JP2759053B2 - ビス(n−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類よりなるポリウレタン類及びポリウレア類の硬化剤 - Google Patents

ビス(n−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類よりなるポリウレタン類及びポリウレア類の硬化剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリウレタン類、ポリウ
レア類の硬化剤ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシ
ル)メタン類及びこの硬化剤を用いてポリウレタン、ポ
リウレアを種々の特性を改善したポリウレタン、ポリウ
レア類を製造する方法並びにこの方法により製造したポ
リウレア、ポリウレタンに関する。
【0002】
【従来の技術】市販されているポリマー類の1つの種類
として、ポリウレタンエラストマーはいくつかの利点を
持つ性質を有している。一般的に、ポリウレタン類およ
び関連するポリウレア類は高い耐摩耗性を持っており、
さらに、高い耐負荷性、優れた耐切断性および耐剪断
性、高い硬度、及びオゾン劣化に対する優れた抵抗性を
有しており、しかも持ち運びやすく、可塑性がある。金
属と比較して、ポリウレタン類は重さが軽く、使用時に
雑音が少なく、すぐれた耐摩耗性および耐腐食性を示す
と同時に、より安価な製造が可能である。他のプラスチ
ックと比較して、ポリウレタン類は壊れにくく、摩耗に
対してより優れた抵抗性を示し、そして、優れたエラス
チックメモリーを示す。ポリウレタン類は航空機の締め
具、軸受筒、罐、ガスケット、星形車、座金、スクレー
パの刃、羽根車、歯車などの幅広い製品に用いられてお
り、更に種々な目的のコーティングにも使われている。
【0003】ポリウレタン(及びポリウレア)の有用性
は、一部には、比較的少ない反応物から非常に多様な性
質が得られることから来ている。通常、ポリウレタンは
単量体ポリイソシアネート、または低分子量プレポリマ
ーの末端イソシアネート基を、鎖の延長及び、ある場合
においては架橋させることによって高ポリマーを形成す
るために、多官能性化合物のイソシアネート反応性水素
と反応させる(硬化する)ことによって使用現場で製造
される。ウレタンプレポリマーは、例えばジイソシアネ
ートとジオールの2:1付加物のような、ポリイソシア
ネート及び多価アルコールの付加物であり、また、ウレ
アプレポリマーは単量体ポリイソシアネート及びポリア
ミンの付加物である。
【0004】ジオール、及び特にアルキレンジオール
は、硬化剤として最もよく用いられるイソシアネート反
応性物質であり、鎖の延長によって線形ポリマーを形成
する。トリオールまたはより多価のアルコールを用いた
場合は、架橋が起きて、非線形ポリマーが得られる。ま
た、他の多官能性物質、特にジアミンは理論的には適し
ているが、ごく少数の例外を除いて、市販の硬化剤とし
て実用化されていない。例外としては、通常MOCAと
呼ばれる4,4′−メチレン−ジ−オルソ−クロロアラ
ニン、並びに、ジエチルトルエンジアミンまたはDET
DAと呼ばれる2,4−及び2,6−ジアミノ−3,5
−ジエチル−1−メチルベンゼンで、これらは鎖延長剤
及び架橋剤の両方である硬化剤である。より最近、いく
つかの第二級ジアミン及びポリアミンも硬化剤として有
効であることが確認されている。この第二級ジアミン類
は鎖延長剤としてだけ作用する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポリウレタン及びポリ
ウレタンエラストマー分野でまだ解決されていない課題
の1つは、光に対するすぐれた安定性を有すると同時
に、アミンに基づいた硬化剤を用いてつくられたポリマ
ーの頑丈さを持つような製品に対する課題である。現在
使われている製品の多くの欠点は、陽光に曝されると黄
ばむ傾向を持っていることであり、一般のコーティン
グ、自動車や屋外での使用即ち屋根用のトップコート、
橋梁や甲板用コーティング、そしてある種の接着剤な
ど、特定の使用目的に使われた場合黒っぽくならない製
品があれば、非常に有益であろう。
【0006】本発明の目的は、ポリウレタン及びポリウ
レア型の光に対して安定性を持つポリマーを提供するた
めに鎖延長剤として用いることができるジアミン硬化剤
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の1つの実施態様
は、ビス(4−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン
及びビス(4−アルキルアミノ−3−アルキルシクロヘ
キシル)メタンなどのタイプのジアミン類で構成されい
る硬化剤である。ここでのアルキル基は窒素と結合して
いる場合は、炭素原子数が10個以下、そして、シクロヘ
キシル環に結合している場合は、炭素原子数が5個以下
の低級アルキル基である。特殊な実施態様においては、
ジアミンはビス(4−第二−ブチルアミノシクロヘキシ
ル)メタンである。別の実施態様においては、ジアミン
はビス(4−第二−ブチルアミノ−3−メチルシクロヘ
キシル)メタンである。別の実施態様はこれら独特の鎖
延長剤を用いてつくられたポリマーである。
【0008】本発明によるポリマーは、1つ、あるいは
複数のポリイソシアネートとビス(N−アルキルアミノ
シクロヘキシル)メタン類及びこれらアミン類と他のイ
ソシアネート反応性物質、特にポリオール及び他のポリ
アミン類との混合物であるイソシアネート反応性アミン
との反応生成物である。(本願で用いられる『ポリマ
ー』という用語はエラストマー及びコーティングなどを
含む意味で使われている。)これらの反応物の可能な異
なった組み合わせから、多くの変形がある。
【0009】1つの変形は、このポリイソシアネートが
単量体ポリイソシアネートで、この単量体ポリイソシア
ネートはイソシアネート反応性物質と反応して2つの異
なったポリマーをもたらす。タイプAにおいては、この
単量体ポリイソシアネートはイソシアネート反応性物質
としてのポリアミン類とだけ反応して、尿素結合だけを
有していることを特徴とするポリウレアをもたらす。タ
イプBにおいては、単量体ポリイソシアネートはポリア
ミン及びポリオールの混合物と反応し、尿素及びウレタ
ン結合の両方を有するが、一般的にはウレタン基を有し
ていることからポリウレタンと呼ばれるポリマーを提供
する。しかしながら、タイプBのポリマーが通常ポリウ
レタンと呼ばれるものは、これらの製品には比較的多く
のウレタン結合を有するものから、比較的少ないウレタ
ン結合を持っているものまで、幅広い種類のものが含ま
れている。
【0010】別の変形で、ポリイソシアネートはプレポ
リマーで、これは単量体ポリイソシアネートとポリアミ
ンまたはポリオールとの、イソシアネートが末端になっ
