JP2746090B2 - 光制御デバイスおよびその製造方法 - Google Patents

光制御デバイスおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2746090B2
JP2746090B2 JP5334317A JP33431793A JP2746090B2 JP 2746090 B2 JP2746090 B2 JP 2746090B2 JP 5334317 A JP5334317 A JP 5334317A JP 33431793 A JP33431793 A JP 33431793A JP 2746090 B2 JP2746090 B2 JP 2746090B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
buffer layer
film
optical
control device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5334317A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07199238A (ja
Inventor
俊之 神戸
裕 西本
豊 賣野
直樹 北村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP5334317A priority Critical patent/JP2746090B2/ja
Publication of JPH07199238A publication Critical patent/JPH07199238A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2746090B2 publication Critical patent/JP2746090B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光集積回路に形成される
光制御デバイスおよびその製造方法に関し、特に電気光
学効果を有する基板中に形成された光導波路を用いて光
路制御を行う導波路型の光制御デバイスおよびその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信システムの実用化進展に伴ない、
高度の光信号処理手段が数多く求められている。この光
信号処理手段の一つが、光集積回路に形成された光導波
路の物性制御により光変調,光スイッチ等を行う光制御
デバイスである。この種の光制御デバイスでは、光学的
および電気的性能,例えばスイッチング電圧(電力),
クロストーク,消光比,損失,切り替え速度等の光学
的,電気的特性とともに、実用的には、安定性,例えば
温湿度などの環境変動,および電圧の連続印加などに対
する動作安定性も要求される。この種の光制御デバイス
においては、上記特性項目のうち、電圧の連続印加に対
する動作安定性の確保,つまり動作点シフト(DCドリ
フトともいう)の抑圧が特に重要である。
【0003】上述のDCドリフトを改善する光制御デバ
イスが、公開特許公報(平4−19115号)に開示さ
れている。図5は開示された光制御デバイスの構造を示
す断面図である。この光制御デバイスは、ニオブ酸リチ
ウム(LiNbO3 )あるいはタンタル酸リチウム(L
iTaO3 )等の電気光学効果を有する基板1に2本の
光導波路2aおよび2bを形成した方向性結合器であ
る。光導波路2aおよび2bを含む基板1上にはバッフ
ァ層4を装荷し、このバッファ層4を介して光導波路2
aおよび2aの上に金属材料からなる電極6aおよび6
bが形成される。バッファ層4には、光導波路2aおよ
び2bを伝搬する光が電極6a,6bおよび後述する導
電体膜7に吸収されるのを防ぎ,またスイッチング電圧
を小さくするため、光の吸収率が少なく、また屈折率が
基板1の屈折率(LiNbO3 の場合,約2.2)より
小さい酸化シリコン(SiO2 ,屈折率≒1.45)等
が使用される。電極6a,6bの上と電極6a,6bの
形成されないバッファ層4の上とには、シリコン(S
i)からなる導電性膜7が形成されている。この導電体
膜7は、強誘電体でもある基板1が温度変動が発生した
場合の焦電効果により生ずる電荷移動,つまりこれに伴
なうスイッチ動作の不安定化を防ぐ効果がある。また、
この光制御デバイスは、電極6aおよび6bのそれぞれ
直下にあるバッファ層4を分離するようにバリア層8を
