JP2744386B2 - バッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量算出処理装置 - Google Patents

バッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量算出処理装置

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JP2744386B2
JP2744386B2 JP20882192A JP20882192A JP2744386B2 JP 2744386 B2 JP2744386 B2 JP 2744386B2 JP 20882192 A JP20882192 A JP 20882192A JP 20882192 A JP20882192 A JP 20882192A JP 2744386 B2 JP2744386 B2 JP 2744386B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,バッテリ搭載走行体に
おけるバッテリ残量算出処理装置に関し,特に,バッテ
リの残量(残存容量)の算出をソフトウェアによって行
なうバッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量算出装置
に関する。
【0002】バッテリ搭載走行体,例えばバッテリ・カ
ー(蓄電池車)の実用化に際しては,駆動源であるバッ
テリ(蓄電池)の残量を正しく検出して,当該残量や充
電が必要であること等を運転者に知らせる必要がある。
これはバッテリ・カー等の走行不能等を防止するために
重要である。
【0003】
【従来の技術】駆動源として例えばバッテリ・カーに積
載されるバッテリの端子電圧及び放電電流の変化が非常
に大きいことは良く知られている。これはバッテリ・カ
ーの走行状態に依り,バッテリの負荷が大きく変動する
ためである。
【0004】例えば,急発進,急加速,急坂の登坂等の
場合には,バッテリから瞬間的に大きな放電電流が流れ
る。また,これに追従し,バッテリの端子電圧はかなり
低い電圧となる。この後,定常走行に戻った場合には,
放電電流は減少し,端子電圧は初期の電圧値近傍まで回
復する。
【0005】このような負荷としてのバッテリ・カーの
特殊性を考慮した上で,バッテリ・カー用のバッテリの
残量を算出する必要がある。この点から,バッテリの残
量を検出する一般的方法である電解比重を測定する方法
は,前記変動に追従できず,バッテリ・カー用のバッテ
リ残量計としては不適とされる。
【0006】そこで,一般的には,バッテリの端子電圧
を検出し,この電圧からバッテリの残量を知る技術が採
用される傾向にある。即ち,ある特定のバッテリについ
て予め端子電圧と残量との関係を求めておき,この関係
に測定した端子電圧をあてはめて残量を求める技術であ
る。
【0007】この技術の中には,更に,残量を正確に知
るために,所定の放電電流が流れた時のみ端子電圧を検
出するようにしたものがある。即ち,最も適当と思われ
る1つの放電電流値を予め定め,端子電圧を連続的に求
めるのではなく,この電流値の電流が流れた時に端子電
圧を測定し,この電圧から残量を知るものであり,これ
により,その状態を何時間(又は距離にして何Km)持
続できるかを正確に知ろうとしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述のようにバッテリ
・カーのバッテリ残量計について多くの技術が知られて
いるが,そのいずれもがハードウェアのみを用いてバッ
テリの残量を求める構成である。即ち,バッテリの残量
の算出は専用のハードウェアに依って行なわれる。
【0009】このハードウェアをバッテリ・カーを市場
に出荷した後に変更することはでき難く,バッテリの負
荷の大きな変動に柔軟に対応することは極めて難しい。
例えば,前述した所定の放電電流の時のみ端子電圧を検
出する技術において,慎重に放電電流値を定めたとして
も,当該放電電流値と異なる値の範囲での使用が殆んど
であるような場合には,あまり有効ではない。また,一
旦定められた放電電流値は変更できない。
【0010】一方,バッテリはその定格通りに正しく使
用されるべきものであるが,実際は必ずしも定格通りに
使用されるとは限らない。このような場合には,従来の
ハードウェアによる残量を求める方法では対応できな
い。
