JP2752144B2 - 同位体分離方法及び装置 - Google Patents

同位体分離方法及び装置

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JP2752144B2 JP8465589A JP8465589A JP2752144B2 JP 2752144 B2 JP2752144 B2 JP 2752144B2 JP 8465589 A JP8465589 A JP 8465589A JP 8465589 A JP8465589 A JP 8465589A JP 2752144 B2 JP2752144 B2 JP 2752144B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、レーザ法による同位体分離方法及び装置に
係り、特定同位体を含む物質の蒸気流中の不純物イオン
及び電子を除去し、同位体分離プロセスには純正の中性
原子蒸気流を供給することにより、同位体の分離性能を
向上させた同位体分離方法及び分離装置に関する。
(従来の技術) 原子炉用燃料として使用されているウラン燃料は、ウ
ラン同位体の混合物の中から原子核反応を起こす特定の
ウランを分離濃縮して所定濃度に調整後、原子炉に装荷
される。
天然に産出するウランは、質量数が235の軽い原子核
から成るウラン原子(以下、ウラン235と略記する)が
0.7%程度含有され、残りの大部分は原子核の質量が238
のウラン原子(以下、ウラン238と略記する)である。
このうち原子核反応を起こすウラン235は、上記天然ウ
ランまたは原子炉使用済燃料から分離濃縮され、通常3
〜4%程度まで濃縮された上で原子炉燃料として使用さ
れる。
従来、ウラン235、ウラン238などの同位体の混合物か
らウラン235を分離し、所定濃度レベルまで高める濃縮
方法としてはガス拡散法、遠心分離法、レーザ法、化学
交換法などがあり、各方法とも同位体の化学的特性や物
理的特性の相違を利用して分離濃縮操作を実施するもの
である。
このうちレーザ法は、他の方法と比べて分離性能の点
で特に優れている方法として現在注目されている。
以下に、レーザ法による同位体分離方法及び装置の従
来例を第5図、第6図を参照して説明する。
第5図は、ウラン濃縮工程において使用されるレーザ
法同位体分離装置の構成を模式的に示す斜視図であり、
第6図は第5図におけるVI−VI断面図である。以下に、
ウラン同位体の分離操作を例にとって説明する。天然も
しくは原子炉で使用された減損した燃料体から取り出さ
れた金属ウラン1は、熱化学的耐性を有する例えばつぼ
などの蒸発用容器2内に装荷されている。この蒸発用容
器2は、ほぼ真空状態に維持された密封容器3の内底部
に設置されている。次に、リニア電子銃4から発射され
る電子ビーム5を、図示しない外部磁場コイルにより印
加される直流磁場6により偏向して蒸発用容器2の金属
ウラン1に照射する。電子ビーム5の照射を受けた金属
ウラン1は、2700K〜3500K程度まで加熱されて蒸発し、
蒸気流7を生成する。なお、蒸気流7の組成は、例えば
天然ウランを金属ウラン1として使用した場合は、重量
比でウラ235が0.7%、ウラン238が99.3%含まれる。一
方、蒸発用容器2の上方には、帯状の製品回収電極とし
て、陽電極8と陰電極9とが交互に配置され、その電極
間にそれぞれ光反応部10が形成される。光反応部10の長
手方向には、レーザ発生装置12により発生されたウラン
235を選択的にイオン化する電離用レーザビーム11が入
射され、蒸気流7と光反応を行う。電離用レーザビーム
11の波長はウラン235の共鳴電離波長に調整されてお
り、光反応部10に導入されたウラン蒸気流7に含有され
るウラン235原子のみが電離用レーザビーム11と共鳴
し、一定の確率で選択的に電離される。電離されたウラ
ン235イオンは、陽電極8と陰電極9との間に、電離用
レーザビーム11と同期したパルス状電極電圧を印加する
ことにより形成された電場によって回収電極となる陰電
極9の表面に吸着回収される。また、電離されずに光反
応部10を通過したウラン235及びウラン238の混合蒸気流
は光反応部10の外縁部に配置した蒸気回収板13に吸着回
収される。回収された液化した蒸気は別途の手段により
