合体であるという理由によって分解消滅することなく引
続き成長を続けていくことが可能になる。即ち50個の粒
子はそのまま成長を続けることになる。50個の粒子が分
子数695 個以上に成長する間に、さらに生成・増加して
いく新たな核は、それらの分子数が臨界核の分子数i
* ,695 個に満たないという理由で、P/Peを4から
2にした時点で再び分解気化して消失する。結局、粒径
が比較的大きな粒子のみが粒子成長を達成することがで
き、最終的に粒径の揃った微粒子となる。尚P/Peを
4から3→2→1と変化させると、粒子の近傍における
過飽和状態にはかなり大きな差が生じる。試算によれ
ば、蒸気圧Pが1,2,3,4のとき、1cm3 中にある
蒸気分子の数は夫々、1.6 ,3.2 ,4.8 ,6.4 (×1
017)であり、このような差は成長の立場から見ると形
態上重大な差異が生じる原因になるものと考えられる。
【0020】例えば前記図1における点A(750 気圧)
から断熱膨張させて点A′(500 気圧)に達したとする
と、超臨界流体中のSiO2 溶解度はX750 =0.165 か
らX500 =0.07に変化し、このときのX750 /X500
(以下溶解度比と言うことがある)は2.2 となる。ここ
で有限個のSiO2 凝集核が発生・成長し始めたと仮定
すると、溶解度Xの値は低下し、新たな核は発生しなく
なる。そこで500 気圧から例えば300 気圧まで徐々に圧
力を下げると、そのときの溶解度比(X/X300)は再び
増加するが、上記溶解度比2.2 を超えない限りにおいて
は、新たな核発生はなく、既存の粒子が成長するだけで
ある。以下同様の原理で、新たな核が発生しない程度の
速度で蒸気圧を大気圧まで下げることによって、粒径の
揃った微粒子が得られる。そして大気圧近傍において
は、溶解度がほとんど0に近くなり、圧力・温度を急激
に下げても粒子の性状に大きく影響を与えることはほと
んどない。しかしながら、残存圧力を急激に解放する前
の溶解度が無視できない程度に実質的な数値を示す場合
は、溶解度の絶対値が低くてもその条件における溶解度
比が核発生条件を満たし、臨界核が発生することによ
り、既にいくらか成長してきた大きな粒子の表面に微細
粒子が付着或は独立に成長することなどもあり得る。
【0021】これまでの説明では臨界核発生の過飽和度
比X/Xpを2.2 と仮定して便宜的に述べたが、現在の
技術ではこの値を容易に測定することができない。仮に
測定できたとしても、温度、圧力、溶解度等の全ての操
作条件、溶質や溶媒の種類、更には微量添加される酸ま
たはアルカリ或はいわゆるエントレーナ等の影響を受け
るであろうから、特定の条件を明らかにしても一般的な
意味はない。また操業条件に関しても減圧をどの程度の
速度で行うか、或は途中で一旦中断して段階的に減圧し
ていくかといったことなども、個々の対象物質、条件、
目的粒子の性状をもとにして適応条件が定められる。し
かしながら本発明は高圧容器の閉じられた系内で行うも
のであるので、比較的余裕のある条件範囲で再現し得る
ものであって工業的操作に困惑を来たすほど厳密な条件
設定が求められるものではない。
【0022】また上記の説明においては、出発条件とし
て図1の点Aからの断熱膨張の例で説明してきたが、こ
の条件では臨界点以下の圧力を通って気液共存線に入っ
て、液滴が発生しはじめる。この時点において、なお相
当量の溶解度が残留していれば、液滴として凝集する水
分自体が表1に示した傾向を有し、かつ水分子とSiO
2 分子が混合または水素会合したクラスター、更には臨
界核を構成することもあり得る。そして上記水滴は、数
を増し、または成長する。そして最終に水分が除去され
た場合には固体が得られる。この過程を図2の水蒸気圧
の温度−比エントロピ線図上で示せば、気液共存領域を
示す境界線の頂点(臨界点c)より右側を点Aから直下
に下降することを意味する。
【0023】これに対して図1および図2の点Bは超臨
界状態から、亜臨界状態(臨界温度よりも低い液相域)
を経て、或は点B′は亜臨界状態から出発して減圧し臨