【0011】また,バッテリの特性(放電電流−端子電
圧特性,端子電圧−残量特性)は,例えばバッテリのメ
ーカ毎にかなり異なる場合がある。従って,例えばバッ
テリを異なるメーカのものに交換した場合,最初のバッ
テリに適合するように構成されているバッテリ残量計に
依っては,交換後のバッテリについて正しく残量を知る
ことは難しい。また,交換後のバッテリに適合するよう
に変更することも難しい。
【0012】以上のように,従来はバッテリ残量計をハ
ードウェアのみで構成していたため,端子電圧等の測定
条件が固定されてしまい,その変更が容易にはできない
という問題があった。また,駆動時の負荷の変動に柔軟
に対応して適確に残量を知ることができないという問題
があった。
【0013】本発明は,容易に測定条件の変更が可能な
バッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量算出処理装置
を提供することを目的とする。また,本発明は,駆動時
の負荷の変動に対応して適確に残量を求めることが可能
なバッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量算出処理
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理構成
図であり,本発明によるバッテリ搭載走行体用バッテリ
残量算出処理システム(以下,バッテリ残量処理システ
ム)を示す。
【0015】このバッテリ残量処理システムは環境ファ
イル6及び相関テーブル7とこれらを使用するバッテリ
残量処理部5とを備える。環境ファイル6は,バッテリ
残量処理部5の行なう所定の処理のためにバッテリ残量
処理部5が参照する複数の異なる定数データのファイル
であって,当該定数データの書込み読出しが可能なメモ
リからなる。相関テーブル7は,バッテリ1についてそ
の電圧の値と残量との関係を示すテーブルであって,バ
ッテリ1の電流の値をパラメータ値として用いて複数の
パラメータ値毎に前記電圧の値と残量との関係を予め書
込んだ読出し専用メモリからなる。
【0016】バッテリ残量処理部5はバッテリ1の残量
を求めるための所定の処理を行なう処理プログラム(処
理ルーチン)からなる。バッテリ残量処理部5は,環境
ファイル6を参照し,定数データにより設定された数値
を用いて,バッテリ1の残量を求めるための所定の処理
を行なう。例えば,電流測定手段3から得たバッテリ1
の電流の値が定数データの1つとして設定されている指
定電流値となった場合に,相関テーブル7を参照してバ
ッテリ1の残量を求める。
【0017】即ち,バッテリ残量処理部5は,相関テー
ブル7を参照し,電流測定手段3から得たバッテリ1の
電流の値を用いてパラメータ値を選択し,電圧測定手段
4から得たバッテリ1の電圧の値を用いて当該選択した
パラメータ値の場合の前記電圧の値と残量との関係から
残量を求める。
【0018】
【作用】環境ファイル6は各種の測定条件を複数の定数
データとして格納する。環境ファイル6は書込み読出し
が可能なメモリ(RAM)からなるので,キーボード等
からの入力により,容易に測定条件を変更できる。
【0019】従って,常に適切な測定条件となるよう定
数データを変更することにより,駆動時の負荷の変動や
バッテリの交換等に対応できる。これにより,適切な測
定条件下での測定が常に可能となる。
【0020】相関テーブル7はバッテリ1の放電電流値
をパラメータ値として用いて,複数のパラメータ値毎に
端子電圧と残量との関係(端子電圧−残量特性)を格納
する。相関テーブル7は読出し専用メモリ(ROM)か
らなるので,予め,例えば市販の各種バッテリ・カー用
のバッテリ1の放電電流と端子電圧との関係(放電電流
−端子電圧特性)及び端子電圧−残量特性について試験
を行なった結果を格納する。また,複数のパラメータ値
は,例えば急発進等の如く負荷が大きい(放電電流が大
きい)場合,定速走行の如く負荷が中程度である(放電
電流が中程度である)場合,走行せずにモータのみ駆動
する如く負荷が小さい(放電電流が小さい)場合等に分
けて前記特性を保持するために採用される。
【0021】これにより,負荷の状態に応じて適当な特
性曲線を選択することができ,適確に負荷の変動に応じ
た残量を知ることができる。更に,前述の如く,適切な
測定条件での測定により,より一層適確にバッテリ1の
残量を知ることができる。
【0022】バッテリ残量処理部5は必要に応じて環境
