JP2746081B2 - Adコンバータ回路 - Google Patents

Adコンバータ回路

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JP2746081B2 JP5257736A JP25773693A JP2746081B2 JP 2746081 B2 JP2746081 B2 JP 2746081B2 JP 5257736 A JP5257736 A JP 5257736A JP 25773693 A JP25773693 A JP 25773693A JP 2746081 B2 JP2746081 B2 JP 2746081B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、逐次比較型のADコ
ンバータ回路に関する。
【0002】
【従来の技術】逐次比較型ADコンバータは、順次変化
する比較基準電圧を出力する基準電圧発生回路と、この
基準電圧発生回路の出力とサンプルホールドされたアナ
ログ入力とを比較して順次ビットデータを決定する比較
回路とを有する。図3に従来のADコンバータ回路例を
示す。サンプルホールド回路1は、入力端子6から入力
されるディジタル化すべきアナログ入力電圧をサンプリ
ングしてホールドする。DAコンバータ2は、比較基準
電圧を発生する回路である。DAコンバータ2の出力と
サンプルホールド回路1の出力がそれぞれスイッチS
1,S2を介してコンデンサC1に順次供給されるよう
になっている。コンデンサC1の他端はインバータI1
の入力端に接続されている。インバータI1には並列に
スイッチS3が接続されている。これらのコンデンサC
1,インバータI1,スイッチS3の部分が比較回路3
を構成している。
【0003】図3の例では、インバータのI1の出力端
に更に、コンデンサC2,インバータI2,コンデンサ
C3,インバータI3,I4が接続されている。インバ
ータI2,I3にはそれぞれスイッチS4,S5が並列
接続されている。インバータを多段接続しているのは、
DAコンバータのLSB電圧を比較するのに必要なゲイ
ンを得るためである。インバータI4の出力が逐次比較
変換ロジック4に供給され、ここでディジタルデータが
生成される。またこの逐次比較変換ロジック4により、
比較基準電圧のもとになるデータがDAコンバータ2に
送られ、各部スイッチS1〜S5の制御がなされる。
【0004】この種のADコンバータ回路を例えば、C
MOS型のICとして構成する場合、サンプルホールド
回路1を除く残りの部分が1チップ化される。DAコン
バータ2は、CMOSによる抵抗ストリング型として構
成される。スイッチS1〜S5にはCMOSスイッチが
用いられ、コンデンサもICチップ内で酸化膜等により
形成される。
【0005】サンプルホールド回路1から得られる入力
信号電圧とDAコンバータ2から得られる基準電圧との
比較動作は、二つのサイクルで行われる。最初のサイク
ルでは、スイッチS1,S3,S4,S5をオン、スイ
ッチS2をオフとする。このときCMOSで構成される
インバータI1〜I3の全ては入出力が短絡されるた
め、入出力電位が電源電位VDDの1/2となり、センタ
ー電位にリセット(入力が交流信号であるため、センタ
ー電位をゼロとしている)される。この状態でスイッチ
S1を介して、コンデンサC1にはDAコンバータ2の
出力電圧がチャージされる。より具体的にいえば、C1
の入力端側にはDAコンバータ2の出力電位が供給さ
れ、またC1の出力端側にはインバータによるセンター
電位が供給される。次のサイクルでは、スイッチS1,
S3,S4,S5がオフ、スイッチS2がオンとされ
る。これによりインバータI1からI3が反転動作でき
る状態になり、サンプルホールド回路1の出力がコンデ
ンサC1に与えられる。これが基準電圧より高ければ、
インバータI1の入力電位はセンター電位より高くな
り、基準電圧より低ければ、インバータI1の入力電位
はセンター電位より低くなる。従って、センター電位に
対する高低によってビットデータ0,1が決定される。
