JP2761746B2 - 糸 道 - Google Patents

糸 道

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JP2761746B2
JP2761746B2 JP1022828A JP2282889A JP2761746B2 JP 2761746 B2 JP2761746 B2 JP 2761746B2 JP 1022828 A JP1022828 A JP 1022828A JP 2282889 A JP2282889 A JP 2282889A JP 2761746 B2 JP2761746 B2 JP 2761746B2
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crystal grain
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、釣糸あるいはその他の繊維を案内するため
の糸道に関するものである。
〔従来の技術〕
釣具用糸道あるいは繊維用糸道などの糸道の材料とし
て従来よりAl2O3系、TiC系のセラミックスが用いられて
おり、これらのセラミックスは耐摩耗性に優れ、サビが
発生しない等の特長のため、糸道の材料としての主流を
なしている。
しかし、上記のセラミックスは衝撃が加わった場合に
割れが生じ易いという問題点があったため、より高強
度、高靭性のセラミックスとして部分安定化ジルコニア
セラミックスから成る糸道が開発されていた。例えば、
特開昭58−111630号公報に示されるように、正方晶系の
結晶を70モル%以上含み、単斜晶系の結晶を10モル%以
下しか含まず、平均結晶粒径1μm以下のジルコニアセ
ラミックスを糸道に用いたものがあった。
〔従来技術の課題〕
ところが、上記の如き部分安定化ジルコニアセラミッ
クスを用いた糸道は、糸を案内するときの動摩擦係数が
大きいため、糸を損傷させやすく、比較的短時間で糸切
れを起こしてしまうという問題点があった。
〔課題を解決するための手段〕
上記に鑑みて本発明は、糸道を構成する材料として、
主に粒径0.3〜0.8μmの結晶からなり、この中に粒径1
〜3μmの結晶を体積換算で50%以下混在させ、また単
斜晶の結晶を10〜60モル%含有するジルコニアセラミッ
クスを用いたものである。
このようなジルコニアセラミックスは、優れた強度、
耐摩耗性を有するだけでなく、糸を案内するときの動摩
擦係数が小さくなるため、糸を良好に案内でき、長期間
利用しても糸切れを生じにくくすることができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
粒径0.03μmで純度99.9%のZrO2粉末94.7重量%と、
粒径1μmで純度99.9%のY2O3粉末5.3重量%を混合し
たものに、ジルコニアボール200重量%、水100重量%を
加え、振動ミルにて72時間湿式解砕した後、バインダー
を3%添加し、撹拌混合した後スプレードライヤーにて
乾燥を行った。この原料粉末を直径30mmの円板金型で成
形圧1.5t/cm2にて成形した後、焼成後の寸法が外径20m
m、内径16mm、厚み4mm、糸通過部の曲率半径が2mmのリ
ング形状となるように切削加工した後、第1表中No.1〜
4に示す条件で焼成を行った。この後、糸ガイド面の表
面粗さが0.8sとなるようにバレル加工を行い4種類の試
料を用意した。
次に共沈法により得られた3モル%のY2O3を含有する
ZrO2(粒径0.05μm)を用いて、上記と同様の条件で成
形、切削、生仕上げした後、第1表中No.5に示す条件で
焼成を行い、糸ガイド面の表面粗さが0.8sとなるように
バレル加工を行った。
さらに比較例としてAl2O3含有率が90%で他の成分がS
iO2,MgO,Fe2O3,Cr2O3,NiO等からなる黒色系アルミナセ
ラミックスの糸道を用意した。
(第1表No.6)。
以上の6種類の試料について、結晶粒径、単斜晶系の
結晶の含有量等を調べた後、糸を案内するときの動摩擦
係数および糸切れを起こすまでの寿命を調べた。
まず、動摩擦係数の測定は第1図に示すように下記の
Amontonの法則より糸道1から出る側の糸2の張力T2
計測して動摩擦係数μを算出した。また測定条件は以下
の通りである。
T2=T1e μθ(Amontonの法則) T1=糸道へ入る側の糸の張力=20g T2=糸道から出る側の糸の張力 μ=動摩擦係数 θ=ガイド面の巻き角=90゜ 糸の種類・・・ポリエステル、75デニール 糸の走行速度・・・80m/s ガイド面の面粗さ・・・0.8s ガイド面の曲率半径・・・2mm 室温・・・20℃ 次に糸切れを生じるまでの寿命を以下のようにして調
