JP2748144B2 - 電子線発生装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

電子線発生装置及びそれを用いた画像形成装置

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    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
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    • H01J2201/316Cold cathodes having an electric field parallel to the surface thereof, e.g. thin film cathodes
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  • Solid Thermionic Cathode (AREA)
  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、電子放出素子を多数備えた電子線発生装置
及びこれを用いた画像形成装置(例えば、平板形CRT
等)に関する。
[従来の技術] 従来、平板状ディスプレイ装置としては、種々のタイ
プのものが提案されているが、その代表的なものとして
はエレクトロルミネッセンス方式、プラズマ方式、及び
液晶方式等を用いた平板状ディスプレイ装置がある。
しかし、上記方式を例えば、カラーテレビジョン等の
様な高速走査で画素密度の高い画像の要求されるディス
プレイ装置に用いようとした場合には、その発光効率に
限度があり又、大画面用としても実用的ではない。この
為テレビジョン用等には従来、真空中で電子源より放出
された電子を、高電圧で加速して蛍光体に衝突発光させ
て、画像を再現させる電子線加速型の平板状ディスプレ
イ装置が有力候補の一つとなっている。
この電子線加速型の平板状ディスプレイ装置に於て
は、例えば、画素に電子放出素子が一対一で対応してい
るマルチ電子源構造とすることが考えられており、この
場合の電子放出素子としては例えば、特開昭58−1956号
公報に開示されている如く、薄膜による熱陰極の利用が
提案されている。
第15図は、この従来の熱陰極の断面構造を示すもので
あるが、第15図によれば、基板1上にガラス質の絶縁層
(支持層)7が形成され、その上にスパッタ法等でタン
グステン薄膜を成膜後、ホトリソグラフィー法を用い
て、通電することにより熱電子を放出する薄膜フィラメ
ント3、薄膜フィラメント3に通電するための導電路8
とを一体的に形成し、その後、前記絶縁層(支持層)7
の薄膜フィラメント3の下部の一部をウエットエッチン
グ法にて除去して間隙9を形成した薄膜中空構造の熱陰
極を示している。
ところで、これらの熱陰極等の電子放出素子を画像形
成装置に応用する場合、一般には、基板上に多数の電子
放出素子(以下、素子と略す)を配列形成し、各素子間
を薄膜もしくは厚膜の電極で電気的に配線し、マルチ電
子ビーム源として用いていたが、配線抵抗で生じる電圧
降下の為に、各素子毎に印加される電圧がばらついてし
まうという現象が起きている。その結果、各素子から放
出される電子ビームの電流量にばらつきが生じ、形成さ
れる画像に濃度むらが起きるという問題が発生してい
た。
第16図及び第17図は、この問題をより詳しく説明する
為の図で、両図とも(a)は電子放出素子と配線抵抗及
び電源を含む等価回路図であり、(b)は各素子の正極
と負極の電位を示す図、また(c)は各素子の正負極間
に印加される電圧を示す図である。第16図(a)は、並
列接続されたN個の素子D1〜DNと電源VEとを接続した回
路を示すもので、電源の正極と素子D1の正極を、また電
源の負極と素子DNの負極を接続したものである。また、
各素子を並列に結ぶ共通配線は、図に示すように隣接す
る素子間でrの抵抗成分を有するものとする。(画像形
成装置では、電子ビームのターゲットとなる画素は、通
常、等ピッチで配列されている。従って、素子も空間的
に等間隔をもって配列されており、これらを結ぶ配線は
幅や膜厚が製造上ばらつかない限り、素子間で等しい抵
抗値を有する。) また、全ての電子放出素子D1〜DNは、ほぼ等しい抵抗
値Rdを各々有するものとする。
前記第16図(a)の回路図に於て、各素子の正極及び
負極の電位を示したのが同図(b)である。図の横軸