以下、同様の比較動作が、順次変化する基準電圧のもと
でビット数分繰り返される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特にオーディオ用とし
て用いられるADコンバータは、12〜16ビットディ
ジタル出力のものが多く、内部のDAコンバータ2もそ
れに応じて12〜16ビットディジタル入力のものが必
要である。またビット数が多いことで、比較回路には極
めて高い分解能が要求されるが、その変換速度も速くし
たいという相反した要求がなされる。例えば1チップの
ADコンバータでは、同一チップ内にアナログ信号とデ
ィジタル信号が混在するため、アナログ回路部にディジ
タル回路部から発生されるノイズが乗り易い。また比較
回路部3も大きなゲインを持つためノイズの影響を受け
易い。このノイズの影響を小さくするには、コンデンサ
C1〜C3の容量をある程度以上大きくし、インピーダ
ンスを小さくすることが必要である。特に最も小さい信
号レベルを扱うコンデンサC1の容量を大きくすること
が必要となる。しかし、変換速度はDAコンバータ2が
コンデンサC1を充電するに必要な時間で決まる。DA
コンバータ2の出力インピーダンスは有限であるから、
コンデンサC1の容量増大は変換速度の低下を招く。以
上のように従来の集積化ADコンバータには、分解能の
向上及びS/N向上と、変換速度の向上とを同時に実現
することが難しいという問題があった。
【0007】この発明は、上述したトレードオフの問題
を解決して、高性能化と高速化を図った逐次比較型のA
Dコンバータ回路を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、順次変化す
る比較基準電圧を出力する基準電圧発生手段と、この基
準電圧発生手段の出力とディジタル信号に変換すべきア
ナログ入力とがそれぞれ第1,第2のスイッチを介して
順次供給されて前記比較基準電圧と前記アナログ入力の
電圧を比較し順次ビットデータを決定する比較手段とを
有する逐次比較型のADコンバータ回路において、前記
比較手段は、一端が前記第1及び第2のスイッチに共通
に接続されたコンデンサと、このコンデンサの他端に接
続されたインバータと、このインバータに並列接続され
た第3のスイッチと、前記アナログ入力の電圧レベルに
応じて前記コンデンサの容量を切替える切替え手段とを
備えたことを特徴としている。具体的に、前記切替え手
段は、前記アナログ入力の電圧レベルが所定値より大き
いか否かを前記比較基準電圧,前記アナログ入力のいず
れか一方に基づいて判定して、前記電圧レベルが所定値
より大きい場合に前記コンデンサの容量を小さくする少
なくとも2段階の容量切替えを行うものである
【0009】
【作用】この発明によると、比較回路を構成するコンデ
ンサに対して、アナログ入力の電圧レベルに応じて、電
圧レベルが所定値より大きい場合には容量を小さくす
る、というように少なくとも2段階の容量切替えを行う
ことにより、電圧レベルが小さいときにノイズの影響を
低減し、電圧レベルが大きいときに変換速度を向上させ
ることが可能となり、逐次比較型ADコンバータにおけ
る分解能及びS/Nと変換速度とのトレードオフの問題
が解消される。具体的には例えば、比較回路を構成する
スイッチ及びコンデンサの部分を、容量の大きい系統と
容量の小さい系統の2系統用意して、信号レベルに応じ
てこれらが切替制御されるようにする。即ち、信号電圧
がある値より大きい時は容量の小さい系統が利用され、
信号電圧がそれより小さいときは容量の大きい系統が利
用される。このように信号レベルに応じて比較回路部の
容量切替を行うことにより、ADコンバータの高性能化
と変換速度の向上とを同時に実現することができる。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の実施例を
説明する。図1は、この発明の一実施例に係るADコン
バータ回路を示す。図と対応する部分には図と同一
符号を付して詳細な説明は省略する。図においてDA
