JP2762775B2 - 分光測定方法 - Google Patents

分光測定方法

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JP2762775B2
JP2762775B2 JP3150038A JP15003891A JP2762775B2 JP 2762775 B2 JP2762775 B2 JP 2762775B2 JP 3150038 A JP3150038 A JP 3150038A JP 15003891 A JP15003891 A JP 15003891A JP 2762775 B2 JP2762775 B2 JP 2762775B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光源からの光や物体の
反射光などの分光分布を測定するための分光測定方法に
関するもので、光源の光色、演色性を評価したり、物体
色の測定など、そのスペクトルに対する効果量の評価に
使用するものである。
【0002】
【従来の技術】光源のエネルギー量や光色、演色性を評
価したり、物体色の測定に分光測定を使用する場合、ス
ペクトルの波長分解能よりも測定におけるエネルギー積
分の精度の向上が重要となる。すなわち、波長分布の細
部の形状より、適当な波長区分に対する放射のエネルギ
ー強度を、いかに正確にとらえるかが課題となる。これ
には、使用する分光器のスペクトル帯域半値幅と測定波
長サンプリング間隔を一致させることで実現される。従
来の分散素子駆動型モノクロメータでは、たとえばプリ
ズムモノクロメータでは分散曲線とと波長目盛りが一致
するため、機械幅を等間隔送りで測定した。このとき、
短波長部分と長波長部分では、線分散の大きさがかなり
異なるが、隣合う測定波長位置での分散の差は、大きな
変化がないものとして行なった。また、分散素子駆動型
の回折格子モノクロメータでは、サインバー機構の導入
により、分散曲線と波長目盛りは独立している。しかし
回折格子モノクロメータの分散は、プリズムのそれに比
べて直線に近く、また、分光測定の途中で分散の変化に
合わせてスリット幅を機械的に修正することが難しいた
め、分散の変化を無視して分光測定をおこなってきた。
【0003】先に述べた分散素子駆動型モノクロメータ
では測定時間がかかるため、近年、分光分散光学系と受
光素子アレイを組み合せ、測定対象物からの光スペクト
ルを短時間に測定する分光測定器が使用されるようにな
ったが、測定サンプリング間隔に相当する受光素子の機
械的間隔と、分散とが独立しているため、受光素子アレ
イの面上での分散の非直線性が大きく、スペクトル帯域
半値幅と測定波長サンプリング間隔が一致せず、先に述
べた分散素子駆動型モノクロメータに比べて測定誤差が
大きいという問題点があった。
【0004】上記に述べたように、分光分散光学系と受
光素子アレイを組み合せ、測定対象物からの光スペクト
ルを短時間に測定する分光測定器では、測定サンプリン
グ間隔に相当する受光素子の機械的間隔と、分光分散光
学系の分散とが独立している。このため、受光素子アレ
イの面上での分散の非直線性が大きく、スペクトル帯域
半値幅と測定波長サンプリング間隔が一致せず不整合が
生じるため、光源のエネルギー量や光色、演色性を評価
したり、物体色の測定に分光測定を使用する場合、誤差
を生ずる。
【0005】いま、モノクロメータのスペクトル帯域特
性の波長半値幅を5nm に設定し、波長546.1nmの水銀輝
線を測定した場合を考える。モノクロメータの波長を54
5nmおよび550nmに設定したとき、そのスペクトル帯域特
性は図1のようになる。水銀輝線のエネルギーをP=10
0mW・m-2 としたとき、設定波長が545nmおよび550nmのと
きの測定値は、(数1)、(数2)よりもとめられる。
【0006】
【数1】
【0007】
【数2】
【0008】逆に、このときの測定値P(545)、P(550)
から区分求積によりPを求めると(数3)のようにな
る。
【0009】
【数3】
【0010】となる。すなわち、モノクロメータのスペ
クトル帯域特性が理想的な二等辺三角形であれば、スペ
クトル帯域特性の波長半値幅と測定における波長サンプ
リング間隔を一致させることにより、先に示した重価積
分を精度よく行なうことができる。
【0011】これに対し、スペクトル帯域特性の波長半
値幅と測定における波長サンプリング間隔が一致しない
場合を考える。上記の例で、波長サンプリング間隔5n
m、入射スリット波長幅5nm、に対して出射スリット波長
幅を7nmに設定すると、モノクロメータのスペクトル帯
域特性は図2に示す様に帯域半値幅9nmの台形となる
(図の放射照度の目盛りは、この台形のスペクトル帯域
特性と、先に示した理想的な二等辺三角形を成すスペク
トル帯域特性の面積が等しくなるよう正規化したもので
ある)。このとき、放射照度100mW・m-2の波長546.1nm水
銀輝線の測定値は、設定波長が545nmおよび550nmにおい