は、D1〜DNの素子番号を示し、縦軸は電位を示す。●印
は各素子の正極電位、■印は負極電位を表わしており、
電位分布の傾向を見易くする為、便宜的に●印(■印)
を実線で結んでいる。
本図から明らかなように、配線抵抗rによる電圧降下
は一様に起こるわけではなく、正極側の場合は素子D1
近い程急峻であり、逆に負極側では素子DNに近い程急峻
になっている。これは、正極側では、D1に近い程配線抵
抗rを流れる電流が大きく、また、負極側では、逆にDN
に近い程大きな電流が流れる為である。
これから、各素子の正負極間に印加される電圧をプロ
ットしたのが同図(c)である。図の横軸はD1〜DNの素
子番号を、縦軸は印加電圧を各々示し、(b)と同様、
傾向を見易くする為に便宜的に を実線で結んでいる。
本図から明らかなように、同図(a)のような回路の
場合には、両端の素子(D1及びDN)に近い程大きな電圧
が印加され、中央部付近の素子では印加電圧が小さくな
る。
従って、各素子から放出される電子ビームは、両端の
素子程ビーム電流が大きくなり、画像形成装置に応用し
た場合極めて不都合であった。(例えば、両端に近い部
分の画像は濃度が濃く、中央部付近の濃度は淡くなって
しまう。) 一方、第17図に示すのは、並列接続された素子列の片
側(本図では素子D1側)に、電源の正負極を接続した場
合である。この様な回路の場合には、同図(b)に示す
ように、正極側,負極側ともD1に近い程配線抵抗rによ
る電圧降下が大きくなる。
従って、各素子に印加される電圧は、同図(c)に示
すように、D1に近い程大きなものとなり、画像形成装置
として応用するには極めて不都合であった。
以上、二つの例で示したような素子毎の印加電圧のば
らつきの程度は、並列接続される素子の総数Nや、素子
抵抗Rdと配線抵抗rの比(=Rd/r)、あるいは給電手段
(電源)の接続位置により異なるが、一般には、Nが大
きい程、Rd/rが小さい程、ばらつきは顕著となり、また
前記第16図よりも第17図の接続方法のほうが、素子に印
加される電圧のばらつきが大きい。例えば、第16図の接
続法で素子抵抗Rd=1kΩ,r=10mΩの場合、N=100であ
れば印加電圧の最も大きな素子と最も小さな素子を比較
すると、Vmax:Vmin=102:100程度であるが、N=1000
であれば、Vmax:Vmin=472:100とばらつきの割合は大
きくなる。
また、N=1000,Rd=1kΩ,r=1mΩの場合には、
Vmax:Vmin=127:100程度であるが、r=10mΩの場合に
は、Vmax:Vmin=472:100程度というようにばらつきの
程度は大きくなる。
以上説明したように、特性の等しい素子を複数個並列
に接続した場合には、配線抵抗により生ずる電圧降下の
為、各素子に実効的に印加される電圧は、素子毎にばら
ついてしまい、電子ビームの放出量が不均一となり、画
像形成装置として応用する場合に不都合であった。
特に、画素数の多い(すなわちNの大きい)大容量表
示装置を実現しようとする場合には、上記ばらつきの割
合は顕著となり、画像の濃度むらが大きな問題となって
いた。
[課題を解決するための手段及び作用] 本発明は、素子の電子放出部における電子放出材の被
覆面積又は電子放出材の種類を変えることで、各素子か
らの放出電流量のばらつきを補償した電子線発生装置及
びこの電子線発生装置を用いた画像形成装置を提供する
ものである。
即ち、請求項1の発明は、複数の素子が結線された電
子源を有する電子線発生装置において、前記電子源は、
前記複数の素子の各々に実効的に印加される電圧のばら
つきに基づく各素子からの放出電流量のばらつきを補償
するように、電子放出部における電子放出材の被覆面積
を変えることでIe(放出電流量)対V(印加電圧)特性
を互いに異ならしめた2種以上の素子を含むことを特徴
とする電子線発生装置を提供するものである。
また、請求項2の発明は、複数の素子が結線された電
子源を有する電子線発生装置において、前記電子源は、
前記複数の素子の各々に実効的に印加される電圧のばら
つきに基づく各素子からの放出電流量のばらつきを補償
するように、電子放出部における電子放出材の種類を変
えることでIe(放出電流量)対V(印加電圧)特性を互
いに異ならしめた2種以上の素子を含むことを特徴とす
る電子線発生装置を提供するものである。
更に、請求項18の発明は、電子源を有する電子線発生
装置と、該電子線発生装置から放出される電子線の照射
により画像を形成する画像形成部材とを備えた画像形成
