JP2761086B2 - 電気化学式ガスセンサ装置 - Google Patents

電気化学式ガスセンサ装置

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JP2761086B2 JP2197358A JP19735890A JP2761086B2 JP 2761086 B2 JP2761086 B2 JP 2761086B2 JP 2197358 A JP2197358 A JP 2197358A JP 19735890 A JP19735890 A JP 19735890A JP 2761086 B2 JP2761086 B2 JP 2761086B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電気化学式ガスセンサ装置に関し、詳し
くは、電解反応を利用して特定のガス成分等を検出した
り定量したりする電解型の電気化学式ガスセンサ装置に
関するものである。
〔従来の技術〕
電気化学的な酸化還元反応を利用して、大気中のガ
ス、例えば、一酸化炭素,水素,アルコール,窒素酸化
物,硫黄酸化物等を検知する電気化学式ガスセンサは、
これまでにも数多く報告されている。一般的に、この種
のガスセンサは、高いガス感度を有していることから、
工業用のガス濃度検知器等の分野において利用されてい
る。
近年、電気化学式センサにおいて、電極間に設けられ
るイオン(プロトン)伝導用の電解質として、スルホン
化パーフルオロカーボン等の高分子固体電解質を用いた
ガスセンサが研究されており、例えば、特開昭53−1152
93号公報等に開示されている。固体電解質を用いたガス
センサは、それまでの液体電解質を用いたガスセンサに
比べて、より小型で低価格なセンサ素子を提供できると
いう利点を有している。
上記先行技術では、感知電極および参照電極と逆電極
とが間に固体電解質を挟んで対向する対向型電極構成を
有しているが、本願発明者らは、1枚の基板の同一平面
上に前記3種の電極を形成して、その上に固体電解質を
配置した平面型電極構成を有するガスセンサ、すなわち
プレーナ型電気化学式ガスセンサを開発し、先に、特願
昭62−42841号等で特許出願している。このプレーナ型
電気化学式ガスセンサは、従来、半導体製造分野等に用
いられている薄膜形成技術や写真製版技術等の微細加工
技術その他を利用して、微細かつ高精度なセンサ素子が
製造でき、ガスセンサの小型化および生産性の向上に優
れた利点を有している。
さらに、本願発明者らは、前記のような電気化学式ガ
スセンサを改良し、使用環境の温湿度変化やセンサ感度
の経時変化等を補正する手段を備えた電気化学式ガスセ
ンサ装置を開発し、先に特願平2−153565号、特願平2
−153564号で特許出願している。このガスセンサは、一
酸化炭素等の検知対象ガスを検知する対象ガス検知部の
他に、大気中に一定濃度で存在する酸素ガス等に対する
基準ガス検知部を備え、環境変化や経時変化に伴う基準
ガス検知部の出力信号の変化をもとにして、対象ガス検
知部の出力信号を補正する。このようなセンサ感度の自
己補正機能を備えたガスセンサであれば、使用環境が変
化したり、ガスセンサの感度が経時的に変化したりして
も、常に正確な検出結果を得られ、信頼性の高いガスセ
ンサを提供することが可能になる。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上記のような基準ガス検知部による自己補
正機能を備えた電気化学式ガスセンサ装置では、基準ガ
ス検知部において、環境変化や経時変化の影響を正確に
検出することができないため、対象ガス検知部の出力信
号を適切に補正することが出来ず、センサ感度の安定性
あるいは信頼性が十分に確保されないという問題があっ
た。
これは、例えば、基準ガス検知部で基準ガスを検知す
る電極、いわゆる作用極の材料に白金を用いた場合、基
準ガスとなる酸素の還元反応に対しては非常に高活性で
あって十分な出力が得られる。ところが、白金電極は、
酸素の還元反応が起こる電位領域において一酸化炭素等
を電極表面に強く吸着するという性質があり、その結
果、酸素の還元反応に対して、いわゆる被毒現象を起こ
す。すなわち、一酸化炭素等が、白金を触媒とする酸素
の還元反応に対して、白金の触媒作用を阻害する被毒作
用を起こすのである。その結果、基準ガス検知部の出力
信号が、環境変化や経時変化だけでなく、酸素以外のガ
ス、特に検知対象ガスである一酸化炭素の存在および濃
