JP2744697B2 - 自動車ボデイー用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

自動車ボデイー用アルミニウム合金板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2744697B2
JP2744697B2 JP50511193A JP50511193A JP2744697B2 JP 2744697 B2 JP2744697 B2 JP 2744697B2 JP 50511193 A JP50511193 A JP 50511193A JP 50511193 A JP50511193 A JP 50511193A JP 2744697 B2 JP2744697 B2 JP 2744697B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
film
oxide film
aluminum alloy
alloy plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP50511193A
Other languages
English (en)
Inventor
元広 難波江
洋治 石田
正明 栗原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Original Assignee
THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD. filed Critical THE FURUKAW ELECTRIC CO., LTD.
Priority to JP50511193A priority Critical patent/JP2744697B2/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2744697B2 publication Critical patent/JP2744697B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は自動車用、特に自動車ボディーに使用される
アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
従来技術の説明 近年、自動車の燃費向上や高性能化を目的として車体
重量を低減することが望まれており、これに伴い、従来
使用されている鉄鋼材料に代わって比重が鉄の約1/3で
あるアルミニウム材料の使用が増加している。アルミニ
ウム材料は軽量であるばかりではなく、耐食性、加工
性、表面処理性等に優れ、さらに再生が容易であるの
で、自動車用材料としても最も注目されている。アルミ
ニウム材料は、現在自動車ボディー、ホイール、バンパ
ー、熱交換器、エンジン等に用いられており、さらに適
用範囲も拡がりつつある。
例えば、アルミニウム合金板を自動車用ボディーに用
いる場合には、成形性、溶接性、接着性、塗装後の耐食
性、美観等が要求される。アルミニウム合金板を用いて
自動車用ボディーを製造する方法は従来の鉄鋼板を用い
る場合と基本的には同じであり、以下に示す通りであ
る。
成形 コイル状のアルミニウム合金板もしくはコイル体から
所定寸法に切断したアルミニウム合金板を所定形状に成
形する。
接合 溶接および/または接着によりボディーに設置される
部材と接合する。その際、従来の鉄鋼材料からなる部材
と組み合わせて次工程に流す。
表面処理 i)アルカリ系洗浄剤を用いて脱脂 ii)水洗 iii)コロイダルチタン酸塩処理等による表面調整 iv)リン酸亜鉛処理により化成処理 v)水洗 (ここで、必要に応じてクロム酸系溶液により「後処
理」を実施) vi)乾燥 塗装 i)電着塗装による下塗り ii)中塗り iii)上塗り 艤装 骨格部材に各パーツを取り付ける。
以上の〜の工程を経て自動車用ボディーが製造さ
れる。
素材としてのアルミニウム合金板は、鋳造→ソーキン
グ→熱間圧延→冷間圧延→仕上焼鈍(焼鈍は冷間圧延中
に行う場合もある)を経て通常の工程で製造され、コイ
ル状体または所定の寸法に切断した後板材の状態で成形
に供される。
しかしながら、上記の方法により得られる自動車ボデ
ィー用アルミニウム合金板には以下に示すような問題が
ある。
第1に加工性の問題である。上記アルミニウム合金材
料は、自動車ボディー用材料として主流である鉄鋼材料
