JP2764699B2 - 全断面魚道の構築法 - Google Patents

全断面魚道の構築法

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JP2764699B2 JP6280024A JP28002494A JP2764699B2 JP 2764699 B2 JP2764699 B2 JP 2764699B2 JP 6280024 A JP6280024 A JP 6280024A JP 28002494 A JP28002494 A JP 28002494A JP 2764699 B2 JP2764699 B2 JP 2764699B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、堰や落差工などの河川
横断構造物の下流に魚類の回遊に支障のない全断面魚道
を構築するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】堰や落差工などの河川横断構造物が設け
られた河川域では、魚類遡上用の魚道を確保するため
に、種々の技術が提案されている。この魚道構築技術に
は、例えば特公平5−26888号公報に見られるよう
に川幅の一部に水路状の魚道(幅数10cmから数m程度
の水路状構造物)を併設するようにしたものと、川幅の
全域にわたり魚道を設けるようにしたものとがある。後
者のいわゆる全断面魚道としては、例えば図15に示す
階段式のものや、図16に示す粗石付き曲斜面式のもの
が良く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、川幅の一部
に水路状魚道を構築した場合、 魚が魚道の入り口を探しにくい、 川幅に対して魚道幅が狭すぎる、 河床が低下すると、位置によっては魚道の入り口が浮
いてしまうことがある、 通常、魚道の流量調節装置がないために、あるときは
流量が多すぎ、またあるときには流量が少なすぎて魚類
の遡上期が限定されてしまう、 などの問題点がある。上記特公平の技術の場合、魚道に
設けたゲートの高さ調整を行ってゲートを超流する水の
深さを一定に保つようにしてあるから、上記した問題点
を幾分解消し得るものの、他の問題点〜までをも
解消し得るものではない。
【0004】一方、全断面魚道にすれば上記〜を解
消できる。しかしながら、階段式の場合、縦断的に全断
面がほぼ同一になってしまう関係上、流量が変化したと
きの魚道の性能に与える影響が大きく、上記問題点の
本質的な解決には至らない。また、粗石付き曲斜面式の
場合、曲面の採用により、流水を河川の中央に集中させ
ることができ、流量の変化に柔軟に対応できるものの、
魚道内での流速低減の効果を粗石の配列に頼るため、設
計が非常に困難であるばかりでなく、施工にも手間がか
かる。
【0005】本発明の目的は、流水量の少ないときに河
川の幅方向所定位置に魚類の河川遡上と降河に必要な水
深と低減された流速の澪筋部を確保でき、流水量の多い
ときには上記澪筋部から河岸までの間に異なる流速域の
部分を生じさせて魚類がその遊泳能力に応じて遡上路を
選択でき、しかもこうした多様な流速域の遡上路を確実
に設計構築できると共に施工も比較的容易に行うことの
できる、魚道の構築法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した目的
を達成するために次の構成を採用した点に特徴がある。
即ち、先ず、河川の所要位置の上流側から下流側にかけ
て、必要幅の緩傾斜面を形成する。堰や落差工などの河
川横断構造物が設置されている場合にはその下流側に例
えば全断面にわたって緩傾斜面を形成する。また、これ
ら河川横断構造物を新規に設置する場合には、構造物自
体に緩傾斜面を具備させる。緩傾斜面にはブロックを布
設される。これらのブロックは複数種類のブロックから
