JP2749065B2 - 可溶性水素化マグネシウムおよびその製法と用途 - Google Patents

可溶性水素化マグネシウムおよびその製法と用途

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JP2749065B2 JP63172507A JP17250788A JP2749065B2 JP 2749065 B2 JP2749065 B2 JP 2749065B2 JP 63172507 A JP63172507 A JP 63172507A JP 17250788 A JP17250788 A JP 17250788A JP 2749065 B2 JP2749065 B2 JP 2749065B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規高反応性可溶性水素化マグネシウム、
その製法、および化学合成12おけるその用途に関する。
[従来の技術] 二水素化マグネシウムMgH2(以下、水素化マグネシウ
ムと称する。)は、すべての有機および無機溶媒に不溶
な固体として知られている。このことは、高温高圧下に
元素から得られる水素化マグネシウム[ウルマン・エン
チクロペディー・デァ・テヒニッシェン・ヘミー(Ullm
ans Enzyklopaedie der technischen Chemie)、第4
版、第13巻、116頁]の場合にも、穏やかな条件下に触
媒的に得られる高反応性水素化マグネシウム(欧州特許
第3564号)の場合にも当てはまる。
欧州特許第3564号によると、ハロゲン化マグネシウム
の存在下にマグネシウムの接触水素化を行うことによっ
て、テトラヒドロフラン(THF)に可溶のハロゲン化水
素化マグネシウムを調製し得る。従って、例えば式
(I)(1<n<2)で示されると仮定した水素化物の
含量が1.5モルを越えないテトラヒドロフラン溶液を調
製することが可能となる「ボグダノビッチ(B.Bogdanov
ic)および(シュヴィッカーディ(M.Schwickardi)、
ツァイトシュリフト・フュア・ナトュルフォルシュング
(Zeitschrf.f.Naturforsch.)39b(1984)、1001]。
このことは、塩素化水素化マグネシウム(HMgCl)2モ
ルを用いて、不溶性水素化マグネシウム1モルを可溶性
の形態を得ることができることを意味している。次い
で、塩素化水素化マグネシウム溶液を濃縮して、nの最
高値3である化合物(I)の溶液を得ることができる。
低い水素化温度(0℃)、長い水素化時間(18〜20時
間)および不充分な変換を犠牲にするだけでは化合物
(I)のTHF溶液を調製することももちろん可能である
が、工業的規模で行うには非常に不利である。
特に反応性の高い形態の水素化マグネシウム(MgH
2*;ジアルキルマグネシウム化合物およびLiAlH4から
得られる。)と、MgQ2化合物とを反応させることによっ
て、式: HMgQ [式中、Qは、アルキル、アリール、ジアルキル(また
はアリール)アミド、アルコキシまたはハロゲンを表
す。] で示される可溶性水素化マグネシウムが得られることが
文献から知られている[アルキルおよびアリールに関し
ては、アッシュバイ(E.C.Ashby)およびスミス(T.Smi
th)、ケミカル・コミュニケーションズ(Chem.Comm.)
