JP2744581B2 - 著しく鉄損が小さく低磁場特性に優れた無方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

著しく鉄損が小さく低磁場特性に優れた無方向性けい素鋼板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、モーターやトランス
等の鉄心材料として使用して好適な、著しく鉄損が小さ
くかつ低磁場特性に優れた無方向性けい素鋼板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】無方向性けい素鋼板は、モーターやトラ
ンス等の鉄心材料として広範囲にわたって使用されてい
る。ここに近年、省エネルギーの観点より、電気機器の
効率向上が叫ばれており、それに伴って鉄心材料につい
ても、より一層の鉄損低減が望まれるようになってきて
いる。無方向性けい素鋼板の鉄損低減手段としては、Si
及びAlの添加量を増やし、比抵抗を高める方法が一般的
に知られている。しかしながら、現在の鉄損レベルをな
お一層向上させるためにSiやAlを現在以上に添加するこ
とは、冷延加工性を損なうことから問題がある。しか
も、Si, Al添加量の増加は、材料の価格が高くなるなど
の不利が生ずる。
【0003】その他の鉄損改善手段としては、冷間圧延
工程における諸条件を改善して鉄損を低減する方法があ
り、例えば、特公昭56-22931号公報等にその技術が開示
されている。かかる冷間圧延の工夫、すなわち集合組織
最適化による鉄損改善は、添加Si量及び製造方法に適合
した集合組織の最適条件が解明されていて、すでに集合
組織の最適化が図られているといって良い。したがっ
て、集合組織の最適化の手法を用いて、さらなる鉄損低
減は困難であるのが実情である。
【0004】また、鋼中の不純物成分量及び鋼中介在
物、析出物個数を低減することにより鉄損を低減する方
法がある。前者の鋼中の不純物成分量低減に関しては、
特開昭59-74258号公報にその技術が開示されている。こ
のような不純物成分量を低減をする方法は、鉄損低減に
効果的であるが、不純物元素量低減のための高純度化は
製銑、製鋼技術に依存するものであり、現在の製銑、製
鋼技術ではほぼ極限の高純度まで達しているので、より
一層の鉄損低減は製銑、製鋼技術の進歩を待たなければ
ならない。
【0005】後者の介在物及び析出物個数の低減に関し
ては、特開昭59-74256号公報、特開昭60-152628 号公報
及び特開平3-104844号公報に開示されている。しかし、
これらの技術は、鋼中の介在物及び析出物の個数を低減
させるものではあるが、結局のところ前述の技術と同様
に高純度化技術に依存しており、より一層の鉄損改善は
製銑、製鋼技術の進歩を待たなければならない。しか
も、これらの従来技術について詳しく見てみると、ま
ず、上掲特開昭59-74256号公報においては、1μm 以上
の大きさの介在物の数量が120 個/mm2 以上の領域で介
在物個数と鉄損とに比例関係があるとされているもの
の、介在物がそれ以下の大きさ及び個数である場合につ
いては鉄損に及ぼす影響が明確にされていない。次に、
前掲特開昭60-152628 号公報においては、最終焼鈍の効
果を引き出すためには5μm 以上の介在物頻度を80個/
mm3 以下にする必要があるとされているが、介在物の個
数及び大きさが鉄損に及ぼす影響については何ら述べら
れていない。さらに、前掲特開平3-104844号公報には、
Si量が0.1 〜2.0 wt%の無方向性けい素鋼における介在
物の大きさ及び個数を制御する方法が開示されている。
しかし、かかる方法によっては、Si量を2.5 〜5.0 wt%
含有しかつS量が0.0030wt%以下であるような高級な無
方向性けい素鋼板の場合に関して、介在物が鉄損に対し
てどのような影響を及ぼすのか、介在物を如何に制御す
れば良いのかについては予測不能である。また、当該技
術のように0.5 μm 以下の介在物低減により鉄損を改善
しても、0.5 μm 以上、5μm 以下といった介在物を多
数残存させることになるので、鉄損に悪影響を与えるこ
とが避けられず、鉄損低減効果は小さくなってしまう。
【0006】この他、特開昭3-104844号公報と同様に微
細介在物低減を図った方法としては、特開昭51-62115号
