JP2753683B2 - 電着塗料組成物 - Google Patents

電着塗料組成物

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JP2753683B2 JP17785294A JP17785294A JP2753683B2 JP 2753683 B2 JP2753683 B2 JP 2753683B2 JP 17785294 A JP17785294 A JP 17785294A JP 17785294 A JP17785294 A JP 17785294A JP 2753683 B2 JP2753683 B2 JP 2753683B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐チッピング性、防錆
性等に優れた塗膜を形成できる新規なカチオン電着塗料
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】近年、自動車産業分野で
は、車体外板の腐食環境(例えば、寒冷地での道路への
岩塩散布等)における耐久性向上の要求が高まってお
り、そのため車体外板の材質として従来の冷延鋼板に代
えて、防錆性に優れる亜鉛メッキ鋼板が採用されつつあ
る。
【0003】一方、これらの車体外板に塗装した塗膜に
おいて、走行時にはねあげられた岩塩粒子や小石等が塗
膜面に衝突して該塗膜が剥離する、いわゆる“チッピン
グ”を起こすという問題がある。特に寒冷地等での低温
環境下では、塗膜が硬くなり弾性を失うのでその衝突を
殆ど緩和できず、鋼板に直接衝撃が加わることになり、
鋼板とその表面の化成処理皮膜間、鋼板と亜鉛メッキ層
間で剥離を起こしやすく、低温環境下でのチッピング対
策の検討が急務となっている。
【0004】この対策としては、被塗物に電着塗装後、
静的ガラス転移温度の低い塗膜を形成するチッピングシ
ーラーを塗布し、次いで通常の中塗り、上塗り塗装を行
う塗装方法(例えば特開昭62−65765号公報等)
がある。このチッピングシーラーの塗布膜厚は、3〜1
0μmが好ましい範囲であり、これ以下では耐チッピン
グ性の効果があまり期待できず、またこれ以上では上塗
り塗装後の仕上がり外観が低下する傾向にある。しかし
ながら、通常用いられるスプレー塗装方法では、かかる
薄膜に膜厚管理することが難しく、量産塗装ラインでの
対応に問題があった。また、従来の塗装工程にチッピン
グシーラーを塗布する工程をさらに増やすことは省工程
の観点から逆行するものであり、経済的にも好ましいと
は言えない。
【0005】一方、耐チッピング性の向上のため塗膜に
可とう性を付与したものとして、カチオン性水分散性樹
脂に、封鎖されたイソシアネート基を有する分子量10
00〜10000のウレタンエラストマー及び硬化剤を
配合してなるカチオン電着塗料が公知である(特開昭5
5−52359号)。しかし、この塗料には、該水分散
性樹脂と該ウレタンエラストマーとの相溶性が悪いた
め、塗膜の耐チッピング性、防錆性等がやはり不充分で
あるという欠点がある。
【0006】また、塗膜に可とう性、耐衝撃性等が付与
されたものとして、アミン−エポキシ樹脂アダクトとウ
レタン樹脂アダクトを含有するカチオン性電着塗料組成
物が公知である(特開昭63−89578号)。しか
し、この塗料組成物に配合されるウレタン樹脂アダクト
として具体的に開示されているものは、分子量1000
0以下の低分子量のものに限られており、得られる塗膜
の耐チッピング性はやはり不十分であるという欠点があ
った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、従来技
術の諸欠点が解消された新規な電着塗料組成物を提供す
ることにある。
【0008】本発明の他の目的は、耐チッピング性及び
防錆性に優れた電着塗膜を形成できる新規な電着塗料組
成物を提供することにある。
【0009】本発明のこれら及び更に他の目的は、以下
の記載から明らかになるであろう。
【0010】本発明は、有機ポリイソシアネート
(a)、高分子ポリオール(b)及び第3級アミノ基を
有するジオール(c)を反応させて得られる、SP値が
9.5〜12.0であり、且つ数平均分子量が少なくと
も15000の高分子量ポリウレタン樹脂(A)30〜
1重量%、並びにエポキシ系カチオン電着性樹脂(B)
70〜99重量%からなるカチオン電着塗料組成物を提
供するものである。
【0011】本発明者らは、チッピングシーラーを使用
することなく、耐チッピング性及び防錆性に優れた塗膜
を形成できる電着塗料組成物を得るべく鋭意研究した。
その結果、上記特定の高分子量ポリウレタン樹脂を、エ
ポキシ系カチオン電着性樹脂に配合せしめたカチオン性
電着塗料組成物が上記目的を達成できることを見出し
た。本発明は、かかる新たな知見に基づいて、完成され
たものである。
【0012】本発明カチオン電着塗料組成物で使用する
高分子量ポリウレタン樹脂(A)は、前記公知のウレタ
ンエラストマー等に比して、数平均分子量が大きく且つ
SP値を9.5〜12.0の範囲内にコントロールする
ことによりエポキシ系カチオン電着性樹脂(B)との相
溶性を良くして塗膜の耐チッピング性と防錆性の向上効
果を高めている。また、更に必須成分として第3級アミ
ノ基を有するジオール(c)を用いて第3級アミノ基を
主鎖に導入することにより、高分子量ポリウレタン樹脂
にカチオン電着性を付与し、電着浴の安定化と電着効率
を高めている。
【0013】まず、本発明で使用する高分子量ポリウレ
タン樹脂(A)は、有機ポリイソシアネート(a)、高
分子ポリオール(b)、第3級アミノ基を有するジオー
ル(c)、必要により重合停止剤(d)及び必要により
鎖伸長剤(e)を反応させて得られるものである。ま
た、このポリウレタン樹脂は、SP値が9.5〜12.
