JP2747745B2 - 加工性にすぐれた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
加工性にすぐれた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法Info
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Description
て有用な加工性にすぐれた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法に関する。
塗装性等が要求される用途に広く使用され、近時は特に
自動車用防錆鋼板としての需要が増大すると共に、耐食
性の高度化の要請から、めっき層の厚膜化(厚目付化)
の傾向が進み、例えば膜厚50μm以上の厚目付け製品
の需要も多くなっている。
っき後の加熱処理により、素地鋼板からめっき層へFe
を拡散させ、溶融亜鉛(以下、「L‐Zn」)とFeを
反応させることにより製造される。その加熱処理によ
り、めっき層は、δ1相と称する合金(Fe濃度:約1
0〜15重量%のZn−Fe合金)となるが、一般には
δ1相のほかΓ相が生成し、またζ相が付随することも
多い。
造を模式的に示している。(1)は素地鋼板、(2)は
Γ相、(3)はδ1相、(4)はζ相である。δ1相
(3)は、前記のにように溶融亜鉛と素地鋼板からのF
eの反応により生成したZn−Fe合金相である。Γ相
(2)およびζ相(4)もZn−Fe合金相であるが、
Γ相(2)はδ1相と素地鋼板のFeとの反応(δ1十
Fe→Γ)により生成し、ζ相(4)はδ1相と溶融亜
鉛との反応(δ1+L‐Zn→ζ)により生成する合金
相である。
素地鋼板(1)とδ1相(3)との界面に生成するΓ相
(2)は、鉄分濃度の高い、硬くて脆い合金相であり、
Γ相が発達した合金化めっき層は、曲げ加工や打抜加工
等の加工工程において、パウダリングと称される粉状の
剥離欠陥が生じる。また、ζ相(4)も、その生成量が
多くなると、加工時にめっき層にフレーク状の剥離が生
じる原因となることも知られている。このようなめっき
層の剥離欠陥は、めっき層の防錆機能を損なう致命的欠
陥となることは言うまでもない。
し、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の加工性を改善する方法
として、加熱処理の後、30℃/秒以上の冷却速度で4
50℃以下の温度まで冷却する方法(特開昭64−44
62号公報)、あるいはめっき浴として、亜鉛−鉄合金
浴を使用し、その合金浴を700〜950℃に保持して
めっきを行うことにより、めっき後の合金化処理を省略
し、めっき浴から引き上げた後そのまま30℃/秒以上
の冷却速度で380℃以下の温度まで冷却する方法(特
開平2−138450号公報)等が提案されている。
合金層を形成することは容易でなく、殊に防錆機能の強
化の要請に応ずべくめっき目付け量を多くする程、Γ相
やζ相の抑制と加工性の確保が困難となる。本発明は上
記に鑑みてなされたものであり、Γ相やζ相の生成を効
果的に抑制防止し、厚目付けの溶融亜鉛めっき鋼板に対
しても、パウダリング等の剥離欠陥を生じない高加工性
を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供す
る。
化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、溶融亜鉛めっき鋼
板を、520 〜700 ℃の温度域に5〜30秒間加熱保持する
ことにより、亜鉛めっき層を合金化処理したのち、冷却
速度 40 ℃/秒以上で、300 ℃以下の温度まで冷却する
ことを特徴としている。
発明における溶融亜鉛めっき後のめっき層の合金化処理
は520℃以上の温度域で行われる。図2のZn−Fe
二元合金状態図に示されるように、ζ相は520℃より
低い温度域で生成する。そこで、本発明では、合金化処
理温度を520℃以上とすることにより、溶融亜鉛とF
eの反応(L‐Zn+Fe→δ1)を、ζ相の生成を付
随することなく行わせるようにしている。
規定したのは、Γ相の生成を抑制するためである。Γ相
が生成する固相反応(δ1+Fe→Γ)は、上記δ1相
の生成反応と併行して生起し、これを完全に阻止するこ
とは不可能であるが、本発明者の詳細な実験によれば、
合金化処理温度を700℃を越えない範囲に制限するこ
とにより、パウダリングを防止し得る程度にΓ相の生成
量を抑制できることが確認されている。この知見に基づ
いて合金化処理温度の上限を700℃とした。
秒以上としたのは、それより短い時間では、めっき層の
合金化(δ1相生成反応)が不足し、未反応の溶融亜鉛
が残留することとなるからである。また、処理時間の上
限を30秒としたのは、それを越える長時間の処理を行
うと、700℃以下であっても、δ1相とFeの固相反
応の進行に伴うΓ相の増加により、成形加工におけるパ
ウダリングの確実な防止を保証し難くなるからである。
に5〜30秒間保持することにより、ζ相の生成やΓ相
の生成を抑制防止しつつ、未反応の溶融亜鉛がなくなる
までδ1相生成反応を進行させて合金化処理を終える。
未反応の溶融亜鉛は残留しないので、冷却降温過程でそ
のめっき層にζ相が生成することはない。しかし、緩慢
な冷却を行うと、高温域での滞留時間が長くなるため、
素地鋼板から拡散するFeとδ1相との固相反応の進行
に伴ってΓ相の生成量が増加し、パウダリングの問題を
避け得なくなる。
冷却を行うことにより、降温過程でのΓ相の生成反応を
抑制する。このΓ相の生成を抑制するための急冷処理
は、冷却速度を40℃/秒以上とし、その冷却速度で、
300℃以下の温度まで降温させることにより好適に達
成される。
処理は、放冷やエアーブローの空気吹付け等では不可能
であるが、気水混合流体を冷却媒体とし、ノズルを介し
てめっき層表面に吹付けるこにより達成することができ
る。
おいて実施する場合の例を図3により説明すると、(1
0)は還元焼鈍炉、(11)は溶融亜鉛めっき浴、(1
2)は、めっき目付け量調節装置、(13)は合金化処
理炉、(14)は冷却装置である。めっき原板(素地鋼
板)(S)は、還元焼鈍炉(10)内で鋼板表面の油
脂、酸化スケール等が還元除去されて溶融亜鉛めっき浴
(11)に導入され、浴上に引上げられて目付量調節装