界点cの液側(左側)を通って気液共存域に入る。
【0024】亜臨界状態における臨界核発生について
も、数値は表1の場合と異なるが、臨界核半径、核発生
頻度と過飽和度比の関係はやはり同じ傾向を示す。また
亜臨界域から気液共存域に入る場合においては、前記点
Aを出発点とする場合と異なり、水蒸気の割合が増加す
る方向に状態変化が進みながら飽和溶解度が下降するこ
とになる。
【0025】亜臨界からまたは亜臨界を通過して減圧
し、微粒子を作る場合においても、圧力下降速度を制御
することによって様々な形態の微粒子が得られる。さら
に亜臨界の液体から気液共存域に入ることによって気化
の進行に伴う凝集メカニズムの変化も利用し、一層多様
な形状、粒度分布が期待できる。
【0026】以上述べてきた核は、主として分子レベル
の凝集であるが、これが成長したときの粒子は、超微細
粒子の凝集体であることを必ずしも意味するものではな
い。成長した粒子は、アモルファス状の固体であり、ま
たそれが成長の過程や取出しまでの温度経過等により、
一部または全部が結晶構造になることもあり得るし、ま
たそれらが凝集することもあり得る。
【0027】本発明によって得られる微粒子がその形態
において広範な多様性を有していることを以下説明す
る。まず比較的穏やかな過飽和条件下で製造すると、分
子または極めて小さな(一般に臨界核半径以下の半径
の)粒子も大きな粒子の表面に付着するように成長す
る。またX/Xpを小さくして成長した後新たに核発生
をし得る条件が与えられた場合には、新たに生成した核
が大きくなりかけた状態で、先に存在する大きな微粒子
に付着することもある。更に新たな核発生はしないが、
過飽和度が相当に高いような条件で製造すると球状微粒
子表面にひげ状体が急成長する。尚ひげ状体が成長する
微粒子については、表1における臨界半径が示すとお
り、過飽和度比が小さくなるとある程度以上の大きさの
ひげでなければ、エネルギー的にX/Xp=1の条件で
は存在が許容されず、急激にX/Xp=1になる時はす
でに発生していたひげが消失することもあり得る。
【0028】上記の説明では凝集する物質は、溶質であ
るとの前提で述べたが、溶質と溶媒が会合し、吸着する
などした状態のクラスターや凝集体が発生することも当
然あり得る。このような場合には、高圧力下で凝集した
粒子は、減圧過程で溶媒が再び気化消失して粒子が多孔
質になったり、条件によっては「空気の抜けたボール」
のように変形した後固い粒子として取出されることもあ
る。
【0029】本発明は降圧にともなう過飽和の発生を駆
動力とするものであるから、できれば溶質は、降圧開始
条件における飽和溶解度に近く溶解しておくことが、圧
力の効率的利用の立場からは好ましいが、目的によって
は未飽和の状態から減圧し飽和を経て過飽和に至ること
もあり得る。
【0030】本発明は溶媒の超臨界および気液混合相を
使用するものである。超臨界流体中に溶質を溶解した状
態から異形状微粒子(ひげ付微粒子)が生成する過程
は、核発生粒子成長(核凝集)ひげ発生の3段階
を経る。核発生については溶解度の過飽和度を制御する
ことにより、その発生を制御でき、発生確率等の詳細は
上述した。
【0031】この場合の過飽和度の具体的な制御手段
は、圧力と温度の降下過程を制御することである。次に
発生した核は、まわりの溶質の溶け込んだ溶媒から分子
を取り込んで成長するか、或はお互いに相互作用を及ぼ
し合いながら、溶媒中を浮遊し、ぶつかり合い、凝集
し、より大きな粒子に成長する。次にひげの発生である
が、Wagnerらの説(VLS機構=Vapor −Liquid−Soli
d mechanism )によれば、気相と粒子表面の間に溶質の
溶け込んだ液体層が存在し、該液体層表面に物質が付着
しやすいために単一方向の結晶成長(ひげの成長)が起
こるとしている。
【0032】これらのことを前記図1で説明すると、図
中c点は水の臨界点であり、c点より右側の領域が(水
の超臨界状態+SiO2 )の2相領域であり、c点より
左側の半円部の上側の領域が(水の液相+SiO2 )の
