JP2757543B2 - 色分解プリズム - Google Patents

色分解プリズム

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、3板式、3管式などのカラー撮像装置に使
用される色分解プリズムに関する。
従来の技術 近年、固体撮像素子を3個用いる3板式カラーカメラ
(以下、単に3板カメラとも称す)が開発されている。
この種のカメラには、撮像光束をR、G、Bの3原色に
色分解する色分解プリズムが用いられる。
第3図は、従来多く用いられている色分解プリズムを
示し、特許出願公告昭38−23724号公報に記載のもので
ある。
図において、1、2、3はプリズム部材であり、4は
青色の波長帯の光束を反射するダイクロイックミラー、
5は赤色の波長帯の光束を反射するダイクロイックミラ
ーである。
プリズム部材2と3は密着して接合され、プリズム部
材1と2とは、両者間に数十ミクロン間隔のエアギャッ
プ6を設けて接合される。
7は撮像レンズ(図では省略)を出射した撮像光束で
ある。ダイクロイックミラー4により撮像光束7から反
射分離された青色光束8は、高速7の入射面でもある全
反射面9によって全反射され、出射する。
同様に、ダイクロイックミラー5により反射分離され
た赤色光束10は、エアギャップ6の全反射面11によって
全反射され、出射する。
ダイクロイックミラー4、5を透過した光束12は緑色
の波長帯となり、直進して出射する。
第3図の3色分解プリズムは、このようにして撮像光
束7を青、緑、赤の3原色の光束8、10、12に色分解す
る。
また、ダイクロイックミラー4、5での反射光束8、
10は全反射により偶数回反射させることで、裏返し像
(鏡像)でなく表像を形成する光束としてプリズムより
出射する。
発明が解決しようとする課題 第3図におけるΘ、Θ、Θは、各プリズム部材
の頂角である。プリズム部材1の頂角Θは、大きすぎ
ても小さすぎてもいけない。すなわちΘが大きすぎる
とエアギャップ6を通過すべき光が全反射してしまい、
小さすぎると全反射面9にて全反射すべき光が透過して
しまう。そのため撮像レンズで許されるFナンバーと頂
角Θとの間には全反射条件で導かれる一定の制約条件
が存在し、それは以下の通りである。なお、以下におい
て、第1の…、第2の…、なる形容は入射光にそって順
に付したものである。
さて、上記の制約条件とは、硝材の屈折率をn、レン
ズFナンバーをFとして、 条件1:第1のダイクロイックミラー4で透過すべき光
が、同面にて全反射しないこと。即ち、 Θ≦Sin-1(1/n)−Sin-1(1/2nF) 条件2:第1のダイクロイックミラー4で反射した光が、
プリズム入射面9(第1全反射面)にて全反射するこ
と。即ち、 2Θ≧Sin-1(1/n)+Sin-1(1/2nF) 条件3:第2のダイクロイックミラー5で反射した光が、
第2の全反射面11にて全反射すること。
2Θ≧Θ+Sin-1(1/n)+Sin-1(1/2nF) 条件4:プリズム入射面9とプリズム部材3の出射面とが
平行になること。即ち、 Θ=Θ−Θ 第4図はΘとFナンバーの関係を示すグラフであ
り、これによれば、Θの許される範囲は上限と下限と
の間に限定される結果、硝材の屈折率nにかかわらずF
ナンバーが1.4より大きな範囲に限られることがわか
る。硝材の屈折率は低いものでn1.5弱であることから、
例えばFナンバー1.3は極めて困難な条件といえる。
さてプリズム寸法(全長)の小型化のためには屈折率
の高い硝材が有利である。これは撮像光束の集光角が小
さくなること、結像位置が後退量が大きいこと、また全
反射角が小さくなることなどにより、寸法の縮小が図り
易いためである。
また高感度化のためにはFナンバーが小さい方が良い
こともいうまでもない。屈折率を高く、Fナンバーを小
さくという両方の要望に対して、従来の構成では、屈折
率1.6の硝材を用いてFナンバー1.4が限度であった。
第3図のような従来のプリズムのFナンバーが1.4よ
り大きな範囲に限られることは、特許出願公開昭60−42
701号公報、60−42702号公報においても指摘され、そこ
ではプリズム部材を4個用いて、あるいはエアギャップ
を2ヶ所設けての解決策が示されている。
しかし、この解決策では、プリズム構成として複雑に
なるため生産性の向上に対し好ましくない。
本発明はこのような点に鑑みて、屈折率1.6以下の硝
材を用いてFナンバーが1.4以上を実現でき、しかも生
産性も良好となる簡素で小型の色分解プリズムを提供す
ることを目的とする。
課題を解決するための手段 本発明は、入射側より第1、第2、第3の少なくとも
3個のプリズム部材を備え、前記各プリズム部材の屈折
率を1.6以上とし、前記第1のプリズム部材の頂角を25.
