JP2761327B2 - バッテリの残容量検出装置及び残容量検出方法 - Google Patents

バッテリの残容量検出装置及び残容量検出方法

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JP2761327B2
JP2761327B2 JP4178353A JP17835392A JP2761327B2 JP 2761327 B2 JP2761327 B2 JP 2761327B2 JP 4178353 A JP4178353 A JP 4178353A JP 17835392 A JP17835392 A JP 17835392A JP 2761327 B2 JP2761327 B2 JP 2761327B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気自動車等のバッテ
リの残容量を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のエンジン自動車や、近年、実用化
が図られている電気自動車は、一般に、鉛蓄電池等のバ
ッテリを電気的動力源として備えている。この種の自動
車においては、バッテリに電気エネルギーが貯蔵されて
いることが走行上の必須要件であることから、その残容
量を検出・把握することは重要な事項となっている。
【0003】この場合、エンジン自動車においては、バ
ッテリの貯蔵エネルギーが自己放電等により多少放出さ
れるものの、走行時(エンジンの駆動時)には、バッテ
リがオルタネータ等を介して充分に充電されるようにな
っているので、バッテリの残容量の検出・把握は、比較
的大雑把なものでよく、さほど精度を要求されない。
【0004】ところが、電気自動車においては、その走
行時(走行用モータの駆動時)には、回生制動等の場合
を除き、バッテリの貯蔵エネルギーが走行用モータ等に
より消費されるだけであり、また、駐車時等において
も、バッテリの貯蔵エネルギーが自己放電によって放出
される。このため、特に、電気自動車においては、走行
可能な距離を把握し、あるいは、バッテリの充電を行う
べき適切な時期を確実に認識するために、バッテリの残
容量を正しく検出・把握することが必要である。
【0005】ところで、この種のバッテリの残容量を検
出・把握する方法としては、従来からバッテリの端子電
圧を検出することにより残容量を把握するもの、バッテ
リの比重を検出することにより残容量を把握するもの、
あるいは、バッテリ端子間に流れる電流の単位時間毎の
積算値をバッテリの使用量として検出し、この使用量を
バッテリの初期容量から減算することにより残容量を把
握するもの、さらには、これらを組み合わせたもの等が
知られている。
【0006】しかしながら、一般に、バッテリの実質上
の残容量は、上記の端子電圧、比重及び電流の積算値の
他、バッテリの温度、放電時の放電電流値の大きさ、充
電回数、充電時の温度、一回毎の充電量等、種々の要因
により影響を受ける。
【0007】このため、従来のように、バッテリの端子
電圧等の数少ない要因により残容量を把握しようとして
も、一般には、実質上の残容量を正しく把握することは
できず、場合によっては、他の要因が大きく影響して実
質上の残容量と大きく異なる残容量を把握することとな
る虞れがあった。
【0008】この場合、特に、バッテリの端子電圧や比
重は、加減速等の走行状況等に応じて変動幅が大きく、
このため、これらをバッテリの残容量に影響する主要因
としても、正しく残容量を把握することは困難であっ
た。
【0009】かかる背景を考慮すると、車体に搭載され
るバッテリの容量特性を、考え得る全ての要因を変数と
する関数としてデータ化しておき、そのデータに基づい
て残容量を把握することが最も好ましい。しかるに、一
般には、バッテリの残容量に影響を及ぼす要因は相互に
複雑に関連しているため、このようなデータを作成する
ことは極めて困難であると共に、膨大なデータ量となっ
て実用的でない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】かかる背景を考慮し、
本発明は、バッテリの残容量をその実質的な残容量に則
して検出・把握することができ、しかも、その検出・把
握を容易に行うことができる残容量検出装置及び残容量
検出方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決する手段】バッテリの残容量に影響を及ぼ
す要因のうち、放電電流、充電電流、温度、充電回数等
は比較的精度よく容易に検出することが可能であり、特
に放電電流はバッテリの実質的な残容量に大きく影響す
ると考えられる。
【0012】そこで、本発明のバッテリの残容量検出装
置は、前記の目的を達成するために、バッテリの放電電
流及び充電電流を検出する電流検出手段と、バッテリの
温度を検出する温度検出手段と、バッテリの充電回数を
計数する計数手段と、前記電流検出手段により検出され
るバッテリの放電電流を該バッテリの満充電時から単位
時間毎に累積加算し、その累積加算値をバッテリの基準
使用量として記憶保持する放電電流加算手段と、前記温
度検出手段により検出される現時点におけるバッテリの
温度に応じてあらかじめ定められた使用量補正係数を現
時点における前記基準使用量に乗算してバッテリの電気
的使用量を求める使用量算出手段と、該使用量算出手段
により求められたバッテリの電気的使用量をあらかじめ
定められたバッテリの初期容量から減算し、その減算値
をバッテリの基準残容量として記憶保持する減算手段
と、バッテリの充電時に前記電流検出手段により検出さ
れるバッテリの充電電流を単位時間毎に累積加算し、そ
の累積加算値をバッテリの充電量として記憶保持する充
電電流加算手段と、バッテリの最終の充電の直前におい
て前記放電量加算手段に記憶保持された前記基準使用量
(A)と当該最終の充電の終了時において前記充電量加
算手段に記憶保持された前記総充電量(B)との比(B
/A)を第1の残容量補正係数として求める演算手段
と、前記計数手段により計数されるバッテリの総充電回
数及びバッテリの最終の充電時において前記温度検出手