度変化にも大きく影響されることになり、基準ガス検知
部の出力信号は、対象ガス検知部の出力信号を補正する
基準として不正確なものとなり、このようなガスセンサ
では十分な自己補正機能を発揮させることは出来ない。
上記問題を、より具体的に説明する。
基準ガス検知部の作用極に加えられた電位が、酸素に
よる還元反応が起きる領域の電位(0〜−0.8V)であれ
ば、大気中および電解質中の酸素(O2)が、下記反応式
(1)の還元反応により還元されて、酸素の還元電流が
流れる。
O2+4H++4e-→2H2O …(1) 一般に、上記反応(1)を起こさせるのに最も活性な
電極触媒は白金なので、従来、酸素検出用電極には白金
が用いられていた。
ところが、白金を用いた場合、前記のような電位領域
で反応(1)が起きている状態で、一酸化炭素(CO)が
存在すると、一酸化炭素が電極表面に強吸着されて、酸
素の還元反応に対して被毒作用を起こすことになり、酸
素の還元電流が著しく減少してしまうのである。このこ
とは、第8図に示す実験結果に明らかにされており、大
気中と大気+CO中で、白金電極への印加電位(酸素検知
極電位)とそのとき流れる酸素還元電流の関係をみる
と、大気+CO中では、酸素還元電流が極端に低下してい
る。
したがって、基準ガス検知部の作用極に白金を用いた
場合には、大気中の酸素を基準ガス、一酸化炭素を検知
対象ガスとして、前記構造の自己補正機能付ガスセンサ
を用いても、対象ガス検知部の出力信号を正確に補正す
ることが出来ない。
そこで、この発明の課題は、前記した自己補正機能を
備えた電気化学式ガスセンサを改良し、より正確で安定
した自己補正機能を発揮でき、環境変化や経時変化の影
響を受けない、信頼性の高い電気化学式ガスセンサを提
供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決する、この発明にかかる電気化学式ガ
スセンサは、複数の電極を電解質でつないで検知作用を
行わせる電気化学式ガスセンサ装置であって、使用環境
中に一定濃度で存在する基準ガスを検知する基準ガス検
知部と、検知対象となる対象ガスを検知する対象ガス検
知部とを備え、さらに、基準ガス検知部の出力信号をも
とに対象ガス検知部の出力信号を補正する感度補正手段
を備えている電気化学式ガスセンサ装置において、基準
ガス検知部で基準ガスを検出する作用極が、使用環境中
に存在するガスによる被毒作用を起こさない材料からな
る。
電極は、金、白金その他の通常の電極材料からなり、
作用極、対極、参照極等と呼ばれ、それぞれの機能に対
応した形状や配置構造を有する複数の電極を1組にし
て、絶縁基板等の支持部材に支持させておく。そして、
これらの電極の上およびその間をパーフルオロスルホネ
ートポリマー等の高分子固体電解質あるいは無機固体電
解質で覆ったり、液体やゲル状の電解質と電極を接触さ
せたりして、電極同士が電解質でつながれた状態にして
ガスセンサを構成する。これらのガスセンサの基本的な
構造については、従来の通常の電気化学式ガスセンサと
同様の構造が採用できる。
この発明では、一つの装置内に、前記のようなガスセ
ンサを複数組備えておくか、一つのセンサ素子あるいは
絶縁基板上に、センサを構成する電極組を複数組備えて
おく。
まず、基準ガス検知部として、使用環境に一定の濃度
で存在する基準ガスを検知するための検知部を備えてい
る。基準ガスとしては、例えば、大気中で使用する場合
には、酸素ガスが前記のような条件を満たし、好ましい
ものとなるが、酸素ガス以外の大気成分を用いることも
でき、使用環境が違えば、その環境に対応した基準ガス
を選択すればよい。
基準ガスの種類に合わせて、基準ガスを検出する電
極、すなわち作用極の材料を、基準ガスを良好に検出で
きるとともに、使用環境中に存在する基準ガス以外のガ
スによる被毒作用を起こさない材料を用いる。特に、検
知対象ガスで被毒作用を起こさない材料を用いるのが好
ましい。具体的には、使用環境が大気中であって、基準
ガスが酸素、対象ガスが一酸化炭素の場合には、作用極
の材料として金を用いるのが好ましく、金の表面に金黒
を形成したものがより好ましい。この金−金黒電極を作
製するには、例えば、スパッタリング等の膜形成手段で
金層を形成した後、塩化金酸溶液中で金の微粒子を前記
金層の上に電着して金黒を形成する。
基準ガス検知部では、目的とする基準ガスを検知でき
るように、作用極と参照極の間にかける印加電圧を設定
しておく。なお、前記した使用環境中のガスによる被毒
