JP6601762B2 - 鋼の熱処理シミュレーション方法および鋼の熱処理シミュレーションプログラム - Google Patents

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Description

この発明は、鋼の熱処理時のシミュレーションを行う鋼の熱処理シミュレーション方法および鋼の熱処理シミュレーションプログラムに関するものである。
鋼においては、材料に所要の機械的性質を付与するために様々な熱処理(焼ならし、焼入れ、焼戻し)が施される。大型化により熱処理時に生じる応力が増加し、割れや変形などの要因となることが懸念されるため、熱処理により生じる応力を数値解析により把握しておくことは工程設計を行ううえで非常に有用である。
熱処理の冷却中に生じるひずみ及び応力の解析手法に関する研究は古くから数多く行われている。例えば、特許文献1では、直径75mm、高さ180mmの丸棒を水スプレー焼入れした場合において熱処理によるひずみを精度よく解析することのできる熱処理シミュレーション方法が提案されている。また、特許文献2では、歯車を焼入れした時のひずみを精度よく推定するシミュレーション方法が提案されている。
従来、熱処理中のひずみを精度良く推定するため、弾性ひずみ、塑性ひずみ、熱ひずみに加えて、変態ひずみや変態塑性ひずみを全ひずみに含めることが検討されている。
特開平4−32753号公報 特開2003−194754号公報
しかし、上述の研究は、比較的小型部材の焼入れ冷却過程を対象としており、大型鍛鋼品を扱った例は見られない。大型鍛鋼品では、加熱・冷却過程が長時間となる特徴があり、特に焼ならし処理では空冷が行われるため、水冷や油冷が行われる焼入れ処理に比較してその冷却速度はさらに遅くなる。この冷却速度の差異により、冷却中に生じる応力の変化や冷却後の残留応力の分布が大きく異なるため、従来のシミュレーション方法では大型鍛鋼品のひずみおよび応力を精度良く求めることができないという課題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、大型鍛鋼品の熱処理においてもひずみ及び応力を精度よく解析することのできるシミュレーション方法およびシミュレーションプログラムを提供することを目的としている。
本発明の鋼の熱処理シミュレーション方法のうち、第1の形態の発明は、
500mm以上の肉厚を有する鋼の熱処理シミュレーション方法であって、
前記鋼の材料データとして鋼の各相および各温度における物性値を用いて、有限要素モデル中の各節点における温度の時間変化を有限要素法によって計算する熱伝導解析を行い、
前記熱伝導解析で得られた各節点の温度を温度荷重として、前記鋼の材料データとして鋼の物性値を用い、各要素の積分点におけるひずみ量として、少なくとも変態塑性ひずみとクリープひずみとを算出し、これらの和に基づいて、少なくとも応力と歪みの関係を支配方程式にして、前記鋼の内部応力の変化を計算する弾塑性応力解析を行い、さらに各節点の前記弾塑性応力解析の終点の結果に基づいて応力増分とひずみ増分の関係を表すコンシステント接線係数を算出することを特徴とする。
第2の形態の鋼の熱処理シミュレーション方法の発明は、前記形態の本発明において、
前記熱伝導解析の材料データの物性値として、鋼の各相および各温度における比熱、密度、熱伝導率と、境界条件として熱処理時の熱伝達率とを用い、
前記弾塑性応力解析の材料データとして、鋼の各相および各温度における弾性係数、ポアソン比、硬化曲線を用い、前記温度荷重、前記弾性係数、前記ポアソン比、前記硬化曲線を用いて、各要素の積分点におけるひずみ量を、弾性ひずみ、塑性ひずみ、熱ひずみ、変態ひずみ、変態塑性ひずみ、クリープひずみとして算出することを特徴とする。
第3の形態の鋼の熱処理シミュレーション方法の発明は、前記形態の本発明において、前記熱伝導解析における材料データとして、初期の温度分布をさらに用いることを特徴とする。
第4の形態の鋼の熱処理シミュレーション方法の発明は、前記形態の本発明において、前記熱伝導解析において、冷却時の各相および各温度における材料データを予め測定し、該データを用いて各温度における各相の体積分率から線形混合則を適用して熱伝導解析を行うことを特徴とする。
第5の形態の鋼の熱処理シミュレーション方法の発明は、前記形態の本発明において、前記弾塑性応力解析において、冷却時の各相および各温度における材料データを予め測定し、該データを用いて各温度における各相の体積分率から線形混合則を適用して熱伝導解析を行うことを特徴とする。