設けている。このバリア層8にはバッファ層4よりイオ
ン伝導率が低く、しかも光の吸収率の小さな弗化マグネ
シウム(MgF2 ),シリコン(Si),燐(P)等を
ドープしたSiO2 などが使用できる。
【0004】この従来の光制御デバイスは、DCドリフ
トを抑圧するためにバリア層8を設けたものである。以
下、バリア層8のない場合における上記DCドリフトの
発生について説明する。いま、電極6aをアース電位と
し,電極6bに直流電圧を連続印加すると、バッファ層
4中の可動イオンが電界により移動(分極)し、電極6
aおよび6bの下には外部から印加した電圧の符号とは
逆のイオンが集まる。従って、電極6aと6bとの間に
は、外部からの印加電圧で発生する基板1中の電界に対
して反電界が発生する。この反電界の大きさは、時間と
ともにイオンの総移動量が増加するために大きくなって
いく。この現象がDCドリフトである。外部からの上記
印加電圧を一定としている場合、反電界が発生すると光
導波路2aと2bとの間に印加される電界が減少するこ
とになり、初期に設定したこの光制御デバイスの特性が
変化あるいは劣化することになる。つまり、バリア層8
のない光制御デバイスは、電極6bに直流電圧を連続印
加すると時間とともに反電界が大きくなって特性変化,
例えばスイッチ動作の動作電圧点シフト(DCドリフ
ト)を生じるので、実用性に問題がある。
【0005】図5の光制御デバイスは、上述の問題を解
消するためにバリア層8を設けている。つまり、この光
制御デバイスは、電極6aおよび電極6b各各の直下に
あるバッファ層4をバリア層8により物理的に分離して
バッファ層4内のイオン移動を阻止し、DCドリフトの
発生を防いでいる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の光制御
デバイスは、バリア層を設けることでバッファ層内のイ
オン移動を阻止してDCドリフトを防いでいる。しか
し、この種の光制御デバイスにおいては、上記バッファ
層内に可動イオンとなる不純物イオンが存在する限り、
どのような構造をとっても上述のイオン移動をなくする
ことは困難である。従って、この種の光制御デバイスの
DCドリフトを実用的になるまで減少させるには、ま
ず、基板から上記バッファ層内への可動イオンになりや
すいナトリウム(Na),リチウム(Li),カリウム
(K)等のアルカリ金属イオンを始めとする不純物イオ
ンの混入を少なくする必要がある。このバッファ層への
イオン混入は、主として、上記バッファ層を形成したあ
との熱処理時に、上記基板の表面から上記バッファ層へ
の上記アルカリ金属の酸化物,例えば酸化リチウム(L
2 O)の拡散(外拡散)が生じ、これらバッファ層に
拡散されたアルカリ金属酸化物がアルカリ金属イオンと
なることによって生ずる。なお、熱処理時には、上記基
板からは、アルカリ金属イオンに限らず、別の不純物イ
オンの拡散も生じやすい。
【0007】また、従来の光制御デバイスは、光導波路
および基板の表面から上記バッファ層へのLi2 O等の
拡散による上記基板の結晶性低下を避けることができ
ず、温度変化に起因する上記基板の結晶歪みにより光導
波路の屈折率等の変化を生じるので、デバイス動作電圧
等の温度特性に悪影響を生ずるという欠点があった。
【0008】さらに、上記外拡散が発生すると、この光
制御デバイスの熱処理に用いる炉心管にLi等のアルカ
リ金属が浸入し、この炉心管の耐久性が低下するという
問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の光制御デバイス
の一つは、電気光学効果を有する基板と、前記基板の表
面部分に構成した複数の光導波路と、前記光導波路の表
面に形成した半導電膜と、前記半導電膜表面上の前記光
導波路各各に対応する場所に積層した前記基板および前
記光導波路より誘電率が低く,しかも前記半導電膜より
イオン拡散係数の高い誘電体からなるバッファ層と、
記バッファ層各各の表面にそれぞれ形成した電極とを有
る光制御デバイスにおいて、前記基板の表面の前記バ
ッファ層を積層していない部分の前記半導電膜を熱処理
により変成した絶縁体膜と、前記電極および前記バッフ
ァ層および前記絶縁体膜の各各の表面を覆う導体性膜と
をさらに有する。
【0010】この光制御デバイスの製造方法は、前記光
導波路を形成した後の前記基板の表面に前記半導電膜を
形成する工程と、前記半導電膜の表面の前記光導波路各
各の表面に対応する場所に前記バッファ層を形成する工
程と、前記電極の形成されない部分にある前記バッファ
