JP2769940B2 - 旋動式破砕機の歯板 - Google Patents

旋動式破砕機の歯板

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JP2769940B2
JP2769940B2 JP3298178A JP29817891A JP2769940B2 JP 2769940 B2 JP2769940 B2 JP 2769940B2 JP 3298178 A JP3298178 A JP 3298178A JP 29817891 A JP29817891 A JP 29817891A JP 2769940 B2 JP2769940 B2 JP 2769940B2
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司 片山
滋人 福村
依三 工藤
西  昌彦
徹 中西
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コーンクラッシャ、ジ
ャイレトリークラッシャ等の旋動式破砕機の歯板(マン
トル、コーンケーブ)の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の旋動式破砕機の歯板は、
処理物の噛み込み等を良好にするため、例えばコーンク
ラッシャのマントルを示す図4のように、載頭逆円錐筒
状のコーンケーブ12と共に断面楔形の破砕室13を形
成する載頭円錐体状のマントル8の外周面に母線と同方
向の多数の溝9を備えた溝型歯板となっている(特公平
3−50580号公報)。
【0003】旋動式破砕機の長時間運転に伴い歯板の摩
耗を発生し、漸次進展するにいたる。そして、溝型歯板
の必要条件として、歯板は摩耗を許容しうる限界である
摩耗限界まで溝型歯板の機能を備えることかできるよう
に前記溝9は深溝状に形成する必要かある。
【0004】図5において、二重鎖線をもって新規なマ
ントル8の歯11先および溝9をしめし、溝深さD
有している。実線のものは摩耗限界における歯先11a
および溝9aをしめし、摩耗が発生した場合、溝深さD
を有して溝型歯板の機能を残存させることが望まし
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の旋動式破砕機の歯板、特にマントルは、載頭円錐体
状をなしており、前述した歯板の必要条件にしたがって
溝9の深さが深く、かつ幅が狭い歯を有するように鋳造
にて製作することは、鋳型等の制約(抜き勾配、鋳物砂
の強度、焼着等)から形状的に不可能であり、むしろ必
要条件に逆行することとなり、十分な効果が得られな
い。加うるに、従来の溝型歯板は狭くて深い溝の鋳造に
よる製作が困難であることから、次のような問題があ
る。 破砕物10が、図6、図7にしめすように、溝9に
刺さり(嵌まり)処理物が下方へ流れるのを妨げ、処理
量の低下をもたらす。 溝幅が広いため、歯幅が相対的に少くなって破砕表
面積が小さく、時として処理能力が低下し、磨り減りが
先行する場合は寿命が短かい。 フィードサイズが小さい場合、図8に示すように、
歯11のコーナー部が摩耗し、コーナーのアールが進行
すると破砕不能となる。 高強度岩石を破砕する場合、歯11が倒れることが
ある。 処理物に泥、水分が混入した場合、泥分を溝17に
貯え込むため、磨り減りを生じると共に処理能力が低下
する。 本発明は上述した従来技術の問題点を解決するためにな
されたものであり、溝型歯板の必要条件を満足しうると
ともに、処理物が破砕室を下方に流れるさいに溝内に刺
さる(嵌まる)ことを有効に防止できるようにした旋動
式破砕機の歯板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、第1の発明の旋動式破砕機の歯板は、耐摩耗性の高
い材料からなる歯板本体に母線と同方向でかつ周方向に
波形状に連なり波の山部には歯先が、波の谷部には複数
の深溝部がそれぞれ形成されるとともに、深溝部内に帯
状にして歯板本体よりも耐摩耗性の低い材料からなる埋
設部材を接合手段により接合して埋設するようにしたも
のである。また、第2の発明の旋動式破砕機の歯板は、
歯板本体の歯先は曲線からなる断面形状であるようにし
たものである。さらに、第3の発明の旋動式破砕機の歯
板は、歯板本体の深溝部の母線に斜向方向でかつ周方向
に波形状に連なるようにしたものである。さらにまた、
第4の発明の旋動式破砕機の歯板は、接合手段は埋設部
材と深溝部との相互の面の間で接着により接合するよう
にしたものである。
