JP2741464B2 - 排気ガス処理装置および方法 - Google Patents

排気ガス処理装置および方法

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JP2741464B2 JP4254736A JP25473692A JP2741464B2 JP 2741464 B2 JP2741464 B2 JP 2741464B2 JP 4254736 A JP4254736 A JP 4254736A JP 25473692 A JP25473692 A JP 25473692A JP 2741464 B2 JP2741464 B2 JP 2741464B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、燃焼炉に発生する排気
ガスの浄化処理に係り、特に、排気ガス中の窒素酸化物
(以下、NOxという)を、効率よく分解、脱硝処理す
るのに好適な排気ガス処理装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、発電プラント用ボイラ
ー、ディーゼルエンジン、ガスタービン等の燃焼炉に生
じる排気ガスには、有害なNOxが含まれるので、その
浄化処理が必要とされる。NOxの処理には、放電プラ
ズマ法、好適にはアンモニア(NH3)を還元剤とする
接触選択還元反応法(以下、SCR法という)、等の分
解、脱硝処理(乾式処理)が考えられている。また最近
では、NOxの還元剤に、炭化水素(以下、CmHnと
する、m、n=1、2、3 … )を用いる処理(選択
還元反応法、以下、HC−SCR法という)についても
検討されている。
【0003】放電プラズマ法は、概して、前記排気ガス
を放電プラズマ中に導入し、生成した酸化活性種とNO
xとの衝突によってNOxを還元分解する方式であり、
プラズマの種類としてパルスグロー放電、グロー放電、
パルスコロナ放電等がある。SCR法は、基本的にNH
3を還元剤とし、触媒を添加してNOxに反応させ、N
Oxを窒素(N2)と水(H2O)に分解する方法であ
り、また、HC−SCR法は、CmHnを還元剤とし、
触媒を添加してNOxに反応させ、NOxを窒素
(N2)、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)に分解す
る方法である。
【0004】グロー放電プラズマを利用した装置の例と
して、特開平1−236924号、特開平2−2039
20号、特開平2−227117号、特開平2−241
190号等があり、パルスグロー放電を利用した装置の
例として、出願人の先願に係る特願平3−260664
号がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】放電プラズマ法におい
ては、NOxの分解が進むと、NOxと酸化活性種との
衝突率が低くなるので、単位エネルギ当りのNOxの除
去率が低下し、エネルギ効率が悪くなる。
【0006】SCR法、HC−SCR法では、概して、
その実施に際し、NOx除去率の高水準化のために、反
応塔における排気ガスの空塔速度を低下させるか、NH
3、CmHnの量を多くする必要があり、反応塔の大型
化、還元剤の貯蔵槽、注入装置、処理装置等の付加設備
を必要とし、装置の大型化、それに伴うコストの増大等
が問題とされる。
【0007】本発明は、上記課題に鑑み、NOx除去率
向上とともにそのためのエネルギ効率の向上、さらに装
置のコンパクト化、コストの低減を同時に実現する等を
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題の解決のた
め、本発明は、燃焼炉からの排気ガスの処理系に、プラ
ズマ反応炉と選択還元反応塔とを合わせて組み入れたこ
とを特徴とする。
【0009】さらに具体的に、本発明は、前記排気ガス
処理系の前記プラズマ反応炉から後段に、前記選択還元
反応塔を設けることを特徴とする。
【0010】前記還元反応塔は、アンモニア(NH3
を還元剤とする選択接触還元式としても、炭化水素を還
元剤とする選択還元反応塔としてもよい。
【0011】すなわち、上記構成は、燃焼炉に発生する
排気ガスにNH3またはCmHnを添加し、該排気ガス
を、プラズマ放電処理した後、NH3またはCmHnを
還元剤として還元反応することを特徴とするものであ
る。
【0012】
【作用】上記構成によると、排気ガス中のNOxは、プ
ラズマ反応炉において、プラズマ放電処理される。すな