蒸発用容器2などに還流される。
第7図は、第6図の従来例の装置構成を示す断面図に
おいて、蒸発プロセスに係わる蒸気粒子の挙動を説明す
る要部断面図である。電子ビーム5により溶融した金属
ウラン1の蒸発界面においては、線状の電子ビーム5の
照射される高温領域15で特に蒸気流7が顕著に生成さ
れ、この高温領域15の中心部16では最も高密度の蒸気が
発生する。このため高温領域15、及びその中心部16の蒸
気流は、高温状態であることに起因する熱電離同位体イ
オン7bを含有する。また当該部に照射される電子ビーム
5を構成する高エネルギ電子5aは、蒸気流を構成する同
位体原子7aと衝突することにより同電子を電離して成る
衝突電離同位体イオン7cと2次電子5bを同時に生成す
る。この2次電子5bは、さらに他の同位体原子7a衝突す
ることにより新たな電離同位体イオン7cと2次電子5bを
次々と生成する。
すなわち、蒸気流7の主成分たる同位体原子7a以外に
は、熱電離同位体イオン7b、衝突電離同位体イオン7c、
高エネルギ電子5a、2次電子5b等の不純物荷電粒子が蒸
気流7中に含有されている。
(発明が解決しようとする課題) よって、従来のウラン同位体分離方法及び装置によれ
ば、ウランの分離操作の前処理工程において、強力な電
子ビームを照射して高温条件下で金属ウランを溶融蒸発
せしめて蒸気流を生成する工程を有するため、生成した
蒸気流には分離対象となる特定同位体原子と共に、上記
の理由に基づく特定同位体原子及びその電離同位体イオ
ン、高エネルギ電子及び熱電子が含有される。ウラン同
位体分離工程においてはウラン235原子が特定同位体原
子となるが、残りの大部分の粒子はこれらウラン238原
子、ウラン238イオン及び電子である。
したがって、これらの中性原子及び不純物荷電粒子を
含む蒸気流が光反応部内に流入した場合、特定同位体の
光電離イオンを電界回収する電極表面に、上記光電離イ
オンの他に、光反応部に流入した中性原子の一部が付着
することは避けられないが、不純物イオンについては、
そのほとんどが上記光電離イオンとともに電極表面に電
界回収されることになる。また、光反応部における電子
は回収電界により加速され、たちまち中性原子と多重衝
突を起こして中性原子をイオン化する。これにより生成
されるイオンは非選択的電離イオンであり、ほとんどが
不純物イオンであるウラン238イオンといえる。
すなわち、本来ウラン235光電離イオンのみを電界回
収するはずの電極表面にウラン238イオンが同時回収さ
れ、目的とする同位体の分離効率を低下させ、回収ウラ
ンの純度品質を低下させる要因となっている。
また、上記のような不純物荷電粒子の除去方法とし
て、例えば特開昭63−126529号公報、特開昭63−137738
号公報などに見られるように、従来では蒸気流が光反応
部に流入する前段階において不純物イオン回収電極など
の除去装置を、光反応部の入口部に設置することが提案
されている。しかし、このような除去装置は除去対象と
なる荷電粒子の極性のずれかに対してのみ機能するもの
であり、正性イオンと電子の両方の不純物粒子の除去に
対して有効とは言えない。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもの
であり、ウラン蒸気流の生成と共に副次的に発生する不
純物イオンを、光反応部入り口で正性イオンを反射させ
る電位勾配を常時に形成することにより除去し、かつ、
パルス状レーザが照射される上記の電位勾配を逆転させ
て電子を遮蔽し、以って光反応の行われる時間には純正
の中性原子流を光反応部に供給することにより、同位体
分離効率の指標となる分離係数を高く維持し、製品純度
の高い同位体分離方法及び装置を提供することを目的と
する。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本件第1番目の発明に係わる同位体分離方法は、耐熱
性容器に収容された複数種類の同位体を含む物質を、外
部印加の直流磁場により偏向された荷電粒子ビームによ
り加熱蒸発せしめて蒸気流を生成し、この蒸気流を陽電
極と陰電極とを交互に並置して形成した同位体捕集装置
に蒸気流通路を経由して導入した後に、前記蒸気流に特
定同位体を選択的にイオン化する電離用レーザビームを