0、数平均分子量が少なくとも15000であることが
必要である。
【0014】該有機ポリイソシアネート(a)は、1分
子中に遊離イソシアネート基を2個以上有する化合物で
あって、例えば、芳香族ジイソシアネート(トリレンジ
イソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシ
アネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネー
ト、ナフタレンジイソシアネート等);炭素数3〜12
の脂肪族ジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシア
ネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジ
イソシアネート、リジンジイソシアネート等);炭素数
5〜18の脂環式ジイソシアネート(1,4−シクロヘ
キサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソ
シアネート(IPDI)、4,4´−ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロ
ヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロ
ヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、1,3−ジイ
ソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)等;芳
香環を有する脂肪族ジイソシアネート(キシリレンジイ
ソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイ
ソシアネート(TMXDI)等);これらのジイソシア
ネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレ
チジオン、ウレトイミン、ビューレット及び/又はイソ
シアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単
独で、または2種以上併用することができる。これらの
うち好ましいものはHDI、IPDI、MDI、水添M
DI及びTMXDIである。
【0015】該高分子ポリオール(b)は、1分子中に
2個以上の水酸基を有し、その数平均分子量は、500
〜5000、特に1000〜4000であることが好ま
しい。具体的には以下に例示するものがあげられる。
【0016】ポリエーテルポリオール、例えばアルキ
レンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、ブチレンオキシド等)及び/又は複素環式エーテル
(テトラヒドロフラン等)を重合または共重合して得ら
れるもの、より具体的にはポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン
(ブロック又はランダム)エーテルグリコール、ポリエ
チレン−テトラメチレンエーテルグリコール(ブロック
又はランダム)、ポリテトラメチレンエーテルグリコー
ル、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール等。
【0017】ポリエステルポリオール、例えば脂肪族
ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、グ
ルタル酸、アゼライン酸等)及び/又は芳香族ジカルボ
ン酸(イソフタル酸、テレフタル酸等)と低分子グリコ
ール(エチレングリコール、プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチル
グリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタ
ンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサ
ン等)とを縮重合させたもの、具体的にはポリエチレン
アジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオー
ル、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオ
ペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレン
アジペートジオール、ポリネオペンチレン/ヘキサメチ
レンアジペートジオール、ポリ−3−メチルペンチレン
アジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオ
ール等。
【0018】ポリラクトンポリオール、例えばポリカ
プロラクトンジオール又はトリオール、ポリ−3−メチ
ルバレロラクトンジオール等。
【0019】ポリカーボネートポリオール、例えばポ
リヘキサメチレンカーボネートジオール等。
【0020】ポリオレフィンポリオール、例えばポリ
ブタジエングリコール、ポリイソプレングリコール又は
その水素化物等。
【0021】これらの(b)成分は単独で、または二種
以上の混合物として使用される。
【0022】上記に例示したもののうち好ましいもの
は、〜から選ばれる少なくとも一種、及び〜の
一種以上ととの混合物である。
【0023】第3級アミノ基を有するジオール(c)
は、1分子中に1個以上の第3級アミノ基と2個の水酸
基とを有する化合物で、ポリウレタン樹脂(A)にカチ
オン電着性を持たせるためのカチオン性の親水基を導入
するために使用される成分であり、具体例としては、N
−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノール
アミン、N−オレイルジエタノールアミン、N−シクロ
ヘキシルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパ
ノールアミン、N−シクロヘキシルジイソプロパノー
ル、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、N,N−ジ
ヒドロキシエチルトルイジン、N,N−ジヒドロキシプ
ロピルナフチルアミン、及びこれらアルカノールアミン
類にエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキ
レンオキシドを少量付加したオキシアルキレン化アルカ
ノールアミン類等が挙げられる。これらのうち好ましい
ものはN−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエ
タノールアミン及びN−オレイルジエタノールアミンで
ある。
【0024】第3級アミノ基を有するジオール(c)の
量は、該第3級アミノ基に基づく窒素原子をポリウレタ
ン樹脂(A)中0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜
2重量%含まれる量である。0.1重量%未満ではカチ
オン電着用として安定な分散体が得にくく、5重量%を
超えるとポリマーの親水性が高くなるため、塗膜にした
場合の耐水性が低下することがある。
【0025】高分子量ポリウレタン樹脂(A)は上記
(a)、(b)及び(c)成分を反応せしめることによ
って得られるが、さらに必要ならば下記重合停止剤
(d)及び/又は鎖延長剤(e)を併用することも可能
である。
【0026】重合停止剤(d)は、(A)成分の分子量
を上記範囲内に調整するために使用できるもので、1分
子中にイソシアネート基と反応しうる活性水素を1個以
上有する化合物である。具体的には、例えば、低分子モ
ノアルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、シクロヘキサノール等);1価のア
ルキルモノアミン(モノ−及びジ−エチルアミン、モノ
−及びジ−ブチルアミン等);1級又は2級のアミノ基
を有するアルカノールモノアミン(モノ−及びジ−エタ
ノールアミン等)が挙げられる。
【0027】重合停止剤(d)の量は、高分子量ポリウ
レタン樹脂(A)の数平均分子量が少なくとも1500
0、好ましくは少なくとも20000となる量、即ち
(A)の前駆体であるイソシアネート末端プレポリマー
のイソシアネート基を0.13mmol/g未満、好ま
しくは0.10mmol/g未満を封鎖する量である。
重合停止剤(d)で封鎖されるイソシアネート基が0.