ファイル6および相関テーブル7を参照(検索)して,
必要な測定条件を読出し,又は,測定結果に対応する残
量を求める。これにより,適確なバッテリ1の残量を求
めることができ,また,負荷の変動時にも容易に対応で
きる。
【0023】
【実施例】図2は実施例構成図であり,バッテリ・カー
用のバッテリ残量処理システムのハードウェア構成を主
に示す。
【0024】バッテリ1はバッテリ・カー用として製造
されているバッテリであり,例えば鉛蓄電池からなる。
バッテリ1は,当該バッテリ・カーを駆動するための電
気エネルギ源として用いられ,チョッパ装置等を用いた
周知の構成により直流電動機を駆動する駆動源とされ
る。このために,バッテリ1は,直流電動機等からなる
負荷(負荷回路)2に直列に接続される。
【0025】バッテリ1の+端子に電流測定手段3が直
列に接続され,バッテリ1の+端子と−端子との間に電
圧測定手段4が並列に接続される。電流測定手段3は,
バッテリ1の(放電)電流を測定するためのものであ
り,(直流)電流計からなる。電圧測定手段4は,バッ
テリ1の(端子)電圧を測定するためのものであり,
(直流)電圧計からなる。
【0026】バッテリ残量計は,アダプタ10,cpu
(中央処理装置)11,表示部12,キーボード13,
メモリ14,タイマ15からなる。バッテリ残量処理部
5を構成する処理プログラムは,主メモリ(図示せず)
に存在し,cpu11を使用して所定の処理を行なう。
換言すれば,バッテリ残量処理部5は,図1に示すよう
に,cpu11と主メモリとからなる処理装置8に存在
する。
【0027】環境ファイル6及び相関テーブル7は,各
々,メモリ14のRAM(又はEEPROM)及びRO
Mに存在する。メモリ14は外部記憶であり,例えばI
Cメモリカードからなる。環境ファイル6はRAM(又
はEEPROM)上に存在するため,その保持電流(ス
タンバイ電流)又は数μA乃至+数μA(又は0)程度
で済むので,バッテリ1の電力消費という点では無視す
ることができる。ROM上に存在する相関テーブル7に
ついても同様である。
【0028】バッテリ残量処理部5(cpu11の使用
権を得た処理プログラム)は,RAM上の環境ファイル
6をアクセスして,必要な定数データを読出し,所定の
場合にアダプタ10等にバッテリ1の電流,電圧を測定
させ,また,測定結果が所定の場合に相関テーブル7を
用いた残量を求めるための所定の処理を行なう。更に,
バッテリ残量処理部5は,入力装置であるキーボード1
3からの変更入力に応じて,環境ファイル6へ当該変更
入力を書込む。これにより,環境ファイル6の定数デー
タの書込みが行なわれる。この書込みのために,バッテ
リ残量処理部5は表示部12上に所定の入力画面を表示
する。
【0029】バッテリ残量処理部5は,ROM上の相関
テーブル7をアクセスして,測定結果に対応する残量を
検索して読出し,これを表示部12に表示させる。この
表示のために,バッテリ残量処理部5は表示部12上に
所定の残量表示画面を表示する。
【0030】なお,cpu11,表示部12,キーボー
ド13,メモリ14は,バッテリ残量処理だけでなく,
当該バッテリ・カーにおける種々の処理のために使用さ
れる。
【0031】アダプタ10は電流測定手段3及び電圧測
定手段4からの測定値(アナログ値)をデジタル値に変
換し,所定のレジスタに書込む。アダプタ10に書込ま
れた測定値は,所定の時間間隔でバッテリ残量処理部5
によって読出され,取込まれる。
【0032】図3は環境ファイル6の一例を示す。環境
ファイル6は,予め定められた環境ファイル項目(定
数)の各々について,所定の値(定数データ)を保持す
る。“測定時間”はバッテリ1の電流及び電圧値を測定
する時間間隔である。バッテリ残量処理部5は,環境フ
ァイル6の“測定時間”の項目を参照し,ここに設定さ
れた時間間隔で測定を行なう。このために,バッテリ残
量処理部5は,残量の算出処理毎に,タイマ15をスタ
ートさせる。
【0033】なお,バッテリ残量処理部5の行なう“測
定”は,アダプタ10がそのレジスタに書込んだ電流,
電圧の測定値を取込む(リードする)処理である。実際
の測定は電流測定手段3及び電圧測定手段4が連続的に
(又は定期的に)行なっている。
【0034】“指定電流”はバッテリ残量処理部5がバ
ッテリ1の残量の算出処理を実施する電流値である。バ
ッテリ残量処理部5は,環境ファイル6の“指定電流”