と比べて加工性が悪い。このため、厳しい加工が施され
ると、割れや肌荒れ等が発生する。したがって、使用で
きる部材が限定されてしまう。
第2に接着性の問題である。苛酷な環境において耐久
試験を行うと、接合部で剥離が生じたり、接合部での接
着強度が所望の値を下回る。したがって、安全性や信頼
性に問題がある。
第3に溶接性の問題である。スポット溶接の際に、連
続して溶接できる打点の数が少なく、溶接性が悪い。こ
のため、溶接器具、特に電極のメンテナンスの回数が多
くなり、生産性を低下させる。
第4に塗膜密着性の問題である。塗装後苛酷な環境に
おいて耐久試験を行うと、塗膜が剥離したり、膨れが生
じて外観上美観を損なう。
第5に耐食性の問題である。塗装後苛酷な環境におい
て耐久試験を行うと、糸状の腐食(Filiform corrosio
n)が生じ易くなり、外観上美観を損なうばかりでな
く、さらにこれが進むと性能も低下する。
自動車ボディー用材料は、アルミニウム材料単独で使
用する場合と、アルミニウム材料を鉄鋼材料と組み合わ
せて使用する場合とがあり、前述のごとくこれらの塗装
の下地処理としてリン酸亜鉛処理が多く実施される。こ
の場合、塗膜密着性不良および耐食性不良は、特にこの
下地処理性に関係する。
発明の概要 上記の種々の問題の原因は、アルミニウム合金板上に
生成する酸化膜であることが発明者らの研究により確認
されている。アルミニウムの酸化膜の構造は、アルミニ
ウム合金組成に大きく影響されることが分かった。例え
ば、自動車ボディー用アルミニウム合金板のようにMgを
0.3〜10重量%含有する材料では、その合金板表面に酸
化膜が存在しており、この酸化膜はアルミニウム酸化物
および/または水酸化物だけでなくマグネシウム酸化物
および/または水酸化物も共存している。このマグネシ
ウム酸化物および/または水酸化物は、溶接性、接着
性、塗膜密着性、耐食性に悪影響を及ぼすことが確認さ
れた。
アルミニウム酸化物は、大きく分けて2種類あり、1
つはアモルファス状態の酸化膜(Al2O3)、他の一つは
結晶性の酸化膜である。この結晶性酸化膜はその生成雰
囲気によって様々な相となるが、代表的な相はGibbsite
(γ−Al(OH)3)、Bayerlite(α−Al(OH)3、Boehmite
(γ−AlOOH)等である。このような2種類の酸化膜
は、摩擦抵抗が異なっており、結晶性の酸化膜の摩擦抵
抗はアモルファス状態の酸化膜の摩擦抵抗よりも小さ
い。このため、結晶性の酸化膜の方が潤滑性が良好であ
る。また、圧延後のアルミニウム合金板表面にはこのよ
うな2種類の酸化膜が混在しており、上記結晶性の酸化
膜は湿潤雰囲気で高温に曝された時に生ずる。
アルミニウム合金板の製造において、熱間圧延工程で
このような結晶性の酸化膜が生成することが判明してい
る。これは熱間圧延工程では、一般に水性の圧延油を使
用して200℃以上で圧延されるからと考えられている。
その後、結晶性の酸化膜は後工程の圧延処理で砕かれて
延ばされるが、アルミニウム素地に埋め込まれた形で最
終の板材まで残留することになる。
また、発明者らの研究により溶接性、接着性、塗膜密
着性、および耐食性は、アルミニウム合金板上のアルミ
ニウム酸化物とマグネシウム酸化物の2種類の酸化物に
より影響されることが分かった。特に、マグネシウム酸
化物が多く存在すると上記特性に悪影響を及ぼすことが
分かった。
本発明の目的は、アルミニウム合金板上のマグネシウ
ム酸化物をできる限り除去処理して特性の向上を図り、
前記除去処理時後加工までに長時間放置してもマグネシ
ウム酸化物の生成を防止して特性の経時変化の少ない自
動車ボディー用アルミニウム合金板を提供することであ
る。
この目的を達成するために、本発明はMgを2〜10重量
%含有するアルミニウム合金板の金属アルミニウム基体
と、該基体上に形成されたアルミニウムのリン酸塩皮膜
と、リン酸塩皮膜上に形成された酸化アルミニウム膜と
を具備するものであり、必要に応じてさらに該酸化アル
ミニウム膜上に油膜とを具備する自動車ボディー用アル
ミニウム合金板を提供する。
また本発明の目的は、特性の経時変化の少ないアルミ
ニウム合金板を効率良く得ることができる自動車ボディ
ー用アルミニウム合金板の製造方法を提供することであ
る。
この目的を達成するために、本発明はMgを2〜10重量
%含有するアルミニウム合金板の表面をpH4以下の酸で
処理して板表面の酸化膜のうち酸化マグネシウム膜を除