30(1978);アミドに関しては、アシュバイら、ジャー
ナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Che
m.)43(1978)、1564;並びにアルコレートに関して
は、アッシュバイおよびゲール(A・B・Goel)、イン
オーガニック・ケミストリー(Inorg.Chem.)18(197
9)、1306、およびハロゲン化物に関しては、同16(197
7)、2941参照]。
前記のいずれの場合も、MgQ21モル当たりMgH2*は1
モルより多く溶解せず、従って、n>1である化合物
(II)の溶液は得られないので、そのような方法は、工
業的規模で可溶性MgH2を得るのには適当でない。
欧州特許第3564号に従って触媒的に得られる、テトラ
ヒドロフランに不溶の活性水素化マグネシウム(MgH2
*)の化学量論的過剰量と、他のMgQ2化合物とをテトラ
ヒドロフラン中で反応させても、式(II)(n>1)で
示される化合物は得られない。主に得られるのは、MgQ2
1モル当たりMgH2**が等モル量存在する溶液である。
[発明の目的] 本発明の目的は、有機相に可溶の水素化マグネシウム
(MgH2)およびその製法を提供することである。所望の
水素化マグネシウムは、有機相への可溶性が充分である
故に、従来の水素化マグネシウムに勝るとも劣らない反
応性を有し、かつ溶解時に反応性を損なうこと無く長時
間安定であるべきである。本発明の他の目的は、既知の
固体水素化マグネシウムよりも扱いおよび計量が容易な
水素化マグネシウムを提供することである。本発明が目
的とする製法は、工業的規模で行うのに適当なものであ
るべきである。
[発明の構成] 驚くべきことに、有機マグネシウム化合物、有機ホウ
素化合物、有機アルミニウム化合物または3級二環式ア
ミンの水素化マグネシウム付加物を調製することによっ
て、可溶性の形態の高活性水素化マグネシウム(MgH2
が得られることがわかった。このような付加物の調製に
より、驚くべきことに工業的規模でも、有機相に可溶の
高活性水素化マグネシウムが得られる。
本発明は、式: (MgH2)n・MgQ2 (II) (MgH2)n・RMgX (III) (MgH2)n・MQmX3-m (VII) [式中、Qは、直鎖または分枝状のアルキル、アルケニ
ル、アルコキシ、ジアルキルアミド、アラールキル、ア
リールまたはジアリールアミド基(アルキル基中の炭素
原子数は1〜18個、アリール基中の炭素原子数は6〜18
個である。)、 Rは、炭素原子を18個まで有するアルキル、アルケニ
ル、アラールキルまたはアリール基、 Xは、塩素、臭素またはヨウ素 キレート配位子、 Eは、−CH2−、−N(R)−または−O−、 式: −(CH2)p− [式中、pは1〜6の数を表す。] で示されるアルキレン基、 Dは、炭素原子を18個まで有するジアルキルアミド、ジ
アリルーアミドまたはアルコキシ基、 Mは、アルミニウムまたはホウ素、 mは、1、2または3、および 1<n≦50を表す。] で示される、有機相に可溶な水素化マグネシウムに関す
る。
本発明は、可溶性水素化マグネシウム(II)〜(VII
I)の製法であって、式: MgQ2 (II a) RMgX (III a) MQmX3-m (VII a) または [式中、Q、R、X、 およびmは前記と同意義である。] で示される化合物の存在下に、有機溶媒中で、要すれば
ハロゲン化マグネシウムの存在下に、マグネシウム微粉
末を接触水素化することを含んで成る製法にも関する。
本発明は、有機マグネシウム化合物の調製のための還
元剤として、並びに金属および非金属の水素化用試薬と
しての、本発明の可溶性水素化マグネシウム(II)〜
(VIII)の用途にも関する。
有機相に可溶な本発明の新規水素化マグネシウムは、
式(II)〜(VIII)で示される。式中、Qは、直鎖また
は分枝状のアルキル、アルケニル、アルコキシ、ジアル
キルアミド、アラールキル、アリールまたはジアリール
アミド基を表し、アルキル基中の炭素原子数は1〜18
個、アリール基中の炭素原子数は6〜18個である。従っ
て、n−アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、
ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノ
ニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テ
トラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシ
ルおよびオクタデシルがある。前記n−アルキル基の代
わりに、Qは炭素原子数1〜18の分枝状異性体であって
もよい。アルキル鎖上の分枝の数および位置はいずれで
あってもよい。炭素原子数1〜8のアルキル基が好まし
い。
アルキル基の代わりに、式(II)および(VII)中の
Qは、炭素原子数1〜18のアルケニル基であってよい。
これらは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、1
個またはそれ以上の二重結合が主鎖または分枝鎖上のい
ずれの位置に存在していてもよい。炭素原子数1〜8の
アルケニル基が好ましい。例としてアリル基がある。
前記式中、Qはアルキル基中に炭素原子を1〜18個有
するアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基は、水
素基を好ましくは末端炭素原子上に有する前記アルキル
基であってよい。炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好
ましい。
Qは、同様の炭素原子数のアラールキルまたはアリー
ル基であってもよい。その場合、ベンジル、フェニルエ
チルおよびフェニル基が好ましい。しかし、Qは、より
高級なアラールキルまたはアリール基であってもよい。
Qは、同様の炭素原子数のジアルキルアミドまたはジ
アリールアミド基であってもよい。このような基は、ア
ミド窒素原子上に、前記のようなアルキルまたはアリー
ル基を2個有する。
式(III)および(VI)中、Rは、前記Qと同様の炭
素原子数の直鎖または分枝状のアルキルもしくはアルケ
ニル基またはアリールキルもしくはアリール基を表す。
特に好ましいRは、炭素原子数1〜8の直鎖状アルキル
基、アリル、ベンジルまたはフェニル基である。
式(IV)、(V)および(VIII)中、 はキレート配位子を表す。Eは−CH2−、−N(R)−
または−O−を、Dは前記と同様のジアルキルアミド、
ジアリールアミドまたはアルコキシ基を、 メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、
ペンタメチレンまたはヘキサメチレンを含んで成る群か
ら選択するアルキレン基を表す。すなわち、EおよびD
は、アルキレン基を介して結合している。
式(II)〜(VIII)中、nは1を越え、50以下の数で
ある。すなわち、本発明の化合物(II)〜(VIII)にお
いて、付加剤1モル当たり水素化マグネシウム(MgH2
が1モルより多く、かつ50モルを越えない量で結合して
いる。こえらの化合物の構造は、実質的に従来の式
(I)で示されるハロゲン化水素化マグネシウムまたは
式(II)で示される水素化有機マグネシウムの1:1付加
物に関連して表される。
本発明の化合物(II)〜(VIII)は、本発明により、
有機溶媒中のマグネシウム微粉末を、化合物(II a)〜
(VIII a)の存在下に接蝕水素化することによって調製
される。マグネシウム微粉末は、工業的合成によって得
られる市販品である。粒子サイズ0.3〜0.04mm(50〜325
メッシュ)のものが好ましい。このようなマグネシウム
微粉末は、例えばヴェントロン社(Ventron Company)
のカタログ(1983)7頁に挙げられている。
反応は、適当な有機溶媒中で行う。好ましい溶媒は、
有機相中でアルカリ土類金属を安定化する溶媒である。
特に適当な溶媒は、環状エーテル、とりわけテトラヒド
ロフランである。
接触水素化は、化合物(II a)〜(VIII a)の存在下
に行う。化合物(II a)〜(VIII a)として、ジ有機マ
グネシウム化合物、ハロゲン化有機マグネシウム、ビス
(キレート)マグネシウム化合物、ハロゲン化キレート
マグネシウム、キヌクリジンまたはその有機置換同族体
(二環系のいずれの位置で前記Rが置換していてもよ
い。)、三アルキル化アルミニウム、ハロゲン化アルキ
ル化アルミニウム、三アルキル化ホウ素、ハロゲン化ア
ルキル化ホウ素、およびハロゲン化アルミニウムキレー
トまたはハロゲン化ホウ素キレートが適当である。
接触水素化は、分子状水素を用いて行う。分子状水素
は、常圧または加圧下に従来の方法で系に供給する。分
子状水素圧60バールまでが好ましい。
好ましい触媒は、欧州特許第3564号および欧州特許出
