JP2750267B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

ゴルフクラブヘッド

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JP2750267B2
JP2750267B2 JP5290346A JP29034693A JP2750267B2 JP 2750267 B2 JP2750267 B2 JP 2750267B2 JP 5290346 A JP5290346 A JP 5290346A JP 29034693 A JP29034693 A JP 29034693A JP 2750267 B2 JP2750267 B2 JP 2750267B2
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    • C21D2211/00—Microstructure comprising significant phases
    • C21D2211/008—Martensite

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、重量化することなく高
強度で且つ体積が比較的大きく、しかも、製造の容易な
金属製のゴルフクラブヘッドに関する。
【０００２】
【従来の技術】一般に、メタルウッドヘッドやアイアン
ヘッドは、ＳＵＳ６３０やＳＵＳ４３１等のステンレス
鋼を材料として、精密鋳造法（ロストワックス法）によ
って製造されている。
【０００３】この場合、ゴルフクラブヘッドには、当
然、スイングし易く且つミスショットの生じにくいもの
が望まれる。そこで、スイングを容易とするためにヘッ
ドの重量を軽くし、また、ミスショットを回避するため
にフェイス面の打球最適領域を広げたり、慣性モーメン
トを増大させる努力がなされている。打球最適領域が広
いと、フェイス面においてゴルフボールを打球する位置
が一定していなくても、その飛行方向が安定するため、
ミスショットを少なくすることができるからである。ま
た、慣性モーメントが大きいと、ゴルフボールの打球時
における衝撃によるヘッドの回転が抑制されるため、結
局、打球最適領域の拡大につながり、打球方向が安定す
るからである。
【０００４】そこで、例えば、中空構造のメタルウッド
ヘッドの場合、ヘッドのクラウン部よりもソール部寄り
に重量を多く配分し、重心位置を低くすることにより、
打球最適領域を拡大させることができる。また、ヘッド
の体積を増大させることにより、慣性モーメントの増大
並びに打球最適領域の拡大を図ることができる。一方、
アイアンヘッドの場合、ヘッドの重心付近よりもトゥや
ヒール等のヘッド周辺部に重量を多く配分することによ
り、打球最適領域を拡大することができる。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フェイ
ス面の打球最適領域を拡大することができても、ヘッド
の体積増大に伴って全体重量が増加すれば、スイングが
困難となる不具合が生じてしまう。一方、重量の増加を
抑制するためにヘッドの厚みを全体的または部分的に薄
くすると、ヘッドの強度が低下したり、打球時のゴルフ
ボールの反発性が低下する不具合が生じてしまう。特
に、従来のステンレス鋼を材料としたアイアンヘッドの
場合、ヘッドの体積や厚みを大きく変えることは不可能
であり、前記の方法による打球最適領域の拡大は、実質
上困難である。
【０００６】そこで、強度がステンレス鋼と同等で、比
重がステンレス鋼よりも小さいチタン合金を使用したゴ
ルフクラブヘッドが開発されている。この場合、比重の
小さい金属の使用によりヘッドの体積の増大が可能とな
り、また、ヘッドの全体重量を増加させることなく周辺
部に多く重量配分することが可能となる。
【０００７】しかしながら、チタン合金は相当に高価で
あり、また、活性が非常に高いことから精密鋳造法によ
るヘッドの製造に際して特殊な真空溶解鋳造装置が必要
となり、価格面においての問題が指摘されている。
【０００８】本発明は、上記の不具合を解決するために
なされたものであり、強度を保持し、全体重量を増加さ
せることなく体積を増大させることができ、しかも、製
造の容易な金属製のゴルフクラブヘッドを提供すること