段により検出されるバッテリの温度に応じてあらかじめ
定められた第2の残容量補正係数と前記第1の残容量補
正係数とを前記減算手段に記憶保持された前記基準残容
量に乗算することによりバッテリの残容量を求める残容
量算出手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】さらに、前記使用量補正係数は、前記バッ
テリの温度の他に、前記電流検出手段により検出される
現時点における前記バッテリの放電電流値によっても変
化する第2の使用量補正係数としてあらかじめ定めら
れ、前記使用量算出手段は、前記第2の使用量補正係数
を前記基準使用量に乗算してバッテリの電気的使用量を
求めることを特徴とする。
【0014】また、前記使用量算出手段は、前記使用量
補正係数と、前記電流検出手段により検出される現時点
における前記バッテリの放電電流値及び該放電電流値が
現時点までに一定値で継続した時間に応じてあらかじめ
定められた第3の使用量補正係数とを前記基準使用量に
乗算してバッテリの電気的使用量を求めることを特徴と
する。
【0015】また、前記バッテリの端子電圧を検出する
電圧検出手段と、前記バッテリの比重を検出する比重検
出手段とを備え、前記使用量算出手段は、前記第1の使
用量補正係数と、前記第3の使用量補正係数と、前記電
圧検出手段により検出される現時点におけるバッテリの
端子電圧に応じてあらかじめ定められた第4の使用量補
正係数と、前記比重検出手段により検出される現時点に
おけるバッテリの比重に応じてあらかじめ定められた第
5の使用量補正係数とを前記放電電流加算手段に記憶保
持された現時点における前記基準使用量に乗算して得ら
れた値を前記バッテリの電気的使用量として求めること
を特徴とする。
【0016】また、本発明のバッテリの残容量検出方法
は、前記の目的を達成するために、バッテリの放電電流
を該バッテリの満充電時から単位時間毎に検出して累積
加算し、その累積加算値をバッテリの基準使用量として
得るステップと、現時点におけるバッテリの温度に応じ
てあらかじめ定められた使用量補正係数を現時点におけ
る前記基準使用量に乗算してバッテリの電気的使用量を
求めるステップと、前記電気的使用量をあらかじめ定め
られたバッテリの初期容量から減算し、その減算値をバ
ッテリの基準残容量として得るステップと、バッテリの
充電時に該バッテリの充電電流を単位時間毎に検出して
累積加算し、その累積加算値をバッテリの充電量として
得るステップと、バッテリの最終の充電の直前において
得られた前記基準使用量(A)と当該最終の充電の終了
時における前記充電量(B)との比(B/A)を第1の
残容量補正係数として求めるステップと、バッテリの総
充電回数及びバッテリの最終の充電時におけるバッテリ
の温度に応じてあらかじめ定められた第2の残容量補正
係数と前記第1の残容量補正係数とを現時点における前
記基準残容量に乗算することによりバッテリの残容量を
求めるステップとを備えたことを特徴とする。
【0017】さらに、前記使用量補正係数は、前記バッ
テリの温度の他に、現時点における前記バッテリの放電
電流値によっても変化する第2の使用量補正係数として
あらかじめ定められ、前記電気的使用量は、当該第2の
使用量補正係数を現時点における前記基準使用量に乗算
して求めることを特徴とする。
【0018】また、前記電気的使用量は、前記使用量補
正係数と、現時点における前記バッテリの放電電流値及
び該放電電流値が現時点までに一定値で継続した時間に
応じてあらかじめ定められた第3の使用量補正係数とを
現時点における前記基準使用量に乗算して求めることを
特徴とする。
【0019】さらに、前記電気的使用量は、前記使用量
補正係数と、前記第3の使用量補正係数と、現時点にお
ける前記バッテリの端子電圧に応じてあらかじめ定めら
れた第4の使用量補正係数と、現時点における前記バッ
テリの比重に応じてあらかじめ定められた第5の使用量
補正係数とを現時点における前記基準使用量に乗算する
ことにより求めることを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明によれば、前記バッテリの電気的使用量
は、前記放電電流の単位時間毎の累積加算値、すなわ
ち、現時点における前記基準使用量に、前記使用量補正
係数を乗算して該基準使用量を補正することにより求め
られ、その求めた電気的使用量は、ほぼ実質的な電気的
使用量を与えるものとなる。
【0021】すなわち、放電電流を単位時間毎に累積加
算して得られた前記基準使用量は、バッテリの電気的使
用量に最も影響を及ぼすものであり、該基準使用量を、
バッテリの容量に影響を及ぼす他の要因であるバッテリ
の温度に応じて定めた使用量補正係数により、補正する
ことにより、バッテリの温度による影響を考慮した電気
的使用量が得られる。
【0022】そして、本発明によれば、前記バッテリの
残容量は、上記のように求めたバッテリの電気的使用量
をバッテリの初期容量から減算して得た値、すなわち、
前記基準残容量に、前記第1及び第2の残容量補正係数
を乗算して該基準残容量を補正することにより求めら
れ、その求めた残容量は、ほぼ実質的な残容量を与える
ものとなる。
【0023】すなわち、前記電気的使用量をバッテリの
初期容量から減算して得た値(基準残容量)は、概略、
バッテリの残容量を示すものと考えられる。そして、該
基準残容量を補正するための第1の残容量補正係数はバ
ッテリの最終の充電時におけるバッテリの充電量(B)
及びその充電直前までのバッテリの基準使用量(A)の
比(B/A)、すなわち、充電量及び放電量の比であ
り、前記第2の残容量補正係数は、バッテリの充電回数
及び最終の充電時におけるバッテリの温度に応じて定め
られた補正係数である。
【0024】従って、前記基準残容量に、前記第1及び
第2の補正係数を乗算することにより得られる残容量
は、バッテリの容量に影響を及ぼす要因として、バッテ
リの充電量、放電量、充電回数及び充電時の温度を考慮
したものとなる。
【0025】尚、前記使用量補正係数は、バッテリの温
度と共に、現時点におけるバッテリの放電電流値にも依
