JP2744781B2 - エンジンのヘッドカバーの締め付け装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えば自動二輪車用のエンシンにおいて、
そのシリンダヘッドにヘッドカバーを締め付け固定する
ための装置に関する。 〔従来の技術〕 エンジンの軽量化対策の一つとして、シリンダヘッド
に被さるヘッドカバーを合成樹脂製としたものが知られ
ている。 このヘッドカバーをシリンダヘッドに締め付ける手段
として、従来、第６図に示すように、シリンダヘッド１
に被せられるヘッドカバー２の上面2aに複数のボルト挿
通孔３を設け、これらボルト挿通孔３に挿通したボルト
４をシリンダヘッド１にねじ込むことで、ヘッドカバー
２の周壁部2bをシリンダヘッド１に重ね合わせて締め付
け固定する、いわゆるセンタボルト方式がある。 このセンタボルト方式においては、シリンダヘッド１
とヘッドカバー２との合面間にガスケット５を介在さ
せ、上記ボルト４を締め付けた際に、上記合面間でガス
ケット５を挾み込んで、このガスケット５に所定の面圧
をかけることにより、この合面をシールしている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 ところが、この従来の構成によると、ヘッドカバー２
の周壁部2bには、常にボルト４の締め付けに伴う圧縮力
が加わるため、エンジン運転中、ヘッドカバー２が高温
となると、このヘッドカバー２を合成樹脂製としたこと
による剛性不足により、ヘッドカバー２の周壁部2bが、
第６図中想像線で示すように、側方に張り出すように変
形することがあり得る。 このため、ガスケット５に加わる面圧が低下し、シー
ルが不完全となるとともに、ヘッドカバー２の熱変形が
大きくなると、ガスケット５が合面から外れてシール性
が損われることがあり、ヘッドカバー２とシリンダヘッ
ド１との合わせ部分からオイル漏れが発生する等の不具
合がある。 本発明は、このような事情にもとづいてなされたもの
で、ストッパ壁や対面壁部を含むヘッドカバー回りの剛
性を十分に確保できるとともに、ヘッドカバーをシリン
ダヘッドに固定するねじのねじ込み量も十分に確保する
ことができ、ねじの締め付け力をシリンダヘッドとヘッ
ドカバーとの合わせ部分に確実に伝えて、この合わせ部
分のシール性を良好に維持することができるエンジンの
ヘッドカバーの締め付け装置を得ることにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記目的を達成するため、本発明は、 シリンダヘッドの被カバー面に、タイミングチェーン
によって駆動される吸気用カム軸と排気用カム軸とを互
いに平行に並べて配置し、これらカム軸の軸方向に間隔
を存した複数箇所を夫々ブラケットを介して上記被カバ
ー面に回転自在に支持するとともに、この被カバー面の
外周部に上記カム軸を取り囲む突き合わせ壁部を周方向
に連続して形成し、 上記シリンダヘッドの被カバー面に、上記吸気用カム
軸および排気用カム軸を覆う互いに平行に配置された一
対のカムカバー部と、上記タイミングチェーンを覆うチ
ェーンカバー部とを有する合成樹脂製のヘッドカバーを
被せ、 このヘッドカバーのカムカバー部は、上記突き合わせ
壁部に突き合わされる周壁部と、この周壁部に連続して
上記被カバー面と向かい合う対面壁部とを有するととも
に、このカムカバー部の周壁部と上記突き合わせ壁部と
は、ガスケットを介して互いに突き合わされる合面を有
し、 また、上記カムカバー部の対面壁部は、上記ブラケッ
トに対応した位置に複数のボルト挿通孔を有し、これら
ボルト挿通孔に上記ヘッドカバーの外側から夫々ボルト
を挿通して、これらボルトの挿通端を上記ブラケットの
ねじ孔にねじ込むことで、上記ヘッドカバーをシリンダ