照射してイオン化同位体を生成し、上記電極間に電離用
レーザビームと時間的に同期したパルス状電界を印加す
ることによってイオン化同位体を回収電極方向に偏向さ
せて特定の同位体を分離回収する同位体分離方法におい
て、前記蒸気流に電離用レーザビームを照射する同位体
捕集装置の上流において、蒸気流方向に電離用レーザビ
ームと同期した電気勾配を形成し、前記蒸気流に含有さ
れる電子流を電位勾配が形成された光反応部の上流空間
にて反射させ、電離用レーザビームと蒸気流が反応して
いる時間帯のみ同位体捕集装置内には余剰の電子を排除
し、かつこの時間帯に上記の電位勾配により加速されて
蒸気流捕集に突入する非選択的イオン化同位体は、電離
用レーザビームが照射される蒸気流と反応している間は
電離用レーザビームの照射領域には到達しないように上
記の電位勾配を抑制し、以って電離用レーザビームによ
る選択的イオン化同位体の電界回収プロセスには電子及
び非選択的イオン化同位体をいずれも介在させずにほぼ
純正の中性原子同位体のみを対象とし、前記陰電極表面
には製品純度の高い同位体を効果的に得ることを特徴と
する。
また、本件第2番目の発明に係わる同位体分離方法
は、第1番目の発明において、電離用レーザビームと蒸
気流が反応している時間帯以外には電離用レーザビーム
を照射する同位体捕集装置の上流において、電離用レー
ザビームと蒸気流が反応している時間帯には電離用レー
ザビームを照射する同位体捕集装置の上流空間で形成さ
れる電子流を反射させ、非反応時間帯には正性イオン流
を反射させる電位勾配を形成するようにしたことを特徴
とする。
また、本件第3番目の発明に係わる同位体分離装置
は、荷電粒子ビームを偏向させる直流磁場発生装置と、
複数種類の同位体を含む物質をこの荷電粒子ビームによ
り加熱蒸発せしめる蒸気流生成装置と、陽電極と陰電極
を交互に並置して形成し、前記蒸発した物質の特定同位
体を捕集する同位体捕集装置と、前記蒸気流生成装置か
ら同位体捕集装置に至る蒸気流通路を形成する密閉容器
と、蒸気流通路を通り同位体捕集装置に流入した蒸気流
に電離用レーザビームを照射して特定の同位体を選択的
にイオン化する電離用レーザビーム発生装置と、電離用
レーザビームによってイオン化した同位体を同位体捕集
装置の回収電極に偏向させて分離回収するために電極間
に電離用レーザビームと同期したパルス状電界を印加す
る電源装置とを備え、前記同位体捕集装置の蒸気流入り
口部には蒸気流速方向に上記電源装置が発生するパルス
状電界と同期した負電位勾配を形成する電子除去装置
と、この電子除去装置には該部にて加速されるイオン化
同位体が同位体捕集装置に到達するまでの時間が上位電
源装置の発生するパルス継続時間と同程度となるような
電圧を上限として印加する電圧調整装置を備えたことを
特徴とする。
(作 用) 本発明に係わる同位体分離方法及び分離装置によれ
ば、特定同位体を含有する蒸気流の生成と同時に副次的
に発生する不純物荷電粒子を、蒸気流生成装置内におい
て蒸気流から直ちに電界除去することが可能となる。
蒸気流生成装置から生成された蒸気流は、希薄気体流
として外部空間への膨脹加速過程を経て分子流へと遷移
し、電離用レーザビームを照射する光反応部へ流入す
る。この蒸気流は、その主成分たる中性同位体原子の他
に生成イオンであるイオン化同位体や電子を含有し、こ
れらの不純物荷電粒子も何らかの形態で光反応部に混流
することは避けられない。本発明では、これらの正負両
方の極性を有する不純物荷電粒子のうち、電子は易動度
が非常に高いので光反応の行われる時間帯のみ電子流を
遮蔽するようなゲート電界を光反応部入口に形成する。
ただし、この時間帯は上記ゲート電界は正性イオンに対
して光反応部方向への加速効果を有するが、正性イオン
易動度が小さいのでゲート電界強度の上限を設ける。
また、上記の時間帯以外においては逆の正性イオンを
遮蔽するバイアス電界を設定することにより、不純物荷
電粒子に対する遮蔽効果はさらに増加する。これにより
電離用レーザビームと蒸気流との反応時に介在する不純
物荷電粒子の量を著しく低減することができるととも
に、これ以外の時間帯の不純物イオンの混入を防ぐこと
ができる。
以上の通り、本発明は従来の同位体分離方法及び装置
に対して容易に実施することができ、目的とする特定同
