JP2762913B2 - 固体還元剤を内装した粉鉄鉱石の塊成化物を還元する方法 - Google Patents

固体還元剤を内装した粉鉄鉱石の塊成化物を還元する方法

Info

Publication number
JP2762913B2
JP2762913B2 JP2851594A JP2851594A JP2762913B2 JP 2762913 B2 JP2762913 B2 JP 2762913B2 JP 2851594 A JP2851594 A JP 2851594A JP 2851594 A JP2851594 A JP 2851594A JP 2762913 B2 JP2762913 B2 JP 2762913B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
reduction
oxygen
agglomerate
furnace
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2851594A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07238307A (ja
Inventor
邦宜 石井
健 杉山
明 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2851594A priority Critical patent/JP2762913B2/ja
Publication of JPH07238307A publication Critical patent/JPH07238307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2762913B2 publication Critical patent/JP2762913B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Manufacture Of Iron (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体還元剤を内装させた
粉鉄鉱石の塊成化物を高温還元して金属鉄を製造する方
法に関し、詳細にはこの還元を効率良く進めて還元所要
時間を短縮することのできる高能率還元方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】固体還元剤を粉鉄鉱石と混合して製造し
た塊成化物(以下単に生ペレットと言うことがある)を
原料とし、これを高温に加熱還元して固体状金属鉄とす
る方法は公知である。例えば米国特許第3,443,9
31号にはロータリーハース炉を使って金属鉄を製造す
る方法が記載されており、近年はMIDREX−DR社
がこれを更に改良発展させたプロセスを開発している
(同社四季報)。またペレットを高温に加熱したときの
基礎特性についても、島崎らによる報告[鉄と鋼:59
p17(1973)]を始めとして多数の研究が展開
されている。
【0003】これら従来技術の内、本発明の還元プロセ
スと最も深い関係を有すると思われるのは前記米国特許
である。そこで以下この従来技術に係る還元プロセスを
説明する。この米国特許では固体還元剤として例えば石
炭、褐炭、無煙炭、コークス等の炭素含有物質(以下、
炭材と略称)を用い、これを10〜20重量%含有する
生ペレットを調製する。この生ペレットを原料とし、可
撚性揮発成分(以下VMと略記)が発火しない安全温度
域(実施例では315℃以下)に加熱乾燥して付着水を
除去する。
【0004】得られた乾燥ペレットを、燃焼排ガスに5
重量%以下の燃料成分を配合した混合ガス雰囲気下に置
き、炉内温度982〜1204℃で1〜3分間予熱す
る。予熱工程ではVMの急速な発生と除去、発生したV
Mによるペレットと雰囲気ガスの隔離、更には次工程
(還元工程)における急速な金属化促進の準備がなされ
る。次の還元工程の雰囲気は、燃焼排ガスに10重量%
以下の燃料成分を配合した混合ガスに変更され、炉内温
度1260〜1427℃で4〜12分間加熱還元を行
い、金属化を進める。上記還元反応は吸熱的に進行する
ものであるから、炉内温度が1260〜1427℃であ
っても、ペレットの表面温度は1093〜1149℃に
おさまる。こうして金属化が進行すると、雰囲気ガス組
成を、燃焼排ガスに10重量%以上の燃料成分を配合し
た混合ガスに変更し、上記と同温度で更に1〜3分間加
熱する。このとき還元の終ったペレット表面は1204
〜1260℃に加熱され、金属鉄間結合の形成が進行し
