JP2761556B2 - ケーブル接続器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はケーブルの電気的接続を行なうケーブル接続
器に関する。

［従来の技術］ 例えば、ビル内の電話回線において端末機の移設など
に伴なうケーブルの移装を効率的に行なうため、第８図
（同図（ａ）は平面図、同図（ｂ）は断面図）に示す端
子盤が使用されている。

絶縁体68の上段に屋内線ケーブル69と端末機側ケーブ
ル70を接続する端子71が、下段に屋内線ケーブル72と端
末機側ケーブル73を接続する端子74が固定されている。
ケーブル移装の頻度が高い端末機側はケーブル導体がね
じ75,76により端子71,74に留められ、一方、ケーブル移
装の頻度が比較的低い屋内線はケーブル導体を端子71,7
4の切欠き部に巻き付け、さらにはんだ付け77,78により
固着されている。

［発明が解決しようとする課題］ 上述した従来のケーブル接続器は、ねじの締め付け力
不足または長期接続下におけるねじの緩みおよびはんだ
付け不良などに起因する接続不良、さらにはんだ付けに
伴なう高熱作業と電気ごての電源確保など接続信頼性、
安全性および作業性に欠点があった。

また、上記の欠点を除くため、ケーブル径より小さい
Ｕ字状溝に線を押し込む、第９図に示すような接続法が
用いられているが、この場合には、異なる線径に幅広く
適用できる線径融通性がなく、適用線径毎にＵ字状溝を
設けなければならない欠点がある。

本発明の目的は、上記欠点を解決し、簡易な構造で線
径融通性と接続信頼性を有し、ケーブルの移装を簡便な
作業で行ない得るケーブル接続器を提供することにあ
る。

［課題を解決するための手段］ 本発明のケーブル接続器は、 弾性のある導電性の金属板でできている細長い接続子
と、前記接続子を収容する下部ハウジングおよび上部ハ
ウジングとからなり、 前記接続子は、長手方向に細長いスリットおよび該ス
リットを長手方向に挟むように形成され、ケーブルの導
体部が挿入され、貫通するケーブル接続穴とを有し、前
記スリットの横方向の両側板部が、ケーブル接続穴の軸
心方向で互いに反対方向に湾曲している主要部と、主要
部の長手方向の各端面から延び、端面より幅が狭い狭小
部と、各狭小部に連なる端部とからなり、 前記上部ハウジングと前記下部ハウジングの少なくと
も一方は、これらが互いに組合わされたとき前記接続子
をわずかながたをもって収容し、両端部が該ハウジング
から突出するように、内部空間と、フランジ部に設けら
れ各狭小部の幅より大きく主要部の端面の幅より小さい
幅の溝とを有し、 前記上部ハウジングと前記下部ハウジングが互いに組
合わされた状態で、各溝の近傍に位置し、前記上部ハウ
ジングを、ウランジ部を含む平面と垂直に貫通し、ケー
ブルの導体部が挿入されるケーブル挿入穴と、該ケーブ
ル挿入穴と位置が合致し、該ケーブル挿入穴を通過した
ケーブルの導体部が挿入されるケーブル挿入穴とがそれ
ぞれ前記上部ハウジング、前記下部ハウジングに形成さ
れており、 前記接続子のケーブル接続穴は、前記ハウジングに前
記接続子が収容されたときケーブル挿入穴よりも前記溝
側に位置し、前記接続子の狭小部は、前記端部に押圧力
を付与して前記主要部の両側板部をたわませて前記ケー
ブル接続穴を前記ケーブル挿入穴の位置まで移動させる
に足るだけ前記溝より長さが長い。