の項目を参照し,アダプタ10からリードした電流値が
ここに設定された電流値となった時に,相関テーブル7
を用いてバッテリ1の残量算出を行なう。
【0035】“電流範囲”は指定電流と認める許容範囲
である。バッテリ残量処理部5は,環境ファイル6の
“電流範囲”の項目を参照し,アダプタ10からリード
した電流値が指定電流に対してここに設定された範囲内
となった時に,当該指定電流であると判断する。“電流
範囲”の設定は,例えば指定電流の±何%の範囲を許容
するかを設定するようにされる。
【0036】以上の各項目の設定値はキーボード13か
らの入力により変更可能である。従って,設定値を適宜
変更することにより,常に最適な値とすることができ
る。なお,各項目につき複数の設定値を設けることがで
き,更に細かく残量算出処理を行なうことができる。
【0037】例えば,連続的に(又は長時間)大きな負
荷がかかる場合,バッテリ1の容量が比較的早く減少す
るので,“測定間隔”を短く設定してバッテリ1の残量
の変化を監視することができる。また,同様に負荷が大
きい場合や充電基地まで遠い場合等には,“指定電流”
いわば警告を発すべきレベルに設定してバッテリ1の
残量が十分なうちに残量表示(警告等を含む)を行なう
ことができる。また,負荷が小さい場合,バッテリ1の
容量の減少は遅く余裕があるので,“電流範囲”を狭く
(又は0%に)して“指定電流”でのみ残量を求める
とによって検出精度をあげることもできる。
【0038】図4は相関テーブル7の一例を示し,図5
は相関テーブル7を求めるための図を示す。バッテリ1
の放電特性は,図5に示す如くに求まる。図5は,バッ
テリ1を満充電した後に定電流放電させた場合における
バッテリ1の端子電圧の降下の様子を示すグラフであ
り,縦軸に端子電圧(V),横軸に放電終了時間(秒)
を示している。
【0039】また,図5において,“C”は放電電流の
大きさを示す。例えば,“1.0 C”は定格電流での放電
の場合を示し(図では“◇”で示す),“0.5 C”は定
格電流の半分での放電の場合を示す(図では“+”で示
す)。
【0040】図5の放電特性は,例えば実験により得ら
れる。図5から判るように,放電電流の値が大きい程,
端子電圧の電圧降下が著しく,放電終了時間が短い。例
えば,“1.0 C”の場合は“0.5 C”の場合の約半分で
ある。
【0041】図5から判るように,放電電流が一定であ
るとすると,バッテリ1の残量が少なくなるに従って,
その端子電圧が小さくなる。このことから,端子電圧を
測定することにより,その時点でのバッテリ1の残量を
求めることができる。
【0042】図5の放電特性から,放電電流をパラメー
タとした端子電圧−残量特性を求める。これが相関テー
ブル7である。即ち,相関テーブル7は,複数の放電電
流値(例えば,0.2 C,0.5 C,1.0 C,1,5 C)をパ
ラメータとして,その各々の場合の端子電圧−残量特性
を示すテーブルである。なお,相関テーブル7は複数の
バッテリ1についての前記特性を示すものであってもよ
い。
【0043】相関テーブル7の一例を図4に示す。図示
の例は相関テーブル7の1ページであって,前述の放電
電流が“0.5 C”の場合(パラメータ値が“0.5 C”で
ある場合)の端子電圧−残量特性であり,縦軸にバッテ
リ1の残量(放電電流が“0.5 C”で一定であるとした
場合)を示し,横軸にバッテリ1の測定した端子電圧
(V)を示す。なお,残量は,満充電時の容量を100
として%表示している。
【0044】図4に示す相関テーブル7の1ページは図
5のグラフの“0.5 C”の場合の特性曲線から得られ
る。図5のグラフにおける“0.5 C”の曲線は11.5V近
傍から急激に下降しているので,相関テーブル7では実
用上この電圧(11.5V)の時に残量が0%であるとして
いる。逆に,図5において約14Vで満充電であるの
で,相関テーブル7では14V近傍で残量100%であ
るとしている。
【0045】相関テーブル7においては,1又は2以上
のバッテリ1の各々に複数ページを割当てる。1つのバ
ッテリ1に対応する複数ページの各々に,前述の放電電
流値(例えば“0.5 C”)を割当る。1ページにおいて
は,端子電圧に対応する残量が格納される。放電電流値
は,例えば“0.1 C”刻みに,“0.1 C”, “0.2
C”, “0.3 C”, …“1.4 C”, “1.5 C”とされ
る。端子電圧は,図4に示す如く細かな刻み,例えば0.