ヘッドに締め付け固定するようにしたエンジンを前提と
している。 そして、上記カムカバー部は、上記周壁部と上記対面
壁部とで規定される角部に傾斜部を有し、この傾斜部
は、上記カムカバー部の互いに向かい合う部分において
上記対面壁部の方向に進むに従い互いに遠ざかる方向に
傾斜されており、 上記対面壁部のボルト挿通孔および上記ブラケットの
ねじ孔は、上記吸気用カム軸および排気用カム軸の中心
に対し上記カムカバー部の傾斜部とは反対側にずれた位
置に配置されているとともに、 上記カムカバー部の周壁部は、この周壁部の合面から
突出されて上記突き合わせ壁部の内面に引っ掛かる複数
のストッパ壁を一体に有し、これらストッパ壁は、上記
カム軸の軸方向に間隔を存して配置されているととも
に、この周壁部の内面には、上記ストッパ壁と対面壁部
とを結ぶ凸部が一体に形成され、 また、上記カムカバー部の周壁部が連なる対面壁部の
内面に、上記ボルト挿通孔の間を結ぶ第１のリブと、こ
の第１のリブと交差する方向に延びる複数の第２のリブ
とを形成し、これら第２のリブは、上記凸部を経て上記
ストッパ壁に達する延長部を有していることを特徴とし
ている。 〔作用〕 このような構成において、エンジンの運転に伴いヘッ
ドカバーが加熱されると、その周壁部がボルトの締め付
け力に屈して外側に張り出すように変形しようとする。
しかるに、ヘッドカバーの周壁部に、合面から突出する
複数のストッパ壁を有し、これらストッパ壁が突き合わ
せ壁部の内面に引っ掛かっているので、上記周壁部の変
形に伴うこの周壁部の変位は、ストッパ壁によつて阻止
されることになり、これら周壁部と突き合わせ壁部との
合面のずれを防止することができる。 このため、ヘッドカバーとシリンダヘッドとの間から
ガスケットが外れたり、このガスケットに加わる面圧が
低下することはなく、ヘッドカバーの剛性不足に伴うシ
ール性能の低下を防止することができる。 しかも、上記構成によると、ヘッドカバーの対面壁部
は、第１および第２のリブによって補強されているの
で、ボルトを締め付けた際の対面壁部の変形を防止する
ことができる。そのため、ボルトの締め付け力が周壁部
を介して確実にガスケットに伝わり、ヘッドカバーとシ
リンダヘッドとの間のシール性を高めることができる。 それとともに、ストッパ壁は、周壁部の内面の凸部に
連なっており、このストッパ壁の周壁部に連なる部分の
肉厚が厚くなっているので、ストッパ壁自体の強度が増
大する。また、凸部は周壁部と対面壁部とを結んでいる
ので、一種のリブとして機能し、周壁部の変形を抑制す
る。 しかも、第２のリブは、凸部を介してストッパ壁の部
分まで延長されているので、この第２のリブによっても
ストッパ壁および周壁部の変形を防止することができ
る。そのため、ストッパ壁と突き合わせ壁部との係合状
態を確実に維持することができ、ヘッドカバーとシリン
ダヘッドとの突き合わせ部分のシール性を高めることが
できる。 加えて、ブラケットのねじ孔は、吸気用カム軸および
排気用カム軸の中心から外れているので、ブラケットに
ねじ孔を開けたにも拘わらず、このねじ孔の有効長を増
すことができ、ボルトのねじ込み量を十分に確保するこ
とができる。そのため、ボルトの締め付け力がヘッドカ
バーに確実に伝わり、このヘッドカバーをシリンダヘッ
ドに強固に固定することができる。 この場合、ねじ孔が上記カム軸の中心から外れたこと
に伴い、このねじ孔に連なるボルト挿通孔がカムカバー
部の対面壁部の中央部から外れてしまい、この対面壁部
に加わるボルトの締め付け力に偏りが生じる恐れがあり
得る。しかるに、カムカバー部は、対面壁部と周壁部と
で規定される角部に傾斜部を有し、この傾斜部の分だけ
対面壁部の幅が狭くなるとともに、上記ボルト挿通孔
は、上記傾斜部とはカム軸の中心を挟んだ反対側にずれ