層および前記半導電膜を前記基板の現れるまでエッチン
グする工程とを有する。
【0011】
【0012】この光制御デバイスの製造方法は、前記光
導波路を形成した後の前記基板の表面に前記半導電膜を
形成する工程と、前記半導電膜の表面の前記光導波路各
各の表面に対応する場所に前記バッファ層を形成する工
程と、前記バッファ層の前記電極の形成されない部分を
前記半導電膜の現れるまでエッチングする工程と、熱処
理により前記半導電膜の前記バッファ層に覆われていな
い部分を前記絶縁体膜にする工程とを有する。
【0013】また、本発明の光制御デバイスの別の一つ
は、電気光学効果を有する基板と、前記基板の表面部分
に構成した複数の光導波路と、前記基板の表面および前
記光導波路の表面に配置した半導電膜の熱処理により
成した絶縁体膜と、前記光導波路各各の表面に対応する
前記絶縁体膜の表面に形成した前記基板および前記光導
波路より誘電率の低い誘電体からなるバッファ層と、前
記バッファ層各各の表面にそれぞれ形成した電極と、前
記電極および前記バッファ層および前記絶縁体膜の各各
の表面を覆う導体性膜とを有する。
【0014】この光制御デバイスの製造方法は、前記光
導波路を形成した後の前記基板の表面に前記半導電膜を
形成する工程と、熱処理により前記半導電膜を前記絶縁
体膜にする工程と、前記絶縁体膜の表面の前記光導波路
各各の表面に対応する場所に前記バッファ層を形成する
工程と、前記バッファ層の前記電極の形成されない部分
を前記絶縁体膜の現れるまでエッチングする工程とを有
する。
【0015】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。
【0016】図1は、本発明の第1の実施例の構造図で
あり、(a)は導電性膜7を除いて示す平面図、(b)
は導電性膜7も含んだ本実施例の断面図である。
【0017】本実施例の光制御デバイスは、図5の光制
御デバイスとほぼ同じ構成の光方向性結合器であり、図
5の光制御デバイスと対比すると、光導波路2aとバッ
ファ層4(4a)との間および光導波路2bとバッファ
層4(4b)との間に半導電膜3aおよび半導電膜3b
をそれぞれ追加し、基板1と導電性膜7との間のバッフ
ァ層4を高抵抗の絶縁体からなる絶縁体膜5a,5bお
よび5cにそれぞれ替え、またバリア層8を省いてい
る。
【0018】この光方向性結合器は、光導波路2aの両
端をそれぞれ光端子11および13とし、光導波路2b
の両端をそれぞれ光端子12および14とする。光端子
11と12とがLiNbO3 で作られた基板1の同一面
に位置し、光端子13と14とがこの面と逆の面に位置
する。光端子11ないし14をそれぞれ波長1.3μm
程度の光の入出力端子とする。また、電極6aに電気端
子21から第1の電位,電極6bに電気端子22から第
2の電位を与えることによって、導波路2aおよび2b
に電極6aと6bとの間の電位差に応じた電気光学効果
を与える。
【0019】光導波路2aおよび2bは単一モード導波
路であり、光導波路2aおよび2bを長さLに亘って光
波長の5倍程度に接近させて光の結合領域を構成させ
る。光端子11から光を入力し、光端子12からは入力
しないときには、光の結合領域にある光導波路2aおよ
び2bには、互いに直交する正規モードとして、偶モー
ドと奇モードの光が伝搬する。上記結合領域の入力端で
は、偶モードと奇モードの位相が等しいが、上記結合領
域を伝搬する間に上記2つのモードの間に位相差が生じ
る。上記結合領域の長さLは上記位相差がπ(ラジア
ン)の奇数倍となるように設定してあり、電極6aと6
bとの間に電位差を与えない状態(つまり、光導波路2
aと2bとの間に電界を加えない状態)では、光端子1
1からの光はすべて光端子14へ伝搬する。このように
光端子13に光出力がない状態をOFF状態とする。
【0020】次に、電極6aと6bとの間に電位差を与
えると、光導波路2aおよび2bに電気光学的効果によ
る屈折率変化が起こる。この屈折率変化は、上記結合領
域の出力端における上記2モード間の位相差を変化させ
る。上記結合領域での2モード間の位相差が0またはπ
の偶数倍になるように、光導波路2aと2bとの間に電
界を与えると、即ち、電気端子21と22との間に電圧
を加えると、光端子11から入射した光はすべて光端子
13へ出力され、光端子14にはなにも出力されない。
この状態をON状態とする。
【0021】つまり、この光方向性結合器は、電極6a
と6bとの間に電位差を与えない状態において上記結合