05V又は 0.025V毎とされる。
【0046】バッテリ残量処理部5は,環境ファイル6
にキーボード13からの入力により設定された“測定間
隔”で測定を行ない(アダプタ10をリードし),測定
電流が“指定電流”となった時に相関テーブル7を用い
て残量を求める。
【0047】本実施例では,相関テーブル7が“1.5
C”以下0.1 C刻み毎について用意されているので,
“指定電流”はキーボード13からの入力により“1.5
C”,“1.4 C”,…“0.2 C”,“0.1 C”と設定さ
れる。また, “電流範囲”はキーボード13からの入力
によりこの実施例では例えば“±0.05C”と設定され
る。
【0048】ここで,負荷2への電流の大小に応じて,
容易に“指定電流”の変更が可能である。また,負荷2
への電流の変化の速度に応じて,容易に“電流範囲”の
変更が可能である。
【0049】今,測定電流値が“0.5 C”であるとす
る。バッテリ残量処理部5は,測定電流が“指定電流”
となっているので相関テーブル7を参照する。即ち,当
該バッテリ1に対応する複数ページの中からパラメータ
“0.5 C”に対応するページ(図4に示すページ)を検
索し,更に測定電圧値を用いて当該ページを検索して残
量を求める。例えば,測定電圧値が“13V”であると
すると,残量は約75%と求まる。
【0050】なお,指定電流を例えば“0.5 C”までと
して,“0.4 C”以下は残量を求めることを省略しても
よい。これは,“0.4 C”以下の場合はその減少の速度
が小さいためである。例えば, 図5に示した“0.2 C”
の場合, 残量0となるまでは5時間を要する。このよう
に残量を求める処理の一部を省略することにより,cp
u11の負担を小さくできる。
【0051】このように指定電流の下限を所定の値以上
とすることは,当該バッテリ・カーが特にソーラー・カ
ー(太陽電池を搭載し,これにより走行中等にバッテリ
1充電するようにしたバッテリ・カー)である場合に有
効である。即ち,例えば“0.4 C”以下の場合はバッテ
リ1における化学反応も緩やかであり,太陽電池による
充電で十分に端子電圧を維持し,充電することができ
る。従って,残量の表示を省略しても問題なく,その分
cpu11による他の処理が可能となる。
【0052】また,測定電流値として毎回の測定値(ア
ダプタ10からリードした値)を直接用いるのではな
く,複数回の測定値の平均値を用いることが望ましい。
この場合,何回分の測定値を用いるかは予めバッテリ残
量処理部5に設定される。なお,キーボード13からの
入力により環境ファイルにおいてこの回数を指定できる
ようにしてもよい。毎回の測定値は,平均値を求めるの
に必要な分だけアダプタ10に格納され,バッテリ残量
処理部5にリードされる。なお,これらの測定値は,バ
ッテリ残量処理部5がメモリ14の主メモリ内の所定の
領域に必要な分だけ格納するようにしてもよい。
【0053】このように平均値を用いることにより,
“指定電流”の範囲内で測定電流値が上下しても,残量
表示が頻繁に乱高下するようなことが防止でき,結果と
して正しく残量を表示できる。また,平均値を用いるこ
とにより,測定電流値として検出電流の中央に近い値を
求めることができるので,残量算出の精度を向上でき
る。更に,バッテリ1の特性として,瞬間的に大電流を
取出した場合には高い電圧値を示し継続的に大電流を取
出した場合には低い電圧値を示す傾向があるが,平均値
を用いることにより,この傾向が緩和されるので,残量
算出の精度を向上できる。
【0054】図6はバッテリ残量処理部5の行なうバッ
テリ残量処理フローを示す。環境ファイル6をリードし
て,各項目の設定値を取込み(ステップ1),タイマ1
5をスタートさせる(ステップ2)。
【0055】次に,タイマ15の値と“測定時間”の設
定値とを比べ,測定間隔時間が経過したかを調べる(ス
テップ3)。経過していない場合,ステップ3をくり返
す。
【0056】経過している場合,アダプタ10の所定の
レジスタをリードして,バッテリ1の放電電流値及び端
子電圧値を取込む(ステップ4)。次に,当該電流値が
検出範囲に入っているかを調べる(ステップ5)。例え
ば,当該電流値と“指定電流”の設定値とを比べ,一致
するかを調べ,更に“電流範囲”の設定値(±%)の範
囲に含まれるかを調べる。
【0057】入っていない場合,タイマ15をリセット
(再スタート)し,ステップ3以下をくり返す。入って
いる場合,相関テーブル7を参照して,当該電圧値に対
応するバッテリ1の残量を求める(ステップ6)。即
ち,当該電流値をパラメータ値とする端子電圧−残量特
性から当該電圧値を用いて残量を求める。
【0058】次に,表示部12に求めたバッテリ1の残