ているので、見掛け上、ボルト挿通孔が対面壁部の略中
央部に位置される。しかも、傾斜部と対面壁部との連続
部および傾斜部と周壁部との連続部にカム軸の軸方向に
延びる角部が形成されるので、この角部が一種の補強用
リブとして機能し、対面壁部の強度が向上する。そのた
め、ボルトをねじ孔にねじ込んだ時に、対面壁部にボル
トの締め付け力が均等に作用し、対面壁部の変形を防止
することができる。 よって、ボルトの締め付け力が対面壁部から周壁部を
通じて確実にガスケットに伝わり、この点でもヘッドカ
バーとシリンダヘッドとの間のシール性の向上に寄与す
る。 また、一対のカムカバー部の傾斜部は、互いに向かい
合うとともに、対面壁部の方向に進むに従い遠ざかる方
向に傾斜されているので、隣り合うカムカバー部の対面
壁部の間隔が広くなる。そのため、ヘッドカバーのカム
カバー部の間に例えば工具等を容易に挿入することがで
き、エンジンの保守点検時の作業性が向上する。 〔発明の実施例〕 以下本発明の一実施例を、第１図ないし第５図にもと
づいて説明する。 第５図は、自動二輪車用の４サイクル多気筒エンジン
を示し、図中符号11はシリンダブロック、12はシリンダ
ヘッドである。シリンダヘッド12は、被カバー面となる
上面を有し、この上面には吸気用カム軸13と排気用カム
軸14とが配置されている。 これらカム軸13,14は、互いに平行に配置されてお
り、その軸方向に沿う複数箇所がブラケット15を介して
シリンダヘッド12の上面に支持されている。第２図に示
すように、ブラケット15は、カム軸13,14の外周面が入
り込む凹部15aを有し、この凹部15aは、シリンダヘッド
12の上面との間でカム軸13,14を挟み込んでいる。そし
て、ブラケット15は、その上面に開口されたねじ孔15b
を有し、このねじ孔15bは、カム軸13,14の中心Ｘから外
れている。 シリンダヘッド12の上面には、カム軸13,14を取り囲
む突き合わせ壁部16が立設されている。この突き合わせ
壁部16の上面には、合成樹脂製のヘッドカバー17が被せ
られている。 ヘッドカバー17は、第５図に示すように、カム軸13,1
4を覆う一対のカムカバー部18,18と、カム軸駆動用のギ
ヤ19やタイミングチェーン20を覆うチェーンカバー部21
とを一体に備えている。カムカバー部18,18は、上記カ
ム軸13,14の軸方向に延びるとともに、互いに離間して
平行に配置されている。チェーンカバー部21は、カムカ
バー部18,18の間に跨がっている。そのため、第５図に
示すように、ヘッドカバー17は、平面視略Ｈ形をなして
おり、そのカムカバー部18,18がシリンダヘッド12に取
り外し可能に締め付け固定されている。 この締め付け構造について第１図および第２図を加え
て説明する。上記ヘッドカバー17のカムカバー部18,18
は、突き合わせ壁部16に突き合わされる周方向に連続し
た周壁部22と、この周壁部22の上端縁に連続してシリン
ダヘッド12の上面と向かい合う対面壁部23とを一体に有
し、全体として下面が開口された箱形状をなしている。
周壁部22および突き合わせ壁部16は、互いに突き合わさ
れる合面22a,16aを有し、これら合面22aおよび16aは、
同一平坦面をなしている。そして、これら合面16a,22a
の間に、ゴム製のガスケット24が介在されている。 ガスケット24は、合面16a,22aの外周形状を形取って
おり、その上面に凸部25を有している。この凸部25は、
合面22aに形成した嵌合凹部26に嵌合されており、この
嵌合により、ガスケット24がヘッドカバー17に支持され
ている。 カムカバー部18,18は、周壁部22と対面壁部23とで規
定される角部に傾斜部36を有している。第５図に示すよ
うに、上記傾斜部36は、カムカバー部18,18の互いに向
かい合う部分に位置され、夫々の対面壁部23の方向に進