公報及び特開昭55-24942号公報に開示があるように、RE
M 及びCaを添加して微細な硫化物の析出を防止する方法
がある。しかし、かかる方法では、十分な効果を達成す
るためにREM 、Ca等の添加材を多量に添加しなくてはな
らず、コスト高を招かざるを得なかった。
【0007】したがって、以上述べたこれらの従来技術
は、実際には工業化されてはいないのが現状であり、無
方向性けい素鋼板に関し、工業的に利用可能な鉄損低減
技術が要望されていたのである。
【0008】ところで、無方向性けい素鋼板が用いられ
るモーターの中でも、ステッピングモータ等について
は、停止角度精度向上などのために低磁場における磁束
密度を向上させることが重要である。また、トランスに
ついても、低磁場で高磁束密度であることが要求される
場合がある。したがって、無方向性けい素鋼板として
は、上述した低鉄損ばかりでなく、低磁場における磁気
特性にも優れていることが望まれる場合があった。従来
より、低磁場特性に影響する因子として、結晶粒界、析
出物、格子欠陥、内部応力等が挙げられ、いずれも磁壁
の移動に影響を及ぼすことが定性的にはよく知られてい
た。なかでも、特開昭63-137122 号公報に提案される冷
却速度変化を制御する方法あるいは、特開昭52-96919号
公報に提案される冷却速度を制御する方法は、内部応力
を低減する方法として有効とされていた。ただ、内部応
力は、同じ外力下でも析出物の分布あるいは形態又は結
晶粒界構造などによって変化するものであり、厳密には
これらと冷却速度あるいは冷却速度変化との相互作用に
ついての検討が必要であるところ、従来、かかる観点に
基づいた開発は、なされていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、無
方向性けい素鋼板に関して、著しく鉄損が低いことに加
えて、安定して低磁場特性を向上させることのできる有
利な製造方法を提案することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、まず、
無方向性けい素鋼板の鉄損を低減すべく、各種の調査及
び検討を行った結果、無方向性けい素鋼板中の介在物及
び析出物は、その大きさによって鉄損に及ぼす影響が異
なることを見出した(以下、鋼中析出物も介在物として
総称する) 。すなわち、鉄損劣化の要因となる特定の大
きさの介在物を積極的に低減して、その大きさになる介
在物を、全介在物量に対して所定の体積分率以下にする
ことにより、介在物総数や介在物全量が従来鋼と同じで
あっても鉄損が大幅に改善することが判明した。
【0011】すなわち、Si:2.5 〜5.0 wt%を含むけい
素鋼で、Sを0.003 wt%以下とし、粒径4μm 以上の鋼
中介在物が全鋼中介在物に対する体積分率で60%以下
で、かつ粒径1μm 未満の鋼中介在物が全鋼中介在物に
対する体積分率で15%以下となるように制御することで
著しく鉄損の小さい無方向性けい素鋼板が得られること
が明らかとなった。
【0012】しかしながら、さらに詳細な調査の結果、
上記のように介在物制御を行って得た極低鉄損の無方向
性けい素鋼板であっても、その全てが低磁場特性に優れ
る訳ではないことが明らかとなった。そこで発明者ら
は、さらに詳細な実験と検討を行った結果、介在物サイ
ズ分布及び冷却時の歪が、低磁場特性に影響を及ぼすと
いう新たな知見を得た。この発明は、上記の知見に立脚
するものである。
【0013】すなわちこの発明は、Si:2.5 〜5.0 wt%
を含み、かつSを0.003 wt%以下に抑制し、粒径4μm
以上の鋼中介在物の全鋼中介在物に対する体積分率が60
%以下で、かつ粒径1μm 未満の鋼中介在物の全鋼中介
在物に対する体積分率が15%以下である含けい素鋼熱延
板に、1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施
して最終板厚とした後、仕上焼鈍を行って無方向性けい
素鋼板を製造するに当たり、仕上げ焼鈍における冷却過
程にて冷却速度変化を5℃/s2 以下に制御することを特
徴とする、著しく鉄損が小さくかつ低磁場特性に優れた
無方向性けい素鋼板の製造方法である。
【0014】
【作用】上述したこの発明をなすに至った知見について
まず説明する。発明者らは、従来までの知見より一層詳
しく、無方向性けい素鋼板の鉄損に及ぼす介在物の影響