作用の有無は、上記のような基準ガスを検知する際の印
加電圧領域で評価するものとする。
つぎに、対象ガス検知部として、検知対象となる対象
ガスを検知するための検知部を備えている。検知対象と
なるガスは、一酸化炭素、アルコール、硫化水素その
他、各種のガスがあり、検知対象となるガスの種類に合
わせて、作用極の電極材料あるいは作用極と参照極の間
にかける印加電圧等を設定しておく。作用極の材料は、
例えば一酸化炭素等の場合には、白金が好ましい。基準
ガス検知部と対象ガス検知部は、感度特性が同一もしく
はほぼ同等になるように、前記作用極の材料以外の対極
や参照極の電極材料あるいは電解質の材料および構造を
設定しておくことが好ましい。そのためには、基準ガス
検知部と対象ガス検知部とが、全く同一の寸法形状およ
び材料のものを用いればよいが、両方の感度特性に一定
の相関関係があって実質的に同等の感度特性が発揮でき
れば、それぞれの検知部の機能や検知するガスの種類等
に合わせて、電極の材料等が一部異なるものを採用する
こともできる。特に、作用極の材料は、対象ガス検知部
と基準ガス検知部とで、前記したそれぞれの機能を良好
に果たせる材料を選択して使用するものとする。
対象ガス検知部および基準ガス検知部には、通常の電
気化学式ガスセンサと同様に、電圧を印加する電源回路
や作用極と対極の間を流れる電流を検出する検出回路等
からなる外部回路が接続される。これらの外部回路は、
前記したセンサ部分を形成する絶縁基板とは別の基板上
に形成しておき、リード線等でつないでもよいし、同一
基板上にセンサ部分と外部回路部分の両方を形成してお
いてもよい。
上記外部回路の一部に、基準ガス検知部の出力信号を
もとに対象ガス検知部の出力信号を補正する感度補正回
路を組み込んでおく等して感度補正手段を設けておく。
感度補正手段としては、対象ガス検知部の出力信号から
環境条件や経時の影響を除いて、対象ガスの正確な検知
情報を出力できるように信号を処理できれば、任意の電
子回路等で構成することができ、具体的には、予め基準
ガス検知部と対象ガス検知部の感度特性を測定して、基
準ガス検知部と対象ガス検知部の感度特性の相関関係を
求め、この相関関係をもとにして適切な感度補正が行わ
れるように感度補正回路を設計しておけばよい。
〔作 用〕
まず、環境変化や経時変化に対する自己補正機能につ
いて説明する。
電気化学式ガスセンサにおいては、ガス成分が作用極
と電解質との界面で電気化学反応を起こすことによっ
て、ガス成分を検出する。したがって、センサ感度が変
化する原因としては、ガス成分が作用極と電解質の界面
まで到達する速度が変化すること、電気化学反応の反応
速度が変化すること、反応でできた生成物が対極まで移
動する速度が変化すること等があり、これらの現象の発
生やその進行は、電極や電解質の構成によって決まって
くる。したがって、電極や電解質の構成をほぼ同じにし
ておく等により、基準ガス検知部の感度特性を対象ガス
検知部の感度特性とほぼ同等にすることが可能である。
このようにすれば、対象ガス検知部と基準ガス検知部
は、種々の環境条件の変動や経時に伴うセンサ感度の変
化が同じように生じる。言い換えれば、対象ガス検知部
と基準ガス検知部は、センサ感度の変化に一定の相関関
係を有することになる。
基準ガス検知部では、使用環境に一定濃度で存在する
基準ガスを検知するので、この一定濃度の基準ガスに対
する基準ガス検知部の出力信号を継続的に監視しておけ
ば、基準ガス検知部の出力信号は、センサ感度の変化を
表すことになり、環境条件や経時によってセンサ感度が
どのように変化するのかを知ることができる。基準ガス
検知部におけるセンサ感度の変化は、前記したように、
対象ガス検知部におけるセンサ感度の変化と相関関係が
あるので、基準ガス検知部における出力信号をもとにし
て対象ガス検知部の出力信号を補正すれば、対象ガス検
知部の出力信号から、環境条件や経時によるセンサ感度
の変化の影響を取り除いて、対象ガスに対する正確な検
知情報を得ることができる。
上記のような自己補正機能を発揮させるには、基準ガ
ス検知部では、環境変化や経時変化がない限り、一定濃
度の基準ガスに対して、常に一定の出力が得られなけれ
ばならない。しかし、前記したように、基準ガス検知部
において、使用環境中のガスが被毒作用を起こせば、基
準ガス検知部の出力信号が変化してしまい、対象ガス検
知部の出力信号を補正する基準になり得なくなる。特
に、基準ガス検知部で被毒作用を起こすガスが対象ガス