位体を高い分離係数で捕集し、純度品質の高い製品を効
率的に得ることができる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例について、ウラン濃縮工程に
おけるウラン同位体の分離操作を例にとり、図面にした
がって説明する。第1図は本発明に係わる同位体分離装
置の一実施例の構成を模式的に示す斜視図であり、第2
図は第1図におけるII−II断面図であり、それぞれ本技
術従来例の構成を示す第5図及び第6図に対応するもの
である。なお、第5図及び第6図に示す従来例と同じ構
成要素、部品には同一の番号を付している。
同位体分離装置は、金属ウラン1を収容した蒸発用容
器2と、蒸発用容器2に収容された金属ウラン1にリニ
ア電子銃4から発射する電子ビーム5を照射して金属ウ
ラン1を加熱蒸発せしめ、ウラン蒸気流7を生成する蒸
気流生成装置17とが備えられている。その蒸気流生成装
置17の上方には、蒸気流通路18があり、さらにその上方
に陽電極8と陰電極9を交互に並置して形成した同位体
捕集装置19が設けられている。陽電力8と加減電極9と
の間には光反応部10が形成され、この光反応部10を流れ
るウラン蒸気流7に電離用レーザビーム11を照射する。
電離用レービーム11の照射によってイオン化した同位体
は、電源装置20に接続される陽電極8と陰電極9によっ
て形成された電界によって偏向されて陰電極9表面上に
回収される。
さらに本発明では、蒸気流7の光反応部10入口部に荷
電粒子遮蔽装置21を設けている。荷電粒子遮蔽装置21
は、例えば蒸気流7方向に電位勾配を形成するような一
対の補助陽電極22aと補助陰電極22b、及び補助陽電極22
aと補助陰電極22bとの間に電圧を印加する電源装置23、
この電源装置23の出力電圧をレーザ発生装置12から発振
される電離用レーザビーム11のパルスモードに変換する
電圧調整装置24から構成される。
第3図は、本発明における荷電粒子遮蔽装置21の構成
を示す要部断面図であり、蒸気流7の各構成粒子の挙動
を説明するものである。また、第4図(a)、(b)、
(c)はそれぞれ電離用レーザビーム・パワー、回収電
界及び補助電極22に印加される電圧の時間変化を示すグ
ラフである。
希薄気体としての蒸気流7は、上記領域近傍の蒸発空
間内での粒子間の衝突散乱過程を経て、同位体捕集装置
19の近くに至るころには自由分子流として充分希薄化し
て一定の流速を持つようになる。この時、蒸気流速uの
成長過程は近似的に(1)式のように与えられる。
ここで蒸気温度To=3000K、ウラン原子質量m=3.952
×10-25kgとし、kはボルツマン定数、γは気体の比熱
比を意味する。
ところで、蒸気領域から生成される蒸気流7には、そ
の主成分を成す同位体原子7a以外に、同位体原子7aが高
温領域15と接触することにより生成される熱電離同位体
イオン7b、同位体原子7aが電子ビーム5に含まれる高エ
ネルギ電子5aと衝突して生成される衝突電離同位体イオ
ン7c、及び衝突電離同位体イオン7cが生成されるときに
同時に生成される2次電子5bと同位体原子7aが衝突して
生成される衝突電離同位体イオン7cが含有される。
これらの熱電離同位体イオン7b、衝突電離同位体イオ
ン7cは、同位体原子7aに対して非選択的に生成されるの
で、光反応部10において電離用レーザビーム11により選
択的に電離される特定同位体イオン(図中示さず)を分
離回収する立場上からは不純物イオンとなり、分離効率
を少なからず低下させる要因となる。
蒸気流7に含有される不純物イオンである熱電離同位
体イオン7b、衝突電離同位体イオン7cは、その平均運動
エネルギは同位体原子7aの平均運動エネルギと変わら
ず、蒸気流7とともに(1)式相当の速度を以って光反
応部10へ流入する。よって、光反応部10に蒸気流が流入
する前段階に、これらの不純物イオンを蒸気流7から除
去する意図において、正性荷電粒子を光反応部10から遮
蔽するバイアス電圧Voを補助電極22に印加する。このと
き、バイアス電圧Voは蒸気温度Toの熱イオンを遮蔽でき
るように(2)式を満たす必要がある。
Vo>>KTo/e0.3V (2) ここで、eは電気素量であり、e=1.602×10-19Cで
