JP2751328B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2751328B2
JP2751328B2 JP4481389A JP4481389A JP2751328B2 JP 2751328 B2 JP2751328 B2 JP 2751328B2 JP 4481389 A JP4481389 A JP 4481389A JP 4481389 A JP4481389 A JP 4481389A JP 2751328 B2 JP2751328 B2 JP 2751328B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は,樹脂組成物に関する。詳しくはポリフェニ
レンエーテルとポリアミドとを含む樹脂組成物に関す
る。
更に詳しくはポリフェニレンエーテル,脂肪族ポリア
ミド,特定の相容化剤および耐衝撃強度改良剤としての
ゴム様物質および/または変性ゴム様物質からなる樹脂
組成物において,特定の還元粘度を有するポリフェニレ
ンエーテルを用いることにより得られる,熱変形温度が
高く,かつ加工性に優れた新規な熱可塑性樹脂組成物に
関するものである。
本発明の組成物は射出成形や押出成形等による成形
品,シート等として利用できる。
〈従来の技術〉 ポリフェニレンエーテルとナイロン6あるいはナイロ
ン66等のポリアミドとから成る樹脂組成物は公知であ
る。(特公昭45−997号公報,特公昭53−47390号公報,
特開昭56−16525号公報,特公昭56−26913号公報,米国
特許4,315,086号公報,特開昭62−151456号公報,特開
昭62−129350号公報,特開昭62−250050号公報等参照) これらの樹脂組成物は,両成分樹脂の弱点,例えば前
者の難加工性や低耐溶剤性,後者の低耐熱性や高吸水性
等が改良された有用な樹脂組成物であることが知られて
いる。
また,高耐熱性の非晶性樹脂であるポリフェニレンエ
ーテルを主要成分としているため,当該樹脂組成物の高
荷重熱変形温度が,他の一つの主要成分である結晶性を
有する脂肪族ポリアミドより高いという特徴を有してお
り,近年,電機部品,機械部品,スポーツ用品,自動車
部品,特に外装部品等への応用が拡がっている。
〈発明が解決しようとする課題〉 しかし,耐衝撃強度を改良すべくゴム様物質等を含ん
でなるポリフェニレンエーテルと脂肪族ポリアミドを含
む樹脂組成物は,熱変形温度が低下するという欠点を有
しており,改良が望まれていた。
本発明の目的は,熱変形温度の低下が改良された,ポ
リフェニレンエーテル,脂肪族ポリアミド,および耐衝
撃強度改良剤としてのゴム様物質等を含む改良された樹
脂組成物を提供することにある。
〈課題を解決するための手段〉 ポリフェニレンエーテルと脂肪族ポリアミドを含む樹
脂組成物は,通常ポリフェニレンエーテル含量の増加,
減少に対応して高荷重熱変形温度(繊維応力18.6kg/cm2
における熱変形温度ASTMD648)がそれぞれ上昇,下降す
る。従って,ゴム様物質の添加によってもたらされる高
荷重変形温度の低下は,当該組成物中のポリフェニレン
エーテル含量を増加させ,相補的にポリアミド含量を減
少させることによって容易に改良することができる。し
かし,かかる方法によって得られた組成物は,溶融流れ
性が低下し,場合によっては射出成形品の表面が肌荒れ
を起こすという重大な欠点を伴う。又,従来公知のポリ
フェニレンエーテルとポリアミドからなる樹脂組成物は
通常ηsp/cが約0.5dl/gかそれより高いポリフェニレン
エーテルが用いられていた。(特公昭60−11966号,特
開昭56−49753号,特開昭61−204263号,公表特許公報6
2−500458号,特開昭61−204261号,特開昭57−36150号
公報等参照) そこで,本発明者らは,溶融流動性を損なう事なく,
(A)ポリフェニレンエーテル,(B)脂肪族ポリアミ
ド,および(D)ゴム様物質等を配合してなる樹脂組成
物の高荷重熱変形温度を向上させるべく鋭意研究を進め
た結果,還元粘度(ηsp/c)0.30dl/g以上,0.40dl/g未
満の範囲にあるポリフェニレンエーテルを用い,(C)
特定の相容化剤を組み合わせる事によって高荷重熱変形
温度が改良された優れた物性バランスを有する,樹脂組
成物が得られる事を見出し,本発明を完成させるに到っ
た。
すなわち,本発明は, (A)0.5g/dl濃度のクロロホルム溶液中で,25℃で測定
