JP2762120B2 - パイプ端部と端部部材とを同軸固着する方法 - Google Patents

パイプ端部と端部部材とを同軸固着する方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、FRPで形成されるパイプの端部にパイプと
は別個の部材を軸方向に接続する方法に関するものであ
る。更に詳しくは、スピンネーカーポール、マスト、ド
ライブシャフト等のFRPパイプの端部に端部部品を樹脂
含浸繊維補強材によって巻き回して接着固定する場合に
好適に適用される方法に関するものである。
〔従来技術及び問題点〕
近年、その高い特性が認められる中で、FRP材の需要
も益々伸びつつある。これに伴ない、その広い応用分野
の中で、FRP材とFRP以外の材料からなる部材とを組み合
せ使用される場合も多い。
従来、スピンネーカーポールエンド部品、マスト、ド
ライブシャフト等のFRPパイプの端部には端部部品を固
着する必要があり、この場合の端部部材の接続方法とし
ては、例えば下記がある。
パイプ端部と端部部品とを接着剤で接着する。
パイプ端部と端部部品とをボルト又はリベットの類で
接続する。
前記とを併用する。
フィラメントワインド法におけるレベル巻きを応用
し、パイプ端部と端部部品とを強化繊維で巻回する。レ
ベル巻きについては『FRP成形の実際(新高分子文庫 2
3)』(高分子刊行会刊)220頁に紹介されている。
前記の如くFRPパイプへの部材接続方法として、接着
剤による接着では接着強度が低く、且つ、ボルトやリベ
ットを使用する場合では、ボルト類とFRPパイプとの接
触部のせん断や圧縮による破壊が発生し、これら両方法
とも充分な部材の引き抜き強さが得られない。
即ち、従来の接続方法では、接着剤による場合は、そ
の接着剤の強度のみに依存し、ボルト類による場合も、
ボルトの強度と主にパイプ材の剪断強度などに依存し、
共に強化繊維の特性は生かされていない。
上記の方法は、強化繊維の特性を生かしたものであ
り、部材が引き抜かれんとするとき、強化繊維が引張負
荷を担なうため、強度上、最も適したものといえる。
しかし、この方法では端部部材を強化繊維で巻き込む
ため、接続後の形態に多くの制約を生じる。例えば、こ
の場合、強化繊維で端部部材を完全に、又は、その殆ん
どを巻き込んでしまうか、強化繊維が往復する際の引っ
掛けのための端部部材に設ける溝が深くなければ、巻回
することは不可能である。
従って、部材が中空であるものや、接続後その部材の
接続部の反対側を使用する継手等の接続に、の方法は
適さない。
〔発明の目的〕
本発明は、FRPで形成されるパイプの端部にパイプと
は別個の部材を接続する方法において、当該部材がパイ
プから引き抜け難くすると共に、パイプの軸方向強化を
図るためのパイプ端部への部材接続方法を提案するもの
である。
本発明は、部材形状の制約を最小限にし、その強化繊
維の特性を生かし、接続された部材の充分な引き抜き強
さが得られるFRPパイプへの部材接続方法を提案するも
のである。
〔発明の構成〕
本発明は下記の構成からなる。
(1)パイプ端部と端部部材とを、樹脂含浸した繊維材
で同軸固着するにあたり、周回状の溝部を有する端部部
材とパイプとを同軸に配し、次いで、樹脂を含浸した繊
維材を、パイプの軸芯に対して低角度方向配向と周方向
配向の2方向以上から複数本供給し、低角度方向から供
給された繊維材はパイプと端部部材とにわたって往復さ
せ、周方向配向の繊維材は溝部に供給させ、且つ低角度
方向配向の繊維材が、端部部材の溝部において、周方向
配向の繊維材によって、係止されて折り返し、しかも両
方向の繊維材を相互に該溝部に埋込ませて巻回して全体
を一体化し、次いで、樹脂を硬化させることを特徴とす
るパイプ端部と端部部材とを同軸固着する方法。
本発明の好適な実施態様は下記の通りである。
(イ)樹脂を含浸した繊維材がストランドプリプレグで
ある前記請求項(1)記載のパイプ端部と端部部材とを
同軸固着する方法。
(ロ)樹脂を含浸した繊維材がシート状プリプレグであ
る前記請求項(1)記載のパイプ端部と端部部材とを同
軸固着する方法。
(ハ)繊維材に樹脂を含浸させつつ供給する前記請求項
