JP2757190B2 - 血小板保存用容器および血小板の保存方法 - Google Patents

血小板保存用容器および血小板の保存方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、特に成分採血によって採取された濃厚血小
板を保存する血小板保存容器および血小板の保存方法に
関する。
<従来の技術> 輸血を行う場合、現在、血液の有効利用及び輸血者の
負担軽減などの理由から、供血者から得た血液を遠心分
離などにより成分に分離し、輸血者に必要な成分だけを
輸血する体制がとられている。この成分輸血が導入され
たことにより、従来行われていた全血輸血に比べ、血液
の有効利用が行われるようになった。
しかしながら、1人の供血者が提供可能な血液は、日
本においては最大量400mlと限られており、そこから分
離される血液成分はより少量なものであった。従って、
輸血者が必要とする量と血液成分を確保するには多数の
供血者からの血液成分が必要となり、輸血の副作用とし
て重要な同種免疫と輸血後肝炎やその他の輸血によって
移入される感染症に感染するおそれがあった。
そこで、近年、この感染症を減少させるため、必要な
血液成分だけを採取し、他の血液成分は供血者に戻す成
分採血法として、血液アフェレーシス法が導入されてい
る。
この血液アフェレーシス法には、主に、シート厚0.39
〜0.45mm、血液収納部の内表面積600〜650cm2程度のポ
リ塩化ビニル製の血液バッグが使用されているが、上記
の血液バッグに血小板数2×1011個(以下「10単位」と
いう)以上の濃厚血小板(以下、「PC」という)血漿を
保存すると、pH低下が著しく、機能劣化が早まることか
ら、有効期間は採血後24時間以内に制約されている。そ
のため献血者にとっても、使用する医療期間においても
不便を余儀なくされているのが現状である。
従って、少なくとも全血由来PCと同様、有効期間を72
時間程度に延長し、献血者は余裕を持って献血に参加で
き採血されたものは期限切れになることなく、有効に使
用できるようにすることが望まれている。
なお、10単位PCを複数のバッグに分割して保存するこ
とにより有効期間の延長を図る試みがなされているが、
この場合には、2個以上のバッグを用意し、取扱わねば
ならないため、その操作が煩雑となり、また汚染の可能
性が高くなるという欠点があり、実用されるには至って
いない。
<発明が解決しようとする課題> 本発明は、上述した従来技術の欠点に鑑みなされたも
ので、その目的は、より多くの血小板を長期間保存する
ことができる血小板保存用容器、特に、10単位PCを72時
間以上保存することができる血小板保存用容器およびこ
れを用いた血小板の保存方法を提供することにある。
<課題を解決するための手段> 上記従来の血液バッグにて2単位PCを保存すると72時
間程度まで保存可能であるが、10単位PCを保存する容器
において、72時間以上の保存を可能とするためには、上
記従来の血液バッグと同程度以上のガス透過性を有し、
pHの低下を防止する必要がある。
本発明者らは、10単位PCを72時間以上保存可能とする
ことを目的として、軟質塩化ビニル(PVC)製容器にお
けるガス透過性を測定し、そのシート厚、内表面積、PC
容量の好適値を見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記(1)〜(6)である。
(1)可塑剤としてジ−(2−エチルヘキシル)フタレ
ートを含む軟質ポリ塩化ビニルにより構成される血小板
保存用容器であって、 血小板収納部のシート肉厚が0.27〜0.35mm、血小板収
納部のガス透過性に関与し得る部分の内表面積が810〜1
080cm2であり、 血小板の濃度が0.92〜2.4×106/μlである2×1011
個(10単位)以上の血小板を72時間以上有効に保存し得
るものであることを特徴とする血小板保存用容器。
(2)ポリ塩化ビニル100重量部に対し、前記可塑剤を3
0〜70重量部含むものである上記(1)に記載の血小板
保存用容器。
(3)前記血小板収納部における炭酸ガス透過量が3.1m
l(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上である上記
(1)または(2)に記載の血小板保存用容器。
(4)前記血小板収納部における炭酸ガス透過量が3.6m
l(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上である上記
