JP2772707B2 - 鋼の焼入れシミュレーション装置 - Google Patents

鋼の焼入れシミュレーション装置

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JP2772707B2 JP2140396A JP14039690A JP2772707B2 JP 2772707 B2 JP2772707 B2 JP 2772707B2 JP 2140396 A JP2140396 A JP 2140396A JP 14039690 A JP14039690 A JP 14039690A JP 2772707 B2 JP2772707 B2 JP 2772707B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は鋼の焼入れ過程における熱伝導、金属変態お
よび熱変形挙動を予測して最適な焼入れ条件を設定する
ことができる数値シミュレーション装置に関し、特に水
スプレー焼入れに適用して好適な装置に関する。
〔従来の技術〕
圧力水を処理品の表面に衝突させる水スプレー焼入れ
では、優れた冷却能力によって表面を高い焼入れと硬度
と圧縮残留応力(圧縮内部応力)を得ることができる。
この特徴を生かして機械部品への水スプレー焼入れ法の
適用が進められている。しかし、焼入れ条件の設定は依
然として試行錯誤によることが多い。もし焼入れ時の金
属組織や硬度分布さらには熱処理ひずみ(鉄鋼に所要の
性質を付与する目的で行う加熱と冷却のいろいろな組み
合わせ)や残留応力を予測することができれば試作コス
トの低減のみならず品質の定量的な把握にも大いに役立
つものと期待される。
一方、近年、コンピュータのコストパフォーマンスの
向上によって数値解析による現象解析が各方面で手軽に
行われるようになってきた。鋼の焼入れ過程についても
有限要素法を適用した研究が数多く進められてきてお
り、温度と金属変態の相互作用を考慮した応力解析や、
さらには温度・応力・相変態の連成場の解析が行われる
ようになってきた。また、最近では、応力場が相変態に
与える影響や変態塑性を考慮した解析も試みられてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、数値解析による現象解析を行うにあたって
は、複雑な計算を行うことは時間効率上望ましくなく、
最適な焼入れ条件を迅速に設定することができない。し
かも現象解析は高精度に行われることが望まれる。
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、
温度・応力・相変態の連成場の解析において応力が温
度、相変態に与える影響を無視した現象解析シミュレー
ションを行うことによって現象解析を高精度かつ迅速に
行うことができる装置を提供することをその目的として
いる。
〔課題を解決するための手段〕
そこでこの発明では、鋼の焼入れ条件を設定して焼入
れ中の鋼の物理量の変化をシミュレートする鋼の焼入れ
シミュレーション装置において、鋼の変態相の分布に応
じて鋼の温度分布を演算する温度分布演算式と鋼の温度
分布に応じて鋼の変態相の分布を演算する変態相分布演
算式とに基づき鋼の温度分布の変化および鋼の変態相の
分布の変化をそれぞれシミュレートする第1のシミュレ
ート部と、この第1のシミュレート部で得られる鋼の温
度分布の変化および鋼の変態相の分布の変化に基づいて
鋼の外部変形の変化および内部応力の変化をシミュレー
トする第2のシミュレート部とを有し、第1のシミュレ
ート部で得られた鋼の変態相の分布の変化に基づいて鋼
の硬度分布の変化を求め、この鋼の硬度分布の変化と第
2のシミュレート部で得られた鋼の外部変形、内部応力
の変化から鋼の焼入れ条件を最適に設定し直すようにし
ている。
〔作用〕
すなわち本発明では、まず第1に温度と相変態の連成
効果に注目して、第1のシミュレーション部では、鋼の
変態相分布を変化させて鋼の温度分布の変化を演算する
温度分布演算式と鋼の温度分布を変化させて鋼の変態相
の分布の変化を演算する変態相分布演算式とに基づき鋼
の温度分布の変化および鋼の変態相の分布の変化がそれ
ぞれシミュレートされる。すなわち、変態開始温度およ
び変態速度に与える応力の影響、塑性仕事による発熱の
影響等は無視できるものとし、応力の影響を除外してこ
れら温度分布、変態相分布の変化をシミュレートしてい
る。そして応力解析は温度と相変態の計算結果を受けて
行うことにした。すなわち、第2のシミュレート部で
は、第1のシミュレート部で得られる鋼の温度分布の変
化および鋼の変態相の分布の変化に基づいて鋼の外部変
形の変化および内部応力の変化をシミュレートしてい