ある。また電離用レーザビーム11が発振している時間帯
(パルス幅τ)においては、電子が反応部10に流入して
同位体回収電界25により加速され、同位体原子7aと次々
に衝突しながらこれを非選択的にイオン化していく。よ
って、上記の時間帯のみにおいては補助電極22a、22bに
対してバイアスVoの代わりにゲート電圧Veを印加するよ
うにして、光反応部10に流入する高エネルギ電子5a及び
2次電子5bを遮蔽する必要がある。
なお、電子は易動度がイオン等に比べて極めて大きい
ので、ゲート電圧Veを印加する時間幅は電離用レーザビ
ーム11のパルス幅τと等しく設定することができる。
上記の時間帯において、すなわち電離用レーザビーム
11と同位体原子7aとが光反応する時間内では、高エネル
ギ電子5a及び2次電子5bを遮蔽することができるが、熱
電離同位体イオン7b及び衝突電離同位体イオン7c等の正
性荷電粒子群については光反応部10の方向へ加速するこ
とになる。但し、これらの正性荷電粒子は電子に比べて
易動度が小さく、補助電極22a、22bにおいて加速を受け
ても電離用レーザビーム11を照射する部位に到達するま
でに応分の時間を要する。そこで、熱電離同位体イオン
7bや衝突電離同位体イオン7cが補助電極22a、22bを通過
してから電離用レーザビーム11を照射する光反応部中心
10に至るまでの遅延時間τが電離用レーザビーム11の
パルス幅τよりも小さくなるように、(3)式の通りに
補助電極22から光反応部中心10aまでのイオン飛程Lo
ート電圧Veを調整する。
(3)式を満足する限りゲート時間内、よって光反応
時間内での不純物正性荷電粒子の到来は回避することが
できる。
以上の如く本発明によれば、光電離イオンの回収プロ
セスに影響を受けずに光反応部への不純物イオンの混入
量を従来より著しく低減させることができ、また、回収
プロセスの時間帯に限り光反応部から電子を遮蔽でき
る。これらによって、回収プロセスにおける分離係数を
低下させる正負の荷電粒子を単一の電極装置により効果
的に排除できるようになる。しかも、従来の同位体分離
方法に対して容易に実施可能であり、しかも従来の同位
体分離装置に対して抜本的な装置構成の変更を必要とし
ない。
[発明の効果] 以上の説明の通り、本発明に係わる同位体分離方法及
び分離装置によれば、蒸気流生成装置と同位体捕集装置
の間に荷電粒子遮蔽装置を配置し、同装置を構成する補
助電極に電離用レーザビームと同期したゲート電圧をバ
イアス電圧と共に印加するようにしたので、特定同位体
イオンの分離回収プロセスにおける分離性能を低下させ
る中性原子蒸気流に含有される不純物荷電粒子を、その
極性を問わずに分離回収プロセスから排除できるように
なる。ここでバイアス電圧を印加しない場合すなわち正
性イオンが電離用レーザビームの照射領域に到達する場
合であっても、電子がレーザビームの照射領域に到達し
ない分だけ同位体分離の効率が向上する。したがって、
同位体分離装置の運転効率の指標となる分離係数を高
く、また、分離回収した同位体製品の純度品質を大幅に
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる同位体分離方法を実施する同位
体分離装置の構成を模式的に示す斜視図、第2図は第1
図におけるII−II矢視断面図、第3図は第2図における
荷電粒子遮蔽装置の構成を示す要部断面図、第4図
(a)、(b)、(c)はそれぞれ電離用レーザビーム
・パワー、回収電界及び補助電極に印加される電圧の時
間変化を示すグラフ、第5図は従来の同位体分離装置の
構成を模式的に示す斜視図、第6図は第5図におけるVI
−VI矢視断面図、第7図は第5図及び第6図における蒸
発プロセスに係わる各種粒子の挙動を説明する要部断面
図である。 1……金属ウラン、2……蒸発用容器、3……密閉容
器、4……リニア電子銃、5……電子ビーム、5a……高
エネルギ電子、5b……2次電子、6……直流磁場、7…
…蒸気流、7a……同位体原子、7b……熱電離同位体イオ
ン、7c……衝突電離同位体イオン、8……陽電極、9…
…陰電極、10……光反応部、10a……光反応部中心、11
……電離用レーザビーム、12……レーザ発生装置、13…
…蒸気回収板、14……蒸発界面、15……高温領域、16…
…中心部、17……蒸気流通路、18……蒸気流生成装置、