願公開第157,297号に記載の触媒である。すなわち、周
期表第IV〜VIII副属金属のハロゲン化物である。チタ
ン、クロムおよび鉄のハロゲン化物またはその組み合わ
せが特に好ましい。アントラセンのような多環式芳香族
化合物またはそのマグネシウム付加物(例えばマグネシ
ウムアントラセン)、通例助触媒として系に供給され
る。
水素化において、ハロゲン化マグネシウム(MgX2
を、等モル量または好ましくは副化学量論(触媒)量加
えることも可能である。しかし、このようなハロゲン化
マグネシウムは、反応生成物の収率および純度に有利に
作用し得るが、前記文献に助触媒として記載されている
3級アミンと同様、不可欠なものではない。
本発明の可溶性水素化マグネシウム(II)〜(VIII)
は、本発明により以下の反応式に従って合成される: 本発明の製法の好まし一態様においては、化合物(II
I)または(V)の製造のために、反応成分 RMgX (III a) または を、すでに合成された成分として反応バッチに加える代
わりに、マグネシウムおよび RX または から反応系中で調製することができる。
本発明の製法によって合成される可溶性水素化マグネ
シウムは、種々の用途に使用し得る。例えば、還元剤と
して1−アルケンに加えることによって有機マグネシウ
ム化合物の合成に、並びに金属水素化物または元素水素
化物(例えばSiH4)および金属間化合物およびその水素
化物および炭化物の合成に使用し得る[ジャーナル・オ
ブ・レス・コモン・メタルズ(J.of Less Common Metal
s)131(1987)、163]。その場合、触媒的に調製した
懸濁液および固体水素化マグネシウムを凌ぐ以下のよう
な利点がある: ・扱いおよび輸送が容易かつ安全である;テトラヒドロ
フラン中の5モルまでの溶液は、懸濁液と対照的に、空
気中で引火しない。
・化学反応における反応性が高い。
・計量が容易である。
テトラヒドロフラン中のMgH2の溶液の室温における安
定性は錯化剤のモル濃度および種類に依存する。(Mg
H2・Mg(C8H17・(MgCl20.3の組成を有する
溶液(MgH23.8モル)は、アルゴン雰囲気中で水素化物
濃度の実質的な変化無く4週間保つことができるが、
(MgH230・n−C8H17MgClの組成の溶液(MgH23.7モ
ル)は、室温でわずか1週間後に凝固する。(MgH2
6.5・Mg(n−C8H17・(MgCl20.7の組成を有する
MgH2のテトラヒドロフラン溶液(MgH21.9モル)から減
圧下にテトラヒドロフランを蒸発させると、粘性油状物
が得られ、これら同体積のテトラヒドロフランに再溶解
することによって、同じ水素化物含量を達成することが
可能である。
本発明を以下の実施例によって更に説明するが、実施
例は本発明を制限することを意図するものではない。
[実施例] 実施例1 撹拌機、コックおよび栓を取り付けた250ml2つ口円筒
形フラスコを反応器として、および50mlオートクレーブ
用の適当なガラスインサートを用いた。マグネシウム粉
末(平均粒子サイズ0.050mmまたは約270メッシュ)10.0
0g(411mmol)およびアントラセン0.73g(4.1mmol)
を、無水テトラヒドロフラン20mlに加えた。臭化エチル
0.05mlを加え、懸濁液を室温で撹拌した。溶液は緑色に
変わり、約20分後に橙色のマグネシウムアントラセン・
テトラヒドロフランが沈澱した。水で15℃に冷却および
撹拌しながら無水CrCl30.72g(4.5mmol)をバッチに加
えると、橙色と濃褐色への色の変化を伴って、マグネシ
ウムアントラセンは発熱反応によって溶解した。次い
で、溶液を、まずテトラヒドロフラン30mlで処理し、次
にテトラヒドロフラン中の1.18モル ジ−n−オクチル
マグネシウム溶液22ml(26mmoml)で処理した[ボクダ
ノビッチ、シュヴィッカーディおよびシコースキー(P.
Sicorski)、アンゲヴァンテ・ヘミー補遺(Angew.Che
m.Suppl.)(1982)、457]。このガラス容器を平底500
mlステンレススチールオートクレーブに入れ、22〜26℃
および初期水素圧60バールで撹拌機で強力に撹拌しなが
ら懸濁液を水素化した。3.75時間で、水素圧は40バール
に低下した。得られた水素化マグネシウム混合物の体積
は77mlであった。10mlを10,000rpmで1時間遠心した。
透明な残留溶液2.0mlを、水で冷却しながらエタノール