本発明の鋼の熱処理シミュレーションプログラムのうち、第1の形態の発明は、
表示部と、操作入力を受ける操作部と、を有する熱処理シミュレーション解析装置を制御する制御部であって、
熱伝導解析のために、500mm以上の肉厚を有する鋼の材料データとして鋼の各相および各温度における物性値を取得する際に、少なくとも一つの測定値を前記操作部を通して取得する熱伝導データ取得ステップと、
前記熱伝導データ取得ステップで得たデータを用いて、有限要素モデル中の各節点における温度の時間変化を有限要素法によって計算する熱伝導解析ステップと、
弾塑性応力解析のために、前記鋼の材料データとして鋼の各相および各温度における物性値を取得する際に、少なくとも一つの測定値を前記操作部を通して取得する弾塑性データ取得ステップと、
各節点の温度を温度荷重として、前記弾塑性データ取得ステップにおける各要素の積分点におけるひずみ量として、少なくとも、変態塑性ひずみとクリープひずみとを算出して、これらの和に基づいて、少なくとも応力と歪みの関係を支配方程式にして、前記鋼の内部応力の変化を計算する弾塑性応力解析ステップと、
各節点の前記弾塑性応力解析の終点の結果に基づいて応力増分とひずみ増分の関係を表すコンシステント接線係数を算出するステップと、を有し、
前記内部応力の変化に基づいて、ひずみまたは/および応力を、前記表示部に表示する表示ステップと、を有することを特徴とする。

第2の形態の鋼の熱処理シミュレーションプログラムは、前記形態の発明において、熱伝導データ取得ステップで、鋼の材料データの物性値として鋼の各相および各温度における比熱、密度、熱伝導率と、境界条件として熱処理時の熱伝達率の物性値を取得し、
弾塑性データ取得ステップで、前記鋼の材料データの物性値として鋼の各相および各温度における弾性係数、ポアソン比、硬化曲線を取得し、
弾塑性応力解析ステップでは、前記弾塑性データ取得ステップにおける各要素の積分点におけるひずみ量を、弾性ひずみ、塑性ひずみ、熱ひずみ、変態ひずみ、変態塑性ひずみ、クリープひずみを算出し、これらの和に基づいて前記鋼の内部応力の変化を計算することを特徴とする。
以上述べたように、本発明により大型鍛鋼品においても熱処理した際のひずみや応力を精度良く推定することができる。
本発明の一実施形態における材料構成則の手順を示すフロー図である。 同じく、リターンマッピングを説明する図である。 同じく、熱伝導解析結果の例を示すグラフである。 同じく、部材寸法と外表面における周方向残留応力の関係を示すグラフである。
本実施形態では、熱伝導解析用の有限要素モデルに、材料データとして鋼の各相・各温度における比熱、密度、熱伝導率を入力し、境界条件として熱伝達率を入力し、有限要素モデル中の各節点における温度の時間変化を計算する熱伝導解析部を有する。
弾塑性応力解析用の有限要素モデルに、熱伝導解析で得られた各節点の温度を温度荷重として入力し、材料データとして鋼の各相・各温度における弾性係数、ポアソン比、硬化曲線を入力し、各要素の積分点におけるひずみ量を弾性ひずみ、塑性ひずみ、熱ひずみに加えて、変態ひずみ、変態塑性ひずみ、クリープひずみの和として求め、鋼の内部応力の変化を計算する弾塑性応力解析部を有する。
熱伝導解析部と弾塑性応力解析部の実現は、CPUとこれを動作させるプログラムとによって行うことができる。
変態挙動
鋼をオーステナイト相(γ相)から冷却すると、フェライト・パーライト、ベイナイト、マルテンサイト等のα相に相変態が生じる。オーステナイト相から所定の冷却速度で冷却した時の鋼の寸法変化を測定することで、冷却条件に応じた変態挙動を算出することができる。
マルテンサイト変態であれば変態挙動は温度のみの関数で表すことができ、式(1)に示すKoistinen−Marburger則が知られている。ベイナイト変態等の拡散型変態では変態挙動は温度と時間の関数で表され、式(2)に示すJohnson−Mehlの式が知られている。
Figure 0006601762
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ここで、ξは各相の体積率、Tは温度、Msはマルテンサイト変態開始温度、tは時間、Kは温度の関数、nは定数である。
熱伝導解析