であった場合には、対象ガスの存在そのものが基準ガス
検知部の機能を阻害することになるので、自己補正機能
を発揮させることが出来ない。
そこで、この発明では、基準ガス検知部で基準ガスを
検知する作用極の材料に、使用環境中のガスによる被毒
作用を起こさないような材料を用いることによって、対
象ガスその他、基準ガス以外の様々なガスが使用環境中
に存在していても、基準ガスの検知作用には全く影響を
受けず、前記した環境変化や経時変化のみを示す正確な
出力信号が得られる。基準ガス検知部の出力信号が正確
であれば、当然、対象ガス検知部の出力信号を適切に補
正することが可能になる。
例えば、使用環境を大気中、検知対象ガスを一酸化炭
素、基準ガスを酸素とするガスセンサで、基準ガス検知
部の作用極に、従来の白金に代えて金を用いた場合、前
記反応式(1)と同様に酸素の還元電流が流れるが、金
は一酸化炭素を強吸着しないので、一酸化炭素ガスによ
る被毒作用は起こらない。その結果、大気中に一酸化炭
素が含まれていても、基準ガス検知部の出力には全く影
響がなく、対象ガス検知部の出力を補正するための基準
として良好に機能する。
なお、基準ガス検知部の作用極に金を用いた場合、白
金に比べて酸素の還元反応に対する活性は小さくなる。
そのため、白金と同程度の活性を得るためには、作用極
の分極電位を十分に卑にする(例えば、約−0.6V)こと
が有効になる。しかし、分極電位が卑になるにしたがっ
て、電極上の還元エネルギーが大きくなるので、酸素以
外の物質の還元をも促進してしまい、酸素のみの正確な
検出が出来なくなる。
そこで、金の表面に金黒を形成しておくと、金−金黒
電極は、金の表面に金の超微粒子が分散されている状態
であるので、電極の有効面積が、金黒を形成しない金に
比べて約2倍から2桁程度までも大きくすることができ
る。その結果、基準ガス検知部の電位が低分極状態でも
(すなわち、分極電位を卑にしなくても)、酸素の還元
反応に対する活性が、白金と同程度の良好なものにな
り、酸素以外の物質による雑音のない、極めて正確な出
力信号が取り出せる。
〔実 施 例〕
ついで、この発明の実施例について、図面を参照しな
がら以下に詳しく説明する。
第1図〜第3図は電気化学式ガスセンサ装置の全体構
造を示しており、対象ガス検知部となる対象ガス用セン
サAと、基準ガス検知部となる基準ガス用センサBの2
組の、ほぼ同一構造のガスセンサを備えている。
それぞれのガスセンサA,Bは、絶縁基板10,12の表面
に、白金や金その他の電極材料からなる複数組の電極が
形成されている。電極は、検知対象ガスを検知するため
の作用極2,6、対極3,8および参照極4,7のそれぞれ3本
の細長い電極からなる。電極の材料のうち、対極3,8に
ついては白金、参照極4,7については金と、両ガスセン
サA,Bで同じ材料を用いているが、対象ガス検知部Aの
作用極2には白金、基準ガス検知部Bの作用極6には金
と別の材料を用いている。各電極の形成には、スパッタ
や蒸着等の通常の電極形成手段が利用される。各電極の
構造は、電気化学的な作用に関わる反応部20,30,40およ
び60,70,80と、外部回路への電気接続を行う端子部21,3
1,41および61,71,81を備えており、具体的な形状も通常
のガスセンサと同様でよい。
両センサA,Bの絶縁基板10,12の上には、各極の反応部
20〜40または60〜80を囲むように、有機ポリマー等の絶
縁材料からなる四角枠状のフレーム11,14が固定されて
いる。各極の端子部21〜41および61〜81は、上記フレー
ム11,14の外側に配置されている。
フレーム11,14の内側には、イオン伝導性の高分子等
からなる固体電解質層5,52が、各極の反応部20〜40,60
〜80を覆うようにして埋設されている。固体電解質層5,
52の材料や形成手段は、通常のガスセンサと同様でよ
い。例えば、高分子固体電解質として、スルホン化パー
フルオロカーボン(商品名ナフィオン:デュポン社製と
して知られている)をエタノールに溶解したものを、ソ
リューション・キャスト法で、前記フレーム11,14の内
側に塗布し乾燥させればよい。各極の端子部21〜41,61,
81は、フレーム11,14の外まで引き出されて露出してお
り、この端子部21〜41,61〜81に、感度補正手段となる
電子回路を含む外部回路部9に接続するためのリード線
90が接続される。
このようにして、作用極2と6の材料が異なるほか
は、全く同じ電極構造および電解質の構造を備えた基準