(1)または(2)に記載の血小板保存用容器。
(5)前記血小板収納部における炭酸ガス透過量が4.2m
l(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上である上記
(1)または(2)に記載の血小板保存用容器。
(6)上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の血小
板保存用容器を用いて血小板を保存する血小板の保存方
法。
以下、本発明の血小板保存用容器および血小板の保存
方法を好適実施例につき詳細に説明する。
第1図は、血液バッグと、本発明の血小板保存用容器
(以下「PC保存用バッグ」という)とを連結したダブル
バッグの構成例を示すものである。
第1図中右側の血液バッグ1は、例えば軟質ポリ塩化
ビニルで構成されるシートの袋体よりなり、その周縁の
シール部2において、高周波加熱またはその他の加熱方
法により融着されている。
このシール部2で囲まれる内側の部分に血液成分が収
納される血液成分収納部3が形成されている。
血液バッグ1の上部には、ピールタブを備えた2つの
排出口4、4が形成され、またそれらの間には、PC保存
バッグに連結するための排出口5が形成されている。
さらに、血液バッグ1の上部には、血液成分収納部3
に連通する可撓性のチューブ6の一端が接続され、該チ
ューブ6の他端には、ハブ7を介してプラスチック型採
血針8が装着されている。また、ハブ7にはプラスチッ
ク型採血針8を被包するキャップ9が装着される。
一方、本発明のPC保存用バッグ10は、軟質ポリ塩化ビ
ニルで構成されるシートの袋体よりなり、その周縁のシ
ール部11において、高周波加熱またはその他の加熱方法
により融着されている。
このシール部11で囲まれる内側の部分に血液バッグ1
内の血液成分から分離された血小板血漿が収納される血
小板収納部12が形成されている。
PC保存用バッグ10の上部には、ピールタブを備えた2
つの排出口13、13が形成されている。
さらに、バッグ上部の排出口13の側部には、血小板収
納部12に連通する可撓性のチューブ14の一端が接続さ
れ、該チューブ14の他端は、連結部材15を介して前記血
液バッグ1の排出口5に接続されている。これにより、
血液バッグ1の血液成分収納部3とPC保存用バッグ10の
血小板収納部12とが、チューブ14を介して連通する。
なお、チューブ14の途中に分岐管(図示せず)を設
け、該分岐管にチューブ14と同様のチューブの一端を接
続し、その他端をPC保存用バッグ10と同様の構成の他の
PC保存用バッグと接続する等、複数のPC保存用バッグを
血液バッグ1に連結することもできる。
PC保存用バッグ10のシート外表面には、通常、バッグ
の内容物、容量、生年月日等を表示するためのラベル16
が貼着されている。このラベル16が貼着された部分は、
PC保存用バッグ10のシートのガス透過が妨げられる。
従って、血小板収納部12のガス透過性に関与しうる部
分とは、ラベル16の貼着部分を除く範囲、即ち、第1図
の斜線を施した部分をいう。
このようなPC保存用バッグ10は、可塑剤としてジ−
(2−エチルヘキシル)フタレートを含む軟質ポリ塩化
ビニルで構成されている。
PC保存用バッグの構成材料として、軟質ポリ塩化ビニ
ルを用いる理由は、遠心分離操作に耐える柔軟性および
滅菌に対する耐熱性を有するからである。
また、可塑剤としてジ−(2−エチルヘキシル)フタ
レートを用いる理由は、安全性が高いからである。
可塑剤の含有量は、ポリ塩化ビニル100重量部に対
し、30〜70重量部とするのが好ましい。
その理由は、30重量部未満であるとバッグに柔軟性が
なくなり、また70重量部を超えると、バッグ内に溶出し
てくる可塑剤の量が多くなるからである。
血小板収納部12のシート肉厚は0.27〜0.35mmとする。
シート肉厚が0.27mm未満では十分な強度が得られず、ま
たpH増加がおこり、機能劣化が早まり、シート肉厚が0.
35mmを超えると、後述する血小板収納部のガス透過性に
関与しうる部分の内表面積が810〜1080cm2において、所
望のガス透過性が得られないからである。
血小板収納部12のガス透過性に関与しうる部分の内表
面積(以下、「有効内表面積」という)は、810〜1080c
m2とする。
有効内表面積が810cm2未満であると、所望のガス透過
性が得られず、また1080cm2を超えると、操作性が悪く
なるからである。
また、血小板収納部12における炭酸ガス透過量は、3.