(1)記載のパイプ端部と端部部材とを同軸固着する方
法。
(ニ)強化繊維が炭素繊維である前記請求項(1)記載
のパイプ端部と端部部材とを同軸固着する方法。
繊維強化複合材料において、強化繊維を配向する方向
に強度及び弾性率が高く、当該方向より外れるに従って
強度及び弾性率が低下することはよく知られている。
即ち、力のかかる方向に強化繊維の方向を合致させれ
ば、強化繊維の効果を最大に発揮できる。例えば、引張
り負荷のかかる部材には、その方向に強化繊維を配し、
また、ねじり負荷がかかるパイプでは、そのパイプの軸
方向に対して±45度強化繊維を配向させることが常識と
なっている。これは、その強化繊維方向に引張り応力が
かかるからである。
本発明によれば、接続された部材が引き抜かれるべく
力が働いたとき、パイプ軸芯に対して低角度方向に配向
した強化繊維と周方向に配向した強化繊維とが、同時に
引張られることになり、接続された端部部材のパイプへ
の接続は非常に強固なものとなると同時に、パイプ側面
上に配されたところのパイプ軸芯に対して低角度方向に
配向した強化繊維によって、パイプ自体の当該方向の強
度も強化することができる。
ここで周方向とは、パイプ軸芯に対して90度であるこ
とが望ましいが、90度±10度の範囲内であれば支障な
い。低角度方向とは、パイプ軸芯に対して±30度以内が
望ましい。場合に応じて要求される設計仕様に基づき、
強化繊維の配向角度を決定すればよい。
また、強化繊維は特に限定されないが、比強度、比弾
性率の高い炭素繊維を用いれば、FRP材に要求される軽
量化は一層促進されることになる。強化繊維はストラン
ド、一方向シート状のものでもよい。
本発明で、樹脂含浸した繊維材とは、ストランドプリ
プレグ、シート状プリプレグ、テープ状プリプレグ等の
プリプレグ、又は、ストランドに樹脂を含浸させたフィ
ラメントワインディングにおいて供給される樹脂含浸ス
トランド等である。樹脂含浸した繊維材における樹脂含
有率は、通常の成形に適用されると同様の範囲のもので
もよく、通常は30〜60重量%のものが用いられる。
本発明において用いられる樹脂は、通常のFRP成形用
の熱硬化性樹脂であり、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニル
エステル樹脂等である。
本発明を図面によって説明する。
第1図及び第2図は、本発明方法を模式的に示した断
面概念図であって、本発明におけるパイプ端部と端部部
材とを同軸に配し、樹脂を含浸した強化繊維を用いて端
部部材を接続するときの断面図を示したものである。
第1図及び第2図において、1は樹脂含浸した低角度
方向の強化繊維、2は樹脂含浸した周方向の強化繊維、
3は端部部材であり、4は端部部材の周回状の溝であ
り、5はパイプ端部である。第2図−1は、周回状溝部
での拡大図を示したものである。
パイプ端部5と端部部材3とは、端部部材の一部がパ
イプの中に挿入された状態で同軸に配されていることが
好ましい。
樹脂を含浸した繊維材1は、パイプの軸方向から供給
され、端部部材3の周回状の溝4でA方向に折り返す。
このとき周回状の溝に周方向から供給された樹脂を含浸
した繊維材2によって、パイプ軸方向から供給された樹
脂を含浸した繊維材1は係止される。
樹脂を含浸した繊維材2をB方向に巻回することによ
って、繊維材1は周回状の溝4に没入し、端部部材をパ
イプ端部に固定する。
例えば、繊維材1としてシート状プリプレグを使用す
る場合、繊維配向がパイプの軸方向になるようシート状
プリプレグを巻き、周回状の溝4の部位で周方向に繊維
材2を溝に巻き込んでシート状プリプレグを係止する。
次いで、シート状プリプレグの繊維間隔を一旦開いて
折り返し、再度、絞り込んで繊維方向がパイプの軸方向
になるようシート状プリプレグを巻くことによって、端
部部材をパイプ端部に固定する。
以上の方法における端部部材固定のための樹脂の硬化
は、パイプの成形と同時にすることもでき、個別に行な
うこともできる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、低角度方向に配向した強化繊維が、