13mmol/gを超えると高分子量化が困難となり、
カチオン電着塗膜の耐チッピング性能が低下する。
【0028】鎖延長剤(e)は、1分子中にイソシアネ
ート基と反応しうる活性水素を2個以上有する化合物で
あって、上記(b)及び(c)成分を含まず、分子量5
00未満の低分子量化合物である。
【0029】鎖伸長剤(e)としては、水、低分子ポリ
オール及びポリアミンが挙げられる。
【0030】低分子ポリオールとしては、例えば上記ポ
リエステルポリオールの原料として挙げた低分子グリコ
ール、該グリコールのアルキレンオキシド低モル付加物
(数平均分子量500未満);ビスフェノールのアルキ
レンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未
満);3価アルコール(グリセリン、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン等)、該3価アルコール
のアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量50
0未満);及びこれらの二種以上の混合物が挙げられ
る。高分子ポリオール(b)及び第3級アミノ基を有す
るジオール(c)と共に鎖伸長剤(e)として3価アル
コールを使用する場合は、これら(b)及び(c)成分
との合計において、平均水酸基数は、2.05以下が好
ましい。2.05を超えると生成物がゲル化しやすくな
る。
【0031】ポリアミンとしては、例えば脂肪族ポリア
ミン(エチレンジアミン、N−ヒドロキシエチルエチレ
ンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミン、ジエチレントリアミン);脂環族ポリアミン
(4,4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4
−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);
芳香環を有する脂肪族ポリアミン(キシリレンジアミ
ン、テトラメチルキシリレンジアミン等);芳香族ポリ
アミン(4,4´−ジアミノジフェニルメタン、トリレ
ンジアミン、フェニレンジアミン等);ヒドラジン類
(ヒドラジン、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒド
ラジド、セバチン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジ
ド等);及びこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
【0032】鎖延長剤(e)の量は、前記有機ポリイソ
シアネート(a)に対し通常5〜50モル%、好ましく
は10〜30モル%である。
【0033】上記(a)、(b)、(c)、必要により
(d)及び必要により(e)成分を反応せしめて高分子
量ポリウレタン樹脂(A)を製造する方法は、特に制限
されないが、例えば以下に例示する方法があげられる。
【0034】分子内に活性水素基を含まない有機溶剤
(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N−
メチルピロリドン、トルエン、キシレン及びこれらの2
種以上の混合物)の存在下、または溶剤非存在下で、上
記有機ポリイソシアネート(a)と高分子ポリオール
(b)と第3級アミノ基を有するジオール(c)と重合
停止剤(d)をワンショット法でウレタン化する方法。
【0035】前記の分子内に活性水素基を含まない有
機溶剤の存在下又は非存在下で、上記有機ポリイソシア
ネート(a)と高分子ポリオール(b)と第3級アミノ
基を有するジオール(c)とを反応させて末端NCO基
含有ウレタンプレポリマーとし、鎖伸長剤(e)で鎖伸
長した後、重合停止剤(d)を加えて反応を完結させる
方法。
【0036】前記と同様にして末端NCO基含有ウ
レタンプレポリマーを得、次いで鎖伸長剤(e)と重合
停止剤(d)を一括投入して鎖伸長及び反応完結する方
法。
【0037】前記の分子内に活性水素基を含まない有
機溶剤の存在下又は非存在下で、上記有機ポリイソシア
ネート(a)と高分子ポリオール(b)を反応させて末
端NCO基含有ウレタンプレポリマーとし、第3級アミ
ノ基を有するジオール(c)と鎖伸長剤(e)で鎖伸長
した後、重合停止剤(d)を加えて反応を完結させる方
法。
【0038】ここで(a)のイソシアネート(NCO)
基の(b)+(c)の活性水素基に対する当量比は、通
常1.1〜2.0、好ましくは1.2〜1.8の範囲で
あることが好ましい。ポリウレタン形成反応は、通常2
0℃〜150℃、好ましくは50℃〜120℃の温度で
行われる(尚、ポリアミンで鎖伸長反応させる場合は、
通常80℃以下、好ましくは0℃〜70℃の温度で行わ
れる)。反応を促進させるため、通常のウレタン化反応
に用いられるアミン系或いは錫系の触媒を使用してもよ
い。
【0039】本発明で用いる(A)成分は、SP値が
9.5〜12.0、特に好ましくは9.5〜11.5の
範囲内に含まれ、しかも数平均分子量は少なくとも15
000、好ましくは20000〜200000の範囲内
にあることが必要である。
【0040】SP値は、ソルビリティ パラメータ(So
lubility Parameter)のことで、Fedors法による計算で
算出できる。Fedors法による計算は、Polymer Engineer
