JP2740557B2 - 真空機器用部材の接合方法 - Google Patents

真空機器用部材の接合方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、内部を超高真空状態に保持して超高真空中
で作られたサンプルピースを搬送する真空スーツケース
や真空ポンプといった真空機器に用いられるフランジ、
各種継手、ベローズ、チェンバ、各種バルブ、マニピュ
レータ等の部品を形成するため、これらを構成する部材
を接続する部材の接合方法に関する。
〔従来の技術〕
前述した真空機器に用いられる各種部品は、従来、耐
蝕性の良好なステンレスにより形成されることが多かっ
たが、近年では、アルミニウムが多用されるようになっ
てきている。これは、アルミニウムが、軽量で加工性が
よく、また、放射能の減衰率が早く、さらにはガス放出
性が少ないという種々の特長を有しており、これらの特
長が真空機器への適用に非常に適しているからである。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、アルミニウムを原材料として真空機器用の
部品を形成するため、これらを構成する部材を接続する
手段として、従来は、TIG、MIGなどの溶接が用いられて
いた。
しかしながら、このような溶接は、ろう材を順次繰り
出すようにして部材間の溶接を行なうため、ろう材が波
打ったり気泡が生じたりしてガス吸着が多くなってしま
い、真空機器に適さないという問題点があった。
本発明は、このような従来のものにおける問題点を克
服し、アルミニウムを主成分とした部材を、ガス吸着を
少なくするように接合して真空機器に適用しうるように
した真空機器用部材の接合方法を提供することを目的と
する。
〔課題を解決するための手段〕
前述した目的を達成するため本発明に係る真空機器用
部材の接合方法は、真空機器に用いられアルミニウムを
主成分とする1対の部材を接合する真空機器用部材の接
合方法において、前記1対の部材間にろうを介在させて
両部材が気密に接合されるように真空ろう付けを行な
い、両部材の露出面にニッケルめっきを施したことを特
徴としている。
〔作 用〕
前述した構成からなる本発明によれば、まず真空ろう
付けにより1対の部材を接合するので、アルミニウムを
主成分とした各部材の表面を荒らすことがないし、しか
もガス吸着を少なくするとともに各部材に付着している
水分を除去することができる。また、このようにして接
合された両部材の露出面にニッケルめっきを施すので、
例えば、真空チェンバ内における反応性ガス雰囲気での
耐蝕性が向上するし、また、表面の傷の発生を防止し、
したがってシール面での真空度の維持を確実に行なうこ
とができる。
〔実施例〕
以下、本発明を図面に示す実施例により説明する。
第1図は真空機器の部品であるフランジ継手1であ
り、このフランジ継手1は、1対の部材たるパイプ2お
よびフランジ3を接合して形成されるようになってい
る。これらのパイプ2およびフランジ3は、それぞれア
ルミニウムを主成分とした材料、例えば、マグネシウム
シリコン系のアルミニウム合金(JIS A 6063)、マ
ンガン系のアルミニウム合金(JIS A 3003)、純ア
ルミニウム(JIS A 1050)の圧延材などにより構成
されている。また、前記パイプ2の内孔2Aの内径とフラ
ンジ3に形成されいている中心孔3Aの内径とは等しい寸
法に形成されている。
前記パイプ2およびフランジ3を接合するには、ま
ず、フランジ3の一方の表面3Bに、前記中心孔3Aに連通
する嵌合部たる円環状の環状溝3Cを形成する。この環状
溝3Cの内径は、前記パイプ2の外径より大径に形成され
ている。
ついで、円環状に形成されているろう材4をフランジ
3の環状溝3C内に挿入して、この環状溝3Cと同心状に着
座せしめる。このろう材4は、例えば、芯材をJIS A
3003とし、この芯材の両面に、溶触温度を下げるため
にシリコンを9〜10.5重量%含有しているシリコン系の
アルミニウム合金(JIS BA 4004)により構成された
皮材を被覆してなるブレージングシートとされている。
このろう材4の外径は前記環状溝3Cの内径と、また、ろ
う材4の内径は前記パイプ2の内孔2Aの内径より小径と
されている(第2図)。この第2図の方法によれば、後
述するろう付けをより確実に行なうことができる。
前記ろう材4上に、同心状にパイプ2の端面を着座さ
せたら、図示しない治具によりパイプ2、フランジ3お
よびろう材4がこの状態に保持されるように締着する。
そして、このようにして治具によりパイプ2、フランジ
3およびろう材4が固定された状態において、これらの