ガス用センサBと対象ガス用センサAが外部回路部9に
接続されている。
外部回路部9には、通常のガスセンサと同様に、対象
ガス用センサAおよび基準ガス用センサBに電源を供給
したり、作用極2と対極3または作用極6と対極8の間
を流れる電流を検知するための回路部分に加えて、基準
ガス用センサBの出力信号をもとにして、対象ガス用セ
ンサAの出力信号を補正する感度補正回路が組み込まれ
ている。感度補正回路では、基準ガス用センサBからの
出力信号をもとにして、対象ガス用センサAの出力信号
を補正し、環境条件や経時によるセンサ感度の変動の影
響を除いた対象ガスの正確な検知情報を出力する。感度
補正回路は、各種計測装置やセンサ装置に利用されてい
るのと同様の適当な電子回路により構成されている。
つぎに、第4図〜第6図に示す実施例は、ひとつのセ
ンサ1に、対象ガス検知部Aと基準ガス検知部Bの両方
を形成した場合である。前記実施例と共通する部分につ
いては、同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
ひつとの絶縁基板10の上に、互いに対称的に、作用極
2,対極3,参照極4からなる対象ガス検知部aと、作用極
6,対極8,参照極7からなる基準ガス検知部bとが設けら
れている。各電極2〜4,6〜8は、それぞれ反応部20,3
0,40および60,70,80と、端子部21,31,41および61,71,81
とを備えている。各反応部20〜40,60〜80を囲んでフレ
ーム11か固定され、フレーム11の内側には固定電解質層
5が埋設されている。したがって、フレーム11および固
体電解質層5は、対象ガス検知部5aと基準ガス検知部b
の両方で共用していることになる。各端子部21〜41,61
〜81はフレーム11の外まで延長されて露出している。各
端子部21〜41,61〜81はリード線90を経て外部回路部9
に接続されている。
このように、ひとつのセンサ1に対象ガス検知部aと
基準ガス検知部bの両方を並設しておく場合、固体電解
質層5の含水率等、電気化学反応に重要な条件が全く同
じになるので、基準ガス検知部bの出力信号による対象
ガス検知部aの出力信号の感度補正が適切に行える。ま
た、センサ装置全体が小型化して製造も可能になる。
以上のような構成を備えた、この発明にかかる電気化
学式ガスセンサの、環境変化や経時変化に伴う基本的な
自己感度補正機能については、本願発明者らが先に特許
出願した特願平2−153565号、特願平2−153566号で開
示されているとおり、湿度や温度を変化させたり、長期
間にわたって使用しても、対象ガスに対するセンサ感度
が変化せず、常に安定した検出結果が得られた。
特に、大気中の酸素を基準ガス、一酸化炭素を検知対
象ガスとした場合でも、正確な検出結果が得られること
を、以下の試験により確かめた。
まず、対象ガス用センサAおよび基準ガス用センサB
の、ガスに対する応答曲線を測定した。第7図は、COガ
ス100ppmに対する酸化電流と大気中に含まれる酸素に対
する還元電流の測定結果を示している。第7図上方のグ
ラフをみれば、対象ガス用センサA(対象ガス検知部)
の作用極60(白金)では、COガスの導入開始終了に伴っ
て、明確な出力信号(CO酸化電流)が得られている。ま
た、第7図下方のグラフをみれば、基準ガス用センサB
の作用極60を白金に代えて(実際には、対象ガス用セン
サAをそのまま使用しても同じ)、印加電圧を酸素を検
知するための電位に設定した場合(点線で示すグラフ)
には、COガスの存在により、酸素還元電流が大きく変化
している。すなわち、COガスによる被毒作用で、酸素還
元電流が著しく減少しているのである。これに対し、基
準ガス用センサB(基準ガス検知部)の作用極60(金)
では、COガスの存在に関わらず、常に一定の出力信号
(酸素還元電流)が得られており、COガスによる被毒作
用が全く起こっていないことが判る。したがって、基準
ガス用センサBを、対象ガス用センサAの出力信号を補
正するための基準信号として有効に利用できることが実
証された。
また、第9図には、基準ガス用センサBで、酸素を含
む大気環境と、この大気とCOガスとの混在環境下におい
て、作用極60への印加電圧(電極電位)と酸素還元電流
との関係を測定した結果を示している。グラフをみれ
ば、作用極60に金電極を用いた場合には、大気中でもCO
ガス存在下でも全く同じ特性を示していることが判る。
すなわち、基準ガス用センサBでは、COガスの存在によ