【0007】
【作用】上記手段のようにすれば、旋動式破砕機の歯板
は処理物の破砕により長時間運転に伴い摩耗を発生させ
ることとなるが、耐摩耗性の低い材料からなる埋設部材
は、前記埋設部材よりも耐摩耗性の高い材料からなる歯
板本体に比して多くの摩耗を発生させるので、歯板の外
表面は凹凸状となり、詳しくは、埋設部材の外表面には
歯板本体の隣接部分との間に帯の厚さに対応した溝状の
浅い摩耗段差が形成され、しかも、歯板の摩耗が進展し
ても、この摩耗段差は継続して維持されるとともに、破
砕作用時に処理物が破砕室を下方に流れるさいに溝内に
刺さる(嵌まる)ことを有効に防止できて旋動式破砕機
の破砕能力ならびに耐摩耗性を向上させることができ
る。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は本発明の一実施例の旋動式破砕機の
マントルの全体構成図、図2は図1のA−A矢視におけ
る要部断面図、図3は図2の使用状態を示す説明図であ
る。
【0009】このマントル1は耐摩耗性の高い材料、例
えば13重量%以上のマンガンを含有する高マンガン鋳
鋼からなる載頭円錐体状の歯板本体2を有しており、歯
板本体2の外周面には、図1、図2に示すように母線と
同方向でかつ周方向に波状に連なり、波の山部には歯先
6が形成されるとともに、波の谷部には複数の深溝部3
が形成され、深溝部3内には耐摩耗性の低い材料、例え
ば一般用圧延鋼材などからなる帯状の埋設部材5が材料
を接合するための接合手段7により埋設せられている。
そしてマントル1は載頭逆円錐筒状のコーンケーブ4と
共に破砕室13を形成している。
【0010】歯板本体2の波の山部は所要の曲率をもつ
曲線からなる断面形状にて歯先6が形成されている。そ
して破砕室4内における処理物の噛み込み等の良好化を
はかっている。前記波のピッチおよび高さは破砕室13
内における処理物の圧縮破砕作用を考慮して最適な破砕
効果が得られるように決定されている。また、歯板本体
2の波の山部は大きな曲率をもつ断面形状にて歯先6を
形成させ、したがって波を有しない平滑外表面を形成さ
せても差支えない。
【0011】埋設部材5は予じめ所要の厚さ、幅および
長さを有する帯状部材であって、前記深溝部3の間隙、
深さおよび長さに対応するようにされ、詳しくは深溝部
3の間隙と埋設部材5の厚さとの間には若干の接合隙間
が形成されており、この接合隙間には接合手段7が用い
られて埋設部材5が埋設せられる。そして、埋設部材5
の側部端面は波の谷部に位置されるとともに、歯先6の
外表面よりも若干の距離をもって内側に位置される。か
くして歯板本体2の外表面は母線と同方向でかつ周方向
に波形状に形成される。
【0012】前記接合手段7としては、例えば、鉄セメ
ント、樹脂等などの接着材料が好適であり、埋設部材5
と深溝部3との相互の面の間で接着されるように接合さ
れ、所定の硬化方法などにより確実に接合されて、高い
接合力のもとで歯板による圧縮破砕に伴う作用力に対し
て充分に対抗しうるものである。
【0013】前記埋設部材5の埋設は格別な制約を受け
ることなく、接合手段7を用いることにより歯板本体2
が製作されるので、所要の寸法、すなわち任意の一定の
厚さをもって行うことができる。したがって深溝部3の
ための砂型や抜け勾配などの鋳造上の制約を回避するこ
とができる。
【0014】第3の発明の旋動式破砕機の歯板は、図示
することを省略しているが歯板本体の外表面は波の山部
を含めて深溝部および埋設部材は歯板本体の母線に斜向
方向でかつ周方向に波形状に形成されている。このよう
にして破砕室内における処理物の落下状態を促進または
抑制するように調整させることにより破砕性能を改善で
きるようにしている。
【0015】図3は破砕作用を行った歯板本体の要部断
面図である。図3において、旋動式破砕機が運転されて
前記破砕室13内において処理物の破砕作用に伴い、歯
板本体2の歯先6には圧縮、衝撃等の外力か繰返し加え
られ、高マンガン鋳鋼の特徴である加工硬化を起こして
ショアー硬度Hs70程度に上昇し、しかも強じん性を
失うことなく高い耐摩耗性を呈するに至る。一方、埋設
部材5は加工硬化性を起こすことなく前記側面5aは、
摩耗を発生して二重鎖線にてしめした表面から実線にて
しめした側面5bまで僅かに摩耗した浅い摩耗段差Eを
発生するに至る。上述した摩耗段差Eは本実施例にしめ
した構成によって旋動式破砕機の長時間運転に伴って著
しい増加を生じることがなく、上述した歯先6の摩耗限
界に至るまで、歯先6と埋設部材5の側面5bとの間に