た反応生成物である。2当量の単量体ポリイソシアネー
トを1当量のポリオールまたはポリアミンと反応させた
場合、生成物は『フル・プレポリマー』と呼ばれ、2当
量の単量体ポリイソシアネートを1当量より低いポリオ
ールまたはポリアミンと反応させた場合、生成物は『準
プレポリマー』と呼ばれる。
【0011】ポリアミンまたは多価アルコールの当量
は、ポリイソシアネート内に存在しているイソシアネー
ト基と同じアミノ基または活性ヒドロキシル基からのイ
ソシアネート反応性水素をもたらす量として定義され
る。逆に、ポリイソシアネートの当量とは、存在してい
るアミノ及び/またはヒドロキシル水素と完全に反応す
るだけの量のイソシアネート基を提供する量である。
『フル・ポリマー』の具体例は、2モルのジイソシアネ
ート、OCN−Y−NCOと1モルのジオール、HO−Z−OHとの
反応によるつくられる生成物である。
【0012】
【化2】 2 OCN−Y−NCO+HO−Z−OH→OCN−Y−NHC(O)OZO(O)CNH−Y−NCO 上のイソシアネートが末端になるプレポリマーは理想的
には2:1の反応生成物として表されるが、より一般的
には、上の生成物をさらにポリオールと反応させること
により得られる短い重合セグメントにより構成される。
【0013】フルであるか準であるかには関係なく、こ
れらプレポリマーは、種々の異なったプレポリマーをも
たらし、単量体ポリイソシアネートとポリオールかポリ
アミンとの反応から形成することができ、そしてこれら
種々のプレポリマーを、本発明のポリアミン硬化剤と
a)単独、b)ポリオールとの組み合わせ、あるいは
c)他のポリアミン類との組み合わせで反応させること
で、より多様化することができる。タイプCにおいて
は、ウレタン結合をつくりだすための(フルあるいは
準)プレポリマーは単量体ポリイソシアネートとポリオ
ール(バックボーン・ポリオールという)との反応から
得られる。タイプDにおいては、フルであるか準である
かを問わず、プレポリマーは尿素結合をつくりだすため
の単量体ポリイソシアネートとポリアミン(バックボー
ン・ポリアミンという)との反応の生成物である。
【0014】タイプCのプレポリマーが後で本発明の鎖
延長性ポリアミンと反応させられると、(プレポリマー
からの)ウレタン結合と(鎖延長反応からの)尿素結合
の両方を有するポリマーが形成されるが、そのポリマー
もポリウレタンと呼ばれる。タイプDのプレポリマーが
本発明による鎖延長性ポリアミンと反応させられた場
合、他のポリアミンとの組み合わせであるかどうかには
関係なく、反応の結果として得られるポリマーは尿素結
合だけを有しており、その生成物は明らかにポリウレア
である。タイプDのプレポリマーを、ポリオールと組み
合わせて本発明による鎖延長性ポリアミンと反応させた
場合、結果として得られるポリマーは尿素結合とウレタ
ン結合の両方を有している。そのエラストマーがポリウ
レアと呼ばれるか、あるいはポリウレタンと呼ばれるか
は、ウレタン結合の量に基づくより複雑な規則がある。
簡単明瞭な説明はこれで終えて、次に本発明をより詳細
に説明する。
【0015】上に述べた各変形において、ポリイソシア
ネートは、それがモノマーか、プレポリマーか、あるい
は何らかの混合物のいずれであるかに関係なく、本発明
によるアミンと反応する。これらのアミン類は第二級ア
ミン類であるので、それらは本発明によるポリマーを提
供するための鎖延長剤としてのみ作用する。ポリイソシ
アネートを本発明によるアミンとポリオールとの混合物
と反応させられるので、ポリオールの特性及び混合物内
におけるポリオールの相対的な量とによって、さらに多
様化される。これは、特にポリイソシアネートがポリオ
ール−ポリアミン混合物と反応させられる単量体ポリイ
ソシアネートである場合にその傾向が顕著である。ポリ
イソシアネート反応物を本発明によるアミンと他のアミ
ン類との混合物と反応させると、その多様化は一層促進
される。
【0016】本発明の実施において用いられるポリイソ
シアネートの中には少なくともジイソシアネートである
単量体ポリイソシアネートがある。本発明を実施する際
に用いることができるポリイソシアネートの例として
は、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシア
ネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5
−ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,
4−ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、
ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネ
ート、及び一般のアルキル化ベンゼンジイソシアネート
類、メチレン−ジフェニル−ジイソシアネートなどのメ
チレンインターラップ芳香性ジイソシアネート類、特に
3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニル−メタンジ
イソシアネートなどのアルキル化類似物が含まれる4,
4′−アイソマー(MDI)、シクロヘキシレンジイソ
シアネートなどの水素化物質、4,4′−メチレンジシ
クロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、テトラ
メチルキシリルジイソシアネートなどの混合アラルキル
ジイソシアネート、OCN−C(CH3)2−C6H4C(CH3)2−NCO、
及び、一般的にはイソフォロンジイソシアネートと呼ば
れ、3,3,5−トリメチル−5−イソシアナト−メチ
ル−シクロヘキシルイソシアネートであるジイソシアネ
ート、及び、1,4−テトラメチレンジイソシアネー
ト、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6
−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,
7−ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4−及
び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ート、1,10−デカメチレンジイソシアネート及び2−
メチル−1,5−ペンタメチレンジイソシアネートなど
が含まれる。
【0017】また、ポリイソシアネートは、単量体ポリ
イソシアネートと最大0.5当量の、イソシアネート反応
性水素を有する化合物、特にポリオール及びポリアミン
との反応生成物であるポリイソシアネートプレポリマー
でもよい。プレポリマーが準プレポリマーである場合、
単量体ポリイソシアネートはイソシアネート反応性水素
を有する化合物約0.05−0.49当量、最も一般的には約0.