る。このような第1、第2のシミュレーション部による
シミュレーションは迅速かつ高精度に行われる。こうし
て第1のシミュレート部で得られた鋼の変態相の分布の
変化に基づいて鋼の硬度分布の変化を求め、この鋼の硬
度分布の変化と第2のシミュレート部で得られた鋼の外
部変形、内部応力の変化から鋼の焼入れ条件が最適に設
定し直される。
〔実施例〕
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明す
る。この実施例では従来の研究を参考にして、温度・応
力・相変態の相互作用を考慮した有限要素法による解析
モデルを作成し、この解析モデルを高圧水スプレー焼入
れに適用するようにしている。この実施例では温度と相
変態の連成効果に注目し、連続冷却時の拡散型変態は微
少時間の等温変態(一定温度で起こる物質の変態)の和
で与えられるという加算則を適用するとともにマルテン
サイト変態速度については温度のみに依存するという実
験式を採用した。また、応力解析は温度と相変態の計算
結果を受けて行うことにした。このとき、変態開始温度
および変態速度に与える応力の影響、塑性仕事による発
熱の影響は無視できるものとし、変態塑性については周
知のデータを用いてその影響の程度を考察することにし
た。
さらにS35C中炭素鋼およびSNC815(3.23%Ni−1%C
r)合金鋼の丸棒を水スプレー焼入れした実験結果と計
算結果とを比較して焼入れ過程の予測技術としての可能
性について実施例の手法を評価した。以下、実施例のシ
ミュレーション装置で行われる解析の内容を1)から
5)に分けて説明する。
1)焼入れ過程のモデル化 一般の焼入れでは水、油等の冷却媒体が用いられる。
ここで適用しようとする水スプレー焼入れでは、冷却媒
体として水を使用し、この水を0.1〜5kg/cm2程度に高圧
化し、強烈に処理表面に衝突させるため、蒸気膜を除去
することが可能で高い冷却能が確保される。
一方、A3点(α鉄からγ鉄への転移点)以上に加熱保
持され、オーステナイトされた鋼を冷却するとフェライ
ト、パーライト、ベイナイト、マルテンサイト等の相変
態を生じ、どの変態がどの程度起こるかは鋼種と冷却速
度に依存する。また、冷却は収縮を、変態は膨脹を引き
起こし、収縮と膨脹の程度が処理品内部で均一でなけれ
ば応力分布が発生することになる。そして、発生した応
力が降伏点を越えると塑性変形が起こり、最終的に残留
ひずみ、残留応力が残ることになる。
第1図に焼入れ過程において生ずる温度・応力・組織
の関係を示す。金属組織は冷却の程度によって決まり、
相変態の連成効果を考慮することが重要である。また、
応力が負荷された状態で相変態が進行すると、その応力
の向きや大きさに影響されて、変態ひずみが変化すると
いう変態塑性現象も無視できないことが報告されてい
る。
そこで、実施例では第1図に示すように温度と相変態
の連成解析を行った後、その結果を受けて応力解析を行
うことにした。
2)熱伝導方程式 焼入れ過程の温度場を求めるときに必要な軸対称体の
非定常熱伝導問題の基礎方程式は、 ρC∂T/∂t=(k/r){(∂/∂r) (r∂T/∂r)+(∂/∂z)(r∂T/∂z) }+ …(1) となる。ただし、ρは密度、Cは比熱、Tは温度、tは
時間、kは熱伝導率、は発熱量である。
(1)式に T(r、z、t)=[N(r、z)]{Φ(t)} …(2) で定義される重み関数[N]を用いたガラーキン法に基
づく有限要素法(FEM)を適用する。ここでΦ(t)は
各節点における温度ベクトルである。すると(2)式
は、 ∫Ve[N][(k/r){∂/∂r(r∂T /∂r)+(∂/∂z)(r∂T/∂z)}+ −ρC∂T/∂t]r・dr・dr・dθ=0 …(3) となる。(3)式に部分積分方程式を適用し、境界面に
おいてフーリエの法則を適用すると、つぎのように各要
素についてのFEM非定常熱伝導方程式が得られる。
[k]{Φ}+[C]{∂Φ/∂t}={f} …(4) (4)式においてつぎの境界条件が課せられる。
すなわち、熱伝導がある場合は、 −k∂T/∂n=h(T−Tc) …(5) となり、断熱面の場合は、 −k∂T/∂n=0 …(6) となる。ここで、nは境界面での法線方向、hは熱伝達
係数、Tcは外部温度であり、最終的に[k]、[c]、
[f]は次式で与えられる。
[k]=∫Veλ{(∂[N]T/∂r)・(∂ [N]/∂r)+(∂[N]T/∂z)・(∂ [N]/∂z)}r・dr・dr+∫s1h[N][N]rds …(7) [C]=∫VeρC[N][N]r・dr・dz…(8) {f}=∫Ve[N]Tr・dr・dz−∫S1 Tc[N]Trds …(9) なお、有限要素には8節点アイソパラメトリック要素