てペレットが収縮する。その後炉内温度を1093〜1
149℃に下げて10〜15秒間冷却し、最後に炉外へ
排出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は理論上
優れたものであるが、幾つか改良すべき点が残されてお
り、その内の一つとして還元総所要時間の短縮が挙げら
れる。従って本発明の目的は、ペレット温度を短時間の
うちに効率良く上昇させて速やかに還元ステップへ進行
させることができる様な手段を確立しようとするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明は、固体還元剤を内装させた粉鉄鉱石の
塊成化物(前記生ペレット)を還元炉へ投入した後、該
生ペレットに由来する可燃性物質を利用して、即ち該可
燃性物質を積極的に燃焼させることによって生ペレット
の表面温度を速やかに還元適正温度へ到達させる様にし
たことを基本的要素とするものである。即ち請求項1に
示した本発明の要点は、生ペレットを高温還元するに当
たり、予め付着水の除去された生ペレットを、投入口温
度が該生ペレット中の可燃性揮発成分(前記VM)の揮
発温度以上に加熱された炉内へ装入し、該装入の時点か
ら還元率が30%に達するまでの任意の時間は炉内の上
記生ペレット表面へ空気等の酸素含有ガスを供給し、次
いで酸素含有ガスの供給を停止すると共に、該生ペレッ
トの表面温度が1250℃以上となる様に加熱して還元
することにより金属鉄を製造するものである。前記投入
口温度は、投入された生ペレットを直ちに昇温させ、且
つ前記VMの速やかな揮発を促すという意味において高
温であることが望ましく、例えば前記米国特許記載の従
来技術において説明した315℃以上であることが望ま
しく、より好ましくは400℃以上、一層好ましくは1
000℃以上とすることが推奨される。ここに示した温
度条件は、生ペレットを予熱するという観点から示した
ものであるが、予熱を省略していきなり還元適正温度の
雰囲気下に投入することも可能であり、かかる観点から
は、投入口温度を1250℃以上、更に好ましくは12
60℃以上の高温に加熱した炉内へ投入して行うことも
本発明においては推奨することができる。
【0007】本発明の別の好ましい実施態様について説
明する。まず加熱された炉内の上記生ペレット表面へ供
給する酸素含有ガスは、上記生ペレット中のVMと、
還元率が30%に至るまでの任意の時間に生成するC
O成分と、上記生ペレット表面層に存在する炭素の一
部または全部とを燃焼させるに必要な量の酸素とするこ
とが望まれる。要はこれらの可燃性物質を生ペレット表
面で燃焼させることによって、生ペレット表面が還元適
性温度まで高められるまでの時間を短縮することに資す
ることを意図するものである。この様な方法によって、
例えば生ペレット投入完了後2分以内という短時間内
に、生ペレットの表面温度を1260〜1370℃とい
う還元適性温度に高めることが可能となるのである。
【0008】生ペレット装入の時点から還元率が30%
に達するまでの任意の時間については、還元炉の規模、
加熱効率の良否、投入生ペレットの量等の各種操業条件
によって異なるが、一般的には、装入終了後3分程度ま
でを目安とすればよい。こうして還元が進行して金属鉄
の生成量が増えてくると、上記生ペレットから発生する
CO+CO2 の総濃度が次第に低下してくる。そこでこ
の濃度が5%以下に低下した時点を還元工程の実質的終
了点とみて炉内温度を1170℃以下とし、次いで炉外
へ排出すれば、効率よく全工程を終了することができ
る。
【0009】
【作用】還元反応の全所要時間を短縮するという課題を
達成する為には、還元反応自体を効率良く進行させる様
な条件を探究することも一法であるが、本発明者らは、
還元適正温度へ到達するまでの昇熱所要時間を短縮する
ことを当面の課題と定めた。
【0010】昇熱時間を短縮する手段としては、第1番
に還元炉の加熱手段や加熱効率を改善することが考えら
れるが、耐火壁を使用する炉体を対象としているため熱
伝導率の低さからくる限界があり、また炉壁からの熱放
散量も多い為、装置の大幅改築や供給熱量の増大が前提
となり、経済的とは言えない。
【0011】そこで本発明者らは、生ペレットをできる
だけ早期に高温雰囲気下に曝すことにより、可及的短時
間に昇熱させていくことを考えた。即ち生ペレットに付
着している水分を、例えば低温排ガスを利用してVMが
揮発しない程度の温度(例えば315℃以下)に加熱し
て除去しておいた後、これをいきなり1250℃以上、
場合によっては1260℃以上(投入口温度)に加熱さ