わち、プラズマ反応炉内において、パルスグロー放電、
グロー放電、パルスコロナ放電等によりプラズマが生
成、放電され、その内に排気ガスが導入されると、放電
プラズマ中の高エネルギ電子は、排気ガスを構成する各
種成分を励起して酸化活性種を生成し、この酸化活性種
がNOxを分解、除去する。排気ガスにNH3をあらか
じめ添加しておけば、前記酸化活性種とNOxとの反応
後、さらにNH3との反応が起こり、硝安(NH4
3)が生成され、当初のNOxが分解、固化される。
また、添加するNH3を微少化すると、放電プラズマに
よってNH3が励起され、還元剤としてNOxを還元、
分解する過程ともなり得る。また、排気ガスに、あらか
じめCmHnを添加しておけば、酸化活性種により酸化
されたNOxと、同様に部分酸化されたCmHnとの反
応により、NOxは、窒素(N2)、二酸化炭素(C
2)、水(H2O)の形で分解、除去される。
【0013】一方、選択還元反応塔においては、添加さ
れる還元剤により、NOxが還元、分解される。
【0014】選択還元反応塔を、NH3を還元剤とする
選択接触還元方式(SCR法)とすると、排気ガス中の
NOxは、NH3によって還元され、N2およびH2Oに
分解される。また、選択還元反応塔を、CmHnを還元
剤とする選択還元方式(HC−SCR法)とすると、排
気ガス中のNOxは、CmHnの部分酸化中間体(Cx
Hy(O,N) )を経て、N2、CO2、およびH2
に分解される。
【0015】本発明においては、プラズマ反応炉と選択
還元反応塔とで、排気ガスNOxの処理を分担するの
で、プラズマ反応炉の所要エネルギを低減し、選択還元
反応塔の容積を小型化しても、装置全体としてNOx除
去率は維持、向上される。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0017】図1は本発明の一実施例を示し、同図に示
す排気ガスライン1は、ディーゼル機関等の燃焼炉2か
ら、排気管3を介して、廃熱ボイラ4、プラズマ反応炉
5、集塵装置6、選択還元反応塔7が直列に接続され、
同系統によって処理された排気ガスは、煙突8から系外
へ放出される。廃熱ボイラ4とプラズマ反応炉5との間
には、アンモニアまたは炭化水素注入装置9がライン1
に接続されている。
【0018】本実施例において、排気ガス中のNOx
は、プラズマ反応炉5および選択還元反応塔7によって
分解処理されるが、ここで、NOxの分解反応について
従来の技術と比較しつつ説明する。従来、NOxの処理
として、放電プラズマ法、SCR法、HC−SCR法等
が開発されている。
【0019】放電プラズマ法は、概して、放電プラズマ
中の高エネルギ電子による排気ガス成分の励起、酸化活
性種の生成、酸化活性種によるNOxの酸化、NH3
添加によるNH4NO3の生成、すなわちNOxの固定、
または、添加CmOnによる、酸化されたNOxの、N
2、CO2、H2Oへの分解、除去、の各過程からなる。
励起のためのプラズマとして、パルスグロー放電、グロ
ー放電、パルスコロナ放電が考えられている。
【0020】SCR法は、典型的に、NH3を還元剤と
し、触媒の添加によって、NOxを還元反応させる方法
である。触媒としてはチタン/酸化バナジウム(Ti/
23)系触媒、TiO2にV25、WO3、MoO3
担持させたもの等が使用される。SCR法は、酸素共存
下で反応速度が増加し、基本的な反応は、次式で表され
る。
【0021】
【化1】 6NO + 4NH3 → 5N2 + 6H2O 6NO2 + 8NH3 → 7N2 + 12H2O 4NO + 4NH3 + O2 → 4N2 + 6H2
O HC−SCR法は、CmHnを還元剤としてNOxとの
反応により、N2、H2O、CO2に分解する方法であ
る。
【0022】反応機構について、下記スキームのよう
に、CmHnの部分酸化中間体の生成、中間体とNOx
との反応によるNOxの分解、の各段階からなるとする
炭化水素部分酸化説と、
【0023】
【化2】
【0024】NOxの接触分解およびCmHnの酸化が
連続的に生じる(その場合CmHnはNOxから脱離し
たOを燃焼によって触媒から防護すると考えられてい
る)とする微視的連続反応説と、が有力視されている。
基本的な反応は、次式で表される。
【0025】
【化3】2NO+nC8+(5n−1)O2→N2
3nCO2+4nH2O 触媒として、ゼオライト(ZSM−5)にCu、Coを
活性成分として担持させたものが知られている。
【0026】しかし、従来の処理法では、実施上、いず
れも設備の大型化、高コスト化が問題となる。詳述する