物体の熱伝導方程式は、式(3)で表すことができ、材料物性値(比熱、密度、熱伝導率)の他に、初期条件(初期の温度分布)と境界条件(熱伝達率など)を与えることで解くことができる。例えば、一次元半無限体が一様な温度T0で保持され、表面温度がTsとなった場合には、式(3)は、式(4)と簡単に表され、内部の温度分布は式(5)のように求まる。
複雑な形状では有限要素法を用いて解くことができ、汎用FEMコードとしては、例えば、ABAQUS(登録商標)やANSYS(登録商標)等を用いることができる。
冷却時の材料物性値は温度及び相変態によって変化するが、所定の冷却速度で生じる各相(γ相、α相)の各温度における物性値をあらかじめ測定し、各温度における各相の体積分率から線形混合則を適用して求めることができる。熱伝導解析用の物性値および変態潜熱による比熱の変化量は式(6)に示され、添え字のiは各相を表している。
例えば、密度はアルキメデス法を、比熱は断熱連続法及びレーザーフラッシュ法を、熱伝導率はレーザーフラッシュ法などを用いて測定することができる。また、冷却時の変態潜熱はDSC法(示差走査熱量測定法)で測定した値を用いることができる。
但し、本発明としては、物性値の測定方法が特定のものに限定されるものではなく、既知の方法を用いることができる。
Figure 0006601762
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ここで、Tは温度、ρは密度、cは比熱、λは熱伝導率、Qは発熱量、tは時間、xは端部からの距離である。
Figure 0006601762
弾塑性応力解析
弾塑性応力解析における支配方程式は、応力とひずみの関係(材料構成則)、変位とひずみの関係、仮想仕事の原理で表され、それぞれ式(7)に示される。式(7)から要素剛性マトリックス及び剛性方程式が導かれ、例えば平面応力状態における三角形要素に外部荷重が作用する場合では式(8)及び式(9)で表される。
材料の物性値及び外部荷重と境界条件の下で剛性方程式を解いて変位量を求め、変位量からひずみ及び応力を求めることができる。
材料構成則における全ひずみ増分を式(10)に、構成則における処理方法の模式図を図1に示す。変態塑性ひずみには、式(10)に示すDesalosの式以外にも、Abrassartの式などを用いることができる。クリープひずみには、式(10)に示すNorton則以外にも、Bailey−Norton則などを用いることができる
図1に示す材料構成速の内容を具体的に説明する。
はじめに、現ステップと次ステップにおける温度の差から熱ひずみ増分が計算される(ステップs1)。次いで、変態温度域かの判定がなされる(ステップs2)。現ステップにおける温度が変態温度域内の場合(ステップs2、Yes)には、相変態の進行によって生じる変態ひずみ増分と変態塑性ひずみ増分が計算される(ステップs3)。全ひずみから、非弾性ひずみ(塑性ひずみ、熱ひずみ、変態ひずみ、変態塑性ひずみ、クリープひずみ)を除き(ステップs3)、得られたひずみ量を仮想的な弾性ひずみとして弾性計算が行われ(ステップs4)、得られた応力(試行弾性応力)を用いて、降伏判定が行われる(ステップs5)。
現ステップにおける温度が変態温度域内でない場合(ステップs2、No)には、変態ひずみ増分と変態塑性ひずみ増分はゼロとなる。全ひずみから、非弾性ひずみ(塑性ひずみ、熱ひずみ、変態ひずみ、変態塑性ひずみ、クリープひずみ)を除き(ステップs3)、得られたひずみ量を仮想的な弾性ひずみとして弾性計算が行われる(ステップs4)。
降伏関数にはミーゼスの降伏関数を用い、硬化則はバウシンガー効果を考慮した移動硬
化則を用いることができる。計算機上で降伏状態を実現するためには、図2に示すリターンマッピング法を用いることができる。降伏する場合(ステップs5、Yes)には、塑性ひずみ増分とクリープひずみ増分を算出し(ステップs6)、降伏しない場合(ステップs5、No)は、クリープひずみ増分のみを算出する(ステップs7)。いずれの場合でも、現ステップ終点におけるコンシステント接線係数を算出する(ステップs8)。コンシスト接線係数は応力増分とひずみ増分の関係を表すものであり、現ステップで生じた各ひずみ増分に応じて算出される。
これらの解析は、汎用FEMコード(ABAQUSやANSYSなど)にそのユーザーサブルーチンを用いて独自の材料構成則(応力とひずみの関係)を組み込んで実施できる。