むに従い遠ざかる方向に傾斜されている。このため、傾
斜部36の分だけ、対面壁部23が幅狭く形成されている。
そして、傾斜部36と対面壁部23および傾斜部36と周壁部
22との連続部分には、カム軸13,14の軸方向に延びる角
部36a,36bが形成されている。 第３図および第５図に示すように、ヘッドカバー17の
対面壁部23には、複数のボルト挿通孔27が形成されてい
る。ボルト挿通孔27は、上記カムブラケット15に対応し
て位置されており、上記カムカバー部18,18の長手方向
に間隔を存して一列に並べて配置されている。 ボルト挿通孔27は、上記ブラケット15のねじ孔15bに
連なっている。そのため、ボルト挿通孔27は、上記カム
軸13,14の中心Ｘに対し上記カムカバー部18、18の傾斜
部36とは反対側にずれており、これにより、見掛け上、
ボルト挿通孔27が対面壁部23の略中央部に位置されてい
る。 ボルト挿通孔27には、中空円筒状をなすゴム製のグロ
メット28を介してボルト29が挿通されている。このボル
ト29の挿通端は、上記ブラケット15のねじ孔15bにねじ
込みまれている。このねじ込みにより、グロメット28の
一端の大径なフランジ部30がボルト挿通孔27の開口周縁
部に密着されるとともに、ヘッドカバー17の周壁部22が
突き合わせ壁部16の合面16a上に締め付け固定されてい
る。 このため、ガスケット24は、合面16a,22aの間で挾み
込まれており、これら合面16a,22aに所定の面圧で接し
ている。 ところで、第１図に示すように、上記周壁部22の内面
には、複数のストッパ壁31が一体に形成されている。こ
れらストッパ壁31は、第３図および第４図に示すよう
に、カム軸13,14を挾んだ両側において、ボルト挿通孔2
7の並び方向に間隔を存して配置されており、上記合面2
2aから突出されている。 周壁部22の内面には、複数の凸部32が一体に形成され
ている。これら凸部32は、ストッパ壁31と対面壁部23お
よびストッパ壁31と傾斜部36とを結んでおり、上記カム
カバー部18,18の高さ方向に沿って延びている。そのた
め、周壁部22は、ストッパ壁31に対応した部分における
肉厚が凸部32の分だけ厚くなっている。そして、ストッ
パ壁31は、周壁部22を突き合わせ壁部16に突き合わせた
際に、突き合わせ壁部16の内側に入り込んで、この突き
合わせ壁16の内面に引っ掛かっており、周壁部22を突き
合わせ壁部16に対して位置決め保持している。 第３図や第４図に示すように、ヘッドカバー17の対面
壁部23の内面には、単一の第１のリブ33aと複数の第２
のリブ33bとが一体に形成されている。第１のリブ33a
は、カムカバー部18,18の長手方向に沿って一直線状に
延びており、上記ボルト挿通孔27の間に跨っている。第
２のリブ33bは、第１のリブ33aと直交する方向に延びて
おり、上記カムカバー部18,18の長手方向に間隔を存し
て配置されている。そして、第２のリブ33bの端部は、
上記凸部32に連なるとともに、この凸部32に沿って下向
きに延びる延長部34をなしている。この延長部34の先端
は、上記ストッパ壁31の内面にまで達している。そのた
め、ストッパ壁31は、第３図から明らかなように、断面
略Ｔ字形に形成されている。 このような構成によれば、ヘッドカバー17の周壁部22
に、突き合わせ壁部16の内面に引っ掛かるストッパ壁31
を形成したので、ヘッドカバー17が高温となった際に、
その周壁部22がボルト29の締め付け力に屈して外側に張
り出すように変形しようとしても、この周壁部22の変形
は、ストッパ壁31と突き合わせ壁部16との係止によって
未然に阻止される。このため、周壁部22と突き合わせ壁
部16との合面22a,16aがずれることもなく、これら合面1
