JP2767730B2 - セラミックトランスを用いた冷陰極管の駆動方式 - Google Patents

セラミックトランスを用いた冷陰極管の駆動方式

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶を裏から光で照らす
バックライト用の光源に使用されている冷陰極管の駆動
方式に関し、特にセラミックトランスを用いた冷陰極管
の駆動方式に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、液晶を裏から光で照らすバックラ
イトに使用される光源には冷陰極管が使用される。この
冷陰極管を点灯させるための電源として冷陰極管用イン
バータを使用する。冷陰極管を点灯させるために必要な
1200V位の高電圧は、巻線トランスの2次側を数千
回巻き、5〜15Vの電圧を昇圧して得ている。この巻
線には40ミクロン位の細い線を使用している。このよ
うに細い線を多く巻いた巻線トランスを使用すると、断
線,レアショート等の問題が発生し、多くの工数を必要
とする。また、薄型を要求されるノートブックタイプの
パソコン等に巻線トランスを使用すると、小型化するの
に構造的な限界がある。この問題の改善策として、巻線
トランスをセラミック板の圧電トランスで代替えする方
式が検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の巻線ト
ランスに代替えされる圧電トランスを使用した冷陰極管
の駆動方式では、圧電トランスは或る一定の狭い帯域の
周波数だけしか通さないという性質のめに、発振器と圧
電トランスとの周波数の整合をとるのが難しく、充分な
出力を取り出すことが困難であるという課題がある。
【0004】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、巻線トランスに起因する諸問題を圧電トラン
ス(以下、セラミックトランスと称する)を使用するこ
とによって解消し、かつ発振周波数を正確に制御するこ
とによって、冷陰極管の点灯及び調光を行うセラミック
トランスを用いた冷陰極管の駆動方式を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明によるセラミックトランスを用いた冷陰極管の
駆動方式は、セラミックトランスの昇圧比の周波数特性
を利用して得た高電圧によって冷陰極管を点灯させるセ
ラミックトランスを用いた冷陰極管の駆動方式におい
て、発振器からの出力をセラミックトランスに与え、前
記出力周波数の減少に伴いセラミックトランスの昇圧比
が増加するセラミックトランスの昇圧比の周波数特性の
負傾斜において前記出力の出力周波数を高い方から低い
方に掃引して冷陰極管を点灯させ、引き続いて、前記出
力の出力周波数を高い方から低い方に掃引し、点灯によ
る冷陰極管のインピーダンスの急減に合ったセラミック
トランスの昇圧比の周波数特性の負傾斜において前記掃
引により得た電圧によって冷陰極管に流れる負荷電流を
制御し、冷陰極管の輝度を調整することに特徴を有して
いる。
【0006】
【作用】発振器からの出力をセラミックトランスに与え
る。この発振器からの出力周波数は高い方から低い方に
掃引される。セラミックトランスの昇圧比には周波数に
よる共振がある。セラミックトランスの昇圧比の周波数
特性の負傾斜で冷陰極管を点灯させる。引き続き発振器
からの出力周波数を高い方から低い方に掃引させなが
ら、点灯によりインピーダンスが急減した冷陰極管に対
応するセラミックトランスの昇圧比の周波数特性の負傾
斜で冷陰極管に流れる電流を制御して冷陰極管の輝度を
調整する。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図3は本発明によるセラミックトランスを用い
た冷陰極管の点灯及び輝度調整を実施するための冷陰極
管駆動装置の構成を示す概要ブロック図である。図にお
いて、20は冷陰極管駆動装置であり、1は負荷電流を
決定するための設定電圧を決める可変電圧装置、2は液
晶のバックライト光源となる冷陰極管、12は負荷であ
る冷陰極管3に流れる負荷電流、3は負荷電流12を検