を用い、4点によるガウス数値積分を採用することがで
きる。
また、焼入れ過程の鋼をオーステナイト、フェライ
ト、パーライト、ベイナイト、マルテンサイトの5つの
組織からなる混合体と考え、それぞれの体積分率をξ
とし、線形混合則が適用できるとすると、 Σξ=1.0 …(10) C=ΣCiξ …(11) ρ=Σρξ …(12) k=Σkiξ …(13) が成り立つ。また、相変態時の潜熱発生を考慮すれば、 =ρΣ(∂H/∂ξ)dξ …(14) と表すことができる。ただし、Hはエンタルピーであ
る。さらに(4)式の時間に対する離散化手法として次
式を用いた。
[(1/Δt)[c]+θ[k]]{Φn+1} =[(1/Δt)[c]−(1−θ)[k]]{Φ} …(15) θについてはZienkiewiczによるGalerkin法、θ=2/3
を採用することができる。
3)相変態による組織変化 フェライト、パーライト、ベイナイトの各変態は離散
型変態であると考え、Hawboltらの方法にならってそれ
らの変態速度を定式化した。すなわち、変態開始時間は
実測によって得られたCCT曲線から求める。実施例で取
り上げた2鋼種、S35C、SNC815についてのCCT曲線を第
2図に示す。変態が始まった後は等温変態速度を表すAv
ramiの式((16)式)を適用し、連続冷却時の変態挙動
が微少時間Δtに生じる等温変態の和として表せるもの
と仮定した。
X=1−exp(−b・tn) …(16) (16)式においてXは変態率、bは変態温度に依存し
た定数、nは変態相に依存した定数である。したがっ
て、b、nは等温変態速度の実測データから求められる
が、HawboltらによればAvramiの式におけるt=0を冷
却時に温度がTA3に達したときではなく、等温変態膨脹
が始まるわずかな手前(tAV)に定義すればnの温度依
存性は極めて小さくなり、各変態相に対して一律に決ま
るとしている。本研究で対象としたS35Cについては彼ら
が詳細に測定したデータをそのまま採用することにし
た。(第3図中S35Cのフェライト、パーライト)。
一方、このような詳細な実測データはすべての鋼種、
すべての相変態について求められているわけではなく、
等温変態速度を知るにあたって、現実的に入手可能なも
のは従来から多くの蓄積のあるTTT曲線であろう。すな
わち、変態速度の詳細データの測定を進めると同時に既
存TTT曲線を使った一般解析の可能性を探ることも十分
に意味があるものと考えられる。そこで、ここではS35C
のベイナイト変態、SNC815のフェライト、ベイナイト変
態について既存のTTT曲線からつぎのようにbonを決め
た。
すなわち、TTT曲線からある温度において(X1
t1)、(X2、t2)、(X3、t3)の3点を得ることができ
れば、それらの間にAvramiの式が成り立つものとして、 n[1n{t3−tAV}/(t2−tAV)]= 1n[1n(1−X3)/1n(1−X2)]=A1 …(17) n[1n{t3−tAV}/(t1−tAV)]= 1n[1n(1−X3)/1n(1−X1)]=A2 ……(18) となる。さらに(17)、(18)式より、 A21n{(t3−tAV)/(t2−tAV)} −A11n[(t3−tAV)/(t1−tAV)] …(19) となる。(19)式を満足するtAVをニュートン法等によ
って求め(17)式、または(18)式に代入することによ
ってnを得、さらに(16)式によってbを得ることがで
きる。このときnの値は各相変態において必ずしも一定
値とならないが、その平均値を採用して再度bを求める
ことにした。このようにして求めたb、nを第3図に示
す。ここで、SNC815もついては焼入れの場合の冷却時間
を考えるとほとんどパーライトは現れないことからノー
ズ温度以上ではすべてフェライト変態として扱うことに
した。文献によるTTT曲線と、ここで求めたAvramiの式
を比較したのが第4図である。これより特に焼入れ時に
問題となる短時間側で両者はよく一致しているのがわか
る。
焼入れ時にCCT曲線から判断して変態が開始した場
合、その後のj番目の時刻における変態率XjをAvramiの
式から次のように計算する。
Δt前のXj−1と温度Tjより t′[1n(1/(1−Xj-1))/b(Tj)]1/n …(20) これを(16)式に代入して、 Xj=1−exp[−b(Tj)・(t′+Δt)] …(21) したがって、この時の変態率の微少増加量は ΔX=Xj−Xj-1 …(22) となる。(22)式と(14)式からを求め、(4)式の
熱収支の式を満足するまで収束計算を行う。
また、マルテンサイト変態については変態速度は温度
のみに依存するものとして、KoistineとMarburgerらが