量を表示し,タイマ15をリセット(再スタート)し,
ステップ3以下をくり返す。以上,本発明を実施例によ
り説明したが,本発明は特にソーラー・カーに適用した
場合に有効であることは前述したとおりである。以下,
本発明を適用したソーラー・カーについて説明する。
【0059】このソーラー・カーでは,その運転を制御
し,運転状態を表示するために,各種センサを要所要所
に配置してセンス情報を表示し,あるいはセンス情報を
処理した結果の結果情報を表示することが行われてい
る。
【0060】図7はソーラー・カーの概念図を示してい
る。図中の符号100はバッテリ搭載走行体,101は
モータ,102はタイヤ,103は運転席,104はバ
ッテリ(図1のバッテリ1に相当する),105は太陽
電池,106はコントローラを表わしている。
【0061】このソーラー・カーでは,太陽電池105
からの出力電流,バッテリ104からの流出入電流,モ
ータ101への供給電圧(システム電圧),モータ10
1への供給電流,タイヤ102の回転数などの情報をセ
ンスし,表示することが行われている。
【0062】更に,このソーラー・カーでは,従来のソ
ーラー・カーにおける問題点であった以下の事項の解決
を図っている。即ち,従来の場合にも,各種センサを配
置してセンス情報を抽出するようにしているが,個々の
センス情報を表示して運転者に可視的に通知するといっ
た程度のことに過ぎないものであった。
【0063】また更に進んで例えばバッテリの残量を計
算して表示するような場合であっても,従来の場合に
は,予め定められた固定的な時間間隔で,バッテリの電
圧や電流をセンスし上記残量を計算し表示するといった
程度にとどまり,上記固定的な時間間隔を,例えば走行
コースの状況に応じて変更したりすることはできないも
のであった。
【0064】更に,バッテリ残量のみでなく,当該バッ
テリ搭載走行体が,現時点あるいは現在位置から,あと
どの程度まで走行可能かを推定して表示するような処理
を行うことができないものであった。
【0065】また更に,当該バッテリ搭載走行体を実際
に運転せしめた場合における各種センス情報や各種の結
果情報(センス情報を処理した結果の情報)を総合的に
収集しておき,より効率のよいバッテリ・カーを製作す
るための支援を行うこともできないものであった。
【0066】そこで,このソーラー・カーでは,以上の
問題を解決し,ソーラー・カー(バッテリ搭載走行体)
の運転を制御し,運転操作に関して運転者を支援し,運
転時の各種情報を収集し得るようにすることを目的とし
て,図8の構成を採用する。図中の符号51は本体部,
52はアダプタ部,53はデータ処理部,54は主記憶
部であって各種プログラム(バッテリ残量処理プログラ
ムを含む)からなるソフトウェアが格納されているも
の,55は外部記憶部であってICメモリカードにて構
成されるもの,56はタイマ部,57はディスプレイ制
御部,58は表示部,59はバス・インタフェース制御
部,60はアナログ・マルチプレクサ,61はA/Dコ
ンバータ,62はパルス・カウンタ,63はスイッチ・
ステータス・レジスタ,64はバス・インタフェース制
御部,65はバスを表わしている。
【0067】言うまでもなく,図8に示す本体部51と
アダプタ部52とは,全体で,図7に示すコントローラ
106内に存在するデータ処理装置であると考えてよ
い。また,アダプタ部52は図2のアダプタ10に,デ
ータ処理部53はcpu11に,外部記憶部55はメモ
リ14に,タイマ部56はタイマ15に,ディスプレイ
制御部57および表示部58は表示部12に,各々,相
当するものである。
【0068】アナログ・マルチプレクサ60は,例え
ば,(a)太陽電池105に関して,太陽電池105の
表面の温度と,太陽電池105からの出力電流とをセン
スした夫々のセンサからの信号,(b)バッテリ104
に関して,バッテリ104の温度と,バッテリ104か
らのあるいはバッテリ104への流出入電流と,バッテ
リ104の端子電圧とをセンスした夫々のセンサからの
信号,(c)走行体を駆動するモータ101に関して,
モータ101の温度と,モータ101に印加されるシス
テム電圧と,モータ101への入力電流(モータコント
ローラ電流)とをセンスした夫々のセンサからの信号,
(d)モータ101を制御するモータ・コントローラの
温度をセンスしたセンサからの信号,などを受取り,例
えば時分割処理して,A/Dコンバータ61に供給す
る。
【0069】言うでもなく,(b)のバッテリ104
の流出電流及び端子電圧が,本発明の適用対象である。
電流測定手段3及び電圧測定手段4はセンサに相当す
る。パルス・カウンタ62は,タイヤ回転数などをセン