1ml(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上、好まし
くは3.6ml(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上、
より好ましくは4.0ml(CO2)/day・atm・ml(PC)(30
℃)以上とするのがよい。
炭酸ガス透過量が3.1ml(CO2)/day・atm・ml(PC)
(30℃)未満であると、血小板を長期間保存すること、
特に10単位PCを72時間以上保存することが困難となるか
らである。
以上述べた構成とすることにより、2×1011個(10単
位)以上の血小板を有効期間72時間以上保存することが
できるPC保存用バッグが提供される。
次にPC保存用バッグを用いた血小板の保存方法につい
て説明する。
例えば、ヘモネティクス社製フェレーシスシテム、モ
デルV50(図示せず)を用いて分離された多血小板血漿
を、血液バッグ1の血液成分収納部3に採取する。
次に、この血液バッグを遠心分離器にかけ、濃厚血小
板ち乏血小板血漿とに分離する。
その後、PC保存用バッグ10のチューブ14先端の連結部
材15を血液バッグ1の排出口5に接続し、濃厚血小板を
チューブ14を通じてPC保存用バッグ10の血小板収納部12
に移動する。
このような操作を数回繰り返し行い、血小板収納部12
に、例えば10単位(約200ml)の血小板を収納し、クレ
ンメ等によりチューブ14を閉塞する。
この状態でPC保存用バッグ10を大気中で保存する。こ
のとき、保存される血小板の有効期間は72時間以上とな
る。
なお、血小板の保存温度は、血小板の回収率および寿
命を考慮して、20〜24℃とするのが好ましいが、特殊な
場合には、これ以外の温度での保存も可能である。
<実験例> 次に、本発明を具体的な実験例に基づいて更に詳述す
る。
実験方法は、次の通りである。
1)PC保存用バッグ 第1図に示す構造の本発明PC保存用バッグ、比較例と
して従来の2単位PC保存用300mlバッグおよび5単位PC
保存用1000mlバッグを製造した。これらのバッグの仕様
を下記表2に示す。また、これらのバッグは、いずれも
ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート(DEHP)の可塑
化ポリ塩化ビニル製であり、本発明のバッグにおけるDE
HPの含有量は、ポリ塩化ビニル100重量部に対し、50重
量部とした。
2)バッグのガス透過性 全自動ガス透過度測定装置(リッシー社製L100−3001
型)を用いてバッグシートのガス透過度を測定し、これ
をもとにシート厚、有効内表面積およびPC容量より、PC
1ml当りのCO2ガスおよびO2ガスの透過量を算出した。
3)PCの調整および保存 CPD液56ml入り血液バッグ(テルモ社製)に400mlの全
血を採血し、これを原料とした。遠心器はDAMON/INC DP
R−6000を用い、1100×g、、6min、22℃の遠心を行
い、多血小板血漿(PRP)を得た。さらに、2500×g、6
min、22℃で遠心を行い、上層の乏血小板血漿(PPP)を
分離して血小板を得た。これに成分献血由来の同型血漿
を40ml加え、60分間、22℃で静値後、タンブラーアジテ
ーター(HELMR PA18 6rpm.)で60分振盪し、PCを調製し
た。この同型PCを12単位プールした後、10単位(約200m
l)と2単位(約40ml)とに分け、22℃で振盪保存し
た。振盪機はヤヨイ社製エイトシェィカーを用い、30rp
mで96時間まで保存した。
4)血小板機能検査 プール直後を0時間とし、測定時毎に保存PC中より2m
lを採り、以下の項目について測定した。
血小板数は、自動血球計数装置(Sysmex MODEL CC−1
80、東亜医用電子社製)を用い、赤血球数および白血球
数は、用手法により測定した。
pHは、HORIBA・F8DP型pHメーターを用い、電極は、キ
ャピラリー型pH複合電極(MODEL 2700 GBC富士化学計測
社製)を用いた。
凝集能および%HSR(ショック回復率)は、凍結保存
した成分献血由来同型血漿で、血小板数3×105
(ph7.4)PRPを調製し、血小板凝集計ヘマトレーサー1
(二光バイオサイエンス社製)を用いて測定した。
凝集能は、PRPにCa2+4mMを加えた後、ADP(アデノシ
ン二リン酸)(最終濃度10μM)またはコラーゲン(最
終濃度2μg/ml)を添加して測定した。
さらに石川らの方法(石川善英、笹川 滋:濃厚血小
板の室温120時間保存.日本輸血学会誌、33:417−422,1
987.)に準じ、ADP(最終濃度5μM)とコラーゲン
(最終濃度1μg/ml)の共同刺激による凝集能について
も測定した。ADPはシグマ社製、コラーゲンはホルム社
製を用いた。
%HSRはテンダーら(Tandy,N.P.and Taylor,M.A.:Pla
telet concentrates for transfusion:control of prod
uction and storage.Med.Lab.Sci.,37:127,136,1980.)