ingand Science ,14,(2),147(1974)
に記載されている。SP値が9.5未満ではエポキシ樹
脂との相溶性が悪く、電着塗膜の防錆性が低下する。ま
たSP値が12.0を超えると、電着塗膜の耐チッピン
グ性能の向上効果がない。
【0041】(A)成分のSP値は、ポリウレタンの構
成各成分の凝集エネルギー密度の緩和(分子凝集エネル
ギーの緩和/分子容の総和)の平方根で表され、有機ポ
リイソシアネート(a)は、高分子ポリオール(b)に
比べ凝集エネルギー密度が高い。従って、SP値を高く
するには(A)を構成する(a)成分の使用量を増やす
ことにより、またSP値を低くするには(b)成分の使
用量を増やすことによりSP値をコントロールできる。
【0042】また、(A)成分の数平均分子量が150
00よりも小さくなると、該カチオン電着塗膜の耐チッ
ピング性が低下するので好ましくない。
【0043】該(A)成分は、(a)成分と(b)成分
とのウレタン化反応生成物を主骨格としてなり、さらに
(c)成分によってカチオン形成性基を導入し、そして
(d)及び(e)成分で分子量等をコントロールしてい
る。したがって、(A)成分は、カチオン形成性基を有
しているので、電着塗装時には下記(B)成分と共に電
着され、塗膜の加熱硬化中に解離することは殆どない。
また、該(A)成分は、例えば(d)成分としてアルカ
ノールアミン等を用いて分子末端に第1級水酸基を導入
すれば、塗膜の架橋反応に関与することができる。
【0044】エポキシ系カチオン電着性樹脂(B)は、
原則として、カチオン性基と架橋性官能基(例えば第1
級水酸基)を有しており、上記(A)成分と併用する。
具体的には、従来からカチオン電着塗料分野において使
用されているアミノ基を有するカチオン性樹脂であっ
て、高分子量ポリウレタン樹脂(A)との相溶性、防錆
性に優れる点からエポキシ系カチオン電着性樹脂が挙げ
られる。この樹脂は、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、プロ
ピオン酸、乳酸等の酸である中和剤で中和された水溶化
もしくは水分散化物であって、例えば(1)ポリエポキ
シドと第1級モノアミン、第1級ポリアミン、第2級ポ
リアミン又は第1、2級混合ポリアミンとの付加物(例
えば、米国特許第3,984,299号参照);(2)
ポリエポキシド化合物と第2級アミノ基及びケチミン化
された第1級アミノ基を有するアミンとの付加物(例え
ば、米国特許第4,017,438号参照);(3)ポ
リエポキシド化合物とケチミン化された第1級アミノ基
を有するヒドロキシ化合物とのエーテル化により得られ
る反応物(例えば、特開昭59−43013号公報参
照)等が使用できる。
【0045】上記樹脂(B)の製造に使用されるポリエ
ポキシド化合物は、エポキシ基を1分子中2個以上有す
る化合物であり、一般に少なくとも200、好ましくは
400〜4000、さらに好ましくは800〜2000
の範囲内の数平均分子量を有するものが適しており、特
にポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応
によって得られるものが好ましい。
【0046】該ポリエポキシド化合物の形成のために用
いるポリフェノール化合物としては、例えばビス(4−
ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4´−
ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1,1−エタン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−
tert−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス
(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロ
キシナフタレン、ビス(2,4−ヒドロキシフェニル)
メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,
2,2−エタン、4,4´−ジヒドロキシフェニルスル
ホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等
が挙げられる。
【0047】該ポリエポキシド化合物は、ポリオール
(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール
等)、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシ
アネート化合物等と一部反応させたものであってもよ
く、さらにまた、ε−カプロラクトン、アクリルモノマ
ー等をグラフト重合させたものであってもよい。
【0048】また、該ポリエポキシド化合物にカチオン
性基を導入するためのカチオン化剤としては、例えば下
記のアミノ化合物があげられる。
【0049】モノエタノールアミン、モノプロパノー
ルアミン、モノブタノールアミン等の第1級アルカノー
ルアミン。
【0050】N−メチルエタノールアミン、N−エチ
ルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジーn(ま
たはiso)−プロパノールアミン、ジブタノールアミ
ン等の第2級アルカノールアミン。
【0051】上記第1級アルカノールアミンとα,β