を明確にするための研究、検討を行った。はじめに、介
在物の個数と鉄損との関係を、Si:3.0 wt%を含む板厚
0.5 mmの無方向性けい素鋼板を用いて調べた。なお、介
在物調査は光学顕微鏡により行った。その調査結果を図
1に示す。図1をみると、全体の傾向からすれば鋼中の
介在物を少なくすることが鉄損改善につながるようであ
るが、既に評価されていたような介在物の個数と鉄損と
の関係は明確には得られなかった。
【0015】そこで、上記の調査に用いた無方向性けい
素鋼板について鋼成分及び製造履歴について調べたとこ
ろ、鋼中S、N量ともに同一レベルで(S:0.0030wt%
以下、N:0.0050wt%以下) 、同一工程で製造したけれ
ども、製鋼及び熱延などの工程で製造条件が若干ばらつ
いていたことが判明した。かかる製鋼及び熱延などの製
造条件変動が介在物のサイズ等に影響を及ぼして、この
介在物変化により鉄損に影響が及んだことが考えられる
ので、次に介在物のサイズが鉄損に及ぼす影響に着目し
て実験、評価を行った。この調査にはSi:3.5 wt%を含
む無方向性けい素鋼板を用い、鋼板中における介在物を
サイズで区分して粒径4μm 以上、2μm 以上4μm 未
満、1μm 以上2μm 未満、1μm未満の各サイズ毎に
1mm2 当たりの個数を光学顕微鏡により測定し、介在物
の各サイズの個数と鉄損(W15/50) との関係を重回帰分
析し、鉄損に及ぼす介在物サイズごとの影響を求めた。
かくして得られた解析結果を図2に示す。
【0016】図2に示された解析結果より、粒径4μm
以上の介在物が鉄損を最も劣化させ、次いで1μm 未満
の微細な介在物が鉄損を劣化させ、2μm 以上4μm 未
満、1μm 以上2μm 未満の介在物は鉄損に及ぼす影響
の小さいことが判明した。この粒径4μm 以上の介在物
が鉄損へ及ぼす影響の大きかった理由は、4μm 以上の
介在物は、再結晶過程で磁気特性の面より好ましくない
方位の結晶粒を発生させる原因となったためと考えられ
る。また、1μm 未満の介在物については、鉄損に直接
影響する磁壁の移動を妨げる効果が1μm 以上の介在物
よりも大きかったためと推定される。このことが今回得
られた新たな知見の一つである。
【0017】次に、これらの鋼板中の粒径4μm 以上の
介在物が介在物総量に占める体積割合と鉄損との関係に
ついて調べた。介在物調査は光学顕微鏡により行った。
その結果を図3に示す。図3からも明らかなように、4
μm 以上の介在物体積分率が60%を超えると、顕著に鉄
損値(W15/50) が劣化するのがわかる。また、粒径4μ
m 以上の介在物が介在物総量に占める体積割合が50%以
下である鋼板について、1μm 未満の介在物体積分率と
鉄損との関係に示す。なお、介在物調査は電子顕微鏡に
より行った。かくして得られた結果を図4に示す。図4
では、上述した4μm 以上の介在物ほどの鉄損劣化は明
確には現れていないが、1μm 未満の介在物体積分率が
15%を超えると鉄損値(W15/50) は劣化する。このこと
より、介在物の体積分率としては、4μm 以上の介在物
は60%以下、1μm 未満の介在物は15%以下とする必要
があることがわかる。
【0018】上述べたような実験における磁気特性は、
25cmエプスタイン法により調べた。また、介在物量測定
は、鋼板の板厚方向の断面について観察したものであ
る。観察には光学顕微鏡又は電子顕微鏡のどちらを用い
ても構わないのであるが、光学顕微鏡の場合は倍率を40
0 倍以下、電子顕微鏡の場合は 400倍〜1000倍の場合に
行った。試験片の作製及び試験方法(測定面積など)は
JIS G 0555 (鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法)に
基づき作製(研摩きずや、錆が出ないように試料を調
整)し、試験を行ったが、試験方法に関しては介在物に
よって占められた格子点の数を数えるのではなく、介在
物の個数と介在物面積を測定した。介在物の大きさは観
察像より介在物の面積を求め、面積が等価となる円の直
径を用いて粒径とした。今回の測定により得られた結果
は、介在物の分布が鋼板面内方向において等方的である
と考えられるので、試料の平均特性を十分に代表してい
るものと考えてよい。また、介在物の大きさ測定におい
て、1μm 未満の介在物の大きさを求めることは光学顕