［作用］ まず、接続子を両ハウジングに収容する。次に、接続
子の一方の端部に押付力を付与して接続子の主要部の両
側板部をたわませて一方のケーブル接続穴をケーブル挿
入穴の位置まで移動させ、ケーブルの導体部を上部ハウ
ジングのケーブル挿入穴に挿入し、ケーブル接続穴を通
過させて、下部ハウジングのケーブル挿入穴に挿入後、
押付力を解放する。すると、接続子の両側部のばね力が
ケーブル接続穴をケーブルの導体部に押し付け、ケーブ
ルの導体部の上端部と下端部はケーブル挿入穴に拘束保
持される。この後、同様にして、他方のケーブル接続
穴、ケーブル挿入穴に別のケーブルの導体部を挿入し
て、これを拘束保持する。これにより両ケーブルの信頼
性の高い電気的接続が完了する。なお、ケーブル接続
穴、ケーブル挿入穴をある程度大きくしておければ、ケ
ーブル線径に対して融通性を持たせることができる。

［実施例］ 次に、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。

第１図（ａ），（ｂ），（ｃ）は本発明の一実施例の
ケーブル接続器を構成する接続子の斜視図、正面図、側
面図である。

このケーブル接続子10は弾性のある導電性の細長い金
属板でできており、長手方向に細長いスリット11および
スリット11を長手方向に挟むように形成され、ケーブル
の導体部が挿入され、貫通するケーブル接続穴13a,13b
とを有し、スリット11の横方向の両側板部12a,12bがケ
ーブル接続13a,13bの軸心方向で互いに反対方向に湾曲
している主要部18と、主要部18の長手方向の各端面から
延び、主要部18より幅が狭い狭小部14a,14bと、Ｌ字形
に折曲げられた端部17a,17bとからなっている。

第２図（ａ）は本発明の一実施例のケーブル接続器を
構成する下部ハウジングの斜視図、第２図（ｂ），
（ｃ）は上部ハウジングの異なる方向から見た斜視図で
ある。

下部ハウジング20は、樹脂製で矩形のベース部21と、
ベース部21上に一体に形成され、上部が開口し、内部に
段差部25a,25bを有する矩形の本体22からなっている。
本体22の開口部は接続子10の主要部18とほぼ同じ形状を
しており、接続子10が開口部内にわずかながたで収まる
ようになっている。本体20の上部ハウジング30とのフラ
ンジ部には接続子10の狭小部14a,14bの幅よりわずかに
長い幅の溝24a,24bが形成されている。ここで、接続子1
0の狭小部14a,14bの長さは本体22の壁厚（溝14a,14bの
長さ）より大きくなっている。段差部23a,23bにはそれ
ぞれケーブルの導体部が入る穴（ケーブル挿入穴）23a,
23bが形成されている。本体22の外側面にはガイド溝26
a,26bが形成されている。一方、上部ハウジング30は、
同じく樹脂製で山形の形状をした本体31と、下部ハウジ
ング20のガイド溝26a,26bにそれぞれ差し込まれて上部
ハウジング30を下部ハウジング20に固定するための係止
片32a,32bとからなっている。本体31には下部ハウジン
グ20のケーブル挿入穴23a,23bと対向する位置に本体31
を垂直に貫通する穴（ケーブル挿入穴）33a,33bが設け
られている。本体31の下部は下部ハウジング20の本体22
と同じ大きさ矩形をなしており、下部ハウジング20との
フランジ部には溝24a,24bと同じ大きさの溝34a,34bがそ
れぞれ溝24a,24bと対向するように設けられている。本
体31の上部にはケーブルを収容するケーブル収容溝36a,
36bとケーブルをそれぞれケーブル挿入穴33a,33bにガイ
ドするケーブルガイド溝37a,37bが設けられている。

第３図（ａ）は接続子10を下部ハウジング20に装着し
た状態を示す平面図、第３図（ｂ）は第３図（ａ）の状
態から下部ハウジング20に上部ハウジング30を装着した
状態を示す断面図である。

まず、接続子10の狭小部14a,14bをそれぞれ下部ハウ
ジング20の溝24a,24bにのせて接続子10の主要部18を下
部ハウジング20の本体22の内部空間27に収容する（第３
図（ａ））。次に、上部ハウジング30を下部ハウジング
20に被せ、係止片32a,32bにより下部ハウジング20に固
定する（第３図（ｂ））。このとき、ケーブル接続穴13
a,13bはそれぞれ下部ハウジング20,上部ハウジング30の
ケーブル挿入穴23aと33a,23bと33bより外側の位置（溝2
4a（34a），溝24b（34b）側）に位置し、接続子10の側
板部12a,12bはそれぞれ上部ハウジング30,下部ハウジン
グ20の内部空間35,27に位置し、接続子10の端部17a,17b
は下部ハウジング20,上部ハウジング30から突出してい
る。