6a,22aとガスケット24との密接状態を常に良好に維持す
ることができる。したがつて、ガスケット24が突き合わ
せ壁部16の合面16aから外れたり、ガスケット24に加わ
る面圧が低下することもく、ヘッドカバー17の剛性不足
に起因するシール性能の低下を確実に防止することがで
きる。 また、ストッパ壁31は、ヘッドカバー17をシリンダヘ
ッド12に重ね合わせる際に、周壁部22の合面22aを突き
合わせ壁部16の合面16aに導くガイドとしても機能する
から、ヘッドカバー17の組み付け作業を容易に行なうこ
とができる。特にストッパ壁31は、カムカバー部18,18
の長手方向に間隔を存して配置されているので、このス
トッパ壁31がヘッドカバー17の周方向に連続する場合に
比べて、ヘッドカバー17をシリンダヘッド12の突き合わ
せ壁部16に突き合わせる作業を容易に行なうことができ
る。 しかも、上記構成によると、ボルト29が通るヘッドカ
バー17の対面壁部23は、第１および第２のリブ33a,33b
によって補強されているので、ボルト29の締め付け力を
しっかりと受け止めることができ、このボルト29を締め
付けた際の対面壁部23の変形を防止することができる。
したがって、上記周壁部22の変形が阻止されることと合
わせて、ボルト29の締め付け力を確実にガスケット24に
伝えることができ、ヘッドカバー17とシリンダヘッド12
との間のシール性を高めることができる。 さらに、上記ストッパ壁31は、周壁部22の内面の凸部
32に連なっているので、このストッパ壁31の周壁部22に
連なる部分の肉厚が厚くなり、ストッパ壁31自体の強度
を高めることができる。それとともに、凸部32は、スト
ッパ壁31と対面壁部23との間を結んで、ヘッドカバー17
の高さ方向に延びているので、これら凸部32が一種のリ
ブとして機能することになり、周壁部22の変形を抑える
ことができる。 その上、上記第２のリブ33bの延長部34は、凸部32を
経由してストッパ壁31の部分まで達しているので、この
第２のリブ33bを利用してストッパ壁31および周壁部22
を補強することができる。そのため、ボルト29を締め付
けても、ストッパ壁31および周壁部22が変形し難くなる
ので、ストッパ壁31と突き合わせ壁部16との係合状態を
確実に維持することができ、ヘッドカバー17とシリンダ
ヘッド12との突き合わせ部分のシール性をより一層高め
ることができる。 また、ストッパ壁31をヘッドカバー17に形成したこと
により、構造が複雑なシリンダヘッド12には何等構造変
更を必要としない。さらに、このストッパ壁31は、突き
合わせ壁部16の内側に入り込むから、ストッパ壁31が外
方から視認されることはなく、外観的な面でも好都合と
なる。 加えて、上記構成によると、ブラケット15のねじ孔15
bは、吸気用カム軸13および排気用カム軸14の中心Ｘか
ら外れているので、ねじ孔15bの有効長を増すことがで
き、ボルト29のねじ込み量を十分に確保することができ
る。そのため、ボルト29の締め付け力が確実にヘッドカ
バー17に伝わり、このヘッドカバー17をシリンダヘッド
12に強固に固定することができる。 この場合、ねじ孔15bが上記カム軸13,14の中心Ｘから
外れたことに伴い、このねじ孔15bに連なるボルト挿通
孔27がカムカバー部18,18の対面壁部23の中央部から外
れてしまい、この対面壁部23に加わるボルト29の締め付
け力に偏りが生じる恐れがあり得る。しかるに、カムカ
バー部18,18は、対面壁部23と周壁部22とで規定される
角部に傾斜部36を有し、この傾斜部36の分だけ対面壁部
23の幅が狭くなるとともに、上記ボルト挿通孔27は、上
記傾斜部36とはカム軸13,14の中心Ｘを挟んだ反対側に
ずれているので、見掛け上、ボルト挿通孔27が対面壁部