成り、上面に凹凸面を有するものまたは凹凸面あるいは
平坦面を有するもの、厚みの異なるものなどによって構
成される。そして、本発明は、これらのブロックを組み
合わせ配列することによって、流量の少ないときに上記
緩傾斜面の横断方向の一部に流水を集中させて上流から
下流にかけて連続する澪筋部を形成し、かつ流量の多い
ときには澪筋部の外側の流水に抵抗を与えて緩傾斜面の
横断方向に異なる流速域が分布するようにしたものであ
る。
【0007】前記緩傾斜面の横断方向ほぼ中央部に、連
続するブロック上面の平坦面によって前記澪筋部を形成
し、岸側からこの澪筋部に向けて下流方向に斜めに上記
ブロックの突起を配列させることにより、前記澪筋部へ
の水流の案内路と、前記した異なる流速域とを形成させ
るようにすると良い。この場合には、ブロックは、上面
が平坦な第一のブロックと、上面にその左右幅方向に延
びる突起が突設された第二のブロックとの2種類のブロ
ックが用いられる。第一のブロックは緩傾斜面の横断方
向所定位置、例えば中央部に上流から下流に向け連続的
に敷設して前記澪筋部が形成される。これに合わせて第
一のブロックと第二のブロックとを第二のブロックの突
起が岸側から上記澪筋部に向けて下流方向に少しずつず
れるように敷設することにより、緩傾斜面に前記した異
なる流速域と澪筋部への案内路を形成する。
【0008】また、ブロックは、上面が規則的もしくは
不規則的な凹凸により粗面を成す第一のブロックと、上
面の一部に左右幅方向に延びる突起を有し、かつ上面の
他部に上記第一のブロックの上面と同様な粗面を有する
第二のブロックとの2種類を用いるようにしても良い。
ブロック上面の突起は、その高さが種々異なるものを用
いても良い。
【0009】
【作用】本発明では、河川横断構造物からの溢流水は、
緩傾斜面の全幅にわたって敷設された多数のブロック上
を流れる。ブロックは、厚みの異なるもの、あるいは表
面に凹凸面や平坦面が形成されたものなどから成り、こ
れらが所定の位置関係に配設されている。従って、上記
した流れは、流量の少ない場合、ブロック表面の突出部
によって案内され、緩傾斜面上流から下流にかけて連続
する澪筋部に集中する。流水は、ブロック突出部に案内
される際に、突出部との衝突によって流速が低減される
ため、魚類の遡上に支障のない速さで、しかも集中する
ことによって遡上に必要な水深を確保して流れる。流量
が多くなるにつれ、澪筋部を主流域とする流れの幅は外
方に拡大し、ブロックの突出部を乗り越えて流れる部分
を生じ、これが徐々に岸側に広がる。澪筋部では、流速
が上記した場合より増加するものの、ブロックの突出部
を乗り越えた部分では、緩傾斜面横断方向に異なる流速
域、即ち澪筋部から岸にかけての範囲で流速が連続的に
減少する流域を生じる。このため、魚類は、魚種や体長
などに応じたそれぞれの遊泳能力によって好みの流速域
を選択して緩傾斜面を遡上する。
【0010】
【実施例】以下、本発明を図示した一実施例に基づいて
詳説する。図1は本発明を適用して構築した魚道の説明
図である。図中符号1は堰の下流側に形成した緩傾斜面
で、施工現場の状況や遡上する魚類の種類などに応じて
適当な勾配に設定される。通常、1/5から1/25程
度が望ましい。
【0011】緩傾斜面1にはその全表面に魚道形成用の
第一及び第二のブロックが所定の位置関係をもって敷設
される。第一のブロック2は図2に示すように所要厚み
の直方板状を成す。また、第二のブロック3は図3に示
すように第一のブロック2と同じ大きさのブロック本体
4の上面に突条5を形成して成り、この突条5は、断面
山型に形成され、ブロック本体4の前後方向一端からブ
ロック本体上面の前後方向略半分の位置に達する奥行き
幅とブロック本体4の左右幅に対応する正面幅を有す
る。なお、図中符号6は第二のブロック3のブロック本
体上面の平坦面を示す。
【0012】緩傾斜面1へのブロックの配列状態を図1
