JP2752502B2 - 高炉の原料装入方法 - Google Patents

高炉の原料装入方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高炉の原料装入方法に関する。
〔従来の技術〕
特開昭59−41402号公報には、鉱石層とコークス層と
を高炉内に交互に形成するように装入して製銑するに当
って、前記鉱石中に20%までのコークスもしくは石炭を
混入すること(混合装入)を特徴とする高炉操業法が開
示されている。
このような操業では鉱石層の内部にコークスが入って
いるので鉱石が軟化溶融する位置でこの鉱石の軟化融着
層内部へのガスの侵入が可能になり、伝熱、還元反応、
軟化融着層の通気抵抗低下等による圧損低下の面で有利
となり、燃料比の低下、炉況の改善に効果がある。
また同公報には上記混入コークスとして小塊コークス
の使用の可能性も記している。小塊コークスは従前は高
炉に装入されていなかったもので安価であり、鉱石層に
混合しやすく、偏析しないのが特徴である。
一方、混合装入を行うと次の現象も同時に現われる。
第4図に混合装入を行った時と、行わなかった時の炉
頂での鉱石の層厚の半径方向分布を示す。ここで言う鉱
石層は混合したコークスも含んだものを意味している。
また第4図中の鉱石層分率とは、鉱石層厚を、鉱石層厚
とコークス単体層厚との和で割ったものである。また規
格化した鉱石層厚分率とは、鉱石層厚分率の半径方向へ
の断面積平均値で鉱石層厚分率を割ったものである。
また、ここでの分布は両方ともに同一の装入条件で行
ったものである。
このように、混合装入を行うと、混合装入を行わない
時に比べ、炉内における鉱石とコークスの混合物層の存
在割合が増加することがわかる。また、鉱石とコークス
の混合物層はコークス単体の層に比べ、通気抵抗が高い
ので、混合装入を行うと鉱石が軟化溶融する以前、つま
り軟化融着層より上方に位置する塊状帯における圧力損
失が増加する。
また、規格化した鉱石層厚分布の分布でよくわかるよ
うに混合装入を行うと、そのため特に高炉中心側での混
合物層厚さの増加率が高い。
これは高炉の中心ガス流を減少させ、炉芯不活性とな
り、出銑滓状況が悪化する原因となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は、上記問題点を解決しようとするもので、 高炉中心ガス流を確保する。
中心流を確保することで塊状帯での圧力損失の増加を
防ぐ。
の2点を満足する高炉の原料装入方法を提供することを
目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、原料コークスから大塊コークスと粉粒コー
クスを篩分け分離して中塊コークスとし、該大塊コーク
ス及び粉粒コークスを鉱石中に混入して混合物とし、こ
の混合物と中塊コークスとを交互に高炉に装入すること
を特徴とする高炉の原料装入方法である。
本発明において第2図に示すように、大塊コークスと
は、粒度65mm以上を90%以上含むものをいい、粉粒コー
クスとは粒度30mm未満を90%以上含むものをいう。中塊
コークスは大塊コークスと粉粒コークスとを篩分けた中
間粒度の篩分産物をいう。
〔作用〕
ベルレス高炉、ベル高炉ともに一般に炉壁から中心側
への原料の流れ込みを利用して原料を装入するのが現状
である。
混合装入を行った時の炉内堆積状態を第3図に示す。
コークス単体層2のあと混合物層3を装入する時、混
合層に混入したコークスは流れ込み時に一部が再分離、
偏析し、炉中心、炉壁近傍に偏析層4を形成する。ここ
で混合層に混入したコークスに粒度分布がある場合、コ
ークス粒度が粗いものほど再分離しやすく、かつ、炉中
心に偏析するものが多くなる。一方、大塊コークスは鉱
石層、粉粒コークス、中塊コークスに比べ通気性がよい
ことから、高炉中心ガス流の確保が可能となり、上記問
題点、を解決することができる。すなわち、本発明
のポイントとするところは偏析を利用することにある。
従来の技術では、均一に混合させようとしていたのに対
して本発明は逆の考え方に立脚している。
〔実験例〕
次の実験を行った。
(1)まず第2図(a)に示す粒度分布のコークスを準
備した。
(2)次にこのコークスから第2図(b)に示すよう
に、大塊コークス、粉粒コークスを篩分けた。その結
果、大塊コークス1、中塊コークス20、粉粒コークス4
の重量比率になっている。
(3)鉱石装入量に対する混合コークス装入量の割合が
6重量%のコークスを鉱石に混入し、次の5つのケース