実験的に求めた次式を用いて変態量を計算することにし
た。
X=1−exp[−0.011(Ms−T)] …(23) ここでMsはMs点であり、第2図のCCT曲線の中で示し
たものを用いた。
以上の方法によって、ここで取り上げたS35C、SNC815
だけでなく、種々の鋼種に対して従来から蓄積されたCC
T曲線とTTT曲線をベースに焼入れ時の変態速度を計算す
ることが可能である。
4)熱弾塑性応力解析 この実施例において焼入れ過程の熱弾塑性応力解析の
定式化を行うにあたり、まず時間に依存した変形、すな
わち粘性的な挙動は無視できるものと仮定した。これは
焼入れ過程が短時間で終了することによるものである。
さらに温度と組織の分布が変化することによって生じる
初期ひずみと機械的性質への影響を考慮し、岡村らが採
用した山田らの方法(いわゆるrmin法)によって、熱弾
塑性挙動を計算することにした。
応力とひずみの増分関係を示すマトリックスを[D]
とし、弾性の場合には[De]、塑性の場合には[DP]と
表すとして、応力とひずみの関係式はつぎのようにな
る。
{dσ}=[D]{dε−dε} …(24) ここで{dσ}は応力増分、{dε}は全ひずみ増
分、{dε}は熱ひずみおよび変態ひずみ増分等によ
る初期ひずみ増分である。
全ひずみ増分は一般に {dε}={dε}+{dεth}+{dεtr} +{dε}+{dεtp} …(25) と表せられる。ここで{dε}は弾性ひずみ増分、
{dεth}は熱ひずみ増分、{dεtr}は変態ひずみ増
分、{dεtp}は変態塑性ひずみ増分である。
弾性挙動を示す場合、ある応力状態{σ}に達してい
る要素のヤング率、すなわち[De]マトリックスが温度
および組織によって変化した場合の弾性ひずみ増分は、 {dε}=[De-1{dσ}+{∂[De-1/ ∂T}{σ}dT+Σ{∂[De-1/∂ξ} {σ}dξ={dεe′}+{dεth′} +{dεtr′} …(26) となる。また、熱ひずみ増分[dεth]は熱膨脹係数の
温度および組織への依存性を考慮して、 {dεth}={αdT+Σ(∫αidT)dξ} …(27) となる。ただし、α=Σξα …(28) である。αは組織のiの熱膨脹係数、ξは各組織の
体積分率である。
さらに変態ひずみ増分はβのオーステナイト相から
i相へ変態する場合の変態膨脹係数をするとつぎのよう
にようになる。
{dεth}={Σβi} …(29) 変態塑性現象の残留ひずみ・応力に対する影響を考察
することにした。すなわち、 {dεth}=Σ{3/2Kih′(ξ)d ξ・σ′} …(30) ここで{σ′}は偏差応力、h′(ξ)=は2
(1−ξ)であり、Kiは各変態に対して実験的に求め
られる定数である。ここではKiに宮尾らがCSNM420HKC
(1.8%Ni−0.6%Cr−0.25%Mo)について測定したつぎ
のデータをそのまま用いることにした。
2〜4=4.18×10-5(1/MPa) (フェライト、パーライト、ベイナイト) K5=5.08×10-5(1/MPa) (マルテンサイト) …(31) つぎに降伏関数fが f=f(σ、ε、T、ξ) …(32) で与えられたものとすると、 f=0 …(33) を満足するときに材料は降伏する。降伏関数fを塑性ポ
テンシャルとし、流れ則を適用することによって、塑性
ひずみ増分{dε}は、つぎのように与えられる。
{dε}=λ{∂f/∂σ} …(34) ここではλは正のスカラー定数である。さらに塑性変
形が進行する状態においてはつぎの条件を満足しなけれ
ばならない。
O=df={∂f/∂σ}{dσ}+{∂T/∂ε {dε}+(∂f/∂T)dT+Σ(∂f/∂ξ)dξ …(35) また、この場合の全ひずみ増分は(25)、(26)式よ
り {dε}={dε}+{dεth′}+{dεtr′} +{dεth}+{dεtr}+{dε}+{dεtp} …(36) となり、(34)、(35)、(36)式よりλはつぎのよう
になる。
λ={∂f/∂σ}[De]({dε}−{dεth′} −{dεth′}−{dεth}−{dεtr} −{dεtp})/({∂f/∂σ}[De]{∂f/∂σ} −{∂f/∂ε{∂f/∂σ}) …(37) (37)式を用いて塑性状態での応力増分はつぎのよう
に表せられる。
{dσ}=[DP]{dε}−[DP]{αdT +Σ(β+∫αidT)dξ}−[DP] ((∂[De-1/∂T){σ}dT+Σ(∂ [De-1/∂ξ){σ}dξ) −a[De]{∂f/∂σ}((∂f/∂T)dT +Σ(∂f/∂ξ)dξ)/S …(38) ただし、 [DP]=[De]−[De]{∂f/∂σ} {∂f/∂σ}[De]/S …(39) S={∂f/∂σ}[De]{∂f/∂σ} −{∂f/∂ε{∂f/∂σ} …(40) a=1 …(41) 塑性域にある材料が除荷される場合には(37)式のλ