去する工程と、酸処理された処理板をリン酸塩溶液で処
理して金属アルミニウム基体と酸化アルミニウム膜との
間にアルミニウムのリン酸塩皮膜を形成する工程とを具
備するものであり、必要に応じてさらに酸化アルミニウ
ム膜上に油を塗布して油膜を形成する工程とを具備する
自動車ボディー用アルミニウム合金板の製造方法を提供
する。
好ましい態様の説明 本発明において、Mgを2〜10重量%含有するアルミニ
ウム合金としては、例えばJIS A5052合金、JIS A5182合
金、JIS A5082合金、JIS A5083合金、JIS A5086合金、
さらにAl-8重量%Mg合金等を用いることができる。Mg量
を2〜10重量%に限定した理由は、2重量%未満では強
度が弱く、また10重量%を超えると板材の製造が困難と
なるからである。
前述のごとく、普通の方法で製造された前記アルミニ
ウム合金板の表面には、酸化アルミニウム、酸化マグネ
シウムの酸化膜が存在している。
本発明においては、まずアルミニウム合金板の金属ア
ルミニウム基体上に当初から存在する酸化アルミニウム
および酸化マグネシウムのうち、酸処理によって酸化マ
グネシウムのみを除去する。この処理に使用する酸のpH
は4以下に設定する。これは、pHが4以下であれば基体
金属であるアルミニウムおよび板表面の酸化アルミニウ
ムを溶解せずに板表面の酸化マグネシウムのみを溶解さ
せることができるからである。これにより、熱間圧延時
に生成した潤滑性の高い結晶性酸化アルミニウムを残存
させることができる。このような酸としては、0.5〜30
重量%の硝酸、0.5〜30重量%の硫酸を用いることがで
きる。
本発明において、酸化マグネシウムの除去の程度は、
金属基体上の全酸化物における酸化マグネシウムの重量
比が20重量%以下であることが好ましい。全酸化物にお
ける酸化マグネシウムの重量比が20重量%を超えると接
着時に酸化マグネシウム膜自身が脆弱層(剥離部)とし
て働き、接着強度を低下させる。また、溶接時に電気抵
抗が大きくなり、溶接器具の電極を損傷させ、連続使用
時にナゲットと呼ばれる溶着部が小さくなり、所望の強
度が得られなくなる。さらに、塗装下地処理であるリン
酸塩処理を施した際のリン酸亜鉛皮膜の形成量が少な
く、リン酸亜鉛結晶が粗大化して塗装後の密着性、耐食
性を低下させる。
前記酸処理によって板表面の酸化マグネシウムを除去
した後には、アルミニウム合金板の金属基体上には、大
部分当初から存在している酸化アルミニウム膜が残るこ
とになる。
この酸化アルミニウム膜の厚さは10〜200オングスト
ロームであることが好ましい。これは、酸化アルミニウ
ム膜の厚さが10オングストローム未満であるとスポット
溶接時に電気抵抗が小さすぎ、充分な発熱が得られない
のでナゲットが形成せず、厚さが200オングストローム
を超えると接着時に酸化アルミニウム膜自身が脆弱層と
して働き、接着強度を低下させるからである。また、ス
ポット溶接時においては電気抵抗が大きすぎ、電極が損
傷して連続して打点できる数が少なくなるからである。
また、酸化アルミニウム膜の表面粗さは、Ra(平均粗
さ)で0.1〜2.5μm、Rmax(最大粗さ)で0.5〜40μm
であることが好ましい。Raが0.1μm未満およびRmaxが
0.5μm未満であると成形時に供給される潤滑油の保持
性が悪く、成形性が低下し、さらに接着時においては付
着面積が小さいので接着性も低下する。一方、Raが2.5
μmを超えおよびRmaxが40μmを超えると塗装後の塗膜
表面の平滑性(鮮映性)が低下し、外観上商品価値を低
下させる。
前述のごとく、酸処理によって板表面の酸化マグネシ
ウムを除去したのち、次にこの処理板をリン酸塩溶液で
処理して、アルミニウム合金板の金属基体と酸化アルミ
ニウム膜との間にアルミニウムのリン酸塩皮膜を形成す
る。アルミニウムのリン酸塩皮膜の厚さは、1オングス
トロームから5オングストローム程度である。なお、単
分子膜の状態でもアルミニウムのリン酸塩皮膜が存在す
れば充分な効果が得られる。アルミニウムのリン酸塩皮
膜の膜厚は、リン酸塩溶液の濃度を0.01〜5重量%、液
温を20℃以上、処理時間2秒以上の範囲で条件を設定す
ることにより調節することができる。
アルミニウムのリン酸塩皮膜を形成する際に使用され
る処理液としては、リン酸イオンまたはリン酸塩を含有
した溶液を用いることができる。このような溶液として