領域の出力端で光の偶モードと奇モードとの位相差がπ
の奇数倍になり、電極6aと6bとの間に特定の電位差
を与えた状態において上記結合領域の出力端で光の偶モ
ードと奇モードとの位相差が0またはπの偶数倍になる
ように、上記結合領域長Lを定めると、電気端子21と
22に加える電圧を変化させることによって、光端子1
1から入射した光を光端子13および14においてスイ
ッチ(または振幅変調)することができる。光端子12
からの光は、上述の電圧印加条件では、上述と逆のスイ
ッチ動作を行なうことになる。上述のとおり、この光方
向性結合器はスイッチング動作の可能な光制御デバイス
として使用できる。
【0022】さて、本実施例の光制御デバイスにおい
て、半導電膜3aおよび3bは、バッファ層4aおよび
4bよりイオン拡散係数の低い層である。この半導電膜
3aおよび3bを設けることにより、この光制御デバイ
スでは、光導波路2a,2bの表面および基板1の表面
からバッファ層3aおよび3bへのLiイオンの拡散
(基板1からLiが抜けるので外拡散ともいう)を防
ぎ、従って、バッファ層3aおよび3bにおいてLiイ
オンによって形成される反電界の発生を防止するので、
この反電界の発生に伴なう動作点のDCドリフトがな
く、長期に亘って動作安定性をよくすることができる。
なお、半導電膜3aおよび3bには、バッファ層4aお
よび4bがSiO2 ならば、SiO2 よりイオン拡散係
数が低く、また後述の酸素雰囲気中の熱処理によって高
抵抗の絶縁膜に変化させることのできる,Si,チタン
(Ti),銅(Cu),バナジウム(V),コバルト
(Co)および亜鉛(Zn)等の導電性ないし半導電性
を示す物質を用いることができる。
【0023】また、絶縁体膜5a,5cおよび5bは、
電極6aと6bとの間に電圧を加えても、絶縁体の効果
により、電極6aと6bとの間に電流リークを生じるの
を防ぎ、この光方向性結合器の良好なスイッチング特性
を維持することに役立つ。なお、半導電膜3aおよび3
bと同じ材料であるSi,Ti,Cu,V,Coおよび
Zn等を酸素雰囲気中の熱処理すると、これらを高抵抗
の絶縁膜とすることができ、この絶縁物を絶縁体膜5a
および5bとして使用できる。
【0024】図2は第1の実施例の製造工程を示す断面
図であり、(a)はバッファ層形成工程、(b)はエッ
チング工程、(c)は熱処理工程、(d)は導電性膜形
成工程である。
【0025】この光制御デバイスの第1の工程であるバ
ッファ層形成工程では、まず基板1にチタン(Ti)等
を熱拡散し、屈折率が基板1より0.01程度大きな光
導波路2aおよび2bを形成する。次に、真空中での蒸
着,電子ビーム蒸着およびスパッタ等により、半導電膜
3を基板1および光導波路2a,2b上に0.01μm
〜10μmの範囲内で装荷する。この半導電膜3は図1
に示した半導電膜3aおよび3bの元の状態である。な
お、半導電膜3の材料が基板1および光導波路2aおよ
び2bに拡散し、これが基板1および光導波路2aおよ
び2bの材料と化学反応を起して別の化合物を生成して
も、本実施例の効果を妨げない。例えば、本実施例のよ
うに基板1がLiNbO3 であり、半導電膜3がSi,
Ti,モリブデン(Mo)および鉄(Fe)等である
と、基板1(および光導波路2a,2b)表面の組成
が、SiO2 ,酸化チタン(TiO2 ),酸化モリブデ
ン(MoO)および酸化鉄(Fe2 3 )等に一部酸化
されることがある。これらの化合物もバッファ層4より
イオン拡散係数が低いので、半導体膜3はイオンのバリ
ア層の役割を保つ。次に、バッファ層4を半導体膜3の
上に0.01μm〜1000μmの範囲内で形成する。
例えばバッファ層4が本実施例のSiO2 または酸化ア
ルミニウム(Al2 3 )の場合には、スパッタ,CV
Dおよび電子ビーム蒸着等で上記形成を行うことができ
る。
【0026】ここで、半電導膜3は、その低いイオン拡
散係数の効果により、後述するアニール等の熱処理工程
において、基板1および光導波路2aおよび2bからL
i等の不純物イオンがバッファ層4および外部に拡散す
るのを防ぐものである。半電導膜3内における不純物イ
オン拡散はアルカリイオンの拡散係数にほぼ等しい。例
えば、熱処理温度800〜1100°CにおけるMo内
でのナトリウムイオン(他のアルカリイオンにも適用可
能と考えられる)の拡散係数は3×10-9(cm2
s),熱処理温度600〜800°CにおけるFe内で
の拡散係数は5.8×10-9(cm2 /s)である。一
