JP2771318B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は高信頼・高出力の製造容易な半導体レーザに
関する。
〔従来の技術〕
従来普通に用いられる半導体レーザは、電流注入型で
あり、活性層となる半導体を、それよりも大きなバンド
ギャップエネルギをもつ半導体をクラッド層として挟ん
だダブルヘテロ構造をもつ。さらに通常の半導体レーザ
は活性層の組成および不純物ドーピングによるキャリア
濃度は共振器内全域に亘って均一である。しかし、光の
反射面或いは出射面となる端面の劣化や損傷を防ぐため
に、端面近傍の活性層を中央部の活性層よりもバンドギ
ャップの大きな材料で形成すると効果のあることが知ら
れている。
ところで、III−V化合物混晶のエネルギギャップ
は、従来その組成により一義的に決まると考えられてき
たが、結晶中でIII族原子とV族原子間の結合長の互い
に異る3元以上のIII−V化合物混晶では、必ずしもそ
うではないことがわかってきた。つまり、例えば有機金
属熱分解気相成長法(MOVPE法)で成長したGaInPやAlGa
InPのように、成長温度,気相中のV族原料対III族原料
比(V/III比)、p型あるいはn型の不純物ドーピング
などによって、その混晶組成が一定でもエネルギギャッ
プが異なり得るのである(例えば1987年春季第34回応用
物理学関係連合講演会講演予稿集第1分冊、講演番号28
p−ZA−4および28p−ZA−5(1987年))。つまり、あ
る成長温度とV/III比の値の組み合わせを用いると、GaI
nPやAlGaInPのエネルギギャップが、通常の混晶に対す
る値として知られているものよりも最大50〜80meVと小
さくなるということ。また、5×1017〜1018cm-3以上の
n型あるいはp型の不純物ドーピングを行なうと、小さ
くなったエネルギギャップの値はもとの混晶に回復する
というものである。これは、GaInP中のGa−PとIn−P
あるいはAlGaInP中のAl−PとIn−PGa−PとIn−Pのよ
うにそれぞれの結合長が異なることにより非混和領域に
関連して生じている。このことを利用して、第2図に示
すような構造が提案されている(特願昭62−171525
号)。つまり、n−GaAs基板101上に形成されたn−(A
l0.4Ga0.60.5In0.5Pクラッド層102、Ga0.5In0.5P活
性層103、p−(Al0.4Ga0.60.5In0.5Pクラッド層104
より成るダブルヘテロ構造半導体レーザの共振器端面10
9およびその付近にのみ亜鉛を1.5×1018cm-3ドープし
て、p+型(亜鉛拡散領域105)としたものである。こう
して、半導体レーザの端面付近のエネルギギャップを大
きくし、この領域での光吸収を抑制し、端面における臨
界光出力を増加させたものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
前述の従来技術では半導体レーザの端面付近(窓部と
呼ぶ)をp+型或いはn+型とする。このような構造の場
合、レーザゲインに寄与しない窓部にも電流が流れ、そ
のことにより発振閾値の上昇,効率低下,信頼性劣化な
どの不具合が生ずる。また、窓部に流れる電流を抑制す
るには、電流制限領域を設けるために絶縁構造をとるな
ど、構造が複雑になり、製作工程が複雑になる。また、
従来技術では不純物導入が熱拡散によるのが適してお
り、製造工程の複雑さ及び再現性等の点で問題があっ
た。従来構造は以上述べた如くいくつかの欠点を有して
いた。
そこで本発明の目的は、結晶成長の性質や材料の性質
を利用して上述の欠点を除き、高信頼・高性能でかつ、
製作の容易な半導体レーザを提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
活性層を含む多層構造を備え、前記活性層が結晶中で
III族原子とV族原子間の結合長の互いに異なる3元以
上のIII−V族化合物であり、結晶成長によって自然に
形成された超格子を有する半導体レーザにおいて、光の
反射面或いは出射面となる端面近傍にのみ活性層に達す
る或いは活性層を突き抜ける迄陽子或いは質量数10以下
の荷電粒子を照射した領域を有することが重要である。
結合長の異るIII−V化合物の例としては、GaInP,AlG
aInP,GaInPAs,GaAsSb等多数あり、いずれの場合にも適
用される。
〔作用〕
既に〔従来の技術〕の項でも述べたように、結晶中で
III族原子とV族原子間の結合長の互いに異る3元以上
のIII−V化合物混晶では、成長条件により、その混晶
組成が一定でもエネルギギャップが異り得る。これま
で、p型およびn型の不純物を(5〜10)×1017cm-3
上ドープすると、本来の混晶がもつ大きなエネルギギャ
ップをもつことが確かめられていた。これは、不純物が
ドープされないときには結晶成長中自然に超格子が形成
され秩序状態が生成されてエネルギギャップが小さくな
るのに対し、不純物をドープすることにより秩序状態を
壊し、無秩序状態にしたためにエネルギギャップが大き
くなったものである。無秩序状態の生成法として、陽子
照射による方法がある。1014cm-2程度以上のドーズ量で
陽子を照射することにより、照射した領域のエネルギギ
ャップを拡げる。また陽子を照射すると、p或いはn導
電型を有する層を高抵抗にすることができる。本発明で
利用する作用をMOVPE法により成長したGa0.5In0.5Pを