が負の値を取る。
λ<0 …(42) これが除荷判定の条件であり、除荷を受けた場合は
(38)式に代わって弾性状態の式を使用しなければなら
ない。弾性状態では(38)式において[DP]が[De
に、a=1がa=0になる。
また、ここでは降伏関数にミーゼスの降伏関数を用
い、等方硬化を仮定した。したがって、σを降伏応力
として、 f=−σY 2 …(43) =3/2{(σ−σ+(σθ−σ +(σ−σ+2τr2 2} …(44) となる。さらに材料の加工硬化については、つぎのよう
な線形硬化則を用いた。
σ=Σ(σYOi(T)+Hi′(T))ξ …(45) ここでHi′(T)は温度Tにおける組織iのひずみ硬
化率である。
有限要素法による定式化については、仮想仕事の原理
に応力ひずみの関係式を適用し、さらにひずみと変位を
結びつける[B]マトリックスを用いることによって、
最終的に次のような要素の平衡方程式が得られる。
[k]{d}={f1}+{f2}+{f3} +{f4} …(46) [k]=∫Ve[B][D][B]dv …(47) {f1}=∫Ve[B][D]((∂[De-1 /∂T){σ}dt+Σ(∂[De-1/∂ξ) {σ}dξ)dv …(48) {f2}=∫Ve[B][D]{dt+Σ (β+∫αidt)dξ}dv …(49) {f3}=∫Ve[B][D](Σ3Ki (1−ξ)dξ{σ′})dv …(50) {f4}=aVe[B](3/2σS) [De]{}{(∂f/∂T)dT+Σ(∂f /∂ξ)dξ}dv …(51) ここで{d}は節点変位である。
熱塑性解析の数値解法については前述したようにrmin
法を用いた。すなわち、今、温度T=T1から温度変化Δ
Tが生じ、弾性から塑性へ変化する要素がいくつか存在
する場合、一番最初に降伏する要素に対してその要素が
丁度降伏点に達するような温度増分、 ΔT′=rmin・ΔT (rmin≦1.0) …(52) をまず与える。rminは塑性域に変化する全要素のr(次
式)の最小値から求めることができる。
r=[f/({∂f/∂σ}{dσ}+(∂ f/∂T)dT+Σ(∂i/∂ξ)dξ)]T1 …(53) ΔT′によって要素が1つだけ降伏し、塑性状態に変
化する。その後、さらに次の要素が丁度降伏するような
温度増分を同様の手続によって与える。このとき既に降
伏している要素については除荷が起こらないかどうか、
λの正負を判定する。除荷が起これば、その要素は弾性
状態に戻して再度計算し直す必要がある。以上のように
rmin法では除荷に注意して、1つずつ要素を降伏させな
がら温度変化のΔTでの全過程の応力増分を計算する。
5)熱弾塑性応力解析プログラムの検証 ここで開発した熱伝導および弾塑性応力解析プログラ
ムの信頼性を確認するためにW.Mitterらが行った純鉄丸
棒(φ50×300H)の水焼き入れ問題の解析を試みた。彼
らは、この丸棒を850℃まで加熱した後、氷水中に焼き
入れ、残留応力分布をSacks法によって測定している。
さらに、一般化平面ひずみ問題による熱弾塑性解析から
のSacks法の測定制度について考察を加えている。ここ
では彼等の物性値をそのまま使い、軸対称モデルとして
残留応力分布を計算した。結果を第5図に示す。この例
では相変態はともなわず、熱ひずみのみによって最終的
な残留応力分布が決まるが、ここでの計算結果は彼の結
果とよく一致していると考えられる。また、本プログラ
ムは節点数の制限があるもののPCで実行可能であり、こ
の例でも大型計算機とPCで同様の結果が得られた。
以下、6)、7)では水スプレー焼き入れの実験結果
について説明する。
6)実験条件 本実験に使用した水スプレー焼き入れ装置は大きく分
けて冷却水を加圧するためのアキュムレータ、焼入れ
槽、ポンプおよびバルブの4つの部分から構成されてい
る。また、直接水が噴射される焼入れ用ジャケットには
直径3mmの穴が数百個規則正しく開けられており、均一
な冷却が実現されている。
実際に焼入れたのは直径75mm、高さ180mmの丸棒であ
り、材質はS35CとSNC815の2種類である。オーステナイ
ト温度は880℃として1.5時間窒素雰囲気中で等温保持後
に水スプレー焼入れし、焼入れ前後の寸法差から焼入れ
ひずみを測定するとともに高さ中心および上端から20mm
の高さ位置の表面における残留応力をX線回折法によっ
て測定した。また、S35Cについては熱電対を3カ所に挿
入し温度変化を実測するとともに比較のために相変態を
ともなわない温度範囲である650℃からの焼入れ実験も
行った。なお、ここで使用したスプレー冷却の圧力は0.