出する負荷電流検出回路、4は負荷電流検出回路3で検
出した負荷電流に比例する交流電圧を整流する交流電圧
整流回路、5は可変電圧装置1からの設定電圧と交流電
圧整流回路4からの出力電圧の差電圧を積分する積分回
路、6は電圧レベルをシフトする電圧レベルシフト回
路、7は電圧レベルシフト回路6の出力電圧に比例する
周波数を発振する無安定マルチバイブレータ、8は無安
定マルチバイブレータの出力電流を増幅する電流増幅回
路、9は必要な場合に挿入する巻線トランス、10はセ
ラミックトランスをそれぞれ示す。
【0008】先ず、冷陰極管駆動装置の一般的な動作原
理を説明する。可変電圧装置1の設定電圧をV1、冷陰
極管2の負荷電流の大きさを12、負荷電流検出回路3
の出力電圧をV3、交流電圧整流回路4の出力をE4、
積分回路5の出力をV5、電圧レベルシフト回路6の出
力電圧をV6,シフト電圧をV06、無安定マルチバイ
ブレータ7の発振周波数をf7、電流増幅回路8の出力
電圧をV8、巻線トランス9の昇圧比をN,出力電圧を
V9、セラミックトランス10の周波数特性をF(j2
πf),出力電圧をV10とする。
【0009】設定電圧V1から負荷電流12までの各ブ
ロックにおける入出力は、次に示す式が成立する。 V3 =k1・I2 (1) E4 =k2・V3 (2) V5(t)=k3∫(E4−V1)dt (3) V6 =V5+V06 (4) f7 =k4・V6 (5) V8 =Vpsin2πf7t =Vpsin2πk4・V6t (6) V9 =N・V8 (7) V10=|F(j2πf7)|V9 =N|F(j2πk4・V6)|Vpsin2πk4・V6t (8) 12 =N|F(j2πk4・V6)|Vp/ZL (9) ここで、Vpは電流増幅回路8の出力振幅であり、ZL
は冷陰極管2のインピーダンスである。
【0010】積分回路2はその被積分値が0、すなわち E4−V1=0 (10) が成立すれば出力の変化がなくなり一定となる。(1
0),(2),(1)から、 k2・V3−V1=k1・k2・12−V1=0 (11) が得られる。これから変化が終了したときの負荷電流1
2の大きさは 12=V1/k1・k2 (12) となる。このように、冷陰極管2を流れる負荷電流1
2、すなわち冷陰極管2の輝度は設定電圧V1によって
決められることになる。
【0011】図2は冷陰極管の電流−電圧特性を示して
いる。図が示すように、冷陰極管2の電極間は点灯する
までは高抵抗を示し、点灯電圧Vbは1000V程度の
高電圧を必要とするが、点灯後は抵抗が急減する性質が
あり、冷陰極管2に電流が流れる。電圧Vdはこの負荷
電流に対応するものである。従って、冷陰極管駆動装置
20は点灯までは高電圧を発生し、点灯後は電圧を下げ
る必要がある。圧電現象を利用したセラミックトランス
の高電圧発生装置は、その昇圧比は駆動周波数によって
大きく変化し、またその周波数特性は負荷インピーダン
スによって大きく変わる素子である。
【0012】図1はセラミックトランスの昇圧比の周波
数特性の例を負荷抵抗が大きい場合(冷陰極管の点灯前
の状態)を実線で、小さい場合(冷陰極管の点灯後)を
破線で示したものである。冷陰極管駆動装置20の電源
を投入したとき、積分回路5の出力電圧は0である。こ
の時の電圧レベルシフト回路6の出力電圧V06によっ
て発振周波数f7が無安定マルチバイブレータ7から出
力される。この発振周波数f7は図における周波数fa
である。この時、セラミックトランス10の出力電圧V
10はVaであり、冷陰極管2の点灯に必要な電圧Vb
まで達しないため冷陰極管2は点灯しない。従って、 12=V3=E4=0 であり、積分回路5の出力は V5(t)=−k3・V1t となるから、無安定マルチバイブレータ7の発振周波数
は f7=k4(V06−k3・V1t) のように時間と共に減少する。この結果やがてf7はf
bとなり、セラミックトランス10の出力電圧V10は
冷陰極管2の点灯に必要な電圧Vbとなり、冷陰極管2
は点灯する。冷陰極管2は点灯するとインピーダンスが
小となり、それに従ってセラミックトランス10の昇圧
比は破線で示す特性に移行する。
【0013】この時、冷陰極管2に印加されるセラミッ