の方法に準じた。
血漿LDH活性は、和光純薬社製のLDH UV−テストを用
いて測定した。血小板漏出率は、2%Triton X−100に
より溶解させた血小板内の総LDH活性に対する血漿LDH活
性の比率で示した。
血漿グルコース濃度およびラクテート濃度は、ベーリ
ンガーマンハイム社製のBlood−Suger−GOD−Perid−Te
st,Lactate−UV−Testを用いて測定した。
MPV(平均血小板容積)の測定は、自動血球計数装置
(Sysmex MODEL CC−108)に粒度分布記録装置(Sysmex
PDA−400)を接続して行った。
検出器は50φ、希釈液はセルエント液を用い、体積標
準にはプラチェック100(4.3μのラテックス粒子)を
用いた(いずれも東医用電子社製)。
形態は、クニッキら(Kunicki,T.J.,Tuccelli,M.,Bec
ker,G.A.and Aster,R.H.:A study of variables affect
ing the quality of platelets stored at“room tempe
rature."Trans−fusion,15:414−421,1975)の方法に準
じ、1%グルタルアルデヒド(pH7.4)で固定後、位相
差顕微鏡(OLYMPUS BHS−9C・A1000倍)を用い、モルフ
ォロジースコアー(Morphology Score)として表わし
た。
測定値はすべてMean±1SDで示し、統計学的有意差検
定はt−testを用い、危険率P<0.05の場合を有意とし
た。
以上のようにして行った実験の結果は、次の通りであ
る。
A)バッグのガス透過性 PVCシート(シート厚0.39mm)におけるガス透過度の
測定結果を下記表1に示す。この結果に基づいてシート
厚よりガス透過係数を算出した。CO2のガス透過係数
は、0.23mm・ml/cm2・/day・atm(30℃)、O2のガス透
過係数は、0.046mm・ml/cm2・/day・atm(30℃)となっ
た。
さらに、バッグの有効内表面積、PC容量をもとに、PC
1ml当りバッグから1気圧下で1日に透過するCO2ガスお
よびO2ガスの透過量を計算した。その結果を下記表2に
示す。
なお、バッグに貼着されているラベルの部分49cm2
除いた部分を有効内表面積として計算した。
現在用いられている2単位PC保存用の300mlバッグに
おけるガス透過量は、PC1ml当りCO2ガスが3.3ml、O2
スが0.68mlであった(比較例1)。同様に現行の成分献
血由来PC保存用の1000mlバッグで5単位PCを保存する
と、CO2ガスで3.2ml、O2ガスで0.63mlとなり(比較例
2)、2単位PCの92%程度の透過量となることから、5
単位PCの保存には使用可能と考えられる。しかしなが
ら、このバッグで10単位PCを保存すると、CO2ガスで1.6
ml、O2ガスで0.32mlと、いずれも2単位PCに比較して47
%程度の透過量となり(比較例3)、よってpHの低下を
早め、長期保存には不適当であることは明らかである。
シート厚0.30mmの2000mlバッグを用いて10単位PCを保
存すると、CO2およびO2ガスの透過量は、それぞれ3.5m
l、0.72mlとなり(本発明例)、2単位PCより若干高い
値を示すものの血小板機能を維持する上で何ら支障はな
く、有利と考えられる。
B)調製直後のPC性状 下記表3に示すように、PC容量は2単位PCが45.5±1.
1ml、10単位PCが207.5±5.9ml、血小板数は153±18×10
4/μ、白血球数は1.1±0.1×103/μ、赤血球数は3.