は、リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、ピロリ
ン酸ナトリウム等の少なくとも1種を0.01重量%以上含
有した溶液が挙げられる。
このようにリン酸塩溶液で処理を施すことにより、放
置による酸化マグネシウムの生成を防止でき、これによ
りアルミニウム合金板の特性の経時変化を抑制すること
ができる。なお、基体上にもともと形成されている酸化
アルミニウム膜はポーラスであるので、処理中リン酸塩
溶液は酸化アルミニウム膜を通過して、基体であるアル
ミニウムと反応して金属アルミニウム基体と酸化アルミ
ニウム膜との間に強固なアルミニウムのリン酸塩皮膜が
形成される。
本発明においては、酸化アルミニウム膜上にさらに油
を塗布することが好ましい。前記のアルミニウムのリン
酸塩膜により前述のアルミニウム合金板の処理から成形
加工まで長時間放置される場合でも酸化マグネシウムの
生成は充分に防止できるが、油を塗布することによりさ
らにその成長を防止することができる。この油として
は、エマルジョン系またはワックス系の防錆油等を用い
ることができる。また、油の塗布量は、板表面全体を均
一に被覆する量であれば充分効果が期待できるが、実用
上0.1g/m2以上、好ましくは1g/m2程度である。
本発明の製造方法において、材料をコイル状体から所
定寸法に切り出して板状体として、これに各処理を施し
てもよいが、コイル状体のまま連続的に各処理を施して
もよい。特に、連続的に処理を施す方が効率が良くかつ
生産性良くアルミニウム合金板を製造することができ
る。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例に
ついて説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら
制約を受けるものではなく、以下の実施例および上記記
載以外でも本発明の要旨を逸脱しない限り当業者の知識
に基づいて種々の変更、修正、改良等を加えても良い。
実施例1 JIS A5182合金(Al-0.3重量%Mn-4.5重量%Mg合金)
材料に溶解、鋳造してインゴットを作製し、このインゴ
ットに均質化処理、熱間圧延加工、冷間圧延加工、仕上
げ焼鈍を順次施し、厚さ1.0mmの板材を作製した。
次いで、この板材に5重量%硝酸を用いてスプレー法
により10秒間処理し、この板材を水洗して板材表面の酸
化膜のうち酸化マグネシウム膜を除去し、乾燥を行っ
た。
次に、0.1重量%ピロリン酸塩ナトリウム溶液を用い
て、温度40℃、処理時間300秒間で処理して厚さ5オン
グストロームのアルミニウムのリン酸塩皮膜を金属アル
ミニウム基体とその上に形成されている酸化アルミニウ
ム膜との間に形成してアルミニウム合金板(本発明材
1)を得た。
得られた本発明材1について、処理後すぐ(1週間程
度放置後)全酸化膜の厚さ(酸化マグネシウム膜と酸化
アルミニウム膜との合計膜厚)、全酸化膜における酸化
マグネシウムの重量比、成形性、接着性、溶接性、塗膜
密着性、耐食性を調べた。その結果を下記表1に示す。
さらに、本発明材1を温度40℃、相対湿度95%の恒温恒
湿槽内に90日間放置し、放置後の本発明材1の上記特性
の経時変化を調べた。その結果を下記表1に併記する。
なお、各評価は以下のようにして行った。
(1)全酸化膜の厚さおよび全酸化膜における酸化マグ
ネシウムの重量比 ESCA(X線光電子分光分析装置)により求めた。
(2)成形性 本発明材1に対してJIS Z2247エリクセン試験A法を
行い、そのエリクセン値(mm)を測定した。
(3)接着性 本発明材1を25×100mmに切断し、その2枚をラップ
幅13mmで市販のエポキシ系接着剤を用いて貼り合わせ、
170℃で30分間焼き付ける。その後、JIS Z2371に準拠し
た塩水噴霧試験を90日間行い、塩水噴霧試験前後の引張
剪断強さを測定し、下記式により求めた強度の残存率を
算出した。
強度残存率(%) =(試験後の剪断強さ/試験前の剪断強さ)×100 (4)溶接性 スポット溶接による連続打点数(電極が損傷し、ナゲ
ットが形成されなくなるまでの打点数)を調べた。
(5)塗膜密着性 本発明材1から70×150mmの板を切り出し、弱アルカ
リ系脱脂剤を用いて45℃、30秒の脱脂を行い、水洗した
後、コロイダルチタン系の液で室温で、30秒の表面調整
を行い、そのままの状態で市販のリン酸亜鉛処理液で45