05−0.3当量と反応させられる。タイプCのプレポリマ
ー調製で用いられるポリオールは『バックボーン・ポリ
オール』と呼ばれ、幅広い多様性を示すが、かなりよく
知られており、通常、2価で、より少ない程度ではある
が3価及びより高い多価ポリオールと共に用いられるこ
ともある。
【0018】使用に適したバックボーン・ポリオールの
例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレン
グリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−
及び2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジ
オール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリ
コール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−
1,3−プロパンジオール、グリセロール、トリメチロ
ールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,
2,4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、マ
ンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポ
リ(エチレンオキシ)グリコール類、ジプロピレングリ
コール、ポリ(プロピレンオキシ)グリコール類、ジブ
チレングリコール、ポリ(ブチレンオキシ)グリコール
類、及び一般にはポリカプロラクトンとして知られてい
るカプロラクトンからの重合グリコールである。
【0019】バックボーン・ポリオールとして用いられ
るより高い分子量の他のポリヒドロキシ物質としては、
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキ
シド、スチレンオキシド、及びエピクロロヒドリンなど
のエポキシドと、水などの反応性水素化合物、及びより
特に、エチレングリコール、1,3−及び1,2−プロ
ピレングリコール、トリメチロールプロパンなどのアル
コール類との重合体などがある。アミノアルコール類は
アンモニア、アニリン、及びエチレンジアミンなどの物
質を用いて、上に述べたエポキシド類とでアミノ含有化
合物を得ることができる。
【0020】上述のポリオールの代わりに、あるいはそ
れと共に、ヒドロキシル含有ポリエステル、ポリチオエ
ーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、及びポリ
エステルアミド類もバックボーン・ポリオールとして用
いることができる。使用に適したポリエステルは、多価
アルコール類及び多塩基、好ましくは二塩基酸などを含
んでいる。しばしば用いられる多価アルコール類には、
上に述べたような2価アルコール類が含まれる。ジカル
ボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、グルタル酸、フタル酸、マレイン
酸、及びフマル酸などが含まれる。ヒドロキシル含有ポ
リチオエーテル、ポリアセタール、ポリカーボネート、
及びポリエステルアミドなどもより低い頻度でRIMエ
ストラマーの調製に用いられる。しかしながら、こうし
たことはこの技術の関係者にはよく知られているので、
これ以上詳しくは述べない。
【0021】バックボーン・ポリオールとして2価ポリ
オールを用いるのと、より多価のポリオールを用いるこ
ととの主な違いは、後者が必ず架橋を起こすことであ
る。つまり、分子中に3つ以上のヒドロキシル基を含ん
でいるすべてのポリオールは反応の結果としてできるプ
レポリマー内に三次元ネットワークを形成するための架
橋剤として有効に作用するのに対して、2価ポリオール
の使用は、ポリイソシアネートが3つ以上のイソシアネ
ート基を含んでいなければ、直鎖の形成につながるので
ある。
【0022】タイプDのプレポリマー調製に用いること
ができるポリアミンは『バックボーン・ポリアミン』と
呼ばれる。これらは当業者には良く知られているが、あ
まり詳細にではないが、以下に説明し、そして、ジアミ
ン、トリアミン、及びできるだけ高い多官能性アミンな
どを含むが、それらはいずれも第一級アミンである。そ
うしたアミンの1つの種類は以下の化3で表されるアミ
ノジフェニルメタンのエーテル及びエステルに関連して
いる。
【0023】
【化3】 H2NC6H4CH2C6H4NHC(O)−O−X−O−C−(O)NHC6H4CH2C6N4NH2, H2NC6H4CH2C6H4NHC(O)−O−X−C(O)O−C−(O)NHC6H4CH2C6H4NH2, H2NC6H4CH2C6H4NHC(O)−O−(O)C−X−C−(O)O−C(O)NHC6H4CH2C6H4NH2 これらの化合物において、Xは通常アルキレン基、アル
キレンオキシ基、またはポリ(アルキレンオキシ)基で
ある。両方のH2NC6H4CH2C6H4NHC(O)…基をH2NC6H3(CH3)
NHC(O)…部と置換することによって、同様のバックボー
ン・ポリアミンが得られる。
【0024】別のクラスのバックボーン・ポリアミンは
H2N−Y−NH2の化学式で表されている。1つの群で、Y
はアルキレン鎖である。より大きな群としては、Yはポ
リ(アルキレンオキシ)または両端にアルキレン基を有
するポリエステル部である。したがって、例えば、この
群にはポリオールと、そして次にアミンとアルキレンオ
キシド及びアミンを末端に有するヒドロキシル含有ポリ
エステルとの反応生成物である末端にアミンを有するポ
リオールが存在している。最もよく用いられるのは、分
子量が200−6000の範囲のものである。
【0025】上述のものと類似した構造の、トリまたは
さらに高度のポリアミンを用いることも可能である。例
えば、ペンタエリスリトールとアルキレンオキシドを反
応させると、その一端が以下の化4で表されるようなポ
リエーテルを与える。
【0026】
【化4】 これは末端にアミンを有するトリアミンを得ることもで
きるし、他端にヒドロキシル基を持つものは同様にアミ
ンを配すればテトラアミンとなる。両方の種類の生成物