0±0.7×103/μであった。
C)保存による経時変化 血小板数の経時変化(Mean±1SD、N=5)を第2図
のグラフに示す。同図に示すように、血小板数は96時間
まで変化を認めなかった。
pHの経時変化(Mean±1SD、N=5)を第3図のグラ
フに示す。同図に示すように、24時間から72時間まで10
単位PCのpHは2単位PCに比較して高値を示し、その差は
有意(p<0.05)であった。
10単位PCの72時間経過後におけるpHの変化量(ΔpH)
と血小板数(濃度)との関係(N=7)を第4図のグラ
フに示す。同図に示すように、ΔpHと血小板数には、下
記式に示すように、直線的に高い相関が認められた。
y=−0.343×x+0.566 r=−0.9463 y:ΔpH(pH72hrs−hH0hrs) x:血小板数(×106/μ) ADP凝集能、コラーゲン凝集能およびADP+コラーゲン
共同刺激による凝集能の経時変化(Mean±1SD、N=
5)を、それぞれ第5a図、第5b図および第5c図のグラフ
に示す。第5a図および第5c図に示すように、ADP凝集能
および共同刺激による凝集能は10単位PCと2単位PCに差
を認めなかった。
また、第5b図に示すように、コラーゲン凝集能は10単
位PCで若干高く維持されたが、統計学的有意差はなかっ
た。
%HSRの経時変化(Mean±1SD、N=5)を第6図のグ
ラフに示す。同図に示すように、%HSRにおいても、2
単位PCと10単位PCに有意差は認められなかった。
LDH漏出率の経時変化(Mean±1SD、N=5)(血漿LD
H活性)を第7図のグラフに示す。
同図に示すように、LDH活性について、10単位PCと2
単位PCに差はなく、96時間まで良好に保たれていた。
血漿グルコース濃度および血漿テクテート濃度の経時
変化(Mean±1SD、N=5)を、それぞれ第8a図および
第8b図のグラフに示す。同図に示すように、血漿グルコ
ース濃度の低下と、血漿テクテート濃度の上昇は、10単
位PCで若干緩やかな傾向を示した。これはバッグのガス
透過性が2単位PCのそれと比較して、わずかに高いた
め、好気的代謝が優位にあったものと考えられる。
MPVの経時変化(Mean±1SD、N=5)を第9図のグラ
フに示す。同図に示すように、10単位PCのMPVは、24時
間経過後の測定で0時間より低い値が得られたが、その
後はわずかに上昇傾向がみられた。
形態(モルフォロジースコアー)の経時変化(Mean±
1SD、N=5)を第10図のグラフに示す。同図に示すよ
うに、24時間経過後の測定では変化なく、その後わずか
に低下傾向を示したが、2単位PCと10単位PCとに差は認
められなかった。
なお、第2図〜第10図のグラフにおいて、○印は、従
来の300mlバッグ(シート厚0.39mm)で2単位PCを保存
した場合、●印は本発明の2000mlバッグ(シート厚0.30
mm)で10単位PCを保存した場合を示す。
また、第3図中、★印は危険率P<0.05、★★印は危
険率P<0.01を示す。
また、第5a図は、ADP最終濃度10μMにおける凝集
能、第5b図は、コラーゲン最終濃度2μg/mlにおける凝
集能、第5c図は、ADP最終濃度5μMとコラーゲン最終
濃度1μg/mlの共同刺激による凝集能を示すものであ
る。
血小板はEmbden−Meyerhof経路とmito−chondriaのTC
A回路が有機的に連繋してアデノシン−3−フォスフェ
ート(ATP)を合成して、エネルギーの供給を行ってい
る。従ってPC保存用バッグのガス透過性が低く、O2ガス
供給が不十分であればグルコースは嫌気的にラクテート
に分解され(pastur効果)pHの低下を招く。pHは血小板
機能と密接な関係にあり、PCの血小板機能を良好に保持
するためにはpHを中性付近に保つことが望ましいとされ
ている。pHの低下はバッグのガス透過性を高めることに
より防止できる。現在使用されている1000mlバッグで10
単位PCを保存した場合、pHの顕著な低下が認められるこ
とから、血小板機能の劣化が早まるものと考えられる。
表2に示すように1000mlバッグのガス透過量は2単位PC
のおよそ47%であり、O2ガスの供給不足による嫌気的解
糖の亢進、それに伴なうテクテートの蓄積が原因と推定
される。
実際に採取されるPC血漿中の血小数は個体差があり、
1.00×106/μから2.00×106/μ程度の広範囲で保存
できることが望ましい。
本発明のPC保存用バッグでは、このような問題を解決
し、10単位PCを96時間まで保存可能とした。
本実験で10単位PCは2単位PCに比較してpHが高値を示
し(p<0.05)、ラクテートは若干低値を示した。これ