リターンマッピングは、現ステップでの応力状態σと降伏曲面fに対して、次ステップにおける変形を弾性変形と仮定して、試行弾性応力σ trが計算される。σ trが現ステップの降伏曲面fを超える場合には、降伏を生じると判断される。その場合、硬化曲線にそって変形が進行し、後退差分(陰解法)であるNewton−Raphson法を用いた収束計算により、次ステップにおける塑性ひずみが求まり、応力σと降伏曲面fが求まる。σ trが現ステップの降伏曲面fを超えない場合には、降伏曲面は変化せず、σ=σ trとなり、応力が更新される。
Figure 0006601762
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ここで、σは応力、εは全ひずみ、δは変位、Dは応力−ひずみマトリックス(コンシステント接線係数)、Bはひずみ−変位マトリックス、δ*は仮想変位、ε*は仮想ひずみ、Pは単位面積当たりの表面力、Fは単位体積当たりの体積力、fは節点力、Kは要素剛性マトリックス、tは三角形要素の板厚、Δは三角形要素の面積、Eは弾性係数、νはポアソン比である。
Figure 0006601762
ここで、σは応力、εは全ひずみ、Dはコンシステント接線係数、εは弾性ひずみ、εは塑性ひずみ、εthは熱ひずみ、εは変態ひずみ、εtpは変態塑性ひずみ、εはクリープひずみ、αは線膨張係数、βは変態膨張量、Kは変態塑性係数、Sは有効応力、A,nはクリープ定数である。
冷却時の材料物性値は温度及び相変化によって変化するが、所定の冷却速度で生じる各相(γ相、α相)の各温度における物性値をあらかじめ測定し、各温度における各相の体積分率から線形混合則を適用して求めることができる。各相の弾性係数及びポアソン比は文献値を用いて推定し、線膨張係数はJIS Z 2285「金属材料の線膨張係数の測定方法」に、強度特性はJIS G 0567「鉄鋼材料及び耐熱合金の高温引張試験方法」に従って測定することができる。得られた強度特性は、式(11)に示すRamberg−Osgood則を用いて近似することができる。弾塑性応力解析用の物性値は式(12)に示され、添え字のiは各相を表している。
Figure 0006601762
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本発明の有効性を調べるため、残留応力の推定精度を実験結果と比較した。実験にはNiCrMoV鋼のφ325mm×1500mm長さの丸棒試験材及びφ1080mm×1050mm長さと、φ1280mm×1250mm長さの段付き丸棒試験材を用いた。
850℃で加熱後に空冷を施し、空冷時の冷却速度を熱電対を用いて測定し、熱伝導解析結果と比較した。また、空冷後に試験材の長さ方向中央位置における外表面の残留応力をひずみゲージを用いたリングコア法により測定し、弾塑性応力解析結果と比較した。
図3に熱伝導解析結果と測温結果の比較例を示す。解析結果は測温結果に良く一致している。表1に本手法と比較法を用いて推定した残留応力を実測値と比較して示す。比較法では、式(10)に示す全ひずみの計算において式(13)を用いた。つまり、比較法1では全ひずみに変態塑性ひずみとクリープひずみを含めない解析方法であり、比較法2は全ひずみの計算においてクリープひずみを含めない解析方法である。
Figure 0006601762
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比較法1ではいずれの解析においても解析値は実測値に一致しない。比較法2では、φ325mm試験材では解析値と実測値が概ね一致するものの、φ1080mm、φ1280mm試験材では一致しない。本発明法では、いずれの試験材でも残留応力を精度良く推定できている。
次に、開発法の有効範囲を明確にするため、直径Da(Da=325〜2000mm)、長さ3Daの丸棒を対象に、850℃から空冷した時の残留応力を開発法と比較法2で比較した。解析結果を図4に示す。開発法と比較法2の残留応力の差は、胴径の増加に伴って単調に増加する傾向である。このことから、解析対象寸法が大きく、特に直径が500mm以上の部材においては残留応力の差は50MPaを超えて、比較法では解析精度が低下する。
以上の結果から、鋼の空冷時の熱処理解析においては、変態塑性ひずみに加えてクリープひずみも考慮した本解析手法の有効性が確認された。特に直径が500mm以上の大型鍛鋼品において格別な効果が認められた。
以上、本発明について、前記実施形態および実施例に基づいて説明を行ったが、本発明の範囲を逸脱しない限りは、前記実施形態に対し適宜の変更を行うことができる。

Claims (7)

  1. 500mm以上の肉厚を有する鋼の熱処理シミュレーション方法であって、