2kg/cm2で水量密度に換算すると約1.1×104(1/m2・mi
n)となる。
7)計算に使用した熱および機械的性質 精度のよい計算結果を得るためには、温度および組織
に依存した熱物性値および機械的性質をより正確に知る
ことが重要であるが、ここでは文献および実測から得ら
れた次のような値を用いることにした。
a)密度、比熱、熱伝導率 第6図に文献により得られたS40C炭素鋼、3.5%Ni−
1%Cr鋼および18−8ステンレスハガネの熱物性値を示
す。本計算ではS35Cへ図6のS45Cの値を、SNC825は3.5
%Ni−1%Cr鋼の値をそれぞれ適用することにした。
b)熱伝達係数 ここで扱う水スプレー焼入れでは、焼入れた瞬間に処
理品表面温度が水温近くまで下がること、また、強い衝
突噴流のため蒸気膜が高温でも生じにくいことから計算
におえる熱伝達係数を温度によらず一定値として捕らえ
ることにした。
その具体的な値についてはノズル径とノズル物体間距
離に大きく依存するとして整理された衝突噴流の熱伝達
係数に関する実験式を用いて見積もった。すなわち、平
板に垂直に衝突する噴流の場合、つぎの実験式が報告さ
れている。
NUB=1.42Pr0.43ReB 0.58(H/B)−0.62 …(27) ただし、H/B>8では、Hはノズル物体間距離、Bは
ノズル径、ReB=u・B/ν、uは速度、νは動粘性係
数、Prはプラントル数、NUB=k・B/λ、hは熱伝達係
数であり、ここでのH、Bの値よりh=0.832cal/cm2
s・℃が得られる。
c)熱膨脹係数 熱膨脹係数は同一材料でも各温度、組織によって値が
異なることが予想される。ここでは各種礼媒によって冷
却温度をコントロールできる膨脹計を用いて、オーステ
ナイト化後の連続冷却時および各組織へ等温変態させた
後の冷却時における熱膨脹曲線を測定した。その結果、
オーステナイト域での熱膨脹係数は他の組織と明らかに
異なった値を示すが、パーライト、ベイナイト、マルテ
ンサイトではほぼ同一の値となり、温度のみの関数とし
て表せることがわかった。
測定生データを第7図に示す。
このデータをもとに計算で用いる熱膨脹係数および変
態膨脹率を第8図のように決めた。ただし、第8図の変
態温度は模式的に示したもので、実際には冷却速度とCC
T曲線およびTTT曲線からか決まることになる。
d)ヤング率、降伏応力、歪硬化係数 中炭素鋼(S45C)とSNC815の機械的性質については井
上ら、岡村らの報告がある。ここでは彼らの報告から第
9図のような値を用いることにした。S35CとSNC815を比
較した場合、マルテンサイト域での降伏応力、歪硬化係
数に大きな差があることを考慮しているが、他の組織で
は同一の値を用いている。
つぎに1)〜5)に説明したシミュレーションによる
計算結果と6)、7)に説明した実験結果とを比較す
る。すなわち、温度変化、組織および硬度分布さらには
焼入れ歪、残留応力について実測値と計算値を比較し、
計算モデルの予測精度について検討してみる。
8)温度履歴および金属組織 S35C円柱の高さ中心断面における表面から深さ10mm、
30mm、さらに回転対称軸上の城面から深さ30mmの位置に
おける温度変化の実測値(実線)と計算結果(破線)を
第10図に示す。これより両者はよく一致していることが
わかる。
つぎに金属組織と硬度分布の実測および予測結果を第
11図に示す。SNC815では、ほぼ全域がマルテンサイトと
して予測されるのに対し、S35Cでは表面から3mm程度の
みがマルテンサイトで中心に向かうにつれてベイナイ
ト、フェライト、パーライトの混合組織が予測された。
一方、実測された硬度分布は。この予測結果を裏付ける
ものとなっており、水スプレー焼入れでは通常の水焼入
れよりも硬化層が厚いことがわかる。また、従来から冷
却速度と硬度分布を関係ずける実験データが数多く蓄積
されているが、ここでは、British Steer Co.による
データの上に計算によって得られた冷却速度をあては
め、硬度分布を予測した。その結果を第11図下段の破線
で示すが実測値とよく一致していることがわかる。実際
にこの方法を種々の鋼種に適用するにはHバンドを考慮
して事前に冷却速度と硬度分布の関係を測定しておく必
要があるが、このような方法によって簡便に硬度分布の
傾向を知ることは可能であろう。実用性について今後検
討していきたい。
9)熱処理ひずみおよび残留応力 焼入れ過程において、温度変化と相変態、さらには変