を参照して説明する。図1において、緩傾斜面1の長さ
方向に連続敷設されるブロックを最上流側から順次1
段、2段、3段、・・・段と表示し、緩傾斜面1の横断
方向に連続敷設されるブロックを図中左岸側から順次1
列、2列、3列、・・・列と表示する。緩傾斜面1の横
断方向中央部に位置する5列には、上流から下流にかけ
て全ての段に第一のブロック2が直線状に連続して敷設
され、澪筋部7を構成する。澪筋部7から左右の川岸に
かけての横断方向の緩傾斜面には、第一のブロック2と
第二のブロック3とが組み合わされ、第二のブロック3
の突条5が岸側から澪筋部7に向けて下流方向に少しず
つずれるようにして配列される。この配列は最上流段か
ら3段目までのものが下流に向け必要回数繰り返され
る。本実施例のように同一配列を繰り返すのでなく、下
流に行くにしたがって、異なる配列とすることもでき
る。特に、澪筋部7では下流ほど流速が早まるので、澪
筋部7に隣接する第二のブロック3を第一のブロック2
と入れ換えるか、あるいは突条5の長さの短いものを使
用して澪筋部7の幅が下流域で拡大するよう配列すると
良い。
【0013】1段目から3段目のブロックを例にとる
と、先ず、澪筋部(5列)の3段目のブロックの左右方
向に位置する1列から4列及び6列から9列には同じ第
一のブロック2が連続して敷設される。澪筋部(5列)
の2段目のブロックに隣接する2段目4列と2段目6列
には、第二のブロック3がその突条5を下流側に位置す
るようにして配設される。これらの外方に隣接する2段
目3列と2段目7列には、第二のブロック3がその突条
5を逆に上流側に位置するようにして配列される。ま
た、2段目1及び2列並びに2段目8列及び9列には第
一のブロック2が配設される。
【0014】また澪筋部(5列)の1段目のブロックの
左右方向に隣接する各2つの列、1段目3、4列と1段
目6、7列には第一のブロック2が配設される。そし
て、1段目2列と1段目8列には、第二のブロック3が
その突条5を下流側に位置させて配設される。更に、1
段目1列と1段目9列には、第二のブロック3がその突
条5を上流側に位置させて配設される。
【0015】第二のブロック3の突条5の奥行き幅と平
坦面6の奥行き幅とがほぼ同一であるために、1段目か
ら3段目までに第一及び第二のブロック2,3を上記の
ようにして配列することにより、中央の澪筋部7に対し
左右対照的に突条が川岸側から澪筋部7に向けて徐々に
下流方向にずれた状態で連続する。また、隣合う第二の
ブロック3の突条5はその断面形状が山型をしているた
めに、端縁同士が離れた状態となり、若干の隙間を生じ
る。突条5を乗り越えない程度の流量の流水も、その一
部がこの隙間を介して下流のブロック上に流れることと
なる。
【0016】本実施例では、斜面上に階段的に連続する
突条に案内された流水が斜面横断方向中央の澪筋部7に
案内され、流量の少ない場合にもこの部分に魚類の遡上
に必要な水深の魚道を確保する。また、突条5を乗り越
えた流水によって、突条下流に流速域を異にする魚類の
多様な遡上路が形成される。また、上記ブロックを配列
するにあたっては、河岸に沿う列を単数あるいは複数列
中央列よりも河床が高くなるようにし、あるいは中央部
に向けて傾斜するように配設すれば、中央部への流水の
案内もさることながら、更に多様な流速域の造出に効果
的である。
【0017】本発明を実施するにあたっては、上記した
実施例で使用したブロックと異なる形状あるいは種類の
ブロックを用いるようにしても良い。図4はその一例に
係るブロックを使用して構築した魚道の説明図である。
この実施例では、上記図2の第一のブロック2と図5の
第二のブロック13と第一のブロック2の奥行き幅が半
分の第三のブロック8(図4参照)とを用いる。第二の
ブロック13は、厚みが第一のブロック2よりも厚く形
成され、その厚い分だけ上方に突出した部分15が上記