2相領域であり、c点より左側の半円部の下側の領域が
(水の液相+気相+SiO2 )の3相領域であり、c点
より下側で該3相領域と上記超臨界2相領域で囲まれた
部分が(水の気相+SiO2 )の2相領域である。
【0033】今超臨界流体にシリカが溶け込んだ状態の
D点から超臨界流体を断熱膨張させると図1にL2 で示
した経路で圧力、温度、溶解度が変化する。この経路は
図2に示した水のT−S線図(温度−エントロピ−線
図)で、エントロピ−を一定として圧力、温度変化から
得たものである。この線に沿って溶解度が下がると溶解
度の過飽和が生じ、SiO2 の核が発生し、引き続き粒
子として成長する。さらに温度、圧力、溶解度が下がり
3相領域へ入る。この場合C点より下側の(気相+Si
2 )側から入ることが本発明の重要なポイントであ
る。この気相線を越えると液滴が発生し、それまでに生
成したシリカ粒子表面の一部を濡らす。この時点でのシ
リカの溶解度は、液相と気相では異なっており、気相側
にはa重量%、液相側にはb重量%が溶け込んでいる。
即ち、シリカ粒子表面の液滴に濃縮される。さらに圧力
を下げるとこの液滴部が過飽和となり、ひげが発生す
る。尚気相は溶解度が低く新たな核発生はない。
【0034】実際の操作では、外熱式の高圧容器(高圧
容器の外部から容器を加熱し、この熱で内部流体を加熱
する)を使用するので容器内流体は完全な断熱膨張では
なく、膨張過程で容器側からの熱侵入があり、この影響
を受けながら温度変化する。従って膨張の開始点を変え
ることにより、最終的に3相領域へ気相側から入るよう
出発点を決める必要がある。次に3相領域へ入った後、
この容器の熱により再び気相へもどる。即ち粒子表面の
液滴は再びガスになるが、この過程で液滴はさらに濃縮
されひげが発生しやすくなる。
【0035】膨張過程の状況を図2に示す。シリカが溶
け込んだ水でもシリカの溶解度がppm 単位(例えば500
℃×500kgf/cm2で約2000ppm)と極端に低くほとんど
純水と同じT−S線図(図2)を適用することができ
る。c′点が臨界点で山形形状の内側が3相領域であ
る。超臨界状態のある状態から断熱膨張させるとエント
ロピ−が一定で圧力・温度が変化するが(図2で真すぐ
下へ向って)、上述の如く、実際には高圧容器の温度に
影響され、図2の線L′の軌跡に示す如く、いったん3
相領域へ入った後、再び温度が上昇し、再び気相線から
(気相+SiO2 )相へ出ることになる。また本発明は
気体分子運動論などの統計力学に基礎をおく臨界核発生
理論を考察することによって得られたもので、極めて一
般性が高い。従って、シリカの水への溶解を例にとって
示したが、これに限定されるものでは全くなく、いずれ
の溶質、溶媒にも適用できる。
【0036】上述の温度、圧力操作は高圧容器を1筒使
って行うだけでも目的は達せられるが、次に示す如く温
度を夫々別々に設定した2筒で行うとさらに確実な温
度、圧力の軌跡が得られる。即ち、高圧容器を2筒用い
てこれらをバルブを介して連通させ、一方の第1筒で溶
質を溶解し、これを第1筒よりも低温に保った他方の第
2筒へ圧力一定で移動する。この段階で温度変化による
過飽和が生じる。尚圧力一定で流体を移動する手段は図
3に示すように第1筒のピストンを前進させ、これに対
応して第2筒のピストンを一定圧力に保持した状態で後
退させることにより実現する。この状態で、シリカの過
飽和を生じたことになる。次に第2筒内の流体を膨張さ
せ、3相領域へ気相線側から通過させ、最後に容器の熱
により再び気相側へ出ることになる。第2筒が比較的低
温であるため、3相領域への圧力・温度の軌跡をより制
御しやすい利点がある。上記操作による軌跡を図1にm
線、図2にm′線で示す。尚容器内で作製したひげ付微
粒子は図3に示したバルブを解放してピストンを加圧側
に作動し、容器内に残留した流体と共に外部へ押出し、
回収する。
【0037】本発明によって得られた微粒子はその表面
積の大きさ、活性の高さ、そしてその他微粒子の形態的
特徴等を有効に利用することにより、多様な用途が考え