ともバックボーン・ポリアミンとして用いることができ
る。上に列挙したポリアミン類は、本発明の実施にあた
って用いることができるバックボーン・ポリアミンの具
体例に過ぎない。ポリマーとしての使用に適しているバ
ックボーン・ポリアミンにはいろいろなものがあること
は、当業者には良く知られている。
【0027】ポリイソシアネートは次に本発明のジアミ
ン/硬化剤と反応(硬化)される。硬化は、a)ジアミ
ン/硬化剤だけ、b)他のポリアミンとの組み合わせ、
またはc)ポリオールとの組み合わせ、のいずれで行わ
れてもよい。本発明による第二級ジアミン硬化剤の構造
を以下に示す。
【0028】
【化1】
【0029】R1とR2はアルキル基で、直鎖又は分岐し
てもよい、いずれも1−約10個の炭素原子を含んでい
る。R1とR2は異なっていてもよいが、ほとんどの場
合、調製上同一である。代表的なアルキル基としては、
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イ
ソブチル、第二ブチル、第三ブチル、及び種々のペンチ
ル異性体、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びデシル
基である。好ましいR1とR2は少なくとも3つの炭素原
子を含んでおり、特にブチル基が好ましく、そして後者
の内では第二ブチル基が特に好ましい。
【0030】R3,R4,R5及びR6は水素及びそれぞれ
1−約5個の炭素原子を含んでいるアルキル基で構成さ
れる群から選択されるが、ほとんどの場合R3とR4とは
同じである。R3,R4,R5及びR6が選択されるアルキ
ル基は、それらが1〜約5個の炭素原子を含んでいる場
合は、R1及びR2と同じである。R5とR6とが水素の場
合が特に好ましい。R3とR4がメチルか水素で、R5
びR6が共に水素である場合が最も好ましい。
【0031】本発明による硬化剤は、アルキルアミノ基
がCR56基に対して環のいずれの位置にあってもよ
く、R3とR4がアルキルアミノ基に対してどの位置を占
めてもよいような構造である。アルキルアミノ基及びR
3とR4の相対的な位置に関しては制約はないが、アルキ
ルアミノ基がCR56の結合位に対して4,4′−位置
にある種類が最も一般的であり、R3とR4がアルキル基
である場合、それらが3−及び3′−の位置を占めるの
が最も一般的である。
【0032】ポリイソシアネートは本発明による第二級
アミンの1当量あたり0.9−約1.25当量の範囲で用いら
れ、これは90−125%ポリシアネートと表現されること
がよくある。最も一般的には、ポリイソシアネートは化
学当量にしたがって用いられ、あるいはそれを5−15%
上回った範囲で用いられるので、つまり、ポリイソシア
ネートの好ましい範囲は100−115%(鎖延長ジアミンの
1当量に対して1.00−1.15当量)である。
【0033】本発明によるポリマーは、また、0.9−約
1.25当量のポリイソシアネートと、1当量の本発明の上
記第二級ジアミンとバックボーン・ポリオール(前記に
定義した)及びポリオールの混合物との反応から形成さ
れる。単量体ポリイソシアネートあるいは準プレポリマ
ーの場合、あるいは、フル・プレポリマーの場合、本発
明による上記第二級ジアミンとポリオールとの混合物と
の反応から形成することができる。本発明のこうした実
施態様で用いられるポリオールは、1分子あたり3つ以
上の反応性ヒドロキシル基を含む多価アルコールであ
り、1分子あたり3つ以上のヒドロキシル基がポリイソ
シアネートの末端イソシアネート基と反応する必要があ
る。
【0034】通常、これはポリオールが少なくとも3価
であることを意味しているが、一部の3価アルコールは
硬化反応条件の下で反応性を示さないヒドロキシル基を
1つ、あるいは複数含んでいる場合があるので、3価ア
ルコールで十分だというのは必ずしも真実ではない。特
に、フェノール性ヒドロキシル基及び第三炭素原子に結
びついたヒドロキシル基は通常ポリイソシアネートの硬
化においては反応性を示さないが、第一級及び第二級ア
ルコールと結びついたヒドロキシル基は反応性を示す。
1分子あたり3つ以上のヒドロキシル基を有するポリオ
ールを用いた場合は、こうした物質が架橋剤及び鎖延長
剤として作用することは明らかである。
【0035】使用可能なポリオールには、1,1,1−
トリ(ヒドロキシルメチル)プロパン、又は2,2−ジ
(ヒドロキシルメチル)−1−ブタノールとして知られ
ているもの、1,1,1−トリ(ヒドロキシメチル)エ
タン、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキ
シプロピル)エチレンジアミン、2,4,6−トリス
(N−メチル−N−ヒドロキシメチルアミノメチル)フ
ェノール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,
4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、マンニ
トール、ソルビトール、トリグリコール、カスターオイ
ル、トリイソプロパノールアミン、及びN,N,N′,
N′−テトラキス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミ
ンなどがある。ポリオールは通常本発明によるジアミン
の1当量あたり約0.10−約1.0当量の範囲で用いられ
る。
【0036】本発明によるポリマーは、また、0.9−約
1.25当量のポリイソシアネートを、単量体ポリイソシア
ネートまたは準プレポリマーの場合、本発明による上記
第二級アミンとバックボーン・ポリアミン(前に定義し
た)との混合物を反応させることによって、また、フル
・プレポリマーの場合は、本発明による上記第二級アミ
ンとポリアミンとの混合物と反応させることによって形
成することもできる。本発明のこの実施態様において用
いられるポリアミンは、1分子あたり3つ以上の反応性
アミンを有している多官能性アミンであり、つまり、1
分子あたり3つ以上のアミン基がポリイソシアネートの
末端イソシアネート基と反応しなければならない。通
常、これはポリアミンが少なくとも3官能性であること
を意味している。