コンバータ2の出力を比較回路部に転送する第1のスイ
ッチS1の部分に、この実施例では二つのスイッチS1
a,S1bが設けられている。同様に、サンプルホール
ドされた入力信号電圧を比較回路部に転送する第2のス
イッチS2の部分にこの実施例では、二つのスイッチS
2a,S2bが設けられている。更に図のコンデンサ
C1に対応して、スイッチS1a,S2aに一端が接続
されるコンデンサC1aと、スイッチS1b,S2bに
一端が接続されるコンデンサC1bの2個が設けられて
いる。これらコンデンサC1a,C1bの他端は共通に
インバータI1の入力端に接続されている。この実施例
では、二つのコンデンサC1a,C1bの容量は等しい
ものとする(C1a=C1b=C1)。インバータI1
及びその入出力端子を短絡する第3のスイッチS3の部
分は従来と変わらない。
【0011】スイッチS1a,S1b,S2a,S2b
を、入力信号レベルに応じて切替制御するために切替回
路5が設けられている。切替回路5は、図1ではDAコ
ンバータ2のアナログ出力(絶対値)レベルを検出し
て、これがセンター電位を中心とした所定範囲内である
か否かを判定するウインドウコンパレータを有し、その
判定結果に応じてスイッチS1a,S1b,S2a,S
2b及びコンデンサC1a,C1bの接続状態を切り換
える機能を有する。DAコンバータの出力に応じてスイ
ッチS1a,S1b,S2a,S2bの切替動作を図4
に示す。具体的には、DAコンバータ2の出力がセンタ
ー電位から離れている(出力レベルが大きい)ときに
は、スイッチS1b,S2bはオフ状態に保ち、スイッ
チS1a,S2aのみを動作させる。このときコンデン
サC1a,C1bのうち一方のコンデンサC1aのみが
利用されることになる。センター電位に近い(出力レベ
ルが小さい)ときは、スイッチS1a,S1bを同時
に、また次のサイクル即ちサンプルホールド回路の出力
電位を入力するときはスイッチS2a,S2bを同時に
動作させる。このとき二つのコンデンサC1a,C1b
が並列接続状態で同時に利用される。つまり、DAコン
バータの出力信号レベルに応じて、容量値の異なる二つ
の比較回路の系統が形成されることになる。
【0012】なお図1の例では、コンデンサに充電を行
うDAコンバータ2の出力により入力信号レベルの大小
判定を行っているが、サンプルホールド回路1の出力で
直接入力信号レベルの大小判定を行ってもよい。この場
合を図5に示す。またDAコンバータ2の出力はこれに
入力されるディジタルデータで決まるから、この入力デ
ィジタルデータによってレベル判定を行うようにしても
よい。その場合にはディジタルコンパレータが用いられ
る。上述のDAコンバータ2の出力により検出を行う場
合及びサンプルホールド回路1の出力を検出する場合
は、アナログコンパレータを用いる必要がある。一方、
入力ディジタルデータによる検出の場合には、これらの
回路全体をディジタル回路のみで構成することができ
る。
【0013】この実施例の基本原理を説明する。オーデ
ィオ信号は、電源電圧の中心即ちセンター電位を中心と
して振動する交流信号である。従来例及び図3にて説明
したように比較動作の前、即ちS3からS5がオンの状
態のときインバータの入出力電位はセンター電位にリセ
ットされる。入力信号レベルが小さい時は、逐次比較が
終了しデータが確定したときのDAコンバータ2の出力
もセンター電位にほぼ等しく、コンデンサの充電電圧は
小さい値となる。DAコンバータ2がコンデンサを充電
するカーブは、DAコンバータ2の出力インピーダンス
とコンデンサの容量により決まる対数曲線である。充電
に必要な時間は、コンデンサの充電電位がDAコンバー
タ2の出力電位に達するまでの時間であるが、誤差が
(1/2)LSB以下になればそれ以上の精度は必要な
いので、実際には誤差が(1/2)LSBになるまでの
時間が充電に要する時間となる。これより少ない時間で
変換を行おうとすると、ADコンバータとしての精度が
損なわれる。しかし、許容誤差即ち(1/2)LSBの
大きさはコンデンサに入力される信号の大小によらず一