て、それぞれ97mW・m-2と42mW・m-2で、水銀輝線の放射照
度測定値が139mW・m-2となり真値に対して39%の誤差を生
じる。
【0012】また、照度や色度などの効果量を求めるた
めには、分光測定の結果と、視感度曲線や等色関数など
の分光効果曲線とのたたみこみ積分を行う。このとき、
これらの分光効果曲線の波長サンプリング間隔(たとえ
ば、等色関数に関しては、JISZ8724-1983で
は、波長サンプリング間隔5nmで算出することが示さ
れている。)と、測定波長サンプリング間隔が異なる場
合、両者の整合を取らなければならない。たとえば、5
12チャンネルのホトダイオード・アレイを使って可視
波長域を測定する場合、各アレイの波長間隔は受光面で
の分散の歪がないとすれば0.8nm程度になる。等色
関数を補間計算により各受光器アレイの重心波長に対応
させると、波長サンプリング間隔5nmでは80データ
と80データのたたみこみ積分が512データと512
データとのたたみこみ積分となり計算量が増え、計算機
を使用する場合にはメモリ空間を多く使用することにな
る。一方分解能を高くして計算しても、計算の精度は変
わらない。この理由を以下に示す。
【0013】分光測定データ光源の発光スペクトルE
(λ)、等色関数をW(λ)とすれば、測光量、三刺激値な
どの作用量Pは(数4)で与えられる。
【0014】
【数4】
【0015】ただし、Kは定数である。このときE(λ)
の波長サンプリング間隔は、(1.2)式を積分したときに
十分な精度が得られる値でなければならない。
【0016】いま、E(λ)、W(λ)それぞれをフーリエ
変換した時の関数をF(ω)、G(ω)とすれば
【0017】
【数5】
【0018】
【数6】
【0019】となる。ここでωはλの逆数である空間周
波数である。F(ω)をF(ω)の共役複素数とすれば(数
4)は、
【0020】
【数7】
【0021】となる。(数5)において、もしG(ω)の
高調波成分がF(ω)のそれより早くゼロになれば、F
(ω)がそれより高い周波数領域でどのような値を持って
も定積分はそこで終了する。すなわち(4)式においてス
ペクトルE(λ)が、いかに複雑なプロフィルであっても
W(λ)の高調波成分の上限ω0以上の高調波成分は、重
価積分には寄与しない。したがって積分が十分な精度で
おこなわれるための波長サンプリング間隔の最大値h
は、サンプリングの定理より(数8)で与えられる。
【0022】
【数8】
【0023】光源の光色や反射物体色を求めるために使
用する等色関数x(λ)、y(λ)、z(λ)について波長400
〜760nmの範囲でフーリエ係数を求めると、ほぼ40次の
高調波で振幅が10-4となり、これを実用上の収束値とす
れば光源色や物体色を求める場合には、波長サンプリン
グ間隔は5nmで十分で、それ以上の波長分解能で計算して
も計算行程が増えるだけで精度は向上しない。したがっ
て、上記の様な測定データから効果量を効率よく求める
ためには、0.8nmおきのデータを、波長帯域半値幅
5nmの二等辺三角形の帯域特性で、波長サンプリング
間隔5nmのデータに変換する必要がある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明では、
(1) 測定対象物からの光を分光して測定し、その結果と
分光効果曲線とのたたみこみ積分を行い効果量を求める
分光測定において、効果曲線の分光データの波長サンプ
リング間隔より短いサンプリング間隔の測定データを、
分光効果曲線の波長サンプリング間隔にし、さらに波長
帯域半値幅と整合するように変換する、(2) さらに測定
波長帯域半値幅が測定波長サンプリング間隔と異なる場
合、測定波長帯域半値幅が測定波長サンプリング間隔と
一致する波長での分光データを、分光測定データから補
間で求め、分光効果曲線とのたたみこみ積分を行い効果
量を求めること、の2つの方法により、効果曲線の波長
サンプリング間隔と、スペクトル帯域半値幅と測定波長
サンプリング間隔との不整合によって生じる測定誤差を
無くし、分光測定を行なう波長範囲の全域のどの部分で
も、分光的情報(データ)の過不足が生じないように
し、測定精度を向上させることを課題とした。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、測定対象物か
らの光を分光して測定し、その結果と分光効果曲線との
たたみこみ積分を行い効果量を求める分光測定におい
て、求めようとする分光データの波長サンプリング間隔
より短いサンプリング間隔の測定データを、その測定に
おける重心波長と、前記求めようとする分光データの重
心波長との差の絶対値と、前記求めようとする分光デー
タの波長サンプリング間隔との差の値を重み付け係数と
して積算して、前記求めようとする波長サンプリング間
隔の分光データに変換して、その分光特性を求めること
を特徴とする。
【0026】
【作用】上記の手段によって、分光分散光学系と受光素