第４図は第３図（ｂ）の状態からケーブル50a,50bが
接続された状態の断面図である。

接続子10の端部17aに矢印方向に押付力を付与する
と、第３図（ａ），（ｂ）に示すように、下部ハウジン
グ20の本体22の内壁と、上部ハウジング30の内壁に狭小
部14bの内壁15bが付き当たり矢印方向の移動が規制され
るため、第４図のように、側板部12a,12bの湾曲形状に
よって側板部12a,12bに互いに逆方向の曲面状のたわみ
を生じる。そして押付力によりたわみを調整することに
より、接続子10のケーブル接続穴13aをハウジング20,30
のケーブル挿入穴23aと33aの位置に位置させ、ケーブル
導体50aをケーブル挿入穴23a,33a,ケーブル接続穴13aに
挿入後、押付力を解放することにより、第４図に示すよ
うに、側板部12a,12bのばね力がケーブル接続穴13aをケ
ーブル導体50aに押し付け、ケーブル導体50aの上端部と
下端部をそれぞれハウジング20,30のケーブル挿入穴23
a,33aに拘束保持するため、ケーブル接続穴13aとケーブ
ル導体50aの上端部と下端部の中間部に接触力を発生す
る。次に、接続子10の他端17bに矢印方向の押付力を付
与すると、既にケーブル挿入穴23a,23bにケーブル導体5
0aが拘束保持されているため接続子10の押付力方向の移
動が規制され、前述と同様な過程で接触部が形成され、
ケーブル導体50aとケーブル導体50bとの間の電気的接続
が行なわれる。なお、ケーブルを移装する場合は、外端
部17aに矢印方向への押付力を付与してケーブル接続穴1
3aをケーブル挿入穴23a,33aの位置に調整後、ケーブル
導体50aをケーブル挿入23a,33aから抜去し、目的とする
ケーブル接続穴に移装する。他端のケーブル移装も同様
な方法で行なう。

第５図（ａ），（ｂ）はケーブルの線径融通性を説明
する図である。

第５図に示すように、ケーブル導体径がケーブル接続
穴13aの直径以下であれば、ケーブル接続穴径とケーブ
ル導体径の差分に応じて、側板部12a,12bのばね力によ
り矢印方向にケーブル接続穴13aをケーブル導体50aに押
付けるまで移動させるので、線径融通性を有する電気的
接続を行なうことができる。

第６図（ａ），（ｂ），（ｃ）はケーブル接続穴13a
の他の例を示す図であり、何れの形状もケーブル導体へ
の接触力の付与とケーブル線径融通性を有している。

第７図は本発明のケーブル接続器の使用状態を説明す
る図である。

ハウジング40,41内に複数の接続子42が装着され、上
部ハウジング41が係止片43により下部ハウジング40に固
定され、接続子ブロックが構成される。ケーブル51とケ
ーブル52の電気的接続は、ケーブル51,52を上部ハウジ
ング41のケーブル収容溝46a,46bおよびケーブルガイド
溝47a,47bを介して該当するケーブル挿入穴45a,45b上に
導き、接続子42の端部44a,44bの調整により、ケーブル
挿入穴45a,45bの下部に位置するケーブル接続穴にケー
ブル導体部を挿入後、外力を解放して行なう。