はバッグのガス透過性がわずかに高く好気的代謝が優位
にあったと推定される。
第4図に示すように、ΔpHと血小板濃度には高い相関
があり、本発明のバッグを用いて10単位PCを保存した場
合72時間経過後にpHが0時間の値より低下するのは血小
板数(濃度)が1.65×106/μ以上であると推定でき
る。かりにΔpH=0.25とした場合、血小板の濃度が0.92
〜2.4×106/μの広範囲において72時間までpHは7.0〜
7.5の範囲に保つことができると推定される。
また、本発明のバッグにより10単位PCを保存したもの
は、ADP凝集能、コラーゲン凝集能および%HSRが2単位
PCと同等ないし若干高値を示し、さらに血漿LDH活性、M
PV、モルフォロジースコアーにも2単位PCと差がなく、
96時間まで良好に保持できた。
<発明の効果> 以上述べた通り、本発明の血小板保存用容器および血
小板保存方法によれば、血小板の保存期限を延長するこ
とができ、特に2×1011個(10単位)以上の血小板を72
時間またはそれ以上保存することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の血小板保存用容器の構成例を示す正
面図である。 第2図は、実験例における、血小板数の経時変化を示す
グラフである。 第3図は、実験例における、pHの経時変化を示すグラフ
である。 第4図は、実験例における、10単位PCの72時間経過後で
のpHの変化量(ΔpH)と血小板数との関係を示すグラフ
である。 第5a図、第5b図および第5c図は、それぞれ実験例におけ
る、ADP凝集能、コラーゲン凝集能およびADP+コラーゲ
ン共同刺激による凝集能の経時変化を示すグラフであ
る。 第6図は、実験例における、%HSRの経時変化を示すグ
ラフである。 第7図は、実験例における、LDH漏出率の経時変化を示
すグラフである。 第8a図および第8b図は、それぞれ実験例における、血漿
グルコース濃度および血漿テクテート濃度の経時変化を
示すグラフである。 第9図は、実験例における、MPVの経時変化を示すグラ
フである。 第10図は、実験例における、モルフォロジースコアーの
経時変化を示すグラフである。 符号の説明 1……血液バッグ 2……シール部 3……血液成分収納部 4、5……排出口 6……チューブ 7……ハブ 8……プラスチック型採血針 9……キャップ 10……PC保存用バッグ 11……シール部 12……血小板収納部 13……排出口 14……チューブ 15……連結部材 16……ラベル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61J 1/00 331 A61J 1/00 333 A61J 1/00 351

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可塑剤としてジ−(2−エチルヘキシル)
    フタレートを含む軟質ポリ塩化ビニルにより構成される
    血小板保存用容器であって、 血小板収納部のシート肉厚が0.27〜0.35mm、血小板収納
    部のガス透過性に関与し得る部分の内表面積が810〜108
    0cm2であり、 血小板の濃度が0.92〜2.4×106/μlである2×1011
    (10単位)以上の血小板を72時間以上有効に保存し得る
    ものであることを特徴とする血小板保存用容器。
  2. 【請求項2】ポリ塩化ビニル100重量部に対し、前記可
    塑剤を30〜70重量部含むものである請求項1に記載の血
    小板保存用容器。
  3. 【請求項3】前記血小板収納部における炭酸ガス透過量
    が3.1ml(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上であ
    る請求項1または2に記載の血小板保存用容器。
  4. 【請求項4】前記血小板収納部における炭酸ガス透過量
    が3.6ml(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上であ
    る請求項1または2に記載の血小板保存用容器。
  5. 【請求項5】前記血小板収納部における炭酸ガス透過量
    が4.2ml(CO2)/day・atm・ml(PC)(30℃)以上であ
    る請求項1または2に記載の血小板保存用容器。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれかに記載の血小
    板保存用容器を用いて血小板を保存する血小板の保存方
    法。
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