子アレイを組み合せ、測定対象物からの光スペクトルを
短時間に測定する分光測定器などにおいて、測定波長サ
ンプリング間隔が短い測定の場合、効果曲線の波長サン
プリング間隔と、スペクトル帯域半値幅と測定波長サン
プリング間隔を一致させることができ、分光的情報(デ
ータ)の過不足が生じないようにした分光測定が実現で
きる。このため、光源のエネルギー量や光色、演色性を
評価したり、物体色の測定に分光測定を使用する場合、
精度の高い測定が効率よく可能となる。
【0027】
【実施例】本発明の第一の実施例を図面を使って説明す
る。図1に、焦点距離200mm、刻線間隔1/150
mmの凹面回折格子と、アレイ間隔50μmのホトダイ
オード・アレイを組み合わせたマルチチャンネル分光測
定装置の波長550nm付近における各素子の感度波長
帯域特性とその合成特性を示す。このとき分光測定装置
の入射スリットは、50μmに設定した。各素子の重心
波長の間隔は、約0.9nmであり、各素子の感度波長
帯域特性の合成特性は、ほぼフラットな特性を持つこと
を示す。図2に重心波長λnm、波長帯域半値幅5nm
の感度帯域特性(合成特性)Wλに変換する方法を示
す。感度帯域特性Wλの波長範囲にはいる各アレイの重
心波長をλ-6からλ5とすれば、Wλは(数9)で与え
られる。
【0028】
【数9】
【0029】ただし( f≧-6 , g≦5 )、wj は、波長
λj の受光素子の出力である。図3は上記の方法によっ
てスリット幅を合成した時の波長帯域特性の実測値であ
る。帯域波長半値幅5nmの二等辺三角形の特性がえ得
られていることがわかる。
【0030】次に本発明の第2の実施例を図面を使って
説明する。先の凹面回折格子と、ホトダイオード・アレ
イを組み合わせたマルチチャンネル分光測定装置におい
て、ホトダイオード・アレイの各素子間の不感帯の幅が
素子の幅に対して無視できないくらいくの幅になると、
図4のように、各素子の感度波長帯域半値幅と各素子の
波長幅(測定波長サンプリング間隔)との整合がくずれ
てくる。このとき図5に示す様に、各素子の感度波長帯
域半値幅と等しい波長間隔となる位置での分光データを
その重心波長位置の周囲の分光測定データをつかったラ
グランジの補間などの補間方法をつかっで求める。これ
によって感度波長帯域半値幅と測定波長サンプリング間
隔の整合のとれた分光データが得られる。この分光デー
タと、等色関数などの分光効果曲線のデータの波長間隔
との整合は、第1の実施例で示した方法で行う。
【0031】
【発明の効果】以上のように、本発明の構成によって、
分光分散光学系と受光素子アレイを組み合せ、測定対象
物からの光スペクトルを短時間に測定する分光測定器な
どにおいて、測定波長サンプリング間隔が短い測定の場
合、効果曲線の波長サンプリング間隔と、スペクトル帯
域半値幅と測定波長サンプリング間隔を一致させること
ができ、分光的情報(データ)の過不足が生じないよう
にした分光測定が実現できる。このため、光源のエネル
ギー量や光色、演色性を評価したり、物体色の測定に分
光測定を使用する場合、精度の高い測定が効率よく可能
となる。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の実施例に関するものであり、
【図1】本発明の一実施例のマルチチャンネル分光測定
方法における波長550nm付近における各素子の感度
波長帯域特性とその合成特性図
【図2】同測定方法における重心波長λnm、波長帯域
半値幅5nmの感度帯域特性Wλに変換する方法の説明
【図3】同測定方法におけるスリット幅を合成した時の
実測値の波長帯域特性図
【図4】同測定方法における素子の感度波長帯域半値幅
と各素子の波長幅(測定波長サンプリング間隔)との整
合がくずれた場合の各素子の感度波長帯域特性とその合
成特性図
【図5】同測定方法における周囲の分光測定データか
ら、補間で求めた各素子の感度波長帯域半値幅と等しい
波長間隔となる位置での分光データ表示図
【図6】従来測定法における特定波長の水銀輝線の波長
−強度特性図
【図7】従来測定法における異なる特定波長の水銀輝線
の波長−強度特性図

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定対象物からの光を分光して測定し、そ
    の結果と分光効果曲線とのたたみこみ積分を行い効果量
    を求める分光測定において、求めようとする分光データ
    の波長サンプリング間隔より短いサンプリング間隔の測
    定データを、その測定における重心波長と、前記求めよ
    うとする分光データの重心波長との差の絶対値と、前記
    求めようとする分光データの波長サンプリング間隔との
    差の値を重み付け係数として積算して、前記求めようと
    する波長サンプリング間隔の分光データに変換して、そ
    の分光特性を求める分光測定方法。
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