19……同位体捕集装置、20……電源装置、21……荷電粒
子遮蔽装置、22a……補助陽電極、22b……補助陰電極、
23……電源装置、24……電圧調整装置、25……同位体回
収電界、To……蒸発温度、γ……比熱比、u……蒸気流
速、Vo……バイアス電圧、Ve……ゲート電圧、τ……レ
ーザ・パルス幅、τ……遅延時間、L……イオン飛
程、m……同位体イオン質量、e……電気素量。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】耐熱性容器に収容された複数種類の同位体
    を含む物質を、外部印加の直流磁場により偏向された荷
    電粒子ビームにより加熱蒸発せしめて蒸気流を生成し、
    この蒸気流を陽電極と陰電極とを交互に並置して形成し
    た同位体捕集装置に蒸気流通路を経由して導入した後
    に、前記蒸気流に特定同位体を選択的にイオン化する電
    離用レーザビームを照射してイオン化同位体を生成し、
    上記電極間に電離用レーザビームと時間的に同期したパ
    ルス状電界を印加することによってイオン化同位体を回
    収電極方向に偏向させて特定の同位体を分離回収する同
    位体分離方法において、前記蒸気流に電離用レーザビー
    ムを照射する同位体捕集装置の上流において蒸気流方向
    に電離用レーザビームと同期した電位勾配を形成し、前
    記蒸気流に含有される電子流を電位勾配が形成された光
    反応部の上流空間にて反射させ、電離用レーザビームと
    蒸気流が反応している時間帯のみ同位体捕集装置内には
    余剰の電子を排除し、かつこの時間帯に上記の電位勾配
    により加速されて蒸気流捕集装置に突入する非選択的イ
    オン化同位体は、電離用レーザビームが照射され蒸気流
    と反応している間は電離用レーザビームの照射領域には
    到達しないように上記の電位勾配を抑制し、以って電離
    用レーザビームによる選択的イオン化同位体の電界回収
    プロセスには電子及び非選択的イオン化同位体をいずれ
    も介在させずにほぼ純正の中性原子同位体のみを対象と
    し、前記陰電極表面には製品純度の高い同位体を効果的
    に得ることを特徴とする同位体分離方法。
  2. 【請求項2】電離用レーザビームと蒸気流が反応してい
    る時間以外には電離用レーザビームを照射する同位体分
    離装置の上流において、電離用レーザビームと蒸気流が
    反応している時間帯には電離用レーザビームを照射する
    同位体捕集装置の上流空間で形成される電子流を反射さ
    せ、非反応時間帯には正性イオン流を反射させる電位勾
    配を形成するようにした請求項1記載の同位体分離方
    法。
  3. 【請求項3】荷電粒子ビームを偏向させる直流磁場発生
    装置と、複数種類の同位体を含む物質をこの荷電粒子ビ
    ームにより加熱蒸発せしめる蒸気流生成装置と、陽電極
    と陰電極を交互に並置して形成し、前記蒸発した物質の
    特定同位体を捕集する同位体捕集装置と、前記蒸気流生
    成装置から同位体捕集装置に至る蒸気流通路を形成する
    密閉容器と、蒸気流通路を通り同位体捕集装置に流入し
    た蒸気流に電離用レーザビームを照射して特定の同位体
    を選択的にイオン化する電離用レーザビーム発生装置
    と、電離用レーザビームによってイオン化した同位体を
    同位体捕集装置の回収電極に偏向させて分離回収するた
    めに電極間に電離用レーザビームと同期したパルス状電
    界を印加する電源装置とを備え、前記同位体捕集装置の
    蒸気流入り口部には蒸気流速方向に上記電源装置が発生
    するパルス状電界と同期した負電位勾配を形成する電子
    除去装置と、この電子除去装置には該部にて加速される
    イオン化同位体が同位体捕集装置に到達するまでの時間
    が上記電源装置の発生するパルス継続時間と同程度とな
    るような電圧を上限として印加する電圧調整装置を備え
    たことを特徴とする同位体分離装置。
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