存する補正係数(前記第2の使用量補正係数)として定
めてもよい。このようにすると、バッテリの使用量に影
響を及ぼす要因として、現時点における放電電流値が考
慮され、最終的に求められるバッテリの残容量の精度を
より向上させることが可能となる。
【0026】また、前記電気的使用量を求めるに際して
は、前記使用量補正係数の他に、さらに、現時点におけ
るバッテリの放電電流値及び該放電電流値が一定値で継
続した時間に応じて定めた前記第3の使用量補正係数、
現時点におけるバッテリの端子電圧に応じて定めた前記
第4の使用量補正係数、及び現時点におけるバッテリの
比重に応じて定めた前記第5の使用量補正係数を現時点
における前記基準使用量に乗算して前記電気的使用量を
求めるようにしてもよい。このようにすることにより、
バッテリの容量に影響を及ぼす要因として、さらに多数
の要因を考慮してバッテリの残容量を求めることが可能
となり、その求めた残容量をより実質的残容量として得
ることが可能となる。
【0027】
【実施例】本発明のバッテリの残容量検出装置及び残容
量検出方法の一例を図1乃至図12に従って説明する。
図1は本発明の一例を適用した電気自動車の要部のシス
テム構成図、図2及び図3は該電気自動車におけるバッ
テリの残容量検出の作動を説明するためのフローチャー
ト、図4乃至図12は補正係数を説明するための線図で
ある。
【0028】図1で、1は鉛蓄電池等のバッテリ、2は
走行用モータ、3は図示しないCPU、RAM及びRO
M等を含むコントローラ、4はバッテリ1を充電するた
めの充電器である。
【0029】この電気自動車においては、バッテリ1に
貯蔵された電気エネルギーは、メインスイッチ5と、コ
ントローラ3により制御される駆動回路6とを介して走
行用モータ2に供給され、これにより、該走行用モータ
2を駆動して走行する。この場合、コントローラ3は、
バッテリ1にDC/DCコンバータ7を介して接続さ
れ、該バッテリ1の端子電圧Vは、DC/DCコンバー
タ7を介して降圧されてコントローラ3に電源電圧とし
て供給される。
【0030】充電器4は、この電気自動車とは別に備え
られ、あるいは車載されるものであり、バッテリ1を充
電する際に、停車状態で接続治具8を介してバッテリ1
に着脱自在に接続される。そして、この接続状態におい
て、充電器4は、家庭用電源等からバッテリ1に電力を
供給してバッテリ1を充電する。
【0031】一方、この電気自動車は、バッテリ1の残
容量を検出するために、次の構成を備えている。
【0032】すなわち、バッテリ1からその負荷(駆動
回路6、DC/DCコンバータ8等)に至る通電経路に
は、シャント抵抗9が介装されており、このシャント抵
抗9の両端の電圧VI がバッテリ1の放電電流あるいは
充電電流に相当するものとしてコントローラ3に入力さ
れる。そして、コントローラ3は、バッテリ1の放電電
流あるいは充電電流(以下、これらをバッテリ電流Iと
いう)を、シャント抵抗9の抵抗値をRとして、I=V
I /Rにより求める。この場合、放電電流及び充電電流
の別は、例えば電圧VI の極性により判断される。かか
る構成は、電流検出手段を構成するものである。尚、こ
のようなバッテリ電流Iの検出は、非接触型電流検出器
等、その他の電流検出器により行うようにしてもよい。
【0033】バッテリ1の端子電圧Vがコントローラ3
に入力され、これにより、電圧検出手段が構成される。
【0034】また、バッテリ1には、温度センサ10及
び比重センサ11が取付けられており、コントローラ3
は、これらのセンサ10,11を介してバッテリ1の温
度T及び比重SG を検出する。これらの構成は温度検出
手段及び比重検出手段を構成するものである。尚、ここ
で検出するバッテリ1の温度T及び比重SG は、バッテ
リ1の電解液の温度及び比重であり、センサ10,11
はバッテリ1のケース内に設けられている。
【0035】前記接続治具8には、充電器4が接続され
たか否かを検知する接続検知手段として、充電器4が接
続治具8に接続された時に信号を出力するセンサ12
(例えばスイッチセンサ)が設けられており、コントロ
ーラ3は、そのセンサ12の出力信号により、充電器4
が接続治具8に接続された回数をバッテリ1の充電回数
Nとして計数する。かかる構成は計数手段を構成するも
のである。
【0036】従って、コントローラ3は、残容量を把握
するための、データとして、バッテリ電流I、端子電圧
V、バッテリ温度T、比重SG 及び充電回数Nを検出す
る。この場合、バッテリ電流I、端子電圧V、バッテリ
温度T及び比重SG は、所定のサンプリングタイム(例
えば10ms)毎に検出される。そして、コントローラ
3はこれらの検出データを演算処理する機能として、放
電電流加算手段3a、充電電流加算手段3b、使用量算
出手段3c、減算手段3d、演算手段3e及び残容量算
出手段3fを備えており、これらの各手段による演算処
理により後述するようにバッテリ1の残容量が求められ
る。
【0037】尚、図中、13はコントローラ3により求
められるバッテリ1の残容量を表示するための表示器、
14は求められた残容量が低い時に運転者に警報を発す
る警報器(警報手段)である。
【0038】コントローラ3は、所定のサンプリングタ
イム毎に、図2にフローチャートで示したサブルーチン
を処理し、これによりバッテリ1の残容量を求める。
尚、図2に示すフローチャートは、バッテリ1の充電時
以外の場合(走行時等)についての処理を示したもので
あり、バッテリ1の充電時における処理は後述する。
【0039】コントローラ3は、まず、残容量を求める
ためのデータとして、前記放電電流I、端子電圧V、バ
ッテリ温度T及び比重SG を検出し、次いで、検出され
た放電電流Iがあらかじめ定められた所定値Ir (例え
ば2A)以下であるか否かを判定する。この時、I≦I
r であるときには、バッテリ1の残容量を求めることな
くこのサブルーチン処理が終了され、I>Ir であると
きには、残容量を求めるための演算処理が行われる。こ
のように、残容量を求めるに際して、検出された放電電
流Iが比較的小さい場合を除去するのは、本実施例で
は、バッテリ1から走行用モータ2に流れる比較的大き