℃、2分の化成処理を行う。その後、これを水洗、乾燥
し、カチオン電着塗装による下塗り、吹き付けによる中
塗り、および上塗りを行いサンプルを作製する。
このサンプルを50℃の温水中に20日間浸漬し、その
後、JIS D0202に準拠した碁盤目試験(2mm×2mmの碁盤
目を100個作製し、テープによる剥離試験)を行い、剥
離せずに残った目の個数を以下のように示した。
残存個数/試験個数(100個) (5)耐食性 塗膜密着性試験のようにしてサンプルを作製し、サン
プル表面に素地に達するクロスカット(×印)を入れ、
JIS Z2371に準拠した塩水噴霧試験を24時間行い、その
後、温度50℃で相対湿度95%の湿潤雰囲気で2000時間放
置した後、クロスカット部から発生した糸状腐食の最大
長さを測定した。
実施例2 0.1重量%ピロリン酸ナトリウムを用いて、温度40
℃、処理時間300秒間で処理して厚さ5オングストロー
ムのアルミニウムのリン酸塩皮膜を金属アルミニウム基
体と酸化アルミニウム膜との間に形成する代わりに、0.
05重量%リン酸ナトリウム溶液を用いて、温度90℃、処
理時間10秒で処理して厚さ2オングストロームのアルミ
ニウムのリン酸塩皮膜を形成すること以外は実施例1と
同様にしてアルミニウム合金板(本発明材2)を得た。
得られた本発明材2について、全酸化膜の厚さ、全酸
化膜における酸化マグネシウムの重量比、成形性、接着
性、溶接性、塗膜密着性、耐食性、およびその経時変化
を実施例1と同様にして調べた。その結果を下記表1に
併記する。
実施例3 0.1重量%ピロリン酸ナトリウム溶液を用いて、温度4
0℃、処理時間300秒間で処理して厚さ5オングストロー
ムのアルミニウムのリン酸塩皮膜を金属アルミニウム基
体と酸化アルミニウム膜との間に形成する代わりに、3
重量%ピロリン酸ナトリウム溶液を用いて、温度50℃、
処理時間120秒で処理して厚さ5オングストロームのア
ルミニウムのリン酸塩皮膜を形成すること、並びに酸化
アルミニウム膜(最上層)に粘度3cStのエマルジョン系
防錆油を塗油量1g/m2で塗布すること以外は実施例1と
同様にしてアルミニウム合金板(本発明材3)を得た。
得られた本発明材3について、全酸化膜の厚さ、全酸
化膜における酸化マグネシウムの重量比、成形性、接着
性、溶接性、塗膜密着性、耐食性、およびその経時変化
を実施例1と同様にして調べた。その結果を下記表1に
併記する。
従来例1 JIS A5182合金材料に溶解、鋳造してインゴットを作
製し、このインゴットに均質化処理、熱間圧延加工、冷
間圧延加工、仕上げ焼鈍を順次施し、厚さ1.0mmの板材
を作製した。
次いで、この板材に5重量%硝酸を用いてスプレー法
により10秒間処理し、この板材を水洗して板材表面の酸
化膜のうち酸化マグネシウム膜を除去し、乾燥を行っ
た。
次に、残った酸化アルミニウム膜上に粘度5cStのエマ
ルジョン系防錆油を塗油量1g/m2で塗布してアルミニウ
ム合金板(従来材1)を得た。
得られた従来材1について、全酸化膜の厚さ、全酸化
膜における酸化マグネシウムの重量比、成形性、接着
性、溶接性、塗膜密着性、耐食性、およびその経時変化
を実施例1と同様にして調べた。その結果を下記表1に
併記する。
従来例2 粘度5cStのエマルジョン系防錆油に代えてワックス系
防錆油を用いること以外は従来例1と同様にしてアルミ
ニウム合金板(従来材2)を得た。
得られた従来材2について、全酸化膜の厚さ、全酸化
膜における酸化マグネシウムの重量比、成形性、接着
性、溶接性、塗膜密着性、耐食性、およびその経時変化
を実施例1と同様にして調べた。その結果を下記表1に
併記する。
従来例3 JIS A5182合金材料に溶解、鋳造してインゴットを作
製し、このインゴットに均質化処理、熱間圧延加工、冷
間圧延加工、仕上げ焼鈍を順次施し、厚さ1.0mmの板材
を作製した。
次いで、この板材に5重量%硝酸を用いてスプレー法
により10秒間処理し、この板材を水洗して板材表面の酸
化膜のうち酸化マグネシウム膜を除去し、乾燥を行って
アルミニウム合金板(従来材3)を得た。
得られた従来材3について、全酸化膜の厚さ、全酸化
膜における酸化マグネシウムの重量比、成形性、接着
性、溶接性、塗膜密着性、耐食性、およびその経時変化
を実施例1と同様にして調べた。その結果を下記表1に
併記する。
表1から明らかなように、本発明のアルミニウム合金
板(本発明材1〜3)は、特性の経時変化が少ないもの