した還元粘度(ηsp/c)が,0.30dl/g以上,0.40dl/g未満
の範囲にあるポリフェニレンエーテル,該ポリフェニレ
ンエーテルとポリスチレンの混合物または該ポリフェニ
レンエーテルとスチレンのグラフト共重合体30〜70重量
部, (B)脂肪族ポリアミド70〜30重量部, (C)上記成分(A)及び成分(B)の合計100重量部
に対して,相容化剤として, (イ)分子内に炭素−炭素二重結合,又は,炭素−炭素
三重結合,および(ロ)カルボキシル基,酸無水物,ア
ミノ基,酸アミド基,イミド基,エポキシ基,カルボン
酸エステル基,イソシアネート基,メチロール基,オキ
サゾリジンおよび水酸基から選ばれた少なくとも1つの
官能基を含有する化合物並びにオキサゾリンから選ばれ
る少なくとも一種の化合物(以下“相容化剤”と略称)
を0.01〜30重量部,および (D)上記成分(A),(B)及び(C)の合計100重
量部に対して,耐衝撃強度改良剤として,ゴム様物質お
よび/または変性ゴム様物質3〜60重量部を配合してな
ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関するもので
ある。
本発明において用いられるポリフェニレンエーテルは
一般式 (ここに,R1,R2,R3,R4,R5,R6は同一又は異なる
tert−ブチル基を除く炭素数1〜4のアルキル基,アリ
ール基,ハロゲン,水素などの一価の残基であり,R3
R5は同時に水素ではない。) を繰り返し単位とし,構成単位が〔I〕又は〔I〕及
び〔II〕から成る単独重合体あるいは共重合体,あるい
は両者の混合物,あるいは該重合体とポリスチレンとの
混合物,あるいは該重合体としてスチレンなどをグラフ
トしたグラフト共重合体である。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例として
は,ポリ(2,6−ジメチル−1,4フェニレン)エーテル,
ポリ(2−メチル−6−エチル1,4−フェニレン)エー
テル,ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテ
ル,ポリ(2−エチル−6−nプロピル−1,4−フェニ
レン)エーテル,ポリ(2,6−ジ−nプロピル−1,4−フ
ェニレン)エーテル,ポリ(2−メチル−6−n−ブチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル,ポリ(2−エチル−
6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル,ポリ
(2−メチル−6−クロル−1,4−フェニレン)エーテ
ル,ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−
フェニレン)エーテル,ポリ(2−メチル−6−クロロ
エチル−1,4−フェニレン)エーテルなどのホモポリマ
ーが挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体は,オルトクレゾー
ル又は一般式 (ここにR3,R4,R5,R6はtert−ブチル基を除く炭素
数1〜4のアルキル基,アリール基,ハロゲン,水素な
どの一価の残基であり,R3,R5は同時に水素ではな
い。) で表わされる2,3,6−トリメチルフェノールなどのアル
キル置換フェノールと共重合して得られるポリフェニレ
ンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテ
ル共重合体を包含する。
本発明に用いられる(B)脂肪族ポリアミドは当該分
野で公知のものである。これらのものは10,000以上の分
子量を有しており,そして等モル量の炭素原子4〜12個
を含む飽和脂肪族ジカルボン酸と炭素原子2〜12個を含
む脂肪族ジアミンとの結合により製造することができ,
その際に所望に応じてポリアミド中にてカルボキシル末
端基よりアミン末端基を過剰に与えるようにジアミンを
用いることができる。逆に,過剰の酸性基を与えるよう
に二塩基性酸を用いることもできる。同様に,これらの
ポリアミドを該酸及びアミンの酸生成及びアミン生成誘
導体,例えばエステル,酸塩化物,アミン塩などからも
良好に製造することができる。このポリアミドを製造す
るために用いる代表的な脂肪族ジカルボン酸にはアジピ
ン酸,ピメリン酸,アゼライン酸,スベリン酸,セバシ
ン酸及びドデカンジオン酸が含まれ,一方代表的な脂肪
族ジアミンにはヘキサメチレンジアミン及びオクタメチ