定であるため、コンデンサに充電される電圧の大きさに
よって(1/2)LSBに入る時間は異なる。
【0014】図2は、コンデンサの容量(インピーダン
ス)を一定、即ち充電時定数を一定として、信号レベル
の大小によりコンデンサへの充電時間が異なる様子を示
している。図示のように、同じ時定数のカーブであって
もセンター電位に近い小さな電圧を充電する時の方がセ
ンター電位から離れた大きな電圧を充電する場合に比べ
て、(1/2)LSBの範囲に入るまでの時間は少なく
て済む。逆にいえば、小さい電圧の場合には大きな容量
を使用できることになる。
【0015】この実施例においては前述のように、信号
電圧が大きいときは一つのコンデンサC1aのみを利用
し、信号電圧が小さいときは両方のコンデンサすC1
a,C1bを同時に用いる。即ち充電時定数を信号レベ
ルに応じて異ならせている。これにより、信号電圧が大
きい時にも高速充電が可能である。一方、オーディオ信
号では信号が大きいときはマスキング効果よりノイズが
気にならなくなり、信号が小さいときにノイズが耳につ
き易くなる。この実施例においては、信号が小さいとき
は容量を大きくすることになるから、小信号時のS/N
が改善されることになる。
【0016】この発明は上記実施例に限られない。例え
ば実施例では同じ容量のコンデンサを2個用意して、小
信号時は二つのコンデンサを並列に使用し、大信号時は
一方のコンデンサのみを使用するように切り換えた。こ
れに対して例えば、容量の異なる2個のコンデンサを用
意して、信号レベルに応じてこれらを使い分けるように
してもよい。また2個より多くのコンデンサを並列接続
して構成してもよい。
【0017】
【発明の効果】以上述べたようにこの発明によれば、比
較回路部のコンデンサ容量を信号レベルに応じて切替制
御することにより、変換動作の高速性と高性能化を同時
に実現した逐次比較型のADコンバータ回路を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例のADコンバータ回路を
示す。
【図2】 同実施例の作用を説明するためのコンデンサ
充電波形を示す。
【図3】 従来のADコンバータ回路を示す。
【図4】 実施例の動作を説明するための図である。
【図5】 他の実施例のADコンバータ回路を示す。
【符号の説明】
1…サンプルホールド回路、2…DAコンバータ、3…
比較回路、4…逐次比較変換ロジック、5…切替回路、
C1a,C1b…コンデンサ、I1…インバータ、S1
a,S1b…第1のスイッチ、S2a,S2b…第2の
スイッチ、S3…第3のスイッチ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 順次変化する比較基準電圧を出力する基
    準電圧発生手段と、この基準電圧発生手段の出力とディ
    ジタル信号に変換すべきアナログ入力とがそれぞれ第
    1,第2のスイッチを介して順次供給されて前記比較基
    準電圧と前記アナログ入力の電圧を比較し順次ビットデ
    ータを決定する比較手段とを有する逐次比較型のADコ
    ンバータ回路において、前記比較手段は、一端が前記第
    1及び第2のスイッチに共通に接続されたコンデンサ
    と、このコンデンサの他端に接続されたインバータと、
    このインバータに並列接続された第3のスイッチと、前
    記アナログ入力の電圧レベルに応じて前記コンデンサの
    容量を切替える切替え手段とを備えたことを特徴とする
    ADコンバータ回路。
  2. 【請求項2】 前記切替え手段は、前記アナログ入力の
    電圧レベルが所定値より大きいか否かを前記比較基準電
    圧,前記アナログ入力のいずれか一方に基づいて判定し
    て、前記電圧レベルが所定値より大きい場合に前記コン
    デンサの容量を小さくする少なくとも2段階の容量切替
    えを行うものであることを特徴とする請求項1記載のA
    Dコンバータ回路。
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