装置において、前記電子線発生装置が、素子の電子放出
部における電子放出材の被覆面積又は電子放出材の種類
を変えることで、各素子からの放出電流量のばらつきを
補償した電子線発生装置であることを特徴とする画像形
成装置を提供するものである。
[実施例] 以下、実施例に基づいて本発明を具体的に詳述する。
実施例1 第1図〜第5図は、本発明の第1の実施例を説明する
為の概略図である。先ず、第1図は、本発明に係る電子
線発生装置の一部を切り取った斜視図である。本図に於
て、1はガラス基板(絶縁性を有するものであればよ
い)で、その上にはAu,Ag,Cu,Al,Ni等のうち少なくとも
1種より成る導電路2a及び2bが形成されている。さら
に、その上には、タンタル、タンタル合金、タングステ
ン等から成る薄膜により、複数のフィラメント部3が形
成されている。即ち、導電路2a及び2bは、フィラメント
部3を有する薄膜支持体としての機能をも有する。
ここで、上記電子源の電子放出の効率化及びその配線
抵抗の低下等の面からも導電路2a及び2bの厚さは1μm
〜300μm、幅は10μm〜1000μm程度とされるのが好
ましく、又、フィラメント部3の厚さは0.1μm〜3μ
m、長さは10μm〜2000μm、幅は1μm〜50μm程度
とされるのが好ましい。
また4,4′,4″は、各フィラメント部3の上面にLaB6,
TiC,TaC,SiC等の低仕事関数材料である電子放出材料を
被覆した低仕事関数材料(電子放出材)被覆部(電子放
出部)で、図中斜線部が被覆領域を示している。
第1図には、簡略化のため3素子のみ示されている
が、実際には、同図L方向に100素子以上が配列形成さ
れている。
上記電子源に於て、導電路2a−2b間に電圧を印加する
ことにより、フィラメント部3に電流が流れ、発熱し
て、低仕事関数材料(電子放出材)被覆部(電子放出
部)4,4′,4″より電子が放出される。
ここで、本発明が特徴としているのは、第2図
(a),(b),(c)に示すように、各素子ごとに適
宜、低仕事関数材料(電子放出材)被覆部(電子放出
部)の面積を変え、各素子から放出される電子ビームの
電流量を等しくしている点である。
そこで、より具体的に説明する為に、第1図の電子放
出素子列が、前記第16図の方法で給電手段(電源)と接
続されている場合について説明する。この場合、並列に
接続したN個の素子各々の低仕事関数材料(電子放出
材)被覆部(電子放出部)の面積を第3図に示すが、同
図で横軸は素子番号を(第16図の素子番号と対応)表わ
し、縦軸は低仕事関数材料(電子放出材)被覆部(電子
放出部)の面積を表わす。(尚、この場合の面積は、一
義的に絶対値として表わせるものではなく、ヒーター部
のサイズ等に依存する量なので、縦軸は素子相互の相対
的な差で表わされている) 本図から明らかなように、本発明に於ては、抵抗値の
等しい素子を、等しい配線抵抗を介して並列接続した場
合に生ずる素子印加電圧のばらつきを予め考慮し、電子
放出部の面積を適宜調整している。本実施例に於て素子
印加電圧は、第16図(c)に示したように、両端の素子
に比べて中央の素子の方が小さくなることから、これを
補正する為に、第3図に示したように中央の素子の方が
電子放出部の面積を広く設けてある(ここで、最大面積
をS2,最小面積をS1とする)。
従来のように、全ての素子の放出部面積が等しいマル
チ電子ビーム源を表示管等に応用した場合には、第4図
に示すような特性であった。すなわち、蛍光面に印加す
る加速電圧と変調グリッドに印加する変調電圧を一定に
したもとで、蛍光面に到達する電子ビーム電流を測る
と、印加電圧がVmax(最大値)の素子からはEBmaxの電
子ビームが到達するが、印加電圧がVmin(最小値)の素
子からはEBminの電子ビームしか到達しない。従って、
表示管の特性としては、両端が明るく中央が暗い輝度特
性となり不都合であった。
しかし、本発明によれば、第5図に示すように素子の
印加電圧がVmaxとなる素子の電子放出部面積(低仕事関
数材料(電子放出材)被覆面積)をS1、Vminとなる素子
の電子放出部面積をS2となるよう作成してある為、蛍光
面に到達する電子ビームの量が等しくなり、全画面にわ
たって輝度の均一な表示管を実現することが可能となっ
た。(尚、第5図では、説明の簡略化のため、素子印加
電圧がVmaxとVminの例のみ記したが、他の素子に於ても
前記第3図に示した電子放出部面積とすることにより等
しい蛍光面電流EBが得られる。
次に第6図〜第8図は、本発明を適用した平板型画像