形と内部応力分布の変化が同時に進行するが、第12図お
よび第13図にS35CとSNC815の丸棒におけるそれらの予測
結果をまとめた。(第12図および第13図ではすべて軸対
称断面の1/2の結果を表示している。) S35Cで、表層部にマルテンサイトが完全に形成される
までは表面付近に引張り応力、内部に圧縮応力が予測さ
れ、変形はたいこ状になっている。これはすでに多くの
研究で考察されているように、冷却初期の表面と内部の
温度差の拡大過程では表面の収縮が中心部より大きく、
閉じた容器に内圧を加えたのと同様に状態になることに
より起こるものと考えられる。SNC815に比較してS35Cで
は中心部付近にフェライト、パーライト相が生成された
後の冷却がわずかに早いこと、また、マルテンサイトの
生成量が少なく10秒程度で終了することが予測された。
一方、SNC815でも、S35Cとほぼ同じ変形挙動を示す。
すなわち、表面近くにマルテンサイトが生成された後、
表面に圧縮、中心に引張りの内部応力を商事、内部の冷
却にともなってつつみ変形が進む。されらに冷却が進行
し、内部がマルテンサイト変態を始め膨脹を開始すると
表面に引張り方向の応力、内部に圧縮応力が働くが、先
の応力分布を相殺するにはいたらず、結局、やはり表面
に圧縮、内部に引張り応力が残留する。ここで、マルテ
ンサイトの変態膨脹がフェライトやパーライトのそれよ
りも大きいため冷却の途中から生じるつつみ変形量はS3
5Cよりも大きく、最終的な熱処理ひずみは大きくなる。
第14図に焼入れ後の変形量の実測値と計算値の比較を
示す。650℃からの焼入れの場合は相変態がなく、熱ひ
ずみのみが変形に影響を与え、最終的にたいこ状の変形
が残る。一方、変態をともなう場合はつつみ状の変形と
なり変形量も大きい。
また、第14図(b)、(c)の計算結果において、変
態塑性歪を考慮に入れた場合と入れない場合では、コー
ナー部分の変形にやや違いが認められるが、ほぼ同一の
変形状態を示していることがわかる。
第15図および第16図に計算による残留応力分布とX線
回折法により得た表面での残留応力値を示す。第15図に
おいて、650℃から焼入れたS35Cの場合(a)でも、40k
g/mm2程度の圧縮残留応力が表面に残っているのがわか
る。また、(b)、(c)、(a)の順に表面の圧縮応
力は小さくなり、その傾向は計算結果でもよく説明でき
ている。第16図では高さ方向、中心断面の半径方向にお
ける残留応力分布の予測結果を示したが、(a)〜
(c)のいずれの場合でも中心部で引張り、表面部で圧
縮応力となっている。S35Cの850℃からの焼入れの場
合、変形塑性を考慮した場合としない場合に計算結果に
大差はなかったが、SNC815の場合は内部の残留応力に対
して変態塑性の影響が大きく現れている。これは冷却後
期に内部が一斉にマルテンサイトに変態したとき、変態
塑性現象によって応力緩和が進んだことによるものと考
えられる。変態塑性現象を考慮に入れた解析と、無視し
た解析結果を比較すると、中炭素鋼丸棒では、マルテン
サイト量の多いコーナー部分でNi−Cr合金丸棒では冷却
後期に一斉にマルテンサイトが生成する内部において残
留応力分布に違いが認められた。焼入れ時に変形挙動を
より正確に把握するためには応力と相変態の相互作用を
定量的に把握することが必要であることがこの場合も確
認された。しかしながら、焼入れ変形の程度、中炭素鋼
の残留応力分布については、変態塑性現象を考慮しない
数字モデルでも工業的に十分な精度で予測が可能である
ことが考えられる。
以上説明したように実施例によれば連続冷却時、CCT
曲線から変態開始点を求めた後、拡散型変態では等温変
態の加算則から、またマルテンサイト変態では温度のみ
の関数によって、変態速度を計算した。この数学モデル
によって鋼の丸棒の水スプレーの焼入れ時の温度分布変
化と組織(変態相)分布変化を予測した結果、実験値と
の良好な一致をみた。ここに温度分布変化と変態相分布
変化は応力の影響を除外した演算式によって計算される
ので迅速に求められる。そしてこの予測した変態相分布
変化に基づいて硬度分布の変化が求められる。同時に、
熱弾塑性応力解析によって求めた焼入れ歪および残留応
力分布は実験結果に比べ妥当な値を示すことが確認され
た。このように実施例によれば焼入れ時の硬度分布変化
並びに焼入れ歪(外部変形)の変化、残留応力分布の変
化が迅速かつ高精度で求められる。このため求められた