23の略中央部に位置されることになる。 そして、傾斜部36と対面壁部23との連続部および傾斜
部36と周壁部22との連続部には、カム軸13,14の軸方向
に延びる角部36a,36bが形成されているので、これら角
部36a,36bが対面壁部23を補強する一種のリブとして機
能し、その分、対面壁部23の強度が向上する。そのた
め、ボルト29をねじ孔15bにねじ込んだ時に、対面壁部2
3にボルト29の締め付け力が均等に作用し、対面壁部23
の不所望な変形を防止することができる。 よって、ボルト29の締め付け力が対面壁部23から周壁
部22を通じて確実にガスケット24に伝わり、この点でも
ヘッドカバー17とシリンダヘッド12との間のシール性の
向上に寄与する。 また、一対のカムカバー部18,18の傾斜部36は、互い
に向かい合うとともに、対面壁部23の方向に進むに従い
互いに遠ざかる方向に傾斜されているので、隣り合うカ
ムカバー部18,18の対面壁部23の間隔が広くなる。その
ため、カムカバー部18,18の対面壁部23の間隔が広くな
る。そのため、カムカバー部18,18の間に例えば工具等
を容易に挿入することが可能となり、エンジンの保守点
検時の作業性が向上するといった利点がある。 〔発明の効果〕 以上詳述した本発明によれば、合成樹脂製のヘッドカ
バーが高温となっても、周壁部と突き合わせ壁部との合
面のずれが阻止されるから、この合面部分からガスケッ
トが外れたり、このガスケットに加わる面圧が低下する
ことはない。しかも、ヘッドカバーの対面壁部でボルト
の締め付け力をしっかりと受け止めることができるの
で、ボルトの締め付け力を周壁部を介して確実にガスケ
ットに伝えることができ、ヘッドカバーとシリンダヘッ
ドとの間のシール性を高めることができる。 加えて、本発明の構成によると、凸部の存在により、
ストッパ壁における周壁部に連なる部分の肉厚が厚くな
るので、ストッパ壁自体の強度が増大するとともに、凸
部自体が一種のリブとして機能し、周壁部の変形を抑制
する。さらに、第２のリブは、凸部を経てストッパ壁の
部分まで延長されているので、この第２のリブによって
もストッパ壁および周壁部の変形を防止することができ
る。そのため、ストッパ壁と突き合わせ壁部との係合状
態を確実に維持することができ、ヘッドカバーとシリン
ダヘッドとの突き合わせ部分のシール性をより一層高め
ることができる。 さらに、本発明によれば、カム軸を支持するブラケッ
トにねじ孔を開けたにも拘わらず、このねじ孔の有効長
が長くなるので、ヘッドカバーを固定するボルトのねじ
込み量が増大し、このヘッドカバーを確実にシリンダヘ
ッドに固定することができる。この場合、ねじ孔がカム
軸の中心から外れたことに伴い、このねじ孔に連なるボ
ルト挿通孔がカムカバー部の対面壁部の中央部から外れ
てしまい、この対面壁部に加わるボルトの締め付け力に
偏りが生じる恐れがあり得る。しかるに、カムカバー部
は、傾斜部の分だけ対面壁部の幅が狭くなるとともに、
ボルト挿通孔にしても、上記傾斜部とはカム軸の中心を
挟んだ反対側にずれているので、見掛け上、ボルト挿通
孔が対面壁部の略中央部に位置される。しかも、傾斜部
と対面壁部との連続部および傾斜部と周壁部との連続部
にカム軸の軸方向に延びる角部が形成されるので、この
角部が対面壁部を補強する一種のリブとして機能する。
そのため、ボルトをねじ孔にねじ込んだ時に、対面壁部
にボルトの締め付け力が均等に作用し、対面壁部の変形
を防止することができる。 この結果、ボルトの締め付け力が対面壁部から周壁部
を通じて確実にガスケットに伝わり、この点でもヘッド
カバーとシリンダヘッドとの間のシール性の向上に寄与
する。 また、傾斜部の存在により、隣り合うカムカバー部の
対面壁部の間隔が広がるので、これらカムカバー部の間
に例えば工具等を容易に挿入することができ、エンジン