によるプロトライシス(protolysis)に付し、H297.6、
C2H5OH1.8およびTHF0.6%の組成(マススペクトル分
析)を有する気体318ml(20℃、1バール)を得た(溶
液の他の試料を2.5時間遠心した場合にも同様の結果を
得た)。生成したH2の量は、溶液中の全水素化マグネシ
ウム249mmolまたはマグネシウム粉末出発物質に対する
可溶性水素化マグネシウム収率61%と当量であった。用
いたジ−n−オクチルマグネシウムの量(26mmol)から
求めた可溶性水素化マグネシウムの組成は、(MgH2
9.6・Mg(n−C8H17であった。テトラヒドロフラン
溶液の可溶性水素化マグネシウム濃度は、3.25モルであ
った。遠心した水素化マグネシウム溶液のIR分析におい
て、1100cm-1にMgH2に特有の広い吸収帯および670cm-1
に水素化マグネシウムの他の吸収帯が見られた。
実施例2〜17 実施例1の場合と同量のマグネシウム、アントラセ
ン、CrCl3およびテトラヒドロフランを用い、実施例1
と同様の方法で本発明の水素化マグネシウムを合成し
た。条件および結果を第1表に示す。実施例17は、錯化
剤を用いない場合の比較例である。
実施例18 撹拌機、コックおよび栓を取り付けた250ml2つ口円筒
形フラスコを反応器として、および50mlオートクレーブ
用の適当なガラスインサートを用いた。マグネシウム粉
末(平均粒子サイズ0.050mmまたは約270メッシュ)10.0
0g(411mmol)およびアントラセン0.73g(4.1mmol)
を、無水テトラヒドロフラン20mlに加えた。臭化エチル
0.05mlを加え、懸濁液を室温で撹拌した。溶液は緑色に
変わり、約20分後に橙色のマグネシウムアントラセン・
テトラヒドロフランが沈澱した。水で15℃に冷却および
撹拌しながら無水FeCl20.57g(4.5mmol)をバッチに加
えると、橙色から濃褐色への色の変化を伴って、マグネ
シウムアントラセンを発熱反応によって溶解した。次い
で、溶液を、まずテトラヒドロフラン40mlで処理し、次
にテトラヒドロフラン中の1.74モルn−オクチルマグネ
シウムクロリド溶液11.8ml(20.5mmoml)で処理した。
このガラス容器を平底500mlステンレススチールオー
トクレーブに入れ、20℃および初期水素圧60バールで撹
拌機で強力に撹拌しながら懸濁液を水素化した。4時間
で、水素圧は40バールに低下した。得られた水素化マグ
ネシウム混合物の体積は78.5mlであった。10mlを10,000
rpmで1時間遠心した。透明な残留溶液2.0mlを、水で冷
却しながらエタノールによるプロトライシスに付し、H2
95.3、C2H5OH2.8およびTHF1.9%の組成(マススペクト
ル分析)を有する気体433ml(20℃、1バール)を得
た。生成したH2の量は、溶液中の全水素化マグネシウム
337mmolまたはマグネシウム粉末出発物質に対する可溶
性水素化マグネシウム収率82%と当量であった。用いた
n−オクチルマグネシウムクロリドの量から求めた可溶
性水素化マグネシウムの組成は、(MgH216.4・n−C8
H17MgClであった。テトラヒドロフラン溶液の可溶性水
素化マグネシウム濃度は、4.3モルであった。
実施例19 撹拌機、コックおよび栓を取り付けた250ml2つ口円筒
形フラスコを反応器として、および50mlオートクレーブ
用の適当なガラスインサートを用いた。マグネシウム粉
末(平均粒子サイズ0.050mmまたは約270メッシュ)10.0
0g(411mmol)およびアントラセン0.73g(4.1mmol)
を、無水テトラヒドロフラン20mlに加えた。臭化エチル
0.05mlを加え、懸濁液を室温で撹拌した。溶液は緑色に
変わり、約20分後に橙色のマグネシウムアントラセン・
テトラヒドロフランが沈澱した。水で15℃に冷却および
撹拌しながら無水FeCl20.56g(4.4mmol)をバッチに加
えると、濃褐色への色の変化を伴って、マグネシウムア
ントラセンは発熱反応によって溶解した。次いで、溶液
を、まずテトラヒドロフラン10mlで処理し、次にテトラ
ヒドロフラン中の1.86モル キヌクリジン溶液11ml(2
0.5mmoml)およびテトラヒドロフラン中の0.49モルMgCl
2溶液30ml(14.7mmol)で処理した。
このガラス容器を平底500mlステンレススチールオー
トクレーブに入れ、20〜26℃および初期水素圧60バール