と、放電プラズマ法においては、反応の進行によるNO
xの減少に伴い、酸化活性種とNOxの衝突確率が低く
なるため、NOxの除去率をあげようとすると各分子を
活性化しなければならず、所要エネルギが増加する。図
にエネルギとNOx除去率との関係を示す(なお、図
では、エネルギ比1に対する除去率を95%としてい
る)。同図からわかるように、NOx除去率とエネルギ
量とは正の相関関係が認められる。同様に、図には、
排気ガス中におけるNOxの初期濃度と、エネルギとの
関係が示され、両者は正の相関関係にあることがわか
る。従って、排気ガスの処理量増加に伴い、所要エネル
ギも多く必要になり、そのためのコストが高くなる。
【0027】SCR法において、排気ガス処理効率を分
析するためのパラメータとして、空塔速度(SV値)、
NOxの初期濃度、残留NH3量、触媒量があり、特
に、それ等とNOxの除去率との相関が重要とされる。
にNOx除去率とSV値との関係を示す。両者は負
の相関関係が認められる。ここでSV値の減少は、反応
塔の容積増加の必要を意味する。同様に、図にはNO
xの初期濃度と、NOx除去率との関係が示され、それ
によるとNOxの初期濃度とSV値とも負の相関関係が
ある。図には、NOx濃度を1000ppmと一定に
した場合における、NOx除去率と残留NH3量が示さ
れ(図では、NH3とNOxとのモル比が媒介パラメ
ータとされている)、両者は正の相関関係にあり、特
に、残留NH3量は、NOx除去率を90%以上にめざ
すと、急激に増加する。さらに、図は、残留NH3
を一定にした場合における、NOx除去率と触媒量との
関係を示し、両者は正の相関関係にある。
【0028】以上のように、NOxの除去率を90%以
上の水準に維持しようとすると、NOxの処理量を示す
SV値の低減化(SV値は最大でも10,000/h程
度)、またはNH3の多量化と触媒量の増加(除去率8
0%に対する触媒量を1とすると、除去率90%に対し
て1.15、除去率100%に対して1.5)を要し、
処理量の制限か、もしくは処理塔容積の増大および触媒
のためのコストが必要になり、さらに、残留NH3量が
増加することから、アンモニア処理設備の設置があらた
に必要となる。
【0029】HC−SCR法は、SCR法に比べ、除去
率を2〜3倍に向上できるが、その処理特性はSCR法
と基本的に同様であり、除去率90%以上を前提として
多量の排気ガス処理のためには、CmHnの多量化、触
媒量の増加、処理塔容積の増大が必要になる。さらに、
SCR法においては、アンモニアの処理設備、HC−S
CR法においてはCmHnの貯蔵槽、注入装置等の付帯
設備も必要になる。このような問題は、いずれも各処理
法を単独で用いた場合のものであり、すなわち従来の技
術においては、NOxの反応機構の化学的解明、確立を
中心的課題とし、反応機構を単一にして還元剤を用いる
点、換言すれば、反応機構を単一に選択し、その機構に
おける効率向上を意図する点に起因すると考えられる。
NOx処理の実用化においては、装置全体として所要の
除去率が得られればよいので、各化学的反応機構を高水
準に機能させる必要は必ずしもない。
【0030】一方、放電プラズマ法において、NOx除
去率を低下させれば、所要エネルギ量が低減される。す
なわち、除去率の目標値を90%とするに要するエネル
ギに比べ、除去率の目標値を50%に留めると、エネル
ギ量を20%までに、除去率の目標値を70%とすれば
エネルギ量を50%までに低減することが可能である。
さらに、例えばNOxの初期濃度を500ppmとすれ
ば、初期濃度1000ppmの場合に比べて、30%の
エネルギが低減される。また、選択還元法において、S
CR法を例とすると、NOx除去率が低いほどSV値が
増加する傾向にあるので、NOx除去率を低下させれば
反応塔容積を低減できる。同様に、NOxの初期濃度を
低下させれば、SV値が増加し、反応塔容積が低減され
ることがわかる。
【0031】本実施例は、このような知見に基づきなさ
れたもので、実用化レベルにおいて、効用性の高い装置
を可能にするNOx処理を目的とし、放電プラズマ法と
選択還元法とを最適に効率よく合わせて、個別の反応機
構には高水準な成果を求めずに、なお装置全体としては
高水準のNOx処理効率を維持しつつ、従来の技術の各
課題を解決するものである。
【0032】すなわち、本実施例の特徴は、プラズマ反
応炉5の後段に、集塵装置6を介して選択還元反応塔7
を直列に設け、プラズマ反応炉5と選択還元反応塔7と
によって排気ガス中のNOxを相補的に分解処理し、各