い電流を残容量の算出のために考慮し、バッテリ1から
コントローラ3等の各種補機に流れる比較的小さい電流
をバッテリ1の残容量に及ぼす影響が小さいものとして
除外するようにしたからである。
【0040】上記のようにI>Ir であるときには、コ
ントローラ3は、次に、前記放電電流加算手段3aによ
り、今回のサブルーチン処理までに検出された放電電流
Iの累積加算値をバッテリ1の基準使用量Aとして算出
し、これをRAM(図示しない)等に記憶保持する。こ
の累積加算演算はバッテリ1の満充電時からサブルーチ
ン処理が行われる毎に検出された放電電流Iを加算して
いくことにより行われる。ここで、バッテリ1の“満充
電時”とは、例えば、前記充電器4によりバッテリ1が
充電される際に、バッテリ1の端子電圧Vが満充電に相
当する所定の電圧に達したことがコントローラ3により
検知された時を指す。充電器4は、端子電圧Vが満充電
に相当する所定の電圧に達した時に自動的にバッテリ1
への通電を停止するようになっている。そして、コント
ローラ3の放電電流加算手段3aは、バッテリ1が充電
器4により満充電にされる毎に放電電流Iの累積加算値
(基準使用量A)をクリアする(“0”にする)。
【0041】このようにバッテリ1の基準使用量Aを算
出した後に、コントローラ3は、前記使用量算出手段3
cより、前記の検出データを基に、次式に従って基準使
用量Aを補正し、バッテリ1の電気的使用量AX を算出
する。
【0042】 AX =A・KV ・KS ・KT1・KI ……(1) (1)式において、“KV ”、“KS ”、“KT1”、
“KI ”は使用量補正係数であり、これらは次に説明す
るように、前記の検出データを基に求められる。
【0043】すなわち、“KV ”はバッテリ1の端子電
圧Vに応じて基準使用量Aを補正するための使用量補正
係数であり、この使用量補正係数KV は、図4に示すよ
うな特性を有するデータテーブルとしてコントローラ3
のROM(図示しない)等にあらかじめ格納されてい
る。コントローラ3の使用量算出手段3cは、このデー
タテーブルと現時点において検出された端子電圧Vとか
ら使用量補正係数KV を求め、この求めた使用量補正係
数KV を用いて(1)式の乗算を行う。この場合、使用
量補正係数KV の値は、図4に示すように、バッテリ1
の端子電圧Vが小さくなるほど、大きな値となるように
定められており、従って、検出された端子電圧Vが小さ
くなるほど電気的使用量AX の値は大きくなる。
【0044】このような使用量補正係数KV の特性は、
例えば図6に示すようなバッテリの特性に基づいて定め
られたものである。すなわち、図6に破線で示した曲線
は、バッテリの放電状態と端子電圧Vとの関係を例示的
に示したものである。ここで、図6の横軸の“放電状
態”は、バッテリの放電量(放電の進行度)を相対的に
表したものである。図6から判るように、バッテリの端
子電圧Vはバッテリの放電が進行するに伴って、減少し
ていく。従って、バッテリの端子電圧Vが小さくなるほ
ど、バッテリの容量は低下すると見なすことができる。
このことは、バッテリの使用量という観点から見れば、
端子電圧Vが小さくなるほど、バッテリの使用量が増加
していくということを示す。そこで、本実施例では、使
用量補正係数KV の端子電圧Vに対する特性を前述した
ように定めた。
【0045】また、“KS ”はバッテリ1の比重SG
応じて前記基準使用量Aを補正するための使用量補正係
数であり、この使用量補正係数KS は、図5に示すよう
な特性を有するデータテーブルとしてコントローラ3の
ROM(図示しない)等にあらかじめ格納されている。
コントローラ3の使用量算出手段3cは、このデータテ
ーブルと現時点において検出された比重SG とから使用
量補正係数KS を求め、この使用量補正係数KS を用い
て(1)式の乗算を行う。この場合、使用量補正係数K
S の値は、図5に示すように、バッテリ1の比重SG
小さくなるほど、大きな値となるように定められてお
り、従って、検出された比重SG が小さくなるほど電気
的使用量AX の値は大きくなる。
【0046】このような使用量補正係数KS の特性は、
前記図6に示すようなバッテリの特性に基づいて定めら
れたものである。すなわち、図6に実線で示した曲線
は、バッテリの前記放電状態と比重SG との関係を例示
的に示したものである。図6から判るように、バッテリ
の比重SG はバッテリの放電が進行するに伴って、減少
していく。従って、バッテリの比重SG が小さくなるほ
ど、バッテリの容量は低下すると見なすことができ、こ
のことは、バッテリの使用量という観点から見れば、比
重SG が小さくなるほど、バッテリの使用量が増加して
いくということを示す。そこで、本実施例では、使用量
補正係数KS の比重SG に対する特性を前述したように
定めた。
【0047】また、“KT1”はバッテリ1の放電電流I
及びバッテリ温度Tに応じて基準使用量Aを補正するた
めの使用量補正係数であり、この使用量補正係数K
T1は、次の表1に示すようなマップとしてコントローラ
3のROM(図示しない)等にあらかじめ格納されてい
る。コントローラ3の使用量算出手段3cは、このマッ
プと現時点において検出された放電電流I及びバッテリ
温度Tとから使用量補正係数KT1を求め、この使用量補
正係数KT1を用いて(1)式の乗算を行う。
【0048】
【表1】
【0049】この場合、使用量補正係数KT1の値は、表
1に示すように、基本的には、バッテリ1の放電電流I
が大きくなるほど、大きな値となり、また、バッテリ温
度Tが高くなるほど、小さな値となるように定められて
おり、従って、検出された放電電流Iが大きいほど、電
気的使用量AX の値は大きくなり、また、検出されたバ
ッテリ温度Tが高くなるほど、電気的使用量AX の値は
小さくなる。
【0050】このような使用量補正係数KT1の特性は、
例えば図7及び図8に示すようなバッテリの特性に基づ
いて定められたものである。すなわち、図7に示した曲
線は、バッテリの放電容量(放電し得る量)と放電電流
Iとの関係を例示的に示したものであり、図8に示した
曲線は、バッテリの放電容量とバッテリ温度Tとの関係