【0037】第一級アミンは2つの水素を含んでいる
が、2番目の水素は硬化のための反応条件の下では反応
性を示さない。例えば、2番目の水素が立体障害上制約
を受けすぎたり、反応温度が十分に高くない場合、反応
は起こらない場合がある。また、立体障害によってアミ
ノ基全体が反応性を示さない場合もある。1分子あたり
3つ以上の反応性アミンの水素を有するポリアミンを用
いた場合、そうした物質が架橋剤及び鎖延長剤の両方と
して作用することは明らかである。
【0038】用いられる可能性のあるポリアミンには、
分子量が1000以下のバックボーン・ポリアミンとして前
に定義されたもの、炭素原子の総数が2−20の範囲の直
鎖あるいは分岐アルキルジアミン、炭素原子が5−20の
範囲の3官能性鎖状または分岐鎖状アルキルアミン、ト
リス(2−アミノエチル)アミンなどの置換ジアミン、
イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)メタン及びビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘ
キシル)メタンなどのビス(アミノシクロヘキシル)メ
タン類である。
【0039】別の変形において、ポリマー類はポリイソ
シアネートを、本発明による第二級ジアミンをバックボ
ーン・ポリオール及びポリアミンと混合させるか、ある
いは本発明の第二級ジアミンをバックボーン・ポリアミ
ン及びポリオールと混合させたものとポリイソシアネー
ト反応性成分と反応させてつくることもできる。本発明
によるアルキル化ジアミンは前駆体第一級アミンに対し
て用いられる従来のアルキル化手順によって調製され、
実施例中にその代表例を示す。
【0040】硬化時間はジアミンのアルキル基のタイプ
ばかりでなく、もし硬化ブレンド内に他のイソシアネー
ト反応性物質が存在している場合はその量と性質に依存
する。例えば、一般的に、R1とR2に関連の硬化時間
は、Rが第一アルキル<第二アルキル<第三アルキルの
順で増大する。こうした点を考えれば、本発明の硬化剤
が非常に幅広い硬化時間を示すことが予想できることは
明らかであろう。こうした多様性は、使用者がその特殊
な要求に合わせてジアミンを加工する上で明確な利点を
提供する。反応を通じて得られるエラストマーの性質も
本発明によるジアミンの性質に対応して変化し、そし
て、多くのジアミンを同じ硬化時間の下で選ぶことがで
きるので、使用者は通常、最終製品のために求められる
性能特質によって、自由に本発明によるジアミンを選択
することができる。
【0041】硬化を促進するために触媒が必要な場合、
有機錫化合物が最もよく用いられ、錫(II)アセテート、
錫(II)オクトエート、錫(II)エチルヘキソエート、及び
錫(II)ラウレートなどのカルボン酸の錫(II)塩、及びジ
ブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブ
チル錫マレエート、及びジオクチル錫ジアセテートなど
で例示されるカルボン酸のジ錫塩などが挙げられる。こ
うした錫塩は単独でも、あるいは、アミノピリジン、ア
ミノピリミジン、ヒドラジノピリジン、及びテトラヒド
ロピリミジンなどとの複合物として用いてもよい。
【0042】鉛、鉄、水銀、ビスマス、コバルト、及び
マンガンなどの物質を基にした触媒も用いられている。
そして、コバルト(III)アセチルアセトネート、コバル
トナフトエート、マンガンナフトエート、鉛オレエー
ト、ビスマスネオデカノエート、亜鉛ナフテネート、及
びジルコニウムナフテネートなどの化合物を含んでい
る。使用可能な他の触媒としては、トリエチルアミン、
トリブチルアミン、N−メチルモルフォリン、1,4−
ジアザ−ビシクロ−(2,2,2)−オクタン、N−メ
チル−N′−ジメチルアミノエチルピペラジン、N,N
−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘ
キシルアミン、及び1,2−ジメチルイミダゾールなど
の第三級アミンを含んでいる。
【0043】シラアミン及びテトラアルキルアンモニウ
ム水酸化物などの塩基性窒素化合物、水酸化ナトリウム
などのアルカリ金属水酸化物、及びナトリウムメチラー
トなどのアルカリ金属アルコラートなど他の触媒も触媒
として用いられている。これらの触媒は通常、ポリイソ
シアネートの量と、ポリイソシアネートに反応する物質
の量とに基づいて、約0.01−約10%(重量)、好ましく
は約0.05−約1.0%(重量)の範囲で用いられる。以下
の実施例は本発明を説明するためのものである。
【0044】
【実施例】ポリマーの調製ポリマー成分を調合し、次に
『ワン・ショット法』を用いて混合されるが、準プレポ
リマー及びプレポリマーに基づく方法も用いることがで
きる。調合、混合、及び硬化は室温で行われる。B成分
(イソシアネート反応性化合物、触媒、及び添加剤のす
べて)を紙コップに入れて、1分間攪拌した。攪拌パド
ルをカップ内に残して泡の発生を最小限にとどめるよう
にし、B成分を30分間ガス抜きして、泡や溶存空気を取
り除いた。ガス抜き後、B成分を高トルク攪拌機に移し
て、攪拌パドルを再びつなぎ、そしてA成分(イソシア
ネート)を素早くB成分に移した。混合物は泡の発生を
最小限におさえるように注意しつつ、その物質の可使時
間に応じて30秒から60秒の時間範囲で攪拌した。この混
合物を、次に、カバーをかけ、まっすぐ立てておくこと
ができるステンレススチール成形型(深さ:1/8インチ
即ち3.2mm)に注ぐか、あるいは、ドクターナイフを用
いてガラス板上に約33ミル(0.82mm)に設定した薄膜を
キャスト成形した。この硬化剤の当量は通常理論通りの
100%である。ポリマーは試験開始前、2週間、室温で
ポストキュアされた。
【0045】ASTM法を用いて、これらポリマーの特
性を測定した。硬さはASTM D2240、引裂き抵抗は
D624、引裂き伝播抵抗はD1938を、圧縮永久ひずみ、
そしてレジェンス(バッシャーの反撥)はD2632を用い
て、それぞれ測定された。弾性係数、引張り強さ、そし
て伸びはD412を用いて測定した。可使時間はガラス棒
を用いて1インチ(25.4mm)引張り挙げ、ストリングが
最低10秒間壊れない時間と定義される。ゲル化時間はガ