てほぼ同一な摩耗段差Eが継続して維持されるので、破
砕性能の低下を回避でき、歯板本体2の摩耗が進展して
も常に同等な破砕性能のもとで運転することが可能とな
る。
【0016】このようにして、本実施例によれは、破砕
室13内における処理物の破砕操作において、破砕物が
摩耗段差E部に刺さる(嵌まる)ことがなく処理物は円
滑に下方へ流れるので旋動式破砕機の処理能力は従来技
術に比して著しく改善される。また、前記段差部Eは僅
かな寸法のもとで継続して維持されるので、泥分の貯え
込みや磨り減り等が回避できて、破砕性能の安定化が可
能となる。
【0017】そして、前記深溝部3の間隙、すなわち埋
設部材5の厚さは比較的少くしても、接合手段7を用い
て支障なく製作されるので歯板本体2の外表面の大部分
は加工硬化された歯先6の表面積にて形成されることと
なり、高い耐摩耗性のもとでマントルの寿命は著しく延
伸される。また、上述したように歯板本体2の波の形状
寸法は処理物の圧縮破砕作用を考慮して最適な破砕効果
が得られるように決定されているので、比較的細粒から
なる処理物の破砕にも有効である。なお、上述した実施
例においてはマントルに適用する場合について説明した
が、コンケーブにも適用できるのは勿論である。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれは、
旋動式破砕機の歯板は長時間にわたる運転に伴い摩耗を
発生させることとなるが、耐摩耗性の低い材料からなる
埋設部材は前記埋設部材よりも耐摩耗性の高い材料から
なる歯板本体に比して多くの摩耗を発生させるので、埋
設部材の外表面には歯板本体の隣接部分との間に帯の厚
さに対応した溝状の浅い摩耗段差が形成され、しかも、
歯板の摩耗が進展しても、この摩耗段差は継続して維持
されるとともに、破砕作用時に処理物が破砕室を下方に
流れるさいに摩耗段差からなる溝内に刺さる(嵌まる)
ことを有効に防止できて、さらに、埋設部材を埋設した
歯板本体の外表面の大部分は加工硬化された歯先の表面
積にて形成されて高い耐摩耗性のもとで歯板の寿命を延
伸でき、また、歯板本体の波の形状寸法により処理物の
最適な破砕効果を得ることができて旋動式破砕機の破砕
能力ならびに耐摩耗性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の旋動式破砕機のマントルの
全体構成図。
【図2】図1のA−A矢視における要部断面図。
【図3】図2の使用状態を示す説明図。
【図4】従来の旋動式破砕機のマントルの全体構成図。
【図5】同マントルの摩耗限界を示す説明図。
【図6】同マントルの作用を示す断面図。
【図7】同旋動式破砕機の作用説明図。
【図8】従来の溝型歯板の溝に対してフィードサイズが
小さい場合の作用説明図。
【符号の説明】
1 マントル 2 歯板本体 3 深溝部 5 埋設部材 6 歯先 7 接合手段
フロントページの続き (72)発明者 工藤 依三 千葉県八千代市上高野1780番地 川崎重 工業株式会社八千代工場内 (72)発明者 西 昌彦 千葉県八千代市上高野1780番地 川崎重 工業株式会社八千代工場内 (72)発明者 中西 徹 千葉県八千代市上高野1780番地 川崎重 工業株式会社八千代工場内 (56)参考文献 特開 昭63−143949(JP,A) 特開 昭62−286553(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐摩耗性の高い材料からなる歯板本体に
    母線と同方向でかつ周方向に波形状に連なり波の山部に
    は歯先が、波の谷部には複数の深溝部がそれぞれ形成さ
    れるとともに、深溝部内に帯状にして歯板本体よりも耐
    摩耗性の低い材料からなる埋設部材を接合手段により接
    合して埋設したことを特徴とする旋動式破砕機の歯板。
  2. 【請求項2】 歯板本体の歯先は曲線からなる断面形状
    であることを特徴とする請求項1項に記載の旋動式破砕
    機の歯板。
  3. 【請求項3】 歯板本体の深溝部および埋設部材は歯板
    本体の母線に斜向方向でかつ周方向に波形状に連なるこ
    とを特徴とする請求項第1項または第2項に記載の旋動
    式破砕機の歯板。
  4. 【請求項4】 接合手段は埋設部材と深溝部との相互の
    面の間で接着により接合することを特徴とする請求項第
    1項、第2項または第3項に記載の旋動式破砕機の歯
    板。
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