JP2762571B2 - 偏波保持光ファイバの製造方法 - Google Patents

偏波保持光ファイバの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、例えば光通信や光ファイバセンサ等に用い
られる偏波保持光ファイバの製造方法に関し、特に長尺
で低損失の惰円コア型の偏波保持光ファイバを製造でき
るように工夫したものである。
<従来の技術> 光通信技術の進展に伴い、現在、種々の装置に光ファ
イバが使用されている。その中で、各種通信装置に用い
られている光集積回路(光IC)では、光ファイバからの
出力が指定された方向の直線偏波であることが前提とさ
れ、また、各種の測定装置では、光ファイバを伝搬する
光が直線偏波であることが要求されている。そこで、偏
波面を保持したまま直線偏波を伝搬させる偏波保持光フ
ァイバが開発されている。
この従来の偏波保持光ファイバとして、PANDA型,サ
イドピット型,楕円クラッド型,楕円コア型など種々の
構造のものが提案されている。
例えば、楕円コア型の偏波保持光ファイバでは、コア
を楕円にすることにより、構造異方性をもたせ、実質的
な屈折率に異方性をもたせるようにしている。
この楕円コア型の偏波保持光アイバの製造方法は、MC
VD法により光ファイバ用母材を作成し、中実化の際、減
圧量を変えることにより、楕円コア型の偏波保持光ファ
イバ用母材を得た後、線引きするようにしている(実開
昭56-125233号公報参照)。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、前述した従来の楕円コア型の偏波保持
光ファイバの製造方法は、光ファイバ用母材の製造にMC
VD法を用いるため、量産性に欠けてしまうと共に、コア
の楕円量の制御が困難であるという問題がある。
本発明は、以上述べた事情に鑑み、量産が容易である
と共にコアの楕円量を制御できる長尺・低損失な楕円コ
ア型の偏波保持光ファイバの製造方法を提供することを
目的とする。
<課題を解決するための手段> 前記目的を達成するための本発明の第1の偏波保持光
ファイバの製造方法の構成は、コア及びクラッドからな
る略円筒状の光ファイバ用ガラス母材のクラッド中に、
上記コアを軸と直交する方向に挾んで軸と同方向に対向
した孔部を穿孔した後、加熱して前記孔部を中実化後あ
るいは中実化と同時に、線引きすることを特徴とし、ま
た本発明の第2の偏波保持光ファイバの製造方法の構成
は、コア及びクラッドからなる略円筒状の光ファイバ用
ガラス母材のクラッド中に、上記コアの軸と直交する方
向に挾んで軸と同方向に対向した孔部を穿孔した後、該
孔部に孔部の断面積より小さな断面積を有し且つクラッ
ドの材質と同質のガラスロッドを挿入し、加熱一体化後
あるいは加熱一体と同時に、線引きすることを特徴とす
る。
<実施例> 以下に本発明にかかる第1の偏波保持光ファイバの製
造方法を実施する具体的な一実施例を図面を参照して説
明する。
本実施例では、第1図に示すように、コア10がGeO2
SiO2ガラス、クラッド11がSiO2ガラスからなる直径25φ
mmの光ファイバ用ガラス母材(以下「ガラス母材」とい
う。)12AをVAD法により作製する。このガラス母材12A
のクラッド11中に、上記コア10を軸と直交する方向に挾
んで軸と同方向に対向した直径6φmmの孔部13,13を超
音波開孔器を用いて穿孔した。
次いで、この孔部13を有するガラス母材12Aの片端部
を封止した状態で、真空引きを行い、孔部13内に存在す
るガスを充分除去した後、もう一方の端部を封止した。
このガラス母材12Aを2100℃に加熱し、中実化すると
共に直径125μmに線引きすることにより、第2図に示
すようなコア10が楕円形となった偏波保持光ファイバ20
を得た(なお、クラッドの軟化点の温度(STα)とコア
の軟化点の温度(STβ)との温度差(STα‐STβ)は、
約50℃であった)。
この偏波保持光ファイバ20のコア楕円率は85%であっ
た。ここで、コア楕円率とはコア長軸径をa,コア短軸径
をbとした場合、下式で定義される量である。
このように、ガラス母材12Aのコア10の両側部分に設
けた孔部13,13の空間の影響で、一体化する際に、空間
近傍のクラッド部分が空間方向に引張られるようにな
る。その際、コア10を形成するガラスの軟化点が、クラ
ッド11を形成するガラスの軟化点の温度よりも低いガラ
ス母材を使用しているので、コア10の方がクラッド11よ
り変形し易く、結果としてコア10部分は楕円形状とな
る。しかも、クラッド11はコア10と比べ加熱源により近
い側にあるため、表面張力の効果でほぼ円形を保つこと
ができる。
なお、本実施例においてはVAD法により作成したガラ