実施例の第二のブロック3の突条5と同一の作用を果た
す。また、突出部15の奥行き幅が第一のブロック2と
同じであるため、これらのブロック2,13,8は平面
千鳥状に配設されると共に奥行き幅で半割の第三のブロ
ック8が所定位置において使用される。
【0018】図6は、他例に係るブロックを使用して構
築した魚道の説明図である。この実施例では、第二のブ
ロック23は、その本体上面の前後方向中央に突条25
が突設され、上面の前後部に平坦面26を有する(図7
参照)。また、上面が単に平坦な第一のブロック22と
第二のブロック23は共にその左右幅を異にする2種類
のものから成っている。そして、本実施例では、これら
のブロック22,23は、図6に示すように、突条25
が流水の流れ方向に間隔をおくと共に横断方向に一部重
複し、最終的に澪筋部27に流水を案内集中させるよう
に配設されている。
【0019】図8と図9は、本発明法で使用される更に
別のブロックをそれぞれ示すものである。図8には突起
を有する第二のブロック33と突起を有しない第一のブ
ロック32が示されており、第一のブロック32の上面
全体と、第二のブロック33の突起35が突設されてい
ない上面部分とには、左右幅方向に連続する溝36が多
数形成されている。ブロック32,33が敷設されたと
きに水の流れ方向と直交するこれら多数の溝36によっ
て、両ブロック32,33はその上を流れる水の速度を
更に低減させる。こうした溝は、流水の速度低減に寄与
し得るものであれば、規則的あるいは不規則的な凹凸に
よる粗面であっても良い。図9のブロック43は、上面
適所に自然石44を正面幅方向に複数個並ぶように埋め
込むことにより、突出するこれらの自然石44によって
前記突条と同一の作用を発揮させるようにしたものであ
る。このブロック43を用いることにより、本発明方法
によって構築される魚道は周囲の自然に調和した態様の
ものとなる。
【0020】なお、澪筋部は緩傾斜面の横断方向中央部
に形成される必要はなく、現場の状況等に応じて一方の
岸よりの位置に設けるようにしても良く、突起あるいは
突条は高さの異なるものを数種類用意してこれらを斜面
の適宜の位置に配設するようにしても良い。
【0021】実験例 本発明方法による全断面魚道の機能を確認するため、次
の要領で模型実験を行った(図10〜図12参照)。 開水路:幅50cm 緩傾斜型落差工:勾配1/10、落差9.2cm 敷設ブロック:図11に示す形状で正面幅と奥行き幅と
が共に5.0cmのモルタル製模型ブロック ブロックの配列状態:本発明方法の適用斜面 上記模型ブロックで厚さHが1.7cm、2.5cm、
3.3cmの3種類のブロックを図12に示すように組
み合わせて被覆した。横断方向中央部に厚さの最も小さ
なもの(H=1.7cm)を上流から下流にかけて連続
的に配設し、その左右に3種類のブロックをその突出厚
みによって水流が上記中央部に集中するように配設して
ある。 比較斜面 上記模型ブロックで厚さHが1.7cmのもののみをを
使用して被覆した。 水流の造出:緩傾斜落差工の上流に整流装置を設置し、
2台の水中ポンプによって水流を発生させた(図10参
照)。1台の水中ポンプを稼働させたときを流量が小さ
い場合、2台の水中ポンプを稼働させたときを流量が大
きい場合とする。
【0022】上記との斜面の流水状況を測定したと
ころ、次の結果が得られた。なお、水深はφ1mmのゲ
ージを用いた目視、流速はプロペラ式流速計により測定
した。先ず、流量が小さい場合には、の斜面では、水
深が2〜4mmでほぼ一様であった。このため現地にお
いては流量が小さい時期には魚が遡上するための水深を
十分に確保できない可能性がある。一方、の斜面で
は、流れは斜面上で横断方向の中央部に集中し、上流部
から下流部まで水深10〜18mmの連続した澪筋部が
形成された(図13参照)。このため現地河川では流量