であった。これに対して従来のアルミニウム合金板(従
来材1〜3)は、放置後の酸化膜の厚さが増加してお
り、特性の経時変化が大きいものであった。
以上説明した如く本発明の自動車ボディー用アルミニ
ウム合金板は、板表面のマグネシウム酸化物を除去し、
金属アルミニウム基体と酸化アルミニウム膜との間にア
ルミニウムのリン酸塩皮膜を形成し、必要に応じて最上
層の酸化アルミニウム膜上に油膜を施すことにより特性
(成形性、接着性、溶接性)の向上がなされており、そ
の後のマグネシウム酸化物の発生をできる限り防止して
特性の経時変化を少くするものである。さらに、本発明
の自動車ボディー用アルミニウム合金板は、塗装工程に
おける化成処理時の化成皮膜の生成速度が大きくなり、
液中へのアルミニウムイオンの溶出が抑制され、これに
より、アルミニウム合金板上に化成皮膜を均一に形成さ
せることができ、その結果、塗膜密着性、耐食性が向上
する。また、本発明の自動車ボディー用アルミニウム合
金板の製造方法は、特性の経時変化の少ないアルミニウ
ム合金板を効率良く得ることができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 正明 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−240675(JP,A) 特開 昭60−110879(JP,A) 特開 昭60−181282(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Mgを2〜10重量%含有するアルミニウム合
    金板の金属アルミニウム基体と、該基体上に形成された
    アルミニウムのリン酸塩皮膜と、該リン酸塩皮膜上に形
    成された酸化アルミニウム膜とを具備する自動車ボディ
    ー用アルミニウム合金板。
  2. 【請求項2】Mgを2〜10重量%含有するアルミニウム合
    金板の金属アルミニウム基体と、該基体上に形成された
    アルミニウムのリン酸塩皮膜と、該リン酸塩皮膜上に形
    成された酸化アルミニウム膜と、該酸化アルミニウム膜
    上に形成された油膜とを具備する自動車ボディー用アル
    ミニウム合金板。
  3. 【請求項3】Mgを2〜10重量%含有するアルミニウム合
    金板をpH4以下の酸で処理して該合金板表面に存在する
    酸化アルミニウム膜と酸化マグネシウム膜からなる酸化
    膜のうち酸化マグネシウム膜を除去する工程と、 酸処理された処理板をリン酸塩溶液で処理して金属アル
    ミニウム基体と酸化アルミニウム膜との間にアルミニウ
    ムのリン酸塩皮膜を形成する工程と、 を具備する自動車ボディー用アルミニウム合金板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】さらに、酸化アルミニウム膜上に油を塗布
    して油膜を形成する工程を具備する請求項3記載の自動
    車ボディー用アルミニウム合金板の製造方法。
JP50511193A 1991-09-04 1992-09-04 自動車ボデイー用アルミニウム合金板およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2744697B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP50511193A JP2744697B2 (ja) 1991-09-04 1992-09-04 自動車ボデイー用アルミニウム合金板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-253127 1991-09-04
JP25312791 1991-09-04
JP50511193A JP2744697B2 (ja) 1991-09-04 1992-09-04 自動車ボデイー用アルミニウム合金板およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2744697B2 true JP2744697B2 (ja) 1998-04-28

Family

ID=26541048