について装入実験を行った。
実験結果を第1表に示す。
ケース1:粉粒コークスのみ混入した。
混合層は大部分混合状態にあり、一部偏析し炉中心及
び炉壁部に偏析部を形成する。混合装入しない時と比べ
て鉱石にコークスを混入した混合層3は厚さが厚く、塊
状帯圧損が増大した。第1図に示したように、特に高炉
中心部で相対的に厚くなる。このことにより高炉中心ガ
ス流が減少し、炉芯不活性となり、出銑滓不良となっ
た。
またコークスを鉱石に混入しないケース5に比べ融着
層の通気抵抗低下とともに融着帯幅が狭くなり、融着帯
の圧損は小さくなる。
ケース2:粉粒コークスと中塊コークスを鉱石に混入し
た。
混合層のコークスは一部偏析した。高炉中心部に偏析
したコークス5の粒度は混合に用いたコークスの粒度よ
り粗い。すなわち、中塊コークスがより偏析している。
したがって、ケース1より中心にガスが抜け、塊状帯の
圧損が減少した。ただし、ケース1より偏析量が多く、
混合層3にとどまるコークスが減少し、混合装入のメリ
ットが減り、融着帯の圧損が増大する。
ケース3:第2図(a)に示す粒度分布のコークスを混入
した。
ケース2より中心に偏析したコークスの粒度が粗く、
かつ偏析量が多い。そのため、ケース2より塊状帯での
圧損は低下するものの、融着帯では逆に圧損が増加す
る。
ケース4:粉粒コークスと大塊コークスを混入した。
粉粒コークスの大部分は鉱石中に混合しており、一部
偏析した。したがって、混合装入特有の軟化融着層での
伝熱、還元反応の改善、軟化融着層の圧損低下などのメ
リットは確保されている。
一方、大塊コークスは一部混合し、大部分は偏析して
炉中心に集まる。したがって混合装入しても炉中心部の
ガスが抜ける。
ケース5:コークスを混入しない。
従来技術のままである。
〔実施例〕 次の条件で操業を行った。
高炉 :2584m3 風量 :3564Nm3/min 鉱石装入量:59.3t/チャージ コークス装入量:17.2t/チャージ 鉱石粒径 :20mm コークスの全装入量17.2t/チャージのうち、3.6t/チャ
ージだけ鉱石に混入した。(鉱石装入量に対する混合コ
ークス装入量の割合6重量%) 上記ケース1〜5と同様な条件で操業した。
ガス流分布を第1図に示した。第1図は炉頂における
CO/CO2の半径方向分布を示すもので、CO/CO2の高い方が
そこにおけるガス流がよく抜けていることを示してい
る。
また、(出滓時間)/(出銑時間)比、σsiを第2表
に示した。
出銑滓を行ってもスラグが炉内に残ると(出滓時間)
/(出銑時間)が小さくなる。これは炉内の通液性が悪
化していることを意味し、そのため、出銑のSiの変動が
大きくなる。
本発明の実施例(ケース4)では、圧損低下が大き
く、装入物の降下が安定し、風量アップ可能であり、出
銑量を増加させることができた。また、送風機動力を減
らすことができた。
さらに高炉中心流が確保されるので、出銑滓がよくな
り、出銑Siの変動が小さくなった。
〔発明の効果〕
本発明によれば、従来の混合装入法に比較して、出銑
滓が良好となり、出銑Siの変動が小となり、圧損が低下
するなど炉況好適、安定操業、生産増となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施時の炉頂でのCO/CO2の半径方向分布
を示す図、第2図はコークスの粒度分布を示すグラフ、
第3図は炉内の堆積状態を示す図、第4図は鉱石層厚分
率の半径方向分布を示す図である。 1……高炉 2……コークス層 3……混合層 4……偏析層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江渡 卓穂 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内 (72)発明者 武田 幹治 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社技術研究本部内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料コークスから大塊コークスと粉粒コー
    クスを篩分け分離して中塊コークスとし、該大塊コーク
    ス及び粉粒コークスを鉱石中に混入して混合物とし、該
    混合物と中塊コークスとを交互に高炉に装入することを
    特徴とする高炉の原料装入方法。
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