クトランス10の出力電圧V10はVcである。この電
圧Vcによる負荷電流12が必要な輝度を与えない場合
には、 E4−V1<0 であり、無安定マルチバイブレータ7の発振周波数f7
は引き続き減少する。その結果セラミックトランス10
の出力電圧V10に従って負荷電流12は増大し、やが
てf7=fdにおいてセラミックトランス10の出力電
圧V10がVdとなり、その時、 E4−V1=k1・k2・12−V1=0 となる。その時の積分回路5の出力電圧V5は一定とな
り、冷陰極管2の負荷電流12は設定値となる。無安定
マルチバイブレータ7の発振周波数f7がfdより更に
小さくなると、冷陰極管2に流れる負荷電流12は設定
値より大となり、従って E4−V1>0 となるから、無安定マルチバイブレータ7の発振周波数
f7は増加に転じ、結局積分回路5の被積分値は0、す
なわち E4−V1=0 となって回路は平衡する事になる。以上のように、セラ
ミックトランス10の共振特性を利用して、冷陰極管2
の輝度を変える調光機能を持たせている。セラミックト
ランス10の共振カーブのピークに近い所では明るく、
ピークから外れるに従って暗くなる。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるセラ
ミックトランスを用いた冷陰極管の駆動方式は、発振器
からの出力をセラミックトランスに与え、前記出力周波
数の減少に伴いセラミックトランスの昇圧比が増加する
セラミックトランスの昇圧比の周波数特性の負傾斜にお
いて前記出力の出力周波数を高い方から低い方に掃引し
て冷陰極管を点灯させ、引き続いて、前記出力の出力周
波数を高い方から低い方に掃引し、点灯による冷陰極管
のインピーダンスの急減に合ったセラミックトランスの
昇圧比の周波数特性の負傾斜において前記掃引により得
た電圧によって冷陰極管に流れる負荷電流を制御し、冷
陰極管の輝度を調整するようにしたので、巻線トランス
に起因する諸問題をセラミックトランスを使用すること
によって解消し、かつ発振周波数を制御することよっ
て、冷陰極管の点灯及び調光を容易に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックトランスを用いた冷陰極管
の駆動方式を説明するためのセラミックトランスの諸特
性を示す図である。
【図2】本発明の実施に使用される冷陰極管の電流−電
圧特性を示す図である。
【図3】本発明によるセラミックトランスを用いた冷陰
極管の駆動方式を実施するための冷陰極管駆動装置の構
成を示す概要ブロック図である。
【符号の説明】
1 可変電圧装置 2 冷陰極管 3 負荷電流検出回路 4 交流電圧整流回路 5 積分回路 6 電圧レベルシフト回路 7 無安定マルチバイブレータ 8 電流増幅回路 9 巻線トランス 10 セラミックトランス 20 冷陰極管駆動装置
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/133 H05B 41/24 G09F 9/00 337

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックトランスの昇圧比の周波数特
    性を利用して得た高電圧によって冷陰極管を点灯させる
    セラミックトランスを用いた冷陰極管の駆動方式におい
    て、 発振器からの出力をセラミックトランスに与え、 前記出力周波数の減少に伴いセラミックトランスの昇圧
    比が増加するセラミックトランスの昇圧比の周波数特性
    の負傾斜において前記出力の出力周波数を高い方から低
    い方に掃引して冷陰極管を点灯させ、 引き続いて、前記出力の出力周波数を高い方から低い方
    に掃引し、 点灯による冷陰極管のインピーダンスの急減に合ったセ
    ラミックトランスの昇圧比の周波数特性の負傾斜におい
    て前記掃引により得た電圧によって冷陰極管に流れる負
    荷電流を制御し、 冷陰極管の輝度を調整することを特徴とするセラミック
    トランスを用いた冷陰極管の駆動方式。
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