れた炉内へ装入する様な基礎実験を行なってみたとこ
ろ、従来恐れられた様な下記不都合は全く生じないこと
を知見した。
【0012】即ち従来は生ペレットを急速加熱すると生
ペレット内部から急激にVMが発生・放散されて生ペレ
ットが崩壊するということが懸念され、これを防ぐ為に
982〜1204℃での予備加熱が必要とされてきたの
である。ところが例えば粉鉄鉱石(−325メッシュ:
95%)に1.3%のベントナイト及び19%の炭材を
添加して作った生ペレットを予備乾燥した後、1288
℃に加熱した試験用電気炉(直径:20mm)へいきな
り装入して急速昇温を図ったものについて仔細に検討し
たところ、生ペレット中に大きなクラックは発生してい
たが、安定な製造工程の進行に悪影響を与える程の粉化
は生じていないこと及び生ペレット表面温度の急速上昇
が可能であることが観察された。この理由は、炭材中の
VMが放出された後に多くの空隙が形成され、これが緩
衝的に作用して粉化を抑制する為であると考えられる。
【0013】そこで電気炉の温度を更に高めて1344
℃とした場合について同様の試験を行ったところ、やは
り粉化は生じておらず、しかも生ペレット表面温度は一
層速やかに上昇することが確認できた。この様なところ
から生ペレットの急速昇温、場合によっては予熱ステッ
プを省略していきなり還元適正温度に高めることが可能
であることを知った。即ち予熱工程を行なう場合におい
ては、予熱時間の短縮、更に予熱後の還元適正温度への
到達時間の短縮、また予熱を行なわず一気に還元適正温
度へ到達させる場合においては、昇温の全所要時間の短
縮が夫々達成可能であることを知ったのである。
【0014】また従来の技術では、予熱ステップ中に生
ペレットが酸化されることは不都合であるとの観点か
ら、予熱雰囲気は燃焼排ガスを主体とし、これに5%以
下の燃料成分(例えばCO+H2 )を混合したガス組成
にすることが必要とされてきた。本発明者らの研究によ
ると、この雰囲気組成では予熱によって生ペレットから
ガス化して発生してきた気化VMは雰囲気ガス中に拡散
していることが分かっている。ところで前記した様な生
ペレット表面の急速昇温が望まれ、且つそれによっても
格別の不都合が生じないならば、多くのCOとH2 を含
む可撚性成分たる上記気化VMを、単に雰囲気ガス中に
拡散させてしまうのではなく、生ペレット表面に出てき
たところでこれを燃焼させる様に操業すれば、生ペレッ
トに対して極めて効率的に熱を与えて、より一層急速に
昇温させることが可能になるのではないかとの着想を得
るに至った。そこで本発明では昇温過程にある生ペレッ
トの表面に酸素含有ガスを供給して上記VMを生ペレッ
ト表面で燃焼させることとした。尚生ペレット表面層に
は内装させた炭材の一部が存在しており、また昇温に伴
って急速に還元が進みCOの発生も認められる様になる
が、これらの炭材やCOも可燃性であり、酸素含有ガス
の供給によって燃焼する。結局本発明ではVM,CO,
表面層中炭材の一部または全部が生ペレット表面部で燃
焼することになるので、生ペレットへの積極的な熱付与
が行われ、生ペレットの温度上昇、従って全還元工程所
要時間の短縮に大きく寄与することができるのである。
【0015】Fe23 やFe34 からFeOを経由
してFeに到達させることを本質とする本発明の如き還
元操業においては、酸素ガスを供給することは従来回避
するのが当然と考えられてきた。しかるに本発明では昇
熱の初期過程において積極的に酸素ガスを供給してお
り、これにより全工程的に不都合を生じず還元の為の総
所要時間を短縮することに成功しており、このことは実
に驚くべきことと言わなければならない。
【0016】こうして本発明では昇温されつつある生ペ
レットの表面に酸素含有ガスを供給してVM,CO,表
面層中炭材の一部または全部を燃焼させるのであるが、
酸素含有ガスとしては空気または空気組成より若干富酸
素もしくは貧酸素に調整されたガスが使用される。この
様な酸素含有ガスは生ペレット装入と同時に供給を開始
することを基本とするが、VMやCO等の発生開始タイ
ミングを見計って若干の時間差を置いてから供給を開始
して良い。例えば後述する図4,5の実施例では生ペレ
ット装入完了後、数十秒を置いて酸素含有ガスを供給し
ている。或は生ペレット装入に先立って酸素ガスの供給
を開始しても差支えない。
【0017】酸素含有ガスの供給は上記主旨の如く生ペ
レットの温度上昇を促進させるのが主目的であるから、
上記燃焼の助けを借りて生ペレット温度が速やかに昇温
し、還元適性温度またはその近傍にまで到達したとき