方、バッファ層4に用いるSiO2 の熱処理温度(アニ
ール時)600〜800°Cにおけるイオン拡散係数は
10-7〜10-6(cm2 /s)である。従って、後工程
の熱処理時における基板1および光導波路2aおよび2
bからドリフト層4および外部への最大の不純物イオン
であるLiの外拡散が、半導電膜3を設けることにより
2桁程度も減少する。
【0027】次に、第2の工程であるエッチング工程で
は、電極6aおよび6bをその上に形成すべきバッファ
層4aおよび4bを残して、バッファ層4を半導電膜3
の表面が現れるまでエッチングする。このエッチング工
程では、一般にLSIのプロセスにおいて使用されてい
るケミカルエッチング,ドライエッチング,イオンビー
ムエッチングおよび反応性イオンビームエッチング等を
使用できる。
【0028】次に、第3の工程である熱処理工程では、
バッファ層3の表面が現れた部分を深さ方向に高抵抗の
絶縁体膜5a,5bおよび5cに変化させるため、酸素
雰囲気中での熱処理を行う。この熱処理は、本実施例の
半導電膜3がSiであるので、Siを酸化させてSiO
2 にする条件で行う。例えば、基板1を700°Cにし
て10時間程度置くと、半導電膜3は0.05〜5μm
程度の厚さの絶縁体膜5a,5bおよび5cに成長す
る。なお、絶縁体膜5bの幅は、光導波路2aと2bの
間を絶縁できる程度あればよい。
【0029】最後の第4の工程である導電性膜形成工程
では、まず、バッファ層4a,4bおよび絶縁体膜5
a,5b,5cの表面にTi,AiおよびMo等の金属
をスパッタ等で成膜し、これを電極6aおよび6bの部
分をマスクしてエッチングし、電極6aおよび6bを形
成する。次に、バッファ層4aおよび4b,絶縁体膜5
aないし5c,電極6aおよび6bの表面にSiをスパ
ッタ等で成膜し、このあと、60°C〜200°Cの酸
素または窒素雰囲気でアニールし、Si膜の一部を酸化
または窒化してSiO2 または酸化珪素(Si3 4
とし、膜の比抵抗をSiのそれより増した導電性膜7を
形成する。従って、電極6aと6bとを導電性膜7によ
って短絡させる恐れはない。この導電性膜形成工程の最
終形態を示す図(図2(b))は、図1(b)の断面図
と同じである。なお、電極6aおよび6bには、図示し
ない電気端子21および22との導体接続のための構造
を設けてある。
【0030】上述のとおり、図2(a)ないし(d)の
製造工程をとることによって、図1の光制御デバイスを
作ることができる。この製造工程による光制御デバイス
は、バッファ層形成工程(図2(a))において、イオ
ンの拡散(外拡散)を少なくするバリアである半導電膜
3を生成するので、熱処理工程(図2(c))におい
て、可動イオンになりやすいリチウム(Li)イオン
等,アルカリ金属イオンのバッファ層4内への混入をご
く少なくできるという効果がある。また、図2の製造工
程においては、上述のとおり、基板1(および光導波路
2a,2b)からの外拡散が少ないので、熱処理に用い
る炉心管に上記アルカリ金属が浸入する恐れもなく、こ
の炉心管の耐久性が低下するという問題をなくすること
ができる。さらに、この製造工程をとると、半導電膜3
を熱処理により絶縁体膜5aないし5bに転化するの
で、製造工程が簡単であるという効果もある。
【0031】なお、基板1としては、本実施例のLiN
bO3 の他に、これと同様の強誘電性ペロブスカイト結
晶を有するLiTaO3 も勿論同様に用いることができ
る。また、基板1が組成中にアルカリ金属を持たない電
気光学効果を有する物質であっても、本実施例の光制御
デバイスは、半導電膜3(または3a,3b)を設ける
ことによって、熱処理時に生ずる不純物イオンのバッフ
ァ層4(または4a,4b)への拡散を妨げることがで
きる。
【0032】図3は本発明の第2の実施例の断面図であ
る。
【0033】この光制御デバイスは、第1の実施例のエ
ッチング工程において、バッファ層4とともに半導電膜
3のエッチングも行う。即ち、電極6aおよび6bを形
成しない場所にあるバッファ層4および半導電膜3を基
板1の表面が現れるまでエッチングする。その後、上述
の導電膜形成工程におけると同様に、電極6aおよび6
bの形成を行う。なお、導電膜7の形成は行わない。
【0034】この光制御デバイスは、第1の実施例にお
ける電極6a(およびバッファ層4aおよび半導電膜3
a)と電極6b(およびバッファ層4bおよび半導電膜
3b)との間の半導電膜7および絶縁体膜5bをなくし
たので、電極6aと6bとの間の絶縁性が向上し、スイ