微鏡及び低倍率の電子顕微鏡では困難であるので、この
場合の1μm 未満の介在物観察に関しては、大きさを求
めず、個数のみを測定したので技術的になんら問題もな
く測定できた。電子顕微鏡の場合も同様に、介在物の大
きさが測定可能な倍率で測定を行い、それより小さな大
きさの介在物観察に関しては、大きさを求めず、個数の
みを測定した。以下、介在物量の測定はすべてこの方法
に準じて行っている。なお、この発明における介在物と
は、上述した測定方法からも明らかなように、鋼中の非
鉄介在物の全てを指しており、硫化物系やAlN などの析
出物等も含むことは言うまでもない。
【0019】以上のような実験結果に基づき、この発明
に従い、積極的に鋼中介在物の大きさ及びサイズごとの
体積分率を制御することにより、鉄損の小さい無方向性
けい素鋼板が得られ、従来技術のような単なる不純物成
分量の低減や介在物量の低減による低鉄損化法に比べ、
同レベルのS,N量でもより一層低い鉄損を安定して達
成できることが明らかになった。
【0020】次に、上述した低鉄損の電磁鋼板のなかで
も、低磁場特性に優れる電磁鋼板を得べく、さらにSi:
3.5 wt%を含む熱延板を1回の冷間圧延により板厚0.50
mmに仕上げ、1000℃で30秒間の仕上焼鈍を行い、その冷
却に際して冷却速度30℃/sに至るまでの冷却速度変化を
1〜20℃/s2 の範囲で種々変化させて無方向性けい素鋼
板を製造した。得られた無方向性けい素鋼板の低磁場特
性に及ぼす影響を、介在物サイズ分布及び仕上焼鈍時の
冷却速度変化で整理した結果を図5に示す。図中、●印
が従来の介在物サイズ分布(1μm径未満の介在物が全
体の25%)の例であり、○印がこの発明に従う介在物サ
イズ分布の例である。同図より明らかなように、この発
明の範囲内の介在物サイズ分布であり、かつ冷却速度変
化が5℃/s2 以下のときに限り、低磁場特性B1が良好に
なる。
【0021】このような現象の詳細なメカニズムは不明
であるが、この発明の範囲に介在物サイズ分布を制御す
ることによって内部応力の残留をできるだけ少なくする
ことができたため、低磁場特性が改善できたと考えられ
る。
【0022】以下、この発明における各条件について規
制した理由を説明する。まず、鋼中介在物の体積分率
は、粒径4μm 以上の鋼中介在物の全鋼中介在物に対す
る体積分率が60%以下で、かつ粒径1μm 未満の鋼中介
在物の全鋼中介在物に対する体積分率が15%以下とす
る。4μm 以上の大きさの鋼中介在物が全介在物体積に
対する体積分率が60%を超えて鋼中に存在する場合に
は、前述したごとく磁気特性に関して好ましくない集合
組織を形成し、急激な鉄損劣化の原因となるので4μm
以上の大きさの鋼中介在物の体積分率は60%以下とし
た。また、1μm 未満の大きさの鋼中介在物が全介在物
体積に対する体積分率が15%を超えて鋼中に存在する場
合においても鉄損劣化の原因となるので、1μm 未満の
鋼中介在物の体積分率は15%以下とした。
【0023】なお、かような介在物の体積分率を単純に
減少させるためには、鋼中N量、S量及びO量など不純
物元素量を低減するだけでも達成可能ではあるが、介在
物に関する指標を持たず、無闇に鋼中N量、S量及びO
量を低減するのでは、いたずらにエネルギーを浪費する
ばかりか、この発明により達成した低鉄損を達成するこ
とができない場合もあった。したがって、その鉄損レベ
ルを鋼中N量、S量及びO量低減により達成することが
できるとしても、その手法を工業的に採用することは困
難である。
【0024】その一方でこの発明では、Sについてのみ
0.0030wt%以下と規定する。S及びNはそれぞれ、粗大
介在物の核となる硫化物及び窒化物を形成するが、Sは
その傾向が特に強い。したがって、S量が0.0030wt%を
超える高いレベルでは、この発明を満足する介在物のサ
イズ制御が困難で鉄損低減効果が小さい。図6に、Si:
3.8 wt%を含む無方向性けい素鋼板について、この発明
の範囲内の介在物を含む試料及び従来材の介在物を含む
試料について、S量を種々に変化させた場合に鉄損に及
ぼす影響について調べた結果を示す。同図から、S量が
0.0030wt%以下の場合に良好な鉄損特性が得られている
ことが分かる。よって、鋼中S量は0.0030wt%以下とし
た。
【0025】この発明を適用するけい素鋼板は、Si:2.