ードナー・ゲル・タイマー(Paul N. Gardner Company,
Inc.)を用いて判定された。非粘着時間(tack free t
ime)はポリマーの粘着がまったくない時間と定義され
る。
【0046】鎖延長因子アミン、ビス(N−第二−ブチ
ル−4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン
(ジアミンB)の調製:ジアミンAを、水素の存在下、
アルミナ上に0.375%の白金を配した触媒上で、メチル
エチルケトン(MEK)を用いてビス(4−アミノシク
ロヘキシル)メタンを還元的アルキル化して調製した。
この触媒は反応器のサイズ及びタイプに応じて、粉末、
サイズを調整した粒子、あるいは1/16インチ(1.6mm)
径の球として用いることができる。反応器は水素で加圧
した。これらの物質を攪拌オートクレーブを用いて調製
した際、圧力は1,000−1,500psi(6895−10343kPa)の
範囲であり、反応時間は5−8時間の範囲であった。連
続式固定床反応器を用いて調製した場合、圧力は800psi
(5516kPa)程度に維持され、原料供給速度は約1LH
SV/hrであった。
【0047】これらの反応で用いることができる温度
は、100−140℃の範囲で、好ましくは100−120℃の範囲
である。MEKのアミンに対する比率はアミン1モルに
対して、MEK約6−8モルの範囲である。反応が終了
すると、過剰なMEKと水は反応混合物から分離され、
ジアミンだけが残る。連続反応器の最後に乾燥カラムを
配置して、反応系から水を除去するようにしてもよい。
生成物は澄んだ、ほとんど無色の液体である。ジアミン
Bは反応開始時のアミンとしてビス(4−アミノ−3−
メチルシクロヘキシル)メタンを用いて調製され、同様
の結果が得られた。
【0048】 ジアミンBからのポリマー、周囲温度での硬化 ジアミンBはポリオール100重量部に対して0−30重量
部(php)の範囲で用いられた。この場合、ポリオール1
00重量部はバックボーン・ポリオールの総量である。ポ
リイソシアネートはMiles Laboratories社がDesmodur
W[登録商標]として販売しているビス(4−イソシア
ネートシクロヘキシル)メタンを用いた。バックボーン
・ポリオールは、ARCOケミカル社(ARCO Chemical
Co.)が販売しているプロピレンジオールとプロピレン
オキシドとの重合体(Arcol[登録商標]PPG-1025)ま
たはグリセロールとプロピレンオキシドとの重合体(Ar
col[登録商標]LG-168)の混合物を用いた。また触媒
としてジブチル錫ジラウレート、及びUOP社が販売し
ているキャスターオイル中に3Aモレキュラーシーブを
混合したUnisiv 3A ペーストを脱湿剤として用いた。
表1にその結果を要約して示す。
【0049】
【表1】
【0050】この表はポリマーの最終的な性質に対する
ジアミンBレベルの影響を示している。ジアミンBのレ
ベルはポリオール100重量部に対して0−30重量部(ph
p)の範囲で変えられた。左側のカラムは標準組成を示
しており、ジアミンBはまったく含まれていない。な
お、可使時間は極めて長く、非粘着時間が異常に長い。
標準的な組成は引張り強さが低く、伸びもなく、そして
引裂き抵抗も低い非常に柔らかな物質を提供する。一般
的に、このポリマーはもろい傾向(引張り強さの弱さと
伸びの低さ)を示す。
【0051】ジアミンBを加えると、処理時間が変化し
始める。20phpジアミンBの場合、ポリマーは一昼夜後
は粘着を示さず、これは駐車場とか屋根のコーティング
など、工業的なコーティングにとって重要である。ジア
ミンBの量が増大すると、ポリマーの頑丈さが劇的に良
くなる。例えば、引張り強さは320psiから3009psiに増
大し、伸びは181%から324%に増大する。弾性係数と引
裂き抵抗もジアミンBレベルが増大すると、大幅に向上
する。すべての場合に、線形の縮みはジアミンBを含ん
だサンプルの場合、0.5%以下であった。ジアミンBに
代え、他の鎖延長因子を用いてポリマーが作成された
が、その性質を表2に示す。ここで1,4−BDは1,
4−ブタンジオールであり、PPG−425はARCO Chemical
Co.が販売している分子量425程度のポリプロピレング
リコールである。
【0052】
【表2】
【0053】この表はジアミンBを含有しているサンプ
ルを組成は同じだがジアミンBを通常のポリオール硬化
剤と置き換えたサンプルと比較して示している。用いら
れたポリオール硬化剤の量は用いられたジアミンBの当
量数と同じで、phpで示してある。上にも述べた通り、
ジアミンBを用いたサンプルのプロセス時間は、ジアミ
ンB含有サンプルの場合一昼夜の硬化時間が得られるの
に対して、両方の対照サンプルでは粘着性のない物質が
得られるまでに数日かかるという意味で、コーティング
により適している。ジアミンB含有サンプルはポリオー
ル硬化標準サンプルよりかなり優れた性質を示した。
【0054】1,4−BD(1,4−ブタンジオール)
を含んだサンプルは物理的性質(硬度が同様である点に
注意)においてはジアミンBに最も近いが、ジアミンB
含有サンプルの方が1,4−BDサンプルより2倍以上
高い引張り強さを示した。加えて、ジアミンB含有サン
プルはより高い弾性係数、同様の伸び(引張り強さは急
激に高くなるが)を示し、そして引裂き抵抗もより改善
される。この場合も、ジアミンBの使用がはるかに頑丈
な物質の作成を可能にする。
【0055】架橋作用に関する試験 この試験ではバックボーン・トリオールARCOL LG
−168のレベルを変えて、ジアミンBを用いての室温硬
化によるポリマー上での架橋作用のレベルを示した。そ
の結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】表1及び2は、ジアミンBの添加が架橋作
用の増大と結びついていない場合、ジアミンBの使用は
圧縮永久ひずみの増大をもたらすことを示す。表3はジ
アミンBを用いてつくったポリマーの物理的性質に対し
て架橋作用の増大がどのような影響を及ぼすかを示して
いる。架橋作用はトリオールARCOL LG−168を用
いて導入され、その量は0−100phpの範囲で変えられ