なお、端部17a,17bは狭小部14a,14bと同じ幅でもよ
く、また必ずしもＬ字形に曲げられていなくてもよい。
接続子10は必ずしも矩形である必要はなく主要部18の幅
が場所によって異なっていてもよい。また、ハウジング
のフランジ部の溝は一方のフランジ部だけに設けるよう
にしてもよい。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明は、ハウジングに設けたケ
ーブル挿入穴と接続子に設けたケーブル接続穴にケーブ
ルの導体部を挿入し、接続子のばね力によりケーブルの
導体部を拘束保持することにより、信頼性の高い電気的
接続を行なうことができ、またケーブルの移装を容易に
行なうことができ、さらにケーブルの線径融通性を容易
に実現できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ），（ｂ），（ｃ）は本発明の一実施例のケ
ーブル接続器を構成する接続子の斜視図、正面図、側面
図、第２図（ａ）は本発明の一実施例のケーブル接続器
を構成する下部ハウジングの斜視図、第２図（ｂ），
（ｃ）は上部ハウジンブの異なる方向から見た斜視図、
第３図（ａ）は接続子10を下部ハウジング20に装着した
状態を示す平面図、第３図（ｂ）は第３図（ａ）の状態
から下部ハウジング20に上部ハウジング30を装着した状
態を示す断面図、第４図は第３図（ｂ）の状態からケー
ブル導体50a,50bが接続された状態の断面図、第５図
（ａ），（ｂ）はケーブルの線径融通性を説明する図、
第６図（ａ），（ｂ），（ｃ）はケーブル接続穴13aの
他の例を示す図、第７図は本発明のケーブル接続器の使
用状態を説明する図、第８図（ａ），（ｂ）は従来のケ
ーブルは接続器の平面図、断面図、第９図はＵ字状溝端
子の平面図である。 10……接続子、 11……スリット、 12a,12b……側板部、 13a,13b……ケーブル接続穴、 134,14b……狭小部、 15a,15b,16a,16b……内壁、 17a,17b……端部、 18……主要部、 20……下部ハウジング、 21……ベース部、 22……本体、 23a,23b……ケーブル挿入穴、 24a,24b……溝、 25a,25b……段差部、 26a,26b……ガイド溝、 27……内部空間、 30……上部ハウジング、 31……本体、 32a,32b……係止片、 33a,33b……ケーブル挿入穴、 34a,34b……溝、 35……内部空間、 36a,36b……ケーブル収容溝、 37a,37b……ケーブルガイド溝、 40……下部ハウジング、 41……上部ハウジング、 42……接続子、 43……係止片、 44a,44b……端部、 45a,45b……ケーブル挿入穴、 46a,46b……ケーブル収容溝、 47a,47b……ケーブルガイド溝、 50a,50b……ケーブル導体、 51,52……ケーブル。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】弾性のある導電性の金属板でできている細
   長い接続子と、前記接続子を収容する下部ハウジングお
   よび上部ハウジングとからなり、 前記接続子は、長手方向に細長いスリットおよび該スリ
   ットを長手方向に挟むように形成され、ケーブルの導体
   部が挿入され、貫通するケーブル接続穴とを有し、前記
   スリットの横方向の両側板部が、ケーブル接続穴の軸心
   方向で互いに反対方向に湾曲している主要部と、主要部
   の長手方向の各端面から延び、端面より幅が狭い狭小部
   と、各狭小部に連なる端部とからなり、 前記上部ハウジングと前記下部ハウジングの少なくとも
   一方は、これらが互いに組合わされたとき前記接続子を
   わずかながたをもって収容し、両端部が該ハウジングか
   ら突出するように、内部空間と、フランジ部に設けられ
   各狭小部の幅より大きく主要部の端面の幅より小さい幅
   の溝とを有し、 前記上部ハウジングと前記下部ハウジングが互いに組合
   わされた状態で、各溝の近傍に位置し、前記上部ハウジ
   ングを、フランジ部を含む平面を垂直に貫通し、ケーブ
   ルの導体部が挿入されるケーブル挿入穴と、該ケーブル
   挿入穴と位置が合致し、該ケーブル挿入穴を通過したケ
   ーブルの導体部が挿入されるケーブル挿入穴とがそれぞ
   れ前記上部ハウジング、前記下部ハウジングに形成され
   ており、 前記接続子のケーブル接続穴は、前記ハウジングに前記
   接続子が収容されたときケーブル挿入穴よりも前記溝側
   に位置し、前記接続子の狭小部は、前記端部に押圧力を
   付与して前記主要部の両側板部をたわませて前記ケーブ
   ル接続穴を前記ケーブル挿入穴の位置まで移動させるに
   足るだけ前記溝より長さが長いケーブル接続器。