5 〜5.0 wt%含有するものである。Siは、固有抵抗を高
めることによって鉄損を低減する有用な成分であるの
で、低鉄損化のために下限は2.5 wt%とし、また、上限
は5.0 wt%を超えると冷延性が阻害されるので、5.0 wt
%以下とした。
【0026】その他の成分組成について、代表的な範囲
を挙げると次のとおりである。 C:0.01wt%以下 Cは、磁気特性の面からは有害な成分であり、極力低減
するのが好ましいので、0.01wt%以下である。 Mn:0.1 〜1.5 wt% Mnの添加は、スラブ加熱時の固溶S量を低減するのに効
果があり、Sに起因した熱間脆性を抑制するために添加
されるが、0.1 wt%未満ではその添加効果に乏しく、一
方1.5 wt%を超えると磁気特性の劣化を招くので、0.1
〜1.5 wt%の範囲である。 Al:2.0 wt%以下 Alは鋼の脱酸やAlN 系の析出物の量を低減するのに有効
に寄与する他、Siと同様、固有抵抗を高めて、鉄損を向
上させる上でも有用な成分であるが、2.0 wt%を超える
と冷延性の劣化を招くので、2.0 wt%以下の範囲であ
る。なお、Pに関しては、必要に応じて以下の範囲に制
限することが望ましい。 P:0.005 〜0.15wt% Pは、鉄損の改善に有効であるが、0.005 wt%に満たな
いとその効果に乏しく、一方、0.15wt%を超えると磁束
密度が低下するので、0.005 〜0.15wt%の範囲である。
その他、Sb, Sn, Cu及びNiなどを添加することもでき
る。
【0027】この発明の対象となる無方向性けい素鋼板
は、鋼中の介在物の大きさ及びサイズ別の体積分率制御
に留意して、公知の製造方法を用いて製造することがで
きる。すなわち、吹錬後脱ガス処理した溶鋼を連続鋳造
法もしくは造塊−分塊圧延によってスラブとする。脱硫
処理としては、Ca等を用いる脱硫フラックス、又はREM
(希土類元素:Ceが約50wt%) と上記脱硫フラックスと
を併用する脱硫剤を用いればよい。次いで通常の工程で
熱間圧延されるのであるが、成分の調整、脱硫方法及び
熱間圧延方法によって鋼中介在物の大きさ及び体積分率
が制御される。4μm 以上の大きさの鋼中介在物の全介
在物体積に対する体積割合を60%以下とする手段として
は、鋼中S、Nの低減、脱ガス時間の延長、脱硫方法の
改善などがある。この大きさの介在物低減は、鋼中S、
Nの低減により粗大介在物の核となる硫化物及び窒化物
を低減することで達成される。また、1μm 以下の介在
物の占める体積分率を15%以下とする手段としては、ス
ラブ加熱温度の低下、固溶Sの低減を目的とした鋼中Mn
量の増大及び耐火物などの混入(Zr など) の低減などが
ある。この大きさの介在物低減は、鋼中S、Nの低減よ
りもスラブ加熱時などの介在物の固溶−析出の抑制が有
効である。
【0028】冷間圧延工程は、1回の冷間圧延により製
品厚みとする場合、中間焼鈍を挟んで2回の冷間圧延に
より製品厚みとする場合、あるいは、熱延板を焼鈍し、
次いで1回の冷間圧延により、製品厚みにされる場合い
ずれもが適合する。
【0029】仕上げ焼鈍工程も、常法に従う 800〜1100
℃にて0〜120 sで行えば良い。この仕上焼鈍の均熱後
の冷却に際しては冷却速度変化は5℃/s2以下にするこ
とが肝要である。冷却速度変化が5℃/s2を超えると低
磁場特性改善効果がない。かかる冷却速度変化の一例と
しては、5〜50℃/sの範囲の一定速度で行われる所定冷
却速度に達するまでの冷却速度変化を5℃/s2以下にす
ることがあるが、この発明では、均熱温度から常温まで
の冷却速度パターンに関係なく、冷却速度変化がこの発
明の範囲を満足すれば、所期した低磁場特性は達成可能
である。冷却速度変化を制御するのは、均熱温度から 6
00℃までの範囲で行えば良いが、常温まで行うことが好
ましいのはいうまでもない。
【0030】
【実施例】