を例示的に示したものである。ここで、図7及び図8の
縦軸の“放電容量”は、相対的に表したものである。図
7及び図8から判るように、バッテリの放電容量は、放
電電流Iが大きくなるほど、減少し、また、バッテリ温
度Tが高くなるほど、増加する。このことは、バッテリ
の使用量という観点から見れば、放電電流Iが大きくな
るほど、バッテリの使用量が増加し、バッテリ温度Tが
高くなるほど、バッテリの使用量が減少していくという
ことを示す。そこで、本実施例では、使用量補正係数K
T1の放電電流I及びバッテリ温度Tに対する特性を前述
したように定めた。
【0051】また、“KI ”はバッテリ1の放電電流I
とその放電電流Iの値が現時点までに一定値で継続した
時間(一定の放電電流Iでバッテリ1が放電した時間)
とに応じて前記基準使用量Aを補正するための使用量補
正係数であり、この使用量補正係数KI は、次の表2に
示すようなマップとしてコントローラ3のROM(図示
しない)等にあらかじめ格納されている。コントローラ
3の使用量算出手段3cは、このマップと現時点におい
て検出された放電電流Iとその継続時間(放電時間)と
から使用量補正係数KI を求め、この使用量補正係数K
I を用いて(1)式の乗算を行う。
【0052】
【表2】
【0053】この場合、使用量補正係数KI の値は、表
2に示すように、基本的には、バッテリ1の放電電流I
が大きいほど、大きな値となり、また、その放電電流I
の継続時間(放電時間)が長いほど、大きな値となるよ
うに定められている。従って、検出された放電電流Iが
大きく、また、その継続時間が長いほど、電気的使用量
X の値は大きくなる。
【0054】ここで、前記“継続時間”は例えば、次の
ように求められる。すなわち、コントローラ3の前記放
電電流加算手段3aは、前述したように、所定のサンプ
リングタイム毎に放電電流Iを検出して累積加算する一
方、その放電電流Iの検出値を所定の時間間隔毎に(例
えば1秒毎)に時系列的に記憶保持するRAM等から成
る記憶保持手段3g(図1参照)を備えている。そし
て、この記憶保持手段3gは、現時点から過去に逆上っ
てあらかじめ定められた所定数(例えば60個)の放電
電流Iの検出値を時系列的に記憶保持するようにしてお
り、これらの記憶保持される放電電流Iの検出値は、新
たな放電電流Iの検出値が入力される毎に逐次、更新さ
れるようになっている。従って、記憶保持手段3gに
は、現時点から過去に逆上って複数の放電電流Iの検出
値が、所定の時間間隔で時系列的に並べられて記憶保持
されることとなる。
【0055】そして、使用量算出手段3cは、上記のよ
うに記憶保持手段3gに記憶保持された放電電流Iの検
出値を現時点から過去に逆上って検索することにより、
現時点において検出された放電電流Iが現時点までに一
定値で継続した時間を求める。例えば、記憶保持手段3
gに時系列的に記憶保持された放電電流Iの検出値のう
ち、現時点における検出値と、その2個分前の検出値ま
でがいずれも同一の値であるとすると、現時点における
放電電流Iが継続した時間は、記憶保持手段3gに記憶
保持された各検出値同士の時間間隔を2倍した値とな
る。
【0056】尚、本実施例においては、表2に示すよう
に、放電電流Iの継続時間(放電時間)が1秒未満であ
る場合には、放電電流Iの値にかかわらず、使用量補正
係数KI の値を“1”とした。従って、この場合には、
前記(1)式から明らかに使用量補正係数KI は基準使
用量Aの補正には寄与しないこととなる。
【0057】上記のような使用量補正係数KI の特性
は、例えば図9に示すようなバッテリの特性に基づいて
定められたものである。すなわち、図9に示した複数の
曲線は、バッテリの放電電流Iを種々の値で一定に維持
して放電を行った場合に、その放電時間(継続時間)と
端子電圧Vとの関係を例示的に示したものである。図9
から判るように、バッテリの端子電圧Vは、一定の放電
電流Iを流すと、時間の経過と共に減少し、その減少の
度合いは放電電流Iの値が大きくなるほど、急激なもの
となる。従って、大きな放電電流Iが長時間流れるほ
ど、バッテリの容量は減少すると考えられ、このこと
は、バッテリの使用量という観点から見れば、放電電流
Iが大きくなるほど、また、それが継続する時間が長く
なるほど、バッテリの使用量が増加していくということ
を示す。そこで、本実施例では、使用量補正係数KI
放電電流I及びその継続時間に対する特性を前述したよ
うに定めた。
【0058】前記式(1)により求められる電気的使用
量AX は、バッテリ1の放電電流Iの累積加算値、すな
わち、前記基準使用量Aを、端子電圧V、比重SG 、バ
ッテリ温度T及び放電電流Iの大きさ等に応じて前述し
たように定めた各使用量補正係数KV ,KS ,KT1,K
I により補正したものであり、このような補正により得
られた電気的使用量AX は、バッテリ1のほぼ実質的な
使用量を与えるものとなる。すなわち、電気的使用量A
X を求める際の基準となる基準使用量Aはバッテリ1の
実質的な使用量に最も寄与するものであり、これに各使
用量補正係数K V ,KS ,KT1,KI を乗算して得られ
る電気的使用量AX は、端子電圧V、比重SG 、バッテ
リ温度T及び放電電流Iの大きさ等のバッテリ1の容量
に影響を及ぼす各種の要因を考慮したものとなるからで
ある。そして、このような電気的使用量AX は、前記
(1)式の乗算演算により極めて簡単に求めることがで
きる。
【0059】このように電気的使用量AX を求めた後
に、コントローラ3は、前記減算手段3dにより、次式
(2)に従ってバッテリ1の基準残容量Cを求める。
【0060】C=D−AX ……(2) 上式(2)において、“D”はバッテリ1の初期容量で
あり、この初期容量Dは、例えばバッテリ1の製造者が
バッテリ1の新品状態での満充電時の容量として表した
公称容量であり、この初期容量Dから電気的使用量AX
を減算した値、すなわち、前記基準残容量Cは、概略的
には、バッテリ1の残容量を示すものとなる。
【0061】次いで、コントローラ3は、前記演算手段
3e及び残容量算出手段3fにより、次式(3)に従っ