レンジアミンが含まれる。加えて,これらのポリアミド
とラクタムの自己縮合により製造することができる。ポ
リアミドの例には,ポリヘキサメチレンアジパミド(ナ
イロン66),ポリヘキサメチレンアゼラミド,(ナイロ
ン69),ポリヘキサメチレンセバサミド,(ナイロン61
0),及びポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロ
ン612),ポリ−ビス−(p−アミノシクロヘキシル)
メタンドデカノアミド,ポリテトラメチレンアジパミド
(46ナイロン)またはラクタムの環開裂により生じるポ
リアミド;即ちポリカプロラクタム(6ナイロン),及
びポリラウリルラクタムが含まれる。また上記の重合体
を製造する際に使用される少なくとも2種のアミンまた
は酸の重合により製造されるポリアミド,例えばアジピ
ン酸,セバシン酸,及びヘキサメチレンジアミンから製
造される重合体を用いることができる。66ナイロン及び
6ナイロンの配合物の如きポリアミドの配合物にはナイ
ロン66/6の如き共重合体が含まれる。好ましくは,ここ
に用いる脂肪族ポリアミドはピリヘキサメチレンアジパ
ミド(66ナイロン),またはポリカプロラクタム(6ナ
イロン),またはポリヘキサメチレンアジパミド(66ナ
イロン)及びポリカプロラクタム(6ナイロン)の配合
物である。
本発明に用いられる(C)“相容化剤”とは,(イ)
分子内に炭素−炭素二重結合,又は炭素−炭素三重結
合,および(ロ)カルボキシル基,酸無水物,アミノ
基,酸アミド基,イミド基,エポキシ基,カルボン酸エ
ステル基,イソシアネート基,メチロール基,オキサゾ
リジンおよび水酸基から選ばれた少なくとも一つの官能
基を含有する化合物並びにオキサゾリンから選ばれる少
なくとも一種の化合物である。具体的には以下の例に限
定されるものではないが,無水マレイン酸(MAH),マ
レイン酸,フマール酸,マレイミド,マレイン酸ヒドラ
ジド,無水マレイン酸とジアミンとの反応物例えば, (但しRは脂肪族,芳香族基を示す。)などで示され
る構造を有するもの,無水メチルナジック酸,無水ジク
ロロマレイン酸,マレイン酸アミド,大豆油,キリ油,
ヒマシ油,アマニ油,麻実油,綿実油,ゴマ油,菜種
油,落花生油,椿油,オリーブ油,ヤシ油,イワシ油な
どの天然油脂類,エポキシ化大豆油などのエポキシ化天
然油脂類,アクリル酸,ブテン酸,クロトン酸,ビニル
酢酸,イタコン酸,メタクリル酸,ペンテン酸,アンゲ
リカ酸,チグリン酸,2−ペンテン酸,3−ペンテン酸,α
−エチルアクリル酸,β−メチルクロトン酸,4−ペンテ
ン酸,2−ヘキセン酸,2−メチル−2−ペンテン酸,3−メ
チル−2−ペンテン酸,α−エチルクロトン酸,2・2−
ジメチル−3−ブテン酸,2−ヘプテン酸,2−オクテン
酸,4−デセン酸,9−ウンデセン酸,10−ウンデセン酸,4
−ドデセン酸,5−ドデセン酸,4−テトラデセン酸,9−テ
トラデセン酸,9−ヘキサデセン酸,2−オクタデセン酸,9
−オクタデセン酸,アイコセン酸,ドコセン酸,エルカ
酸,テトラコセン酸,マイコリペン酸,2・4−ペンタジ
エン酸,2・4−ヘキサジエン酸,ジアリル酢酸,ゲラニ
ウム酸,2・4−デカジエン酸,2・4−ドデカジエン酸,9
・12−ヘキサデカジエン酸,9・12−オクタデカジエン
酸,ヘキサデカトリエン酸,リノール酸,リノレン酸,
オクタデカトリエン酸,アイコサジエン酸,アイコサト
リエン酸,アイコサテトラエン酸,リシノール酸,エレ
オステアリン酸,オレイン酸,アイコサペンタエン酸,
エルシン酸,ドコサジエン酸,ドコサトリエン酸,ドコ
サテトラエン酸,ドコサペンタエン酸,テトラコセン
酸,ヘキサコセン酸,ヘキサコジエン酸,オクタコセン
酸,トラアコンテン酸などの不飽和カルボン酸,4−メチ
ルシクロヘキサ−4−エン−1,2−ジカルボン酸無水物
(4−MTHPA),1,2,3,4,5,8,9,10−オクタヒドロナフタ
レン−2,3−ジカルボン酸無水物,ビシクロ(2.2.2)オ
クタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(BODA),
ビシクロ(2.2.1)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラ
カルボン酸−2,3,5,6−ジ無水物,マレオーピマル酸
(M−PA),ビシクロ(2.2.1)ヘプタ−5−エン−2,3
−ジカルボン酸無水物(NBDA),X−メチルビシクロ(2.