−不飽和カルボニル化合物との付加物(第2級アルカノ
ールアミン):例えば、モノエタノールアミンとN,N
−ジメチルアミノブロピルアクリルアミドとの付加物、
モノエタノールアミンとヒドロキシエチル(メタ)アク
リレートとの付加物、モノエタノールアミンとヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレートとの付加物、モノエタ
ノールアミンとヒドロキシブチル(メタ)アクリレート
との付加物等。
【0052】樹脂(B)が有している架橋性官能基であ
る水酸基は、例えば、上記カチオン化剤中のアルカノー
ルアミン、エポキシド化合物中に導入されることがある
カプロラクトンの開環物及びポリオール等から導入され
る第1級水酸基;エポキシ樹脂中の第2級水酸基;等が
あげられる。このうち、アルカノールアミンにより導入
される第1級水酸基は架橋硬化反応性が優れているので
好ましい。
【0053】樹脂(B)における水酸基の含有量は、架
橋硬化反応性の点からみて、水酸基当量で20〜500
0、特に100〜1000の範囲内が好ましく、更に第
1級水酸基当量200〜1000の範囲内にあることが
望ましい。また、カチオン性基の含有量は、樹脂(B)
を安定に分散しうるに必要な最低限以上が好ましく、m
gKOH/g樹脂換算、即ちアミン価で一般に3〜20
0、特に10〜100の範囲内にあることが好ましい。
【0054】本発明のカチオン電着塗料組成物における
前記高分子量ポリウレタン樹脂(A)の配合量は、エポ
キシ系カチオン電着性樹脂(B)に対して、樹脂
(A):樹脂(B)=30:70〜1:99の範囲内の
固形分重量比であり、好ましくは樹脂(A):樹脂
(B)=5:95〜20:80の固形分重量比である。
高分子量ポリウレタン樹脂(A)の配合量が、樹脂
(A):樹脂(B)=1:99の固形分重量比より少な
い場合には耐チッピング性能の改良効果が十分でなく、
他方、樹脂(A):樹脂(B)=30:70の固形分重
量比より多い場合には電着浴の浴安定性が不良となり、
電着浴槽底部に沈降物が生じる。また防錆性の低下、塗
料コストの増加にもなるため好ましくない。
【0055】また、本発明の電着塗料組成物は、必要に
応じてアルコール類、フェノール類、第3級ヒドロキシ
ルアミンまたはオキシム類等でブロックしたブロックポ
リイソシアネートやメラミン樹脂等の架橋剤を含有して
もよい。
【0056】本発明のカチオン性電着塗料組成物には、
さらに必要に応じて通常の添加物、例えば、着色顔料、
例えばチタン白、カーボンブラック、ベンガラ、黄鉛
等:体質顔料、例えばシリカ、クレー、マイカ、炭酸カ
ルシウム、タルク等;防錆顔料、例えばストロンチウム
クロメート、ジンククロメート等のクロム顔料、ケイ酸
鉛、クロム酸鉛、水酸化鉛等の鉛顔料等;顔料分散用樹
脂、ハジキ防止剤、水性溶剤、及び硬化触媒等を含ませ
ることもできる。顔料は、好ましくは通常顔料分散用樹
脂中に分散された顔料ペーストとして配合される。
【0057】本発明のカチオン電着塗料組成物は、カチ
オン電着塗装方法によって所望の基材表面に塗装するこ
とができる。カチオン電着塗装方法は、それ自体既知の
方法に従い、一般には、固形分濃度が約5〜40重量
%、好ましくは15〜25重量%となるように脱イオン
水等で希釈し、さらにpHを5.5〜8.0の範囲内に
調整したカチオン電着塗料からなる電着浴を通常、浴温
15〜35℃に調整し、負荷電圧100〜400Vの条
件で被塗物を陰極として行うことができる。
【0058】本発明のカチオン電着塗料組成物を用いて
形成しうる電着塗装の膜厚は、特に制限されるものでは
ないが、一般には硬化塗膜に基づいて10〜50μm、
好ましくは15〜35μmの範囲内が適当である。ま
た、塗膜の焼き付け硬化温度は一般に100〜200
℃、好ましくは150〜180℃で約10〜30分間の
時間の範囲で焼き付けることが適している。
【0059】本発明のカチオン電着塗料組成物より得ら
れる塗膜が、耐チッピング性、防錆性等に優れている理
由については、明確でないが、樹脂成分の一部として高
分子量ポリウレタン樹脂を有しており、この高分子量ポ
リウレタン樹脂の可とう性により塗膜の耐チッピング性
能が大きく改良されるとともに、分子量効果によって良
好な防錆性を示すものと考えられる。
【0060】
【実施例】以下、製造例、実施例及び比較例により、本
発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。各例中の「部」は重量部、「%」は
重量%を示す。
【0061】製造例1 ポリウレタン樹脂(A)の製造 (A−1):ポリエチレン−プロピレン(ブロック)エ
ーテルグリコール〔サンニツクスジオール PL−21
00(数平均分子量2477);三洋化成工業株式会社
製〕479.2部、ネオペンチルグリコール39.74
部、ヘキサメチレンジイソシアネート158.3部及び
メチルイソブチルケトン75部を反応容器に仕込み、反
応系内を窒素ガス置換した後、攪拌しながら110℃で
3時間反応し、次に反応物を60℃まで冷却しN−メチ
ルジエタノールアミン23.78部及びメチルイソブチ
ルケトン225部を加えて、さらに90℃で4時間反応
して残存NCO基含量1.30%のウレタンプレポリマ
ー溶液を合成した。このウレタンプレポリマー溶液を4
0℃に冷却した後、イソホロンジアミン22.9部、モ
ノエタノールアミン2.44部、メチルイソブチルケト
ン355部及びイソプロパノール70部の混合物を加え