例として説明する。この場合、成長温度650℃,V/III比4
00とすると、エネルギギャップの値は1.85eVとなる。こ
れはGa0.5In0.5P混晶の値として知られている1.90eVよ
りも50meV程小さい。この1.85eVのGa0.5In0.5Pに約1
×1014cm-2以上のドーズ量で陽子を照射すると、エネル
ギギャップ(Eg)は、1.90eVの値を回復すると共に高抵
抗となる。
このことをGa0.5In0.5Pを活性層とした半導体レーザ
に適用する。共振器中の、中心部をEg〜1.85eVのGa0.5I
n0.5Pで形成し、端面近傍領域に表面から選択的に陽子
を約1×1014cm-2以上照射し、活性層のEgを1.90eV程度
とする。レーザ発振は1.85eVで決まる値であるため、大
きなEgをもつ端面近傍(窓部)で光吸収が起らず、光損
傷や端面劣化を防ぐことができる。また、窓部は活性層
及び活性層上部の各層が高抵抗となるので、特別な電流
制限機構を設けなくても電流は効率よくレーザ・ゲイン
を与える領域に集中する。このために、高信頼・高出力
の半導体レーザを製作容易な方法で実現することができ
る。
〔実施例〕
次に図面を参照して本発明の実施例を説明することに
より、本発明の構成を一層具体的に示す。第1図は本発
明の実施例を側面より見た図である。600nmで帯で発振
するAlGaInP系可視光半導体レーザを例として示す。n
型GaAs基板1上に、MOVPE法により、n型(Al0.4G
a0.60.5In0.5Pクラッド層2、Ga0.5In0.5P活性層
3、p型(Al0.4Ga0.60.5In0.5Pクラッド層4、p+
GaAsキャップ層9を順次成長する。活性層3の成長条件
は、温度650℃、V/III比を400、不純物ドーピングなし
で行う。端面8の近傍にのみ陽子を1×1015cm-2程度の
ドーズ量で、活性層を突き抜ける深さにまで照射する。
こうして陽子照射領域5を形成する。共振器全長は200
〜600μm、端面近傍の陽子照射領域5は、非電流注入
領域の吸収損失を極小にし、かつ製作を容易にできる長
さとして端面から約100μm内側までとした。端面8は
劈開によりつくる。n型電極7は基板1側に、p型電極
6はp+GaAsコンタクト層9上に形成する。こうして得ら
れた半導体レーザは、陽子照射領域のない半導体レーザ
と較べて、閾値の上昇は5%以下にとどまり、端面劣化
が軽減されるため、信頼性が飛躍的に向上した。また、
端面の光学的破壊を妨げるため、最大光出力が数倍向上
した。また、この構造をつくる場合、陽子照射は拡散と
較べて深さの制御性がよいこと、陽子照射領域の絶縁が
不要なことから製造プロセスが容易である。従って製造
歩留りがよく安価である。製造工程が容易なこと、無効
電流成分が小さいことから信頼性も高くなる。また質量
数10以下の荷電粒子(例えばHe+イオン)を陽子の代わ
りに用いてもその効果は陽子を用いた場合と変らない。
またここに示した実施例で、p型とn型と逆にしても
同様の効果は得られる。又、他の材料系でも条件を満た
していれば適用できることはいうまでもない。なお、実
施例では活性層をクラッド層で挟んだ構造について説明
したが、他の積層構造、例えば活性層に隣接して光ガイ
ド層を設け、この外側にクラッド層を配した積層構造等
でも同様の効果が得られる。また、ファブリペロ共振器
型のレーザ(実施例)でなく、回折格子を備えたDFB,DB
R型のレーザでもよい。ストライプ構造は埋め込み型,
プレーナ型等どのようにストライプ構造でも適用でき
る。
〔発明の効果〕
この様に、本発明の構造をとることにより、端面の光
吸収による劣化や端面損傷を防ぐことができ、従来より
も光信頼,光出力の半導体レーザを安価で実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例の模式的側面図、第2図は従来
例の模式的側面図である。 1,101……n−GaAs基板、2,102……n−(Al0.4Ga0.5
0.5In0.5Pクラッド層、3,103……Ga0.50.5P活性
層、4,104……p−(Al0.5Ga0.60.5In0.5Pクラッド
層、5……領域、6……p型電極、7……n型電極、8,
109……端面、9……p+GaAsキャップ層、105……Zn拡散
領域。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性層を含む多層構造を備え、前記活性層
    が結晶中でIII族原子とV族原子間の結合長の互いに異
    なる3元以上のIII−V族化合物であり、結晶成長によ
    って自然に形成された超格子を有する半導体レーザにお
    いて、光の反射面或いは出射面となる端面近傍にのみ活
    性層に達する或いは活性層を突き抜ける迄陽子或いは質
    量数10以下の荷電粒子を照射した領域を有することを特
    徴とする半導体レーザ。
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JPS59171186A (ja) * 1982-11-12 1984-09-27 Fujitsu Ltd 半導体発光装置
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「応用物理」 58巻 第9号 1360〜1367ページ

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