2.1)ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(XM
NA),7−オキサビシクロ(2.2.1)ヘプタ−5−エン−
2,3−ジカルボン酸無水物,あるいはこれら不飽和カル
ボン酸のエステル,酸アミド,無水物,あるいはアリル
アルコール,クロチルアルコール,メチルビニルカルビ
ノール,アリルカルビノール,メチルプロペニルカルビ
ノール,4−ペンテン−1−オール,10−ウンデセン−1
−オール,プロパルギルアルコール,1・4−ペンタジエ
ン−3−オール,1・4−ヘキサジエン−3−オール,3・
5−ヘキサジエン−2−オール,2・4−ヘキサジエン−
1−オール,一般式CnH2n-5OH,CnH2n-7OH,CnH2n-9OH
(但し,nは正の整数)で示されるアルコール,3−ブタン
1・2−ジオール,2・5−ジメチル−3−ヘキセン−2
・5−ジオール,1・5−ヘキサジエン−3・4−ジオー
ル,2・6−オクタジエン−4・5−ジオールなどの不飽
和アルコール,あるいはこのような不飽和アルコールの
OH基が,−NH2基に置き換った不飽和アミン,あるい
は,グリシジルアクリレート(GA),グリシジルメタク
リレート(GMA),アリルグリシジルエーテルなどが挙
げられる。
本発明における(C)相容化剤とは(イ)群の二重あ
るいは三重結合を2個以上,(ロ)群の官能基を2個以
上,(同種又は異種)含んだ化合物も含まれることは,
いうまでもなく,又,二種以上の特定の化合物を使うこ
とも可能である。
これらの相容化剤のなかでも無水マレイン酸,マレイ
ン酸,フマール酸,イタコン酸,グリシルアクリレー
ト,グリシジルメタクリレート,アリルグリシジルエー
テルが好適である。
本発明には,耐衝撃強度改良剤として(D)エラスト
マーおよび又は曲げ弾性率の低いポリオレフィン樹脂な
どのゴム様物質および/または変性ゴム様物質を使用す
る。
具体的には,エチレンプロピレンゴム,エチレンプロ
ピレン非共役ジエンゴム,エチレンブテンゴム,プロピ
レンブテンゴム,イソプレンブチレンゴム,ポリイソプ
レン,ポリブタジエン,スチレンブタジエンゴム,スチ
レンブタジエンスチレンブロックコポリマー,部分水素
化スチレンブタジエンブロックコポリマー,スチレンイ
ソプレンブロックコポリマー,部分水素化スチレンイソ
プレンブロックコポリマー,線状低密度ポリエチレン等
あるいは,これらの配合物が用いられる。
変性ゴム様物質とは,前記ゴム様物質を(C)“相容
化剤”として記載された化合物により変性したものであ
る。例えば,無水マレイン酸変性(グラフト)エチレン
プロピレンゴム,無水マレイン酸変性スチレン−ブタジ
エン−スチレンブロックコポリマー,無水マレイン酸変
性部分水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
コポリマー,グリシジルメタクリレート変性エチレンプ
ロピレンゴム等を使用することが出来る。
また相容化剤を共重合したエチレン−アクリル酸エス
テル−無水マレイン酸ターポリマー,エチレン−アクリ
ル酸エステル−グリシジルメタクリレートターポリマ
ー,エチレン−酢酸ビニル−グリシジルメタクリレート
ターポリマーあるいはこれらの配合物もゴム様物質とし
て用いられる。中でもエチレンプロピレンゴム,エチレ
ンブテンゴム,スチレン−ブタジエン−スチレンブロッ
クコポリマー,部分水素化スチレン−ブタジエン−スチ
レンブロックコポリマー,スチレン−イソプレン−スチ
レンブロックコポリマー,部分水素化スチレン−イソプ
レン−スチレンブロックコポリマー,密度が0.885〜0.9
35g/cm3,好ましくは0.885〜0.925g/cm3の範囲にある線
状低密度ポリエチレン,エチレン−メチルアクリレート
−無水マレイン酸ターポリマー,エチレン−エチルアク
リレート−無水マレイン酸ターポリマー,エチレン−酢
酸ビニル−グリシジルメタクリレートターポリマー,エ
チレン−メチルアクリレート−グリシジルメタクリレー
トターポリマーあるいはこれらの配合物が好適である。
また,上記においてゴム様物質を変性するために用い
る相容化剤は,(C)成分として使用する相容化剤と反
応する相容化剤が特に好ましく,例えば,相容化剤
(C)として不飽和カルボン酸または酸無水物(無水マ
レイン酸(MAH),マレイン酸,フマール酸,イタコン
酸,アクリル酸,ビシクロ(2.2.1)ヘプタ−5−エン
−2,3−ジカルボン酸無水物(NBDA)等)を使用する場
合は,エポキシ基含有不飽和モノマー(グリシジルアク
リレート(GA),グリシジルメタクリレート(GMA),
アリルグリシジルエーテル等),不飽和アルコール(ア
リルアルコール,クロチルアルコール等),不飽和アミ
ン(アリルアミン,ジアリルアミン等),フェノール類