て1時間反応し残存NCO基がなくるまで鎖伸長反応を
行い、固形分50.0%の、数平均分子量約35000
の高分子量ポリウレタン樹脂(A−1)の淡黄色溶液を
得た。樹脂(A−1)のアミン価は、15.4mgKO
H/g樹脂(第3級アミノ基に基づく窒素原子含有量と
して0.39%)であった。また、Fedors法による計算
SP値は、9.7であった。
【0062】(A−2):エチレンオキシド/THF
(20/80)をカチオン開環重合して得られたポリエ
チレン−テトラメチレン(ランダム)エーテルグリコー
ル(数平均分子量2040)483.7部、ネオペンチ
ルグリコール35.20部、N−メチルジエタノールア
ミン23.76部、ヘキサメチレンジイソシアネート1
56.3部及びメチルイソブチルケトン300部を反応
容器に仕込み、反応系内を窒素ガス置換した後、攪拌し
ながら90℃で8時間反応して残存NCO基含量1.3
0%のウレタンプレポリマー溶液を合成した。このウレ
タンプレポリマー溶液を50℃に冷却した後イソホロン
ジアミン23.7部、ジエタノールアミン3.27部、
メチルイソブチルケトン350部及びイソプロパノール
75部の混合物を加えて1時間反応し残存NCO基がな
くなるまで鎖伸長反応を行い、固形分50.1%の、数
平均分子量約45000の高分子量ポリウレタン樹脂
(A−2)の淡黄色溶液を得た。樹脂(A−2)のアミ
ン価は、15.4mgKOH/g樹脂(第3級アミノ基
に基づく窒素原子含有量として0.39%)であった。
また、Fedors法による計算SP値は、9.8であった。
【0063】(A−3):ポリテトラメチレンエーテル
グリコール(数平均分子量3065)458.0部、ネ
オペンチルグリコール41.42部、ヘキサメチレンジ
イソシアネート175.8部及びメチルイソブチルケト
ン75部を反応容器に仕込み、反応系内を窒素ガス置換
した後、攪拌しながら110℃で3時間反応し、次に反
応物を60℃まで冷却しN−メチルジエタノールアミン
23.76部及びメチルイソブチルケトン225部を加
えて、さらに90℃で3時間反応して残存NCO基含量
2.51%のウレタンプレポリマー溶液を合成した。こ
のウレタンプレポリマー溶液を40℃に冷却した後4,
4´−ジアミノジシクロヘキシルメタン61.5部、ジ
エタノールアミン1.25部、メチルイソブチルケトン
620部及びイソプロパノール185部の混合物を加え
て1時間反応し残存NCO基がなくなるまで鎖伸長反応
を行い、固形分40.8%の、数平均分子量約1130
00の高分子量ポリウレタン樹脂(A−3)の淡黄色溶
液を得た。樹脂(A−3)のアミン価は、16.0mg
KOH/g樹脂(第3級アミノ基に基づく窒素原子含有
量として0.40%)であった。また、Fedors法による
計算SP値は、10.0であった。
【0064】(A−4):ポリエチレン−プロピレン
(ブロック)エーテルグリコール〔サンニツクスジオー
ル PL−2100(数平均分子量2477);三洋化
成工業株式会社製〕479.2部、ネオペンチルグリコ
ール39.74部、ヘキサメチレンジイソシアネート1
56.3部及びアセトン75部を加圧反応容器に仕込
み、反応系内を窒素ガス置換した後、密閉下攪拌しなが
ら110℃で3時間反応し、次に反応物を60℃まで冷
却しN−メチルジエタノールアミン23.78部及びア
セトン225部を加えて、さらに90℃で4時間反応し
て残存NCO基含量1.30%のウレタンプレポリマー
溶液を合成した。このウレタンプレポリマー溶液を40
℃に冷却した後イソホロンジアミン22.9部、モノエ
タノールアミン2.44部、アセトン355部及びイソ
プロパノール70部の混合物を加えて1時間反応し残存
NCO基がなくなるまで鎖伸長反応を行ない、数平均分
子量約35000の高分子量ポリウレタン樹脂(A−
4)の淡黄色溶液を得た。樹脂(A−4)のアミン価
は、15.5mgKOH/g樹脂(第3級アミノ基に基
づく窒素原子含有量として0.39%)であった。ま
た、Fedors法による計算SP値は、9.7であった。
【0065】得られたポリウレタン樹脂溶液500部を
四つ口ガラス反応容器に仕込み、10%酢酸41.3部
を配合し30分攪拌した後、強く攪拌しながら脱イオン
水465部を約15分かけて滴下して乳化し、更に減圧
下にてアセトン及びイソプロパノールを留去して固形分
約35%のエマルションを得た。
【0066】(A−5):ポリプロピレングリコール
(数平均分子量3262)552.2部、3−メチル−
1,5−ペンタンジオール1.92部、ヘキサメチレン
ジイソシアネート121.1部及びメチルイソブチルケ
トン75部を反応容器に仕込み、反応系内を窒素ガス置
換した後、攪拌しながら110℃で3時間反応し、次に
反応物を60℃まで冷却しN−メチルジエタノールアミ
ン23.76部、3−メチル−1,5−ペンタンジオー
ル7.69部及びメチルイソブチルケトン635部、ジ
ブチル錫ジラウレート0.2部を加えて、さらに90℃
で8時間反応した。残存NCO基含量は、0.07%で
あった。系内温度を40℃に冷却した後、ジエタノール
アミン2.50部を加えて1時間反応し残存NCO基を
封鎖して、固形分40.8%の、数平均分子量約600
00の比較高分子量ポリウレタン樹脂(A−5)の溶液
を得た。樹脂(A−5)のアミン価は、15.8mgK
OH/g樹脂(第3級アミノ基に基づく窒素原子含有量
として0.39%)であった。また、Fedors法による計
算SP値は、9.2であった。