各分布の変化から焼入れ条件、つまり水圧、冷却媒体の
種類、冷却媒体の温度、鋼の材質を最適なものに決定す
ることができる。
なお、実施例では鋼を丸棒としてシミュレーション解
析するようにしているが、実施例に示した説明に基づき
一般形状の鋼に対しても容易に実施可能であることは明
らかである。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば鋼の焼入れシミュ
レーションを迅速かつ高精度に行うことができ、これに
より鋼の焼入れ条件の最適な設定をサイクルタイムよく
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に適用される原理を説明する図で、温
度、組織、応力の相互作用を示す概念図、第2図(a)
はS35Cの連続冷却変態線図で、同図(b)はSNC815の連
続冷却変態線図、第3図はAvramiの式のb、nを示すた
めに用いた温度と1nbの関係を示すグラフ、第4図はSNC
815の等温変態線図、第5図は純鉄丸棒の焼入れ後の残
留応力の丸棒半径方向に対する変化の様子を示すグラ
フ、第6図は実施例の計算に用いた熱物性値(密度、比
熱、熱伝導率)と温度にの関係を示すグラフ、第7図は
S35C各相の熱膨脹係数と温度の関係を示すグラフ、第8
図は実施例の計算に用いた温度と線膨脹率との関係を示
すグラフ、第9図は実施例の計算に用いた機械的性質
(ヤング率、降伏応力、歪硬化係数)と温度の関係を示
すグラフ、第10図はS35C丸棒の水スプレー焼入れ時の温
度変化の様子を示すグラフ、第11図は水スプレー焼入れ
された丸棒高さ中心断面の金属組織の予測結果および硬
度分布の実測値と計算値を比較したグラフ、第12図はS3
5C丸棒の水スプレー焼入れ時の計算結果を示すグラフ
で、同図(a)は温度分布の変化の様子を示す図、同図
(b)は外部変形の変化の様子を示す図、同図(c)は
変態組織の変化の様子を示す図、同図(d)は内部応力
の変化の様子を示す図、第13図はSNC815丸棒の水スプレ
ー焼入れ時の計算結果を示すグラフで、同図(a)は温
度分布の変化の様子を示す図、同図(b)は外部変形の
変化の様子を示す図、同図(c)は変態組織の変化の様
子を示す図、同図(d)は内部応力の変化の様子を示す
図、第14図は水スプレー焼入れ後の変形の様子グラフ
で、同図(a)、(b)、(c)はそれぞれ加熱温度を
650℃とした場合のS35C丸棒、加熱温度を880℃とした場
合のS35C丸棒、加熱温度を880℃とした場合のSNC815丸
棒に関するグラフ、第15図は表面の残留応力分布の実測
値と計算値の比較を示すグラフで、同図(a)、
(b)、(c)はそれぞれ加熱温度を650℃とした場合
のS35C丸棒、加熱温度を880℃とした場合のS35C丸棒、
加熱温度を880℃とした場合のSNC815丸棒に関するグラ
フ、第16図は丸棒高さ中心断面の残留応力分布の計算結
果を示すグラフで、同図(a)、(b)、(c)はそれ
ぞれ加熱温度を650℃とした場合のS35C丸棒、加熱温度
を880℃とした場合のS35C丸棒、加熱温度を880℃とした
場合のSNC815丸棒に関するグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼の焼入れ条件を設定して焼入れ中の鋼の
    物理量の変化をシミュレートする鋼の焼入れシミュレー
    ション装置において、 応力の影響を除外して鋼の変態速度を求める演算式を設
    定し、前記演算式に基づき鋼の変態速度を演算し、この
    演算結果に基づき、鋼の温度分布の変化と鋼の変態相の
    分布の変化をそれぞれシミュレートする第1のシミュレ
    ート部と、 この第1のシミュレート部で得られる鋼の温度分布の変
    化および鋼の変態相の分布の変化を、熱弾塑性応力解析
    することにより鋼の外部変形の変化および内部応力の変
    化をシミュレートする第2のシミュレート部と を有し、第1のシミュレート部で得られた鋼の変態相の
    分布の変化に基づいて鋼の硬度分布の変化を求め、この
    鋼の硬度分布の変化と第2のシミュレート部で得られた
    鋼の外部変形、内部応力の変化から鋼の焼入れ条件を最
    適に設定し直すようにした鋼の焼入れシミュレーション
    装置。
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