8゜以下とし、入射した光束の特定波長帯域を光軸入射
角25.8゜以下で反射させた後に、入射面で全反射させて
前記第1のプリズム部材から出射させる第1のダイクロ
イックミラーと、前記第2のプリズム部材の頂角を51.6
゜以上とし、前記第1のダイクロイックミラーを透過し
た光束の特定波長帯域を光軸入射角25.8゜以上で反射さ
せた後に、直進させて前記第2のプリズム部材から出射
させるとともに、透過した光束を直進させ前記第3のプ
リズム部材から出射させる第2のダイクロイックミラー
を設けて構成するものである。
作 用 本発明では、屈折率1.6以上の3個のプリズム部材
を、前記所定のダイクロイックミラー入射角となるよう
プリズム頂角を設定して接合し、エアーギャップの無い
光路構成として、裏返し像を形成する光束を含んで色分
解させる。
エアーギャップを無くすことで第1プリズム部材の頂
角Θの制約条件の上限が無くなり、屈折率1.6以上
で、第1プリズム部材の入射角25.8゜以下とすることで
従来の限界であった領域の高屈折率化(n1.6以上)と低
Fナンバー化(F1.4以下)を両立させられ、明るく小型
化の容易な色分解プリズムが実現できる。
実施例 以下、本発明のカラー固体撮像装置における実施例を
図面にもとずいて説明する。
第1図に本発明の実施例の色分解プリズムの断面図を
示す。同図において、21、22、23はプリズム部材であ
り、その屈折率は従来の色分解プリズムのFナンバー1.
4における高屈折率化の限界であるn1.6以上、例えばn1.
7の硝材にて作る。24は緑色の波長帯の光束を反射する
ダイクロイックミラー、25は青色の波長帯の光束を反射
するダイクロイックミラーである。
プリズム部材21、22、23は全て密着して接合され、エ
アギャップは無い。
26は撮像レンズ(図では省略)を出射した撮像光束で
あり、ダイクロイックミラー25により反射分離された光
束27をそのまま出射させる点が、第3図の色分解プリズ
ムと異なる。この場合、光束27の被写体像が裏返し像
(鏡像)となるので、この被写体像を電気的に処理する
電気回路に反転手段を設けている。28は入射面であり、
第1図の色分解プリズムは、このようにして撮像光束26
を緑、青、赤の3原色に色分解する。
このようなエアギャップのない色分解プリズムの基本
形態は既に公知のものであるが、本発明はこの形態を利
用して、従来の課題であったFナンバーと高屈折率化の
限界を打開する新しい技術思想に関する。
さて、第1図の色分解プリズムにおいて、撮像レンズ
で許されるFナンバーとプリズム頂角Θとの間にも全
反射条件で導かれる一定の制約条件が存在し、それは以
下の通りである。なお、第1の…、第2の…、なる形容
は入射光にそって順に付したものである。
硝材の屈折率をn、レンズのFナンバーをFとして、 条件1:第1のダイクロイックミラー24で反射した光が、
プリズム入射面28にて全反射すること。
2Θ≧Sin-1(1/n)+Sin-1(1/2nF) 条件2:第2のダイクロイックミラー25で反射した光が、
直進してプリズム22から出射すること 2Θ≧90゜+Θ−Sin-1(1/2nF) 条件3:入射面28とプリズム部材23の出射面が平行になる
こと。
Θ=Θ−Θ 第2図はΘとFナンバーの関係を示すグラフであ
り、これによれば、Θの許される範囲は、全反射条件
である下限を満たせばよい。Fナンバーの取り得る範囲
は硝材の屈折率nにかかわらず、F1.4より小さな範囲も
十分可能である。従って実施例においてプリズム部材21
の頂角Θは、前記条件1(全反射条件)を満たす範囲
内で、従来のFナンバー1.4における高屈折率化の限界n