た。ジアミンBのレベルは一定に抑えた。
【0058】すべてのサンプルの処理時間は同様であっ
たので、架橋作用レベルを変化させても、測定精度の範
囲では可使時間または非粘着時間に対してはほとんど影
響を及ぼさなかった。予想通り、架橋作用のレベルが増
大すると、圧縮永久ひずみ値は減少した(改善され
た)。トリオールを含まないサンプルの場合、熱可塑性
ポリマーをもたらしたが、100%トリオールに基づくポ
リマーの圧縮永久ひずみは31%であった。トリオールの
サイズが大きいことから、100%トリオールの場合も架
橋密度は普通のレベルであった。このことは100%トリ
オールでのポリマーの硬さが僅か91ショアの硬さであり
伸びが150%以上であることによって裏づけられてい
る。架橋レベルを増大させると、引張り強さと弾性係数
は大幅に改善されたが、伸びにおいては予想された通り
の劣化が生じた。上にも述べた通り、ジアミンBを用い
たポリマーは圧縮に対してすぐれた抵抗性を示した。
【0059】ジアミン及びイソシアネートを変えた場合
のポリマーの性質 ジアミンA及びジアミンBを用いたこのシリーズにおい
ては、ポリマーは種々のイソシアネート及びポリオール
から作成された。VORANOL[登録商標]234−630はDow C
hemical U. S. A社が販売している、平均分子量267のポ
リエーテルトリオールである。Dabco T-12はジブチル
錫ジラウレートのAmerican Cyanamid社による商標であ
る。
【0060】
【表4】
【0061】表4はジアミンA及びBが異なったタイプ
の脂肪族イソシアネートを使用した試験結果が示されて
いる。この表ではキャスト成型とフィルム成型法の両方
の使用結果が示されている。Des WはDesmodur W,Des
ZはDesmodur Z-4370/2(イソフォロン・ジイソシア
ネートのトリマー、70%固体)で、いずれもMiles Labo
ratories社から販売されており、TMXDIはAmerican
Cyanamid社から販売されているメタ−テトラメチルキ
シリレンジイソシアネートである。上から5つのポリマ
ーはジアミンBを硬化剤として用いており、最後の2つ
のポリマーはジアミンAに基づいている。すべての組成
が優れた物質をつくりだした。Des Zに基づいたものは
Des WまたはTMXDIに基づくものより硬い物質をつ
くりだした。100%のトリオールARCOL LG−168と
Des Z及びphpジアミンBを用いた組成は引張り強さが
3,000psi以上、引裂き抵抗が約340pliの物質をつくりだ
した。
【0062】ポリウレアポリマー;ジアミンA この試験では、バックボーン・ポリアミンはTexaco Che
mical Co. が販売しているJeffamine[登録商標]シリ
ーズから選択された。Jeffamine Tシリーズのポリアミ
ンはグルセロール(T−5000の場合)を用いてのプロピ
レンオキシドのアミンでアミノキャップした重合体であ
る。3官能T−5000は5,000という適切な分子量を持っ
ている。Jeffamine Dシリーズの化合物はポリ(プロピ
レンオキシ)ジアミン、つまり、アンモニアとプロピレ
ンオキシドの反応による、両方の末端にアミンを有する
生成物である。D−2000は約2,000の分子量を有するジ
アミンである。これらのポリマーの結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】表5はイソシアネートTMXDIに基づく
ポリウレア・コーティングとバックボーンとしてのJeff
amineポリアミンと共にジアミンAを用いた場合の結果
を示している。ジアミンAのレベルはジアミンA/Jeff
amine比の関数として調べられ、この比率はそれぞれの
当量数に基づく比率である。この表の最も重要な情報は
コントロール組成に関する情報である。ジアミンAを含
んでいないものは反応速度が速過ぎて、標準的な成型装
置を用いてのコーティングにさえ用いることができな
い。コントロールの可使時間が9秒以下の場合、通常、
RIM(反応射出成型)技術に基づく特殊な混合及び繰
り出し装置が必要である。ジアミンAの使用は反応速度
を劇的に低下させると同時に、可使時間を9秒以下から
3分程度に増大させる。組成にジアミンAを用いると、
通常のキャスティング及びディスペンシング(dispensi
ng)装置を用いてポリウレア・コーティングを作成する
ことが可能になる。
【0065】一般に、ジアミンAを用いてつくったポリ
ウレアは引張り強さが600psi以上、そして伸び値が400
%程度の優れた材料をもたらす。コーティングにとって
重要な特性である引裂き抵抗は、引裂き抵抗が170pli以
上、そして引裂き伝播抵抗が130pli以上であった。興味
深いことに、試験したジアミンAの範囲では、物理的性
質は比較的一定していた。これらのコーティングも優れ
た収縮抵抗を持っている。
【0066】ポリウレア・ポリマー;ジアミンB これはジアミンBを用いたこと以外、上述の試験と同様
である。
【0067】
【表6】
【0068】この表は、ジアミンBが用いられており、
イソシアネートがDesmodur Wであることを除けば、表
5と同じ試験の結果を示している。表5の場合と同様、
(本発明によらない)コントロール組成は反応速度が速
過ぎて、通常の成型及び繰り出し装置で用いることはで
きない。表5の組成の可使時間は表5の場合と同様であ
るが、Desmodur WがTMXDIより反応の早いイソシ
アネートであることを留意する必要がある。この事実は
ジアミンAとジアミンBアミン類の間の反応性の相違を
説明するのに役立つ。反応速度が速いDesmodur W-Jeffa
mineシステムの場合、可使時間が3分以上であることを
希望する場合、より反応速度が遅いジアミンBの使用が
好ましい。なお、表6のゲル化時間(作業時間)及び非
粘着時間は表5の場合よりかなり長い。
【0069】表6の組成はジアミンBのレベルが増大す
ると、引張り強さ、弾性係数、及び引裂き抵抗の確実な
上昇を示す。伸び値は非常に高く、525%(引張り強さ
が787psiの場合)から1025%(引張り強さが386psiの場
合)の範囲である。最高レベルのジアミンB(高度:85