スするパルス・センサからの出力をカウントし,バス・
インタフェース制御部64に供給する。
【0070】スイッチ・ステータス・レジスタ63は,
各種スイッチ類の接点状態を受取って保持し,バス・イ
ンタフェース制御部64に供給する。アダプタ部52に
おけるバス・インタフェース制御部64は,バッテリ1
04の放電電流や端子電圧等の収集された夫々の情報
を,指示された周期(当該周期は可変に設定可能であ
る)で,本体部51に転送する。
【0071】本体部51においては,バス・インタフェ
ース制御部59を介して受信した各種情報を,指示され
た周期(当該周期も可変である)で,外部記憶部55に
格納する。そして,データ処理部53は,主記憶部54
に格納されているバッテリ残量処理プログラム等のプロ
グラムを実行してゆく形で,外部記憶部55に収集され
格納された情報を,また当該情報について処理を行った
結果であるバッテリ残量等の結果情報を,指示された周
期(当該周期も可変である)で,表示部58に表示せし
める。
【0072】タイマ部56は,上記周期を監視してい
る。またディスプレイ制御部57は表示部58における
表示を制御する。図9は環境ファイル6を説明する図で
ある。当該環境ファイル6は,図3の環境ファイル6と
同一のものであり,主記憶部54に格納されているプロ
グラムとは別に,プログラムが参照する定数データの集
合されたものであり,図8に示される外部記憶部55に
書替え可能に格納される。
【0073】当該環境ファイル6の内容としては,例え
ば図示の如く,(i)ピックアップ間隔−ソーラー・カ
ーの状態をデータ処理部53に取り込むために,センサ
部やスイッチ部からの情報をアダプタ部52がピック・
アップする時間の間隔を指示する情報,(ii)データ格
納間隔−上記ピックアップした情報および/または当該
ピック・アップした情報を処理した結果情報を,収集デ
ータとして外部記憶部55に格納する動作を,何回分ピ
ック・アップした結果で行うかの間隔を指示する情報,
(iii)画面表示間隔−ピックアップした情報および/ま
たは結果情報を表示部に表示する動作を,何回分ピック
・アップした結果で行うかの間隔を指示する情報,など
が,書替え可能に用意される。
【0074】言うまでもなく,(i)のピックアップ間
隔が図3の測定間隔に相当する。(ii)のデータ格納間
隔及び(iii)の画面表示間隔は,前述の複数回の測定値
の平均値を用いる場合の何回分の測定値を用いるかを指
示するものである。
【0075】データ処理部53は,外部記憶部55か
ら,当該環境ファイル6の内容を読出し,夫々の間隔情
報に対応した周期で夫々の処理を行う。図10は本体部
51およびアダプタ部52において行われる処理のフロ
ーを示す。 (S11):環境ファイル6を読込む。 (S12):データ格納が上記データ格納間隔で与えら
れた回数分行われたか否かを表現するデータ格納カウン
タの値を「1」にし,画面表示が上記画面表示間隔で与
えられた回数分行われたか否かを表現する画面表示カウ
ンタの値を「1」にした上で,タイマをスタートする。 (S13):夫々の指示されたピック・アップ時間が経
過したか否かが調べられる。YESであれば,ステップ
(S14)に進む。 (S14):本体部51がアダプタ部52に対して情報
転送を指示して当該情報を読む。これにより,バッテリ
104の電流,電圧の測定値が取込まれる。 (S15):当該読んだ情報を処理する。これにより,
当該情報が所定のバッファに格納される。 (S16):データ格納カウンタの値が所定の値である
か否かをチェックし,YESであればステップ(S1
7)に進み,NOであればステップ(S18)に進む。 (S17):ステップ(S16)がYESであった場
合,バッファに格納されている全情報の平均値を用いて
バッテリ104の残量を求め,この情報を外部記憶部5
5に格納し,その間データ格納カウンタの値を「0」に
する。 (S18):格納が終了すると,データ格納カウンタの
値をプラス1する。 (S19):次いで,画面表示カウンタの値が所定の値
であるか否かをチェックし,YESであればステップ
(S20)に進み,NOであればステップ(S21)に
進む。 (S20):ステップ(S19)がYESであった場
合,画面表示を更新し,画面表示カウンタの値を「0」
にする。これにより,最新のバッテリ104の残量が表
示される。 (S21):画面表示カウンタの値をプラス1する。以
後,ステップ(S13)に戻る。
【0076】以上,本発明をソーラー・カーに適用した
例について具体的に説明した。本発明をソーラー・カー
に適用することにより,バッテリ104の残量を例えば
所望の時間間隔で測定し表示させることができ,また,
太陽電池105による充電やその充電効率を考慮して必