を目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】本発明のゴルフクラブヘ
ッドは、Ｃ：０．０２〜０．２重量％、Ｓｉ：０．０５
〜１．０重量％、Ｍｎ：０．０５〜１．０重量％、Ｎ
ｉ：３．０〜８．０重量％、Ｃｒ：１０．０〜２５．０
重量％、Ｍｏ：３．０〜８．０重量％、Ｃｏ：１０．０
〜２０．０重量％を含み、残部がＦｅおよび不可避的に
混入する不純物であり、マルテンサイト主体の金属組織
である合金鋼からなることを特徴とする。
【００１０】また、本発明のゴルフクラブヘッドは、
Ｃ：０．０２〜０．２重量％、Ｓｉ：０．０５〜１．０
重量％、Ｍｎ：０．０５〜１．０重量％、Ｎｉ：３．０
〜８．０重量％、Ｃｒ：１０．０〜２５．０重量％、Ｍ
ｏ：３．０〜８．０重量％、Ｃｏ：１０．０〜２０．０
重量％を含み、さらに、Ａｌ：０．０３〜０．１重量
％、Ｔｉ：０．０３〜０．１重量％、Ｚｒ：０．０１〜
０．０５重量％から選ばれた少なくとも１種以上を含
み、残部がＦｅおよび不可避的に混入する不純物であ
り、マルテンサイト主体の金属組織である合金鋼からな
ることを特徴とする。
【００１１】
【作用】本発明では、材料とする合金鋼がステンレス鋼
と同等の比重を有するとともに、ステンレス鋼を上回る
強度を有するので、必要な強度を維持した状態でヘッド
を薄肉化し、重量を増加させることなく体積の増大や最
適な重量配分を行うことができる。
【００１２】なお、ゴルフクラブヘッドを構成する合金
鋼を硬度の高いマルテンサイト主体の金属組織とするこ
とにより、磨耗や傷の発生を好適に回避することができ
る。合金鋼全体に対するマルテンサイト組織の割合は、
９５％以上であることが好ましい。合金鋼のＣの含有量
は、耐蝕性を低下させることなく強度を高めるため、
０．０２〜０．２重量％とすることが好ましい。Ｓｉお
よびＭｎの含有量は、夫々脱酸剤としての適当量である
０．０５〜１．０重量％とすることが好ましい。Ｎｉお
よびＣｒの含有量は、マルテンサイト主体の金属組織を
形成するのに適当な３．０〜８．０重量％および１０．
０〜２５．０重量％とすることが好ましい。Ｍｏの含有
量は、３．０重量％よりも少ないと強度が足りず、８．
０重量％より多いと靱性が悪く脆くなる。Ｃｏの含有量
は、１０．０重量％より少ないとフェライト組織が多く
なり、２０．０重量％より多いとオーステナイト組織が
多くなり、いずれの場合も硬度が小さくなる。
【００１３】また、Ａｌ、ＴｉおよびＺｒは、少量で合
金鋼の脱酸および強度向上を図ることができ、Ａｌ：
０．０３〜０．１重量％、Ｔｉ：０．０３〜０．１重量
％、Ｚｒ：０．０１〜０．０５重量％の範囲が好まし
い。
【００１４】
【実施例】〔表１〕に配合比を示す本実施例の合金鋼お
よび比較例のＳＵＳ６３０ステンレス鋼を夫々調製し、
これらを不活性ガス雰囲気下において溶解し、鋳型に注
入し、凝固せしめてマルテンサイト組織を生成し、〔表
２〕に示す実施例１〜８および比較例１、２の中空構造
のメタルウッドヘッドを製造した。〔表３〕に本実施例
の合金鋼および比較例のＳＵＳ６３０ステンレス鋼の物
性を示す。
【００１５】この場合、実施例１〜８および比較例１、
２は、メタルウッドヘッドのフェイス面の厚さ、ヘッド
の重量、ヘッドの体積を変えて夫々製造したものであ
り、実打耐久性は、ヘッドにシャフトおよびグリップを
取り付けたゴルフクラブをスイングロボット装置にセッ
トし、繰り返し実打して評価した結果を示す。なお、評
価は、「非常に良い」を◎、「良い」を○、「やや悪
い」を△、「悪い」を×とした。
【００１６】〔表３〕において、本実施例の合金鋼の比
重は７．９、比較例のＳＵＳ６３０ステンレス鋼の比重
は７．８であることから、比重に関しては略同一と見做
すことができる。そして、引張強さは、ＳＵＳ６３０が
１１９．１ｋｇｆ／ｍｍ2 であるのに対して、本実施例
の合金鋼が１８０．０〜１８２．４ｋｇｆ／ｍｍ2 とか
なり強いことが判明した。従って、本実施例の合金鋼
は、ＳＵＳ６３０ステンレス鋼と同等の強度となるまで
かなり薄肉とすることができる。なお、伸び、絞りに関
しては、ＳＵＳ６３０ステンレス鋼と略同等の物性が得
られた。
【００１７】そこで、例えば、〔表２〕の実施例１およ
び実施例６においては、比較例１と同一の体積でフェイ
ス面の厚さを薄くし、しかも、軽量化することができ