形成装置の一実施形態を説明する為の図で、第6図は表
示パネルの構造を示す一部切欠きの斜視図、第7図はパ
ネルを駆動するブロック回路を示す図、第8図はパネル
各部の駆動タイミングを示すタイムチャートである。
以下、本装置の動作を順を追って説明する。第6図は
表示パネルの構造を示しており図中、VCはガラス製の真
空容器で、その一部であるFPは表示面側のフェースプレ
ートを示している。フェースプレートFPの内面には、IT
Oを材料とする透明電極が形成され、更にその内側に
は、電子線の照射により画像を形成する画像形成部材で
ある、赤,緑,青の蛍光体がモザイク状に塗り分けら
れ、CRTの分野では公知のメタルバック処理が施されて
いる。(透明電極,蛍光体,メタルバックは図示せ
ず。)また、前記透明電極は、加速電圧を印加する為
に、端子EVを通じて真空容器外と電気的に接続されてい
る。
また、Sは前記真空容器VCの底面に固定されたガラス
基板で、その上面には、素子(熱陰極)がN個×l列に
わたり配列形成されている。(ここではN=200,l=200
とした。)該素子群は、列毎に電気的に並列接続されて
おり、各列の正極側配線(負極側配線)は、端子Dp1〜D
pl(端子Dm1〜Dml)によって真空容器外と電気的に接続
されている。すなわち、本装置では、前記従来問題点の
項で説明した第16図の給電方法による素子列がl列にわ
たり基板S上に形成されている。(1列あたりの素子数
はN個である。) そして、各素子の電気抵抗は製造上の誤差の範囲で等
しく、また、各素子の電子放出部は、前記第3図に示し
たように適宜、面積を調整してある。
また、基板SとフェースプレートFPの中間には、スト
ライプ状のグリッド電極GRが設けられている。グリッド
電極GRは、前記素子列と直交してN本設けられており、
各電極には、電子ビームを透過する為の空孔Ghが設けら
れている。空孔Ghは、第6図の例のように各素子に対応
して1個づつ設けてもよいし、あるいは、微小な孔をメ
ッシュ状に多数設けてもよい。各グリッド電極は、端子
G1〜GNによって真空容器外と電気的に接続されている。
本パネルではl列の素子列と、N列のグリッド電極列
によりXYマトリクスが構成されている。素子列を一列づ
つ順次駆動(走査)するのと同期してグリッド電極列に
画像1ライン分の変調信号を同時に印加していくことに
より、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像を
1ラインづつ表示させるものである。
第7図に示すのは、前記第6図の表示パネルを駆動す
る為の電気回路をブロック図として示したもので、図
中、10は第6図で示した表示パネル、12は素子列駆動回
路、13は変調グリッド駆動回路、14は高電圧電源であ
る。表示パネル10の電極端子EVは、高電圧電源14から10
KV程度の加速電圧を供給される。また、素子列の負極側
配線端子(Dm1〜Dml)は、グランドレベル(OV)に接地
され、正極側の配線端子(Dp1〜Dpl)は素子列駆動回路
12と接続されている。またグリッド電極は、端子G1〜GN
を通じて変調グリッド駆動回路13と接続されている。
素子列駆動回路12及び変調グリッド駆動回路13から
は、第8図の駆動タイムチャートに示すタイミングで信
号電圧が出力される。第8図中(a)〜(d)は、素子
列駆動回路12から表示パネル10のDp1,Dp2,Dp3及びDpl
端子に印加される信号を示すが、図から分かる通り
Dp1,Dp2,Dp3…(Dp4〜Dp(l-1)は図中略)Dplの順に、
順次振幅VE[V]の駆動パルスが印加される。これと同
期して変調グリッド駆動回路13からは、端子G1〜GNに対
し第8図(e)に示すタイミングで変調信号(VG(ON)
またはVG(OFF))が印加される。各端子に対して、VG
(ON)レベルが印加されるかVG(OFF)レベルが印加さ
れるかは、表示画像のパターンにより決まるものであ
る。
本発明を適用する以前には、全面発光させた場合、画
面の中心部と両端部に於て20%近い輝度むらが観測され
たが、本発明を適用した結果、同一の表示条件のもとで
輝度むらは、従来の1/20以下に低減され、表示画像の品
位を著しく向上させることができた。
以上、本発明を適用した電子線発生装置並びにこれを
用いた画像形成装置について説明したが、本発明の実施
形態は、前記第1図〜第8図のものに限られるわけでは
ない。
例えば、低仕事関数材料(電子放出材)被覆部(電子
放出部)の面積を変える場合、ヒーター上に形成する当