実施例1 転炉で吹錬した溶鋼を脱ガス処理し、次いでSi:2.6 wt
%、Al:0.02wt%、Mn:0.07wt%を目標にして合金成分
を添加し、Sレベルを種々調整したその溶鋼を連続鋳造
した。その際、脱硫処理、脱酸処理、脱ガス処理を強化
してスラブを作製した。これらのスラブを1200〜1250℃
に加熱した後、熱間圧延で板厚2.0mm のコイルとした。
熱延板は酸洗後、950 ℃, 30sec の連続焼鈍を施し、冷
間圧延により 0.5mmの最終板厚とした。その後、同組成
の従来材とともに890 ℃, 20secの均熱後、冷却速度30
℃/sまでの冷却速度変化を変化させて仕上焼鈍を行っ
た。かくして得られた製品について、磁気特性、介在物
のサイズ及び体積分率を調べた。磁気特性は25cmエプス
タイン法により調べた。介在物サイズ物体積分率測定は
光学顕微鏡により行った。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1からも明らかなように介在物体積分率
及び冷却速度変化がこの発明の範囲内であるものは従来
材に比べ優れた鉄損値(W15/50)及びB1を有する。
【0033】実施例2 転炉で吹錬した溶鋼を脱ガス処理し、次いでSi:3.8 wt
%、Al:0.8 wt%、Mn:0.2 wt%を目標にして合金成分
を添加し、Sレベルを種々調整したその溶鋼を連続鋳造
した。その際、脱硫処理、脱酸処理、脱ガス処理を強化
し、スラブを作製した。これらのスラブを1200〜1250℃
の加熱温度で加熱した後、熱間圧延で2.0mm の板厚と
し、熱延板コイルとした。熱延板は酸洗後、1050℃, 30
sec の連続焼鈍を施し、冷間圧延により 0.5mmの最終板
厚とした。その後、同組成の従来材とともに1050℃, 30
sec の均熱後、冷却速度30℃/sまでの冷却速度変化を変
化させて仕上焼鈍を行った。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】この発明によれば、無方向性けい素鋼板
の鉄損を小さくするとともに、低磁場特性を優れたもの
にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】介在物の個数と鉄損の関係を示すグラフであ
る。
【図2】介在物のサイズが鉄損に及ぼす影響を示すグラ
フである。
【図3】4μm 以上の介在物と鉄損の関係を示すグラフ
である。
【図4】1μm 未満の介在物と鉄損の関係を示すグラフ
である。
【図5】冷却速度変化、介在物サイズ分布と低磁場特性
との関係を示すグラフである。
【図6】鋼中S量と鉄損の関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 隆史 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 技術研究本部内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:2.5 〜5.0 wt%を含み、かつSを0.
    003 wt%以下に抑制し、粒径4μm 以上の鋼中介在物の
    全鋼中介在物に対する体積分率が60%以下で、かつ粒径
    1μm 未満の鋼中介在物の全鋼中介在物に対する体積分
    率が15%以下である含けい素鋼熱延板に、 1回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最
    終板厚とした後、仕上焼鈍を行って無方向性けい素鋼板
    を製造するに当たり、 仕上げ焼鈍における冷却過程にて冷却速度変化を5℃/s
    2 以下に制御することを特徴とする、著しく鉄損が小さ
    くかつ低磁場特性に優れた無方向性けい素鋼板の製造方
    法。
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