過程における処理量を低減することによってそれぞれの
欠点の肥大化を防ぐ点にある。選択還元反応塔7の反応
機構は、SCR法であってもHC−SCR法であっても
よい。
【0033】上記構成において、プラズマ反応炉5にお
けるNOx除去率は、後段に選択還元反応塔7があるこ
とからして、高水準とする必要はなく、目標値を70%
とし、残りが選択還元反応塔7によるNOxの除去率の
目標値とされる。それにより、プラズマ反応炉5におい
ては、所要エネルギ量は、従来に比べて50%以下に低
減され、さらに、後段の選択還元反応塔7においては、
NOxの初期濃度が30%以下となるため、SV値を低
下でき、もって、従来の1/2以下に、反応塔容積の小
型化が可能になる。
【0034】本実施例において、燃焼炉2を500kW
のコジェネ用ディーゼルエンジンとし、プラズマ反応炉
5をコロナ予備電離グロー放電プラズマ反応炉として、
以下の条件でNOx処理を実施した(選択還元反応塔7
は、SCR法、HC−SCR法のいずれかとした)。 排気ガス量 : 60Nm3/min. NOx初期濃度 : 1000ppm プラズマ反応炉5の NOx除去目標値 : 700ppm(70%) 選択還元反応塔7の NOx除去目標値 : 270ppm(残りの90%) 全体のNOx除去 目標値 : 970ppm(97%) 放電条件、 パルスエネルギ : 9kJ/Nm3/パルス 放電繰返し数 : 1000Hz 選択還元反応塔7の 容積 SCR法 : 0.18m3 HC−SCR法 : 0.09m3 その結果、所定のNOx除去率が得られ、プラズマ反応
炉の処理エネルギは、反応炉を単独に用いた場合に比
べ、約53%に低減され、一方、選択還元反応塔7の所
要容積を従来の1/2に小型化することができた。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の排気ガ
ス処理装置および方法によれば、プラズマ反応炉の後段
に選択還元反応塔を設け、排気ガス中のNOxを段階的
に分解するので、プラズマ反応炉のエネルギ量が低減さ
れるとともに、選択還元反応塔のSV値を向上させ、も
って反応塔容積を小さくすることが可能になり、NOx
除去率を良好に保持しつつ、設備の小型化、低コスト化
を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示し、図1(A)はその系
統図、図1(B)は系統に沿ったNOx除去率を示すダ
イヤグラムである。
【図2】放電プラズマ法における、所要エネルギ量とN
Ox除去率との関係を示すグラフである。
【図3】放電プラズマ法における、排気ガス中のNOx
初期濃度と所要エネルギ量との関係を示すグラフであ
る。
【図4】SCR法における、NOx除去率とSV値との
関係を示すグラフである。
【図5】SCR法における、NOxの初期濃度とNOx
除去率との関係を示すグラフである。
【図6】SCR法において、NOx濃度を1000pp
mとした場合における、NOx除去率と残留NH3量と
の関係を示すグラフである。
【図7】SCR法において、残留NH3量を一定にした
場合における、NOx除去率と触媒量との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 排気ガスライン 2 燃焼炉 3 排気管 4 廃熱ボイラ 5 プラズマ反応炉 6 集塵装置 7 選択還元反応塔 8 煙突 9 アンモニアまたは炭化水素注入装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 礒貝 和博 千葉県市原市八幡海岸通1番地 三井造 船株式会社 千葉事業所内 (56)参考文献 特開 平4−61917(JP,A) 特開 平4−247218(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼炉からの排気ガスの処理系に、プラ
    ズマ反応炉と選択還元反応塔とを組み合わせて組み入れ
    てなり、前記プラズマ反応炉の後段に、前記選択還元反
    応塔を設けたことを特徴とする排気ガス処理装置。
  2. 【請求項2】 燃焼炉に発生する排気ガスにアンモニア
    または炭化水素を添加し、該排気ガスを、プラズマ放電
    理した後に、アンモニアまたは炭化水素を還元剤とし
    て還元反応させて処理することを特徴とする排気ガス処
    理方法。
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