該被覆部の形状は、必ずしも前記第2図のものに限った
ものでなく、例えば、第9図に示すように円形であって
もよい。
また、被覆部の面積を、必ず素子毎に変えなければな
らないわけではなく、例えば、第10図に示すように、印
加電圧のばらつきの小さな中央部付近は複数の素子にわ
たり同一の面積としても良い。
また、素子列への給電方法によっては、必らずしも、
中央部の素子の被覆部面積が最大になるとは限らず、例
えば、従来技術の項で述べた第17図のような場合には第
11図に示すように、給電手段側から遠い素子程被覆部の
面積が大きくなるようにするのが良い。
実施例2 次に第2の実施例を示す。
ここでの本発明が特徴としているのは、第12図
(a),(b),(c)に例示するように、並列接続さ
れた素子列の中で各素子ごとに電子放出部に用いる被覆
材料を適宜変えることにより、各素子から放出される電
子ビームの電流量のばらつきを低減していることであ
る。
同図に於て、(a)の素子ではMo/Thを、(b)の素
子ではW/Thを、(c)の素子ではTa/Thを電子放出材と
して用いている。
これらの素子を適宜必要に応じた配置とすることで、
マルチ電子源を構成するものである。
例えば、従来例で説明した第16図の配線法に於て素子
数Nが100である場合には、D1〜D20及びD81〜D100の各
素子には、電子放出材としてMo/Thを用い、D21〜D40
びD61〜D80の各素子にはW/Thを、D41〜D60の各素子には
Ta/Thを用いる。
この場合、従来問題点で説明したようにD1〜D20及びD
81〜D100の素子群には、D61〜D80の素子群に比べて高い
電圧が印加される為、ヒーター部の温度が高くなるが、
上述のように温度差を予め考慮に入れて、電子放出材を
選択してあることでほぼ等しい放射電流が得られるもの
である。第13図は、これを説明する為のグラフで、横軸
は素子に印加される電圧、縦軸は素子から得られる放射
電流である。また、同図における3種の素子は、前記第
12図に示したものと対応している。素子(a)には素子
(b)あるいは素子(c)よりも高い電圧が印加される
ため(Va>Vb>Vc)、ヒーター部の温度が高くなるが、
Mo/Thは、W/ThあるいはTa/Thと比べて、同温では熱電子
放射電流密度が小さく、より高い温度になって初めて、
同等の熱電子放射電流密度となる特性を有している。ま
た、素子(b)には、素子(a)と素子(c)の中間的
な電圧Vbが印加されることに鑑み、W/ThはMo/ThとTa/Th
の中間的な熱電子放射電流密度をもつ材料となってい
る。
従って、前述のように100素子を並列接続した場合、
素子印加電圧の分布に合わせて、(a),(b),
(c)の素子を予め配列することにより、放射電流のば
らつきを大幅に低減することが可能となった。
発明者らの実験によれば、100素子全ての素子に同一
の電子放出材(例えばMo/Th)を用いた場合には、放射
電流に約25%のばらつきが観られたが、(a),
(b),(c)の素子を適宜配列した結果、放射電流の
ばらつきを約4%にまで低減することができた。
一方、前記第17図に示した配線方法を用いた場合に
は、給電側から遠い素子に熱電子放射電流密度の大きな
材料を用いれば良い。すなわち、素子数N=100の場
合、D1〜D33に前記(a)の素子を、D34〜D67に前記
(b)の素子を、D68〜D100に前記(c)の素子を配列
すればよい。
また、本発明で用いうる電子放出材も、前述の様な合
金類に限らず、例えば、LaB6,BaB6,CaB6等のホウ化
物、TaC,SiC,TiC等の炭化物、あるいは、Y2O2,ThO2,L
a2O3等の酸化物という様に熱電子放射電流密度の比較的
大きな材料であれば、電子放出部に用いることが可能で
ある。
また本発明には、第14図に示すような実施形態も含ま
れる。すなわち、電子放出部を少なくとも2種以上の材
料で被覆し、各材料で被覆される面積の割合を変えるこ
とにより、各素子から放射される電流を等しくする方法
である。第14図の例では、Mo/Th(図中5で示す)及びT
a/Th(図中6で示す)の被覆部面積の割合を変えること
により、(a),(b),(c)の素子の特性に違いを
持たせている。
本実施形態の特徴は、前記第12図の方法に比べて、よ
り精密にマルチ素子の放射電流のばらつきを低減させ得
る点にある。ホトリソグラフィーエッチングやマスク蒸
着等の手法を用いれば、異種材料を任意の面積比で被覆
することが容易だからである。例えば、100素子の放射