ッチング動作における電流リークを減少させることがで
きる。
【0035】図4は本発明の第3の実施例の断面図であ
る。
【0036】この光制御デバイスは、第1の実施例にお
ける半導電膜3aおよび3bをも絶縁体膜5aおよび5
bと同じ絶縁体膜5とする。この絶縁体膜5は絶縁体膜
5aおよび5bを含むものである。
【0037】この光制御デバイスは、Si,Ti,C
u,V,CoおよびZn等の半導電性ないし導電性を示
す物質を半導電膜3aおよび3aとして用いる場合よ
り、光の伝搬損失を少なくすることができる。即ち、第
1および第2の実施例の光制御デバイスでは、光波長領
域において光導波路2aおよび2b上の半導電膜3aお
よび3bが負の誘電率を有するとともに損失の大きい誘
電体としてふるまうので、光の伝搬損失が多くなり勝ち
である。
【0038】第3の実施例の光制御デバイスは、第1の
実施例のバッファ層形成工程において、バッファ層4を
装荷する前に熱処理工程におけると同様に熱処理し、半
導電膜3を絶縁体膜5に変化させる。バッファ層4aお
よび4bはこの絶縁体膜5の上に装荷される。従って、
この光制御デバイスの製造では、エッチング工程のあと
に、第3の工程の熱処理工程を必要としない。即ち、エ
ッチング工程のあとに直ちに導電性膜形成工程を実行
し、バッファ層4a,4bおよび絶縁体膜5a,5b,
5cの表面に電極6aおよび6bを形成し、さらにバッ
ファ層4aおよび4b,絶縁体膜5aないし5c,電極
6aおよび6bの表面に導電性膜7を形成する。
【0039】なお、上記第1,第2および第3の実施例
では光方向性結合器を光制御デバイス例として説明した
が、本発明の光制御デバイスおよびその製造方法は、マ
ッハツェンダ型,交差導波路を用いた全反射型等のすべ
ての光制御デバイスおよびその製造に有効であるのは明
らかである。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、基板およ
び光導波路の表面にイオン伝導率の低い半導電膜または
絶縁体膜のいずれかを形成し、しかる後にバッファ層を
形成する構成および製造方法をとるので、バッファ層形
成後の熱処理時に上記基板および光導波路から上記バッ
ファ層および外部へのアルカリ金属イオンの外拡散を防
ぐことができる。
【0041】従って、本発明の光制御デバイスは、上記
バッファ層内のイオン移動によって生ずるDCドリフト
を実用的になるまで減少させることができ、また基板の
結晶性低下も減少できるので、温度特性を向上させるこ
とができる。
【0042】さらに、本発明は、上記外拡散の減少によ
り、この光制御デバイスの熱処理に用いる炉心管へのL
i等のアルカリ金属の浸入を減少させることができるの
で、上記炉心管の耐久性を向上させる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の構造図であり、(a)
は導電性膜7を除いて示す平面図、(b)は導電性膜7
も含んだ本実施例の断面図である。
【図2】第1の実施例の製造工程を示す断面図であり、
(a)はバッファ層形成工程、(b)はエッチング工
程、(c)は熱処理工程、(d)は導電性膜形成工程で
ある。
【図3】本発明の第2の実施例の断面図である。
【図4】本発明の第3の実施例の断面図である。
【図5】従来の光制御デバイスの断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2a,2b 光導波路 3,3a,3b 半導電膜 4,4a,4b バッファ層 5,5a〜5c 絶縁体膜 6a,6b 電極 7 導電性膜 8 バリア層 11〜14 光端子 21,22 電気端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 直樹 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−175027(JP,A) 特開 平7−20508(JP,A) 特開 平7−64126(JP,A) 特開 平4−19714(JP,A) 欧州特許出願公開554593(EP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気光学効果を有する基板と、前記基板
    の表面部分に構成した複数の光導波路と、前記光導波路
    の表面に形成した半導電膜と、前記半導電膜表面上の前
    記光導波路各各に対応する場所に積層した前記基板およ
    び前記光導波路より誘電率が低く,しかも前記半導電膜