要な場合にバッテリ104の残量を求めるようにでき
る。これにより,cpu11又はデータ処理部53は,
他のセンサからのデータの処理等のバッテリ残量処理以
外の処理も十分に行うことができる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように,本発明によれば,
バッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量算出処理にお
いて,バッテリの残量の算出をソフトウェアにより行う
と共に環境ファイル及び相関テーブルを備えることによ
り,測定条件を容易に変更できるので,常に適切な測定
条件を設定することができ,また,適切な測定条件の下
で測定した電流値及び電流値を用いることにより適確に
バッテリの残量を求めることができるので,駆動時の負
荷の変動やバッテリの交換等にも柔軟に対応して正しく
残量を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】実施例構成図である。
【図3】環境ファイル説明図である。
【図4】相関テーブルの一例を示す図である。
【図5】相関テーブルを求めるための図である。
【図6】バッテリ残量処理フローである。
【図7】ソーラー・カーの概念図である。
【図8】ソーラー・カーの構成説明図である。
【図9】環境ファイル説明図である。
【図10】処理フローである。
【符号の説明】
1 バッテリ 2 負荷 3 電流測定手段 4 電圧測定手段 5 バッテリ残量処理部 6 環境ファイル 7 相関テーブル 8 処理装置(cpu/メモリ) 10 アダプタ 11 cpu 12 表示部 13 キーボード 14 メモリ 15 タイマ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 当該バッテリ搭載走行体を駆動するため
    の電気エネルギ源であるバッテリ(1)の電流を測定す
    る手段(3)と, 前記バッテリ(1)の電圧を測定する手段(4)とを備
    えたバッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量算出処理
    装置において, 前記バッテリ(1)の残量を求めるための所定の処理を
    行なうバッテリ残量処理部(5)と, 前記バッテリ(1)についてその電圧の値と残量との関
    係を示すテーブルであって,前記バッテリ(1)の電流
    の値をパラメータ値として用いて複数のパラメータ値毎
    に前記電圧の値と残量との関係を予め書込んだ読出し専
    用メモリに格納されてなる相関テーブル(7)と, 前記バッテリ残量処理部(5)の行なう前記所定の処理
    のために前記バッテリ残量処理部(5)が参照する複数
    の異なる定数データのファイルであって,当該定数デー
    タの書込み読出しが可能なメモリに格納されてなる環境
    ファイル(6)とを設け, 前記バッテリ残量処理部(5)が,前記環境ファイル
    (6)を参照し,当該環境ファイル(6)の内容にもと
    づく前記定数データにより設定された数値を用い, かつ 前記バッテリ残量処理部(5)が,前記相関テーブ
    ル(7)を参照し,前記電流測定手段(3)から得た前
    記バッテリ(1)の電流の値を用いてパラメータ値を選
    択し,前記電圧測定手段(4)から得た前記バッテリ
    (1)の電圧の値を用いて当該選択したパラメータ値の
    場合の前記電圧の値と残量との関係から残量を求めるこ
    とを特徴とするバッテリ搭載走行体におけるバッテリ残
    量算出処理装置
  2. 【請求項2】 前記バッテリ残量処理部(5)が,前記
    環境ファイル(6)を参照し,前記定数データの1つと
    して設定されている時間間隔で,前記電流測定手段
    (3)及び電圧測定手段(4)の測定した前記バッテリ
    (1)の電流の値及び電圧の値を取込むことを特徴とす
    る請求項記載のバッテリ搭載走行体におけるバッテリ
    残量算出処理装置
  3. 【請求項3】 前記バッテリ残量処理部(5)が,前記
    環境ファイル(6)を参照し,前記電流測定手段(3)
    から得た前記バッテリ(1)の電流の値が前記定数デー
    タの1つとして設定されている指定電流値となった場合
    に,前記相関テーブル(7)を参照して前記バッテリ
    (1)の残量を求めることを特徴とする請求項又は請
    求項記載のバッテリ搭載走行体におけるバッテリ残量
    算出処理装置
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