の保守点検時の作業性が向上するといった利点がある。

【図面の簡単な説明】 図面は本発明の一実施例を示し、 第１図は、ストッパ壁が突き合わせ壁部に係止された状
態を示す断面図、 第２図は、ヘッドカバーの締め付け構造を示す断面図、 第３図は、ヘッドカバーを合面側から見た平面図、 第４図は、第３図中IV-IV線に沿う断面図、 第５図は、シリンダヘッド回りの分解斜視図、 第６図は、従来のヘッドカバーの締め付け構造を示す断
面図である。 12……シリンダヘッド、13……吸気用カム軸、14……排
気用カム軸、15……ブラケット、15a……ねじ孔、16…
…突き合わせ壁部、16a,22a……合面、17……ヘッドカ
バー、18……カムカバー部、20……タイミングチェー
ン、21……チェーンカバー部、22……周壁部、23……対
面壁部、24……ガスケット、27……ボルト挿通孔、29…
…ボルト、32……凸部、33a……第１のリブ、33b……第
２のリブ、34……延長部、36……傾斜部。

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．シリンダヘッドの被カバー面に、タイミングチェー
   ンによって駆動される吸気用カム軸と排気用カム軸とを
   互いに平行に並べて配置し、これらカム軸の軸方向に間
   隔を存した複数箇所を夫々ブラケットを介して上記被カ
   バー面に回転自在に支持するとともに、この被カバー面
   の外周部に上記カム軸を取り囲む突き合わせ壁部を周方
   向に連続して形成し、 上記シリンダヘッドの被カバー面に、上記吸気用カム軸
   および排気用カム軸を覆う互いに平行に配置された一対
   のカムカバー部と、上記タイミングチェーンを覆うチェ
   ーンカバー部とを有する合成樹脂製のヘッドカバーを被
   せ、 このヘッドカバーのカムカバー部は、上記突き合わせ壁
   部に突き合わされる周壁部と、この周壁部に連続して上
   記被カバー面と向かい合う対面壁部とを有するととも
   に、このカムカバー部の周壁部と上記突き合わせ壁部と
   は、ガスケットを介して互いに突き合わされる合面を有
   し、 また、上記カムカバー部の対面壁部は、上記ブラケット
   に対応した位置に複数のボルト挿通孔を有し、これらボ
   ルト挿通孔に上記ヘッドカバーの外側から夫々ボルトを
   挿通して、これらボルトの挿通端を上記ブラケットのね
   じ孔にねじ込むことで、上記ヘッドカバーをシリンダヘ
   ッドに締め付け固定するようにしたエンジンにおいて、 上記カムカバー部は、上記周壁部と上記対面壁部とで規
   定される角部に傾斜部を有し、この傾斜部は、上記カム
   カバー部の互いに向かい合う部分において上記対面壁部
   の方向に進むに従い互いに遠ざかる方向に傾斜されてお
   り、 上記対面壁部のボルト挿通孔および上記ブラケットのね
   じ孔は、上記吸気用カム軸および排気用カム軸の中心に
   対し上記カムカバー部の傾斜部とは反対側にずれた位置
   に配置されているとともに、 上記カムカバー部の周壁部は、この周壁部の合面から突
   出されて上記突き合わせ壁部の内面に引っ掛かる複数の
   ストッパ壁を一体に有し、これらストッパ壁は、上記カ
   ム軸の軸方向に間隔を存して配置されているとともに、
   この周壁部の内面には、上記ストッパ壁と対面壁部とを
   結ぶ凸部が一体に形成され、 また、上記カムカバー部の周壁部が連なる対面壁部の内
   面に、上記ボルト挿通孔の間を結ぶ第１のリブと、この
   第１のリブと交差する方向に延びる複数の第２のリブと
   を形成し、これら第２のリブは、上記凸部を経て上記ス
   トッパ壁に達する延長部を有していることを特徴とする
   エンジンのヘッドカバーの締め付け装置。