で変性する事が好ましい。
相容化剤(C)として不飽和アルコール(アリルアル
コール,クロチルアルコール等)を使用する場合は,エ
ポキシ基含有不飽和モノマー(グリシジルアクリレー
ト,グリシジルメタクリレート,アリルグリシジルエー
テル等),不飽和カルボン酸または酸無水物(無水マレ
イン酸,マレイン酸,フマール酸,イタコン酸,アクリ
ル酸,NBDA等),マレイミドで変性する事が好ましい。
相容化剤(C)として,エポキシ基含有不飽和モノマ
ー(グリシジルアクリレート,グリシジルメタクリレー
ト,アリルグリシジルエーテル等)を使用する場合は,
不飽和カルボン酸または酸無水物(同上),不飽和アミ
ン(同上),不飽和アルコール(同上),マレイミドで
変性する事が好ましい。
相容化剤(C)として,不飽和アミン(同上)を使用
する場合は,エポキシ基含有不飽和モノマー(同上),
不飽和カルボン酸または酸無水物(同上)で変性する事
が好ましい。
成分(D)の配合量は,全組成物((A)+(B)+
(C)の合計100重量部)を基準として3〜60重量部が
好ましい。
本発明において(A),(B),(C)成分および耐
衝撃強度改良剤である(D)ゴム様物質および/または
変性ゴム様物質の配合方法は特に限定されず,公知の溶
融混練方法を用いることができる。溶融混練装置として
は,押出機,ニーダー,ロールなどを用いることができ
るが,特に好適なのは押出機である。溶融混練時の各構
成成分の添加順序には特に制限はない。すなわち成分
(A),(B),(C)および(D)を一括添加し,同
時に溶融混練を行う方法,成分(A),(C)及び
(D)をラジカル開始剤の存在又は不存在下に予め溶融
混練し,ついで成分(B)を追加して溶融混練を行う方
法,あるいは成分(A)および(C)をラジカル開始剤
の存在下又は不存在下に予め溶融混練し,ついで成分
(B)と成分(D)を追加して溶融混練する方法,ある
いは成分(C)および(D)をラジカル開始剤の存在下
に予め溶融混練しついで,成分(A)および(B)を追
加して溶融混練する方法等のいずれであってもよい。
本発明において成分(A),(B),(C)の混合比
率は成分(A)30〜70重量部,成分(B)70〜30重量部
と成分(A)及び(B)の合計100重量部に対して成分
(C)は0.01〜30重量部である。成分(C)が0.01重量
部未満では,本発明の熱可塑性樹脂組成物の機械的強度
が低下し,本発明の意図する効果が得られず,また30重
量部を超えると成形品の外観が悪くなる。
本発明において用いられる成分(A)のポリフェニレ
ンエーテルは,0.5g/dl濃度のクロロホルム溶液について
25℃で測定した,還元粘度(ηsp/c)が0.30dl/g以上,
0.40dl/g以下の範囲にある。
0.30dl/g未満では,本発明の熱可塑性樹脂組成物の機
械的強度,特に耐衝撃強度が低下し,所期の目的が達成
されない。また0.40dl/gを越えると,高荷重熱変形温度
の改良効果が著しく低下して好ましくない。
更に本樹脂組成物に必要に応じて通常の充填剤例えば
ガラス繊維,ガラスフレーク,タルク,雲母など,ある
いは塗料,顔料,紫外線劣化防止剤,熱安定剤,難燃
剤,酸化防止剤および可塑剤などを含むことができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体は自
動車部品,電気電子部品等に好適に使用される。
自動車部品用成形体としては,バンパー,フェンダ
ー,エプロン,フードパネル,フェイシア,ロッカーパ
ネル,ロッカーパネルレインフォース,フロアパネル,
リヤクォータパネル,ドアパネル,ドアサポート,ルー
フトップ,トランクリッド等の外装物品,インストルメ
ントパネル,コンソールボックス,グローブボックス,
シフトノブ,ピラーガーニッシュ,ドアトリム,ハンド
ル,アームレスト,ウインドルーバ,カーペット,ヘッ
ドレスト,シートベルト,シート等の内装部品,デスト
リビュータキャップ,エアクリナー,ラジエータタン
ク,バッテリーケース,ラジエータシュラウド,ウォッ
シャータンク,クーリングファン,ヒーターケース等の
エンジンルーム内装品,ミラーボデー,ホイールカバ
ー,トランクトリム,トランクマット,ガソリンタンク
等が例示される。
〈実施例〉 以下,実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する
が,本発明はかかる実施例によりその範囲を限定される
ものではない。なお実施例中におけるポリフェニレンエ
ーテルの還元粘度(ηsp/c)は0.5g/dl溶液のクロロホ
ルム溶液について25℃で測定した値である。また,樹脂
組成物の熱変形温度(HDT),ノッチ付きアイゾット衝
撃強度(N),曲げ弾性率はそれぞれASTM法のD648,D25
6およびD790によった。