べた。300mのナイロン5号の釣糸を環状とし、この釣糸
を各試料No.1〜6に対して170゜の角度で摺接させて、8
0m/sの速度で通過させ、糸切れを生じるまでの環状釣糸
の通過回数を測定した。なお、試料No.1〜6について、
各々5個の試料を用意して、5回の実験を行い、その平
均値で評価した。
以上の実験結果は第2表に示す通りである。
第2表中試料No.1〜4については、大きな結晶と小さ
な結晶が混在していたため、それぞれの平均結晶粒径を
示した。
第2表より、No.1の試料は、動摩擦係数、糸切れまで
の通過回数がいずれも比較例であるNo.6(アルミナ製)
よりも悪かった。これに対し、No.1よりも焼成温度を上
げて結晶粒径を大きくし、単斜晶量を多くしたNo.2〜4
の試料は、動摩擦係数が0.22〜0.23、糸切れまでの通過
回数が17000回以上と非常に優れた結果を示した。ま
た、No.5の試料は小さな結晶のみしかなかったため、動
摩擦係数が高く、糸切れも早かった。
さらに、No.4よりも結晶粒径の大きな試料も用意した
が、No.1〜5の試料の平均曲げ強度が105〜112Kg/cm2
あるのに対し、No.4よりも結晶粒径の大きな試料では曲
げ強度が90Kg/mm2以下になるか、またはクラックが発生
してしまい、本来の目的である高強度の特性が得られな
かったため、実験は行わなかった。
また、No.1〜4の試料について大きな結晶の占める割
合は体積換算で30%程度であり、この割合が大きくなる
と、前記と同様に曲げ強度が低下してしまい、逆にこの
割合が小さいと動摩擦係数が大きくなってしまうが、種
々実験の結果、大きな結晶の占める割合が体積換算で10
%以上、50%以下であれば特に問題はなかった。
以上の結果をまとめると、ジルコニアセラミックス製
の糸道において、結晶粒径と動摩擦係数は密接な関係が
あり、粒径0.3〜0.8μmの小さな結晶中に、粒径1〜3
μmの大きな結晶を体積換算で50%以下混在させたもの
は、高強度の特性を保ったまま糸との動摩擦係数を小さ
くすることができた。中でも、粒径0.5〜0.8μmの小さ
な結晶中に、粒径2〜3μmの大きな結晶を混在させた
ものが最も優れた結果を示した。
また、第2表に示すように、単斜晶系の結晶の含有量
を多くするほど結晶粒径が大きくなり、動摩擦係数が低
下する傾向がある。従って、上記のように粒径1〜3μ
mの比較的大きな結晶を析出させるためには単斜晶の量
が10モル%以上必要である。ただし、単斜晶の量が60モ
ル%を超えると強度劣化が著しいため、結局、単斜晶の
量は10〜60モル%としたものが、最も優れていた。
以上の実験はZrO2と3モル%Y2O3の調合で、混合法、
共沈法により得られた原料を用い、焼成条件の一部のみ
を変化させて結晶粒径の調整を行ったものであったが、
この他にも結晶粒径の調整を行うためにはさまざまな方
法がある。例えば安定化剤であるY2O3の量を多くすれば
単斜晶量を増大させ、結晶粒径を大きくすることがで
き、更に、一次原料の粒子径を大きくして結晶粒径を大
きくすることができる。したがって、これらの方法によ
り前記範囲内に結晶粒径を調整してやれば高強度で糸の
動摩擦係数が小さい糸道を製造することができる。
また、このようなジルコニアセラミックスに対し、Cr
2O3,CoO,NiO,MnO等の金属酸化物を1〜3重量%加えて
なる着色ジルコニアセラミックスについても同様の実験
を行ったが、焼成条件に違いはあるものの、結晶粒径お
よび単斜晶の量と動摩擦係数の関係について、同様の結
果であった。
〔発明の効果〕
叙上のように本発明によれば、粒径0.3〜0.8μmの結
晶中に、粒径1〜3μmの結晶を体積換算で50%以下混
在させ、単斜晶系の結晶を10〜60モル%含有するジルコ
ニアセラミックスで糸道を形成したことによって、高強
度、高靭性の特性を保ったまま、糸との動摩擦係数を小
さくすることができるため、糸を損傷させにくく、長期
間使用しても糸切れを生じにくい等の特長をもった糸道
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は糸道の動摩擦係数を測定する方法を示す断面図
である。 1:糸道、2:糸

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】糸と摺動する部分がジルコニアセラミック
    スからなり、このジルコニアセラミックスは粒径0.3〜
    0.8μmの結晶中に、粒径1〜3μmの結晶が体積換算
    で50%以下混在していることを特徴とする糸道。
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