で撹拌機で強力に撹拌しながら懸濁液を水素化した。4
時間で、水素圧は40バールに低下した。得られた水素化
マグネシウム混合物の体積は78mlであった。10mlを10,0
00rpmで1時間遠心した。透明な残留溶液2.0mlを、水を
冷却しながらエタノールによるプロトライシスに付し、
H296.3、C2H5OH2.2およびTHF1.5%の組成(マススペク
トル分析)を有する気体462ml(20℃、1バール)を得
た。生成したH2の量は、溶液中の全水素化マグネシウム
361mmolまたはマグネシウム粉末出発物質に対する可溶
性水素化マグネシウム収率88%と当量であった。用いた
キヌクリジンの量から求めた可溶性水素化マグネシウム
の組成は(MgH217.6・キヌクリジンであった。テトラ
ヒドロフラン溶液の可溶性水素化マグネシウム濃度は、
4.6モルであった。
実施例20 撹拌機、コックおよび栓を取り付けた250ml2つ口円筒
形フラスコを反応器として、および50mlオートクレーブ
用の適当なガラスインサートを用いた。マグネシウム粉
末(平均粒子サイズ0.050mmまたは約270メッシュ)10.0
0g(411mmol)およびアントラセン0.73g(4.1mmol)
を、無水テトラヒドロフラン20mlに加えた。臭化エチル
0.05mlを加え、懸濁液を室温で撹拌した。溶液は緑色に
変わり、約20分後に橙色のマグネシウムアントラセン・
テトラヒドロフランが沈澱した。水で15℃に冷却および
撹拌しながら無水MnCl20.59g(4.7mmol)をバッチに加
えると、濃褐色への色の変化を伴って、マグネシウムア
ントラセンは発熱反応によって溶解した。次いで、溶液
を、まずテトラヒドロフラン10mlで処理し、次にテトラ
ヒドロフラン中の1.86モル キヌクリジン溶液11ml(2
0.5mmol)およびテトラヒドロフラン中の0.49モルMgCl2
溶液30ml(14.7mmol)で処理した。
このガラス容器を平底500mlステンレススチールオー
トクレーブに入れ、20〜25℃および初期水素圧60バール
で撹拌機で強力に撹拌しながら懸濁液を3日間水素化し
た。4時間で、水素圧は40バールに低下した。得られた
水素化マグネシウム混合物の体積は75mlであった。10ml
を10,000rpmで1時間遠心した。透明な残留溶液2.0ml
を、水で冷却しながらエタノールによるプロトライシス
に付し、H297.1、C2H5OH2.0およびTHF0.9%の組成(マ
ススペクトル分析)を有する気体275ml(20℃、1バー
ル)を得た。生成したH2の量は、溶液中の全水素化マグ
ネシウム209mmolまたはマグネシム粉末出発物質に対す
る可溶性水素化マグネシウム収率51%と当量であった。
用いたキヌクリジンの量から求めた可溶性水素化マグネ
シウムの組成は、(MgH210.2・キヌクリジンであっ
た。テトラヒドロフラン溶液の可溶性水素化マグネシウ
ム濃度は、2.8モルであった。
実施例21 溶解したMgH2およびAlCl3からの、複合体[Mg2Cl(TH
F)+AlH4 -の調製 乾燥および昇華したAlCl33.88g(29.1mmol)のTHF(5
7ml)溶液を、実施例19において調製した2.91モルMgH2
溶液20mlに30分間にわたって滴下した。MgH2溶液は、使
用前に遠心した。
反応は発熱反応であった。混合物を冷却により25℃〜
30℃の温度に保ち、その条件下に更に1時間撹拌した
後、濾過し、固体残渣をTHFで洗浄した。減圧乾燥した
固体生成物1.10gをアルコール化すると、水素が発生し
た:固体0.301g−水素100.2ml(反応におけるMgH2約13
%に相当)。
濾液を−78℃に24時間冷却すると、水素化物複合体が
晶出した。これを−78℃で濾過し、THF各10mlで2回洗
浄した後、20℃/0.1ミリバールで1.5時間および20℃/10
-5ミリバールで2時間乾燥した。
収量:非発火性白色粉末として、水素化物複合体12.0
5g(69%) アルコーリシス:0.6451gから水素102.6ml(20℃/1バ
ール) [Mg2Cl3(THF)+AlH4 -として
の計算値:H2101.0ml 濾液を25mlに濃縮し、−78℃に冷却することによっ
て、更に2.40gの複合体(微量のMgCl2を含有)が得られ
た。
得られた水素化物はいずれもIRスペクトルにおいて17
20cm-1にAlH4 -の吸収を示した。MgH2の吸収は見られな
かった。
実施例22 溶解した水素化マグネシウムをデセン−1の二重結合に