られる。例えば触媒用途を考えると、得られた微粒子を
そのまま使うこともできるが、その他、表面処理(例え
ば白金等の電解めっき)するなどして利用することもで
きる。また表面に化学的に吸着機能をもたせ、光学活性
体の分離等に使うことも可能である。このような微粒子
の工業的利用技術の開発は今後多くの先端技術分野で進
展するものと考えられるから、本発明で得られる微粒子
の応用範囲は今後更に拡大していくものと期待される。
【0038】以下本発明を実施例によって、更に具体的
に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のも
のではなく前・後記の趣旨に徴して設計変更すること
は、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものであ
る。
【0039】
【実施例】図3に本発明を実施する為に構成される装置
構成例の概要説明図を示す。内容積140ml の外熱式第1
高圧容器1に、水晶(シリカ単結晶)の粒(約2〜3mm
米粒大)約20g をステンレス鋼製の網に包んで挿入し、
施蓋密閉後内部温度550 ℃に昇温した。その後、該第1
容器1に連通したポンプにより第1容器1内へ水を供給
し、600kgf/cm2に加圧した後、供給側のバルブを閉め、
5時間保持した。次に水晶を溶解している超臨界状態の
溶媒(水)を、圧力一定のまま、第1高圧容器1から49
0 ℃に保持した空の第2高圧容器2へ移した。
【0040】その後第2容器2に嵌合したピストン棒3
を下げることにより、該第2容器2内の流体を膨張さ
せ、残圧20kgf/cm2 で停止し、解放弁4を開けて内部の
液体を第2容器2外へ取出し、回収した。回収した液体
を濾過能力(ポアサイズ)0.1μm のメンブレンフィル
タで濾過し、メンブレンフィルタ上に残留した粒子を電
子顕微鏡(SEM)で観察した。減圧、降温の過程を図
2のm′線で示す。電子顕微鏡観察の結果を参考写真1
に示す。写真に見える如く、異形状微粒子(ひげ付微粒
子)が得られた。
【0041】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、異形状微粒子(ひげ付微粒子)を、粒度分布をシャ
ープに、換言すると粒揃いに製造することができる様に
なった。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温高圧水中へのSiO2 の溶解度の変化を示
すグラフである。
【図2】水蒸気圧の温度−エントロピ線図である。
【図3】本発明を実施するための各種装置構成例を示す
概略説明図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶質を超臨界状態若しくは亜臨界状態の
    溶媒に溶解した系とした後、該系を断熱膨張させる過程
    において、高温・高圧下の圧力−温度−溶解度曲線にお
    ける圧力及び温度を降下方向へ変化させる軌跡が、気相
    側から上記溶媒の液相と気相及び溶質が共存する3相領
    域へ一旦入り、その後再び気相側へ出るように上記断熱
    膨張過程を制御することにより過飽和状態を経て異形状
    微粒子を形成することを特徴とする異形状微粒子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された異形状微粒子の製
    造を行なうにあたり、予め高温・高圧の超臨界状態若し
    くは亜臨界状態を形成しておき、この状態から圧力一定
    で温度のみを降下させて過飽和状態を形成し、その後圧
    力および温度を降下させつつ断熱膨張を行う請求項1記
    載の異形状微粒子の製造方法。
JP24686091A 1991-08-31 1991-08-31 異形状微粒子の製造方法 Withdrawn JPH05293352A (ja)

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