て基準残容量Cを補正し、バッテリ1の残容量CX を求
める。
【0062】CX =C・KX ・KT2 ……(3) (3)式において、“KX ”、“KT2”は残容量補正係
数であり、これらは次に説明するように求められる。
【0063】すなわち、“KX ”は、バッテリ1の先の
基準使用量A0 と充電量Bとの比であり、KX =B/A
0 として定義される残容量補正係数である。ここで、
“先の基準使用量A0 ”とは、最後にバッテリ1の充電
が行われた時の直前までに求められた基準使用量A、す
なわち、前述したように放電電流加算手段3aに記憶保
持された放電電流Iの累積加算値がクリアされる
(“0”にされる)直前の基準使用量Aであり、これ
は、バッテリ1の充電が行われる毎にコントローラ3の
RAM等(図示しない)に格納される。また、“充電量
B”とは、バッテリ1の最後の充電時においてバッテリ
1への充電電流Iを所定の単位時間毎に累積加算して得
られた値である。かかる充電電流Iの累積加算演算及び
残容量補正係数KXの算出は、コントローラ3がバッテ
リ1の充電時に図3にフローチャートで示したサブルー
チンを処理することにより行われる。
【0064】すなわち、コントローラ3は、バッテリ1
への充電が開始されると、まず、その直前までの前記基
準残容量Aを先の基準残容量A0 として記憶保持する。
次いで、コントローラ3は、所定のサンプリングタイム
(例えば10ms)毎に、充電電流Iを検出し、さらに
前記充電電流加算手段3b(図1参照)により、その検
出した充電電流Iを累積加算すると共に、その累積加算
値を充電量Bとして記憶保持する。そして、バッテリ1
への充電が終了すると、コントローラ3は、前記演算手
段3e(図1参照)により、最終的に得られた充電量B
を前記先の基準残容量A0 により除算し、その除算結果
を前記残容量補正係数KX として記憶保持する。かかる
サブルーチン処理において、前記充電電流Iの累積加算
演算は、例えば、コントローラ3が、前記充電器4(図
1参照)が接続治具8に接続されたことを前記センサ1
2を介して検知した時と、前記バッテリ1の端子電圧V
が満充電に相当する所定の電圧に達した時とをそれぞれ
充電の開始時点及び終了時点として、これらの間の期間
に行われる。このようにして得られた残容量補正係数K
X の値は、先の使用量A0 と充電量Bとが等しければ、
“1”であり、また、B<A0 であれば、1より小さい
値、B>A0 であれば1より大きい値となる。従って、
前記(3)式から明らかに、残容量CX は、B<A0
あれば小さくなり、B>A0 であれば大きくなる。この
ような残容量補正係数KX を用いて基準残容量Cを補正
するようにしたのは、バッテリ1の満充電時の容量は、
充電量Bが先の使用量A0 よりも小さければ、基準残容
量Cの基礎となる初期容量D(式(2)参照)よりも小
さくなると考えられ、また、充電量Bが先の使用量A0
よりも大きければ、初期容量Dよりも大きくなると考え
られるからである。
【0065】次に前記(3)式における“KT2”は、バ
ッテリ1の充電回数Nと最後の充電時におけるバッテリ
温度Tとに応じて基準残容量Cを補正するための残容量
補正係数であり、この残容量補正係数KT2は、次の表3
に示すようなマップとしてコントローラ3のROM(図
示しない)等にあらかじめ格納されている。ここで、充
電時におけるバッテリ温度Tは、例えば、バッテリ1の
充電の開始時点において検出されたバッテリ温度Tであ
り、これは、バッテリ1の充電の際に、コントローラ3
のROM(図示しない)等に格納される。
【0066】
【表3】
【0067】この場合、残容量補正係数KT2の値は、表
3に示すように、基本的には、バッテリ1の充電回数N
が多くなるほど、小さな値となるように定められてい
る。また、残容量補正係数KT2の値は、充電時のバッテ
リ温度Tがある所定の温度(例えば35°C)以下で
は、バッテリ温度Tが高くなるほど、大きな値となり、
該所定の温度以上では、バッテリ温度Tが高くなるほ
ど、小さな値となるように定められている。従って、残
容量CX は、バッテリ1の充電回数Nが多くなるほど小
さくなり、また、充電時のバッテリ温度Tが低温から高
くなるに伴って、所定の温度までは大きくなり、所定の
温度を越えると小さくなる。
【0068】このような残容量補正係数KT2の特性は、
例えば図10及び図11に示すようなバッテリの特性に
基づいて定められたものである。すなわち、図10に示
した曲線は、バッテリの放電の深さと充電回数Iとの関
係を例示的に示したものであり、図11に示した曲線
は、バッテリの寿命とバッテリ温度Tとの関係を例示的
に示したものである。ここで、図10の横軸の“放電の
深さ”は、概ね充電回数Nに応じたバッテリの実質的な
容量を相対的に表したものであり、図11の縦軸の“寿
命”は、所定温度下でバッテリの充放電を繰り返した場
合に、バッテリの初期性能を回復し得る充電回数を相対
的に表したものである。図10及び図11から判るよう
に、バッテリの放電の深さは、バッテリの充電回数Nが
多くなるに従って減少する。また、バッテリの寿命は、
バッテリ温度Tが低温から上昇していくに従って、ある
温度(略35°C)までは上昇し、その温度を越える
と、下降していく傾向にある。このことは、バッテリの
残容量という観点から見れば、バッテリの充電回数Nが
多くなるほど、バッテリの残容量が低下し、また、充電
時のバッテリ温度Tの比較的低い領域ではバッテリ温度
Tが高くなるほど、バッテリの残容量が上昇し、バッテ
リ温度Tの比較的高い領域ではバッテリ温度Tが高くな
るほど、バッテリの残容量が低下していくということを
示す。そこで、本実施例では、残容量補正係数KT2の放
電回数N及び充電時のバッテリ温度Tに対する特性を前
述したように定めた。
【0069】前記式(3)により求められる残容量CX
は、バッテリ1の初期容量Dから前記(1)式により求
められた電気的使用量Aを減算した値、すなわち、前記
基準残容量Cを、充電量B、その充電前の基準使用量A
0 、充電回数N及び充電時のバッテリ温度Tに応じて前
述したように定めた各使用量補正係数KX ,KT2により