ス母材を用いたが、本発明方法においては、ガラス母材
の製造方法には特に限定されず、VAD法の他OVD法等の量
産性に優れた製法によって得られたガラス母材を用いる
ことができる。
また、本実施例においては、クラッド11に穿孔した孔
部13の形状は断面形状が円形状としたが、本発明はこれ
に限定されず、断面形状が楕円形あるいは多角形の孔部
としてもよく、更に線引きして得られる光ファイバのコ
ア10の断面形状が必ずしも楕円形に限定されず直線部分
の形状を含む略楕円形状としてもよい。
このようにして得られた楕円コア型の偏波保持光ファ
イバは、従来と同様の特性を有した長尺・低損失で且つ
低コストに製造することが可能となる。
次に、本発明にかかる第2の偏波保持光ファイバの製
造方法を実施する具体的な一実施例を第3図を参照して
説明する。
前述した実施例で用いたと同様なコア10とクラッド11
を有するガラス母材12Bを用い、コア10を軸と直交する
方向に挾んで軸と同方向に対向した直径8φmmの孔部1
3,13を超音波開孔器を用いて穿孔した。
この孔部13,13にそれぞれクラッド11と同質で直径5
φmmのガラスロッド14を挿入して固定した後、前述した
実施例と同様に操作して楕円コア型偏波保持光ファイバ
を得た。
この偏波保持光ファイバのコア楕円率は88%であっ
た。
第4図には、ガラス母材状態での孔部の空間部の断面
積とコア楕円率との関係を示すグラフを例示する。同図
に示すように、空間部分の断面積が大きくなる程、コア
楕円率が大となる。
このように、クラッド11に穿孔された孔部13の空間部
分の断面積を制御することにより、線引き後の光ファイ
バのコアの楕円の程度を制御することができる。
<発明の効果> 以上実施例とともに述べたように、本発明によれば、
クラッド中にコアを軸と直交する方向に挾んで軸と同方
向に対向した孔部を穿孔するようにした後、線引するの
でコアのみが楕円形となる長尺且つ低コストの楕円コア
型の偏波保持光ファイバを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる第1の偏波保持光ファイバの製
造方法の一実施例にかかるガラス母材の正面図、第2図
はそのガラス母材を線引きしたコアの正面図、第3図は
本発明にかかる第2の偏波保持光ファイバの製造方法の
一実施例にかかるガラス母材の正面図、第4図はガラス
母材状態での孔部の空間部の断面積とコア楕円率との関
係を示すグラフである。 図面中、 10はコア、11はクラッド、12は光ファイバ用ガラス母
材、13は孔部、14はガラスロッド、20は楕円コア型偏波
保持光ファイバである。
フロントページの続き (72)発明者 岡本 和弘 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友 電気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 田中 茂 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友 電気工業株式会社横浜製作所内 (56)参考文献 特開 昭61−146725(JP,A) 特開 昭59−50043(JP,A) 特開 昭59−50044(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03B 37/014

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コア及びクラッドからなる略円筒状の光フ
    ァイバ用ガラス母材のクラッド中に、上記コアを軸と直
    交する方向に挟んで軸と同方向に対向した孔部を穿孔し
    た後、加熱して前記孔部を中実化後あるいは中実化と同
    時に、線引きすることを特徴とする偏波保持光ファイバ
    の製造方法。
  2. 【請求項2】コア及びクラッドからなる略円筒状の光フ
    ァイバ用ガラス母材のクラッド中に、上記コアの軸と直
    交する方向に挟んで軸と同方向に対向した孔部を穿孔し
    た後、該孔部に孔部の断面積より小さな断面積を有し且
    つクラッドの材質と同質のガラスロッドを挿入し、加熱
    一体化後あるいは加熱一体と同時に、線引きすることを
    特徴とする偏波保持光ファイバの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の偏波保持光フ
    ァイバの製造方法において、 コアを形成するガラスの軟化点温度が、クラッドを形成
    するガラスの軟化点温度よりも低いことを特徴とする偏
    波保持光ファイバの製造方法。
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