電流のばらつきを、この方法では、約1%にまで低減す
ることに成功した。
次に、本素子を用いて、実施例1と同様に平板型画像
形成装置を作成し、駆動を行った。
この装置は、薄型で、輝度むらがなく、事務機やコン
ピュータの端末、あるいは、家庭用テレビジョン受像機
等に極めて好適ものとすることができた。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明では素子の電子放出部に
ついて、各素子に印加される電圧のばらつきに合わせ
て、電子放出部の面積と異なった大きさとするか、異な
った材料を用いるか、あるいは二種以上の材料を用い各
材料の被覆する面積を変えることにより、各素子から放
射される電流のばらつきを大幅に低減することが可能で
ある。
これにより、多数の素子を結線したを画像形成装置に
応用する際に生じていた、画像の濃度むらが大幅に低減
され、例えば薄形画像形成装置の実用性能を格段に向上
することができた。
本発明の適用は、実施例で示したような平板型画像形
成装置以外に、素子を多数個並列接続した電子源を有す
る画像形成装置の殆どに適用が可能で、電子ビーム描画
装置や画像記録装置の分野にも極めて有効なものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1の実施例に係る電子線発生装置
の一部を示す斜視図、第2図は、第1図に示される素子
の平面図、第3図は、各素子の低仕事関数材料(電子放
出材)被覆部面積を示すグラフ、第4図は、本発明を適
用しない場合の蛍光面到達電流を示すグラフ、第5図
は、本発明を適用した場合の蛍光面到達電流を示すグラ
フ、第6図は、本発明適用の画像形成装置の一部切欠き
斜視図、第7図は、本発明適用の画像形成装置の駆動回
路ブロック図、第8図は、本発明適用の画像形成装置の
各部の動作タイミングを示すタイムチャート、第9図
は、第1の実施例における他の実施形態を示す素子の平
面図、第10図,第11図は、第1の実施例における他の実
施形態を示す低仕事関数材料(電子放出材)被覆部面積
を示すグラフ、第12図は、本発明の第2の実施例を説明
するための3種の素子の平面図、第13図は、3種の素子
の特性を示すグラフ、第14図は、第2の実施例における
他の実施形態を示す素子の平面図、第15図は、従来の薄
膜熱電子源を説明する為の断面図、第16図,第17図は、
複数の薄膜熱電子源を並列に継いだマルチ電子ビーム源
の従来の問題点を説明する為の図である。 1……基板(ガラス基板) 2,3……フィラメント部 4,4′,4″……低仕事関数材料(電子放出材)被覆部
(電子放出部) 5……Mo/Th被覆部、6……Ta/Th被覆部 7……絶縁層、8,2a,2b……導電路 9……間隙、10……表示パネル 12……素子列駆動回路 13……変調グリッド駆動回路 14……高電圧電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 哲也 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 野村 一郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 実開 昭62−89757(JP,U)

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の電子放出素子が結線された電子源を
    有する電子線発生装置において、前記電子源は、前記複
    数の電子放出素子の各々に実効的に印加される電圧のば
    らつきに基づく各電子放出素子からの放出電流量のばら
    つきを補償するように、電子放出部における電子放出材
    の被覆面積を変えることでIe(放出電流量)対V(印加
    電圧)特性を互いに異ならしめた2種以上の電子放出素
    子を含むことを特徴とする電子線発生装置。
  2. 【請求項2】複数の電子放出素子が結線された電子源を
    有する電子線発生装置において、前記電子源は、前記複
    数の電子放出素子の各々に実効的に印加される電圧のば
    らつきに基づく各電子放出素子からの放出電流量のばら
    つきを補償するように、電子放出部における電子放出材
    の種類を変えることでIe(放出電流量)対V(印加電
    圧)特性を互いに異ならしめた2種以上の電子放出素子
    を含むことを特徴とする電子線発生装置。
  3. 【請求項3】前記複数の電子放出素子の電気抵抗が互い