ショアA)を用いた組成では、引張り強さが934psi、伸
び値が610%、引裂き抵抗が290pli、そして引裂き伝播
抵抗が265pliである。
【0070】ポリウレアポリマー;バックボーンの効果 この試験ではバックボーンをいろいろに変えて、その結
果得られるジアミンAのポリマーの性質を表7に、そし
てジアミンBのポリマーの性質を表8に示す。
【0071】
【表7】
【0072】表7は架橋を増大した場合の、ジアミンA
を用いたポリマーの物理的性質に対する影響について示
している。架橋は3官能性Jeffamine T−5000により付
加され、用いられたJeffaminesの総量におけるJeffamin
e T−5000のパーセントとして記載され、ポリアミン10
0重量部に対する重量部(php)として表されている。Je
ffamine T−5000の分子量が比較的高いので(5000程
度)、100%T−5000でも中程度の架橋密度をつくりだ
すだけである。架橋レベルを変えることにより、硬さに
は僅かの影響を及ぼすだけで、最終的なポリマーの性質
を調製することができる。なお、Jeffamine T−5000が
50%の場合、硬さが78ショアA、引張り強さが811psi、
伸び値が1,370%、そして引裂き抵抗が243psiのコーテ
ィングが得られる。
【0073】
【表8】
【0074】表8は表7の場合と同じ試験を示している
が、ただし、TMXDIとジアミンAとの代わりにDesm
odur WとジアミンBが用いられている。表7の場合と
ほぼ同様の物理的な傾向が観察された。この場合も、ジ
アミンAとジアミンBとの間の反応性の相違は、製造者
が処理時間をコントロールし、さらに、例えばDesmodur
とTMXDIのように、組成成分の選択も可能にするこ
とを銘記しておくことが重要である。
【0075】ポリウレタン・コーティングの比較
【表9】
【0076】表9はジアミンA及びジアミンBに基づく
コーティングと、文献(D. J. Primeaux,32nd Annual
Polyurethane Technical/Marketing conference, Octob
er1−4,1989)に紹介されているTexacoによるものと
の比較を示している。なお、本明細書はTexacoの組成を
比較の目的で用いたが、比較のために選ばれた本発明の
組成がTexacoの組成とぴったり取り替えられる代替品と
して機能すると主張している訳ではない。それらは異な
ったシステムであり、他の条件では異なった物理的性質
を示す場合もある。Texacoの組成はポリウレア・スプレ
イ・システムであり、Jeffamineポリアミンを用いて作
られたTMXDIに基づくプレポリマーを用いる。示さ
れている本発明の組成は『ワン−ショット』、準プレポ
リマー、またはプレポリマー法に基づいており、従来の
装置及びRIMに基づく装置を使うことが可能である。
【0077】この表で指摘すべき重要な点は、Texacoの
組成が60℃で処理されているのに対して、ジアミンA及
びジアミンBに基づく組成は室温で処理されていること
である。Texacoの組成のゲル化時間は3秒であるのに対
して、ジアミンAを用いた組成のゲル化時間は3分、そ
してジアミンBを用いた組成のゲル化時間は16分であ
る。これら3つの組成の硬さ値は同じではないが、ポリ
マーの頑丈さの大ざっぱな比較が可能である程度には近
接している。本発明に基づく組成は、Texacoのポリマー
と同様の引張り強さ、及び引裂き抵抗を有しているが、
本発明のポリマーの伸び値は圧倒的に高い。ジアミンB
を用いたポリマーの伸び値はTexacoのものと比較して13
0%高く、さらにジアミンAを用いたポリマーの伸び値
は220%以上高い。
【0078】
【発明の効果】本発明のビス(N−アルキルアミノシク
ロヘキシル)メタンは、単量体ポリイソシアネート及び
イソシアネート末端プレポリマーの両方から、エラスト
マーでありコーティングでもあるポリウレタン及びポリ
ウレア・ポリマーの形成における優れた硬化剤または鎖
延長剤である。これらの鎖延長剤は単独でも、あるいは
他のポリアミン及びポリオールとの組み合わせで用いる
ことができる。多様な性質をもった幅広い独特なポリマ
ー性物質をつくることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マーク ジェイ.ガートゥソ アメリカ合衆国 60067 イリノイズ, パラタイン,ウェスト オースティン レイン 1029 (56)参考文献 特開 平4−331275(JP,A) 特開 昭61−258824(JP,A) 米国特許5470890(US,A) 米国特許3769381(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 18/00 - 18/81 C09K 3/10 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 (式中、R1及びR2はそれぞれ1〜10の炭素原子を有す
    るアルキル基、R3,R4,R5及びR6はそれぞれ水素原
    子及び1〜5の炭素原子を有するアルキル基より選ばれ
    る)の構造を有するビス(N−アルキルアミノシクロヘ
    キシル)メタン類よりなるポリウレタン類及びポリウレ
    ア類の硬化剤。
  2. 【請求項2】 R1及びR2がそれぞれ少なくとも3個の
    炭素原子を有するアルキル基である請求項1の硬化剤。
  3. 【請求項3】 R1,R2がブチル基、R3,R4が水素原
    子又はメチル基、及びR5,R6が水素原子である請求項
    1または2の硬化剤。
  4. 【請求項4】 0.9〜1.25当量のポリイソシアネート又
    はポリイソシアネート混合物と、1)請求項1,2又は
    3記載の硬化剤;2)該硬化剤とポリオールとの混合
    物;3)該硬化剤の混合物;4)該硬化剤とポリオール
    及びポリアミンの混合物よりなる群から選択されるイソ
    シアネート反応性水素を有する化合物の1当量とを反応
    させることを特徴とするポリマーを製造する方法。
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