試験片の射出成形加工に供する樹脂組成物は全て120
℃,6時間真空乾燥して用いた。又試験片の物性測定は,2
3℃相対湿度50%の空気雰囲気中に48時間放置後測定に
供した。
なお,射出成形条件は全てシリンダー温度290℃,金
型温度80℃の条件でASTM規格のダンベル試験片を成形し
た。射出成形機は東芝機械製IS 150Eを使用した。
参考例−1(ポリフェニレンエーテルの製造。特公昭60
−46129号公報記載の方法に準じた。) 1.5m2の反応器に2,6−ジメチルフェノール122.2kg,キ
シレン366.5kg,メタノール122.2kg,水酸化ナトリウム2.
4kg,エリオクロームブラックT(半井化学薬品(株)
製)0.33kg,2−ピペコリン1.49kgおよび塩化マンガン四
水和物0.059kgを仕込み,攪拌しながら空気を300Nl/分
の速度で10時間吹き込み酸化重合せしめた。この間,反
応混合物の温度を30℃,反応系の圧力を8kg/cm2Gに維
持した。反応終了後,常法にしたがって後処理を行い,
ポリ−(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル11
9kgを得た。得られたポリ−(2,6−ジメチル−1,4−フ
ェニレン)エーテルの還元粘度は0.416dl/gであった。
以下,還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルは,
本参考例−1に準じて製造した。
参考例−2(無水マレイン酸変性EPRの製造) 住友化学工業(株)製EPR(エスプレン E−120)10
0重量部に対しスチレンモノマー1.5重量部,無水マレイ
ン酸1.5重量部,ラジカル開始剤として日本油脂(株)
製ジクミルパーオキシド(DCP)0.1重量部を予めヘンシ
ェルミキサーで充分混合し,実施例で用いたと同じ
(株)日本製鋼所製2軸押出機を用いて製造した。シリ
ンダー温度は230℃に設定し,スクリュー回転数は19rpm
であった。
参考例−3(無水マレイン酸変性部分水素化スチレン−
ブタジエン−スチレンブロックコポリマーの製造) 参考例−2において,EPRをシェルケミカル社製部分水
素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ
ー(クレイトン G1650)に代えた以外は参考例−2と
同じ方法で無水マレイン酸変性を行った。
以下に説明する実施例及び比較例は,混練は全て,
(株)日本製鋼所製TEX44型2軸押出機を用いた。本押
出機はL/D=32であり,第一供給口およびL/D=16の位置
に第二供給口が装備されている。
比較例5 参考例−1で製造したポリフェニレンエーテル,“相
容化剤”として無水マレイン酸,変性ゴム様物質として
参考例−2で製造した無水マレイン酸変性エチレンプロ
ピレンゴムおよびジクミルパーオキサイド(サンペロッ
クス DCP,三建化工社製)を予めタンブラーミキサーで
充分予備混合した上,2軸押出機の第一供給口より供給
し,第二供給口よりポリアミドおよび酸化防止剤とし
て,2−t−ブチル−6−〔3′−t−ブチル−5′−メ
チル−2′−ヒドロキシベンジル〕−4−メチルベンジ
ルアクリレート(商品名、スミライザー GM,住友化学
工業(株)製)0.5重量部(ポリフェニレンエーテル,
無水マレイン酸変性エチレンプロピレンゴムおよびポリ
アミドの合計100重量部に対して)およびペンタエリス
リトール−テトラキス(β−ラウリルチオプロピオネー
ト)(商品名,スミライザー TPD,住友化学工業(株)
製)0.5重量部(ポリフェニレンエーテル,無水マレイ
ン酸変性エチレンプロピレンゴムおよびポリアミドの合
計100重量部に対して)を供給し混練を行なった。
シリンダー温度は260℃に設定し,スクリュー回転数
は360rpmであった。原料配合比率は第1表に示した比率
によった。
脂肪族ポリアミドとして市販のナイロン6(ユニチカ
(株)製A1030BRL)を使用した。
実施例2 比較例5において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.352dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例5と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
比較例1 比較例5において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.527dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例5と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