加えることによる、ジ−n−デシルマグネシウムの合成 実施例1に従って溶解MgH2の調製を行った。ただし、
ジ−オクチルマグネシウムを加える前に、THF中の0.49
モルMgCl2溶解30mlを加えた。初期水素圧60バールで水
素化に6.5時間を要した。溶解MgH2の収率は74%であっ
た。
このようにして調製した4.54モルMgH2溶液22.0ml(10
0mmol)にTHF21.5mlを加えて希釈した後、ZnCl40.23g
(1.0mmol)を固体粉末として加えた。沸騰温度で2.5時
間にわたってデセン−1(99.4%)32.26g(230mmol)
を混合物に滴下した。還流下に8時間撹拌後、生成した
n−デカンのプロトライシスおよびガスクロマト分析に
よるジ−n−デシルマグネシウムの収率は91%であっ
た。
実施例23 溶解した水素化マグネシウムを1−ホモアリルアントラ
センに加えることによる、ジ−[4−(1′−アントリ
ル)ブチル]マグネシウムの合成 実施例22と同様の方法で、THF1.0ml中のZnCl472mg
を、4モルMgH2溶液3.1ml(12.4mmol)に加えた。その
後、THF4.5ml中の1−ホモアリルアントラセン5.0g(2
1.6mmol)の溶液を沸騰温度で2時間にわたって滴下し
た。添加から24時間の間、混合物を還流下に撹拌した。
溶液試料のプロトライシスおよびガスクロマト分析によ
ると、生成した1−ブチルアントラセンの変換率は79%
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07F 5/06 C07F 5/06 A (72)発明者 マンフレート・シュヴィッカルディ ドイツ連邦共和国 ミュールハイム/ル ール、カイゼル―ビルヘルム―プラッツ 1番 (56)参考文献 特開 昭53−59628(JP,A) 特開 昭58−176105(JP,A) 特開 昭60−215503(JP,A)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式: (MgH2)n・MgQ2 (II) (MgH2)n・RMgX (III) (MgH2)n・MQmX3-m (VII) または [式中、Qは、炭素原子を18個まで有するアルキル、ア
    ルケニル、アルコキシ、ジアルキルアミド、アラールキ
    ル、アリールまたはジアリールアミド基、 Rは、炭素原子を18個まで有するアルキル、アルケニ
    ル、アラールキルまたはアリール基、 Xは、塩素、臭素またはヨウ素 キレート配位子、 Eは、−CH2−、−N(R)−または−O−、 式: −(CH2)p− [式中、pは1〜6の数を表す。] で示されるアルキレン基、 Dは、炭素原子を18個まで有するジアルキルアミド、ジ
    アリールアミドまたはアルコキシ基、 Mは、アルミニウムまたはホウ素、 mは、1、2または3、および 1<n≦50を表す。] で示される、有機溶媒に可溶な水素化マグネシウム。
  2. 【請求項2】第1項記載の可溶性水素化マグネシウムの
    製法であって、式: MgQ2 (II a) RMgX (III a) MQmX3-m (VII a) または [式中、Q、R、X、 およびmは前記と同意義である。] で示される化合物の存在下に、有機溶媒中でマグネシウ
    ム微粉末を接触水素化することを含んで成る製法。
  3. 【請求項3】水素化中、有機溶媒中にハロゲン化マグネ
    シムウも存在する第2項記載の製法。
  4. 【請求項4】マグネシウム粉末の平均粒子サイズが0.04
    〜0.3mmである第2項記載の製法。
  5. 【請求項5】溶媒がテトラヒドロフランである第2項記
    載の製法。
  6. 【請求項6】少なくとも1種の多環式芳香族化合物およ
    び塩化、臭化またはヨウ化マグネシウムと共に、周期表
    第IV〜VIII副属の金属のハロゲン化物少なくとも1種を
    触媒として使用する第2項記載の製法。
  7. 【請求項7】3級アミンをも使用する第6項記載の製
    法。
  8. 【請求項8】有機マグネシウム化合物の調製のために還
    元剤として、並びに金属および非金属の水素化用試薬と
    して有機溶媒中の溶液の形態で使用する第1項記載の有
    機溶媒に可溶な水素化マグネシウム。
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