    に等しい請求項1又は2に記載の電子線発生装置。
  4. 【請求項4】前記特性の互いに異なる電子放出素子は、
    前記電子源への給電手段の接続端から遠い電子放出素子
    程、同じ印加電圧に対する放出電流量が大きい請求項1
    ないし3いずれかに記載の電子線発生装置。
  5. 【請求項5】前記電子源への給電手段が、複数の電子放
    出素子を共通接続した電子放出素子列の一端から正電
    圧、他端から負電圧を印加する給電手段であって、前記
    電子放出素子列の両端の電子放出素子よりも中央付近の
    電子放出素子程、同じ印加電圧に対する放出電流量が大
    きい請求項4に記載の電子線発生装置。
  6. 【請求項6】前記電子源への給電手段が、複数の電子放
    出素子を共通接続した電子放出素子列の一端に正電圧と
    負電圧を印加する給電手段であって、係る一端に近い電
    子放出素子よりも遠い電子放出素子程、同じ印加電圧に
    おける放出電流量が大きい請求項4に記載の電子線発生
    装置。
  7. 【請求項7】前記電子放出材の被覆面積が、前記電子源
    への給電手段の接続端から遠い電子放出素子程大きい請
    求項1に記載の電子線発生装置。
  8. 【請求項8】前記電子源への給電手段が、複数の電子放
    出素子を共通接続した電子放出素子列の一端から正電
    圧、他端から負電圧を印加する給電手段であって、前記
    電子放出素子列の両端の電子放出素子よりも中央付近の
    電子放出素子程、前記電子放出材の被覆面積が大きい請
    求項7に記載の電子線発生装置。
  9. 【請求項9】前記電子源への給電手段が、複数の電子放
    出素子を共通接続した電子放出素子列の一端に正電圧と
    負電圧を印加する給電手段であって、係る一端に近い電
    子放出素子よりも遠い電子放出素子程、前記電子放出材
    の被覆面積が大きい請求項7に記載の電子線発生装置。
  10. 【請求項10】前記電子放出材が、前記電子源への給電
    手段の接続端から遠い電子放出素子程、より大きな放出
    電流量を与える材料である請求項2に記載の電子線発生
    装置。
  11. 【請求項11】前記電子源への給電手段が、複数の電子
    放出素子を共通接続した電子放出素子列の一端から正電
    圧、他端から負電圧を印加する給電手段であって、前記
    電子放出素子列の両端の電子放出素子よりも中央付近の
    電子放出素子程、前記電子放出材がより大きな放出電流
    量を与える材料である請求項10に記載の電子線発生装
    置。
  12. 【請求項12】前記電子源への給電手段が、複数の電子
    放出素子を共通接続した電子放出素子列の一端に正電圧
    と負電圧を印加する給電手段であって、係る一端に近い
    電子放出素子よりも遠い電子放出素子程、前記電子放出
    材がより大きな放出電流量を与える材料である請求項10
    に記載の電子線発生装置。
  13. 【請求項13】前記電子源が、複数の電子放出素子が並
    列接続されたライン状電子源である請求項1〜12のいず
    れかに記載の電子線発生装置。
  14. 【請求項14】前記電子源が、複数の電子放出素子が並
    列接続されたライン状電子源を複数ライン有する電子源
    である請求項1〜12のいずれかに記載の電子線発生装
    置。
  15. 【請求項15】前記電子放出素子が熱陰極である請求項
    1〜14のいずれかに記載の電子線発生装置。
  16. 【請求項16】前記電子放出材料が低仕事関数材料であ
    る請求項1〜15のいずれかに記載の電子線発生装置。
  17. 【請求項17】更に、前記電子源から放出される電子線
    の変調を行う手段を有する請求項1〜16のいずれかに記
    載の電子線発生装置。
  18. 【請求項18】電子源を有する電子線発生装置と、該電
    子線発生装置から放出される電子線の照射により画像を
    形成する画像形成部材とを備えた画像形成装置におい
    て、前記電子線発生装置が請求項1〜17のいずれかに記
    載の電子線発生装置であることを特徴とする画像形成装
    置。
  19. 【請求項19】前記画像形成部材が蛍光体である請求項
    18に記載の画像形成装置。
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