比較例6 比較例5において,脂肪族ポリアミドをICI社製マラ
ニール A−100(ナイロン66)に置き換えた以外は全
て比較例5と同一配合比率,同一押出条件で樹脂組成物
を製造した。
比較例2 比較例6において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.527dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例6と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
比較例7 比較例5において,無水マレイン酸変性EPRを部分水
素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマ
ー(シェルケミカル社製クレイトン G1650)に置き換
え,配合原料を全て第一供給口から供給した以外は全て
比較例5と同一配合比率,同一押出条件で樹脂組成物を
製造した。
比較例3 比較例7において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.527dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例7と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
比較例8 比較例5において,無水マレイン酸変性EPRを参考例
−3で製造した無水マレイン酸変性部分水素化スチレン
−ブタジエン−スチレンブロックコポリマーに置き換
え,無水マレイン酸とジクミルパーオキサイドの添加を
行なわなかった以外は比較例5と同一配合比率,同一押
出条件で樹脂組成物を製造した。
比較例4 比較例8において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.527dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例8と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
実施例6 比較例5において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.390dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例5と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
実施例7 比較例5において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.347dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例5と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
実施例8 比較例6において,ポリフェニレンエーテルを日本ポ
リエーテル社製のηsp/c=0.347dl/gであるポリ−(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)に置き換えた
以外は全て比較例6と同一配合比率,同一押出条件で樹
脂組成物を製造した。
実施例9 比較例5において,無水マレイン酸変性エチレンプロ
ピレンゴム(MAH−EPR)の代わりにビシクロ(2.2.1)
ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物変性エチ
レンプロピレンゴム(NBDA−EPR)を用いた他は比較例
5と同様に実施した。NBDA−EPRはMAH−EPRの製造(参
考例−2)で無水マレイン酸の代わりにNBDAを用いた以
外は,同様の方法で得た。
実施例10 比較例5において,MAH−EPRの代わりに4−メチルシ
クロヘキサ−4−エン−1,2−ジカルボン酸無水物変性
エチレンプロピレンゴム(4−MTHPA−EPR)を用いた以
外は比較例5と同様に実施した。4−MTHPA−EPRはMAH
−EPRの製造(参考例−2)で無水マレイン酸の代わり
に4−MTHPAを用いた以外は同様の方法で得た。
実施例11 比較例5において,MAH−EPRの代わりにグリシジルメ
タクリレート変性エチレンプロピレンゴム(GMA−EPR)
を用いた以外は,比較例5と同様に実施した。GMA−EPR
はMAH−EPR(参考例−2)の製造で無水マレイン酸の代
わりに,GMAを用いた以外は同様の方法で得た。
実施例12 比較例5において,相容化剤として,無水マレイン酸
の代わりに,グリシジルメタクリレートを用いた以外は
比較例5と同様の方法で実施した。
実施例13 比較例5において,相容化剤として無水マレイン酸の