は、酸素含有ガスの供給を停止すれば良い。停止の好適
時期は、生ペレットの還元率が30%に到達する迄とす
る。ここで言う還元率30%の段階は、粉鉱石原料のF
23 やFe34 の一部がFeOまで還元される段
階であり、未だ金属鉄への還元は進んでいない状況であ
る。そして金属鉄への還元が進行する段階では還元率が
30%を超えるということが分かっている。即ち還元率
30%を超えて更に酸素含有ガスの供給を続けること
は、生ペレットの還元を目的とする本工程の主旨から見
て不利益要因となり得る。従って酸素含有ガスの供給
は、遅くとも還元率30%をもって終点とすべきであ
る。還元率30%に至るまでに供給される全酸素量は、
前記VM,CO,表面層中炭材の一部または全部を完全
燃焼させるに必要な理論的酸素量を基準とし、この基準
量以上の酸素を供給することが望まれる。
【0018】一方各種操業条件の影響によっては、還元
率がより低い時点でもペレット表面温度を希望レベルま
で高め得る場合があり、この様な好適条件下での操業の
場合は、還元率20%をもって酸素含有ガスの供給終点
とすることができる。ところでここで言う還元の進行度
を、操業の都度サンプリングして検知することは工業生
産の観点からみて必ずしも好ましいものではない。従っ
て操業実績を重ねながら学習を行なうことにより、各炉
体特性や各種操業因子毎に最適終点到達時間を知得する
ことが推奨される。種々検討した結果によれば、生ペレ
ット装入終了後3分前後に最適終点が現れることが多い
ので、上記3分を酸素含有ガスの供給中止点と定めて、
或は適時これを修正して実操業を行なうことが推奨され
る。
【0019】FeOからFeへの還元反応は吸熱的に進
行する。従って酸素含有ガスを供給して該還元反応を進
める過程においては、炉内温度が若干高めに推移しても
ペレット表面温度はそれより低くなる。そして還元適正
温度は1250℃以上、好ましくは1260℃以上であ
り、一方上限については1370℃以下、好ましくは1
340℃以下と考えられるので、ペレット表面温度がこ
れらによって定められる所望温度範囲を維持する様に、
炉内温度をそれより高めに調整することが推められる。
【0020】こうして高熱下での還元が進行していく
が、還元の終点をどの様に定めるかは工業上重要な管理
項目となる。還元が完了していることを知らずに前記の
様な高温寄りの温度制御を続けていると、燃料の無駄で
あるばかりか、ペレットから多量の融液が流出・凝固し
て炉内排出作業に支障を来すという問題があり、これを
恐れて早過ぎる時点で炉内温度を下げてしまうと、還元
不足となって金属鉄の品質が悪いものとなる。そこで本
発明ではペレット表面のガス組成を分析し、CO+CO
2 の総濃度が5%以下まで下った時点を還元反応停止の
好タイミングであると判断し、炉内温度を融液が存在し
ない温度、即ち1170℃以下に低下させることとし
た。
【0021】
【実施例】表1〜3に示す化学組成及び表4に示す粒度
をもつ鉄鉱石(表1)、石炭(表2)、ベントナイト
(表3)を、表5の割合で混合し、パン型ペレタイザー
で直径20mmの生ペレットに形成した。この時の添加
水分は9%である。この生ペレットを110℃に加熱
し、水分を90%以上除去し乾燥ペレットを得た。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】次にこの乾燥ペレットを白金線製の籠に入
れ、所定温度に加熱した電気炉(反応管径40mm)
(図1参照)中へ速やかに挿入する。雰囲気はアルゴン
ガスを1.5リットル/minの流量で下部から上方へ
流している。酸素を添加するときは初期2分はアルゴン
1.6リットル/minと酸素0.4リットル/min
の混合ガスとし、それ以降の10分はアルゴン1.6リ
ットル/minのみとした。
【0028】電気炉温度は反応管中央部のアルミナ・ボ
ールを充填層内で測定した温度である。また該アルミナ
ボールをペレット層表面に接触させて表面温度も平行し
て測定している。還元率は、導入ガスおよび排出ガスの
各流量をガス組成より算出した。さらに、反応中の形
状、融液生成挙動を調査するため、X線透過像を観察し
た。試験条件を表6に示す。
【0029】
【表6】
【0030】ヘマタイト鉱石ペレットとマグネタイト鉱
石ペレットを、温度1288℃、アルゴン雰囲気の電気
炉に投入し、12分間加熱した。この結果から、鉱石種
による影響を調べた(試験2、3)。またマグネタイト
鉱石ペレットを使って、酸素ガス添加の効果を調査し
た。即ち温度を1288℃として、全行程をアルゴン雰
囲気で維持した場合と、加熱初期2分間のみをAr/O