補正したものであり、このような補正により得られた残
容量CX は、バッテリ1のほぼ実質的な残容量を与える
ものとなる。すなわち、残容量CX を求める際の基準と
なる基準残容量Cはバッテリ1の概略的には、実質的な
残容量を示すものであり、これに各残容量補正係数
X ,KT2を乗算して得られる残容量CX は、充電量
B、その充電前の基準使用量A0 、充電回数N及び充電
時のバッテリ温度T等のバッテリ1の容量に影響を及ぼ
す要因を考慮したものとなるからである。そして、この
ような残容量CX は、前記(2)式及び(3)式の四則
演算により極めて簡単に求めることができる。
【0070】尚、本実施例では、コントローラ3は、前
述したように求めた残容量CX を前記表示器13(図1
参照)に表示させ、これにより運転者等にバッテリ1の
残容量CX を認知させる。また、本実施例では、残容量
X があらかじめ定められた所定量以下であるときに
は、前記警報器4により運転者に警報を発し、バッテリ
1の充電の必要性を認識させるようにしている。
【0071】以上説明したように、この電気自動車にお
いては、バッテリ1の実質的な使用量あるいは残容量に
最も寄与するバッテリ1の放電電流Iの累積加算値(基
準使用量A)を基準として、該基準使用量Aを、残容量
に影響を及ぼす他の要因に係わる各補正係数KV
S ,KT1,KI ,KX ,KT2により補正してバッテリ
1の残容量CX を求めるので、その求めた残容量C
X は、ほぼバッテリ1の実質的な残容量を示すものとな
る。そして、その算出は、基本的には、簡単な加減・乗
算により行われるので、容易に残容量CX を求めること
ができる。
【0072】尚、以上説明した実施例においては、前記
式(1)における使用量補正係数K T1をマップデータと
してあらかじめ設定したが、この使用量補正係数KT1
基本的にはバッテリ温度Tに係わる補正係数であるの
で、例えば図12に示すように、バッテリ温度Tのみに
依存した特性を有するデータテーブルとしてコントロー
ラ3のROM等に記憶させておくようにしてもよい。こ
の場合、使用量補正係数KT1の値は、バッテリ温度Tが
低くなるほど、大きな値となるように設定することが好
ましい。
【0073】また、前記式(2)における“初期容量
D”については、バッテリ1の満充電時の容量が一般に
経時により徐々に減少していくので、バッテリ1の使用
期間(例えばバッテリ1が車体に搭載された時からの期
間)に応じて段階的に“初期容量”が減少するように該
“初期容量”を設定するようにしてもよい。このように
すると、求められる残容量CX の精度をより向上させる
ことができる。
【0074】
【0075】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によれば、バッテリの放電電流の累積加算値をバッテリ
の基準使用量として求め、この基準使用量にバッテリの
温度に係わる補正係数を乗算してバッテリの電気的使用
量を求め、さらに、この電気的使用量をバッテリの初期
容量から減算して得られた基準残容量に、バッテリの充
電回数及び最終の充電時におけるバッテリの温度に係わ
る補正係数と、バッテリの最終の充電の直前における基
準使用量(A)と当該最終の充電の終了時における充電
量(B)との比(B/A)である補正係数とを乗算する
ことによりバッテリの残容量を求めるようにしたことに
よって、バッテリの容量に影響を及ぼす複数の要因を考
慮しつつ、簡単な演算によりバッテリの実質的な残容量
を容易に把握することができる。
【0076】また、前記使用量補正係数を、バッテリの
温度と共に、現時点におけるバッテリの放電電流値にも
依存する補正係数として定めることにより、バッテリの
使用量に影響を及ぼす要因として、現時点における放電
電流値が考慮され、最終的に求められるバッテリの残容
量の精度をより向上させることができる。
【0077】さらに、バッテリの電気的使用量を求める
に際して、バッテリの温度に係わる補正係数の他に、バ
ッテリの放電電流値及び該放電電流値が一定値で継続し
た時間に係わる補正係数や、バッテリの端子電圧に係わ
る補正係数、バッテリの比重に係わる補正係数を現時点
における前記基準使用量に乗算することにより、前記電
気的使用量を求めるようにしたことによって、バッテリ
の容量に影響を及ぼす要因として、さらに多数の要因を
考慮しつつバッテリの残容量を求めることができ、その
求めた残容量をより実質的な残容量として把握すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例を適用した電気自動車の要部のシ
ステム構成図。
【図2】該電気自動車におけるバッテリの残容量検出の
作動を説明するためのフローチャート。
【図3】該電気自動車におけるバッテリの残容量検出の
作動を説明するためのフローチャート。
【図4】補正係数を説明するための線図。
【図5】補正係数を説明するための線図。
【図6】補正係数を説明するための線図。
【図7】補正係数を説明するための線図。
【図8】補正係数を説明するための線図。
【図9】補正係数を説明するための線図。
【図10】補正係数を説明するための線図。
【図11】補正係数を説明するための線図。
【図12】補正係数を説明するための線図。
【符号の説明】
1…バッテリ、3…コントローラ、3a…放電電流加算
手段、3b…充電電流加算手段、3c…使用量算出手
段、3d…減算手段、3e…演算手段、3f…残容量算
出手段、I…放電・充電電流、V…端子電圧、SG …比
重、T…温度、A…基準使用量、KV ,KS ,KT1,K
I …使用量補正係数、AX …電気的使用量、D…初期容
量、C…基準残容量、KX ,KT2…残容量補正係数、C
X …残容量。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バッテリの放電電流及び充電電流を検出す
    る電流検出手段と、 バッテリの温度を検出する温度検出手段と、 バッテリの充電回数を計数する計数手段と、 前記電流検出手段により検出されるバッテリの放電電流
    を該バッテリの満充電時から単位時間毎に累積加算し、