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50511193A Expired - Lifetime JP2744697B2 (ja) 1991-09-04 1992-09-04 自動車ボデイー用アルミニウム合金板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2744697B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015134969A (ja) * 2015-05-07 2015-07-27 株式会社神戸製鋼所 表面処理アルミニウム合金板およびその製造方法
US9669604B2 (en) 2012-09-20 2017-06-06 Kobe Steel, Ltd. Aluminum-alloy plate and joined body as well as automobile member using the same

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9669604B2 (en) 2012-09-20 2017-06-06 Kobe Steel, Ltd. Aluminum-alloy plate and joined body as well as automobile member using the same
JP2015134969A (ja) * 2015-05-07 2015-07-27 株式会社神戸製鋼所 表面処理アルミニウム合金板およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4695459B2 (ja) 塗装後耐食性に優れた亜鉛系めっきが施された熱間プレス鋼材
JP5745791B2 (ja) 表面処理アルミニウム合金板
JP2744697B2 (ja) 自動車ボデイー用アルミニウム合金板およびその製造方法
KR960004783B1 (ko) 자동차차체용 알루미늄합금판 및 그 제조방법
US5795662A (en) Zincate-treated article of Al-Mg-Si base alloy and method of manufacturing the same
JPH0759755B2 (ja) 耐系錆性に優れた自動車用A▲l▼合金塗装板の製造方法
JPH10237576A (ja) 成形加工性、塗装焼付硬化性、化成性および耐食性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JPS60240774A (ja) 耐食性の優れた表面処理鋼材
JP2000239778A (ja) 化成処理性に優れたアルミニウム合金材
JP2767066B2 (ja) 溶接性とリン酸亜鉛処理性に優れた表面処理アルミニウム板
JPH05156413A (ja) 自動車ボディー用アルミニウム合金板及びその製造方法
JP2000129458A (ja) プレス成形性および耐蝕性に優れたアルミニウム合金板
JP6278882B2 (ja) 表面処理アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH0874067A (ja) 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム合金板
JP2842700B2 (ja) 自動車ボディ用Al系板の塗装前処理方法
JP2500010B2 (ja) 自動車パネル用アルミニウム合金表面制御板の製造方法
JPH05271954A (ja) 成形性、溶接性、耐食性に優れたAl板
JPH05179424A (ja) 表裏異種めっき鋼板
JPH083761A (ja) 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム板及びその製造方法
JPH10176233A (ja) 化成処理性および塗装後耐食性に優れる焼き付け塗装用アルミニウム合金およびアルミニウム合金焼き付け塗装材の製造方法
JPH05306473A (ja) 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム材
JPH0257692A (ja) 自動車用アルミニウム合金部材
JP2846489B2 (ja) 耐糸錆性に優れた塗装用アルミニウム合金
JPH05271955A (ja) 成形性、溶接性、耐食性に優れたアルミニウム板
JPH03111532A (ja) 耐糸錆性に優れる自動車パネル用アルミニウム合金材料及びその製造方法