が小さい時期においても平坦な緩傾斜型落差工と比較し
落差工を遡上可能な魚種がかなり増加するものと考えら
れる。さらに落差工斜面上の両岸付近には、澪筋部につ
ながる水深が浅く非常に弱い循環流が形成されている部
分があった。この部分は、泳力の弱い小型魚等の遡上経
路や遡上途中の休憩場所となる。
【0023】次に、流量が大きい場合には、の斜面で
は、流速は、流路の中心部の斜面上流寄りで60cm/
s程度の最大値を示したが、斜面全体上ではほぼ一様
で、その値は最小値で40cm/sであった。一方、
の斜面では、図14に示すように中心部に集められた水
流はの斜面よりも速い流速となった。中心部の斜面下
流寄りでは80cm/s以上の流速を示したが、中心か
ら外れるにしたがって流速は急激に低下し、の斜面に
おける最低流速である40mm/s以上の流速を示した
のは流部の中央部約1/3程度の範囲であった。逆に、
岸側にはの斜面より流速の遅い部分が広がっていた。
従って、現地河川でこの斜面を遡上する魚は、中心部の
流速の速い部分を避けて、自己の遊泳力に応じた岸側の
遅い流れの部分を遡上することができると考えられる。
さらに、速い流れは、魚を集める呼び水の役割を果たす
と同時に、斜面下流端の河床に土砂が堆積することを防
止するため落差工の直近下流に淵を保全することが可能
となる。水は全てのブロックをかなりの厚さで越流して
いたことから、魚はジャンプすることなしに流れの中を
泳いでH=2.5・3.3cmのブロックを使用した突
出部を越えることができる。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、緩傾
斜面に敷設されるブロックの配列により、流水量の変化
に関係なく常に緩傾斜面の横断方向の一部に上流から下
流にかけて連続する澪筋部を形成するので、魚類の遡上
に必要な水深と流速の経路を時期に関係なく確保するこ
とができる。また、本発明によれば、澪筋部に流水を案
内するブロック表面上の突部によって、緩傾斜面の横断
方向に異なる流速域を分布させるので、魚類が自己の泳
力に応じて好みの遡上路を選択でき、しかも流量の比較
的多い場合には流水が上記突部のほとんどを越流するの
で、魚類は斜面をジャンプすることなしに楽に遡上する
ことができる。また、本発明によれば、形態の定まった
ブロックを所定の配置に敷設するだけであるから、多様
な流速域の遡上路を確実、かつ簡単に設計施工できる。
更に、本発明によれば、斜面の最下流部においては澪筋
部に集中した比較的速い流れによってこの部分への土砂
の堆積が防止されるため魚道としての作用を、阻害する
ことがなく、場合によってはこの部分に魚類の生息にと
って良好な環境とされる淵を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る方法を適用して構築し
た全断面魚道の外観説明図。
【図2】図1の魚道構築に用いられる第一のブロックの
斜視図。
【図3】図1の魚道構築に用いられる第二のブロックの
斜視図。
【図4】本発明の他の実施例に係る方法を適用して構築
した全断面魚道の外観説明図。
【図5】図4の魚道構築に用いられる第二ブロックの斜
視図。
【図6】本発明の更に別の実施例に係る方法を適用して
構築した全断面魚道の外観説明図。
【図7】図6の実施例に用いられる第二ブロックの斜視
図。
【図8】本発明に用いられる別のブロックの斜視図。
【図9】本発明に用いられる更に別のブロックの斜視
図。
【図10】本発明の機能を確認するための実験例の構成
断面図。
【図11】図10の実験に用いられる模型ブロックの斜
視図。
【図12】図10の実験に際し、図11の模型ブロック
を厚みの異なるものを3種類用意し、これらを斜面に配
列した状態の平面図。
【図13】図12の模型ブロックの配列状態において、
流量が小さい流水の水深分布を示す図。
【図14】図12の模型ブロックの配列状態において、