パイプ2、フランジ3およびろう材4を治具ごと図示し
ない真空炉内に導入し、真空炉内の真空度を10-3〜10-6
Torr程度に維持し、真空炉内をパイプ2、フランジ3の
溶融温度より低温で、かつろう材4の溶融温度より高温
の600℃に約5分間加熱し、ろう材4を溶融させてパイ
プ2とフランジ3を接合する。
前述した真空ろう付けによりパイプ2とフランジ3が
接合されたら、パイプ2とフランジ3を治具とともに真
空炉内から取出し、治具から取外したうえで、パイプ2
の中心孔2Aおよびフランジ3の中心孔3A内に付着してい
るろう材4を切削して表面を平滑にする。なお、前記ろ
う材4の内径をフランジ3の内径と等しくしておき、真
空ろう付け後に前述した切削を行なわないようにしても
よい。
ついで、相互に接合されたパイプ2とフランジ3の露
出面に電気めっきあるいは無電解めっきによりニッケル
めっきを施す。このうち無電解めっきを行なうには、硫
酸ニッケル等を金属塩、次亜りん酸ナトリウム等を還元
剤とし、これらに添加剤として、緩衝剤、錯化剤、促進
剤、安定剤等を含めて調整してなる浴組成のめっき液を
構成し、このめっき液を必要に応じて加熱したうえで相
互に接合された前記パイプ2とフランジ3をこのめっき
液中に浸漬し、このパイプ2とフランジ3の表面にめっ
き液中のニッケルを析出させてめっきを行なう。
このようにしてニッケルめっきが終了したら、相互に
接合されているパイプ2とフランジ3をめっき液から取
出す。すると、フランジ3の環状溝3Cの内径はパイプ2
の外径より大径なので、両者間の間隙5からめっき液は
流出して排出される。
前述したように真空ろう付けによりパイプ2とフラン
ジ3を接合したうえで、パイプ2とフランジ3の露出表
面にニッケルめっきを施してなるフランジ継手1は、真
空ろう付けによって、水分が除去されるとともにパイプ
2とフランジ3の表面の平滑度が保持され、このような
平滑面上にニッケルめっきを施し、しかも、めっきされ
るニッケルは、パイプ2とフランジ3の主な成分である
アルミニウムになじみやすく、かつ気泡がないので、ガ
ス吸着が少なく、また、超高真空中においてもガスの放
出を少なくすることができる。さらに、ニッケルは真空
チェンバ内における反応性ガス雰囲気での耐蝕性が良好
なので、この点においても長期にわたってガス放出を少
なくできる。さらにまた、ニッケルは十分な硬度を有し
ているので、超高真空用のメタルシールを使用してもフ
ランジ継手1の表面に傷がつかず、したがって、超高真
空中に用いても傷からのガス放出が生じるおそれがな
い。
このように本実施例によれば、超真空となる真空機器
に使用可能なフランジ継手1を簡単かつ確実に形成する
ことができる。
なお、本発明は前述した実施例に限定されるものでは
なく、真空機器用のハット部品(蓋)や異径管継手など
種々の部品等を形成するために1対の部材を接合するこ
とができる。また、本実施例における1対の部材は接合
に必要な最小限の部材数を示したもので、3つ以上の部
材の接合も、同時に3つ以上の部材を接合する場合を含
みすべて1対の部材の接合の繰返しといえるので、3つ
以上の部材の接合も本発明の技術的範囲に含まれること
は明らかである。
また、真空ろう付けはブレージングシートに代えてろ
う材のみからなるシートを用いて行なってもよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、超高真空下にお
いて使用される真空機器の各種部品を構成する部材を接
合することにより、超高真空状態の保持を確実に行なう
ことができるという実用的な効果を奏することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明に係る真空機器用部材の接
合方法の実施例を示すフランジ継手の完成状態および中
間製造状態の縦断面図である。 1……フランジ継手、2……パイプ、2A……内孔、3…
…フランジ、3A……中心孔、3B……表面、3C……環状
溝、4……ろう材、5……間隙。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空機器に用いられアルミニウムを主成分
    とする1対の部材を接合する真空機器用部材の接合方法
    において、前記1対の部材間にろうを介在させて両部材
    が気密に接合されるように真空ろう付けを行ない、両部
    材の露出面にニッケルめっきを施したことを特徴とする
    真空機器用部材の接合方法。
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