【0067】(A−6):ポリエチレン−プロピレン
(ブロック)エーテルグリコール〔サンニツクスジオー
ル PL−2100(数平均分子量2477);三洋化
成工業株式会社製〕479.2部、ネオペンチルグリコ
ール39.74部、ヘキサメチレンジイソシアネート1
56.3部及びメチルイソブチルケトン75部を反応容
器に仕込み、反応系内を窒素ガス置換した後、攪拌しな
がら110℃で3時間反応し、次に反応物を60℃まで
冷却しN−メチルジエタノールアミン23.76部及び
メチルイソブチルケトン225部を加えて、さらに90
℃で4時間反応して残存NCO基含量1.30%のウレ
タンプレポリマー溶液を合成した。このウレタンプレポ
リマー溶液を40℃に冷却した後イソホロンジアミン1
0.17部、モノエタノールアミン11.64部、メチ
ルイソブチルケトン350部及びイソプロパノール35
部の混合物を加えて1時間反応し残存NCO基がなくな
るまで鎖伸長反応を行い、固形分51.3%の、数平均
分子量約7400の比較ポリウレタン樹脂(A−6)の
淡黄色溶液を得た。樹脂(A−6)のアミン価は、1
5.5mgKOH/g樹脂(第3級アミノ基に基づく窒
素原子含有量として0.39%)であった。また、Fedo
rs法による計算SP値は、9.7であった。
【0068】(A−7):ポリ(1,4−ブチレンアジ
ペート)ジオール(数平均分子量2000)302.8
部を反応容器に仕込み110℃で1時間減圧脱水処理し
た後、約40℃に冷却しジフェニルメタンジイソシアネ
ート338.2部をすばやく仕込んだ。反応系内を窒素
ガス置換した後、攪拌しながら60℃で3時間反応し、
次にエチレングリコール34.15部、N−メチルジエ
タノールアミン23.76部、メチルイソブチルケトン
200部の混合物を加えてさらに2時間反応した後、N
−メチルピロリドン100部で希釈し、残存NCO基含
量3.79%のウレタンプレポリマー溶液を合成した。
このウレタンプレポリマー溶液を40℃に冷却した後、
4,4´−ジアミノジフェニルメタン85.4部及びN
−メチルピロリドン300部の混合物を加え、さらにジ
エタノールアミン4.20部及びメチルイソブチルケト
ン380部の混合物を加えて1時間反応し残存NCO基
がなくなるまで鎖伸長反応を行い、固形分44.8%
の、数平均分子量約35000の比較高分子量ポリウレ
タン樹脂(A−7)の黄色溶液を得た。樹脂(A−7)
のアミン価は、14.2mgKOH/g樹脂(第3級ア
ミノ基に基づく窒素原子含有量として0.36%)であ
った。また、Fedors法による計算SP値は、12.2で
あった。
【0069】製造例2 エポキシ系カチオン電着性樹脂
(B)の製造 (B−1):攪拌機、温度計、窒素導入菅及び還流冷却
器を取り付けたフラスコに、ビスフェノールAとエピク
ロルヒドリンとの反応によって得られた数平均分子量3
70、エポキシ当量185のエポキシ樹脂518部を仕
込み、ビスフェノールA57部及びジメチルベンジルア
ミン0.2部を加え、120℃でエポキシ当量が250
となるまで反応させた。次いでε−カプロラクトン21
3部及びテトラブトキシチタン0.03部を加え、17
0℃に昇温し、この温度を保ちながら経時でサンプリン
グを行い、赤外吸収スペクトル測定にて未反応ε−カプ
ロラクトン量を追跡し、反応率が98%以上になった時
点でビスフェノールA148部とジメチルベンジルアミ
ン0.4部をさらに加え、130℃でエポキシ当量93
6となるまで反応させた。次いで、メチルイソブチルケ
トン257.4部、ジエチルアミン25.6部、ジエタ
ノールアミン68.3部を加え80℃で2時間反応後、
メチルエチルケトン143.4部で希釈し、樹脂固形分
72%のエポキシ−ポリアミン樹脂(B−1)の溶液を
得た。この樹脂のアミン価は54.5mgKOH/g樹
脂で、第1級水酸基当量は500であった。
【0070】実施例1〜7及び比較例1〜4 上記で得た高分子量ポリウレタン樹脂(A)及びエポキ
シ系カチオン電着性樹脂(B)、さらにヘキサメチレン
ジイソシアネートのメチルエチルケトオキシムブロック
化物(以下、「HDIブロック化物」と略称する。)
を、後記表2に示す各固形分重量部となるように混合
し、得られたそれぞれの混合液に酢酸鉛1部及び10%
酢酸15部を配合し、均一に攪拌した後強く攪拌しなが
ら脱イオン水を約15分かけて滴下し、固形分約35%
のカチオン電着塗料用クリヤエマルションを得た。この
クリヤエマルションに下記表1の配合に示す処方の顔料
ペースト62.2部(固形分として28部)を攪拌しな
がら加え、脱イオン水で希釈して固形分約20%のカチ
オン電着塗料を得た。尚、表2中の配合成分は固形分重
量にて示した。
【0071】
【表1】
【0072】実施例8 上記で得たエポキシ−ポリアミン樹脂(B−1)とHD
Iブロック化物を固形分重量部で80/20になるよう
に混合し、得られた混合液に酢酸鉛1部及び10%酢酸
15部を配合し、均一に攪拌した後強く攪拌しながら脱
イオン水を約15分かけて滴下し、固形分約35%のエ
マルションを得た。このエマルションと上記で得た高分
子量ポリウレタン樹脂(A−4)のエマルションを固形
分重量部で100/12になるように配合してカチオン
電着塗料用クリアエマルションとした。このクリアエマ
ルションに上記表1の配合に示す処方の顔料ペースト6
2.2部(固形分として28部)を攪拌しながら加え、
脱イオン水で希釈して固形分約20%のカチオン電着塗
料を得た。
【0073】上記各例で得たカチオン電着塗料の浴中