2 =80/20とし、その後はアルゴンのみにした場合
で比較した(試験3、4)。加熱温度の影響を明らかに
するため、炉内温度1340℃(試験6)、および12
57〜1350℃間の昇温試験(試験5)を行った。試
験結果を以下に示す。
【0031】a.鉱石種の影響 ヘマタイト鉱石ペレットとマグネタイト鉱石ペレットを
加熱したときの還元率とペレット表面温度の時間変化を
図2、3に示す。この結果、ペレット表面温度は両ペレ
ット間で差異を認められなかったが、還元率ではマグネ
タイト鉱石ペレットの方が高い値を示す。
【0032】この様な還元率差が現れた理由は以下のご
とく考えられる。即ちこの条件で起こっている還元反応
は吸熱反応であり、鉄原子当たりの反応エネルギーがヘ
マタイトよりマグネタイトの方が5690cal/mo
l少ない。このため、マグネタイト鉱石ペレットでは内
部の温度低下が少なく反応が進み易い状態になっている
と考えられる。
【0033】b.酸素添加の影響 試験3、4について還元率と表面温度の時間変化を図
4、5に示す。ペレットを炉内の所定位置に装入する
と、約1分後に還元が進み始める。酸素がペレット表面
へ供給されている約1〜3分では試験3、4の間で類似
した還元率を示したが、酸素の供給が停止された約3分
以降では、試験4は試験3に比べて非常に大きな還元反
応速度を示す。
【0034】この時の試験4のペレット表面温度は図5
のごとくであり、酸素ガスボンベの元コック開栓後40
秒までは試験3と同じ温度を示したが、その後、2分4
0秒まで大きな昇温速度を示し、酸素の供給が停止した
後も約20℃高い温度を維持する。このことから、酸素
ガスは元コック開栓後数十秒でペレット表面に至り、そ
の時点以後にVM、CO、表面層中炭材の燃焼が実質的
に開始し、ペレット温度が急速に上昇したものと思われ
る。
【0035】同じ試験におけるそれぞれの排ガス中C
O,CO2 濃度を図6、7に示す。アルゴンのみの雰囲
気ではCO,CO2 濃度が最高値を示すときのCO/C
2 =3/2となり、CO分圧の高いガス組成であるこ
とが分かる。一方酸素を添加した場合では、アルゴンの
みの場合に比べてCOは半量になり、CO2 は4.6倍
に増加している。
【0036】以上の実験結果より、高還元速度が得られ
た理由を以下のごとく整理した。即ちペレットが加熱さ
れる過程でその表面へ酸素が供給されると、炭材から発
生するVM、還元反応により発生するCOガス、およ
び、ペレット表面層の固体炭素が燃焼する。この燃焼は
ペレット近傍で起こるため、ペレット温度の上昇に大き
く寄与し、熱供給律速である直接還元反応を促進する。
【0037】また酸素供給時に酸化が進まず、アルゴン
雰囲気と同じ還元率を示した理由は以下のごとく考えら
れる。即ちアルゴン雰囲気では、 Fe23 +C=2FeO+CO (1) Fe23 +CO=2FeO+CO2 (2) CO2 +C=2CO (3) の各反応がほぼ同時に起こるが、反応初期にはペレット
温度が低いため、(1)のCO生成反応がそれほど活発
でなく、初期排ガス組成はCO/CO2 =3/2とCO
2 分圧が比較的高い。従って上記排ガス雰囲気では、酸
化鉄はFeOまでの還元に留まり、金属鉄は安定しない
ため低い還元率に留まる。
【0038】一方酸素が存在すると、発生したCOおよ
びペレット表面層中の炭材が燃焼することによってペレ
ット温度が上昇し、それによってCO発生反応が促進さ
れる。しかしペレット表面では燃焼反応によりCO/C
2 =5/23とCO2 分圧が高くなるため還元反応の
進行が妨げられ、同様に低い還元率に留まる。次に、酸
素の供給停止後還元速度が急激に上昇する理由はCO2
分圧の低下とペレット温度の上昇によるものと考えられ
る。
【0039】c.加熱温度の影響 図2、3より、ペレット表面温度が1160℃になって
から還元反応が進み始めることが分かる。また反応速度
が極大になるのはペレット表面温度が1250℃以上で
あり、特に図4、5より1260℃以上にすることが好
ましいことが明瞭である。
【0040】炉内温度について、1288℃(試験4)
と1340℃(試験6)の場合を比較する。炉内温度1
340℃では、ペレット表面温度(図8)も1300℃
以上の高温になっているが、還元率(図9)は炉内温度
1288℃のときと類似した速度を示す。即ち、加熱温
度が高すぎると脈石の溶融、酸化鉄の凝集・粗大化がお
こり、ガス還元が抑制されると推定する。
【0041】また、図9を見ると、酸素添加後期には還
元速度の上昇が停滞している。これは、ペレット表面が
高温になり気孔が閉塞されたためと考えられる。したが