    前記鋼の材料データとして鋼の各相および各温度における物性値を用いて、有限要素モデル中の各節点における温度の時間変化を有限要素法によって計算する熱伝導解析を行い、
    前記熱伝導解析で得られた各節点の温度を温度荷重として、前記鋼の材料データとして鋼の物性値を用い、各要素の積分点におけるひずみ量として、少なくとも変態塑性ひずみとクリープひずみとを算出し、これらの和に基づいて、少なくとも応力と歪みの関係を支配方程式にして、前記鋼の内部応力の変化を計算する弾塑性応力解析を行い、さらに各節点の前記弾塑性応力解析の終点の結果に基づいて応力増分とひずみ増分の関係を表すコンシステント接線係数を算出することを特徴とする鋼の熱処理シミュレーション方法。
  2. 前記熱伝導解析の材料データの物性値として、鋼の各相および各温度における比熱、密度、熱伝導率と、境界条件として熱処理時の熱伝達率とを用い、
    前記弾塑性応力解析の材料データとして、鋼の各相および各温度における弾性係数、ポアソン比、硬化曲線を用い、前記温度荷重、前記弾性係数、前記ポアソン比、前記硬化曲線を用いて、各要素の積分点におけるひずみ量を、弾性ひずみ、塑性ひずみ、熱ひずみ、変態ひずみ、変態塑性ひずみ、クリープひずみとして算出することを特徴とする請求項1記載の鋼の熱処理シミュレーション方法。
  3. 前記熱伝導解析における材料データとして、初期の温度分布をさらに用いることを特徴とする請求項1または2に記載の熱処理シミュレーション方法。
  4. 前記熱伝導解析において、冷却時の各相および各温度における材料データを予め測定し、該データを用いて各温度における各相の体積分率から線形混合則を適用して熱伝導解析を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱処理シミュレーション方法。
  5. 前記弾塑性応力解析において、冷却時の各相および各温度における材料データを予め測定し、該データを用いて各温度における各相の体積分率から線形混合則を適用して熱伝導解析を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱処理シミュレーション方法。
  6. 表示部と、操作入力を受ける操作部と、を有する熱処理シミュレーション解析装置を制御する制御部であって、
    熱伝導解析のために、500mm以上の肉厚を有する鋼の材料データとして鋼の各相および各温度における物性値を取得する際に、少なくとも一つの測定値を前記操作部を通して取得する熱伝導データ取得ステップと、
    前記熱伝導データ取得ステップで得たデータを用いて、有限要素モデル中の各節点における温度の時間変化を有限要素法によって計算する熱伝導解析ステップと、
    弾塑性応力解析のために、前記鋼の材料データとして鋼の各相および各温度における物性値を取得する際に、少なくとも一つの測定値を前記操作部を通して取得する弾塑性データ取得ステップと、
    各節点の温度を温度荷重として、前記弾塑性データ取得ステップにおける各要素の積分点におけるひずみ量として、少なくとも、変態塑性ひずみとクリープひずみとを算出して、これらの和に基づいて、少なくとも応力と歪みの関係を支配方程式にして、前記鋼の内部応力の変化を計算する弾塑性応力解析ステップと、
    各節点の前記弾塑性応力解析の終点の結果に基づいて応力増分とひずみ増分の関係を表すコンシステント接線係数を算出するステップと、を有し、
    前記内部応力の変化に基づいて、ひずみまたは/および応力を、前記表示部に表示する表示ステップと、を有することを特徴とする鋼の熱処理シミュレーションプログラム。
  7. 熱伝導データ取得ステップで、鋼の材料データの物性値として鋼の各相および各温度における比熱、密度、熱伝導率と、境界条件として熱処理時の熱伝達率の物性値を取得し、
    弾塑性データ取得ステップで、前記鋼の材料データの物性値として鋼の各相および各温度における弾性係数、ポアソン比、硬化曲線を取得し、
    弾塑性応力解析ステップでは、前記弾塑性データ取得ステップにおける各要素の積分点におけるひずみ量を、弾性ひずみ、塑性ひずみ、熱ひずみ、変態ひずみ、変態塑性ひずみ、クリープひずみを算出し、これらの和に基づいて前記鋼の内部応力の変化を計算することを特徴とする請求項記載の鋼の熱処理シミュレーションプログラム。
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