1.6における頂角Θの値25.8゜よりも小さい値に設定
する。例えば、25.5゜とすれば、プリズム部材21の小型
化と共に、屈折率1.7、Fナンバー1.2が可能となる。
このように本実施例では、3個のプリズム部材21、2
2、23を屈折率1.6以上とし、エアーギャップの無い光路
構成として、裏返し像を形成する光束を含んで色分解さ
せる。エアーギャップを無くすことで第1プリズム部材
の頂角Θの制約条件の上限が無くなり、このプリズム
部材の頂角をΘの下限を越え、25.8゜以下に設定でき
る。
つまり、第1のダイクロイックミラー24において、撮
像光束26の特定波長帯域を従来の限界であった25.8゜よ
りも小さい光軸入射角(撮像光束26の光軸の入射角)で
入射させ反射させる。そしてFナンバー1.4以下の反射
光束を全て入射面で全反射させて、第1のプリズム部材
から出射させる。
第2のダイクロイックミラー25においては、第2のプ
リズム部材22の頂角Θを前記条件2を満たすように設
定する。この条件下でΘを51.6゜以上とし、第1のダ
イクロイックミラー24を通過した光束の特定波長帯域を
25.8゜以上の光軸入射角(撮像光束26の光軸の入射角)
で入射させ反射させるようにする。これによってFナン
バー1.4以下の反射光束を全て、直進させて前記第2の
プリズム部材22から出射させられるとともに、透過した
光束を直進させ前記第3のプリズム部材23から出射させ
られる。
以上のようにして、従来の色分解プリズムの限界であ
った高屈折率化(1.6以上)と低Fナンバー化(1.4以
下)を両立させて、簡素な構成にて明るくしかも小型化
の容易な色分解プリズムが実現される。
発明の効果 本発明の色分解プリズムは、従来、不可能であった屈
折率1.6以上の硝材使用によるFナンバー1.4以下という
条件を、簡素な構成で実現できる。その結果、小型でか
つ明るいという両方の要求を満たす色分解プリズムの設
計が可能となり、3板カメラの小型軽量化、高感度化に
果たす役割は大きく、その工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例における色分解プリズムの断面
図、第2図は同実施例におけるプリズム頂角とFナンバ
ーの関係図、第3図は従来の色分解プリズムの断面図、
第4図は同従来例におけるプリズム頂角とFナンバーの
関係図である。 21、22、23……プリズム部材、24、25……ダイクロイッ
クミラー、26……撮像光束(入射光)、27……分解され
た光束。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入射側より第1、第2、第3の少なくとも
    3個のプリズム部材を備え、前記各プリズム部材の屈折
    率を1.6以上とし、前記第1のプリズム部材の頂角を25.
    8゜以下とし、入射した光束の特定波長帯域を光軸入射
    角25.8゜以下で反射させた後に、入射面で全反射させて
    前記第1のプリズム部材から出射させる第1のダイクロ
    イックミラーと、前記第2のプリズム部材の頂角を51.6
    ゜以上とし、前記第1のダイクロイックミラーを透過し
    た光束の特定波長帯域を光軸入射角25.8゜以上で反射さ
    せた後に、直進させて前記第2のプリズム部材から出射
    させるとともに、透過した光束を直進させ前記第3のプ
    リズム部材から出射させる第2のダイクロイックミラー
    を設けたことを特徴とする色分解プリズム。
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