た。そして、非常に良い実打耐久性が得られた。この場
合、ヘッドが軽量化されているため、スイングが容易と
なることが想定される。また、実施例４、７、８と比較
例２とを比較すると、フェイス面の厚さ、ヘッドの重
量、体積が同一であっても実打耐久性の点で著しい差が
生じた。これは、特にフェイス面の強度が向上したこと
を示している。さらに、実施例４、７、８の場合、比較
例１よりも著しく体積が増大し、しかも、実打耐久性も
向上している。この場合、打球最適領域の拡大が実現さ
れる。さらにまた、実施例５においては、比較例１およ
び２のいずれよりもフェイス面の厚さを薄くし且つ体積
を増大させているが、その場合にも良好な実打耐久性が
得られた。
【００１８】
【表１】
【００１９】
【表２】
【００２０】
【表３】
【００２１】
【発明の効果】本発明のゴルフクラブヘッドは、ステン
レス鋼と同等の比重を有するとともに、ステンレス鋼を
上回る強度を有する合金鋼を材料として形成されている
ため、例えば、同一の重量のメタルウッドヘッドの場
合、ヘッドの厚みを従来のステンレス鋼のヘッドよりも
薄くして体積を増大させ、あるいは、ヘッドのソール寄
りの部分に多く重量配分することができる。この結果、
必要強度を維持した状態で打球最適領域を拡大し、安定
した打球方向を確保することができる。なお、従来のス
テンレス鋼のヘッドと同体積とした場合には、軽量化さ
れることになり、これによってスイングが容易となる。
一方、アイアンヘッドの場合も同様に、ヘッドのフェイ
ス面の厚みを薄くし、その周辺部に対して多く重量配分
することができる。
【００２２】また、前記のゴルフクラブヘッドは、精密
鋳造法による製造に際して真空溶解鋳造装置を用いるこ
となく、不活性ガス雰囲気下において製造でき、容易に
大量生産することが可能となる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−228873（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−29329（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−7873（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−161728（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−168164（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) A63B 53/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】Ｃ：０．０２〜０．２重量％、Ｓｉ：０．
    ０５〜１．０重量％、Ｍｎ：０．０５〜１．０重量％、
    Ｎｉ：３．０〜８．０重量％、Ｃｒ：１０．０〜２５．
    ０重量％、Ｍｏ：３．０〜８．０重量％、Ｃｏ：１０．
    ０〜２０．０重量％を含み、残部がＦｅおよび不可避的
    に混入する不純物であり、マルテンサイト主体の金属組
    織である合金鋼からなることを特徴とするゴルフクラブ
    ヘッド。
  2. 【請求項２】Ｃ：０．０２〜０．２重量％、Ｓｉ：０．
    ０５〜１．０重量％、Ｍｎ：０．０５〜１．０重量％、
    Ｎｉ：３．０〜８．０重量％、Ｃｒ：１０．０〜２５．
    ０重量％、Ｍｏ：３．０〜８．０重量％、Ｃｏ：１０．
    ０〜２０．０重量％を含み、さらに、Ａｌ：０．０３〜
    ０．１重量％、Ｔｉ：０．０３〜０．１重量％、Ｚｒ：
    ０．０１〜０．０５重量％から選ばれた少なくとも１種
    以上を含み、残部がＦｅおよび不可避的に混入する不純
    物であり、マルテンサイト主体の金属組織である合金鋼
    からなることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
JP5290346A 1993-11-19 1993-11-19 ゴルフクラブヘッド Expired - Lifetime JP2750267B2 (ja)

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