    よりイオン拡散係数の高い誘電体からなるバッファ層
    と、前記バッファ層各各の表面にそれぞれ形成した電極
    を有する光制御デバイスにおいて、 前記基板の表面の前記バッファ層を積層していない部分
    の前記半導電膜を熱処理により変成した絶縁体膜と、前
    記電極および前記バッファ層および前記絶縁体膜の各各
    の表面を覆う導電性膜とをさらに 有することを特徴とす
    る光制御デバイス。
  2. 【請求項2】 電気光学効果を有する基板と、前記基板
    の表面部分に構成した複数の光導波路と、前記基板の表
    面および前記光導波路の表面に配置した半導電膜の熱処
    理により形成した絶縁体膜と、前記光導波路各各の表面
    に対応する前記絶縁体膜の表面に形成した前記基板およ
    び前記光導波路より誘電率の低い誘電体からなるバッフ
    ァ層と、前記バッファ層各各の表面にそれぞれ形成した
    電極と、前記電極および前記バッファ層および前記絶縁
    体膜の各各の表面を覆う導電性膜とを有することを特徴
    とする光制御デバイス。
  3. 【請求項3】 電気光学効果を有する基板と、前記基板
    の表面部分に形成した複数の光導波路と、前記光導波路
    各各の表面に対応する場所に所定工法で形成した前記基
    板および前記光導波路より誘電率の低い誘電体からなる
    バッファ層と、前記バッファ層各各の表面にそれぞれ形
    成した電極と、前記光導波路の表面と前記バッファ層と
    の間にそれぞれ形成した前記バッファ層よりイオン拡散
    係数の低い物質からなる半導電膜と、前記基板の表面の
    前記バッファ層の形成されない部分に形成した絶縁体膜
    とを有する光制御デバイスの製造方法であって、 前記光導波路を形成した後の前記基板の表面に前記半導
    電膜を形成する工程と、前記半導電膜の表面の前記光導
    波路各各の表面に対応する場所に前記バッファ層を形成
    する工程と、前記バッファ層の前記電極の形成されない
    部分を前記半導電膜の現れるまでエッチングする工程
    と、熱処理により前記半導電膜の前記バッファ層に覆わ
    れていない部分を前記絶縁体膜にする工程とを有するこ
    とを特徴とする光制御デバイスの製造方法。
  4. 【請求項4】 電気光学効果を有する基板と、前記基板
    の表面部分に構成した複数の光導波路と、前記基板の表
    面および前記光導波路の表面に形成した絶縁体膜と、
    記光導波路各各の表面に対応する場所の前記絶縁体膜の
    表面に形成した前記基板および前記光導波路より誘電率
    の低い誘電体からなるバッファ層と、前記バッファ層各
    各の表面にそれぞれ形成した電極と、前記電極および前
    記バッファ層および前記絶縁体膜の各各の表面を覆う
    体性膜とを有する光制御デバイスの製造方法であって、 前記光導波路を形成した後の前記基板の表面に前記半導
    電膜を形成する工程と、熱処理により前記半導電膜を前
    記絶縁体膜にする工程と、前記絶縁体膜の表面の前記光
    導波路各各の表面に対応する場所に前記バッファ層を形
    成する工程と、前記バッファ層の前記電極の形成されな
    い部分を前記絶縁体膜の現れるまでチングする工程
    とを有することを特徴とする光制御デバイスの製造方
    法。
JP5334317A 1993-12-28 1993-12-28 光制御デバイスおよびその製造方法 Expired - Lifetime JP2746090B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5334317A JP2746090B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 光制御デバイスおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5334317A JP2746090B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 光制御デバイスおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07199238A JPH07199238A (ja) 1995-08-04
JP2746090B2 true JP2746090B2 (ja) 1998-04-28