って、適切な炉内温度と酸素添加時間のあることが分か
る。
【0042】d.反応中のペレット形状の変化 電気炉内の温度を1257℃から1350℃へ昇温した
ときの形状をX線で追跡観察した結果を図10(図面代
用写真)の(A)〜(E)として示す。この結果より、
1257℃の炉内へ投入しても、大きなクラックは発生
しているものの、粉化には至っていない。
【0043】また、ペレット内に大きな融液層が現れる
のは還元率が100%近くの点である。さらに、このと
きの、廃ガス組成を測定するとCO+CO2 が5%以下
であることが明らかになった。このような、廃ガス組成
は試験条件が異なっても類似していることが明らかにな
っている。
【0044】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているの
で、ペレットの昇熱過程でペレット表面に供給された酸
素含有ガスがVM,CO及び表面層中炭材を燃焼させ
る。従ってペレット温度は好適に上昇し、還元の為の全
所要時間を有意に短縮することができる様になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】高温加熱反応炉の概略図。
【図2】還元率変化に及ぼす鉱石種の影響。
【図3】異なる鉱石種の反応時におけるペレット表面温
度。
【図4】還元率変化に及ぼす酸素添加の影響。
【図5】ペレット表面温度に及ぼす酸素添加の影響。
【図6】アルゴン雰囲気で加熱したときの排ガス中C
O,CO2 の変化。
【図7】反応初期に酸素を添加したときの排ガス中C
O,CO2 の変化。
【図8】還元率変化に及ぼす炉内温度の影響。
【図9】ペレット表面温度におよぼす炉内温度の影響。
【図10】加熱中のペレットのX線写真(試験5)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21B 11/00 C22B 5/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固体還元剤を内装させた粉鉄鉱石の塊成
    化物を高温還元するに当たり、予め付着水の除去された
    塊成化物を、投入口温度が該塊成化物中の可燃性揮発成
    分の揮発温度以上に加熱された炉内へ装入し、該装入の
    時点から還元率が30%に達するまでの任意の時間は炉
    内の上記塊成化物表面へ酸素含有ガスを供給し、次いで
    酸素含有ガスの供給を停止すると共に、該塊成化物の表
    面温度が1250℃以上となる様に加熱して還元するこ
    とにより、金属鉄を製造することを特徴とする粉鉄鉱石
    の塊成化物を還元する方法。
  2. 【請求項2】 付着水が除去された後予熱工程を経ない
    上記塊成化物を、投入口温度が1250℃以上に加熱さ
    れた炉内へ投入して行う請求項1に記載の還元方法。
  3. 【請求項3】 加熱された炉内の上記塊成化物表面へ酸
    素含有ガスを供給するに当たっては、上記塊成化物中の
    可燃性揮発成分と、還元率が30%に至るまでの任意の
    時間に生成するCO成分と、上記塊成化物表面層に存在
    する炭素の一部または全部とを燃焼させるに必要な量の
    酸素を供給する様に制御する請求項1または2に記載の
    還元方法。
  4. 【請求項4】 上記塊成化物から発生するCO+CO2
    の濃度が5%以下に低下した時点で炉内温度を1170
    ℃以下とする請求項1〜3のいずれかに記載の還元方
    法。
JP2851594A 1994-02-25 1994-02-25 固体還元剤を内装した粉鉄鉱石の塊成化物を還元する方法 Expired - Lifetime JP2762913B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2851594A JP2762913B2 (ja) 1994-02-25 1994-02-25 固体還元剤を内装した粉鉄鉱石の塊成化物を還元する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2851594A JP2762913B2 (ja) 1994-02-25 1994-02-25 固体還元剤を内装した粉鉄鉱石の塊成化物を還元する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07238307A JPH07238307A (ja) 1995-09-12
JP2762913B2 true JP2762913B2 (ja) 1998-06-11