    その累積加算値をバッテリの基準使用量として記憶保持
    する放電電流加算手段と、 前記温度検出手段により検出される現時点におけるバッ
    テリの温度に応じてあらかじめ定められた使用量補正係
    数を現時点における前記基準使用量に乗算してバッテリ
    の電気的使用量を求める使用量算出手段と、 該使用量算出手段により求められたバッテリの電気的使
    用量をあらかじめ定められたバッテリの初期容量から減
    算し、その減算値をバッテリの基準残容量として記憶保
    持する減算手段と、 バッテリの充電時に前記電流検出手段により検出される
    バッテリの充電電流を単位時間毎に累積加算し、その累
    積加算値をバッテリの充電量として記憶保持する充電電
    流加算手段と、 バッテリの最終の充電の直前において前記放電電流加算
    手段に記憶保持された前記基準使用量(A)と当該最終
    の充電の終了時において前記充電量加算手段に記憶保持
    された前記充電量(B)との比(B/A)を第1の残容
    量補正係数として求める演算手段と、 前記計数手段により計数されるバッテリの総充電回数及
    びバッテリの最終の充電時において前記温度検出手段に
    より検出されるバッテリの温度に応じてあらかじめ定め
    られた第2の残容量補正係数と前記第1の残容量補正係
    数とを前記減算手段に記憶保持された前記基準残容量に
    乗算することによりバッテリの残容量を求める残容量算
    出手段とを備えたことを特徴とするバッテリの残容量検
    出装置。
  2. 【請求項2】前記使用量補正係数は、前記バッテリの温
    度の他に、前記電流検出手段により検出される現時点に
    おける前記バッテリの放電電流値によっても変化する第
    2の使用量補正係数としてあらかじめ定められ、前記使
    用量算出手段は、前記第2の使用量補正係数を前記基準
    使用量に乗算してバッテリの電気的使用量を求めること
    を特徴とする請求項1記載のバッテリの残容量検出装
    置。
  3. 【請求項3】前記使用量算出手段は、前記使用量補正係
    と、前記電流検出手段により検出される現時点におけ
    る前記バッテリの放電電流値及び該放電電流値が現時点
    までに一定値で継続した時間に応じてあらかじめ定めら
    れた第3の使用量補正係数とを前記基準使用量に乗算し
    てバッテリの電気的使用量を求めることを特徴とする請
    求項1記載のバッテリの残容量検出装置。
  4. 【請求項4】前記バッテリの端子電圧を検出する電圧検
    出手段と、前記バッテリの比重を検出する比重検出手段
    とを備え、前記使用量算出手段は、前記第1の使用量補
    正係数と、前記第3の使用量補正係数と、前記電圧検出
    手段により検出される現時点におけるバッテリの端子電
    圧に応じてあらかじめ定められた第4の使用量補正係数
    と、前記比重検出手段により検出される現時点における
    バッテリの比重に応じてあらかじめ定められた第5の使
    用量補正係数とを前記放電電流加算手段に記憶保持され
    た現時点における前記基準使用量に乗算して得られた値
    を前記バッテリの電気的使用量として求めることを特徴
    とする請求項3記載のバッテリの残容量検出装置。
  5. 【請求項5】バッテリの放電電流を該バッテリの満充電
    時から単位時間毎に検出して累積加算し、その累積加算
    値をバッテリの基準使用量として得るステップと、 現時点におけるバッテリの温度に応じてあらかじめ定め
    られた使用量補正係数を現時点における前記基準使用量
    に乗算してバッテリの電気的使用量を求めるステップ
    と、 前記電気的使用量をあらかじめ定められたバッテリの初
    期容量から減算し、その減算値をバッテリの基準残容量
    として得るステップと、 バッテリの充電時に該バッテリの充電電流を単位時間毎
    に検出して累積加算し、その累積加算値をバッテリの充
    電量として得るステップと、 バッテリの最終の充電の直前において得られた前記基準
    使用量(A)と当該最終の充電の終了時における前記充
    電量(B)との比(B/A)を第1の残容量補正係数と
    して求めるステップと、 バッテリの総充電回数及びバッテリの最終の充電時にお
    けるバッテリの温度に応じてあらかじめ定められた第2
    の残容量補正係数と前記第1の残容量補正係数とを現時
    点における前記基準残容量に乗算することによりバッテ
    リの残容量を求めるステップとを備えたことを特徴とす
    るバッテリの残容量検出方法。
  6. 【請求項6】前記使用量補正係数は、前記バッテリの温
    度の他に、現時点における前記バッテリの放電電流値に
    よっても変化する第2の使用量補正係数としてあらかじ
    め定められ、前記電気的使用量は、当該第2の使用量補
    正係数を現時点における前記基準使用量に乗算して求め
    ることを特徴とする請求項5記載のバッテリの残容量検
    出方法。
  7. 【請求項7】前記電気的使用量は、前記使用量補正係数
    と、現時点における前記バッテリの放電電流値及び該放
    電電流値が現時点までに一定値で継続した時間に応じて
    あらかじめ定められた第3の使用量補正係数とを現時点
    における前記基準使用量に乗算して求めることを特徴と
    する請求項5記載のバッテリの残容量検出方法
  8. 【請求項8】前記電気的使用量は、前記使用量補正係数
    と、前記第3の使用量補正係数と、現時点における前記
    バッテリの端子電圧に応じてあらかじめ定められた第4
    の使用量補正係数と、現時点における前記バッテリの比
    重に応じてあらかじめ定められた第5の使用量補正係数
    とを現時点における前記基準使用量に乗算することによ
    り求めることを特徴とする請求項7記載のバッテリの残
    容量検出方法
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