Family

ID=18276006

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5334317A Expired - Lifetime JP2746090B2 (ja) 1993-12-28 1993-12-28 光制御デバイスおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2746090B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007328257A (ja) 2006-06-09 2007-12-20 Fujitsu Ltd 光導波路、光デバイスおよび光導波路の製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2730465B2 (ja) * 1993-12-21 1998-03-25 日本電気株式会社 光制御デバイスとその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07199238A (ja) 1995-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5435873B2 (ja) 耐湿性電気光学デバイス
US7418173B2 (en) Waveguide type optical control element and process for its fabrication
JPH0784228A (ja) 誘電体光導波路デバイス
JP2894961B2 (ja) 光制御デバイス
WO2002023261A1 (fr) Modulateur optique de type guide d'onde optique et son procede de production
US6195191B1 (en) Optical devices having improved temperature stability
EP1043617B1 (en) Optical waveguide device with enhanced stability
JP2746090B2 (ja) 光制御デバイスおよびその製造方法
JP2574606B2 (ja) 誘電体光導波路素子およびその製造方法
CA2159129C (en) Optical control device and method for making the same
JP2008233513A (ja) 光変調器
JP2503880B2 (ja) 光制御デバイスの製造方法
JP3021888B2 (ja) 光導波路機能素子及びその製造方法
JP2730465B2 (ja) 光制御デバイスとその製造方法
CN112558329A (zh) 一种基于石墨烯的偏振无光电光调制器
JP4137680B2 (ja) 光制御素子の製造方法
WO2001001190A1 (fr) Composant optoelectronique et son procede de fabrication
JP2850899B2 (ja) 光制御デバイス
JP2624199B2 (ja) 光制御デバイスとその製造方法
JPH0815657A (ja) 導波路型電気光学素子
JP2574602B2 (ja) 光導波路素子
JPH09269469A (ja) 光導波路デバイス
JP2924316B2 (ja) 光変調素子
CA2256216C (en) Optical control device and method for making the same
JP3050202B2 (ja) 光導波路デバイスおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080213

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090213

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110213

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110213

Year of fee payment: 13

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120213

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120213

Year of fee payment: 14

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130213

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130213

Year of fee payment: 15

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140213

Year of fee payment: 16

EXPY Cancellation because of completion of term