Family

ID=12250829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2851594A Expired - Lifetime JP2762913B2 (ja) 1994-02-25 1994-02-25 固体還元剤を内装した粉鉄鉱石の塊成化物を還元する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2762913B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998021372A1 (fr) * 1996-11-11 1998-05-22 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Procede et dispositif de fabrication de fer reduit
WO2009008270A1 (ja) * 2007-07-10 2009-01-15 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 炭材内装酸化鉄塊成化物及びその製造方法
JP5423645B2 (ja) * 2010-10-14 2014-02-19 新日鐵住金株式会社 還元鉄の製造方法
KR101460198B1 (ko) * 2012-11-07 2014-11-10 주식회사 포스코 환원철 제조 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07238307A (ja) 1995-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW495552B (en) Method of producing reduced iron pellets
TWI298350B (en) Method for manufacturing titanium oxide-containing slag
US4239530A (en) Process for producing metallized iron pellets
CN1327072A (zh) 金属铁的制造方法及装置
JP7035687B2 (ja) 回転炉床炉を用いた還元鉄の製造方法及び回転炉床炉
US5423951A (en) Process of continuously making coke of high density and strength
US3150958A (en) Process for the reduction of metals from oxide
JP6374468B2 (ja) 含炭塊成鉱、含炭塊成鉱の製造方法及びその製造装置
JP2762913B2 (ja) 固体還元剤を内装した粉鉄鉱石の塊成化物を還元する方法
US3093474A (en) Process of reducing metal oxides
JPH1053820A (ja) 鋼ダスト、スラッジ及び/又は鉱石の金属化合物類の処理方法
WO2012149668A1 (zh) 二步法生产还原铁粉的工艺
CA1113256A (en) Waelz process of volatilizing zinc and lead from iron oxide containing materials
JP3301326B2 (ja) 還元鉄の製造方法
JP2002285213A (ja) 金属含有物からの還元金属の製造方法
JP3700248B2 (ja) 還元鉄製造用ペレット及び還元鉄製造方法
KR100398278B1 (ko) 저 산화도 소결광 제조 방법
JP4214111B2 (ja) 部分還元鉄の製造方法及び部分還元鉄製造用竪型シャフト炉
JP4636666B2 (ja) 酸化クロム含有ダストの加熱炉での処理方法
JP4379083B2 (ja) 半還元塊成鉱の製造方法
RU2379356C2 (ru) Способ восстановления ильменитового концентрата
JPH10251723A (ja) 還元鉄の製造方法
US4082542A (en) Copper precipitate agglomerization process
JPH1161217A (ja) 還元鉄製造方法および装置
KR20180062528A (ko) 휘발물질을 포함하는 탄재를 포함하는 탄재 내장 브리켓 및 산화분위기에서의 이의 환원방법

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980224

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080327

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090327

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100327

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100327

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110327

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140327

Year of fee payment: 16

EXPY Cancellation because of completion of term