って出力信号に影響を受けることは全くないのである。
さらに、第9図には、基準ガス用センサBの作用極60
を、金電極の代わりに、金−金黒電極で形成した場合の
試験結果も示している。これをみれば、金−金黒電極を
用いることにより、同じ電位でも、金電極よりも高い酸
素還元電流が得られることが判る。
また、第10図には、金−金黒電極を用い、印加電極の
大きさを種々変更して、COガスに対する基準ガス検知用
センサBの特性を測定した結果を示している。これを、
前記第7図の金電極を用いた場合と比較すれば、金電極
の場合には印加電圧が−0.6Vのときに得られた酸素還元
電流の値が、金−金黒電極では印加電圧を−0.4から−
0.3Vにするだけで得られており、金−金黒電極を用いる
ことによって、小さな印加電圧でも高い出力信号を得ら
れることが判る。印加電圧が低くてもよければ、酸素以
外のガス等による雑音や妨害の影響を受け難くなり、正
確な出力信号が得られるようになる。
実際に、金−金黒電極を基準ガス用センサBの作用極
60に用いたガスセンサでは、金電極を用いたものに比べ
て、感度補正が高精度に行え、環境変化や経時変化の影
響を受けないことが確かめられた。
〔発明の効果〕
以上に述べた、この発明にかかる電気化学式ガスセン
サ装置によれば、通常のガスセンサと同様の対象ガス検
知部に加えて、使用環境に一定の濃度で存在する基準ガ
スを検知する基準ガス用センサを備えた自己感度補正式
のガスセンサにおいて、基準ガス検知部の作用極に、使
用環境中に存在するガスによる被毒作用を起こさない材
料を用いているので、基準ガス検知部の出力信号に被毒
作用による影響が生じない。
その結果、基準ガス検知部では、環境変化や経時変化
に伴う出力信号の変化のみを正確に検出することがで
き、この出力信号の変化をもとにして対象ガス検知部の
出力信号を適切に補正して、環境変化や経時変化の影響
を無くした正確な検出結果を得ることができ、性能の安
定した信頼性の高い電気化学式ガスセンサ装置を提供す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例にかかるガスセンサ装置の全
体構成図、第2図は対象ガス用センサの断面図、第3図
は基準ガス用センサの断面図、第4図は別の実施例にか
かるガスセンサ装置の全体構成図、第5図は対象ガス検
知部の断面図、第6図は基準ガス検知部の断面図、第7
図はガスセンサの検知特性を示すグラフ図、第8図は白
金電極の電位と酸素還元電流の関係を示すグラフ図、第
9図は金電極および金−金黒電極の電位と酸素還元電流
の関係を示すグラフ図、第10図は金−金黒電極を用いた
ガスセンサの検知特性を示すグラフ図である。 A,a……対象ガス検知部、B,b……基準ガス検知部、10,1
2……絶縁基板、2,6……作用極 3,8……対極、4,7……参照極、5,52……固体電解質層、
9……外部回路部
フロントページの続き (72)発明者 草薙 繁量 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電 工株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/26 G01N 27/416

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の電極を電解質でつないで検知作用を
    行わせる電気化学式ガスセンサ装置であって、使用環境
    中に一定濃度で存在する基準ガスを検知する基準ガス検
    知部と、検知対象となる対象ガスを検知する対象ガス検
    知部とを備え、さらに、基準ガス検知部の出力信号をも
    とに対象ガス検知部の出力信号を補正する感度補正手段
    を備えている電気化学式ガスセンサ装置において、基準
    ガス検知部で基準ガスを検出する作用極が、使用環境中
    に存在するガスによる被毒作用を起こさない材料からな
    ることを特徴とする電気化学式ガスセンサ装置。
  2. 【請求項2】使用環境が大気中、基準ガスが酸素、対象
    ガスが一酸化炭素であり、基準ガス検知部の作用極が金
    からなる請求項1記載の電気化学式ガスセンサ装置。
  3. 【請求項3】基準ガス検知部の作用極が、金の表面に金
    黒を形成したものからなる請求項2記載の電気化学式ガ
    スセンサ装置。
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