端部部材の周回状の溝部で周方向に配向した強化繊維に
よって係止されているため、接続された部材が引き抜か
れるべく力が働いたとき、パイプ軸芯に対して低角度方
向に配向した強化繊維と周方向に配向した強化繊維と
が、同時に引張られることになる。このため、接続され
た端部部材のパイプへの接続は非常に強固なものとな
る。
更に、本発明は、FRPパイプ端部に部材を接続するに
あたり、中空部材や接続部の反対側を機械的継手等とし
て、使用する部材の接続も可能ならしめるものである。
しかも、パイプ軸芯に対して低角度方向に配向した強
化繊維によって、パイプ自体の当該方向の強度も強化す
ることができる。
〔実施例及び比較例〕
実施例1 外径が40mmである芯金の上に、繊維配向角が、パイプ
軸芯に対して±70度となるように、予めエポキシ樹脂を
含浸した炭素繊維(東邦レーヨン社製ベスファイトHT
A−7−6000)を、その厚みが2mmになるまで巻回し、そ
の後、成形硬化した。
硬化後芯金より脱芯し、当該パイプ表面の目荒らし、
脱脂を実施すると共に、このパイプの両端に、第3図に
示した如き、脱脂済の部材を取り付け、その上からそれ
ぞれ独立して運動できる3個の繊維供給口を有するフィ
ラメントワインディングマシンによって、樹脂含浸した
前記炭素繊維を周方向と低角度方向から巻回した。
この時、第1図及び第2図に示したように、パイプ両
端の部材の周回状の溝部において、パイプ軸芯に対して
±10度の強化繊維の上から周方向の繊維を巻回し、この
際、係止した当該交点より±10度方向の強化繊維の供給
口は逆方向に進行し、パイプ軸芯に対して±70度の強化
繊維配向角の下地パイプの上を構成する低角度方向に強
化繊維が配向する層の厚みが2mmになるまで、このよう
な往復運動を繰り返した。その後、これを成形硬化し
た。
比較例1 実施例1と同じ樹脂と強化繊維を用いて、内径が40mm
で±70度の内層の厚さが2mm、±10度の外層の厚さが2mm
のパイプを成形硬化した。このパイプの両端内部と実施
例1と同じ部材を、エポキシ接着剤(チバガイギー社製
アラルダイトAW106)にて接着した。
比較例2 実施例1と同様のものを製作し、更に、パイプと部材
の接着部に、周方向に8か所、タッピングし、ボルトで
補強したものを得た。
実施例1、比較例1、比較例2で製作したものについ
て、接続強度を比較調査した。各破壊荷重を、第1表に
示した。本発明方法によれば、非常に大きな接着力を有
することが確認された。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、本発明方法を模式的に示した断面
概念図である。 第2図−1は、周回状溝部での拡大図を示したものであ
る。 第3図はパイプ端部へ接続する部材の一例である。 図中、1は樹脂含浸した低角度方向の強化繊維、2は樹
脂含浸した周方向の強化繊維、3は端部部材、4は端部
部材の周回状の溝であり、5はパイプ端部である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 65/00 - 65/70 B29C 67/14

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パイプ端部と端部部材とを、樹脂含浸した
    繊維材で同軸固着するにあたり、周回状の溝部を有する
    端部部材とパイプとを同軸に配し、次いで、樹脂を含浸
    した繊維材を、パイプの軸芯に対して低角度方向配向と
    周方向配向の2方向以上から複数本供給し、低角度方向
    から供給された繊維材はパイプと端部部材とにわたって
    往復させ、周方向配向の繊維材は溝部に供給させ、且つ
    低角度方向配向の繊維材が、端部部材の溝部において、
    周方向配向の繊維材によって、係止されて折り返し、し
    かも両方向の繊維材を相互に該溝部に埋込ませて巻回し
    て全体を一体化し、次いで、樹脂を硬化させることを特
    徴とするパイプ端部と端部部材とを同軸固着する方法。
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