置(12)、例えばガスワイピングノズルの吹拭作用に
より鋼板表面の溶融亜鉛の付着量が調節される。これら
の工程は常法に従って行われ、例えば溶融亜鉛めっき浴
組成についても特別の制限はなく、常法に従って調製さ
れた浴を使用すればよい。
合金化処理炉(13)内に導入され、本発明に従って5
20〜700℃の温度域に5〜30秒間保持する加熱処
理を受けて合金化反応(L‐Zn+Fe→δ1)を完了
し、ついで冷却装置(14)内に導入され、合金化反応
を停止するための急速冷却、好ましくは気水混合流体を
冷媒とし、40℃/以上の冷却速度で300℃以下の温
度まで降温させる急速冷却が施される。
化反応を停止しためっき鋼板は、ついで後処理工程、例
えば水洗部(15)、調質圧延部(16)、仕上処理部
(17)等で所定の処理を受けて巻取リール(18)に
巻取られる。これらの後処理工程も特別のものではなく
常法に従って行われる工程である。
金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。 (1)めっき原板:Tiキルド鋼冷延板(板厚:0.8
mm) (2)めっき浴:Zn−0.14%Al−0.04%F
e。浴温465℃。 (3)めっき目付量:60g/m2(片面当り) (4)合金化処理炉内での加熱速度:20℃/秒 表1に供試鋼板の合金化処理および急速冷却条件を示
す。
示すように、ドロービード試験機の治具(A)(B)で
両面から挟圧し、ビード部(a1)と(b1)および
(a2)と(b2)の間に挟みつけると共に、その板面
に山形のビード部(b3)を押付けた状態に保持して矢
符方向に引き抜くドロービート試験を行う(試験板は、
曲げ・曲げ戻し加工と摺動加工が加えられる)。試験
後、板面に接着テープ(「セロテープ」)を付着させ
て、引き剥がし、接着テープの付着剥離片の亜鉛および
鉄の量を化学分析により求め、これを剥離量として加工
性の良否を評価する。 供試板面サイズ:30×300,mm 挟圧力:500Kgf,引抜速度:200mm/分, 摺動距離:130mm,接着テープ面積:24×125
mm 表1の右欄に上記ドロービード試験による加工性の評価
を示す。「加工性」欄の各記号は、次のとおりである。 ○:剥離量 40mg未満 △:剥離量 40mg以上、80mg未満 ×:剥離量 80mg以上
o.101〜106は比較例である。比較例のうちN
o.101とNo.102は、合金化処理温度が高過ぎ
る例、No.103は、合金化処理条件およびその後の
急速冷却における冷却速度は本発明の規定を満たしてい
るが、急速冷却の到達温度が本発明の規定からはずれて
いる例、No.104とNo.105は、合金化処理条
件および急速冷却到達温度は本発明の規定を満たしてい
るが、冷却速度が不足している例、No.106は、合
金化処理条件は本発明の規定を満たしているが、急速冷
却における冷却速度が不足すると共に冷却到達温度が高
過ぎる例である。同表に示したとおり、比較例No.1
01〜106はいずれも、めっき層の剥離(パウダリン
グ)を生じ、特にNo.106のそれは顕著であり、他
方発明例No.1〜6は剥離は殆どなく、強加工に耐え
得る良好な加工性を有している。
めっき鋼板は加工性にすぐれ、曲げ等の強加工をうけて
も、めっき層に剥離欠陥を生じない健全なめっき品質を
有している。厚目付け製品であっても良好な加工性が与
えられる。従って、自動車用防錆鋼板等として有用であ
る。
明図。
金化処理炉,14:冷却装置。
Claims (1)
- 【請求項1】 溶融亜鉛めっき鋼板を、520 〜700 ℃の
温度域に5〜30秒間加熱保持することにより亜鉛めっき
層を合金化処理したのち、冷却速度 40 ℃/秒以上で、
300 ℃以下の温度まで冷却することにより合金化反応を
停止することを特徴とする加工性にすぐれた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3133807A JP2747745B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | 加工性にすぐれた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3133807A JP2747745B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | 加工性にすぐれた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04301061A JPH04301061A (ja) | 1992-10-23 |
JP2747745B2 true JP2747745B2 (ja) | 1998-05-06 |
Family
ID=15113499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3133807A Expired - Fee Related JP2747745B2 (ja) | 1991-03-28 | 1991-03-28 | 加工性にすぐれた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2747745B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104342541A (zh) * | 2014-11-24 | 2015-02-11 | 武汉钢铁(集团)公司 | 具有特超深冲铁锌合金镀层的钢板生产方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02170960A (ja) * | 1988-12-23 | 1990-07-02 | Nippon Steel Corp | 合金化亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
-
1991
- 1991-03-28 JP JP3133807A patent/JP2747745B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH04301061A (ja) | 1992-10-23 |
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