代わりにグリシジルメタクリレートを用い,かつ,MAH−
EPRの代わりにNBDA−EPRを使用した以外は比較例5と同
様の方法で実施した。
実施例14 比較例5において,MAH−EPRの代わりにグリシジルメ
タクリレート−エチレン−メチルアクリレート共重合体
(GMA−EMA:GMA1.5wt%,E56.5wt%,MA42wt%住友化学工
業製)を用いた以外は比較例5と同様の方法で実施し
た。
これら実施例および比較例の組成および物性測定結果
を第1表および第2表に示す。
〈発明の効果〉 本発明による熱可塑製樹脂組成物は,ポリフェニレン
エーテルと脂肪族ポリアミド,相容化剤ならびにゴム様
物質等をそれぞれ特定量配合した場合,成形品の耐衝撃
強度が良好で,かつ,高荷重熱変形温度が優れることか
ら,広範囲な用途に供する事が可能となった。
そして本発明により,提供される新規な樹脂組成物
は,熱可塑性樹脂に用いられる成形加工法,例えば,射
出成形,押出成形等の加工法により容易に成形品,シー
ト,フィルム等に加工され,耐衝撃性,耐熱性,曲げ剛
性度などの物性バランスが極めて良好な製品を与える。
特に射出成形には有効な新規な樹脂組成物を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23:26) (C08L 71/12 77:00 9:06) (72)発明者 西尾 太一 千葉県市原市姉崎海岸5―1 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 安倍 博臣 千葉県市原市姉崎海岸5―1 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 香川 範静 東京都中央区日本橋2―7―9 住友化 学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−92668(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)0.5g/dl濃度のクロロホルム溶液中
    で,25℃で測定した還元粘度(ηsp/c)が,0.30dl/g以
    上,0.40dl/g以下の範囲にあるポリフェニレンエーテ
    ル,該ポリフェニレンエーテルとポリスチレンの混合物
    または該ポリフェニレンエーテルとスチレンのグラフト
    共重合体30〜70重量部, (B)脂肪族ポリアミド70〜30重量部, (C)上記成分(A)及び成分(B)の合計100重量部
    に対して,相容化として, (イ)分子内に炭素−炭素二重結合,又は炭素−炭素三
    重結合,および (ロ)カルボキシル基,酸無水物,アミノ基,酸アミド
    基,イミド基,エポキシ基,カルボン酸エステル基,イ
    ソシアネート基,メチロール基,オキサゾリジンおよび
    水酸基から選ばれた少なくとも1つの官能基を含有する
    化合物並びにオキサゾリンから選ばれる少なくとも一種
    の化合物を0.01〜30重量部,および (D)上記成分(A),(B)及び(C)の合計100重
    量部に対して,耐衝撃強度改良剤として,ゴム様物質お
    よび/または変性ゴム様物質3〜60重量部を配合してな
    ることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリフェニレンエーテルが,ポリ(2,6ジ
    メチル−1,4フェニレンエーテル)および/又は2,6ジメ
    チルフェノールと2,3,6トリメチルフェノールとの共重
    合体である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(B)脂肪族ポリアミドが,平均分子量が
    約10,000以上であるラクタムもしくは炭素原子4〜12個
    のω−アミノ酸の単位,または炭素原子4〜12個の脂肪
    族ジカルボン酸及び炭素原子2〜12個の脂肪族ジアミン
    から誘導される単位からなる請求項1記載の熱可塑性樹
    脂組成物。
  4. 【請求項4】(D)変性ゴム様物質が,成分(C)相容
    化剤として記載された化合物により変性されたゴム様物
    質である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(C)相容化剤が,無水マレイン酸,マレ
    イン酸,フマール酸,イタコン酸,グリシジルアクリレ
    ート,グリシジルメタクリレートおよびアリルグリシジ
    ルエーテルから選ばれた化合物である請求項1または4
    記載の熱可塑性樹脂組成物。
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