流量が大きい流水の流速分布を示す図。
【図15】従来の階段式全断面魚道の外観説明図。
【図16】従来の粗石付き曲斜面式全断面魚道の外観説
明図。
【符号の説明】
1・・・・・・・・・・・・・・・・緩傾斜面 2,22,32・・・・・・・・・・第一のブロック 3,13,23,33,43・・・・第二のブロック 5,25・・・・・・・・・・・・・突条 6,26・・・・・・・・・・・・・平坦面 7・・・・・・・・・・・・・・・・澪筋部

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】河川の所要位置の上流側から下流側にかけ
    て、必要幅の緩傾斜面を形成し、 この緩傾斜面にブロックを敷設し、 これらのブロックは、厚みの異なるブロックの組み合わ
    せやその上面に設けられた突出部と平坦面との組み合わ
    せによって、流量の少ないときには上記緩傾斜面の横断
    方向の一部に流水を集中させて上流から下流にかけて連
    続する澪筋部が形成され、かつ流量の多いときには澪筋
    部の外側の流水に抵抗を与えて緩傾斜面の横断方向に異
    なる流速域が分布されるように、配設されている、 ことを特徴とする全断面魚道の構築法。
  2. 【請求項2】前記緩傾斜面の横断方向ほぼ中央部に上記
    流量の少ないときに流水が集中される部分を設け、この
    部分には上流から下流にかけて平坦面が連続するようブ
    ロックを配設し、 このブロックの左右両側方に、これよりも厚みの厚いブ
    ロックあるいは上記突出部を有するブロックを、その突
    出厚み分あるいは突出部が、流量の少ないときには流水
    を上記集中部分に案内する一方、流量の多いときには流
    水に抵抗を与えて横断方向に異なる流速域を分布させる
    よう、配設した、 ことを特徴とする請求項1に記載の全断面魚道の構築
    法。
  3. 【請求項3】前記ブロックは、上面が平坦な第一のブロ
    ックと、上面にその左右幅方向に延びる突起が突設され
    た第二のブロックとの2種類のブロックから成り、 上記第一のブロックを緩傾斜面の横断方向中央部に上流
    から下流に向けて連続的に敷設し、 また、第一のブロックと第二のブロックとを第二のブロ
    ックの突起が岸側から上記横断方向中央部に向けて下流
    方向に少しずつずれるようにして敷設することにより、
    緩傾斜面に前記した異なる流速域と澪筋部への集中案内
    路とが形成されるようにした、 ことを特徴とする請求項2に記載の全断面魚道の構築
    法。
  4. 【請求項4】前記ブロックは、上面が規則的もしくは不
    規則的な凹凸により粗面を成す第一のブロックと、上面
    の一部に左右幅方向に延びる突起を有し、かつ上面の他
    部に上記第一のブロックの上面と同様な粗面を有する第
    二のブロックとの2種類から成り、 上記第一のブロックを緩傾斜面の横断方向所定位置に上
    流から下流に向けて連続的に敷設して前記澪筋部とし、 また、第一のブロックと第二のブロックとを第二のブロ
    ックの突起が岸側から上記澪筋部に向けて下流方向に少
    しずつずれるようにして敷設することにより、緩傾斜面
    に前記した異なる流速域と澪筋部への集中案内路とが形
    成されるようにした、 ことを特徴とする請求項1に記載の全断面魚道の構築
    法。
  5. 【請求項5】前記第二のブロックが前記突起の高さを異
    にする複数種類のブロックから成り、 高さの異なる突起を前記澪筋部に向けて下流方向に斜め
    に連続するように上記第二のブロックを敷設する、 ことを特徴とする請求項3もしくは請求項4に記載の全
    断面魚道の構築法。
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