に、リン酸亜鉛処理鋼板(冷延鋼板、亜鉛メッキ鋼板;
板厚0.8mm)を浸漬し、それをカソードとしてカチ
オン電着塗装を行った。塗装条件は、電圧250Vで膜
厚(乾燥膜厚に基いて)約20μmの電着塗膜を形成
し、水洗した後、電気式熱風乾燥器にて170℃で20
分間焼き付けを行って塗装鋼板を得た。
【0074】得られた焼き付け電着塗装鋼板について、
下記試験方法に従って、防錆性、耐チッピング性の試験
を行った。
【0075】防錆性:リン酸亜鉛処理冷延鋼板に電着塗
装を行い、得られた膜厚(乾燥膜厚に基いて)約20μ
mの電着塗面にクロスカットを入れ、JIS Z 23
71による塩水噴霧試験を840時間行った。評価基準
は、次の通りである。
【0076】◎;塗板のクロスカットにおける片側の錆
幅が2mm未満のもので、防錆性は非常に良い。
【0077】△;塗板のクロスカットにおける片側の錆
幅が2mm〜3mmのもので、防錆性は普通である。
【0078】×;塗板のクロスカットにおける片側の錆
幅が3mm以上のもので、防錆性は不良である。
【0079】耐チッピング性: 試験塗板の作成;焼き付け電着塗板の電着塗膜面(リン
酸亜鉛処理亜鉛メッキ鋼板)にアミノアルキド系中塗り
塗料(関西ペイント株式会社製、「アミラックTP37
シーラー」を硬化膜厚が25〜35μmになるように塗
装し、140℃で30分間加熱して硬化させた。さら
に、中塗り塗装面に上塗り塗装した。この上塗り塗装
は、「ネオアミラック#6000」(関西ペイント株式
会社製、アミノアルキド塗料)を硬化膜厚が30〜40
μmの厚さになるように塗装し、140℃で30分間焼
き付けて硬化させ、試験塗板を得た。
【0080】耐チッピング性試験条件;Q−G−R−グ
ラベロメータ(Qパネル会社製品)を用い、7号砕石5
0gを、4kg/cm2 のエアー圧、−20℃の温度条
件で、上記試験塗板に吹き付け、塗膜に衝撃を与えた。
次いで、この塗膜の外観を肉眼で、下記評価基準に基づ
き評価した。
【0081】◎;上塗り塗膜の一部に、衝撃によるキ
ズ、或いは上塗り塗膜と中塗り塗膜との間又は中塗り塗
膜と電着塗膜との間に剥離が極くわずかに認められる程
度で、電着塗膜の剥離を全く認めず、耐チッピング性は
非常に良い。
【0082】△;上塗り塗膜と中塗り塗膜との間、中塗
り塗膜と電着塗膜との間又は電着塗膜と亜鉛メッキ鋼板
面との間に、剥離が極くわずかに認められる程度で、亜
鉛メッキ面の剥離を全く認めず、耐チッピング性は普通
である。
【0083】×;塗膜の剥離が多く認められ、亜鉛メッ
キ鋼板の亜鉛メッキ面の剥離もかなり認められ、耐チッ
ピング性は不良である。
【0084】試験結果を表2に併記する。
【0085】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粕川 高久 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内 (72)発明者 高須 哲也 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の 1 三洋化成工業株式会社内 (72)発明者 西本 博 京都府京都市東山区一橋野本町11番地の 1 三洋化成工業株式会社内

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機ポリイソシアネート(a)、高分子ポ
    リオール(b)及び第3級アミノ基を有するジオール
    (c)を反応させて得られる、SP値が9.5〜12.
    0であり、且つ数平均分子量が少なくとも15000の
    高分子量ポリウレタン樹脂(A)30〜1重量%、並び
    にエポキシ系カチオン電着性樹脂(B)70〜99重量
    %からなるカチオン電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】高分子量ポリウレタン樹脂(A)が、更に
    重合停止剤(d)及び/又は鎖伸長剤(e)を用いて得
    られるものである請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 【請求項3】鎖伸長剤(e)が、ポリアミンである請求
    項2に記載の塗料組成物。
  4. 【請求項4】高分子量ポリウレタン樹脂(A)が、数平
    均分子量20000〜200000のものである請求項
    1に記載の塗料組成物。
  5. 【請求項5】高分子量ポリウレタン樹脂(A)が、分子
    中にジオール(c)の第3級アミノ基に基づく窒素原子
    を0.1〜5重量%含有している請求項1に記載の塗料
    組成物。
  6. 【請求項6】ジオール(c)が、N−アルキルジエタノ
    ールアミンである請求項1に記載の塗料組成物。
  7. 【請求項7】カチオン電着性樹脂(B)が、第1級水酸
    基当量200〜1000のものである請求項1に記載の
    塗料組成物。
  8. 【請求項8】カチオン電着性樹脂(B)が、アミン価3
    〜200mgKOH/g樹脂のものである請求項1に記
    載の塗料組成物。
  9. 【請求項9】更に、架橋剤を含有している請求項1に記
    載の塗料組成物。
  10. 【請求項10】架橋剤が、ブロックポリイソシアネート
    又はメラミン樹脂である請求項9に記載の塗料組成物。
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